【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題並びに他の課題は、本発明の開示内容から自明である通り、アルコールの均一系接触アミノ化によりポリアルキレンポリアミンの分子量を増大させるための本発明による方法において、ポリアルキレンポリアミンの反応を反応器中で水の脱離下に均一系触媒の存在下で行い、反応水を反応系から分離することを特徴とする方法の種々の実施態様により解決される。
【0016】
反応水とは、モノマーのヒドロキシ基及びアミノ基の反応の間の水の脱離の際に生じる水と解釈されるべきである。
【0017】
室温とは21℃と解釈される。
【0018】
本発明の範囲内で、C
a〜C
bという式の表記は、所定数の炭素原子を有する化学化合物又は化学置換基を表す。炭素原子数はa及びbを含むa〜bの範囲全体から選択されてよく、aは少なくとも1であり、bは常にaよりも大きい。化学化合物又は化学置換基は、さらにC
a−C
b−Vという式の表記により規定される。ここで、Vは化学化合物クラス又は化学置換基クラス、例えばアルキル化合物又はアルキル置換基を表す。
【0019】
詳細には、種々の置換基について示された総称は以下の意味を有する:
C
1−C
50−アルキル:50個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基、例えばC
1−C
10−アルキル、又はC
11−C
20−アルキル、好ましくはC
1−C
10−アルキル、例えばC
1−C
3−アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はC
4−C
6−アルキル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、又はC
7−C
10−アルキル、例えばヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル又はデシル、並びにその異性体。
【0020】
C
3−C
15−シクロアルキル:3〜15個の炭素環員を有する単環式飽和炭化水素基、好ましくはC
3−C
8−シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル、並びに飽和もしくは不飽和の環系、例えばノルボルニル又はノルベニル。
【0021】
アリール:6〜14個の炭素環員を有する単環ないし三環の芳香環系、例えばフェニル、ナフチル又はアントラセニル、好ましくは単環ないし二環の、特に好ましくは単環の芳香環系。
【0022】
「*」という記号は、本発明の範囲内で、全ての化学化合物において原子価を表しており、この原子価を介してある化学基がもう1つの化学基に結合しているものである。
【0023】
ポリアルキレンポリアミンは、例えば(i)脂肪族アミノアルコール同士を水の脱離下に、又は、(ii)脂肪族ジアミンもしくは脂肪族ポリアミンと脂肪族ジオールもしくは脂肪族ポリオールとを水の脱離下に、それぞれ均一系触媒の存在下で反応させることにより得られる。そのような反応は、例えば本出願人による未公開特許出願PCT/EP2011/058758号に記載されている。
【0024】
分子量を増大させるための本発明による方法の第一の好ましい実施態様において、反応水の分離は、そのような反応の間、ないし、アルコールの均一系接触アミノ化によるポリアルキレンポリアミンの製造の間に行われる。つまり、それぞれ均一系触媒の存在下で(i)水の脱離下で脂肪族アミノアルコール同士を、又は(ii)水の脱離下で脂肪族ジアミンもしくは脂肪族ポリアミンと脂肪族ジオールもしくは脂肪族ポリオールとを反応させることによりポリアルキレンポリアミンを製造するためのプロセスの間に、反応水の分離を行う。ここで、ポリアルキレンポリアミンの製造後に反応水のさらなる分離を行ってもよい。
【0025】
分子量を増大させるための本発明による方法の第二の好ましい実施態様(第一の様式の後架橋)において、任意の、例えば上述の方法により製造された低分子量のポリアルキレンポリアミンが使用される。この低分子量のポリアルキレンポリアミンを、その製造の直後に、又は場合により単離及び/又は精製の後に、好ましくは存在している水を除去した後に、高分子量のポリアルキレンポリアミンを製造するための出発材料として用いることができる。本発明によれば、低分子量のポリアルキレンポリアミンを均一系触媒の存在下で水の脱離下に反応させ、反応水を系から除去することによって、低分子量のポリアルキレンポリアミンの分子量を第一の様式の後架橋の範囲で増大させることができる。ここで好ましくは、低分子量のポリアルキレンポリアミンは遊離ヒドロキシ基及び遊離アミノ基を含んでおり、それによって、アルコールのアミノ化による第一の様式の後架橋が可能となる。さらに好ましくは、高分子量のポリアルキレンポリアミンを製造した後に存在している水が除去される。好ましい一実施態様において、a)触媒の存在下での低分子量のポリアルキレンポリアミンの反応と、b)反応水の分離とからのシーケンスが30回まで繰返して行われ、その際、各ステップ列において、高分子量のポリアルキレンポリアミンの分子量が増大する。
【0026】
当然のことながら、分子量のさらなる増成を確実なものとするために、本発明による方法の第一の好ましい実施態様と第二の好ましい実施態様とを組み合わせることができる。
【0027】
