(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却器は、前記入射面および/または前記出射面の温度よりも高い温度に加熱するよう構成された加熱器を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデバイス。
固定部および可動部を備え、複数の放射ビームをパターンに基づいて選択されたターゲット上の位置に投影するよう構成された投影システムを備えることを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のある実施の形態は、リソグラフィ装置に関連し、これはプログラマブルパターニングデバイスを含んでもよく、当該デバイスは例えば自己放射コントラストデバイスのアレイからなることがある。こうしたリソグラフィ装置に関する更なる情報は国際公開第2010/032224号および米国特許出願公開第2011−0188016号、米国特許出願第61/473636号および米国特許出願第61/524190号を参照してもよく、これらの全体が本明細書に援用される。本発明の実施形態は、しかしながら、例えば上述の文献に含まれる任意の形態のプログラマブルパターニングデバイスとともに用いられてもよい。
【0023】
図1は、リソグラフィまたは露光装置の部分の概略側断面図を概略的に示す。この実施形態においては、装置は、後述するようにXY面で実質的に静止した個別制御可能素子を有するが、そうである必要はない。装置1は、基板を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、を備える。基板は、レジストで被覆された基板であってもよい。ある実施の形態においては、基板はウェーハである。ある実施の形態においては、基板は多角形(例えば矩形)の基板である。ある実施の形態においては、基板はガラスプレートである。ある実施の形態においては、基板はプラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は箔である。ある実施の形態においては、装置は、ロールトゥロール製造に適する。
【0024】
装置1は、複数のビームを発するよう構成されている複数の個別に制御可能な自己放射可能なコントラストデバイス4をさらに備える。ある実施の形態においては、自己放射コントラストデバイス4は、放射エミッタ、例えば放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))、ファイバレーザまたは、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、個別制御可能素子4の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、例えば約365nmまたは約405nmの波長を有するUV放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし250mWの範囲から選択される出力パワー、および随意に少なくとも50mWの出力パワーを提供することができる。ある実施の形態では、デバイス60、これは自己放射コントラストデバイス4を備えてもよい、の出力パワーは、250mWよりも大きい。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、100μmないし800μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、0.5μm
2ないし5μm
2の範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、5度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、それらのダイオードは、合計の明るさを約6.4×10
8W/(m
2・sr)以上にするための構成(例えば、発光領域、発散角、出力パワーなど)を有する。
【0025】
自己放射コントラストデバイス4は、フレーム5に配設されており、Y方向に沿っておよび/またはX方向に沿って延在してもよい。1つのフレーム5が図示されているが、装置は、
図2に示すように複数のフレーム5を有してもよい。フレーム5には更に、レンズ12が配設されている。フレーム5、従って、自己放射コントラストデバイス4およびレンズ12はXY面内で実質的に静止している。フレーム5、自己放射コントラストデバイス4、およびレンズ12は、アクチュエータ7によってZ方向に移動されてもよい。それに代えて又はそれとともに、レンズ12はこの特定のレンズに関係づけられたアクチュエータによってZ方向に移動されてもよい。任意選択として、各レンズ12にアクチュエータが設けられていてもよい。
【0026】
自己放射コントラストデバイス4はビームを発するよう構成されていてもよく、投影系12、14、18はそのビームを例えば基板の目標部分に投影するよう構成されていてもよい。自己放射コントラストデバイス4および投影系が光学コラムを形成する。装置1は、光学コラム又はその一部を基板に対して移動させるためのアクチュエータ(例えばモータ)11を備えてもよい。フレーム8には視野レンズ14および結像レンズ18が配設されており、そのアクチュエータを用いてフレーム8は回転可能であってもよい。視野レンズ14と結像レンズ18との結合が可動光学素子9を形成する。使用時においては、フレーム8は自身の軸10まわりを、例えば
図2に矢印で示す方向に、回転する。フレーム8は、アクチュエータ(例えばモータ)11を使用して軸10まわりに回転させられる。また、フレーム8はモータ7によってZ方向に移動されてもよく、それによって可動光学素子9が基板テーブル2に対し変位させられてもよい。
【0027】
