(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第1及び第2の圧搾部は、一方のヒップフラップの外縁から前記後側域の後端縁を経て他方のヒップフラップの外縁まで延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
前記仮想線は、前記ヒップフラップの最大幅の位置よりも前側の領域において、前側から後側に向かうにつれて前記幅方向の外側に単調に膨らんでいる、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
前記後側域に配置される吸収コアは、前記吸収性物品の幅方向の中心を通る中心線に沿って延びる前後スリットを有し、前記前後スリットは吸収材料が設けられていない領域、又は前記後側域に配置される吸収コアよりも目付の低い吸収材料が設けられた領域からなる、請求項1から10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、パンティーライナー(おりものシート)や生理用ナプキンや失禁パッド等の任意の吸収性物品であってよい。以下の実施形態では、吸収性物品の一例として使い捨ての生理用ナプキンについて説明する。
【0010】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0011】
(1)吸収性物品の全体的構成
図1は、一実施形態における吸収性物品の平面図である。
図2は、
図1とは反対側から見た吸収性物品の平面図である。
図3は、
図1の3A−3A線に沿った吸収性物品の断面図である。
【0012】
吸収性物品1は、着用者の前側(腹側)及び後側(背側)に延びる前後方向Lと、前後方向Lと直交する幅方向Wと、着用者の肌対向面側T1から非肌対向面側T2へ延びる厚み方向Tと、を有する。肌対向面側T1は、使用時に、着用者の肌に対向する側に相当する。非肌対向面側T2は、肌対向面側T1とは反対側に相当する。
【0013】
吸収性物品1は、中央域S1、前側域S2及び後側域S3を有する。中央域S1は、着用者の排泄口(例えば膣口)に当接する領域に位置する。中央域S1は、吸収性物品が下着に装着された状態で、下着の股下部に位置する領域である。つまり、中央域は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域である。前側域S2は、中央域S1よりも前側に位置する。後側域S3は、中央域S1よりも後側に位置する。後側域S3の前後方向Lの長さは、中央域S1の前後方向Lの長さよりも長くなっていてよい。
【0014】
中央域S1には、後述するウイング3が設けられていてよい。この場合、中央域S1は、前後方向Lにおいてウイング3が設けられている領域とも言える。また、後側域S3には、幅方向Wの外側に膨らんだヒップフラップ4が設けられていてよい。
【0015】
中央域S1と後側域S3の境界に、後述する幅スリット41が設けられていてよい。この場合、幅スリット41の前端縁が中央域S1の後端縁を規定してもよく、幅スリット41の後端縁が後側域S3の前端縁を規定してもよい。
【0016】
後側域S3の後端縁は吸収性物品1の後端縁を規定する。中央域S1と前側域S2の境界はウイング3の前端縁に相当する。ウイング3の前端縁は、ウイング3の付け根であり、ウイング3において最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分である。ウイング3の前側の付け根は、中央域S1と前側域S2との境界に位置してもよい。前側域S2の前端縁は吸収性物品1の前端縁を規定する。
【0017】
吸収性物品1は、肌面シート10、非肌面シート20及び吸収体30を有する。肌面シート10は、吸収体30よりも肌対向面側T1に設けられる。非肌面シート20は、吸収体30よりも非肌対向面側T2に設けられる。吸収体30は、肌面シート10と非肌面シート20との間に設けられる。
【0018】
肌面シート10は、表面シート11とサイドシート12を有していてよい。表面シート11は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート11は、吸収体30の少なくとも幅方向Wの中央を覆う。表面シート11は、前後方向Lに前側域S2から後側域S3まで延びていてよい。サイドシート12は、表面シート11の外側縁(幅方向Wの外側端部)を覆い、表面シート11よりも幅方向Wの外側に延びている。なお、本実施形態では、吸収性物品1はサイドシート12を有しているが、吸収性物品1はサイドシート12を有していなくてもよい。この場合、表面シート11は吸収体30全体を覆っていてよい。
【0019】
表面シート11は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成される。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0020】
サイドシート12は、表面シート11と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート12を乗り越えて吸収性物品1の外方へ体液が流出することを防止するためには、サイドシート12は、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート12は、吸収体30の外側縁、ウイング3及びヒップフラップ4に配置されている。