本発明による方法の第三の好ましい実施態様において、分子量を増大させるために、第二の様式のいわゆる後架橋が実施される。この第二の様式の後架橋の場合、本発明の範囲内で、第一の工程において、任意の、例えば上述の方法により製造された低分子量のポリアルキレンポリアミンが準備される。この低分子量のポリアルキレンポリアミンを、その製造の直後に、又は場合により単離及び/又は精製の後に、好ましくは存在している水を除去した後に、出発材料として用いることができる。第二の工程において、第二の様式の後架橋が行われ、その際、低分子量のポリアルキレンポリアミンと、(i)脂肪族アミノアルコール、又は(ii)脂肪族ジアミンもしくは脂肪族ポリアミンと脂肪族ジオールもしくは脂肪族ポリオールが添加される。この場合、低分子量のポリアルキレンポリアミンと、(i)脂肪族アミノアルコール、又は(ii)脂肪族ジアミンもしくは脂肪族ポリアミンと脂肪族ジオールもしくは脂肪族ポリオールが出発材料として使用され、水の脱離下に、反応系からの反応水の分離下に、均一系触媒の存在下で反応して、高分子量のポリアルキレンポリアミンが得られる。ここで、ポリアルキレンポリアミンの製造後に反応水のさらなる分離を行ってもよい。好ましい一実施態様において、a)均一系触媒の存在下での、ポリアルキレンポリアミンと、(i)脂肪族アミノアルコール、又は(ii)脂肪族ジアミンもしくは脂肪族ポリアミンと脂肪族ジオールもしくは脂肪族ポリオールとの反応と、b)反応水の分離とからのシーケンスが30回まで繰返して行われ、その際、各ステップ列において、高分子量のポリアルキレンポリアミンの分子量が増大する。ここで好ましくは、脂肪族ジアミン(ii)としてエチレンジアミンが使用される。
【0028】
当然のことながら、分子量のさらなる増成を確実なものとするために、本発明による方法の第一、第二及び第三の好ましい実施態様を組み合わせることができる。好ましくは、分子量のさらなる増成を確実なものとするために、任意に第一の好ましい実施態様を適用した後に、本発明による方法の第二及び第三の好ましい実施態様を、連続して、もしくは交互に、1回以上組み合わせることができる。
【0029】
分子量を増大させるために、本発明による方法の範囲内で、水を反応系から反応の間に連続的に除去することができる。
【0030】
第二の様式の架橋に適した脂肪族アミノアルコールは、少なくとも1つの第一級もしくは第二級アミノ基と、少なくとも1つのOH基を含んでいる。例は、直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノプロパノール、例えば3−アミノプロパン−1−オール又は2−アミノプロパン−1−オール、アミノブタノール、例えば4−アミノブタン−1−オール、2−アミノブタン−1−オール又は3−アミノブタン−1−オール、アミノペンタノール、例えば5−アミノペンタン−1−オール又は1−アミノペンタン−2−オール、アミノジメチルペンタノール、例えば5−アミノ−2,2−ジメチルペンタノール、アミノヘキサノール、例えば2−アミノヘキサン−1−オール又は6−アミノヘキサン−1−オール、アミノヘプタノール、例えば2−アミノヘプタン−1−オール又は7−アミノヘプタン−1−オール、アミノオクタノール、例えば2−アミノオクタン−1−オール又は8−アミノオクタン−1−オール、アミノノナノール、例えば2−アミノノナン−1−オール又は9−アミノノナン−1−オール、アミノデカノール、例えば2−アミノデカン−1−オール又は10−アミノデカン−1−オール、アミノウンデカノール、例えば2−アミノウンデカン−1−オール又は11−アミノウンデカン−1−オール、アミノドデカノール、例えば2−アミノドデカン−1−オール又は12−アミノドデカン−1−オール、アミノトリデカノール、例えば2−アミノトリデカン−1−オール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、アルキルアルカノールアミン、例えばブチルエタノールアミン、プロピルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、メチルエタノールアミンである。
【0031】
第二の様式の架橋に適した脂肪族ジアミンは、少なくとも2つの第一級アミノ基か、又は少なくとも1つの第一級アミノ基と第二級アミノ基か、又は少なくとも2つの第二級アミノ基を含んでおり、好ましくは2つの第一級アミノ基を含んでいる。例は、直鎖、分岐鎖もしくは環状の脂肪族ジアミンである。例は、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、例えば1,4−ブチレンジアミン又は1,2−ブチレンジアミン、ジアミノペンタン、例えば1,5−ジアミノペンタン又は1,2−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、ジアミノヘキサン、例えば1,6−ジアミノヘキサン又は1,2−ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、例えば1,7−ジアミノヘプタン又は1,2−ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、例えば1,8−ジアミノオクタン又は1,2−ジアミノオクタン、ジアミノノナン、例えば1,9−ジアミノノナン又は1,2−ジアミノノナン、ジアミノデカン、例えば1,10−ジアミノデカン又は1,2−ジアミノデカン、ジアミノウンデカン、例えば1,11−ジアミノウンデカン又は1,2−ジアミノウンデカン、ジアミノドデカン、例えば1,12−ジアミノドデカン又は1,2−ジアミノドデカン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、ポリエーテルアミン、ピペラジン、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミンである。
【0032】
適した脂肪族ジオールは、直鎖、分岐鎖もしくは環状の脂肪族ジオールである。
【0033】
