【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基材上のシリコンオキサイド上に、下記化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメントと、下記化学式2の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含むブロック共重合体の薄膜を形成する段階と、ブロック共重合体の薄膜でソフトセグメントを選択的に除去する段階と、ソフトセグメントが除去されたブロック共重合体薄膜をマスクに、シリコンオキサイドを反応性イオンエッチングしてシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンを形成する段階と、を含むシリコンオキサイドナノパターンの形成方法を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
前記化学式1で、nは5〜600の整数であり、Rは水素またはメチルであり、R’は
【0016】
【化3】
【0017】
であり、Xは−Z−R”であり、Yは炭素数1〜10のアルキレンであり、Zは炭素数6〜20のアリーレンであり、R”は炭素数10〜20の線状または分枝状炭化水素、または炭素数10〜20の線状または分枝状ペルフルオロヒドロカーボン(perfluorohydrocarbon)であり、前記化学式2で、mは30〜1000の整数であり、R
1は水素またはメチルであり、R
2は炭素数1〜20のアルキルである。
【0018】
本発明はまた、基材上に、前記化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメントと、前記化学式2の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含むブロック共重合体の薄膜を形成する段階と、ブロック共重合体の薄膜でソフトセグメントを選択的に除去する段階と、ソフトセグメントが除去されたブロック共重合体薄膜上に、金属を蒸着する段階と、を含むナノドット形態の金属ナノパターンの形成方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、上述した金属ナノパターンの形成方法により形成された金属ナノパターンを含む情報貯蔵用磁気記録媒体を提供する。
【0020】
以下、発明の具体的な実施形態に係るシリコンオキサイドおよび金属ナノパターンの形成方法と、これを用いた次世代情報貯蔵用磁気記録媒体などについて詳細に説明する。
【0021】
発明の一実施形態によれば、基材上のシリコンオキサイド上に、下記化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメントと、下記化学式2の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含むブロック共重合体の薄膜を形成する段階と、ブロック共重合体の薄膜でソフトセグメントを選択的に除去する段階と、ソフトセグメントが除去されたブロック共重合体薄膜をマスクに、シリコンオキサイドを反応性イオンエッチングしてシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンを形成する段階と、を含むシリコンオキサイドナノパターンの形成方法が提供される。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
前記化学式1で、nは5〜600の整数であり、Rは水素またはメチルであり、R’は
【0025】
【化6】
【0026】
であり、Xは−Z−R”であり、Yは炭素数1〜10のアルキレンであり、Zは炭素数6〜20のアリーレンであり、R”は炭素数10〜20の線状または分枝状炭化水素、または炭素数10〜20の線状または分枝状ペルフルオロヒドロカーボン(perfluorohydrocarbon)であり、前記化学式2で、mは30〜1000の整数であり、R
1は水素またはメチルであり、R
2は炭素数1〜20のアルキルである。
【0027】
本発明者らは所定の(メタ)アクリレート系単量体およびアクリルアミド系単量体(後述する化学式3および4の単量体;以下、同一である。)をリビングラジカル重合法と知られたRAFT重合法などを通じて順次重合する方法により新規のブロック共重合体を合成し、その特性を明らかにして韓国特許出願第2012−0027392号として特許出願した。
【0028】
ところで、本発明者らの持続的な実験の結果、このような新規ブロック共重合体の薄膜を用いたブロック共重合体リソグラフィを通じて、シリコンオキサイドのナノドットまたはナノホール形態のパターンを非常に容易に形成できることが確認された。特に、このようなナノドットまたはナノホールパターンの形成において、TEOS(tetraethyl orthosilicate)ゾル−ゲル前駆体の使用、またはPDMSのコーティング工程などの複雑な後続工程を経ることなく、シリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンを非常に容易且つ低い工程単価で形成できることが確認された。
【0029】
例えば、一実施形態によれば、溶媒熟成法または熱処理法などで前記ブロック共重合体の薄膜を形成しながらハードセグメント上でソフトセグメントをシリンダー(cylinder)形態のパターンで自己整列させた後、ソフトセグメントを選択的に除去し、ハードセグメントが残留するブロック共重合体の薄膜をマスクにして下部のシリコンオクサイドをエッチングする非常に単純な方法によりシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンを形成することができるようになる。
【0030】
したがって、一実施形態のナノパターン形成方法は、ナノドットまたはナノホールパターンの形成などが必要な次世代半導体素子を含む電子素子の微細パターン形成工程や、ナノバイオセンサの製造などに適切に適用され得ることが確認された。
【0031】
このように、前記ブロック共重合体を用いて上述した規則的なナノドットまたはナノホールパターンを形成することができるのは、ハードセグメントをなす化学式1のアクリルアミド系重合体ブロックの自己組立挙動と、ソフトセグメントとの微細相分離現象により起因したと見られる。次に、このような技術的原因をより具体的に説明する。