【0021】
非肌面シート20は、液不透過性のシートである。非肌面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。
【0022】
吸収体30は、吸収材料が積層された吸収コア31と、吸収コア31を覆うコアラップ32と、を有する。吸収材料は、例えば、親水性繊維、パルプ及びSAPから形成できる。
【0023】
吸収コア31は、少なくとも中央域S1と後側域S3に配置される。なお、吸収コア31は、中央域S1と後側域S3のそれぞれに別個に配置されていてもよいし、中央域S1と後側域S3に跨って一体的に配置されていてもよい。また、吸収コア31は、中央域S1から前側域S2にまで延びていてもよい。
【0024】
吸収コア31は、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの内側に位置する中高部33を有する。吸収コアの中高部33の厚みは、中高部33のまわりの吸収コアの厚みよりも厚い。中高部33は、中央域S1に位置していてよい。中高部33の吸収材料の目付は、中央域S1における吸収コア31の外側縁31Eに位置する吸収材料の目付よりも高くてもよい。中高部33は、中央域S1内の後側に位置し、幅スリット41に隣接していてよい。
【0025】
前述したように、吸収性物品1は、ウイング3及びヒップフラップ4を有する。ウイング3及びヒップフラップ4は、中央域S1の吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの外側に延出していてよい。
【0026】
ウイング3は、サイドシート12と非肌面シート20を有していてよい。ウイング3の前後方向Lの中心は、着用者の排泄口に対向する。ウイング3は、非肌面シート20側に折り返し可能に構成されている。ウイング3は、使用時に下着のクロッチ部の非肌対向面側に折り返される。
【0027】
ヒップフラップ4は、ウイング3よりも後側に位置し、後側域S3に設けられている。ヒップフラップ4は、使用時に折り返されず、下着と着用者の臀部との間に配置される。本実施形態では、ヒップフラップ4には吸収材料が設けられていない。この代わりに、ヒップフラップ4には、吸収材料が設けられていてもよい。
【0028】
ヒップフラップの外縁4Eは、多数の凸部4Fを有する波形形状に形成されていてよい(
図4も参照)。
図4は、
図2に示す領域R4の拡大図であり、ヒップフラップ4の一部を拡大した平面図である。多数の凸部4Fは、一方のヒップフラップ4の外縁4Eから後側域S3の後端縁を経て他方のヒップフラップ4の外縁4Eまで延びていることが好ましい。この代わりに、多数の凸部4Fは、一対のヒップフラップ4の外縁4Eのみに形成されていてもよい。各々の凸部4Fの幅W1は、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。また、各々の凸部4Fの幅W1は、3mm以上であることが好ましい。
【0029】
吸収性物品1の幅方向Wにおけるヒップフラップ4の幅は、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側の領域において、前側から後側に向かうにつれて実質的に大きくなっていてもよい。具体的には、ヒップフラップの外縁4Eの凸部4Fの形を考慮せず、ヒップフラップ4の全体的な形状が、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側の領域において、前側から後側に向かうにつれて大きくなっていることが好ましい。より具体的には、ヒップフラップ4の外縁4Eに形成された各々の凸部4Fの麓部を結んで得られる仮想線ILが、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側の領域において、前側から後側に向かうにつれて幅方向Wの外側に単調に膨らんでいてよい。
【0030】
また、吸収性物品1の幅方向Wにおけるヒップフラップ4の幅は、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも後側の領域において、前側から後側に向かうにつれて実質的に小さくなっていてもよい。この代わりに、吸収性物品1の幅方向Wにおけるヒップフラップ4の幅は、後述する粘着領域64よりも後側の領域において、前側から後側に向かうにつれて実質的に小さくなっていてもよい。具体的には、ヒップフラップの外縁4Eの凸部4Fの形を考慮せず、ヒップフラップ4の全体的な形状が、粘着領域64よりも後側の領域において、前側から後側に向かうにつれて単調に狭くなっていてよい。より具体的には、ヒップフラップ4の外縁4Eに形成された各々の凸部4Fの麓部を結んで得られる仮想線ILが、粘着領域64よりも後側の領域において、前側から後側に向かうにつれて幅方向Wの内側に単調に狭くなっている。なお、ヒップフラップの最大幅の位置P1は、前後方向Lにおける後側域S3の中央よりも後側に位置している。
【0031】
