(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6043417
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】フレーム伝送装置およびフレーム伝送方法
(51)【国際特許分類】
H04J 3/00 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
H04J3/00 V
H04J3/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-181071(P2015-181071)
(22)【出願日】2015年9月14日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 将之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 靖行
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 公昭
(72)【発明者】
【氏名】前田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小谷川 喬
(72)【発明者】
【氏名】北村 圭
(72)【発明者】
【氏名】横田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 義朗
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/081083(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0243428(US,A1)
【文献】
国際公開第2016/084893(WO,A1)
【文献】
特開2011−130245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを送信するフレーム伝送装置であって、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際のクライアント信号収容情報を生成する手段と、
第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第1のクライアント信号収容情報および第1のマルチフレームよりも後に送信される第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第2のクライアント信号収容情報を保持し、第1のクライアント信号収容情報に基づいて第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容し、第2のクライアント信号収容情報を分割して、第1のマルチフレームの複数のOTNフレームのオーバーヘッドに割り当てる手段と
を備えた、フレーム伝送装置。
【請求項2】
光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを受信するフレーム伝送装置であって、
受信したマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドの少なくとも一部を順次バッファする手段と、
順次バッファした複数のOTNフレームのオーバーヘッドから、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてクライアント信号収容情報を生成する手段であって、第1のマルチフレームよりも後に受信する第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてのクライアント信号収容情報を、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成する、手段と、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離する手段であって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成したクライアント信号収容情報に基づいて、第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離する、手段と
を備えた、フレーム伝送装置。
【請求項3】
光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを送受信するフレーム伝送装置であって、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際のクライアント信号収容情報を生成する手段と、
第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第1のクライアント信号収容情報および第1のマルチフレームよりも後に送信される第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第2のクライアント信号収容情報を保持し、第1のクライアント信号収容情報に基づいて第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容し、第2のクライアント信号収容情報を分割して、第1のマルチフレームの複数のOTNフレームのオーバーヘッドに割り当てる手段と、
受信したマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドの少なくとも一部を順次バッファする手段と、
順次バッファした複数のOTNフレームのオーバーヘッドから、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてクライアント信号収容情報を生成する手段であって、第2のクライアント信号収容情報を、第2のマルチフレームよりも前に受信した第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成する、手段と、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離する手段であって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成した第2のクライアント信号収容情報に基づいて、第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離する、手段と、