【0032】
前記ハードセグメントをなす重合体ブロック(つまり、化学式1の繰り返し単位)は、後述する所定のアクリルアミド系単量体を重合して得られる。ところで、このようなアクリルアミド系単量体は、自己組立が可能な非極性の脂肪族炭化水素(炭素数10以上)と、π−πオビタールの相互作用を起こすアリーレン基と、分子内または分子間水素結合を惹起し得るアミド基とが導入された化学構造を有するものである。このような脂肪族長鎖炭化水素の自己組立挙動と、アリーレン基のπ−π相互作用と、アミド基の水素結合(intramolecular hydrogen bonding)などを通じて、前記単量体は固体状態で規則的な立体構造を形成することができる。
【0033】
したがって、このような単量体を重合すれば、前記単量体分子がよく配向された状態で重合反応が起こり、これによって、前記高分子鎖内で各単量体分子が規則的に配列され得る。より具体的に、前記重合反応を通じてよく配向された単量体分子が結合して一つの高分子鎖(例えば、一つの高分子ビルディングブロック)を形成することができ、このような高分子ビルディングブロックが集まって規則的に配列された重合体を形成することができる。したがって、このような重合体内における高分子ビルディングブロックの規則的な配列状態によって、前記ハードセグメントの重合体ブロック(つまり、化学式1の繰り返し単位)は重合後に均一な大きさを有する多数の空間を定義する自己組立特性を示すことができる。
【0034】
ところで、前記ブロック共重合体は、前記(メタ)アクリレート系単量体に対する重合でソフトセグメントをなす重合体ブロックを形成した状態で、前記アクリルアミド系単量体を重合させて製造される。したがって、前記アクリルアミド系単量体に対する重合を行えば、前記ハードセグメントおよびこれをなす単量体の自己組立特性により多数の空間が定義され、ソフトセグメント末端にハードセグメントの重合体ブロックが規則的且つ自発的に配列されて上述したブロック共重合体が形成され得る。このようなハードセグメント重合体ブロックの規則的な配列は、結晶性ハードセグメントの自己組立挙動と、無定形ソフトセグメントとの微細相分離現象に起因したと見られる。
【0035】
その結果、前記ブロック共重合体およびこれを溶媒熟成法または熱処理法などで処理した薄膜では、例えば、前記化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメント上に、化学式2の繰り返し単位を含むソフトセグメントがシリンダー形態などで規則的に配列されたナノ構造またはナノパターンが発現され得る。また、前記溶媒熟成法または熱処理法などの処理条件を調節することによって、前記ブロック共重合体およびその薄膜は前記シリンダー形態が四角形(square array)または六角形(hexagonal array)などで規則的に配列されたナノ構造またはナノパターンを有するようになる。このような規則的なナノ構造またはナノパターンの発現は、前記ブロック共重合体の薄膜に対するAFM(atomic force microscopy)またはSEM(scanning electron microscopy)分析などを通じて確認することができる。
【0036】
したがって、このようなナノ構造またはナノパターンなどが発現したブロック共重合体の薄膜において、ソフトセグメントなどを選択的に除去した後、残りのハードセグメントが残留するブロック共重合体の薄膜をマスクに下部のシリコンオキサイドをエッチングする非常に単純な方法により、TEOSゾル−ゲル前駆体の使用、あるいはPDMSのコーティング工程などの複雑な後続工程を経ることなく、シリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンを形成することができる。
【0037】
また、以下でより詳細に説明するが、一実施形態のナノパターン形成方法によれば、ソフトセグメントを除去するための工程条件や処理物質の種類、またはソフトセグメントが除去された薄膜上の金属酸化物などの物質吸着の有無、吸着する物質の種類、濃度または処理時間、またはシリコンオキサイドをパターニングするための反応性イオンエッチング工程などの条件または進行回数などに応じて、得ようとするパターン形態(ナノドット、ナノホールまたはこれらが共に存在する形態)を容易に制御しながらナノパターンを形成できることが確認された。
【0038】
これは以前に知られたブロック共重合体の薄膜を用いたナノ構造体またはナノパターン形成方法では観察されなかった新たな現象であり、化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメントの独特の重合体鎖構造および反応性に起因したと見られる。つまり、前記ソフトセグメントの選択的除去後、ブロック共重合体の薄膜に残っているハードセグメントの重合体鎖が以降の処理またはエッチング条件などにより自体的な独特の反応を行って、例えば、ナノホールパターン形態をナノドットパターン形態などに転換させることができる。これによって、一実施形態のナノパターン形成方法では、シリコンオキサイドのナノパターンを得ようとする形態(ナノドット、ナノホールまたはこれらが共に存在する形態)に容易に制御しながら大面積の基材上にナノホールまたはナノドット形態のナノパターンを適切に形成することができる。
【0039】
一方、以下で上述した発明の一実施形態に係るシリコンオキサイドナノパターンの形成方法についてより具体的に説明する。より具体的に、まず、一実施形態の方法で用いられたブロック共重合体について説明し、これを用いたナノパターン形成方法について各工程段階別に詳細に説明する。
【0040】
一実施形態の方法で用いられるブロック共重合体は、化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメントを含む。このような化学式1の繰り返し単位において、前記Zは炭素数6〜20である任意のアリーレンであり得るが、このようなアリーレンの例としては、オルトフェニレン(ortho−phenylene、
【0041】
【化7】
【0042】
メタフェニレン(meta−phenylene、
【0043】
【化8】
【0044】
パラフェニレン(para−phenylene、
【0045】
【化9】
【0046】
ナフタレン(naphthalene、
【0047】
【化10】
【0048】
アゾベンゼン(azobenzene、
【0049】