内側にアパーチャを有するアパーチャ構造13がレンズ12の上方でレンズ12と自己放射コントラストデバイス4との間に配置されてもよい。アパーチャ構造13は、レンズ12、それに関連する自己放射コントラストデバイス4、または隣接するレンズ12および自己放射コントラストデバイス4の回折効果を限定することができる。
【0028】
図示される装置は、フレーム8を回転させると同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、使用されてもよい。自己放射コントラストデバイス4は、レンズ12、14、18が互いに実質的に整列されたときこれらのレンズを通じてビームを放つことができる。レンズ14、18を移動させることによって、例えば基板上でのビームの像が基板の一部分を走査する。同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、自己放射コントラストデバイス4の像にさらされる基板17の当該部分も移動する。光学コラム又はその一部の回転を制御し、自己放射コントラストデバイス4の強度を制御し、且つ基板速度を制御するコントローラにより自己放射コントラストデバイス4の「オン」と「オフ」とを高速に切り換える制御をすることによって(例えば、「オフ」であるとき出力がないか、しきい値を下回る出力を有し、「オン」であるときしきい値を上回る出力を有する)、所望のパターンを基板上のレジスト層に結像することができる。
【0029】
図1に示す制御部500は、リソグラフィまたは露光装置の全体的な動作を制御し、特に、さらに以下で説明される最適化プロセスを実行する。制御部500は、中央演算処理装置並びに揮発性および不揮発性格納手段を備えた、適切にプログラムされた汎用コンピュータとして具体化することができる。随意に、制御部500は、キーボードおよびスクリーンなどの1つ以上の入出力装置、1つ以上のネットワーク接続および/またはリソグラフィまたは露光装置の各種部分に対する1つ以上のインタフェースを含む。当然のことながら、制御部とリソグラフィまたは露光装置間の一対一の関係は必須ではない。本発明のある実施形態では、1つの制御部が複数のリソグラフィまたは露光装置を制御することができる。本発明のある実施形態では、1つのリソグラフィまたは露光装置を制御するために複数のネットワーク・コンピュータを用いることができる。また、制御部500は、リソグラフィまたは露光装置が一部を形成するリソセルまたはクラスターにおける、1つ以上の関連する処理装置および基板ハンドリング装置を制御するよう構成されてもよい。また、制御部500は、リソセルまたはクラスターの監視制御システムおよび/または製造工場の統括制御システムに従属するよう構成できる。
【0030】
図2は、自己放射コントラストデバイス4を有する
図1の装置の概略上面図である。
図1に示す装置1と同様に、リソグラフィ装置1は、基板17を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、自己放射コントラストデバイス4と基板17とのアライメントを決定し、自己放射コントラストデバイス4の投影に対して基板17が水平か否かを決定するためのアライメント/レベルセンサ19と、を備える。図示されるように基板17は矩形形状を有するが、追加的に又は代替的に円形の基板が処理されてもよい。
【0031】
自己放射コントラストデバイス4はフレーム15に配設されている。自己放射コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード、例えばレーザダイオード、例えば青紫レーザダイオードであってもよい。
図2に示されるように、自己放射コントラストデバイス4はXY面内に延在するアレイ21に配列されていてもよい。
【0032】
アレイ21は細長い線であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自己放射コントラストデバイス4の一次元配列であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自己放射コントラストデバイス4の二次元配列であってもよい。
【0033】
回転フレーム8が設けられていてもよく、これは、矢印で図示される方向に回転してもよい。回転フレームには、各自己放射コントラストデバイス4の像を与えるためのレンズ14、18(
図1参照)が設けられていてもよい。本装置には、フレーム8およびレンズ14、18を備える光学コラムを基板に対して回転させるためのアクチュエータが設けられていてもよい。
【0034】
図3は、周辺部にレンズ14、18が設けられている回転フレーム8を高度に概略的に示す斜視図である。複数のビーム、本実施例では10本のビームが、それらレンズの一方へと入射し、基板テーブル2により保持された例えば基板17のある目標部分に投影されている。ある実施の形態においては、複数のビームは直線に配列されている。回転可能フレームは、アクチュエータ(図示せず)によって軸10まわりに回転可能である。回転可能フレーム8の回転の結果として、それらビームは、一連のレンズ14、18(視野レンズ14および結像レンズ18)に入射する。一連のレンズの各々に入射してビームは偏向され、それによりビームは基板17の表面の一部分に沿って動く。詳しくは
図4を参照して後述する。ある実施の形態においては、各ビームが対応する源によって、すなわち自己放射コントラストデバイス、例えばレーザダイオードによって、生成される(
図3には図示せず)。
図3に示される構成においては、ビーム同士の距離を小さくするために、それらビームはともに、あるセグメントミラー30によって偏向されかつ運ばれる。それによって、後述するように、より多数のビームを同一のレンズを通じて投影し、要求解像度を実現することができる。
【0035】