を備えた、フレーム伝送装置。
【請求項4】
光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを送信するフレーム伝送方法であって、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際のクライアント信号収容情報を生成することであって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第1のクライアント信号収容情報および第1のマルチフレームよりも後に送信される第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第2のクライアント信号収容情報を生成することを含む、ことと、
第1のクライアント信号収容情報に基づいて第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容し、第2のクライアント信号収容情報を分割して、第1のマルチフレームの複数のOTNフレームのオーバーヘッドに割り当てることと
を備える、フレーム伝送方法。
【請求項5】
光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを受信するフレーム伝送方法であって、
受信したマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドの少なくとも一部を順次バッファすることと、
順次バッファした複数のOTNフレームのオーバーヘッドから、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてクライアント信号収容情報を生成することであって、第1のマルチフレームよりも後に受信する第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてのクライアント信号収容情報を、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成することを含む、ことと、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離することであって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成したクライアント信号収容情報に基づいて、第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離することを含む、ことと
を備える、フレーム伝送方法。
【請求項6】
光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを送信するフレーム伝送方法であって、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際のクライアント信号収容情報を生成することであって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第1のクライアント信号収容情報および第1のマルチフレームよりも後に送信される第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第2のクライアント信号収容情報を生成することを含む、ことと、
第1のクライアント信号収容情報に基づいて第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容し、第2のクライアント信号収容情報を分割して、第1のマルチフレームの複数のOTNフレームのオーバーヘッドに割り当てることと、
受信したマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドの少なくとも一部を順次バッファすることと、
順次バッファした複数のOTNフレームのオーバーヘッドから、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてクライアント信号収容情報を生成することであって、第1のマルチフレームよりも後に受信する第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についての第2のクライアント信号収容情報を、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成することを含む、ことと、
マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離することであって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成した第2のクライアント信号収容情報に基づいて、第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離することを含む、ことと
を備える、フレーム伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータを格納したフレームを伝送するフレーム伝送装置および方法に関し、より詳細には、基幹通信網で用いられる通信規格である「光伝送網」(Optical Transport Network、OTN)に準拠したフレームを伝送するフレーム伝送装置およびフレーム伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の基幹通信網では、国際標準化機関である「国際電気通信連合−電気通信標準化部門」(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector、ITU-T)が勧告した「光伝送網」(Optical Transport Network、OTN)という光伝送規格が、広く利用されている。OTNは、波長多重(Wavelength Division Multiplex、WDM)信号の管理を意識した監視制御系、イーサネット(登録商標)や同期デジタルハイアラーキ(Synchronous Digital Hierarchy、SDH)などの多様なクライアント信号を収容して透過的に転送するためのビットレートやマッピング方式などを規定している。(非特許文献1参照)