【化11】
【0050】
アントラセン(anthracene、
【0051】
【化12】
【0052】
フェナントレン(phenanthrene、
【0053】
【化13】
【0054】
テトラセン(tetracene、
【0055】
【化14】
【0056】
ピレン(pyrene、
【0057】
【化15】
【0058】
またはベンゾピレン(benzopyrene、
【0059】
【化16】
【0060】
などが挙げられる。
【0061】
また、前記R”はZに含まれている芳香族環のオルト、メタまたはパラ位置に置換されている線状または分枝状の脂肪族炭化水素であってもよく、このような炭化水素は炭素数10以上、より具体的に炭素数10〜20の長い鎖長を有することができる。また、前記R”の炭化水素は、フッ素で置換されてもよく、R”は炭素数10〜20の線状または分枝状ペルフルオロヒドロカーボン(perfluorohydrocarbon)であってもよい。
【0062】
前記化学式1の繰り返し単位および後述する化学式4の単量体がこのような長鎖炭化水素およびアリーレンを有することによって、前記ハードセグメントや単量体の自己組立特性などが顕著に示され、その結果、微細相分離現象により結晶性ハードセグメント上に無定形ソフトセグメントが四角形または六角形などで規則的に配列されたシリンダー形態のナノ構造またはナノパターンを形成することができる。
【0063】
そして、前記ハードセグメントは、化学式1に属する繰り返し単位の1種だけを含むこともできるが、化学式1の範疇に属する2種以上の繰り返し単位を含んで、共重合体形態の繰り返し単位を含むこともできる。
【0064】
また、前記一実施形態の方法で用いられるブロック共重合体は、上述したハードセグメントと共にソフトセグメントを含むが、このようなソフトセグメントは、化学式2の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むことができる。このような(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、通常のアクリレート系またはメタクリレート系単量体、例えば、メチルアクリレート(methyl acrylate;MA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate;MMA)、エチルアクリレート(ethyl acrylate;EA)、エチルメタクリレート(ethyl methacrylate;EMA)、n−ブチルアクリレート(n−butyl acrylate;BA)またはn−オクチルアクリレート(n−octyl acrylate;BA)などに由来するものであり得る。また、ソフトセグメントは、単一のアクリレート系またはメタクリレート系単量体に由来する1種の繰り返し単位だけを含むこともできるが、2種以上のアクリレート系またはメタクリレート系単量体に由来する共重合体形態の繰り返し単位、つまり、2種以上の繰り返し単位を含むこともできる。
【0065】
また、前記ブロック共重合体は、約5,000〜200,000の数平均分子量、あるいは約10,000〜100,000の数平均分子量を有することができる。そして、このようなブロック共重合体に含まれているソフトセグメントは、約3,000〜100,000の数平均分子量、あるいは約5,000〜50,000の数平均分子量を有することができる。また、前記ブロック共重合体の中で、ハードセグメントは約40〜90重量%、あるいは約50〜80重量%、あるいは60〜75重量%含まれ、ソフトセグメントは約60〜10重量%、あるいは約50〜20重量%、あるいは40〜25重量%含まれ得る。
【0066】
前記ブロック共重合体がこのような分子量特性および各セグメントの含量範囲を満たすことによって、前記ブロック共重合体を溶媒熟成法または熱処理法などで処理して規則的なナノ構造またはナノパターンが発現したブロック共重合体の薄膜を適切に形成することができる。また、このような薄膜をマスクにシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンなどを効果的に形成することができる。そして、前記ブロック共重合体の分子量および/またはセグメントの含量範囲を調節することによって、最終的に形成されたシリコンオキサイドのナノパターン形態、大きさまたは間隔(ピッチ)などを容易に制御できるようになる。
【0067】
そして、前記ハードセグメントおよびこれを含むブロック共重合体は、約200〜300℃の融点(T
m)、あるいは約220〜280℃の融点を有することができる。また、前記ソフトセグメントは、約40〜130℃のガラス転移温度(T
g)、あるいは約95〜120℃のガラス転移温度を有することができる。前記ハードセグメントおよびソフトセグメントがこのような範囲の融点およびガラス転移温度範囲を有することによって、規則的なナノ構造またはナノパターンが発現したブロック共重合体の薄膜をより好適に形成することができる。
【0068】
一方、上述したブロック共重合体は、ラジカル開始剤およびRAFT試薬の存在下、化学式3の(メタ)アクリレート系単量体を1種以上含む反応物をRAFT重合する段階と、前記重合生成物の存在下、化学式4の単量体を1種以上含む反応物をRAFT重合する段階と、を含む製造方法により製造され得る。
【0069】
【化17】
【0070】
【化18】
【0071】
前記化学式3および4で、R
1、R
2、RおよびR’は、化学式1および2で定義されたとおりである。
【0072】
このように、化学式3の(メタ)アクリレート系単量体をRAFT重合してソフトセグメントをなす重合体ブロックを形成し、その存在下に化学式4のアクリルアミド系単量体をRAFT重合してハードセグメントをなす重合体ブロックを形成することによって、一実施形態の方法で用いられるブロック共重合体が容易に製造され得る。つまり、前記第1のRAFT重合段階を行えば、前記化学式3の単量体が重合されながらその両末端にRAFT試薬が結合された重合体が製造され得る。次に、このような重合体を一種のマクロ開始剤(macroinitiator)として用いて化学式4の単量体に対するRAFT重合を行えば、このような化学式4の単量体が重合されながら前記マクロ開始剤の末端に結合され、その結果、上述したハードセグメントおよびソフトセグメントを含むブロック共重合体が製造され得る。
【0073】