ヒップフラップ4は、サイドシート12と非肌面シート20を有していてよい。この代わりに、ヒップフラップ4はサイドシート12を有していなくてもよい。この場合、表面シート11がヒップフラップ4の領域まで延びていればよい。この場合、多数の凸部4Fが形成された領域を、同一の枚数のシートによって構成することができる。
【0032】
(2)吸収コアのスリット
吸収コア31は、幅スリット41、前後スリット42及び補助スリット43を有していてよい。幅スリット41、前後スリット42及び補助スリット43は、吸収体30を厚み方向Tに曲げることができるように形成されている。
【0033】
幅スリット41、前後スリット42及び補助スリット43の吸収材料の目付は、それらのスリット41,42,43のまわりの吸収コア31の吸収材料の目付よりも低い。なお、幅スリット41、前後スリット42及び補助スリット43は、吸収材料の目付が0の領域、すなわち吸収材料が設けられていない領域であってもよい。
【0034】
幅スリット41、前後スリット42及び補助スリット43は、吸収性物品1の剛性が変化する境目となる。例えば、幅スリット41よりも前側の領域の剛性は、幅スリット41よりも後側の領域の剛性と異なっていてよい。より詳細には、幅スリット41よりも前側の領域の吸収材料の目付は、幅スリット41の吸収材料の目付よりも高くてよい。また、幅スリット41よりも後側の領域の吸収材料の目付は、幅スリット41の吸収材料の目付よりも高くてよい。
【0035】
幅スリット41は、中央域S1と後側域S3との間で幅方向Wに延びる。幅スリット41は、少なくとも幅方向Wに延びていればよい。幅スリット41は、幅方向Wに平行に直線的に延びていてもよいし、幅方向Wに対して傾斜して直線的又は曲線的に延びていてもよい。
【0036】
本実施形態の幅スリット41は、幅スリット41の幅方向Wの中央が後方に突出した曲線形状である。より詳細には、幅スリット41の幅方向Wの中心は、幅スリット41の外側縁よりも後方に位置する。幅スリット41の前後方向Lにおける長さは、一定であってもよいし、変化していてもよい。幅スリット41の前後方向Lの長さは、吸収性物品の幅方向Wの中心を通る中心線CLの位置で、好ましくは10mm以上かつ50mm以下であり、より好ましくは10mm以上かつ30mm以下である。これにより、吸収体30が幅スリット41のところで着用者の肌に沿って曲がり易くなり、吸収体30を着用者の肌にフィットさせることができる。
【0037】
幅スリット41の幅方向の長さは、25mm以上であることが好ましい。これにより、吸収性物品1の中央域S1の動きが、後側域S3に伝わることを抑制できる。
【0038】
幅スリット41は、吸収コア31の幅方向Wの一端から他端まで延びていてもよい。この場合、幅スリット41の幅方向Wの外側縁は、吸収コア31の外側縁31Eに位置する。これにより、中央域S1の吸収コア31は、幅スリット41によって後側域S3の吸収コア31から分断される。この代わりに、幅スリット41は、中心線CLを跨ぎ、かつ吸収コア31の幅方向Wに部分的に延びていてもよい。
【0039】
前後スリット42は、後側域S3において、吸収性物品の中心線CLに沿って前後方向Lに延びる。前後スリット42は、前後方向Lに平行に直線的に延びていてもよいし、前後方向Lに対して傾斜して直線的又は曲線的に、中心線CLに沿って延びていてもよい。前後スリット42は、後側域S3の吸収コア31の前後方向Lの全域に形成されていてもよい。この代わりに、前後スリット42は、後側域S3の吸収コア31の前後方向の一部の領域に形成されていてもよい。
【0040】
前後スリット42の前端縁は、ウイング3の前後方向Lの中心から30mm以上後方に位置することが好ましい。前後スリット42の後端縁は、ウイング3の前後方向Lの中心から200mm以上後方に位置することが好ましい。前後スリット42の前後方向Lの長さは、150mm以上であることが好ましい。着用者の身体の前後方向Lに沿った断面において、臀部間の溝(臀裂)は、会陰部よりも後方から尾てい骨に至る領域に存在する。前後スリット42は、前後スリットを頂点として凸状に吸収体30を変形させ易くする。すなわち、吸収体30が臀部間の溝にフィットするように変形し易くなる。
【0041】
好ましくは、前後スリット42の幅方向Wの長さは、1mm以上かつ15mm以下である。これにより、臀部間の溝にフィットするように吸収体30を変形させ易くすることができる。
【0042】
前後スリット42は、幅スリット41と繋がっていてもよい。この場合、平面視にて、中央域S1の吸収コア31と、後側域S3の幅方向Wの一方側の吸収コア31と、後側域S3の幅方向Wの他方側の吸収コア31とは、分断されている。この代わりに、前後スリット42は、幅スリット41と離間していてもよい。
【0043】
補助スリット43は、前後スリット42に繋がっており、かつ前後スリット42から幅方向Wの外側に延びる。補助スリット43は、少なくとも幅方向Wに延びていればよい。補助スリット43は、幅方向Wに平行に直線的に形成されていてもよいし、幅方向Wに対して傾斜して直線的又は曲線的に形成されていてもよい。補助スリット43は、幅方向Wの内側から外側に向かうにつれて前側に傾斜していることが好ましい。補助スリット43は、前後スリット42の幅方向Wの両側にそれぞれ延びている。補助スリット43は、前後方向Lに間隔を空けて複数設けられていてよい。
