(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042711
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】トロカーポート位置決定支援装置、トロカーポート位置決定支援プログラムおよびトロカーポート位置決定支援装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20161206BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/03 360G
A61B6/03 360P
A61B1/00 320E
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-275558(P2012-275558)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-117499(P2014-117499A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮本 仁樹
【審査官】
田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−068301(JP,A)
【文献】
特開2011−131020(JP,A)
【文献】
特開平06−030896(JP,A)
【文献】
特開平08−215205(JP,A)
【文献】
特開2010−264232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の撮影により取得されたボリュームデータを記憶するボリュームデータ記憶手段と、
前記ボリュームデータにより表される3次元領域中の点を対象点として設定する対象点設定手段と、
前記設定された対象点を頂点とする立体角度範囲を設定し、該設定された立体角度範囲内に、前記対象点に向かう複数の視線ベクトルを設定する視線設定手段と、
前記設定された複数の視線ベクトルの各々について、該視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記3次元領域を投影することにより、複数の投影画像を生成し、該生成された複数の投影画像を画面に並べて表示する投影画像表示手段と
を備えるトロカーポート位置決定支援装置。
【請求項2】
前記3次元領域中に視野の障害となる領域として予め設定された障害領域を記憶する障害領域記憶手段と、
前記複数の視線ベクトルの各々について、該視線ベクトルが前記障害領域またはその近傍を通るか否かを判定する障害判定手段とを備え、
前記投影画像表示手段が、前記障害領域またはその近傍を通ると判定された視線ベクトルについて生成された投影画像と、前記障害領域またはその近傍を通らないと判定された視線ベクトルについて生成された投影画像を視覚的に区別可能な態様で表示するものであることを特徴とする請求項1記載のトロカーポート位置決定支援装置。
【請求項3】
前記視線設定手段が、前記複数の投影画像が表示された画面において、前記複数の投影画像のうち2以上の一部の投影画像を指定するユーザ操作を検出し、該ユーザ操作により指定された一部の投影画像の視線ベクトルを含む一部の前記立体角度範囲内に、前記一部の投影画像の視線ベクトルとは異なる視線ベクトルを含む前記対象点に向かう複数の視線ベクトルを再設定するものであり、
前記投影画像表示手段が、前記再設定された複数の視線ベクトルの各々について、該視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記3次元領域を投影することにより、複数の投影画像を生成し、該生成された複数の投影画像を画面に並べて表示するものであることを特徴とする請求項1または2記載のトロカーポート位置決定支援装置。
【請求項4】
前記視線設定手段が、前記立体角度範囲内にある、前記対象点を球心とする所定半径の球面の一部領域に複数の基点を設定し、該設定された複数の基点のそれぞれから前記対象点に向かうベクトルを前記複数の視線ベクトルとして設定するものであり、
前記投影画像表示手段が、前記設定された複数の基点のそれぞれを視点とした透過投影により前記複数の投影画像を生成するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のトロカーポート位置決定支援装置。
【請求項5】
前記対象点設定手段が、前記ボリュームデータに基づいて2次元断面画像または擬似3次元画像を生成して画面に表示し、該画面において前記2次元断面画像または擬似3次元画像中の点を指定するユーザ操作を検出し、該ユーザ操作により指定された点に対応する前記3次元領域中の点を前記対象点として設定するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のトロカーポート位置決定支援装置。
【請求項6】