前述したように、前記ブロック共重合体およびこれを含む薄膜は、化学式4の単量体が重合されたハードセグメントの自己組立特性などにより、ハードセグメント上に残りのソフトセグメントがシリンダー形態などで規則的に配列された特性を示すことができる。したがって、このようなブロック共重合体を用いて、前記シリンダー形態が四角形または六角形などで規則的に配列されたブロック共重合体の薄膜を製造し、これを用いて一実施形態のナノパターン形成方法によりシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンなどを形成することができる。
【0074】
上述したブロック共重合体の製造方法を段階別により具体的に説明する。
【0075】
まず、前記製造方法において、前記化学式3の単量体としては、広く知られた任意の(メタ)アクリレート系単量体を用いることができるが、その具体的な例としては、メチルアクリレート(methyl acrylate;MA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate;MMA)、エチルアクリレート(ethyl acrylate;EA)、エチルメタクリレート(ethtyl methacrylate;EMA)、n−ブチルアクリレート(n−butyl acrylate;BA)またはn−オクチルアクリレート(n−octyl acrylate;BA)などが挙げられ、これらの中で選ばれた2種以上の単量体を用いることもできることはもちろんである。
【0076】
また、前記化学式4の単量体としては、化学式4の構造を充足する任意の単量体を用いることができるが、その具体的な例としては、パラドデシルフェニルアクリルアミド[N−(p−dodecyl)phenyl acrylamide、DOPAM]、パラテトラデシルフェニルアクリルアミド[N−(p−tetradecyl)phenyl acrylamide、TEPAM]、パラヘキサデシルフェニルアクリルアミド[N−(p−hexadecyl)phenyl acrylamide、HEPAM)、パラドデシルナフチルアクリルアミド[N−(p−dodecyl)naphthyl acrylamide、DONAM]、パラテトラデシルナフチルアクリルアミド[N−(p−tetradecyl)naphthyl acrylamide、TENAM]、パラヘキサデシルナフチルアクリルアミド[N−(p−hexadecyl)naphthyl acrylamide、HENAM)、パラドデシルアゾベンゼニルアクリルアミド[N−(p−dodecyl)azobenzenyl acrylamide、DOAZAM]、パラテトラデシルアゾベンゼニルアクリルアミド[N−(p−tetradecyl)azobenzenyl acrylamide、TEAZAM]、パラヘキサデシルアゾベンゼニルアクリルアミド[N−(p−hexadecyl)azobenzenyl acrylamide、HEAZAM]、またはN−[4−(3−(5−(4−ドデシル−フェニルカルバモイル)ペンチル−カルバモイル)−プロピル)フェニルアクリルアミド{N−[4−(3−(5−(4−dodecyl−phenylcarbamoyl)pentyl−carbamoyl)−propyl)phenyl acrylamide、DOPPPAM)などが挙げられ、これらの中で選ばれた2種以上の単量体を用いることもできる。
【0077】
このような単量体としては、本発明者らの韓国特許出願第2011−0087290号(韓国特許登録第1163659号)に記載されたものを用いることができる。このような単量体を用いてハードセグメントおよびブロック共重合体を形成することによって、単量体分子がより規則的に配列され、よく配向された単量体分子が結合された重合体鎖を形成することができる。その結果、前記化学式4の単量体から製造されたハードセグメント上により規則的な空いた空間が形成され、その空間内にソフトセグメントが規則的に配列されて、より良好且つ規則的なナノ構造およびナノパターンが発現したブロック共重合体と、その薄膜が製造され得る。
【0078】
前記化学式4の単量体およびその製造方法は、本発明者らの韓国特許出願第2011−0087290号(韓国特許登録第1163659号)などに当業者に自明に開示されているため、これについてのより具体的な説明は省略する。
【0079】
一方、前記ブロック共重合体の製造方法では、化学式4の単量体を重合する前に、ラジカル開始剤およびRAFT試薬の存在下、化学式3の(メタ)アクリレート系単量体を1種以上含む反応物をRAFT重合する。その結果、化学式3の単量体が重合された(メタ)アクリレート系重合体の両末端にRAFT試薬が結合された形態の一種のマクロ開始剤が得られる。
【0080】
この時、前記ラジカル開始剤、RAFT試薬および化学式3の単量体などは有機溶媒に溶解された反応溶液として準備され、このような反応溶液状態でRAFT重合工程が行われ得る。この時、有機溶媒としては、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼンおよびトルエンなどからなる群より選ばれた1種以上のハロゲン系または芳香族系溶媒や、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン(dioxane)、モノグライム(monoglyme)、ジグライム(diglyme)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルアセトアミド(DMAC)などからなる群より選ばれた単独または2種以上の極性混合溶媒を用いることができる。このような有機溶媒は、化学式3の単量体重量に対して約2〜10倍用いることができる。このような有機溶媒は、後述する化学式4の単量体に対するRAFT重合段階でも反応媒質として同様に用いることができる。
【0081】
そして、ラジカル開始剤としては、ラジカル重合に使用可能なものと知られた開始剤を特別な制限なしに全て用いることができる。このようなラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(2,2’−azobis−(2,4−dimethylvaleronitrile)、ベンゾイルペルオキサイド(benzoyl peroxide、BPO)またはジ−t−ブチルペルオキサイド(di−t−butyl peroxide、DTBP)などが挙げられ、これらの中で選ばれた2種以上を用いることもできる。このようなラジカル開始剤も後述する化学式4の単量体に対する重合段階で同様に用いることができる。