【0003】
図1は、OTNのフレーム構造を説明する図である。なお、OTNフレームを構成する各種フレームの冒頭には、データを伝送する際に用いられるアドレス情報や各種監視信号を格納するオーバーヘッドが付与されるが、以下ではオーバーヘッドをOHと略し、OHに格納されて伝送される情報や信号をOH情報と略して説明する。OPUkフレーム110は、イーサネット(登録商標)やSDHなどのクライアント信号100が収容されたペイロード領域112と、クライアント信号の収容情報を提供するOHであるOPUk(Optical Channel Payload Unit-k)OH領域114で構成される。OPUkフレーム110には、エンド・ツー・エンドのパス監視やパフォーマンスモニタのための信号を提供する(格納する)OHであるODUk(Optical Channel Data Unit-k)OH124が付与され、ODUkフレーム120が構成される。ODUkフレーム120には、3R再生(Re-amplification, reshaping, retiming)ポイント間の信号伝送である光チャネルの伝送に必要な保守・運用機能のための信号を提供する(格納する)OTUk(Optical Channel Transport Unit-k)OH134と、前方誤り訂正(Forward Error Correction、FEC)機能を提供するためのコード136が付与され、OTUkフレーム130が構成される。
【0004】
OTNには、複数のOTNフレームを1まとまりとし、この1まとまりのOTNフレームで所定のOH情報を送信する機能が備わる。この所定のOH情報の送信に用いられる複数のOTNフレームは「マルチフレーム」と呼ばれ、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームを用いて所定のOH情報を伝送することをマルチフレーム化と呼ぶ。
【0005】
以下、複数のOPUk OHを用いて送信される「多重構造拡張子」(Multiplex Structure Identifier、MSI)を例にとり、マルチフレームの概念を説明する。
【0006】
図2(a)は、
図1で説明したOTNフレーム構造をより詳細に説明する図である。OTNフレームの冒頭1行目の1〜7列にはフレーム同期(Frame Alignment、FA)OH230が定義され、それに続く1行目の8〜14列にはOTUk OH134が定義されている。2〜4行目の1〜14列にはODUk OH124が定義されている。1〜4行目の15〜16列にはOPUk OH114が定義され、1〜4行目の17〜3824列にはペイロード112が定義される。1〜4行目の3825〜4080列にはOTUk FECコード136が定義される。
【0007】
図2(b)は、OTNフレームにおけるFA OH230の構成を示している。FA OHは、最初の6バイト(OTNフレームの1行目1〜6列に相当)にフレーム同期信号(Frame Alignment Signal、FAS)232が定義され、それに続く1バイト(同1行目7列に相当)にマルチフレーム同期信号(Multi-Frame Alignment Signal、MFAS)234が定義されている。MFASはカウンタと同等のものであり、MFASの値(MFAS値)は、1つのOTNフレーム130を送信する度に0(ビット列で「0000 0000」)から255(同「1111 1111」)のまでインクリメントされて付与される。MFAS値は、255に達すると再び0に戻ってインクリメントされる。MFAS値が0のOTNフレームから同255番のOTNフレームまでの1まとまりは「マルチフレーム」を構成し得る。
【0008】
図2(c)は、OPUk OH114のより詳細な構成であって、特に複数のOPU4 OHを用いて送信されるOPU4 OHの情報の構成を示している。OPU4 OHの情報は、マルチフレーム化されて伝送されるOH情報である。OTNフレームの1〜3行目の15、16列のそれぞれは、スタッフ制御(Justification Control、JC)バイトが定義されている。OTNフレームの4行目の15列にはペイロード構造識別子(Payload Structure Identifier、PSI)が定義され、4行目の16列にはOPUマルチフレーム識別子(OPU Multi-Frame Identifier、OMFI)が定義されている。1つのOTNフレーム130には、1つのPSI(1バイト、PSIバイトと呼ぶ)しか定義されていないが、1つのマルチフレームを構成する256個のOTNフレームで送信されるPSIバイトを集積することで、
図2(c)の右図に示したようなOH情報(OPU4 OHの情報(合計256バイト))が形成される。このように、256個のOTNフレームで構成されるマルチフレームを用いてマルチフレーム化されて伝送されるOPU4 OHの情報は、OH情報の1つである。
【0009】
OPU4 OHの情報のうちで、MFAS234の値が2から81までのOTNフレームのPSIバイトを集積することで得られる80バイトは、多重構造拡張子(Multiplex Structure Identifier、MSI)244を構成する。MSIには、OPUkペイロード112にクライアント信号がどのように収容されているかを示す情報が格納されている。より詳細には、MSIの各バイトは、トリビュタスロット(TS)がOPUkペイロード112に配置されるかどうか、TSが配置される場合には当該TSのトリビュタリポートの番号(TSの宛先(TSに収容されたクライアントの番号))を示す。TSは、クライアント信号をマッピングしたトリビュタリユニットがさらにマッピングされるスロットである。
【0010】
以上述べたとおり、OTNは、多様なクライアント信号を収容してネットワークを伝送する機能を提供しているが、クライアント信号の収容情報は、1マルチフレームから得られる80バイトのMSIを用いてフレーム伝送装置間で共有される。送信側のフレーム伝送装置は、制御部から提供された80バイトのMSIから