前記視線設定手段が、前記ボリュームデータに基づいて前記対象点を通る少なくとも1つの2次元断面画像を生成して画面に表示し、該画面において前記少なくとも1つの2次元断面画像中に前記対象点を頂点とする角度範囲を指定するユーザ操作を検出し、該ユーザ操作により指定された角度範囲に基づいて前記立体角度範囲を設定するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトロカーポート位置決定支援装置。
【請求項7】
一台または複数台のコンピュータを、
被検体の撮影により取得され所定の記憶装置に記憶されたたボリュームデータ中の点を対象点として設定する対象点設定手段と、
前記設定された対象点を頂点とする立体角度範囲を設定し、該設定された立体角度範囲内に、前記対象点に向かう複数の視線ベクトルを設定する視線設定手段と、
前記設定された複数の視線ベクトルの各々について、該視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記ボリュームデータを投影することにより、複数の投影画像を生成し、該生成された複数の投影画像を画面に並べて表示する投影画像表示手段として機能させるトロカーポート位置決定支援プログラム。
【請求項8】
一台または複数台のコンピュータが、
被検体の撮影により取得され所定の記憶装置に記憶されたたボリュームデータにより表される3次元領域中の点を対象点として設定する対象点設定処理と、
前記設定された対象点を頂点とする立体角度範囲を設定し、該設定された立体角度範囲内に、前記対象点に向かう複数の視線ベクトルを設定する視線設定処理と、
前記設定された複数の視線ベクトルの各々について、該視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記ボリュームデータを投影することにより、複数の投影画像を生成し、該生成された複数の投影画像を画面に並べて表示する投影画像表示処理とを実行するトロカーポート位置決定支援装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロカーポートから術具や内視鏡を挿入して行う内視鏡下手術において、トロカーポートの位置を決定する際に医師を支援するための装置、コンピュータプログラムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野では、患者の体への負担を低減するために、患者の体表にトロカーポートと呼ばれる小さな穴を開け、そこから術具や内視鏡を挿入して、患部や術具の様子を内視鏡画像で観察しながら治療を行う低侵襲手術が広まっている。この低侵襲手術では、視野範囲や術具の到達可動範囲はトロカーポートの位置に大きく依存するため、トロカーポートの位置を適切に設定できるかどうかが手術の成否に関わる重要なポイントとなる。
【0003】
特許文献1には、医者に、トロカーポートの位置を指定させ、その位置のもとで手術シミュレーションを実施し、その手術シミュレーションで、目標部位が内視鏡の視野から外れてしまったり、術具を目標部位に到達させることができないといった問題が生じた場合、医者に、トロカーポートの位置を再度指定させ、その位置のもとで再度手術シミュレーションを実施することを繰返すことにより、実際の手術に採用すべきトロカーポートの位置を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011‐131020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の方法では、手術シミュレーションで上述したような問題が生じないことが確認されるまで、医者にトロカーポートの位置を繰り返し指定させ、その位置のもとで手術シミュレーションを実施することを繰返すこととなるため、トロカーポート位置の決定に長い時間がかかってしまうことがあり、問題となる。
【0006】
、
また、上記特許文献1の方法では、手術シミュレーションで上述したような問題が生じないことが確認された時点で処理を終了し、医者が指定していない他の候補位置については未検討のままトロカーポートの位置が決定されるので、最終的に決定されたトロカーポートの位置は必ずしも最適な位置であるとは言えないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、トロカーポートから術具や内視鏡を挿入して行う内視鏡下手術の術前計画において、医者(ユーザ)が、最適なトロカーポートの位置をより迅速かつ簡単に見つけ決定することができるよう支援するトロカーポート位置決定支援装置、プログラムおよび方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
本発明のトロカーポート位置決定支援装置は、被検体の撮影により取得されたボリュームデータを記憶するボリュームデータ記憶手段と、ボリュームデータにより表される3次元領域中の点を対象点として設定する対象点設定手段と、対象点を頂点とする立体角度範囲を設定し、立体角度範囲内に、対象点に向かう複数の視線ベクトルを設定する視線設定手段と、複数の視線ベクトルの各々について、その視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記3次元領域を投影することにより、複数の投影画像を生成し、画面に並べて表示する投影画像表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のトロカーポート位置決定支援装置は、前記3次元領域中に視野の障害となる領域として予め設定された障害領域を記憶する障害領域記憶手段と、前記複数の視線ベクトルの各々について、その視線ベクトルが障害領域またはその近傍を通るか否かを判定する障害判定手段とをさらに備え、投影画像表示手段が、障害領域またはその近傍を通ると判定された視線ベクトルについて生成された投影画像と、障害領域またはその近傍を通らないと判定された視線ベクトルについて生成された投影画像を視覚的に区別可能な態様で表示するものであってもよい。