【0082】
また、前記RAFT試薬としては、S−1−ドデシル−S’−(α,α’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネート[S−1−dodecyl−S’−(α,α’−dimethyl−α”−acetic acid)trithiocarbonate]、シアノイソプロピルジチオベンゾエート(cyanoisopropyl dithiobenzoate)、クミルチオベンゾエート(cumyl thiobenzoate)、クミルフェニルチオアセテート(cumyl phenylthioacetate)、1−フェニルエチル−1−フェニルジチオアセテート(1−phenylethyl−1−phenyldithioacetate)、または4−シアノ−4−(チオベンゾイルチオ)−N−スクシンイミドバレレート(4−cyano−4−(thiobenzoylthio)−N−succinimide valerate)のような熱分解開始剤を用いることができ、これらの中で選ばれた2種以上の混合物を用いることもできる。
【0083】
前記RAFT試薬は、前記化学式3の単量体の重量に対して約0.001〜5.0モル%の比率で用いることができ、上述したラジカル開始剤は、前記RAFT試薬に対して約0.1〜1.0のモル当量比で用いることができる。このような含量でラジカル開始剤およびRAFT試薬を用いてRAFT重合工程を効果的に行うことができる。
【0084】
上述したRAFT重合工程を行えば、化学式3の単量体が重合された(メタ)アクリレート系重合体の両末端にRAFT試薬が結合された形態の一種のマクロ開始剤が得られる。このようなマクロ開始剤は、最終的に製造されるブロック共重合体のソフトセグメントに対応する分子量を有することができ、約3,000〜100,000の数平均分子量、あるいは約5,000〜50,000の数平均分子量を有することができる。
【0085】
一方、化学式3のRAFT重合工程の後には、その重合生成物である前記マクロ開始剤およびラジカル開始剤の存在下に化学式4の単量体に対するRAFT重合段階を行う。このようなRAFT重合工程は、第1のRAFT重合工程と同一の種類および量でラジカル開始剤および有機溶媒を用いて行うことができ、ただし、RAFT試薬の代わりに上述したマクロ開始剤の存在下に行うことができる。例えば、化学式3のRAFT重合工程の後に、前記マクロ開始剤、ラジカル開始剤、化学式4の単量体および有機溶媒を均一に混合して溶液を形成し、窒素雰囲気下で溶液内に存在する酸素を除去した後、以降の化学式4の単量体に対するRAFT重合段階を行うことができる。
【0086】
上述した製造方法で、化学式3および4の単量体に対するそれぞれのRAFT重合工程は、約30〜140℃、または60〜130℃の反応温度で、約30〜200時間、または約50〜170時間行うことができる。
【0087】
また、前記化学式4の単量体に対するRAFT重合段階を行った後には、その重合生成物を非溶媒内で沈澱させる段階をさらに行うことができる。その結果、上述したブロック共重合体が高純度に得られる。前記非溶媒としては、上述した重合生成物(例えば、各セグメントに対応する重合体およびブロック共重合体)を溶解させない溶媒を用いることができる。このような非溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、またはエチレングリコールのような極性溶媒や、ペトローリアムエーテルのような非極性溶媒が挙げられ、これらの中で選ばれた2種以上の混合溶媒を用いることもできることはもちろんである。
【0088】
一方、次に、上述したブロック共重合体を用いた一実施形態のナノパターン形成方法について各段階別に説明する。
【0089】
一実施形態の形成方法では、まず、基材上のシリコンオキサイド上に、上述したブロック共重合体の薄膜を形成する。この時、シリコンオキサイドは、シリコン基板またはウエハーなどの基材上に、蒸着または基材の熱酸化などの通常の方法で形成されたものであり得る。
【0090】
また、ブロック共重合体の薄膜形成のためには、まず、前記ブロック共重合体を有機溶媒に溶解して基材上に塗布することができる。この時、前記ブロック共重合体は、約5,000〜200,000の数平均分子量を有することができ、約40〜90重量%のハードセグメントと、約60〜10重量%のソフトセグメントとを含むことができることは上述したとおりである。
【0091】
前記ブロック共重合体がこのような分子量および各セグメントの含量範囲を充足することによって、前記ブロック共重合体を溶媒熟成法または熱処理法などで処理して規則的なナノ構造またはナノパターンが発現したブロック共重合体の薄膜を好適に形成することができる。また、前記ブロック共重合体の分子量または各セグメントの含量範囲を調節して最終的に形成されたナノパターンの形態、大きさまたは間隔などを適切に調節することができる。
【0092】
また、前記ブロック共重合体を溶解するための有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、エチルエーテル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、THF、アセトン、ジオキサン、酢酸エチル、DMF、DMAC、またはDMSOのような非極性または極性溶媒の中で選ばれた1種以上の溶媒を用いることができる。有機溶媒の量はブロック共重合体重量に対して約10倍以上にすることができる。
【0093】
そして、前記ブロック共重合体の有機溶液を均一な厚さに塗布するためには、このような有機溶液をスピンコーターなどで基材上にスピン塗布して薄膜を形成することができる。この時、溶媒の種類および濃度はもちろん、スピンコーターの回転数と回転時間も重要であり、このような点を考慮して回転数と時間をそれぞれ約2000〜4000rpm、約20〜60秒の範囲に調節することができる。
【0094】
一方、前記ブロック共重合体の溶液を塗布した後には、このような薄膜を溶媒熟成させるか、または熱処理して前記ブロック共重合体の各セグメントを配向させる段階を行うことができる。
【0095】