【0044】
補助スリット43の幅方向Wの外側縁は、後側域S3の吸収コア31の外側縁よりも内側に位置する。すなわち、補助スリット43の幅方向の外側には、吸収材料が設けられている。この代わりに、補助スリット43は、後側域S3の吸収コア31の外側縁まで延びていてもよい。
【0045】
補助スリット43は、後側域S3の吸収体30が厚み方向Tに曲がる変形基点を構成する。すなわち、吸収性物品1は補助スリット43のところで曲がり易くなっている。これにより、吸収性物品1が着用者に取り付けられたときに、吸収体30が、着用者の湾曲した臀部によりフィットし易くなる。
【0046】
(3)圧搾部
吸収性物品1は、少なくとも吸収コア31が厚み方向Tに圧搾されることによって形成された圧搾部を有する。この圧搾部は、前側圧搾部81と、長手圧搾部82と、一対の後側圧搾部84と、を有していてよい。
【0047】
前側圧搾部81は、中央域S1及び前側域S2に設けられている。前側圧搾部81は、吸収体30と表面シート11とが厚み方向Tに圧縮されることによって形成されていてよい。前側圧搾部81は、中高部33の幅方向W両側に設けられた前後方向Lに沿った部分を有する。前側圧搾部81は、中高部33の幅方向W両側の側縁を規定していてよい。
【0048】
前側圧搾部81は、吸収コア31の前端縁付近で幅方向に向かって曲がっており、U字型に連続的に繋がっている。この代わりに、前側圧搾部81は、中高部33の幅方向W両側に、別個に設けられていても良い。すなわち、一対の前側圧搾部81が、互いに分断された形態で、別個に設けられていても良い。
【0049】
長手圧搾部82は、後側域S3で、中心線CLを挟んで両側に設けられている。長手圧搾部82は、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側に形成されていてよい。長手圧搾部82は、吸収体30と表面シート11とが厚み方向に圧縮されることによって形成されていてよい。長手圧搾部82は、補助スリット43よりも幅方向Wの両外側において前後方向Lに延びる。長手圧搾部82は、線状又は点線状に、少なくとも前後方向Lに延びていればよい。長手圧搾部82は、前後方向Lに平行に直線的に延びていてもよいし、前後方向Lに対して傾斜して曲線的に延びていてもよい。
【0050】
一対の後側圧搾部84は、後側域S3で、中心線CLを挟んで両側に設けられている。後側圧搾部84は、吸収体30と表面シート11とが厚み方向に圧縮されることによって形成されていてよい。一対の後側圧搾部84は、吸収性物品の幅方向Wの中心を通る中心線CLを挟んで互いに離間して設けられている。一対の後側圧搾部84は、幅方向Wにおけるヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも後側に位置する。好ましくは、一対の後側圧搾部84は、後側域S3の後側の端部付近に位置する。具体的には、一対の後側圧搾部84は、着用者の仙骨に対向する領域近傍に位置する。後側圧搾部84は、前後方向Lに沿って線状又は点線状に延びていてよい。なお、前後方向Lに対して多少傾斜又は湾曲していても、後側圧搾部84は、前後方向Lに沿って延びていると見なす。具体的には、一対の後側圧搾部84は、部分的又は全体的に前後方向Lに沿って延びていてよい。一対の後側圧搾部84は、後側に向かうにつれて幅方向Wの距離が広がる幅広区間を有する。すなわち、後側圧搾部84は、後側へ向かうにつれて、幅方向Wの外側に傾斜している。
【0051】
図1に示す実施形態では、一対の長手圧搾部82は、一対の後側圧搾部84から離れて配置されている。一対の長手圧搾部82と一対の後側圧搾部84との間の距離は、好ましくは少なくとも1cm、より好ましくは少なくとも3cmである。一対の長手圧搾部82と一対の後側圧搾部84との間の、圧搾部が形成されていない区間は、ヒップフラップの最大幅の位置P1を跨っていてもよい。
【0052】
後側域S3に設けられた吸収コア31の一部は、幅広区間によって挟まれた領域内に配置される。また、前後スリット42の一部が、幅広区間によって挟まれた領域を延びていることが好ましい。前後スリット42は、前後方向Lに沿ってこの領域を貫いていることがより好ましい。
【0053】
吸収性物品1は、肌面シート10及び非肌面シート20を構成するシートのうちの少なくとも2枚を厚み方向Tに圧縮することによって形成された第1の圧搾部85、第2の圧搾部87及び第3の圧搾部86を有する。第1の圧搾部85、第2の圧搾部87及び第3の圧搾部86は、少なくともヒップフラップ4の外縁4Eに沿って形成されている。
【0054】
第1の圧搾部85は、吸収性物品1の幅方向Wにおいて吸収コア31よりも外側に設けられている。第1の圧搾部85は、ヒップフラップ4の外縁4Eに形成された各々の凸部4Fの麓部を結んで得られる仮想線ILよりも内側で、仮想線ILに沿って形成されている(
図4参照)。第1の圧搾部85は、離散的に並んだ複数の圧搾部から構成されていることが好ましい。第1の圧搾部85は、仮想線ILに沿って並んだ複数の点状圧搾部から構成されることがより好ましい。この複数の点状圧搾部は、各々の凸部4Fに応じて設けられていてよい。第1の圧搾部85と仮想線ILとの距離L1は、1mm以上、かつ10mm以下であることが好ましい。
