特許第6043595号(P6043595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043595
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/02 20060101AFI20161206BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20161206BHJP
   H01L 21/301 20060101ALN20161206BHJP
【FI】
   B24B55/02 D
   B28D7/02
   !H01L21/78 F
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-244902(P2012-244902)
(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-91207(P2014-91207A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ポール ヴィンセント アテンディド
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−141308(JP,A)
【文献】 特開平11−277011(JP,A)
【文献】 特開2004−247447(JP,A)
【文献】 特表2009−521386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/02
B24B 27/06
B28D 7/02
H01L 21/301
H01L 21/304
B08B 5/02
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に切削液を供給しながら切削領域において切削加工する加工手段と、該チャックテーブルを切削方向に切削送りする切削送り手段と、を具備する切削装置において、
該切削送り手段によって該切削領域から搬出される該チャックテーブルに保持された該被加工物に圧縮エアーを噴出し、該被加工物の上面に乗った該切削液を除去するスリット状噴出口を有するエアーナイフノズルが該切削方向と交差する方向に配設され、
該エアーナイフノズルは、
供給口から圧縮エアーが供給され、長手側の一側面に該被加工物の幅を超える長さの長尺穴を有する管状本体部と、
該管状本体部の該一側面に対向して配設され、該長尺穴を覆う対向面を有するカバープレートと、
該管状本体部と該カバープレートとに挟持され、該管状本体部の一側面と該カバープレートの対向面とに隙間を形成して該スリット状噴出口を形成する板状のスリット形成プレートと、
を備え、
該スリット形成プレートは、該長尺穴を開放し該管状本体部の一側面と該カバープレートの対向面との間を該スリット状噴出口を除いてシールし、
該スリット形成プレートの厚さが該スリット状噴出口の幅となるとともに、
該エアーナイフノズルを装置本体に取り付け、かつ、該エアーナイフノズルの該切削方向と交差する方向と平行な軸心回りの向きを変更可能とする手段を備える
ことを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切削装置、所謂ダイシングソーと呼ばれる装置では、高速回転する切削ブレードに切削液を供給しながら、シリコンや光デバイス、ガラス、セラミックス、樹脂等の板状の被加工物を切削加工する。切削液は切削屑を多く含み、被加工物に付着する事を抑制する必要がある。そのため、被加工物の加工終了後、切削液はエアーカーテンで大まかに除去された後、洗浄手段で上面を洗浄する事が通常である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−090403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被加工物上の切削液を洗浄する必要が無い製品もある。その場合、通常は洗浄工程で洗浄後に行われている乾燥工程が省かれてしまうため、加工終了後にいちはやく乾燥することで工程を短時間にしたいという要求がある。これまで切削装置で多く用いられていたエアーカーテンは、管状のノズルに並んで開けられた開口からスポット的に噴出する圧縮エアー等を被加工物に当てて、切削液を除去する。しかし、エアーカーテンでは除去力が弱いため、被加工物を何度もエアーカーテンの下で往復させて、加工にかかる所要時間が長時間化する場合も見受けられた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被加工物を何度も往復させることなく切削液を除去でき、加工にかかる所要時間を抑制することができる切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に切削液を供給しながら切削領域において切削加工する加工手段と、該チャックテーブルを切削方向に切削送りする切削送り手段と、を具備する切削装置において、該切削送り手段によって該切削領域から搬出される該チャックテーブルに保持された該被加工物に圧縮エアーを噴出し、該被加工物の上面に乗った該切削液を除去するスリット状噴出口を有するエアーナイフノズルが該切削方向と交差する方向に配設され、該エアーナイフノズルは、供給口から圧縮エアーが供給され、長手側の一側面に該被加工物の幅を超える長さの長尺穴を有する管状本体部と、該管状本体部の該一側面に対向して配設され、該長尺穴を覆う対向面を有するカバープレートと、該管状本体部と該カバープレートとに挟持され、該管状本体部の一側面と該カバープレートの対向面とに隙間を形成して該スリット状噴出口を形成する板状のスリット形成プレートと、を備え、該スリット形成プレートは、該長尺穴を開放し該管状本体部の一側面と該カバープレートの対向面との間を該スリット状噴出口を除いてシールし、該スリット形成プレートの厚さが該スリット状噴出口の幅となるとともに、該エアーナイフノズルを装置本体に取り付け、かつ、該エアーナイフノズルの該切削方向と交差する方向と平行な軸心回りの向きを変更可能とする手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