回転可能フレームが回転すると、ビームが連続する複数のレンズへと入射する。あるレンズがビームに照射されるたびに、レンズ表面上でビームが入射する場所が移動する。レンズ上のビーム入射場所に依存してビームが異なって(例えば、異なる偏向をもって)ターゲットに投影される。従って、(ターゲットに到達する)ビームは後続のレンズが通過するたびに走査移動をすることになる。この原理について
図4を参照して更に説明する。
【0036】
図4は、回転可能フレーム8の一部を高度に概略的に示す上面図である。第1ビームセットをB1と表記する。第2ビームセットをB2と表記する。第3ビームセットをB3と表記する。ビームセットのそれぞれが、回転可能フレーム8の対応するレンズセット14、18を通じて投影される。回転可能フレーム8が回転すると、ビームB1が基板17に投影され、走査移動によって領域A14を走査する。同様に、ビームB2は領域A24を走査し、ビームB3は領域A34を走査する。対応するアクチュエータによる回転可能フレーム8の回転と同時に、基板17および基板テーブルが方向Dに移動される。方向Dは、
図2に示すX軸に沿う方向であってもよい。ほうこうDは、領域A14、A24、A34におけるビームの走査方向に実質的に垂直であってもよい。
【0037】
方向Dの第2のアクチュエータによる移動(例えば、対応する基板テーブルモータによる基板テーブルの移動)の結果、回転可能フレーム8の一連のレンズによって投影されるとき連続する複数回のビーム走査が互いに実質的に隣接するよう投影される。これにより、ビームB1の連続的な走査のたびに、実質的に隣接する領域A11、A12、A13、A14が生じる(
図4に示すように、領域A11、A12、A13は以前に走査され、領域A14は今回走査されている)。領域A21、A22、A23、A24がビームB2に対して生じる(
図4に示すように、領域A21、A22、A23は以前に走査され、領域A24は今回走査されている)。領域A31、A32、A33、A34がビームB3に対して生じる(
図4に示すように、領域A31、A32、A33は以前に走査され、領域A34は今回走査されている)。このようにして、基板表面の領域A1、A2、A3が、回転可能フレーム8を回転させる間に基板を方向Dに移動させることにより、覆われてもよい。
【0038】
多数のビームを同一のレンズを通じて投影することにより、(回転可能フレーム8をある同一の回転速度とすると)より短い時間で基板全体を処理することができる。これは、レンズ通過のたびに各レンズにより基板17を複数のビームが走査するからである。これにより、連続する複数回の走査に際して方向Dの変位量を大きくすることができる。見方を変えると、多数のビームを同一のレンズを通じて基板に投影するとき、ある所与の処理時間における回転可能フレームの回転速度を小さくしてもよいということである。これにより、回転可能フレームの変形、摩耗、振動、乱流などといった高回転速度による影響が軽減されうる。
【0039】
ある実施の形態においては、
図4に示すように、複数のビームは、レンズ14、18の回転の接線に対してある角度をなして配列されている。ある実施の形態においては、複数のビームは、各ビームが重なるか、又は各ビームが隣接ビームの走査経路に隣接するように配列されている。
【0040】
多数のビームを一度に同一レンズにより投影する態様の更なる効果は、公差の緩和に見ることができる。レンズの公差(位置決め、光学投影など)があるために、連続する領域A11、A12、A13、A14(および/または領域A21、A22、A23、A24および/またはA31、A32、A33、A34)の位置には、互いの位置決めにいくらかの不正確さが現れ得る。したがって、連続する領域A11、A12、A13、A14間にいくらかの重なりが必要とされるかもしれない。1本のビームの例えば10%を重なりとする場合、同一レンズに一度にビームが一つであると、同様に10%の係数で処理速度が遅くなるであろう。一方、同一レンズを通じて一度に5本又はそれより多数のビームが投影される状況においては、(上記同様1本のビームについて)同じ10%の重なりが5本又はそれより多数の投影線ごとにあるとすると、重なりの総計は概ね5(又はそれより多数)分の1である2%(又はそれ未満)へと小さくなるであろう。これは、全体的な処理速度を顕著に小さくする効果をもつ。同様に、少なくとも10本のビームを投影することにより、重なりの総計をおよそ10分の1に小さくしうる。したがって、多数のビームを同時に同一レンズにより投影するという特徴によって、基板の処理時間に生じる公差の影響を小さくしうる。それに加えて又はそれに代えて、より大きな重なり(従って、より大きな公差幅)が許容されてもよい。一度に同一レンズにより多数のビームを投影するのであれば、重なりが処理に与える影響が小さいからである。
【0041】
多数のビームを同一レンズを通じて同時に投影することに代えて又はそれとともに、インタレース技術を使用することができるかもしれない。しかしながらそのためには、より厳格にレンズ同士を整合させることが必要になるかもしれない。従って、それらレンズのうちある同一レンズを通じて一度に基板に投影される少なくとも2つのビームは相互間隔を有し、装置は、その間隔の中に後続のビーム投影がなされるように光学コラムに対して基板を移動させるよう第2アクチュエータを動作させるよう構成されていてもよい。
【0042】
1つのグループにおいて連続するビーム同士の方向Dにおける距離を小さくするために(それによって、例えば方向Dに解像度を高くするために)、それらビームは方向Dに対して、互いに斜めに配列されていてもよい。そうした間隔は、各セグメントが複数ビームのうち対応する1つのビームを反射するセグメントミラー30を光路に設けることによって更に縮小されてもよい。それらセグメントは、それらミラーに入射するビーム同士の間隔よりもミラーで反射されたビーム同士の間隔を狭くするよう配設されている。そうした効果は、複数の光ファイバによっても実現しうる。ビームのそれぞれは、複数ファイバのうち対応する1つのファイバに入射する。それらのファイバは、光路に沿ってビーム同士の間隔を狭くするように配設されている。結果として、光ファイバ下流側でのビーム間隔は、光ファイバ上流側でのビーム間隔よりも狭い。