【0055】
仮想線ILよりも外側の領域には圧搾部は形成されていない。さらに、ヒップフラップ4を構成する複数のシート、例えばサイドシート12及び非肌面シート20は、仮想線ILよりも外側の領域の少なくとも一部において互いに接合されていないことが好ましい。
【0056】
第2の圧搾部87は、吸収性物品1の幅方向Wにおいて吸収コア31よりも外側に設けられている。第2の圧搾部87は、第1の圧搾部85よりも内側で、ヒップフラップ4の外縁4Eに沿って離散的に並んだ複数の圧搾部から形成されている。第2の圧搾部87は、複数の点状圧搾部から形成されていることが好ましい。複数の第2の圧搾部87のピッチは、複数の第1の圧搾部85のピッチよりも小さい。
【0057】
第3の圧搾部86は、吸収性物品1の幅方向Wにおいて吸収コア31よりも外側に設けられている。第3の圧搾部86は、第1の圧搾部85と第2の圧搾部87との間で、離散的に並んだ複数の圧搾部から形成されている。第3の圧搾部86は、複数の点状圧搾部から形成されていることが好ましい。複数の第3の圧搾部86のピッチは、複数の第1の圧搾部85のピッチよりも小さく、複数の第2の圧搾部87のピッチよりも大きい。
【0058】
第1の圧搾部85、第2の圧搾部87及び第3の圧搾部86を構成する各々の点状圧搾部は、微少な広がりを有する圧搾部のことを意味する。点状圧搾部の形状は、仮想線ILに沿って長く延びていないことが好ましい。具体的には、各々の点状圧搾部の、仮想線ILに沿った方向における長さは、実質的に仮想線ILに直交する方向の長さと等しいか、又はそれより小さくてよい。例えば、各々の点状圧搾部は円形状又は正方形状であってよい。各々の点状圧搾部の形状が円形である場合、各々の点状圧搾部の直径は、好ましくは0.5〜5.0mmであり、より好ましくは1.0〜3.0mmである。
【0059】
第1の圧搾部85、第2の圧搾部87及び第3の圧搾部86は、仮想線ILに沿って、一方のヒップフラップ4の外縁4Eから後側域S3の後端縁を経て他方のヒップフラップ4の外縁まで延びていることが好ましい。
【0060】
吸収性物品1を肌面側から見たときに、吸収体30が設けられた領域のL*a*b*表色系におけるL*値と、ヒップフラップ4の、前記圧搾部85,86,87よりも内側の領域のL*a*b*表色系におけるL*値との差が、15以下であることが好ましい。また、ヒップフラップ4の、圧搾部85,86,87が形成されていない領域のL*a*b*表色系におけるL*値と、圧搾部85,86,87のL*a*b*表色系におけるL*値との差が、5以上かつ23以下であることが好ましい。
【0061】
国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage)によって規定されているL*a*b*表色系におけるL*値は、例えば色彩色差計(KONICA MINOLTA社製 CR−3000)を用いて以下のように測定することができる。まず、吸収性物品の非肌面シート20を下にした状態で、黒色シート上に吸収性物品を置く。次に、吸収性物品の肌面シート10側から、測定対象となる領域のL*値を、色彩色差計で測定する。
【0062】
(4)粘着領域
図2に示すように、吸収性物品1は、吸収性物品1を下着Sに止めるための粘着剤が設けられた第1本体粘着領域61、第2本体粘着領域62、ウイング粘着領域63及びヒップフラップ粘着領域64を有する。これらの粘着領域61〜64は、非肌面シート20の非肌対向面に設けられている。粘着領域61〜64は、使用前の状態において、剥離シートによって覆われていてもよい。剥離シートは、使用前に粘着領域61〜64の粘着剤の劣化を防止する。剥離シート65、使用時に、着用者によって剥離される。
【0063】
第1本体粘着領域61は、第2本体粘着領域62よりも前方に配置されている。第1本体粘着領域61は、第2本体粘着領域62から前後方向Lに離間して配置されている。第1本体粘着領域61は、幅スリット41よりも前側で、中央域S1と前側域S2に跨って配置されていてよい。第2本体粘着領域62は、幅スリット41よりも後側で、後側域S3に配置されている。ウイング粘着領域63はウイング3に設けられている。ヒップフラップ粘着領域64はヒップフラップ4に設けられている。
【0064】
幅スリット41及び前後スリット42は、厚み方向Tにおいて、すべての粘着領域61〜64と重なっていない。言い換えると、平面視にて、幅スリット41及び前後スリット42が配置された領域には、粘着領域61〜64が設けられていない。また、一対の後側圧搾部84によって挟まれた領域は、粘着領域61〜64と重ならない領域に配置されていてよい。
【0065】
第1の圧搾部85、第2の圧搾部87及び第3の圧搾部86は、ヒップフラップ4の外縁4Eとヒップフラップ粘着領域64との間を通って延びている。ヒップフラップ粘着領域64よりも幅方向Wの外側には、粘着領域が設けられていないことが好ましい。
【0066】
ヒップフラップ4の凸部4Fの麓部を結んで得られる仮想線ILとヒップフラップ粘着領域64との間の距離は、20mm以下であることが好ましい。また、粘着領域64は、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1に設けられていることが好ましい。