第二の様式の架橋に適した脂肪族ジオールは、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、例えば1,4−ブチレングリコール又はブタン−2,3−ジオール、又は1,2−ブチレングリコール、ペンタンジオール、例えばネオペンチルグリコール又は1,5−ペンタンジオール又は1,2−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、例えば1,6−ヘキサンジオール又は1,2−ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、例えば1,7−ヘプタンジオール又は1,2−ヘプタンジオール、オクタンジオール、例えば1,8−オクタンジオール又は1,2−オクタンジオール、ノナンジオール、例えば1,9−ノナンジオール又は1,2−ノナンジオール、デカンジオール、例えば1,10−デカンジオール又は1,2−デカンジオール、ウンデカンジオール、例えば1,11−ウンデカンジオール又は1,2−ウンデカンジオール、ドデカンジオール、例えば1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、トリデカンジオール、例えば1,13−トリデカンジオール又は1,2−トリデカンジオール、テトラデカンジオール、例えば1,14−テトラデカンジオール又は1,2−テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、例えば1,15−ペンタデカンジオール又は1,2−ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、例えば1,16−ヘキサデカンジオール又は1,2−ヘキサデカンジオール、ヘプタデカンジオール、例えば1,17−ヘプタデカンジオール又は1,2−ヘプタデカンジオール、オクタデカンジオール、例えば1,18−オクタデカンジオール又は1,2−オクタデカンジオール、3,4−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ポリTHF、1,4−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエタノールアミン、例えばブチルジエタノールアミン又はメチルジエタノールアミンである。
【0034】
本発明により得られる好ましいポリアルキレンポリアミンは、C
2〜C
50−アルキレン単位、特に好ましくはC
2〜C
20−アルキレン単位を含んでいる。これらは直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。例は、エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,2−ペンチレン及び1,6−ヘキシレン、1,9−ノニレン、1,10−デシレン、1,12−ドデシレン、1,2−オクチレン、1,2−ノニレン、1,2−デシレン、1,2−ウンデシレン、1,2−ドデシレン、1,2−トリデシレン、1,8−オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、ネオペンチレンである。シクロアルキレン単位、例えば1,3−シクロヘキシレンもしくは1,4−シクロヘキシレンも可能である。
【0035】
第二の様式の架橋に特に適した化合物は、脂肪族アミノアルコール、脂肪族ジアミン又は脂肪族ポリアミン又は脂肪族ジオール又は脂肪族ポリオールのうち少なくとも1つが、2〜4個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルキレン基を含んでいるものである。
【0036】
同様に、第二の様式の架橋に特に適した化合物は、脂肪族アミノアルコール、脂肪族ジアミン又は脂肪族ポリアミン又は脂肪族ジオール又は脂肪族ポリオールのうち少なくとも1つが、5個以上、好ましくは7個以上、特に好ましくは9個以上、特に12個以上の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルキレン基を含んでいるものである。
【0037】
同様に、第二の様式の架橋に特に適した化合物は、出発材料である脂肪族アミノアルコール、脂肪族ジアミン又は脂肪族ポリアミン又は脂肪族ジオール又は脂肪族ポリオールのうち少なくとも1つが、5〜50個、好ましくは5〜20個、特に好ましくは6〜18個、極めて特に好ましくは7〜16個、さらに好ましくは8〜14個、さらに好ましくは9〜12個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルキレン基を含んでいるものである。
【0038】
好ましくは、第二の様式の架橋の際に、少なくとも、(i)モノエタノールアミンか、又は(ii)エチレングリコールとエチレンジアミンが選択される。ここでさらに好ましくは、少なくとも、エチレンジアミンもしくは1,2−プロピレンジアミンもしくは1,3−プロピレンジアミンと、1,2−デカンジオールもしくは1,2−ドデカンジオールが選択される。
【0039】
第二の様式の架橋のそれぞれの反応において、脂肪族アミノアルコールの混合物、又はアルカンジオールの混合物、又はジアミノアルカンの混合物も使用可能である。生じるポルアルキレンポリアミンは、種々の長さのアルキレン単位を含み得る。
【0040】
1つを上回るOH基か又は1つを上回る第一級もしくは第二級アミノ基を有する多官能性アミノアルコール同士を反応させることもできる。この場合、高分岐鎖の生成物が得られる。多官能性アミノアルコールについての例は、ジエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジイソノナノールアミン、ジイソデカノールアミン、ジイソウンデカノールアミン、ジイソドデカノールアミン、ジイソトリデカノールアミンである。