【0043】
また、そうした効果は、複数ビームのうち対応する1つのビームを各々が受光する複数の入力を有する集積光学導波路回路を使用して実現されてもよい。この集積光学導波路回路は、光路に沿って集積光学導波路回路の上流側でのビーム同士の間隔よりも集積光学導波路回路の下流側でのビーム同士の間隔を狭くするよう構成されている。
【0044】
基板に投影される像の焦点を制御するためのシステムが提供されてもよい。上述のある構成において、ある光学コラムの部分又は全体により投影される像の焦点を調整するための構成が提供されてもよい。
【0045】
ある実施形態では、投影システムは、少なくとも1つの放射ビームを基板上に投影する。基板は、物質(例えば金属)の液滴の局所堆積をレーザ誘起物質移動(laser induced material transfer)により生じさせるために、デバイスが形成されるべき基板17の上に物質層から形成される。
【0046】
図5を参照すると、レーザ誘起物質移動の物理的機構が表されている。ある実施形態では、放射ビーム200は、実質的に透明な物質202(例えばガラス)を通って物質202のプラズマブレークダウンより下の強度で集束される。表面熱吸収が、物質202を覆うドナー物質層204(例えば金属膜)から形成された基板上で起こる。熱吸収は、ドナー物質層204を溶融させる。さらに熱は、ドナー物質層204からの、従ってドナー構造(例えばプレート)208からのドナー物質の液滴206の順方向加速をもたらす順方向の誘起圧力勾配を生じさせる。ビーム200をドナープレート208上の適切な位置に向けることにより、ドナー物質パターンを基板17上に堆積することができる。ある実施形態では、ビームはドナー物質層204上に集束される。
【0047】
ある実施形態では、1つまたは複数の短パルスがドナー物質の移動を生じさせるために用いられる。ある実施形態では、パルスは、擬似的な一次元の順方向の熱および溶融物質の物質移動を得るために、数ピコ秒またはフェムト秒の長さであってよい。このような短パルスは、物質層204中において側方の熱流動をほとんど又は全く促進せず、従ってドナー構造208への熱付加はほとんど又は全くない。短パルスは、急速な溶融と、物質の順方向の加速を可能とする(例えば、金属などの蒸発物質は、その順方向性を失って飛び散った堆積をもたらすであろう)。短パルスにより、物質の加熱を加熱温度の僅かに上であるが蒸発温度より下とすることができる。例えば、アルミニウムに関しては、摂氏約900から1000度が望ましい。
【0048】
ある実施形態では、レーザパルスの使用によって、ドナー構造208から基板17に100〜1000nmの液滴の形で物質量(例えば金属)が移動する。ある実施形態では、ドナー物質は、基本的に金属を含むまたは金属から成る。ある実施形態では、物質はアルミニウムである。ある実施形態では、物質層204は膜状である。ある実施形態では、膜は別の物体又は層に付着している。上述したように、物体又は層はガラスであってよい。
【0049】
図1は、本発明のある実施形態を示す。リソグラフィまたは露光装置1は、固定部および可動部を含む投影システム50を備える。投影システムは、例えば
図1に示すように、レンズ12,14および18を備えてよい。投影システム50は、複数の放射ビームをターゲット上(例えば基板17上)の位置に投影するよう構成される。この位置は、パターンに基づいて選択される。パターンは、基板17上に形成されるべきものである。ある実施形態では、パターンはフォトレジスト材料層に形成される。ある実施形態では、パターンはドナー材料層に形成され、これはその後、デバイスの層に対応するパターンを形成する。
【0050】
図6に示すように、ある実施形態では、自己放射コントラストデバイス4は、導波路61を備えるデバイス60を備える。ある実施形態では、導波路61は、光ファイバを備える。光ファイバおよび物質の連続体(continuous body of material)から形成された他の導波路のライフタイムは限られている。光ファイバまたは他の導波路の端面(すなわち入射面および/または出射面)での結合効率の低下が観察されている。導波路は、限られた期間、良好且つ安定した結合効率で機能し、その後は導波路の出力はほぼリニアな低下をたどることが観察されている。導波路の結合効率は、導波路中に伝わるおよび導波路から送信される放射の比率に関係する。
【0051】
光ファイバのライフタイムを延ばす一つの方法は、光ファイバの一端または両端にエンドキャップを設けることである。周知の光ファイバのエンドキャップの不利点は、光ファイバのおよそ10%に関して、エンドキャップが使用されているとしても望ましくないことに光ファイバが急速に劣化する。さらに、エンドキャップの取付は困難である。これは、エンドキャップとファイバとの間の100%の密着性が求められるからである。密着性が100%未満の場合、これは上記のような劣化をもたらす。
【0052】
物質の連続体から形成された導波路を備えるデバイスのライフタイムを延ばすことが望ましい。上述の装置1には、それぞれが装置に用いられる導波路を備える、ほぼ約10,000程度のデバイスが存在する可能性がある。従って、信頼できるように、90%よりも高い割合のこのようなデバイスのライフタイムを延ばすことが特に望ましい。
【0053】