【0010】
視線設定手段は、複数の投影画像が表示された画面において、複数の投影画像のうち2以上の一部の投影画像を指定するユーザ操作を検出し、ユーザ操作により指定された一部の投影画像の視線ベクトルを含む一部の前記立体角度範囲内に、その一部の投影画像の視線ベクトルとは異なる視線ベクトルを含む対象点に向かう複数の視線ベクトルを再設定するものであり、投影画像表示手段は、再設定された複数の視線ベクトルの各々について、その視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記3次元領域を投影することにより、複数の投影画像を生成し、画面に並べて表示するものであってもよい。
【0011】
このとき、再設定された複数の視線ベクトルの中に前に設定した視線ベクトルが含まれている場合には、それらの視線ベクトルについての投影画像は、再度生成せず、前に生成したものを援用するようにしてもよい。
【0012】
視線設定手段は、立体角度範囲内にある、対象点を球心とする所定半径の球面の一部領域に複数の基点を設定し、複数の基点のそれぞれから対象点に向かうベクトルを前記複数の視線ベクトルとして設定するものであり、投影画像表示手段は、その設定された複数の基点のそれぞれを視点とした透過投影により前記複数の投影画像を生成するものであってもよい。
【0013】
対象点設定手段は、ボリュームデータに基づいて2次元断面画像または擬似3次元画像を生成して画面に表示し、その画面において2次元断面画像または擬似3次元画像中の点を指定するユーザ操作を検出し、ユーザ操作により指定された点に対応する前記3次元領域中の点を対象点として設定するものであってもよい。
【0014】
視線設定手段が、ボリュームデータに基づいて対象点を通る少なくとも1つの2次元断面画像を生成して画面に表示し、その画面において前記少なくとも1つの2次元断面画像中に対象点を頂点とする角度範囲を指定するユーザ操作を検出し、ユーザ操作により指定された角度範囲に基づいて立体角度範囲を設定するものであってもよい。
【0015】
本発明のトロカーポート位置決定支援プログラムは、一台または複数台のコンピュータに実装され、実行された際に、そのコンピュータを、上述の対象点設定手段、視線設定手段、投影画像表示手段等として機能させることを特徴とする。このプログラムは、複数のプログラムモジュールからなり、上記各手段の処理は、それぞれ、一または複数のプログラムモジュールにより実行される。これらのプログラムモジュール群は、CD−ROM、DVDなどの記録メディアに記録され、またはサーバコンピュータに付属するストレージやネットワークストレージにダウンロード可能な状態で記憶され、ユーザに提供される。
【0016】
本発明のトロカーポート位置決定支援方法は、一台または複数台のコンピュータにより、被検体の撮影により取得され所定の記憶装置に記憶されたボリュームデータにより表される3次元領域中の点を対象点として設定する対象点設定処理と、対象点を頂点とする立体角度範囲を設定し、立体角度範囲内に、対象点に向かう複数の視線ベクトルを設定する視線設定処理と、複数の視線ベクトルの各々について、その視線ベクトルの方向と垂直な投影面にボリュームデータを投影することにより、複数の投影画像を生成し、画面に並べて表示する投影画像表示処理とを行うことで、トロカーポートの位置決定を支援する方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のトロカーポート位置決定支援装置、プログラムおよび方法によれば、被検体の撮影により取得され所定の記憶装置に記憶されたたボリュームデータにより表わされる3次元領域中の点を対象点として設定し、対象点を頂点とする立体角度範囲を設定し、その立体角度範囲内に対象点に向かう複数の視線ベクトルを設定し、それらの視線ベクトルの各々について、視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記3次元領域を投影することにより、複数の投影画像を生成し、画面に並べて表示するようにしたので、特に手術対象部位の位置に対応する前記3次元領域中の点を前記対象点とし、その手術対象部位に対してトロカーポートの設置を想定し得る体表領域をカバーするような前記立体角度範囲を設定することで、トロカーポートの複数の候補位置の各々にトロカーポートが設置された場合に得られる視野範囲の一覧表示を医者に提供できる。これにより、医者は、この一覧表示においてトロカーポートの各候補位置それぞれの視野範囲を網羅的に確認・検討でき、最適なトロカーポートの位置をより迅速かつ簡単に見つけ決定することができる。