【0041】
ポリオールか、又はジオールとポリオールとの混合物を、ジアミンと反応させることもできる。ポリアミンか、又はジアミンとポリアミンとの混合物を、ジオールと反応させることもできる。ポリオールか、又はジオールとポリオールとの混合物を、ポリアミンか、又はジアミンとポリアミンとの混合物と反応させることもできる。この場合、高分岐鎖の生成物が得られる。ポリオールについての例は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンである。ポリアミンについての例は、ジエチレントリアミン、トリス(アミノエチル)アミン、トリアジン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルアミン、ジプロピレントリアミン、N,N’−ビス−(3−アミノプロピル)−エチレンジアミンである。
【0042】
特に第二の様式の後架橋の場合、ジオール、ポリオール及びジアミン、ポリアミン中のヒドロキシ基とアミノ基は、好ましくは20:1〜1:20のモル比で、特に好ましくは8:1〜1:8、特に3:1〜1:3の比で使用される。
【0043】
本発明による方法の一実施態様において、反応水の分離は適当な水分離器を使用して行われる。
【0044】
分子量を増大させるための本発明による方法のもう一つの実施態様において、反応水の分離は蒸留により行われ、その際、水は適当な溶剤(共留剤)を添加するか又は添加せずに、反応系から除去される。ここで好ましくは、蒸留は連続的に行われる。一般に、水は蒸留の際に、反応混合物中で最も低い沸点を有する成分である場合があるため、連続的もしくは非連続的に系から除去され得る。さらに、水は、上述の通り、適当な溶剤(共留剤)の添加下に共沸混合物として留去され得る。
【0045】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、反応水の分離は相分離のための装置を用いて行われる。この場合好ましくは、反応の間に連続的に反応混合物の一部が反応器の外へと導かれ、場合により冷却され、相分離のための1つ又は連続した複数の装置へと導かれ、この装置の中で反応水と反応混合物の残分とが分離して、反応水が系から分離される。特に好ましくは、2つの相が別個に相分離のための装置から排出される。ここで極めて特に好ましくは、反応混合物の残分は反応器へと返送される。
【0046】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、水の分離は膜を用いて行われる。
【0047】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、反応水の分離は、適当な吸収材、例えばポリアクリル酸及びその塩、スルホン化ポリスチレン及びその塩、活性炭、モンモリロナイト、ベントナイト並びにゼオライトを用いて行われる。
【0048】
当然のことながら、反応水を除去するための種々の手法を、数回用いたり組み合わせたりすることも可能である。
【0049】
均一系触媒とは、反応の間に反応媒体中に均一に溶解して存在する触媒と解釈される。
【0050】
本発明による方法の範囲内で分子量を増大させるのに用いられる均一系触媒は、一般に周期表の亜族の元素(遷移金属)を少なくとも1つ含んでいる。アルコールのアミノ化は、さらなる溶剤の存在下又は不在下で行われてよい。アルコールのアミノ化は、多相の、好ましくは単相又は二相の液体系において、一般に20〜250℃の温度で実施されてよい。反応系が二相である場合には、上相が、均一に溶解した触媒の大部分を含む非極性溶剤からなり、下相が、極性出発材料、形成されたポリアミン及び水からなることができる。さらに、下相が、水と、均一に溶解した触媒の大部分とからなり、上相が、形成されたポリアミンの大部分と非極性出発材料の大部分とを含む非極性溶剤からなることもできる。
【0051】
本発明による方法の好ましい一実施態様において、モノエタノールアミンを、触媒の存在下で、反応の際に生じる水を、水分離器、水を留去するための装置、相分離のための1つ以上の装置又は吸収材を用いて除去しながら反応させる。
【0052】
本発明による方法のもう1つの好ましい一実施態様において、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン又は1,2−プロピレンジアミンから選択されたジアミンと、エチレングリコール、1,2−デカンジオール又は1,2−ドデカンジオールから選択されたジオールとを、触媒の存在下で、反応の際に生じる水を、水分離器、水を留去するための装置、相分離のための1つ以上の装置又は吸収材を用いて除去しながら反応させる。
【0053】
本発明のもう1つの好ましい実施態様において、低分子量のポリアルキレンポリアミンを触媒の存在下で反応させて高分子量のポリアルキレンポリアミンが得られ、その際、上記の通り、先行する工程において、モノエタノールアミンから、又は、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン又は1,2−プロピレンジアミンと、エチレングリコール、1,2−デカンジオール又は1,2−ドデカンジオールとの反応により低分子量のポリアルキレンポリアミンを製造しておき、さらに反応水を分離しておく。
【0054】
ポリアルキレンポリアミン中のアルキレン単位の数は、一般に3〜50000の範囲内である。
【0055】
そのようにして得られたポリアルキレンポリアミンは、鎖末端での末端基として、NH
2基のみならずOH基をも有し得る。
【0056】
【化1】
【0057】
ここで、好ましくは、
Rは、互いに無関係に同じか又は異なって、H、C
1〜C
50−アルキルを表し、