【0067】
(5)着用中の吸収性物品
生理用ナプキンとしての吸収性物品1を着用する際、吸収性物品1は下着Sに固定される。着用された状態の吸収性物品1の中央域S1は、装着者の両足によって挟まれ、幅方向Wの外側から幅方向Wの内側に向かう力を受ける。
【0068】
吸収性物品1の幅方向Wに沿った着用者の身体の断面形状は、股下近傍と臀部近傍とで異なる。具体的には、着用者の股下の陰裂(経血が出る膣口あたり)近辺の身体の断面形状は、大陰唇が大陰唇の付け根よりも出っ張っており、吸収性物品1側に突出する凸形状である。この着用者の股下域に、吸収性物品の中央域S1が対向して配置される。吸収性物品1は、下着Sに装着され、かつ着用者に着用された状態で、中央域S1の吸収コアが大陰唇の出っ張りに押し下げられ、非肌対向面側に隆起するように変形する。着用者の股下においては、中央域S1の吸収コアが身体に沿って配置され、股下における漏れを抑制できる。
【0069】
また、着用者の大陰唇より後方に位置する会陰部よりも後方には、肛門や臀裂が位置する。この会陰部よりも後方近辺の幅方向に沿った身体の断面形状は、幅方向の中心が窪んだ形状である。この着用者の臀部に、吸収性物品の後側域S3が対向して配置される。
【0070】
図5は着用者に装着された状態の吸収性物品の後側域S3の断面図である。
図5は、
図1の5A−5A線に沿った断面に相当する。なお、
図5において、着用者の身体を示すラインが二点鎖線で示されている。例えば夜用の生理用ナプキンは、仰向けの寝姿勢で使用されることが多い。体液の漏れの大半は、一回に多量に経血が排出されて、膣口の直下における経血の吸収が間に合わなかった場合や、膣口の直下に位置する吸収体が身体にフィットしていなかった場合に、臀部より窪んだ部分に経血が流れ込み、当該経血が身体を伝って漏れるものである。身体の臀部と吸収性物品の間に隙間が生じていると、経血が身体を伝わって背側後方に伝わり、吸収性物品の後ろから漏れてしまうおそれがある。
【0071】
本実施の形態の吸収性物品は、後側域S3において吸収コア31の側部が左右の臀部によって押し下げされる。よって、後側域の吸収コアの幅方向の側部には、後側域の吸収コア31の幅方向の中央よりも力がかかる。吸収コアの側部が左右の臀部によって押し下げされると、後側域の吸収体の幅方向の中央は、前後スリット42を頂点として着用者側に隆起する。特に、後側域S3の比較的前側の領域は、前後スリット42を頂点として着用者側に隆起する。よって、後側域S3の吸収コア31の幅方向の中央が臀部間の窪みに配置され易く、より着用者の臀部に沿って吸収コア31をフィットできる。
【0072】
(6)作用・効果
一実施形態によれば、離散的に並んだ複数の第1及び第2の圧搾部85,87が、後側域S3の吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの外側で、ヒップフラップ4の外縁に沿って設けられている。さらに、複数の第2の圧搾部87のピッチは複数の第1の圧搾部85のピッチよりも小さい。ピッチの小さい第2の圧搾部87が第1の圧搾部85よりも内側に形成されているため、第2の圧搾部87よりも内側に大きなヒップフラップ4が存在するような感覚を消費者に与えることができる。ヒップフラップ4は着用者の臀部に当接する部分であるため、着用者に、臀部からの体液の漏れが防止されそうであるという安心感を与えることができる。一方で、消費者は、ピッチの大きい第1の圧搾部85を、吸収性物品1のフリルとして認識し易い。このようなフリルは、消費者に特に柔らかいものであるというイメージを与えるため、履き心地がよさそうであるという安心感を与えることができる。
【0073】
一実施形態によれば、複数の第1の圧搾部85と複数の第2の圧搾部87との間に、離散的に並んだ複数の第3の圧搾部86が設けられている。さらに、複数の第3の圧搾部86のピッチは、複数の第1の圧搾部85のピッチよりも小さく、複数の第2の圧搾部87のピッチよりも大きい。
【0074】
これにより、ヒップフラップ4の外縁部、すなわちフリルの部分がレースのように軽いというイメージを、消費者に与えることができる。これにより、吸収性物品1を綺麗に見せることができ、着用者の購買意欲を向上させることができる。
【0075】
一実施形態によれば、肌対向面側から見たときに、後側域S3の吸収コア31が設けられた領域のL*a*b*表色系におけるL*値と、ヒップフラップ4の、第2の圧搾部86よりも内側の領域のL*a*b*表色系におけるL*値との差が、15以下である。なお、L*値は明度を表している。これにより、消費者は、後側域の吸収コアの領域とヒップフラップの領域を目視で見分け難くなり、後側域の吸収コアの領域とヒップフラップの領域が一体になっているように感じる。その結果、消費者は、吸収性物品が臀部を大きく包み込みそうであるという安心感を覚える。
【0076】
表1は、上記実施形態の吸収性物品の異なる複数のサンプルについて、L*値を測定した結果を示している。L*値の測定方法は、上述したとおりである。各サンプルは、上記の実施形態で説明した吸収性物品の構成と同様であるが、ヒップフラップ4の、第2の圧搾部86よりも内側の領域の明度が互いに異なっている。