【0018】
本発明のトロカーポート位置決定支援装置、プログラムおよび方法において、ボリュームデータにより表される3次元領域中に視野の障害となる領域として予め設定された障害領域を所定の記憶装置に記憶しておき、複数の視線ベクトルの各々について、該視線ベクトルが障害領域またはその近傍を通るか否かを判定し、障害領域またはその近傍を通ると判定された視線ベクトルについて生成された投影画像と、障害領域またはその近傍を通らないと判定された視線ベクトルについて生成された投影画像を視覚的に区別可能な態様で表示するようにした場合には、医者は、視野の中央部が障害領域に遮られ、トロカーポートの位置として明らかに不適切である候補位置とそうでない候補位置とを迅速に把握し、それに基づいて検討対象を絞り込むことができる。これにより、作業効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のトロカーポート位置決定支援装置、プログラムおよび方法において、複数の投影画像が表示された画面において、複数の投影画像のうち2以上の一部の投影画像を指定するユーザ操作を検出し、ユーザ操作により指定された一部の投影画像の視線ベクトルを含む一部の前記立体角度範囲内に、その一部の投影画像の視線ベクトルとは異なる視線ベクトルを含む対象点に向かう複数の視線ベクトルを再設定し、再設定された複数の視線ベクトルの各々について、その視線ベクトルの方向と垂直な投影面に前記3次元領域を投影することにより、複数の投影画像を生成し、画面に並べて表示するようにした場合には、医者は、まず、立体角度範囲の全体において、比較的適切と思われるトロカーポートの候補位置を含む範囲を把握し、続いて、その範囲に絞り込んでより詳細に検討を行うことができ、最適なトロカーポートの位置をより迅速かつ簡単に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態におけるトロカーポート位置決定支援装置の概略構成を示す図
【
図3】角度範囲の設定方法について説明するための図
【
図4】角度範囲の設定方法について説明するための図
【
図5】視線ベクトルの設定方法について説明するための図
【
図6】投影画像が一覧表示された画面の一例を示す図(その1)
【
図7】投影画像が一覧表示された画面の一例を示す図(その2)
【
図8】投影画像の絞込み表示の方法について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明のトロカーポート位置決定支援装置、プログラムおよび方法の実施形態について説明する。以下に示す実施形態において、トロカーポート位置決定支援装置は、コンピュータに、トロカーポート位置決定支援プログラムをインストールしたものである。トロカーポート位置決定支援プログラムは、DVD、CD−ROM等の記録メディアに格納されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。もしくは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータのストレージ、あるいはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて医師が使用するコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0022】
図1は、コンピュータにトロカーポート位置決定支援プログラムをインストールすることにより実現されたトロカーポート位置決定支援装置1の概略構成を示す図である。同図が示すように、トロカーポート位置決定支援装置1は、メモリ2、CPU3およびストレージ4を備えている。また、トロカーポート位置決定支援装置1には、ディスプレイ5と、マウス6等の入力装置が接続されている。
【0023】
ストレージ4(ボリュームデータ記憶手段、障害領域記憶手段)には、被検体の撮影により取得されたボリュームデータが記憶されている。たとえばCT装置、MRI装置等の断層撮影装置が出力するスライスデータを再構成して得たボリュームデータ、3DCT装置やコーンビームCT装置等の3D撮影装置から出力されたボリュームデータ等が記憶されている。
【0024】
また、ストレージ4には、そのボリュームデータ41により表わされる3次元領域中に視野の障害となる領域として予め設定された障害領域を特定する情報が記憶されている。たとえば骨領域、主要血管領域等を特定する情報が記憶されている。このとき、障害領域は、ユーザ入力の、あるいはデフォルトで設定されたキーワード(たとえば「骨」等)に基づいてボリュームデータを解析することにより抽出された領域であってもよいし、ボリュームデータの3次元領域を表す画面においてユーザにより直接指定された領域であってもよい。
【0025】
また、メモリ2には、トロカーポート位置決定支援プログラムが記憶されている。トロカーポート位置決定支援プログラムは、CPU3に実行させる処理として、対象点設定処理、視線設定処理、投影画像表示処理、障害判定処理等を規定している。そして、CPU3がプログラムに従いこれらの処理を実行することで、コンピュータは、対象点設定手段、視線設定手段、投影画像表示手段、障害判定手段等として機能することになる。