図2(c)の右図に記載された256バイトのOH情報(OPU4 OHの情報)を形成し、FA OHにおけるMFASの値が0に設定されるOTNフレームのPSIバイトに当該OH情報の1バイト目を、MFASの値が1に設定されるOTNフレームのPSIバイトに当該OH情報の2バイト目を、・・・MFASの値が255に設定されるOTNフレームのPSIバイトにOH情報の256バイト目を、順次付与する。
【0011】
他方、受信側のフレーム伝送装置は、受信したOTNフレームの各OHに基づいて、256バイトからなるPSI(OH情報であるOPU4 OHの情報(
図2(c)右))とそこに含まれる80バイトのMSIを形成し、形成したMSIに基づき、OTNフレームからクライアント信号を分離する。
【0012】
図3(a)〜(c)は、受信側のフレーム伝送装置のOTNフレーマにおけるクライアント信号分離処理を説明する図である。フレーム伝送装置のOTNフレーマは、受信バッファ386と、制御部382と、分離器388とを備える。通常、フレーム伝送装置はOTNフレームを送信する機能と受信する機能の双方を備えるが、説明の簡略化のため、受信機能のみを備えた構成であるとして説明する。OTNフレーマの受信バッファ386は、受信したOTNフレームを順次格納し、MSIを正しく認識するために必要な少なくとも1マルチフレーム分(すなわち256個)のOTNフレームを格納する(ステップb1)(
図3(a))。少なくとも1マルチフレーム分のOTNフレームが受信バッファ386に格納されると、制御部382は、1マルチフレーム分のOTNフレームのPSIバイトを集積して、256バイトのPSI(OH情報)を形成し、PSIに含まれる80バイトのMSIを形成する(ステップb2)(
図3(b))。PSIに含まれる80バイトのMSIが分離器388へ提供される。分離器388は、制御部から提供されたMSIに基づき、受信バッファ386に格納された1マルチフレーム分のOTNフレームの各々からクライアント信号を分離する(ステップb3)(
図3(c))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】International Telecommunication Union, “Interfaces for the optical transport network,” Recommendation ITU-T G.709/Y.1331, 2012年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、MSIは1マルチフレーム分のOTNフレームにおけるPSIバイトを集積して得られるものである。ゆえに、受信側のフレーム伝送装置がOTNフレームからクライアント信号を分離処理するためには、フレーム伝送装置は少なくとも1マルチフレーム分のOTNフレームの到着を待ってMSIを形成し、当該MSIを用いて1マルチフレームに含まれるOTNフレームからクライアント信号を分離していた。そのため、伝送装置は、少なくとも1マルチフレーム分のOTNフレームを蓄積する大きな受信バッファを備える必要があり、伝送装置の高コスト化、消費電力の増大を招いていた。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、大きな受信バッファを備える必要がないフレーム伝送装置および方法を提供することにある。また、低コスト化、低消費電力化したフレーム伝送装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するために、本発明は、光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを送信および/または受信するフレーム伝送装置である。フレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームを形成する際、少なくとも1つ前のマルチフレームを用いて送信したクライアント信号収容情報を用いて、ペイロードにクライアント信号を収容するように構成されている。すなわち、フレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際のクライアント信号収容情報を、少なくとも1つ前のマルチフレームでマルチフレーム化して送信するように構成されている。また、フレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームからクライアント信号を分離する際、少なくとも1つ前のマルチフレームで受信したクライアント信号収容情報を用いて、マルチフレームを構成するOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離するように構成されている。
【0017】
本発明の一態様は、OTNのフレームを送信するフレーム伝送装置であり、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際のクライアント信号収容情報を生成する手段と、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第1のクライアント信号収容情報および第1のマルチフレームよりも後に送信される第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容する際の第2のクライアント信号収容情報を保持し、第1のクライアント信号収容情報に基づいて第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容し、第2のクライアント信号収容情報を分割して、第1のマルチフレームの複数のOTNフレームのオーバーヘッドに割り当てる手段とを備える。
【0018】