図6は、本発明の実施形態に係るデバイス60を概略的に示す。ある実施形態では、デバイス60は、物質の連続体から形成された導波路61を備える。物質の連続体は、導波路61を通過する放射に対して透明である。この連続体は、入射面62および出射面63を有する。ある実施形態では、導波路は、光ファイバなどの光導波路である。ある実施形態では、光ファイバは、シングルモード光ファイバである。ある実施形態では、光ファイバは、偏波保持光ファイバである。
【0054】
ある実施形態では、導波路61は、細長い形状を有する。導波路61は、導波路61の軸に対応する長手方向を有してよい。しかしながら、これは必ずしも必要なケースではない。例えば、ある実施形態では、導波路は平面形状を有する。この場合、導波路61は、平面導波路の任意の端部を介して放射を受光するとともに放射を出力する。ある実施形態では、導波路61は中空ではない。導波路61は、実質的に中身が詰まっている。導波路61が細長い形状を有する場合、導波路61の入射面62および出射面63は、導波路61の長手方向端部に位置する。
【0055】
ある実施形態では、デバイス60は、冷却器70を備える。冷却器70は、入射面62および/または出射面63を冷却するよう構成される。
【0056】
デバイス60が使用されているとき、入射面62で受光される放射は、入射面62を加熱する。デバイス60に冷却器70を設けることにより、入射面62および/または出射面63の温度は、そのような冷却器を有していないデバイスに比べて低下する。
【0057】
入射面62および/または出射面63の冷却は、デバイス60のライフタイムを延ばす効果を有する。これは、導波路の結合効率の低下は導波路の端面が変形することに起因するためである。端面の変形は、放射からの熱により少なくとも部分的に生じる。放射は、端面を部分的に溶かしたり、柔らかくしたりし、これが変形となる。
【0058】
当技術分野では、導波路の結合効率の低下は、導波路の端面における汚染物質の蓄積が原因であると以前は考えられていた。従って、この発見は、従来の考えからの逸脱である。電子顕微鏡を用いることにより、道路の端面上の黒点は汚染が原因ではなく、実際には変形した面が原因であることが観察された。この種の表面変形は、レーザ誘起周期表面構造(laser induced periodic surface structures)と称されてもよい。この種の変形は、粒子欠乏環境(particle deprived environments)でさえも光ファイバ中で起こる可能性があり、該環境では光ファイバ端面の重大な汚染は可能性がない。
【0059】
入射面62および/または出射面63の温度を低下させることにより、入射面62および/または出射面63における周期表面構造の発生は、少なくとも速度が落ち、場合によっては防止される。
【0060】
ある実施形態では、冷却器70は、入射面62および/または出射面63を冷却する液体71を備える。導波路61の一端面または両端面は、液体71に漬かっていてよい。熱は、入射面62および/または出射面63から液体71へと移動する。
【0061】
液体71は、入射面62および/または出射面63を冷却する簡単な方法を提供する。しかしながら、入射面62および/または出射面63を冷却するよう構成されているのであれば、その他の種類の冷却器70が用いられてもよい。ある実施形態では、液体71は導波路61の側面と接触していない。
【0062】
ある実施形態では、液体71は、導波路61を通過する放射に対して透明である。放射に対して透明な液体71を設けることにより、液体71を避けながら導波路61が放射を受光および/または出力するのを可能とするための余分なメカニズムが必要とされない。
従って、デバイス60は、簡単な構造を有することができる。
【0063】
液体71は、放射に対して完全に透明である必要はない。液体71は、導波路61が導光する放射の波長に対して少なくとも高いレベルの透明度を有していることが望ましい。少なくとも80%、随意に少なくとも90%の透明度が望ましい。
【0064】
ある実施形態では、液体71は、水から成る。水は、すぐに利用でき、安価であり、非腐食性である。冷却器70の液体71として水を用いることにより、デバイス60を安価且つ安全に製造することができる。しかしながら、他の種類の液体71が冷却器70において好適に用いられてもよい。液体71の種類は、特に限定されない。例えば、液体71は、エタノールであってもよい。液体71は、波長405nmの放射に対して高透過率を有する任意の液体であってよい。
【0065】
ある実施形態では、液体71は、導波路61の屈折率と、デバイス60が放射を放つ媒体の屈折率との間の値の屈折率を有する。ある実施形態では、デバイス60は、例えば放射を空気中に放つよう構成される。ある実施形態では、液体71の屈折率は、1よりも大きい。
【0066】
ある実施形態では、液体71は、導波路61が形成される材料の屈折率よりも小さい屈折率を有する。例えば、導波路61は、約1.5付近の屈折率を有するガラス材料から形成されてもよい。ある実施形態では、液体は、約1から約1.5の範囲内、より望ましくは約1.2から約1.4の範囲内の屈折率を有する。ある実施形態では、液体71は、導波路61が形成される材料の屈折率と同じ屈折率を有する。この利点は、表面変形からの光学的な影響を減らすことである。ある実施形態では、液体71は、導波路61が形成される材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する。
【0067】