【0026】
以下、トロカーポート位置決定支援装置1が行う具体的な処理について説明する。トロカーポート位置決定支援装置1は、選択メニューにおいてトロカーポート位置決定支援機能が選択されたことを検出すると、ストレージ4に記憶されている被検体のボリュームデータ41をメモリ2にロードする。
【0027】
次に、トロカーポート位置決定支援装置1は、ボリュームデータ41により表される3次元領域(以下、「3次元領域D」という)中の1つの点を対象点として設定する対象点設定処理を実行する。対象点は手動または自動で設定することができ、手動設定の場合、ボリュームデータ41に基づいてアキシャル、サジタル、コロナルなどの2次元断面画像またはボリュームレンダリングなどの擬似3次元画像を生成し、ディスプレイ5の画面に表示し、その画面に対するユーザのマウス操作を検出する。そして、カーソル10で指定された2次元断面画像または擬似3次元画像中の点12の位置を取得し、その位置に対応する3次元領域D中の点13を対象点として設定する。
図2は、アキシャルの2次元断面画像22を画面に表示させ、その画面において点12の指定を受け付け、対象点とすべき3次元領域D中の点13の位置を特定する場合を例示する図である。
【0028】
自動設定の場合、トロカーポート位置決定支援装置1は、ボリュームデータ41を解析することにより手術の対象部位となる病変等の特徴的部位を検出し、その特徴的部位の位置を示すボリュームデータ中の点を、対象点として設定する。特徴的部位の検出には、公知のCAD(Computer-aided Diagnosis)システムで採用されている種々の自動検出方法を用いることができる。なお、対象点の設定については、メニュー選択により、手動設定と自動設定を選択的に実行できるようにしてもよい。
【0029】
次に、トロカーポート位置決定支援装置1は、対象点13を頂点とする立体角度範囲を設定し、その立体角度範囲内に、対象点13に向かう複数の視線ベクトルVij(i,jは自然数)を設定する視線設定処理を実行する。この視線設定処理では、まず、ボリュームデータ41に基づいて対象点143通る少なくとも1つの2次元断面画像を生成して画面に表示し、その画面において前記少なくとも1つの2次元断面画像中に対象点13を頂点とする扇形の角度範囲を指定するユーザ操作を検出し、そのユーザ操作により指定された角度範囲に基づいて円錐または角錐状の立体角度範囲を設定する。
【0030】
たとえば、
図3に示すようなアキシャルの2次元断面画像23をディスプレイ5の画面に表示し、その画面において2次元断面画像23中に点14,15を順次指定するユーザのマウス操作を検出し、対象点13を始点とし、点14を通って延びる中央基準線14aから、対象点13を始点とし、点15を通って延びた範囲設定線15aまでの角度範囲、および、中央基準線14aから範囲設定線15aとは反対側の円周方向に同じ角度の広がりを有する角度範囲からなる角度範囲R1を取得する。また、
図4に示すようなサジタルの2次元断面画像24をディスプレイ5の画面に表示し、その画面において2次元断面画像24中に点16,17を順次指定するユーザのマウス操作を検出し、対象点13を始点とし、点16を通って延びる中央基準線16aから、対象点13を始点とし、点17を通って延びた範囲設定線17aまでの角度範囲、および、中央基準線16aから範囲設定線17aとは反対側の円周方向に同じ角度の広がりを有する角度範囲からなる角度範囲R2を取得する。そして、それらの指定された角度範囲R1,R2に基づいて、
図5に示すような、アキシャル断面の円周方向に角度範囲R1を有し、サジタル断面の円周方向に角度範囲R2を有する立体角度範囲Rを設定する。
【0031】
続いて、その設定された立体角度範囲R内に、対象点13に向かう複数の視線ベクトルVij(i,jは自然数)を設定する。たとえば
図5に示すように、立体角度範囲内Rにある、対象点13を球心とする半径rの球面の一部領域35を設定し、その領域35を3行5列で隣り合う15個の分割領域に略等分割し、各分割されてなる領域内に1点ずつの基点Pij(i=1〜3,j=1〜5)を設定し、複数の基点Pijのそれぞれから対象点13に向かう複数の視線ベクトルVijを設定する。これにより、立体角度範囲内Rに、3行5列の略等間隔で隣り合う15個の視線ベクトルVijが設定されることとなる。なお、このとき、半径rの大きさは、ユーザが、任意に設定・修正可能にしてもよい。
【0032】
次いで、トロカーポート位置決定支援装置1は、視線設定処理において設定された複数の視線ベクトルVijの各々について、その視線ベクトルの方向と垂直な投影面に3次元領域Dを投影することにより、複数の投影画像Sij(i=1〜3,j=1〜5)を生成し、画面に並べて表示する投影画像表示処理を実行する。3次元領域Dを投影するときの手法は、透過投影(中心投影)でも、平行投影でもよい。透過投影の場合には、領域35上に設定された複数の基点Pijそれぞれを視点とした投影により複数の投影画像Sijを生成する。また、投影画像を生成する際には、3次元領域Dを解析することにより、対象部位を含む対象臓器領域や周辺の他の主な臓器領域、骨領域等を予め特定し記憶しておき、その情報に基づいて、所望する投影画像の生成に適した不透明度値などの表示パラメータの設定を行うようにするとよい。