l、mは、互いに無関係に同じか又は異なって、1〜50、好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜20の範囲からの整数を表し、
n、kは、互いに無関係に同じか又は異なって、0〜50、好ましくは0〜30、特に好ましくは0〜20の範囲からの整数を表し、
iは、3〜50000の範囲からの整数を表す。
【0058】
得られたポリアルキレンポリアミンの数平均分子量Mnは、一般に200〜2,000,000、好ましくは400〜750,000、特に好ましくは400〜100,000である。分子量分布Mw/Mnは、一般に1.2〜20、好ましくは1.5〜7.5の範囲内である。(pH4〜5での)カチオン電荷密度は、一般に4〜22meq/g 乾燥物質の範囲内であり、好ましくは6〜18meq/gの範囲内である。
【0059】
本発明による方法により得られたポリアルキレンポリアミンは、直鎖形の場合もあり、分岐鎖ないし多重分岐鎖形の場合もあり、また環状の構造単位を有する場合もある。
【0060】
【化2】
【0061】
ここで、構造単位(直鎖、分岐鎖ないし環状)の分布はランダムである。そのようにして得られたポリアルキレンポリアミンは、エチレンイミンから製造されたポリエチレンイミンと、OH末端基が存在している点や、場合によりアルキレン基が異なるという点で相違している。
【0062】
触媒は、好ましくは周期表の亜族の種々の金属を1つ以上含む遷移金属錯体触媒であり、好ましくは周期表の第8族、第9族及び第10族の元素を少なくとも1つ含み、特に好ましくはルテニウム又はイリジウム含む遷移金属錯体触媒である。上記の亜族金属は、錯化合物の形で存在している。多数の種々の配位子が考えられる。
【0063】
遷移金属錯化合物中に存在する適した配位子は、例えばアルキルもしくはアリールで置換されたホスフィン、アリーレン基もしくはアルキレン基で架橋されている、アルキルもしくはアリールで置換された多座ホスフィン、含窒素複素環式カルベン、シクロペンタジエニル及びペンタメチルシクロペンタジエニル、アリール、オレフィン配位子、水素化物、ハロゲン化物、カルボキシラート、アルコキシラート、カルボニル、水酸化物、トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、含窒素芳香族化合物、例えばピリジン、又はピロリジン、並びに多座アミンである。有機金属錯体は、上記の種々の配位子を1つ以上含むことができる。
【0064】
好ましい配位子は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有する、非分岐鎖もしくは分岐鎖の、非環状もしくは環状の脂肪族基、芳香族基又は芳香脂肪族基を少なくとも1つ有する、(単座)ホスフィン又は(多座)ポリホスフィン、例えばジホスフィンである。分岐鎖の脂環式基及び芳香脂肪族基についての例は、−CH
2−C
6H
11及び−CH
2−C
6H
5である。適した基として、例えば以下のものが挙げられる:メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、1−(2−メチル)プロピル、2−(2−メチル)プロピル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、1−(2−メチル)−ペンチル、1−(2−エチル)−ヘキシル、1−(2−プロピルヘプチル)、アダマンチル及びノルボルニル、フェニル、トリル及びキシリル、並びに1−フェニルピロール、1−(2−メトキシフェニル)−ピロール、1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾール及び1−フェニルインドール。ホスフィン基は、上記の、非分岐鎖もしくは分岐鎖の、非環状もしくは環状の脂肪族基、芳香族基又は芳香脂肪族基を1つ、2つ又は3つ含むことができる。これらの基は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0065】
好ましくは、均一系触媒は、1〜12個の炭素原子を有する非分岐鎖の、非環状もしくは環状の脂肪族基か、又は芳香脂肪族基か、又は基としてのアダマンチルもしくは1−フェニルピロールを含む、単座もしくは多座のホスフィン配位子を含んでいる。
【0066】
上記の、非分岐鎖もしくは分岐鎖の、非環状もしくは環状の脂肪族基、芳香族基又は芳香脂肪族基において、個々の炭素原子はさらなるホスフィン基により置換されていてもよい。従って、ホスフィン基がアルキレン基もしくはアリーレン基で架橋されている、多座の、例えば二座もしくは三座のホスフィン配位子も含まれる。好ましくは、ホスフィン基は、1,2−フェニレン架橋、メチレン架橋、1,2−エチレン架橋、1,2−ジメチル−1,2−エチレン架橋、1,3−プロピレン架橋、1,4−ブチレン架橋及び1,5−プロピレン架橋で架橋されている。
【0067】
特に適した単座ホスフィン配位子は、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリメチルホスフィン及びトリエチルホスフィン、並びにジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、ジ(1−アダマンチル)ベンジルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−(2,4,6−トリメチル−フェニル)−1H−イミダゾール、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニルインドール、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニルインドール、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール及び2−(ジ−tert−ブチル−ホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロールである。極めて特に好ましいものは、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリメチルホスフィン及びトリエチルホスフィン、並びにジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール及び2−(ジ−tert−ブチル−ホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロールである。