このうち、溶媒熟成においては、前記ブロック共重合体の溶解のために用いられたものと同一の有機溶媒を用いることもできるが、非極性溶媒と極性溶媒でそれぞれ選ばれた2種以上の混合溶媒を用いることが好ましい。また、前記溶媒熟成は、常温の温度で約4〜96時間で行うことができる。上述した条件下に、溶媒熟成段階を行うことによって、ブロック共重合体の薄膜上により規則的なソフトセグメントのシリンダー形態のナノ構造またはナノパターンを発現させることができる。
【0096】
そして、ブロック共重合体の分子量により、前記薄膜を熱処理してブロック共重合体の各セグメントを配向させることもできる。この時、ハードセグメントをなす化学式1の繰り返し単位の融点(T
m)と、ソフトセグメントをなす化学式2の繰り返し単位のガラス転移温度(T
g)以上の温度で熱処理することができる。このような方法によっても、前記薄膜上に規則的なシリンダー形態のナノ構造またはナノパターンを発現させることができる。
【0097】
また、前記溶媒熟成条件または熱処理条件などを調節することによって、前記シリンダー形態などを有するナノパターンの配列形態を四角形または六角形などの多様な形態に調節したり、各パターンの大きさまたはパターン間の間隔も調節することができる。また、このようなナノパターンを所望の形態、大きさまたは間隔で均一に配列させるためにブロック共重合体の分子量や各セグメントの化学的構造または組成比も適切に調節することができる。
【0098】
上述した方法によりブロック共重合体の薄膜を形成した後には、ハードセグメントに選択的に吸着可能な物質を前記薄膜上に吸着させる段階を行うことができる。このようなハードセグメントに吸着可能な物質としては、金属酸化物、例えば、RuまたはOsのような遷移金属の酸化物を用いることができる。具体的な一例で、このような物質の吸着段階は前記ブロック共重合体の薄膜上に、約0.05〜1.0重量%、あるいは約0.1〜0.8重量%、あるいは約0.1〜0.6重量%濃度の金属酸化物の溶液(例えば、RuO
4またはOsO
4の溶液)を処理する方法で行うことができる。
【0099】
このようなハードセグメントに吸着可能な物質の種類、処理濃度または処理時間などの条件はもちろん、ソフトセグメントを除去した後に残っているハードセグメントの重合体鎖と化学的反応を起こす反応条件(例えば、後述する酸処理条件またはエッチング条件など)によりナノパターンの形態が決定され得る。したがって、前記物質の処理条件と、反応条件などを調節して、最終的に形成されるシリコンオキサイドナノパターン(ナノドット、ナノホールまたはこれらが共に存在するナノ構造)を制御できるだけでなく、ナノパターンの大きさや間隔なども容易に制御することができる。
【0100】
上述した方法によりナノパターンが発現したブロック共重合体の薄膜を形成させた後に、このような薄膜でソフトセグメントを選択的に除去する段階を行う。このようなソフトセグメントの選択的除去のために、前記ブロック共重合体の薄膜に紫外線を照射することができる。このような紫外線照射を通じて、前記ソフトセグメントを選択的に分解させ、次に、選択的にブロック共重合体の薄膜を酸で処理して紫外線で分解されたソフトセグメントを除去する。
【0101】
この時、例えば、約254nm波長の紫外線を面積(cm
2)当たり約5〜50ジュール(Joule)の強度に、約1〜60分間照査することができ、次に、酸で前記ブロック共重合体の薄膜を処理して紫外線で分解されたソフトセグメントを除去することができる。このような酸としては、塩酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)などの水溶液を用いることができ、その他にも多様な酸またはその水溶液を用いることができる。ただし、より具体的な例としては、99.5%濃度の酢酸またはトリフルオロ酢酸水溶液を用いるか、または3.5〜11.8Mの塩酸水溶液などを用いることができ、このような酸水溶液の約1〜20mL、あるいは約2〜10mLを用いて約1分〜1時間ブロック共重合体の薄膜を処理して、分解されたソフトセグメントを良好に除去することができる。
【0102】
そして、前記酸処理段階の後に、前記ブロック共重合体の薄膜を脱イオン水で洗浄する段階をさらに行うこともできる。
【0103】
上述した条件下に、紫外線照射工程および選択的に酸処理工程と、洗浄工程などを行うことによって、ブロック共重合体薄膜でソフトセグメントを選択的に除去し、ハードセグメントを残留させてナノ構造またはナノパターンなどが形成されたブロック共重合体の薄膜を形成することができる。
【0104】
特に、前記薄膜に処理される酸の種類や濃度、紫外線処理条件または酸処理後の洗浄時間などを調節すれば、ブロック共重合体薄膜上に形成されたナノパターンの形態、大きさまたは間隔などを制御および/または一部変形することができる。前述のように、このような現象はブロック共重合体のハードセグメントが有する重合体鎖構造および化学的反応性に起因して、このような重合体鎖がソフトセグメント除去工程の具体的な条件により化学反応を起こすことから示されると見られる。その結果、一実施形態で最終的に形成されるシリコンオキサイドナノパターンの形態、大きさまたは間隔などをより容易に制御することができる。
【0105】
一方、上述した工程でソフトセグメントを選択的に除去した後には、ブロック共重合体の薄膜に残りのハードセグメントだけが残留するため、シリンダー形態などのナノパターンが形成された部分で基材上のシリコンオキサイドが露出し得る。したがって、このようなブロック共重合体の薄膜をマスクに、シリコンオキサイドを反応性イオンエッチングすれば、前記露出部だけでシリコンオキサイドが選択的にエッチングおよび除去されて所望のパターン形態、例えば、ナノドットまたはナノホールパターン形態に形成され得る。
【0106】
このような反応性イオンエッチング段階は、例えば、CF
4/Ar気体イオンなどを用いて、約40〜60/20〜40sccm、約60〜100Wattおよび1〜10分の条件下で行うことができる。
【0107】
また、前記反応性イオンエッチング段階の後に、酸素プラズマで処理して前記ブロック共重合体の薄膜を除去する段階をさらに行って、前記パターニングされたシリコンオキサイドの上に残留するブロック共重合体の薄膜(例えば、ハードセグメント)を除去することもできる。このような酸素プラズマは、例えば、約20〜60sccm、約20〜100W、約1〜10分の条件で処理することができ、その結果、シリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンが形成され得る。