そこで、本願発明の切削装置では、管状本体部の一側面とカバープレートの対向面との間に配されるスリット形成プレートが、これらの間にスリット状噴出口を形成する。このために、スリット状噴出口の幅がスリット形成プレートの厚みと等しく、スリット状噴出口の長さがスリット形成プレートの長さと等しくなり、スリット状噴出口は幅が狭く被加工物の幅を越える長さとなる。これにより、切削装置は、スリット状噴出口の開口面積を極力抑制しながらも長さを被加工物の幅を越える長さとすることができるので、スポット的な開口に比べ被加工物の幅の全長に亘って均一に早い流速で、スリット状噴出口から圧縮エアーを被加工物に噴出することができる。したがって、切削装置は、被加工物の幅を越える長さの早い流速の圧縮エアーを均一に被加工物に噴出するので、被加工物の切削液を除去するために、エアーナイフノズルの下方で被加工物を何度も往復する必要がない。よって、切削装置では、被加工物を何度も往復させることなく切削液を除去でき、被加工物からの切削液の除去加工にかかる所要時間を抑制することができる。
【0008】
また、スリット状噴出口の幅によって噴出する圧縮エアーの流量や流速が決定されるが、通常、管体に長尺の細いスリットを形成する事は難しい。しかし、本発明の切削装置では、スリット形成プレートによりスリット状噴出口を構成することで、長尺の細いスリット状噴出口を容易に形成でき、スリット状噴出口の幅の変更もスリット形成プレートの厚さの変更により行うことができる。よって、切削装置は、容易且つ安価にスリット状噴出口の変更も実施できるようになったという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る切削装置の構成例の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る切削装置のエアーナイフノズルの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る切削装置の切削手段とエアーナイフノズルなどを示す側面図である。
図4図4は、実施形態に係る切削装置のエアーナイフノズルの断面図である。
図5図5は、実施形態に係る切削装置のエアーナイフノズルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る切削装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る切削装置の構成例の概略を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る切削装置のエアーナイフノズルの概略を示す分解斜視図である。図3は、実施形態に係る切削装置の切削手段とエアーナイフノズルなどを示す側面図である。図4は、実施形態に係る切削装置のエアーナイフノズルの断面図である。図5は、実施形態に係る切削装置のエアーナイフノズルの側面図である。
【0012】
本実施形態に係る切削装置1は、切削ブレード21を有する切削手段20(加工手段に相当)と被加工物W(図2に示す)を保持したチャックテーブル10とを少なくとも具備し、これらを相対移動させることで、被加工物Wを切削加工するものである。切削装置1は、図1に示すように、切削加工前後の被加工物Wを収容するカセットエレベータ30と、切削加工前後の被加工物Wを一時的に載置する仮置き手段40と、前記チャックテーブル10と、前記切削手段20と、チャックテーブル10をX軸方向(切削方向に相当)に切削送りするX軸移動手段50(切削送り手段に相当)と、エアーナイフノズル60と、制御手段(図示せず)を具備している。さらに、切削装置1は、チャックテーブル10と切削手段20とをY軸方向に相対移動させるY軸移動手段(図示せず)と、チャックテーブル10と切削手段20とをZ軸方向に相対移動させるZ軸移動手段(図示せず)を具備している。
【0013】
ここで、被加工物Wは、切削装置1により加工される板状の加工対象であり、本実施形態では、互いに直行する分割予定ラインによって区画されたデバイスを複数有した円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。被加工物Wは、切削装置1がチャックテーブル10と切削ブレード21を有する切削手段20とを相対移動させて、分割予定ラインに切削加工が施されることで、個々のデバイスに分割される。また、本実施形態では、被加工物Wは、図1に示すように、デバイスが形成された表面WSの反対側の裏面にダイシングテープTが貼着され、ダイシングテープTに環状フレームFが貼着されて、ダイシングテープTを介して環状フレームFに貼着されている。なお、本発明では、被加工物Wは、分割予定ラインによって区画されたデバイスを複数有した樹脂パッケージ基板や、ガラス板、多結晶シリコン基板であっても良い。
【0014】
カセットエレベータ30は、被加工物Wを複数枚収容するものであり、切削装置1の装置本体2にZ軸方向に昇降自在に設けられている。仮置き手段40は、カセットエレベータ30から切削加工前の被加工物Wを一枚取り出すとともに、切削加工後の被加工物Wをカセットエレベータ30内に収容するものである。仮置き手段40は、被加工物Wをカセットエレベータ30に出し入れする搬出入手段41と、被加工物Wを一時的に載置する一対のレール42とを含んで構成されている。
【0015】