【0068】
特に適した多座ホスフィン配位子は、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ジメチル−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1,1−トリス(ジフェニル−ホスフィノメチル)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスファニル)フェロセン及び4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンである。
【0069】
さらに、特に下記の通り、反応後に極性溶剤が添加される場合には、好ましくは、含窒素複素環式カルベンが特に適した配位子として挙げられる。ここで、Ruと水溶性錯体を形成する配位子が極めて好ましい。特に好ましいものは、1−ブチル−3−メチルイミダゾリン−2−イリデン、1−エチル−3−メチルイミダゾリン−2−イリデン、1−メチルイミダゾリン−2−イリデン及びジプロピルイミダゾリン−2−イリデンである。
【0070】
特に適した配位子として、シクロペンタジエニル、並びに、そのアルキル、アリール及び/又はヒドロキシで1〜5回置換された誘導体、例えばメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラフェニルヒドロキシシクロペンタジエニル及びペンタフェニルシクロペンタジエニルも挙げられる。さらに、特に適した配位子は、インデニル、及びその、シクロペンタジエニルについて記載したのと同様に置換された誘導体である。
【0071】
同様に特に適した配位子は、水酸化物、塩化物、水素化物及びカルボニルである。
【0072】
遷移金属錯体触媒は、当然のことながら、上記の複数の同じか又は異なる配位子を含むことができる。
【0073】
均一系触媒は、直接その活性形で使用することもできるし、通常の標準錯体、例えば[Ru(p−シメン)Cl
2]
2、[Ru(ベンゼン)Cl
2]
n、[Ru(CO)
2Cl
2]
n、[Ru(CO)
3Cl
2]
2、[Ru(COD)(アリル)]、[RuCl
3・H
2O]、[Ru(アセチルアセトナート)
3]、[Ru(DMSO)
4Cl
2]、[Ru(PPh
3)
3(CO)(H)Cl]、[Ru(PPh
3)
3(CO)Cl
2]、[Ru(PPh
3)
3(CO)(H)
2]、[Ru(PPh
3)
3Cl
2]、[Ru(シクロペンタジエニル)(PPh
3)
2Cl]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2Cl]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2]
2、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2Cl]、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2]
2、[Ru(インデニル)(CO)
2Cl]、[Ru(インデニル)(CO)
2H]、[Ru(インデニル)(CO)
2]
2、ルテノセン、[Ru(binap)Cl
2]、[Ru(ビピリジン)
2Cl
2・2H
2O]、[Ru(COD)Cl
2]
2、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(COD)Cl]、[Ru
3(CO)
12]、[Ru(テトラフェニルヒドロキシ−シクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(PMe
3)
4(H)
2]、[Ru(PEt
3)
4(H)
2]、[Ru(P
nPr
3)
4(H)
2]、[Ru(P
nBu
3)
4(H)
2]、[Ru(P
nオクチル
3)
4(H)
2]、[IrCl
3・H
2O]、KIrCl
4、K
3IrCl
6、[Ir(COD)Cl]
2、[Ir(シクロオクテン)
2Cl]
2、[Ir(エテン)
2Cl]
2、[Ir(シクロペンタジエニル)Cl
2]
2、[Ir(ペンタメチルシクロペンタジエニル)Cl
2]
2、[Ir(シクロペンタジエニル)(CO)
2]、[Ir(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2]、[Ir(PPh
3)
2(CO)(H)]、[Ir(PPh
3)
2(CO)(Cl)]、[Ir(PPh
3)
3(Cl)]から出発して、相応する配位子、好ましくは上記の単座もしくは多座のホスフィン配位子、又は上記の含窒素複素環式カルベンの添加下に、反応条件下で初めて生成させることもできる。
【0074】
触媒の金属成分、好ましくはルテニウム又はイリジウムの量は、その都度液体の反応混合物全体に対して、一般に0.1〜5000質量ppmである。
【0075】
本発明による方法は、溶剤中でも溶剤なしでも実施可能である。当然のことながら、本発明による方法は溶剤混合物中でも実施可能である。