【0108】
このような反応性イオンエッチングまたは酸素プラズマ処理工程の条件や進行回数によっても、一実施形態で最終的に形成されるシリコンオキサイドナノパターンの形態、大きさまたは間隔などを容易に制御することができる。例えば、前記反応性イオンエッチングまたは酸素プラズマ処理条件などを調節して、最終的に形成されるナノパターンの形態をナノホールパターン形態からナノドットパターン形態またはナノホールおよびナノドットが混在された形態などへ転換させることができる。
【0109】
例えば、上述した一実施形態の方法により形成されたシリコンオキサイドのナノパターンは、約5〜60nmの直径を有するシリコンオキサイドナノドット(dot)が約10〜100nmの間隔をおいて形成されている形態を有するナノドットパターンになるか、または約5〜60nmの直径を有するシリコンオキサイド上のナノホール(hole)が約10〜100nmの間隔をおいて形成されている形態を有するナノホールパターンになることができ、これらナノドットおよびナノホールなどが共に形成されている形態のナノパターンになることもできる。
【0110】
この時、ナノドットまたはナノホールの「直径」とは、一つのナノドットまたはナノホールの外周上の任意の二点をつなぐ直線距離中の最長距離を意味し、「間隔(またはピッチ)」とは、互いに隣接するナノドットまたはナノホール間の距離中の最短直線距離を意味し得る。
【0111】
後述する実施例でも裏付けられるように、一実施形態の形成方法では、ソフトセグメント除去のための酸処理時間を減らしたり、酸処理量または濃度などを減らしてナノホールパターンをナノドットパターン、またはナノドットおよびナノホールが混在されている形態のパターンへ転換させ得ることが確認された。また、前記工程で処理される酸の種類を酢酸から塩酸へ変更したり、ブロック共重合体薄膜上に吸着する物質の濃度を増加させたり、ブロック共重合体の分子量を制御することによっても、同様にナノパターンの形態、大きさ(直径)または間隔などを上述した範囲内で制御することができる。そして、反応性イオンエッチングまたは酸素プラズマ処理条件または回数の変更によっても、シリコンオキサイドナノパターンの形態や、そのアスペクト比(aspect−ratio)を制御することができる。
【0112】
例えば、一実施形態により形成されたシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンは、アスペクト比が比較的低く且つ互いに隣接する一部のナノドットまたはナノホールが互いに連結された形態のナノパターンになることもできるが、約1.1以上、あるいは約1.2以上、あるいは約1.4以上の高いアスペクト比(aspect ratio)を有するシリコンオキサイドナノドットまたはシリコンオキサイド上のナノホールを含むナノパターンになることもでき、上述した工程条件などの制御により、このようなナノパターン形態および大きさなどが容易に制御され得る。
【0113】
これによって、一実施形態の方法で形成された多様な形態、大きさおよび間隔を有するナノドットまたはナノホールなどの形態を有するナノパターンをより多様な光学装置、光学導波管(waveguide)、化学的センサー、電子素子または磁気記録媒体などに適宜に適用することができる。
【0114】
一方、発明の他の実施形態によれば、上述したブロック共重合体を用いるナノドット形態の金属ナノパターンの形成方法が提供される。このような金属ナノパターンの形成方法は、基材上に、前記化学式1の繰り返し単位を含むハードセグメントと、前記化学式2の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含むブロック共重合体の薄膜を形成する段階と、ブロック共重合体の薄膜でソフトセグメントを選択的に除去する段階と、ソフトセグメントが除去されたブロック共重合体薄膜上に、金属を蒸着する段階と、を含むことができる。
【0115】
この時、他の実施形態の方法は、基材と、ブロック共重合体の薄膜との間にシリコンオキサイドを形成する段階をさらに含むこともでき、この場合、金属蒸着段階の前に、ソフトセグメントが除去されたブロック共重合体薄膜をマスクに、シリコンオキサイドを反応性イオンエッチングしてシリコンオキサイドのナノドットまたはナノホールパターンを形成する段階をさらに含むこともできる。つまり、他の実施形態の方法では、ブロック共重合体のナノパターンを形成し、これを用いて直接金属ナノパターンを形成することもできるが、発明の一実施形態によりシリコンオキサイドのナノホールパターンなどを形成した後、これを用いて金属ナノパターンを形成することもできる。
【0116】
図6〜8には、発明の他の実施形態により、ナノドット形態の金属ナノパターンを形成する方法の三つの例が概略的に示されている。まず、
図6aは、発明の一例により前記金属ナノパターンを形成する方法を概略的に示した図面であり、
図6bは、
図6aの方法により形成されたナノドット形態の金属ナノパターンの平面の姿を概略的に示した図面である。
【0117】
このような一例の方法によれば、まず、一実施形態の方法と同様な方法により、シリンダー形態のナノパターンまたはナノ構造が発現したブロック共重合体の薄膜を形成した後、このような薄膜でソフトセグメントを紫外線照射などを通じて選択的に除去することができる。その結果、
図6aに示されるように、ブロック共重合体の薄膜パターン(BCP patterns)が形成され得る。この時、ブロック共重合体の薄膜パターン自体を用いることもできるが、これを用いた一実施形態の方法によりシリコンオキサイドのナノホールパターンなどを形成した後、これを用いて金属ナノパターンを形成することもできることはもちろんである。
【0118】
このような薄膜パターンまたはナノホールパターンなどが形成された基材上に金属を蒸着する場合、
図6aの下段図面および
図6bに示されたナノドット形態の金属ナノパターンが形成され得る。
【0119】
このような一例の方法において、金属蒸着段階前の各段階は、一実施形態のシリコンオキサイドナノパターン形成方法に準ずるように行うことができ、前記金属蒸着段階は、一般的な金属蒸着工程に準ずるように行うことができるため、各工程段階に関するより具体的な説明は省略する。
【0120】
ただし、前記金属蒸着段階において、前記金属は磁性を帯びる金属、例えば、コバルト、クロム、白金、ニッケルおよび鉄からなる群より選ばれた磁性金属、またはこれらの中で選ばれた2種以上を含む磁性合金であり得る。また、このような金属は、電子ビーム蒸発法、真空スパッタリングまたは真空蒸着などの方法により約10〜50nmの厚さに蒸着され得る。