チャックテーブル10は、仮置き手段40のレール42上の切削加工前の被加工物Wが搬送手段81により搬送されてきて、ダイシングテープTを介して環状フレームFの開口に貼着された被加工物Wを保持するものである。チャックテーブル10は、表面を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、表面に載置された被加工物Wを吸引することで保持する。なお、チャックテーブル10は、X軸移動手段50によりX軸方向に移動自在に設けられかつ回転駆動源(図示せず)により中心軸線(Z軸と平行である)回りに回転自在に設けられている。
【0016】
切削手段20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに切削液L(図3に示す)を供給しながら切削領域PRにおいて切削加工するものである。切削手段20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して、Y軸移動手段によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動手段によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削手段20は、図3に示すように、略リング形状を有する極薄の切削砥石でありかつスピンドル(図示せず)により回転することで被加工物Wに切削加工を施す切削ブレード21と、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに切削液Lを供給する切削ノズル22などを含んで構成されている。
【0017】
X軸移動手段50は、切削手段20の下方の切削領域PRとカセットエレベータ30の近傍の搬出入領域TRとの間でチャックテーブル10をX軸方向に切削送りするものである。X軸移動手段50は、X軸と平行なX軸ボールねじ51と、X軸ボールねじ51を軸心回りに回転させる図示しないX軸パルスモータと、X軸と平行な図示しないX軸ガイドレールとを含んで構成されている。X軸ボールねじ51は、チャックテーブル10を取り付けた図示しないテーブル移動基台の下部に螺合している。X軸ガイドレールは、テーブル移動基台をスライド可能に支持している。X軸移動手段50は、X軸パルスモータにより発生した回転力によりX軸ボールねじ51を回転駆動させることで、テーブル移動基台を一対のX軸ガイドレールによりガイドしつつチャックテーブル10をX軸方向に移動させることができる。
【0018】
エアーナイフノズル60は、X軸移動手段50によって切削領域PRから搬出入領域TRに搬出されるチャックテーブル10に保持された被加工物Wに圧縮エアーを噴出し、該被加工物Wの上面に乗った切削液Lを除去するスリット状噴出口68(図4に示す)を有するものである。エアーナイフノズル60は、切削領域PRと搬出入領域TRの間に配設され、かつ、X軸方向と交差(実施形態では、直交)するY軸方向に配設されている。
【0019】
エアーナイフノズル60は、図2及び図4に示すように、Y軸方向と平行な長尺状の管状本体部61と、カバープレート62と、スリット形成プレート63とを備えている。管状本体部61は、両端が閉塞された筒状に形成され、図2中の手前側の一端に設けられた供給口64から図示しない圧縮エアー供給源からの圧縮エアーが供給される。また、管状本体部61は、長手側の一側面61aに被加工物WのY軸方向の幅を超える長さの長尺穴65を有している。長尺穴65は、管状本体部61の略全長に亘って一側面61aを貫通して、管状本体部61の内外を連通している。
【0020】
カバープレート62は、管状本体部61の一側面61aと略同じ大きさの平板状に形成されている。カバープレート62は、管状本体部61の一側面61aと対向して配設され、長尺穴65の覆う対向面62aを有している。カバープレート62は、対向面62aが管状本体部61の一側面61aに間隔をあけて重ねられ、ねじ66などにより管状本体部61に取り付けられる。
【0021】
スリット形成プレート63は、管状本体部61の一側面61aと略同じ長さを有する平板状に形成されている。スリット形成プレート63は、管状本体部61とカバープレート62との間に配設されて、カバープレート62がねじ66により管状本体部61に取り付けられると、管状本体部61とカバープレート62とに挟持される。スリット形成プレート63は、その全長に亘って図2中下方の外縁から幅方向の略中央まで切り欠かれた切欠き67が設けられている。切欠き67は、スリット形成プレート63が管状本体部61とカバープレート62とに挟持されると、長尺穴65と連通する。スリット形成プレート63は、切欠き67を有することで、管状本体部61の一側面61aとカバープレート62の対向面62aとの間に隙間を形成して、スリット状噴出口68を形成する。即ち、管状本体部61の一側面61aとカバープレート62の対向面62aとの間にスリット形成プレート63が形成する隙間は、スリット状噴出口68をなしている。このために、スリット形成プレート63の厚さがスリット状噴出口68の幅となる。また、スリット形成プレート63は、切欠き67が長尺穴65を開放し、管状本体部61の一側面61aとカバープレート62の対向面62aとの間をスリット状噴出口68を除いてシールしている。なお、スリット形成プレート63は、ねじ66を通す通し孔72を備えている。
【0022】