また、本発明の一態様は、OTNのフレームを受信するフレーム伝送装置であり、受信したマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドの少なくとも一部を順次バッファする手段と、順次バッファした複数のOTNフレームのオーバーヘッドから、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてクライアント信号収容情報を生成する手段であって、第1のマルチフレームよりも後に受信する第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてのクライアント信号収容情報を、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成する、手段と、マルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離する手段であって、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから生成したクライアント信号収容情報に基づいて、第2のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離する、手段とを備える。
【0019】
さらに、本発明の一態様は、OTNのフレームを送受信するフレーム伝送装置であり、OTNのフレームを送信する機能およびOTNのフレームを受信する機能の双方を有する。
【0020】
本発明の一態様は、OTNのフレームを送信するフレーム伝送方法である。
本発明の一態様は、OTNのフレームを受信するフレーム伝送方法である。
本発明の一態様は、OTNのフレームを送受信するフレーム伝送方法である。
一実施形態では、クライアント信号収容情報は、多重構造拡張子(MSI)である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、大きな受信バッファを備える必要のないフレーム伝送装置および方法を提供することができ、また低コスト化、低消費電力化したフレーム伝送装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】(a)はOTNフレーム構造をより詳細に説明する図であり、(b)はOTNフレームにおけるFA OHの構成を示す図であり、(c)は複数のOPU4 OHを用いて送信されるOPU4 OHの情報の構成を示す図である。
【
図3】(a)〜(c)は、従来のフレーム伝送装置のOTNフレーマにおけるクライアント信号分離処理を説明する図である。
【
図4】(a)は本発明の一実施形態に係るフレーム伝送システムの構成を説明する図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るOTNフレーマの構成を説明する図である。
【
図5】(a)は従来のOTNフレーム生成処理を説明する図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るOTNフレーム生成処理を説明する図である。
【
図6】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るクライアント信号の分離処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態のフレーム伝送装置は、OTNのフレーム(OTNの標準規格で特定(規定)されるフレーム)を伝送する装置である。OTNのフレームを送信するフレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームを形成する際、少なくとも1つ前のマルチフレームを用いて送信したクライアント信号収容情報を用いて、ペイロードにクライアント信号を収容するように構成されている。すなわち、OTNのフレームを送信するフレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームを形成する際、当該マルチフレームを構成するOTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてのクライアント信号収容情報(例えば、多重構造拡張子(MSI))を、少なくとも1つ前のマルチフレームを構成するOTNフレームを用いてマルチフレーム化して送信するように構成されている。
【0024】
他方、光伝送ネットワーク(OTN)のフレームを受信するフレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームからクライアント信号を分離する際、当該マルチフレームの少なくとも1つ前のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームでマルチフレーム化されて受信したクライアント信号収容情報を用いて、当該マルチフレームを構成するOTNフレームのペイロードからクライアント信号を分離するように構成されている。
【0025】
図4(a)は、本実施形態に係るフレーム伝送装置を含むフレーム伝送システムの構成を説明する図である。
図4(a)の伝送システム400は、複数のフレーム伝送装置A420と,複数のフレーム伝送装置B460と、これらフレーム伝送装置を接続するネットワーク440とを備える。通常、フレーム伝送装置はOTNフレームを送信する機能と受信する機能の双方を備えるが、説明の簡略化のため、フレーム伝送装置A420は送信機能のみを備えた構成であり、フレーム伝送装置B460は受信機能のみを備えた構成であるとして説明する。
【0026】
送信側のフレーム伝送装置A420は、
図1に示した構成のOTNフレームにクライアント信号を収容するOTNフレーマ422と、OTNフレーマから出力された電気信号のOTNフレームを光信号に変換する光送信器(TX)424とを備える。また、フレーム伝送装置A420は、通常は複数のOTNフレーマ422と光送信器424の組と、複数の光送信器から出力された波長の異なる光信号を波長多重する光波長多重(WDM)装置426とを備える。波長多重された光信号はネットワーク440へ送信される。
【0027】
受信側のフレーム伝送装置B460は、ネットワーク440を解して受信した光信号を電気信号のOTNフレームに変換する光受信器(RX)464と、OTNフレームからクライアント信号を分離するOTNフレーマ462とを備える。また、フレーム伝送装置B460は、通常は複数のOTNフレーマおよび光受信器の組と、光波長多重装置(WDM)466とを備える。ネットワーク440を解して受信した光信号は波長多重されているため、光波長多重(WDM)装置466で単一の波長の光信号に分離される。それぞれの光信号は、光受信器464で電気信号のOTNフレームに変換された後、OTNフレーマ462でクライアント信号が分離される。