【0076】
本発明による方法が溶剤中で実施される場合には、溶剤の量はしばしば、ポリアルキレンポリアミンが溶剤中にちょうど溶解するように選択される。一般に、溶剤の量対ポリアルキレンポリアミンの量の質量比は、100:1〜0.1:1、好ましくは10:1〜0.1:1である。
【0077】
反応(ポリアルキレンポリアミンの合成)の間の反応水の分離は、反応が溶剤を用いて実施される場合にも、反応が溶剤なしで実施される場合にも、すでに記載した手法によって、例えば水分離器を用いて、相分離のための装置を用いて、蒸留のための装置を用いて、又は適当な吸収材を用いて行われてよい。
【0078】
第一又は第二の様式の後架橋の間の反応水の分離は、反応が溶剤を用いて実施される場合にも、反応が溶剤なしで実施される場合にも、同様に、すでに記載した手法によって、例えば水分離器を用いて、相分離のための装置を用いて、蒸留のための装置を用いて、又は適当な吸収材を用いて行われてよい。
【0079】
反応又は後架橋が溶剤なしで実施される場合、この反応又は後架橋の後に、一般に、生成物と触媒とを含む1つの相が生じている。反応又は後架橋が溶剤を用いて実施される場合、この溶剤は一般に、水を同時に反応系から留去する際に、水よりも高い沸点を有している。適した溶剤は、例えばトルエン又はメシチレンである。反応の間に溶剤が使用され、かつ水を分離するために相分離のための1つ以上の装置が使用される場合には、溶剤の沸点は水の沸点を下回っていても上回っていてもよい。
【0080】
ポリアルキレンポリアミンの第一又は第二の様式の後架橋は、溶剤を用いて行われてもよいし、溶剤なしで行われてもよい。反応が溶剤なしで行われる場合、均一系触媒は反応後に通常は生成物中に溶解している。
【0081】
触媒が生成物中に存在している場合、これは生成物中に残留してもよいし、これを適当な方法により生成物から分離してもよい。触媒分離のための方法は、例えば生成物と混和しないが、配位子の適当な選択によって触媒が生成物中よりも良好に溶解するような溶剤での洗浄である。場合により、触媒は数段の抽出により生成物から減損される。抽出剤として、好ましくは、濃縮後に、抽出された触媒と一緒に反応に再び使用することができる、目的反応にも適した溶剤が使用される。生成物が親水性である場合には、非極性溶剤、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン及びオクタン、並びに非環状もしくは環状のエーテル、例えばジエチルエーテル及びテトラヒドロフランが適している。3つを上回るC原子を有しておりOH基が第三級炭素原子に結合しているアルコール、例えばtert−アミルアルコールも適している。生成物が親油性である場合には、極性溶剤、例えばアセトニトリル、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、ホルムアミド、例えばジメチルホルムアミド、イオン性液体、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホナートが適している。適した吸収材を用いた触媒の除去も可能である。
【0082】
反応が水ないしイオン性液体と混和しない溶剤中で実施される場合、後架橋又は反応の間に水を連続的に分離した後に、生成物相への水又はイオン性液体の添加によって、親水性生成物から触媒を分離することもできる。この場合、触媒が、好ましくは、反応に使用される溶剤に溶解する場合には、この触媒を溶剤と一緒に親水性生成物相から分離して、場合により再び使用することができる。このことは、適した配位子の選択により生じ得る。生じる水性ポリアルキレンポリアミンは、工業用ポリアルキレンポリアミン溶液として直接使用可能である。反応が非極性溶剤と混和しない溶剤、例えばイオン性液体中で実施される場合、後架橋又は反応の間に水を連続的に分離した後に、生成物相への非極性溶剤の添加によって、親油性生成物から触媒を分離することもできる。この場合、触媒が、好ましくは極性溶剤に溶解する場合には、この触媒を溶剤と一緒に非極性生成物相から分離して、場合により再び使用することができる。このことは、適した配位子の選択により生じ得る。
【0083】
水の連続的な分離が行われる後架橋又は反応が溶剤中で実施される場合、この溶剤は、生成物と混和し、かつ反応後に蒸留により分離できるようなものであってよい。生成物又は出発材料とのミシビリティギャップを有する溶剤も使用可能である。このための適した溶剤として、生成物が親水性である場合には、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン及びオクタン、並びに非環状もしくは環状のエーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサン、又は3つを上回るC原子を有しておりOH基が第三級炭素原子に結合しているアルコールが挙げられる。好ましいものは、トルエン、メシチレン及びテトラヒドロフラン(THF)、並びにtert−アミルアルコールである。生成物が親油性である場合には、極性溶剤、例えばアセトニトリル、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、ホルムアミド、例えばジメチルホルムアミド、イオン性液体、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホナートが適している。配位子の適切な選択により、触媒は好ましくは極性溶剤相に溶解する。
【0084】
