【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、スペクトラム拡散クロック(SSC)信号に関連する1つ以上の信号のような信号中の周波数偏位についてトリガをかけて分離する測定技術を提供する。実施形態によっては、その信号は、SSC変調がわずか又は無いデータ信号としても良い。SSC信号に基づくデータ信号のような信号を試験測定装置の入力端子に受けた後、SSC信号はローパス・フィルタ処理され、トリガ回路に送られる。フィルタ処理されたSSC信号中の周波数偏位が、1つ以上のしきい値を超えるか、横切ると、トリガ・イベントが生成される。
【0011】
実施形態の例によっては、試験測定装置の入力端子がSSCデータ信号を受けて、最初に、入力データ等化回路、スライサ回路、マルチプレクサ(MUX)、判定帰還等化回路、その他の適切なプリ処理回路などの入力回路を用いて、SSCデータ信号を処理する。dF/dTトリガ回路が入力回路に接続され、これはSSCデータ信号を受けて、SSC信号中の周波数偏位が、1つ以上のユーザ定義又は所定のしきい値を超えるか横切ると、トリガ・イベントを生成する。
【0012】
dF/dTトリガ回路は、種々の形で実現できる。例えば、dF/dTトリガ回路は、信号をフィルタ処理する位相ロック・ループ(PLL)回路と、
SSC信号中の周波数偏位が1つ以上のウィンドウ・トリガしきい値を超えるか横切ると、トリガ・イベントを生成するトリガ回路とを含んでいても良い。これに代えて、dF/dTトリガ回路が、アナログ・デジタル変換回路(ADC)及びデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を含んでいても良い。ADCは、PLL回路から信号を受けてデジタル化し、DSPはデジタル化信号を受けて、デジタル化信号が所定の期待SSCプロファイル、マスク又はパターンを破るとトリガ・イベントを生成する。
【0013】
より具体的には、本発明の第1観念は、試験測定装置であって、
信号を受ける入力端子と、
上記入力端子からの上記信号を受ける入力回路と、
上記入力回路に接続されるdF/dTトリガ回路とを具え、
上記dF/dTトリガ回路が、上記入力回路からの上記信号を受けて、上記信号の周波数偏位率が所定パターンを破ると、トリガ・イベントを生成するよう構成されることを特徴としている。
【0014】
本発明の第2概念は、第1概念の試験測定装置において、上記dF/dTトリガ回路が、信号のdF/dTが1つ以上のしきい値を超えるか又は横切るとトリガ・イベントを生成するよう構成されることを特徴としている。
【0015】
本発明の第3概念は、第2概念の試験測定装置において、1つ以上の上記しきい値がユーザが定義可能であることを特徴としている。
【0016】
本発明の第4概念は、第2概念の試験測定装置において、1つ以上の上記しきい値が予め定められていることを特徴としている。
【0017】
本発明の第5概念は、第2概念の試験測定装置において、上記信号は、スペクトラム拡散クロック(SSC)信号に基づくデータ信号であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第6概念は、第2概念の試験測定装置において、
位相検出回路と、該位相検出回路に接続された可変ローパス・フィルタとを含み、位相ロック・ループ(PLL)の比例パス出力信号を生成する回路を更に具え、
上記dF/dTトリガ回路が、上記可変ローパス・フィルタの出力端子に接続され、上記PLLの上記比例パス出力信号を受けるように構成されるトリガ回路を含み、該トリガ回路が上記PLLの上記比例パス出力信号に応じて上記トリガ・イベントを生成するように構成されることを特徴としている。
【0019】
本発明の第7概念は、第1概念の試験測定装置において、上記dF/dTトリガ回路が、上記信号のdF/dTが波形マスクを破ったときに上記トリガ・イベントを生成するように構成されることを特徴としている。
【0020】
本発明の第8概念は、第1概念の試験測定装置において、上記dF/dTトリガ回路が、位相ロック・ループ(PLL)回路と、該PLL回路に接続されたアナログ・デジタル変換回路(ADC)と、該ADCに接続されたデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)とを有し、上記ADCが上記PLL回路からの信号を受けてデジタル化し、上記DSPがデジタル化信号を受けて、上記デジタル化信号が所定期待パターンを破ったときに上記トリガ・イベントを生成するように構成されることを特徴としている。
【0021】