【0033】
また、複数の投影画像Sijを画面に表示する際には、それらの投影画像Sijが、画面上において、視線ベクトルVijの位置関係に対応した配置となるようにすることで、医者が、投影画像の一覧表示を参照する際に、注目する投影画像の大体の視線方向を把握しやすくすることができる。
図6は、トロカーポート位置決定支援装置1により複数の投影画像Sijが表示された画面の一例を示す図である。この画面例のでは、複数の投影画像Sijを複数の視線ベクトルVijと同じ3行5列で並べて表示している。
【0034】
また、トロカーポート位置決定支援装置1は、複数の投影画像Sijを画面に表示する際に、ストレージ4に記憶されている障害領域の情報を参照して、複数の視線ベクトルVijの各々について、その視線ベクトルが障害領域またはその近傍、すなわち視野の中央部(画像の中央部に相当)を通るか否かを判定し、障害領域またはその近傍を通ると判定された視線ベクトルについて生成された投影画像と、障害領域またはその近傍を通らないと判定された視線ベクトルについて生成された投影画像を視覚的に区別可能な態様で表示することができる。たとえば
図7に示すように、画面に表示された全ての投影領域Sijのうち障害領域またはその近傍を通ると判定された視線ベクトルについて生成された投影画S15,S25上にのみ×印のマーク42を表示することができる。なお、このような区別表示は、ユーザが、設定にて、実行/非実行を任意に切り替えられるようにしてもよい。
【0035】
また、トロカーポート位置決定支援装置1は、上述の投影画像表示処理により複数の投影画像Sijが表示された画面において、複数の投影画像のうち2以上の一部の投影画像を指定するユーザのマウス操作を検出すると、そのユーザ操作により指定された一部の投影画像の視線ベクトルを含む一部の立体角度範囲内に、それらの一部の投影画像の視線ベクトルとは異なる視線ベクトルを含む複数の視線ベクトルを再設定する視線設定処理と、再設定された複数の視線ベクトルの各々についてまた投影画像を生成し、生成された複数の投影画像を画面に並べて表示する投影画像表示処理とをさらに実行する。
【0036】
たとえば
図8の左図に示すような、15個の投影画像Sijが表示された画面27において、2行3列で隣り合う6個の投影画像S23〜S25、S33〜S35を指定するユーザのマウス操作に応じて、
図8の右図に示すような、その指定された一部の画像範囲に絞って生成し直した複数の投影画像が表示された画面28に表示を切替えることができる。この
図8の例では、画面27において指定された6個の投影画像を含む一部の範囲内の、各隣り合う2つの視線ベクトルの中間位置に新たな視線ベクトルを追加的に設定し、新たに設定された視線ベクトルの各々について投影画像を生成し、そこで生成された投影画像S23a,S24a,S23b,S23ab,・・・と前に生成してある投影画像S23〜S25、S33〜S35とが、画面上において、視線ベクトルの位置関係に対応する配置となるようにしている。
【0037】
以上の構成により、本発明のトロカーポート位置決定支援装置、プログラムおよび方法によれば、医者は、トロカーポートの複数の候補位置の各々にトロカーポートが設置された場合に得られる視野範囲の一覧表示に基づいて、トロカーポートの各候補位置それぞれの視野範囲を網羅的に確認・検討でき、最適なトロカーポートの位置をより迅速かつ簡単に見つけ決定することができる。
【0038】
なお、上記本実施形態では、対象点13を頂点とする立体角度範囲Rを設定する際に、2次元断面画像23中に2つの点(たとえば、
図3中の点14,15)を指定するユーザのマウス操作を受けて、それぞれの点に基づいて中央基準線と広がり角度(
図3ではθ1、
図4ではθ2)とを特定するようにした場合について説明したが、広がり角度については、デフォルトの角度を予め設定しておき、ユーザ操作により中央基準線が与えられた時点で、そのデフォルトの角度により定められる角度範囲を画面に表示し、その画面において、ユーザが、必要に応じて広がり角度をマウス操作により変更可能に構成してもよい。
【0039】
また、上記本実施形態では、3行5列で隣り合う15個の視線ベクトルを設定する場合を例示しているが、視線ベクトルの数や分布はこの実施形態に限られるものではなく、たとえば、画面に同時表示が可能な投影画像の数、立体角度範囲の形状や大きさ等に応じて任意に設定することができる。
【0040】
また、本実施形態において一台のトロカーポート位置決定支援装置により実行される処理は、複数台のコンピュータにより分担して実行してもよい。
【0041】
このように、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 トロカーポート位置決定支援装置
2 メモリ
3 CPU
4 ストレージ
5 ディスプレイ
6 マウス
10 カーソル
13 対象点
35 球面の一部領域
41 ボリュームデータ
42 マーク
R 立体角度範囲
Pij 基点
Sij 投影画像
Vij 視線ベクトル