【0078】
ここで、官能評価1は、吸収コアが設けられた領域が、ヒップフラップ4の第2の圧搾部86よりも内側の領域と一体感を持っているかどうかという指標となる。官能評価1は、以下のような評価である。
【0079】
官能評価1について、一体感がない場合、「×」と表記されている。「×」よりも一体感がある場合、「△」と表記されている。「△」よりもさらに一体感がある場合、「○」と表記されている。「○」よりもさらに一体感がある場合、「◎」と表記されている。L*値の差は、15以下であってよいが、表1から11.8以下であることが好ましいことがわかる。また、L*値の差は、より好ましくは6.89以下であり、さらに好ましくは1.43以下である。
【0080】
一実施形態によれば、複数の第1及び第2の圧搾部85,87は、一方のヒップフラップ4の外縁4Eから後側域S3の後端縁を経て他方のヒップフラップ4の外縁4Eまで延びている。これにより、消費者に、フリルの領域が吸収性物品1の後側域S3の後端縁にまで及んでいるように見せることができ、履き心地がよさそうであるという安心感を与えることができる。
【0081】
一実施形態によれば、第1の圧搾部85及び第2の圧搾部87は、点状圧搾部である。点状圧搾部が形成された部分は、その周りの領域(圧搾部が形成されていない領域)よりも透明度が高くなる。これにより、ヒップフラップ4の外縁4Eに沿って、ヒップフラップ4よりも透明度の高い領域が形成される。消費者は、これにより、ヒップフラップ4の外縁4Eに沿ってフリルのような装飾を有すると認識し易い。このように、消費者に対して吸収性物品1を綺麗に見せることができ、消費者の購買意欲を向上させることができる。
【0082】
一実施形態によれば、ヒップフラップ4の外縁4Eは、多数の凸部4Fを有する波形形状に形成されており、複数の第1の圧搾部85は、各々の凸部4Fの麓部を結んで得られる仮想線ILよりも内側で、仮想線ILに沿って形成されている。ヒップフラップ4の外縁4Eに外側から局所的に力が加えられたとき、力の作用点付近に設けられた少数の凸部4Fが折り返される。しかしながら、凸部4F同士の間に隙間(凹部)が存在するため、ある凸部4Fに加えられた力は、隣接する凸部4Fに伝わり難くなっている。その結果、局所的に力が加えられた凸部4Fを起点にヒップフラップ4が大きくめくれるということが抑制される。
【0083】
さらに、各々の凸部4Fの麓部を結んで得られる仮想線ILよりも内側に設けられた第1の圧搾部85が形成された領域の剛性は、当該第1の圧搾部85によって高くなっている。その結果、ヒップフラップ4の凸部4Fがめくれたとしても、比較的高い剛性によって、凸部4Fが元の状態に戻りやすくなっている。
【0084】
各々の点状圧搾部の形状が円形である場合、 各々の点状圧搾部の直径は、好ましくは0.5〜5.0mmであり、より好ましくは1.0〜3.0mmである。各々の点状圧搾部の直径を0.5mm以上にすることで、点状圧搾部のところでヒップフラップの外縁が折れやすくなり、ヒップフラップが全体的に大きく折れ曲がることを抑制できる。また、各々の点状圧搾部の直径を5.0mm以下にすることで、点状圧搾部が皮膚に触れたときの違和感を低減することができる。
【0085】
一実施形態によれば、複数の第1の圧搾部85は各々の凸部4Fに応じて設けられている。ヒップフラップ4の凸部4Fに対応して第1の圧搾部85を設けることで、どの凸部4Fがめくれたとしても、元の状態に戻り易くすることができる。
【0086】
一実施形態によれば、吸収性物品1を肌対向面側から見たときに、ヒップフラップ4の、圧搾部が形成されていない領域のL*a*b*表色系におけるL*値と、少なくとも第1及び第2の圧搾部85,87のL*a*b*表色系におけるL*値との差が、5以上、23以下である。この場合、第1及び第2の圧搾部85,87の領域が、圧搾部が形成されていない領域とは異なる領域であることがクリアに認識される。消費者は、これにより、ヒップフラップ4の外縁4Eに沿ってフリルのような装飾を有すると認識し易い。このように、消費者に対して吸収性物品1を綺麗に見せることができ、消費者の購買意欲を向上させることができる。
【0087】
表2は、上記実施形態の吸収性物品の異なる複数のサンプルについて、L*値を測定した結果を示している。L*値の測定方法は、上述したとおりである。各サンプルは、上記の実施形態で説明した吸収性物品の構成と同様であるが、圧搾部が形成されていない領域の明度が互いに異なっている。
【0089】
ここで、官能評価2は、第1及び第2の圧搾部85,87の領域が、圧搾部が形成されていない領域とは異なる領域であるとクリアに認識できるかどうかを表す指標となる。官能評価2は、以下のような評価である。
【0090】
官能評価2について、フリルのようなデザインをクリアに認識できない場合、「×」と表記されている。「×」よりもクリアに認識できる場合、「○」と表記されている。「○」よりもさらにクリアに認識できる場合、「◎」と表記されている。L*値の差は、5以上であってよいが、表1から8.12以上であることが好ましいことがわかる。また、L*値の差は、より好ましくは12.08以上であり、さらに好ましくは19.24以上である。