ある実施形態では、液体71は、導波路61と外部環境との間の屈折率ステップを低減する。液体71は、中間の屈折率ステップを提供する。これにより、外部媒体(例えば空気または真空)に対する導波路61の結合効率が改善される。加えて、液体71により提供される中間の屈折率ステップは、導波路61から出力される波面の歪みを低減することができる。液体71は、導波路61の端面に形成される可能性がある周期表面構造の悪影響を低減する。さらに、この液体71による屈折率整合は、望ましくない表面構造をもたらす、導波路61の入射面62および/または出射面63における不均一なエネルギー付与に有益な効果がある。屈折率整合は、導波路61の入射面62および/または出射面63における加熱を低減する。ある実施形態では、屈折率コーティングが導波路61の側面に設けられる。
【0068】
ある実施形態では、冷却器70は、キャップ72を備える。キャップ72は、入射面62および/または出射面63において液体71を保持するよう構成される。導波路61は、液体71を介して放射を受光および/または出力する。キャップ72は、液体71を通さない材料から形成される。液体71は、キャップ72の中に含まれる。
【0069】
キャップ72を設けることにより、冷却器70は、導波路61の入射面62および/または出射面63を冷却するための簡単な構造を有することができる。キャップ72の容積容量は特に限定されない。ある実施形態では、キャップの容積容量は、少なくとも50mlおよび随意に少なくとも100mlである。ある実施形態では、キャップ72の容積容量は、約1mlの範囲内である。ある実施形態では、冷却器70は、複数の導波路61により共有されている。例えば、ある実施形態では、複数の光ファイバはそれぞれ同じキャップ72内に端面を有する。キャップ72は、約1mlから約10mlの容積を有してよい。入射面62および/または出射面63からの熱は、キャップ72内の液体71により吸収される。液体71の体積が大きくなるほど、放射の吸収に起因する液体71の平均温度上昇が低くなる。これは、導波路61の入射面62および/または出射面63を冷却するのに役立つ。
【0070】
キャップ72は、導波路61を受け入れるよう構成されたポート73を有する。ある実施形態では、ポート73は、キャップ72と導波路61との間に液密シールを形成するよう構成されたシールを備える。このシールは、導波路61の外面の周りにおいてキャップ72からの液体の損失を少なくとも減らす。
【0071】
キャップ72の形状は、特に限定されない。ある実施形態では、キャップ72は細長い形状を有する。ある実施形態では、キャップ72の平均直径は、導波路61の平均直径よりも大きい。ある実施形態では、キャップ72は長手方向を有する。ある実施形態では、キャップ72の長手方向は、導波路61の長手方向と同じである。
【0072】
ある実施形態では、キャップ72は、ウィンドウ74を備える。導波路61は、液体71およびウィンドウ74を介して放射を受光および/または出力する。ウィンドウ74は、導波路61が導く放射に対して実質的に透明である材料から形成される。ウィンドウ74は、液体71を通さない。
【0073】
ウィンドウ74を設けることにより、液体71を保持するキャップ72を形成する材料の残りの材料は、任意の光学特性を有することができる。これは、キャップ72の要件を緩和する。例えば、ウィンドウ74を除いたキャップ72の残りの部分は、導波路61により導かれる放射に対して不透明にできる。しかしながら、キャップ72は、必ずしもウィンドウ74を必要としない。例えば、キャップ72は、導波路61により導かれる放射に対して透明な材料から形成されてもよい。この場合、追加のウィンドウは必要ない。さらに、ある実施形態では、キャップ72のウィンドウ74は、デバイス60から出力される放射ビームを成形するよう構成される。ある実施形態では、キャップ72のウィンドウ74は、ピンホールまたはレンズの機能を果たすよう構成される。
【0074】
図6に示すように、冷却器70は、導波路61の出射面63を冷却するよう構成されてもよい。
図7は、本発明のある実施形態に係るデバイス60を概略的に示す。この実施形態では、冷却器70は、導波路61の入射面62を冷却するよう構成される。
【0075】
図8は、デバイス60が2つの冷却器70を備える実施形態を示す。冷却器の一つは、入射面62を冷却するよう構成される。もう一つの冷却器70は、出射面63を冷却するよう構成される。
【0076】
ある実施形態では、放射エミッタは、本発明の実施形態に係るデバイス60を備える。ある実施形態では、ファイバレーザは、本発明の実施形態に係るデバイス60を備える。例えば、一つまたは複数の自己放射コントラストデバイス4は、本発明の実施形態に係るデバイス60を備えるファイバレーザを備えてもよい。
【0077】
図6に示すように、ある実施形態では、デバイス60は、放射源65を備える。放射源65は、放射を導波路61に供給するよう構成される。例えば、放射源65は、レーザダイオード、または他のファイバレーザを備えてもよい。レーザダイオードは、半導体レーザダイオードであってもよい。ある実施形態では、デバイス60は、放射源により励起されるファイバレーザの一部を備える。
【0078】
ある実施形態では、放射源65は、導波路61に非偏光放射および/または円偏光放射を供給するよう構成される。ある実施形態では、放射源65は、完全非偏光放射を導波路61に供給するよう構成される。ある実施形態では、放射源65は、完全円偏光放射を導波路61に供給するよう構成される。ある実施形態では、放射源65は、非偏光放射と円偏光放射の混合を導波路61に供給するよう構成される。ある実施形態では、放射源65は、最大で10%、5%または1%の直線偏光放射を含む放射を供給するよう構成される。しかしながら、これは必ずしも必要なことではない。例えば、ある実施形態では、デバイス60の放射源65は、少なくともいくらかの、おおび随意に完全な、直線偏光放射を導波路61に供給するよう構成される。デバイス60は、任意の偏光の放射とともに用いられてよい。冷却器70の効果により、望ましくない表面構造の発生を減らすことができるので、デバイス60のライフタイムを縮めることなく直線偏光放射を用いることができる。