溶剤は、反応条件下で出発材料及び生成物と混和し、例えば室温への冷却後に初めて、触媒の大部分を含む第二の液相を形成するようなものであってもよい。このような特性を示す溶剤として、出発材料及び生成物が極性である場合には、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン及びオクタンが挙げられる。出発材料及び生成物が非極性である場合には、例えばイオン性液体がこの特性を示す。その後、触媒を溶剤と一緒に分離して、再び使用することができる。この変法においても、生成物相を水又は他の溶剤と混合することができる。生成物中に含まれる触媒の一部を、引き続き、適した吸収材、例えばポリアクリル酸及びその塩、スルホン化ポリスチレン及びその塩、活性炭、モンモリロナイト、ベントナイト並びにゼオライトにより分離することもできるが、生成物中にそのままにしておいてもよい。
【0085】
二相で反応を進行させる実施態様の場合には、非極性溶剤として、特にトルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン及びオクタンを、遷移金属触媒上の親油性のホスフィン配位子、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ジメチル−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン及び1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン、並びにジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール及び2−(ジ−tert−ブチル−ホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロールと組み合わせたものが適しており、それにより、遷移金属触媒が非極性相中に濃縮される。極性溶剤としては、イオン性液体であるジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドを、遷移金属触媒上の親水性配位子、例えば含窒素複素環式カルベンと組み合わせたものが適しており、それにより、遷移金属触媒が極性相中に濃縮される。このような、生成物と場合により未反応の出発材料とが、これらの化合物が濃縮された第二の相を形成するような実施態様の場合には、触媒の大部分を、単純な相分離により生成物相から分離し、再び使用することができる。
【0086】
揮発性の副生成物、又は未反応の出発材料、またさらには、反応の際に生じるかもしくは反応後により良好な抽出のために添加された水が望ましくない場合には、これらを問題なく生成物から蒸留により分離することができる。
【0087】
本発明による反応は、液相中で一般に20〜250℃の温度で行われる。好ましくは、この温度は少なくとも100℃であり、好ましくは最高で200℃である。反応を、0.1〜25MPa(絶対)の全圧で実施することができるが、この圧力は、反応温度での溶剤の固有圧であってもよいし、例えば窒素、アルゴン又は水素といったガスの圧力であってもよい。平均反応時間は、一般に15分〜100時間である。
【0088】
塩基の添加は、生成物の形成に有利な影響を及ぼし得る。適した塩基として、ここではアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラート、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩が挙げられ、これらを、使用する金属触媒に対して0.01〜100当量使用することができる。
【0089】
本発明のもう1つの対象は、本発明による方法の上記の実施態様により製造されるポリアルキレンポリアミン、特にポリエチレンイミンである。
【0090】
本発明のもう1つの対象は、ヒドロキシ基、第二級アミン又は第三級アミンを含むポリアルキレンポリアミンである。好ましくは、これらのヒドロキシ基、第二級アミン又は第三級アミンは、アルキレン基の末端炭素原子上に存在しており、従って末端基である。好ましくは、このポリアルキレンポリアミンはヒドロキシ基を含んでいる。
【0091】
例えば、このヒドロキシ基、第二級アミン又は第三級アミンを含むポリアルキレンポリアミンは、本発明による方法を用いて得られる。特に、このポリアルキレンポリアミンは、単段でのモノマーの重合による方法において得られる。
【0092】
好ましくは、ヒドロキシ末端基の数対アミン末端基(第一級、第二級、第三級)の数の比は、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、特に好ましくは2:1〜1:2である。
【0093】
もう1つの好ましい一実施態様において、ヒドロキシ基、第二級アミン又は第三級アミンを含むポリアルキレンポリアミンは、ヒドロキシ末端基のみを有するか、又はアミン末端基(第一級、第二級、第三級)のみを有する。好ましくは、このポリアルキレンポリアミンは、第二の様式の後架橋を用いた本発明による方法により得られる。
【0094】
本発明はさらに、a)印刷インキのための定着剤としての、b)複合フィルムを製造するための助剤(接着性)としての、c)接着剤のための凝集促進剤としての、d)樹脂のための架橋剤/硬化剤としての、e)塗料におけるプライマーとしての、f)分散液塗料のための湿潤密着性促進剤としての、g)錯化剤及び凝集剤としての、h)木材の保護における浸透助剤としての、i)防食剤としての、j)タンパク質及び酵素の固定化剤としての、k)エポキシ樹脂のための硬化剤としての、このポリアルキレンポリアミンの使用にも関する。
【0095】
本発明は、アジリジンを使用せずに、望ましくない結合生成物が生じることなく望ましい鎖長の生成物が得られる、ポリアルキレンポリアミンの分子量を増大させるための方法を提供する。
【0096】
本発明を実施例により詳説するが、この実施例は本発明の対象を限定するものではない。