【0028】
図4(b)は、本実施形態に係るOTNフレーマの構成を説明する図である。なお、
図4(a)の説明と異なり、普遍的な実装態様では、OTNフレーマはクライアント信号の収容機能と分離機能の双方を搭載される。従って、
図4(b)では、上記収容機能と分離機能の双方を搭載したOTNフレーマ(422,462)の構成を記載している。OTNフレーマ(422,462)は、光受信器464が出力した電気信号のOTNフレームを受信し、受信したOTNフレームを格納する受信バッファ486と、受信バッファに格納されたOTNフレームを受け取り、OTNフレームのOPUkペイロードに収容されているクライアント信号を分離する分離器488と、クライアント信号を受信してOPUkペイロードに格納し、所定のOHを付与してOTNフレームを形成して光送信器424に出力する多重器484と、制御部482とを備える。受信バッファ486は、受信したOTNフレームのOH(OPUk-OH、ODUk-OH、OTUk-OH、FA OH)のみを格納するOH受信バッファであってもよい。受信バッファ486が受信したOTNフレームのOHのみを格納する場合、受信したOTNフレームは受信バッファ486および分離器488へ並列して供給される。
【0029】
先ず、
図5を参照してOTNのフレームを送信するフレーム伝送装置におけるOTNフレーマにおけるクライアント信号の収容処理について詳述し、次いで
図6を参照してOTN)のフレームを受信するフレーム伝送装置のOTMフレーマにおけるクライアント信号の分離処理について詳述する。
【0030】
図5(a)は従来のOTNフレーム生成処理(収容処理)を説明する図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るOTNフレーム生成処理(収容処理)を説明する図である。なお、
図4(b)を参照して説明した本実施形態の送信側のフレーム伝送装置におけるOTNフレーマと同様に、従来の収容処理を行う送信側のフレーム伝送装置におけるOTNフレーマは、制御部と多重部を備える。
【0031】
(収容処理)
従来の収容処理では、
図5(a)に示すように、OTNフレーマの制御部は、クライアント信号の収容情報である80バイトのMSIを含む256バイトのPSIを形成し、多重器へ提供する(ステップa1)。次いで、OTNフレーマの多重器は、制御部から提供されたMSIに従い、OPUkペイロード112に受信したクライアント信号を収容するとともに、OPUkペイロードにOPUk OH114、ODUk OH124、OTUk OH134、OTUk FEC136およびFA OH230を付与し、OTNフレーム130を形成する(ステップa2)。ここで、当該OTNフレーム130のOPUk OH114のPSIバイト242には、制御部から提供された80バイトMSIを含む256バイトのPSIのうち、MFASの値に対応した1バイト分の情報が付与される。その後、OTNフレーマの多重器は、形成したOTNフレームを光送信器に出力する(ステップa3)。このように、従来の収容処理では、OTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてのクライアント信号収容情報を、当該OTNフレームを構成要素とするマルチフレーム内の複数の256個のOTNフレームを用いてマルチフレーム化して送信する。
【0032】
これに対して、本実施形態の収容処理では、
図5(b)に示すように、フレーム送信装置A420のOTNフレーマ422の制御部482は、クライアント信号の収容情報である80バイトのMSIを含む256バイトのPSIを形成し、多重器へ提供する(ステップA1)。次いで、OTNフレーマの多重器は、制御部から提供された最新のMSI(MSI-βとする。)およびMSI-βより以前に提供されたMSI(MSI-α)を保持する。OTNフレーマの多重器は、MSI-αに従い、OPUkペイロード112に受信したクライアント信号を収容するとともに、OPUkペイロードにOPUk OH114、ODUk OH124、OTUk OH134、OTUk FEC136およびFA OH230を付与し、OTNフレーム130を形成する(ステップA2)。ここで、当該OTNフレーム130のOPUk OH114のPSIバイト242には、制御部から提供された256バイトのPSIに含まれる80バイトのMSI-αを同MSI-βに替えたPSIのうち、MFASの値に対応した1バイト分の情報が付与される。その後、OTNフレーマの多重器は、形成したOTNフレームを光送信器に出力する(ステップA3)。このように、本実施形態の収容処理では、OTNフレームのペイロードにおけるクライアント信号の収容についてのクライアント信号収容情報(MSI)を、当該OTNフレームを構成要素とするマルチフレームよりも以前のマルチフレーム内の複数の256個のOTNフレームを用いてマルチフレーム化して送信する。マルチフレームを構成するOTNフレームのペイロードにクライアント信号を収容する際は、当該マルチフレームよりも前に送信したマルチフレームを構成する複数のOTNフレームでマルチフレーム化して送信したクライアント信号収容情報(MSI)に基づいて収容処理を行う。
【0033】
以上説明したように、従来の収容処理では、いずれのマルチフレームにおいても、MSIが示すクライアント信号収容情報と、OPUkペイロードに収容されたクライアント信号の収容状態との対応が一致する。
図5(a)の例では、マルチフレーム1、2ではMSI-αが送られ、当該マルチフレームに含まれるOTNフレームのクライアント信号収容状態はMSI-αの情報と一致する。一方、マルチフレーム3ではMSI-βが送られ、マルチフレーム3に含まれるOTNフレームのクライアント信号収容状態は、MSI-βの情報と一致する。
【0034】
これに対して、本実施形態の収容処理では、各マルチフレームでは、少なくとも1つ前のマルチフレームで送ったMSIを用いて、OPUkペイロードにクライアント信号が収容される。