【0079】
ある実施形態では、デバイス60は、少なくとも50mWの出力を有するよう構成される。ある実施形態では、デバイスは、最大でも250mWの出力パワーを有するよう構成される。ある実施形態では、デバイス60は、約405nmの波長を有する放射を誘導するよう構成される。しかしながら、導波路61により導かれる放射の波長は特に限定されない。デバイス60は、たとえば、青色レーザ、青紫レーザまたは紫レーザの一部を備えてもよい。しかしながら、他の放射波長を用いることができる。これは、任意の波長の放射は導波路61の入射面62および/または出射面63を加熱する影響を及ぼす可能性があるからであり、これは、入射面62および/または出射面63の変形を引き起こす可能性がある。従って、任意の波長の放射を誘導するための導波路を備えるデバイスは、本発明の実施形態に従って作られることから恩恵を受ける。
【0080】
ある実施形態では、導波路61は、冷却器70を通って出射面63からガス中に放射を出力するよう構成される。リソグラフィまたは露光装置1で使用されているデバイス60との関連で、デバイス60は、放射を空気中にまたは随意に真空中に出力するよう構成された自己放射コントラストデバイス4の一部を備えてもよい。デバイス60の冷却器70は、導波路61からガスまたは真空への結合効率を増大し、特にしばらくすると、導波路61の結合効率はどんな場合でも安定する。
【0081】
図9は、本発明の実施形態に係るデバイス60の冷却器70を概略的に示す。
図9に示すように、ある実施形態では、冷却器70は、加圧器80を備える。加圧器80は、加圧下で液体71を保持するよう構成される。使用の際、液体71は加圧器80により加圧される。
【0082】
使用中に加圧下で液体71を保持することの利点は、液体71の沸点が効果的に上昇することである。これは、デバイス60の使用中に液体71が沸騰する可能性を低減する。液体71は、使用中に導波路61の入射面62および/または出射面63から熱を吸収する。液体71の冷却効果が減少するため、液体71が沸騰することは望ましくない。特に、液体71の冷却効果は、気泡が冷却されるべき面と接触する場合に減少する。さらに、泡は、レンズとして機能する可能性があり、それは導波路61の端面における結合を低下させる。
【0083】
加圧器80の種類は、特に限定されない。ただ単に一例として、ある実施形態では、加圧器80は冷却器70のキャップ72内にガスポケット81を備えてもよい。ガスポケット81は、空気などのガスで満たされる。ガスポケット81は、少なくとも部分的にフレキシブルな膜により液体から分離されている。加圧器80は、さらに、ガスポケット81中のガスを加圧するよう構成されたコンプレッサ82を備える。ガスポケット81中のガスを加圧することにより、冷却器70中の液体71が加圧され得る。
【0084】
ある実施形態では、冷却器70は、液体71が入射面62および/または出射面63を横切って流れるような循環路を備える。このような循環路は、
図9に矢印で図示されている。矢印は、冷却器70を通り抜ける液体71の移動を表す。入射面62および/または出射面63を横切る液体71の流れを提供することにより、入射面62および/または出射面63と接触する液体71の平均温度は低レベルで維持することができる。これにより、液体71が入射面62および/または出射面63を冷却し続けることが可能となる。いったん液体71が熱を吸収すると、液体は冷却器70のキャップ72から抜け出ることができる。低温度の新たな液体は、キャップ72中に流れ、流れ出る液体71を取り替える。
【0085】
ある実施形態では、冷却器70は、液体供給口75および液体流出口76を備える。液体71は、液体供給口75を介して冷却器70のキャップ72内に流れ込む。液体71は、液体流出口76を通って冷却器70のキャップ72から流れ出る。
【0086】
冷却器70を通り抜ける液体71の流れを提供することの利点は、液体71の流れが入射面62および/または出射面63に存在する汚染物質を取り除くのに役立つことである。例えば、このような汚染物質は、そうでなければ光ピンセット効果(optical tweezer effect)が原因で面62,63に堆積する可能性があり、特に光ファイバの光学コアに汚染物質をもたらす。液体71の流れは、ビーム焦点で生じる堆積を減らす。この流れ(表面に対して垂直であってもよい)は、光ビームの光ピンセット効果が原因で「トラップされた」粒子を、それらが表面に事実上移動するより前に、移動させる。加えて、汚染物質が表面に堆積している場合、液体71の流れは、汚染物質を減らす。従って、液体71の流れは、導波路61の端面上の汚染物質の悪影響を低減するのに役立つ。
【0087】
ある実施形態では、冷却器70は、加熱器77を備える。加熱器77は、入射面62および/または出射面63の温度よりも高い温度に加熱するよう構成される。加熱器77の目的は、冷却器70液体71からガスを抜くことである。このガス抜きは、導波路61の入射面62および/または出射面63における気泡の形成を減らすのに役立つ。これは、冷却器70の有効性を高める。
【0088】
加熱器77の種類は特に限定されない。加熱器77は、発熱体を備える。ある実施形態では、加熱器77は、冷却器70のキャップ72の外面または内面に取り付けられた薄膜ヒータを備える。他の適切な種類の加熱器77が用いられてもよい。
【0089】
加えてまたは代えて、冷却器70内の液体71は、液体を減圧することにより、少なくとも部分的にガス抜きされてもよい。例えば、液体71は、デバイス60内での液体71の使用の前に、液体71を減圧することによりガス抜きされてもよい。この場合、いったんデバイス60が使用されれば、圧力は、例えば液体71の沸点を上昇するために加圧器80を用いて増大されてもよい。
【0090】