エアーナイフノズル60は、圧縮エアー供給源からの圧縮エアーをスリット状噴出口68から噴出する。また、エアーナイフノズル60は、下方にスリット状噴出口68が開口し、かつY軸方向と平行に、装置本体2に設けられたブラケット69(図5に示す)に取り付けられる。ブラケット69は、装置本体2から2本立設し、エアーナイフノズル60の長手方向の両端面に重ねられる。ブラケット69には、図5に示すように、エアーナイフノズル60の長手方向の両端面にねじ込まれるボルト70を通すボルト通し孔71が設けられている。ボルト通し孔71は、エアーナイフノズル60のY軸方向と平行な軸心を中心した円弧状に形成されている。ボルト通し孔71内をボルト70が通る位置を変更することで、エアーナイフノズル60のY軸方向と平行な軸心回りの向きを変更することができる。このように、ボルト通し孔71内をボルト70が通る位置を変更することで、エアーナイフノズル60は、圧縮エアーの噴出方向を変更(調整)することができる。
【0023】
制御手段は、切削装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物Wに対する加工動作を切削装置1に行わせるものである。なお、制御手段は、例えばCPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されており、加工動作の状態を表示する表示手段90や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる図示しない操作手段と接続されている。
【0024】
次に、実施形態に係る切削装置1の加工動作について説明する。オペレータが加工内容情報を制御手段に登録し、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に、切削装置1が加工動作を開始する。加工動作では、制御手段は、切削加工前の被加工物Wを搬出入手段41によりカセットエレベータ30から仮置き手段40まで搬出し、仮置き手段40の一対のレール42上に載置した後、搬送手段81によりチャックテーブル10まで搬送し、チャックテーブル10に吸引、保持する。
【0025】
次に、制御手段は、X軸移動手段50によりチャックテーブル10を搬出入領域TRから切削領域PRに向けて移動して、撮像手段の撮像した画像の情報に基づいてアライメントを遂行した後、加工内容情報に基づいて、切削液Lを供給しながら被加工物Wに分割予定ラインに沿って切削加工を施し、被加工物Wを分割する。全ての分割予定ラインに切削加工が施されると、制御手段は、X軸移動手段50によりチャックテーブル10を切削領域PRから搬出入領域TRに向けて移動するとともに、圧縮エアー供給源から圧縮エアーをエアーナイフノズル60に供給して、スリット状噴出口68から圧縮エアーを噴出する。この際、チャックテーブル10に保持された被加工物Wの上面には切削液Lが乗っている。すると、チャックテーブル10に保持された被加工物Wがエアーナイフノズル60の下方を通る際に、図3に示すように、被加工物Wの上面に圧縮エアーが吹き付けられて、圧縮エアーにより被加工物Wの上面から切削液Lが吹き飛ばされる。こうして、チャックテーブル10に保持された被加工物Wの上面から切削液Lを除去して、被加工物Wの上面を乾燥させる。
【0026】
そして、制御手段は、チャックテーブル10の吸引を停止した後、搬送手段81により搬出入領域TRのチャックテーブル10上の被加工物Wをレール42上に載置する。そして、制御手段は、レール42上の切削加工などが施された被加工物Wを搬出入手段41によりカセットエレベータ30内に搬入する。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る切削装置1によれば、管状本体部61の一側面61aとカバープレート62の対向面62aとの間に配されるスリット形成プレート63が、これらの間にスリット状噴出口68を形成する。このために、スリット状噴出口68の幅がスリット形成プレート63の厚みと等しく、スリット状噴出口68の長さがスリット形成プレート63に形成された切欠き67の長さと略等しくなり、スリット状噴出口68が幅が狭く被加工物Wの幅を越える長さとなる。これにより、切削装置1は、スリット状噴出口68の開口面積を極力抑制しながらも長さを被加工物Wの幅を越える長さとすることができるので、被加工物Wの全幅に亘って早い流速で、スリット状噴出口68から圧縮エアーを被加工物Wに噴出することができる。したがって、切削装置1は、被加工物Wの幅を越える長さの早い流速の圧縮エアーを被加工物Wに噴出するので、被加工物Wの切削液Lを除去するために、エアーナイフノズル60の下方で被加工物Wを何度も往復する必要がない。よって、被加工物Wを何度も往復させることなく切削液Lを除去でき、被加工物Wからの切削液Lの除去加工にかかる所要時間を抑制することができる。
【0028】
また、スリット状噴出口68の幅によって噴出する圧縮エアーの流量や流速が決定されるが、通常、管体に長尺の細いスリットを形成する事は難しい。しかし、実施形態の切削装置1では、スリット形成プレート63によりスリット状噴出口68を構成することで、長尺の細いスリット状噴出口68を容易に形成でき、スリット状噴出口68の幅の変更もスリット形成プレート63の厚さの変更により行うことができる。よって、切削装置1は、容易且つ安価にスリット状噴出口68を変更することができる。
【0029】
本発明は、特に、切削屑の付着に対する制限が、半導体ウエーハや光デバイスウエーハよりも少ないもの、例えば、セラミックスや樹脂パッケージ等を被加工物Wとするのに好適である。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 切削装置
10 チャックテーブル
20 切削手段(加工手段)
50 X軸移動手段(切削送り手段)
60 エアーナイフノズル
61 管状本体部
61a 一側面
62 カバープレート
62a 対向面
63 スリット形成プレート
64 供給口
65 長尺穴
68 スリット状噴出口
PR 切削領域
L 切削液
W 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5