本発明の第9概念は、第8概念の試験測定装置において、上記所定期待パターンが所定期待SSCパターンを含み、dF/dTのピークが上記所定期待SSCパターンを破ったときに上記トリガ・イベントを生成するように上記DSPが構成されることを特徴としている。
【0022】
本発明の第10概念は、第8概念の試験測定装置において、上記PLL回路から受ける上記信号は、上記PLLの積分パスと上記PLLの比例パスからの信号を合算した合算信号を含み、上記DSPは、上記合算信号を上記所定期待SSCパターンと比較し、比較結果に応じて上記トリガ・イベントを生成するように構成されることを特徴としている。
【0023】
本発明の第11概念は、第8概念の試験測定装置において、上記DSPは、上記PLL回路から受ける上記信号の高周波数成分を、上記PLL回路から受ける上記信号の低周波数成分から分離するよう構成されることを特徴としている。
【0024】
本発明の第12概念は、第8概念の試験測定装置において、上記ADCと上記PLL回路の間にアンチ・エイリアス・フィルタを更に具えることを特徴としている。
【0025】
本発明の第13概念は、周波数偏位に対して瞬時にトリガをかける周波数偏位トリガ方法であって、
試験測定装置の入力端子に信号を受けるステップと、
位相ロック・ループ(PLL)回路の比例パス上で(比例パスの途中において)上記信号をローパス・フィルタ処理するステップと、
上記PLL回路からの上記フィルタ処理信号をトリガ回路に伝送するステップと、
上記信号の周波数偏位率が所定パターンを破ると上記トリガ回路を用いて上記試験測定装置がトリガをかけるステップとを具えている。
【0026】
本発明の第14概念は、第13概念の周波数偏位トリガ方法において、上記トリガ回路が、上記信号のdF/dTが1つ以上のしきい値を超えるか又は横切ると上記試験測定装置がトリガをかけることを特徴としている。
【0027】
本発明の第15概念は、第13概念の周波数偏位トリガ方法において、上記トリガ回路がアナログ・デジタル変換回路(ADC)及びデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を含み、更に、
上記PLLの積分パス及び上記PLLの比例パスからの信号を合算して合算信号を生成するステップと、
上記合算信号を上記DSPに伝送するステップと、
上記DSPを用いて、dF/dTイベントが所定期待パターンを破ったときに、上記試験測定装置にトリガをかけさせるステップとを具えることを特徴としている。
【0028】
本発明の第16概念は、第15概念の周波数偏位トリガ方法において、上記合算信号にアンチ・エイリアス・フィルタ処理を行うステップを更に具えることを特徴としている。
【0029】
本発明の第17概念は、第15概念の周波数偏位トリガ方法において、
上記ADCを用いて上記合算信号をデジタル化するステップと、
上記DSPを用いて上記dF/dTイベントを含む上記デジタル化合算信号を上記所定期待パターンと比較するステップと、
上記所定期待パターンに関連する1つ以上のしきい値を上記dF/dTイベントが横切ったとき、上記試験測定装置がトリガをかけるステップとを更に具えることを特徴としている。
【0030】
本発明の第18概念は、第13概念の周波数偏位トリガ方法において、上記試験測定装置のユーザからの入力に応じてdF/dTトリガをイネーブル(enable:利用可能に)するステップを更に具えることを特徴としている。
【0031】
本発明の第19概念は、第13概念の周波数偏位トリガ方法において、上記試験測定装置のユーザからの入力に応じて1つ以上のdF/dTトリガしきい値を設定するステップを更に具えることを特徴としている。
【0032】
本発明の第20概念は、第13概念の周波数偏位トリガ方法において、
所定期待パターンによって定まる上位しきい値よりも高い開始トリガしきい値を選択するステップと、
上記開始トリガしきい値から上記上位しきい値へと徐々に上記トリガしきい値を低くする処理を、上記フィルタ処理信号中のdF/dTイベントが徐々に低くなる上記トリガしきい値を横切るまで行うステップと
を更に具えることを特徴としている。
【0033】
本発明の第21概念は、第13概念の周波数偏位トリガ方法において、上記信号がスペクトラム拡散クロック(SSC)信号に基づくデータ信号であることを特徴としている。
【0034】
本発明の第22概念は、フレキシブル・ディスク(FD)、光ディスク、固定ディスク、RAM、ROM又はフラッシュ・メモリを含む装置であって、試験測定装置で実行したときに、上記第13概念のステップを実行する結果となる命令を有する装置アクセス可能な媒体を具えることを特徴としている。
【0035】
本発明の目的、効果及び他の新規な点は、以下の詳細な説明を添付の特許請求の範囲及び図面とともに読むことによって明らかとなろう。