ある実施形態では、リソグラフィまたは露光装置1は、本発明の実施形態に係るデバイス60を備える。ある実施形態では、リソグラフィまたは露光装置は、複数の放射ビームを提供するよう構成された、複数のデバイス60を備えるプログラマブル・パターニングデバイスを備える。ある実施形態では、リソグラフィまたは露光装置は、投影システム50を備える。投影システム50は、固定部と可動部を備え、パターンに基づいて選択されたターゲット(例えば基板17)上の位置に複数の放射ビームを投影するよう構成される。
【0091】
ある実施形態では、複数の自己放射コントラストデバイス4を備えるプログラマブル・パターニングデバイスと、固定部および可動部を備える投影システム50とを備えるリソグラフィまたは露光装置1が提供される。ある実施形態では、少なくとも1つの自己放射コントラストデバイス4は、非偏光放射および/または円偏光放射を含む放射ビームを出力するよう構成された導波路61を備える。少なくとも1つの自己放射コントラストデバイス4は、非偏光放射および/または円偏光放射のみを出力するよう構成された導波路61を備える。導波路61は、直線偏光放射を出力しないよう構成される。
【0092】
非偏光放射および/または円偏光放射のみを用いることにより、自己放射コントラストデバイス4のライフタイムを延ばすことができる。導波路61の端面の劣化および変形が減少する。これは、導波路61の導波路61および/または出射面63上に生じる可能性のある周期表面構造が直線偏光の方向に関連して形成されることが観察されているためである。特に、変形のリップルは放射の偏光に対して垂直であることが観察されている。言い換えると、リップルは優先的な方向を有する。円偏光放射または非偏光放射を用いることにより、変形のリップルが関連して形成されるような直線偏光方向は無くなる。これにより、端面の変形が低減される。
【0093】
端面を水に漬けた光ファイバを用いて実験を行った。これらの実験は、光ファイバにより出力される放射ビームの形状が実質的にゆがんでいない又は動的ではなく、比較的安定したままであることを示した。さらに、実験は、光ファイバ端面の浸水の使用が光ファイバと外部媒体との間の結合効率の劣化を長期にわたって低減するのに役立つことを示した。
【0094】
図10は、スラブ型導波路91を備えるデバイス60の実施形態を示す。スラブ型導波路は、平面導波路とも呼ばれる。スラブ型導波路91は、入射面92および出射面93を有する。冷却器70は、スラブ型導波路91の入射面92および/または出射面93を冷却するよう構成される。
【0095】
実施形態では、スラブ型導波路は、異なる誘電率を有する材料の少なくとも3つの層を備える。中間層95は、最上層94と最下層96の間にある。中間層95の誘電率は、最上層94の誘電率および最下層96の誘電率と異なる。少なくとも3つの層94,95,96のそれぞれは、それらの界面に対して実質的に平行な方向に延在している。
【0096】
ある実施形態では、デバイス60は、少なくとも2つの導波路を備える。例えば、
図10に示すように、ある実施形態ではデバイス60はスラブ型導波路91および別の導波路61を備える。ある実施形態では、別の導波路61は光ファイバである。ある実施形態では、別の導波路61からの放射は、スラブ型導波路91により界面において受光される。界面は、スラブ型導波路の入射面92および/または別の導波路61の出射面63に対応する。ある実施形態では、放射は、別の導波路61からスラブ型導波路91の中間層95内に注入される。ある実施形態では、スラブ型導波路91の入射面92は、別の導波路61の出射面63と接触している。ある実施形態では、スラブ型導波路91の入射面92は、導波路61の出射面63から離間している。
【0097】
冷却器70は、別の導波路の入射面62、別の導波路の出射面63、スラブ型導波路91の入射面92、および/またはスラブ型導波路91の出射面93から選択された1つまたは複数の面を冷却するよう構成される。ある実施形態では、導波路61の入射面62、導波路61の出射面63、スラブ型導波路91の入射面92およびスラブ型導波路91の出射面93のそれぞれが冷却器70により冷却される。
【0098】
本発明の実施形態に係るデバイス60は、リソグラフィまたは露光装置において用いることができる。しかしながら、デバイス60は、リソグラフィの他にも多くの応用がある。例えば、このようなデバイス60は、特に405nmのレーザを用いるバイオサイエンスの分野で用いることができる。デバイス60の他の応用領域は、例えば、医療診断、環境モニタリング、マイクロ・プロジェクタおよびディスプレイ、通信およびその他の電子装置などを含む。デバイス60は、高出力の青色レーザまたは紫色レーザを含む応用で特に用いられてよい。
【0099】
デバイス製造方法に従って、ディスプレイ、集積回路または任意の他の品目が、パターンが投影される基板から製造されてよい。
【0100】
本書ではICの製造におけるリソグラフィまたは露光装置の使用を例として説明しているが、本明細書に説明したリソグラフィまたは露光装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、および/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味し得る。
【0101】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学部品、回折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品、またはこれらの組み合わせを含む各種の光学部品のいずれかを指し示してもよい。
【0102】
上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、当業者には明らかなことである。