図5(b)の例では、マルチフレーム2では、クライアント信号は1つ前のマルチフレーム1で送られたMSI-αに従ってOPUkペイロードに収容される一方、OPUk OHのPSIバイトには、最新のMSI-βを1バイトごとに分割した情報が収容される。
【0035】
(分離処理)
従来の分離処理では、
図3(a)〜(c)を参照して説明したように、受信側のフレーム伝送装置のOTNフレーマでは、少なくとも1マルチフレーム分(すなわち256個)のOTNフレームを受信バッファに格納し(ステップb1)。次いで、1マルチフレーム分のOTNフレームのPSIバイトを集積して、256バイトのPSI(OH情報)を形成し、PSIに含まれる80バイトのMSIを形成し(ステップb2)、その後、MSIに基づき、1マルチフレーム分のOTNフレームの各々からクライアント信号を分離する(ステップb3)。
【0036】
これに対して、本実施形態の分離処理では、受信側のフレーム伝送装置460のOTNフレーマ462の受信バッファ486は、受信したOTNフレーム(のOH)を順次格納し、OTNフレーマの制御部482は、受信バッファに格納されたOTNフレームからMFASの値とPSIバイトを受け取り、MSIを含む256バイトのPSIを形成していく(ステップB1−1)(
図6(a))。
【0037】
OTNフレーマ460の制御部482は、受信したOTNフレームのMFASの値に基づき、マルチフレーム1周期分(すなわち256個)のOTNフレーム(のOH)が受信バッファに格納されたことを確認すると、MSI-βが正常に取得できたと認識し、MSIを分離器へ提供する(ステップB2)(
図6(b))。ここで、受信バッファは、マルチフレーム1周期分のOTNフレームを格納しておく必要はない。
【0038】
受信したOTNフレーム(のOH)の格納に並行して、OTNフレーマ460の分離器488は、少なくとも1つ前のマルチフレームにより送られ、先に制御部482より提供されていたMSI-αに基づき、OTNフレームからクライアント信号を分離して出力する(ステップB1−1)(
図6(a))。
【0039】
OTNフレーマ460の分離器488は、制御部482から提供されたMSI-βに基づき、次に到達したマルチフレームに含まれるOTNフレームからクライアント信号を分離して出力する(ステップB3)(
図6(c))。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係るフレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームを形成する際、少なくとも1つ前のマルチフレームを用いて送信したクライアント信号収容情報(MSI)を用いて、ペイロードにクライアント信号を収容する。また、フレーム伝送装置は、マルチフレームを構成するOTNフレームからクライアント信号を分離する際、少なくとも1つ前のマルチフレームで送信されたクライアント信号収容情報(MSI)を用いて、ペイロードからクライアント信号を分離する。
【0041】
本実施形態のフレーム伝送装置によれば、受信側のフレーム伝送装置(に備わるOTNフレーマ)は、OTNフレームの受信処理やOTNフレームからクライアント信号を分離する処理などに必要な最小限の受信バッファを備えていればよく、受信バッファのサイズは従来のフレーム伝送装置よりも小さくすることができる。すなわち、本実施形態に係る伝送装置は、大きな受信バッファを備える必要がなくなるため、伝送装置の低コスト化、低消費電力化が可能になる。さらには、大きな受信バッファを備えていなくとも、受信したすべてのOTNフレームからクライアント信号を分離できるようになる。
【0042】
なお、
図5や
図6を用いた例では、MSIは、当該MSIに対応するクライアント信号の収容情報を用いてクライアント信号が収容されたマルチフレームの1つ前のマルチフレームを用いて送信することを説明していたが、これに限定されるものではない。例えば、送信側のフレーム伝送装置と受信側のフレーム伝送装置との間であらかじめMSIの事前送信タイミングが共有されているのであれば、MSIは1つ前のマルチフレームを用いて送信するだけでなく、さらにそれより前のマルチフレームを用いて送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 クライアント信号
110 OPUkフレーム
112 OPUkペイロード
114 OPUkオーバーヘッド
120 ODUkフレーム
124 ODUkオーバーヘッド
130 OTUkフレーム
134 OTUkオーバーヘッド
136 OTUkFEC
230 フレーム同期(FA)オーバーヘッド
232 フレーム同期信号(FAS)
234 マルチフレーム同期信号(MFAS)
242 ペイロード構造識別子(PSI)
244 多重構造拡張子(MSI)
246 OPUマルチフレーム識別子(OMFI)
300,400 光伝送システム
320,360、420,460 伝送装置
322,362、422,462 OTNフレーマ
340,440 ネットワーク
324,424 光送信器
326,366,426,466 光波長多重装置
364,464 光受信器
382,482 制御部
484 多重器
386,486 OH受信バッファ
388,488 分離器
【要約】
【課題】大きな受信バッファを備える必要がないフレーム伝送方法を提供する。
【解決手段】受信側において、光伝送ネットワーク(OTN)の第1のマルチフレームについての第1のクライアント信号収容情報(MSI-α)に基づいて第1のマルチフレーム内の複数のOTNフレームのペイロードへクライアント信号を収容し、第1のマルチフレームよりも後に送信される第2のマルチフレームについての第2のクライアント信号収容情報を第1のマルチフレームの複数のOTNフレームのオーバーヘッドに割り当て送信する。受信側において、第1のマルチフレームを受信して、第1のマルチフレームを構成する複数のOTNフレームのオーバーヘッドから第2のクライアント信号収容情報を生成し、第2のクライアント信号収容情報に基づいて、後から受信する第2のマルチフレームからクライアント信号を分離する。
【選択図】
図6