【0091】
一実施形態によれば、仮想線ILは、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側の領域において、前側から後側に向かうにつれて幅方向Wの外側に単調に膨らんでいる。これにより、ヒップフラップ4の幅は、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側の領域において、前側から後側に向かうにつれて実質的に徐々に大きくなる。その結果、ヒップフラップ4に皺が発生することを抑制することができる。仮に、ヒップフラップ4の幅が、ヒップフラップ4の最大幅の位置P1よりも前側の領域で増加したり減少したりしている場合、ヒップフラップ4の幅が狭い部分は、幅方向Wに皺が発生し易くなってしまう。このような皺は、ヒップフラップ4の凸部4Fの折れを誘発しやすい。
【0092】
さらに、ヒップフラップ4の幅がヒップフラップ4の最大幅の位置P1に達するまで実質的に大きくなることで、着用者に、ヒップフラップの外縁全体がレースのように軽くなびくという印象を与えることができる。このように、消費者に対して吸収性物品1を綺麗に見せることができ、消費者の購買意欲を向上させることができる。
【0093】
一実施形態によれば、中央域S1に配置される吸収コアと後側域S3に配置される吸収コアとの間に、吸収性物品の幅方向Wに沿って延びる幅スリット41が設けられている。幅スリット41は、吸収材料が設けられていない領域、又は中央域S1及び後側域S3に配置される吸収コアよりも目付の低い吸収材料が設けられた領域からなる。幅スリット41と中央域S1の吸収コアとの境界は、吸収性物品の変形起点になり得る。同様に、幅スリット41と後側域S3の吸収コアとの境界は、吸収性物品の変形起点になり得る。この幅スリット41により、吸収性物品1は、着用者の臀部の膨らみが押し潰された際に、臀部の変形に沿って柔軟に変形し得る。また、幅スリット41は吸収材料が設けられていない領域、又は中央域S1及び後側域S3に配置される吸収コアよりも目付の低い吸収材料が設けられた領域からなるため、柔軟に変形し易い。着用者の臀部の潰れた部分が股下側に移動した際に、幅スリット41によって臀部の変形が吸収され、幅スリット41の前後の領域を着用者に当て続け易くなる。さらに、幅スリット41によって、中央域S1の吸収コアにかかった力が、後側域S3の吸収コアに伝播することを抑制できる。
【0094】
一実施形態によれば、中央域S1に配置される吸収コアは、吸収コアの外側縁よりも幅方向の内側に位置し、吸収コアの外側縁の厚みよりも厚い中高部33を有する。好ましくは、中高部33は、幅スリット41に隣接している。これにより、幅スリット41と中央域S1の吸収コアとの境界が、より曲がり易くなり、より明確な変形起点が形成される。したがって、吸収性物品1をより着用者の体にフィットさせ易くなる。
【0095】
一実施形態によれば、後側域S3に配置される吸収コア31は、吸収性物品1の幅方向Wの中心を通る中心線CLに沿って延びる前後スリット42を有し、前後スリット42は吸収材料が設けられていない領域、又は後側域S3に配置される吸収コア31よりも目付の低い吸収材料が設けられた領域からなる。後側域S3において吸収コア31の側部、すなわち前後スリット42を挟んで両側の吸収コアは、左右の臀部によって押圧される。これにより吸収コアの側部が左右の臀部によって押し下げされると、後側域S3の吸収体の幅方向の中央は、前後スリット42を頂点として着用者側に隆起する。よって、後側域S3の吸収コア31の幅方向の中央が臀部間の窪みに配置され易く、より着用者の臀部に沿って吸収コア31をフィットできる(
図5も参照)。その結果、経血等の体液が身体を伝わって背側後方に伝わり流れ、吸収性物品の後ろから漏れることを防止できる。
【0096】
一実施形態によれば、後側域S3に配置される吸収コアは、前後スリット42に連なり、かつ前後スリット42から幅方向Wの外側に延びる補助スリット43をさらに有し、補助スリット43の外側縁は後側域S3の吸収コアの外側縁よりも幅方向Wの内側に位置する。補助スリット43は、幅方向Wに沿って延びる変形基点を形成する。後側域S3の吸収コアは、補助スリット43を基点に変形でき、身体の前後方向に沿った丸みに沿ってフィットされ易くなる。
【0097】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【解決手段】吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wと、着用者の股下に配置される中央域S1と、中央域S1の後側に位置する後側域S3と、少なくとも後側域S3に配置される吸収コア31と、を有し、後側域S3には、幅方向Wの外側に膨らんだヒップフラップ4が設けられており、後側域S3の吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの外側で、ヒップフラップ4の外縁に沿って離散的に並んだ複数の第1及び第2の圧搾部85,87が設けられており、第2の圧搾部87は、複数の第1の圧搾部85よりも内側に設けられており、複数の第2の圧搾部87のピッチは複数の第1の圧搾部85のピッチよりも小さい。