【0121】
上述した方法により、薄膜パターン(BCP patterns)またはナノホールパターンなどが形成された基材全面にかけて金属が蒸着される場合、前記
図6aの下段図面および
図6bに示されたような金属ナノドットパターンが形成され得るが、このような金属ナノドットパターンが上述した磁性金属を含めばこれは次世代情報貯蔵用磁気記録媒体などに非常に適宜に適用され得る。また、金属の種類によって、前記金属ナノパターン形成方法をメモリ半導体、太陽電池、ディスプレイまたはセンサーなどの多様な電子素子の製造にも適切に適用できることはもちろんである。
【0122】
上述した金属ナノパターンの形成方法において、必要に応じては、
図7aに示された他の例の方法により、前記金属蒸着段階の後に、前記金属が蒸着されたブロック共重合体薄膜などをリフトオフ(lift off)して除去する段階をさらに行うこともできる。その結果、
図7aの最下段図面および
図7bに示された形態の金属ナノパターンが形成されることもでき、このような金属ナノパターンも次世代磁気記録媒体や、メモリ半導体、太陽電池、ディスプレイまたはセンサーなどの多様な電子素子の製造などに適切に適用され得る。
【0123】
一方、上述した金属ナノパターン形成方法のさらに他の例が
図8に概略的に示されている。上述した
図6および7の方法では、金属蒸着段階において、前記ソフトセグメントが除去されて残ったブロック共重合体の薄膜などに比べて低い厚さの金属が蒸着される。これに比べて、
図8に示されたさらに他の例の方法では、前記ブロック共重合体の薄膜パターンまたはシリコンオキサイドのナノホールパターンを形成した後、このような薄膜パターンまたはナノホールパターンが埋込まれるように、これより高い厚さの金属が蒸着され得る。例えば、前記金属は、電子ビーム蒸発法、真空スパッタリングまたは真空蒸発などの方法により約30〜70nmの厚さに蒸着され得る。また、このような金属蒸着段階の後に、前記薄膜パターンまたはナノホールパターン上の金属と、ブロック共重合体薄膜などを真空プラズマエッチングなどで選択的に除去する段階をさらに行うことができる。
【0124】
このようなエッチング工程を行えば、前記ブロック共重合体薄膜パターンまたはナノホールパターンの骨格をなすブロック共重合体薄膜上の金属が全面にかけてエッチングおよび除去される途中、一応薄膜パターンまたはブロック共重合体薄膜上の金属が全部除去されて前記薄膜パターンまたはブロック共重合体薄膜などが露出した後からは、このようなブロック共重合体薄膜などが選択的に除去され得る。これは前記ブロック共重合体薄膜などが金属に比べて数倍〜数十倍の速度でエッチングおよび除去され得るためである。
【0125】
その結果、
図8に示されているように、ナノドット形態の金属ナノパターンが形成され、このような金属ナノパターンも次世代磁気記録媒体や、メモリ半導体、太陽電池、ディスプレイまたはセンサーなどの多様な電子素子の製造などに適切に適用され得る。
【0126】
一方、発明のさらに他の実施形態によれば、上述した方法により形成された金属ナノパターンを含む情報貯蔵用磁気記録媒体が提供される。
【0127】
最近、次世代高集積、高密度(例えば、テラビット)の情報貯蔵用磁気記録媒体などを形成するためには、ナノドット形態の磁性金属ナノパターンの形成が必要であると知られている。既存の薄膜型磁気記録媒体の場合、単位二乗インチ面積当たり約500ギガビット(gigabit)水準の情報貯蔵密度で限界を見せており、高密度の強磁性ナノドット構造体に情報を貯蔵する方式であるパターン化媒体(patterned media)が単位二乗インチ当たり1テラビット(terabit)水準の情報貯蔵密度を目標で次世代技術として開発中である。このような次世代磁気記録媒体に活用されるためには、磁性金属のナノドットパターンが約30nm以下の中心距離を有し、約15nm以下の直径を有するナノドットを含むように形成されることが必要である。しかし、既存のフォトリソグラフィではこのような小さい大きさの金属ナノドットパターンを形成するには物理的限界があった。もちろん、超高密度のナノパターンを形成することができる電子ビームリソグラフィ方式も考慮されたが、量産性が非常にぜい弱で商用化に活用されることはできなかった。また、以前に知られたブロック共重合体リソグラフィを用いる場合、垂直配向に追加的な工程が必要であるか、またはブロック共重合体パターンの整列性が十分でないなどの限界があるか、またはブロック共重合体ナノホールパターンを形成した後、非常に複雑な後続工程を経て金属ナノドットパターンを形成するしかなく、これによって、次世代磁気記録媒体の商用化は限界に至っていた。
【0128】
しかし、他の実施形態の金属ナノパターンの形成方法では、独特のブロック共重合体を用いることによって、高密度のナノホールパターンが非常に低い欠陥密度を有して形成され、複雑な後続工程がなくても非常に微細な大きさおよび間隔を有する磁性金属のナノドットパターンを容易に形成することができる。したがって、他の実施形態により得られた磁性金属ナノパターンを次世代情報貯蔵用磁気記録媒体の製造に適用することができ、このような次世代磁気記録媒体の商用化に大きく寄与することができる。
【0129】
しかも、上述した一実施形態のナノパターン形成方法でも十分明らかにしたように、化学式1の繰り返し単位を含む独特のブロック共重合体を用いる場合、ナノドットパターンの形態、大きさおよび間隔などを非常に容易に調節できるだけでなく、アスペクト比がより大きいナノドットパターンを簡単に形成することができる。例えば、
図6に示された一例の方法により金属ナノパターンを形成しても、ブロック共重合体の薄膜パターンが十分大きい高さおよびアスペクト比を有することができるため、比較的に大きい厚さの金属を蒸着しても、薄膜パターン上の金属と、薄膜パターン間の金属との間に短絡が起こるか、または互いに連結されることが効果的に抑制され得る。したがって、他の実施形態の方法により形成された磁性金属ナノパターンは、多様な次世代磁気記録媒体の製造に非常に適切に適用され得る。
【0130】
一方、さらに他の実施形態に係る磁気記録媒体は、他の実施形態により形成された金属ナノパターンを含むことを除いては、通常の構成に従うことができるため、これに関する追加的な説明は省略する。