(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1は、実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。また、
図2はブラック用(黒色用)のプロセスカートリッジ10BKを示す断面図であり、
図3はイエロー用のプロセスカートリッジ10Yを示す断面図であり、
図4はマゼンタ用のプロセスカートリッジ10M又はシアン用のプロセスカートリッジ10Cを示す断面図である。
なお、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(作像部)は、それぞれ、作像プロセスに用いられるトナーT(現像剤G)の色が異なる点や、潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置されたりされなかったりする点や、潤滑剤除去手段としての発泡性樹脂ローラ14cが設置されたりされなかったりする点が異なるが、共通する部分(構成部材)も多いため、その部分についての重複する説明は適宜に省略する。また、
図4において、マゼンタ用のプロセスカートリッジ10Mと、シアン用のプロセスカートリッジ10Cと、は、作像プロセスに用いられるトナーTの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、双方のプロセスカートリッジ10M、10Cを共通化した図面として図示する。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、10Y、10M、10C、10BKは感光体ドラム11上に各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像を形成する作像部としてのプロセスカートリッジ、16は各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11上にそれぞれ形成されたトナー像を中間転写ベルト17上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写体としての中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のトナー像を記録媒体P上に2次転写するための2次転写部材としての2次転写バイアスローラ、19は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、20は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、を示す。
【0012】
図1に示すように、4つの作像部としてのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(感光体ドラム11)は、中間転写体としての中間転写ベルト17に対向するように並設されている。また、中間転写ベルト17は、不図示の駆動部によって、所定方向(
図1の矢印方向であって、時計方向である。)に走行するように構成されている。
【0013】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0014】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0015】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11上に向けて発せられる。
【0016】
一方、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11(
図2〜
図4を参照できる。)は、それぞれ、矢印方向(反時計方向)に回転している。そして、まず、像担持体としての感光体ドラム11の表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11表面は、それぞれのレーザ光Lの照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0017】
イエロー成分に対応したレーザ光Lは、紙面左側から1番目の感光体ドラム11(像担持体)表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム1Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0018】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0019】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ16が設置されている。そして、転写バイアスローラ16の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0020】
そして、転写工程後の感光体ドラム11表面は、それぞれ、クリーニング部14(クリーニング装置)との対向位置に達する。そして、この位置で、ブレード部材としてのクリーニングブレード14aによって感光体ドラム11上に残存する未転写トナーが機械的に除去されて、除去された未転写トナーが廃トナーとしてクリーニング部14内に回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11表面は、除電部(不図示である。)の位置を順次通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0021】
他方、感光体ドラム11上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18(2次転写部材)との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部19の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部19に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0022】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9(タイミングローラ)に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0023】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2にて、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKについて詳述する。
図2に示すように、ブラック用のプロセスカートリッジ10BK(作像部)は、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電ローラ12(帯電部)と、現像部13(現像装置)と、クリーニング装置14(クリーニング部)と、潤滑剤供給手段としての潤滑剤供給装置15と、が一体的にユニットとして構成されている。
ブラック用のプロセスカートリッジ10BKは、他の3つのカラー色のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cとは異なり、感光体ドラム11の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置されていて、第1作像部として機能する。また、ブラック用のプロセスカートリッジ10BK(第1作像部)は、
図1に示すように、2次転写バイアスローラ18(2次転写部材)の位置を基準として中間転写ベルト17の走行方向最下流側に位置するように配設されている。
【0025】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
図示は省略するが、感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層(表面層)が順次積層されている。
【0026】
図2を参照して、帯電ローラ12(帯電部)は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層、表面層を順次積層してなるローラ状部材である。帯電ローラ12には不図示の電源部から所定の電圧(AC電圧とDC電圧とが重畳されたものである。)が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。なお、帯電ローラ12の弾性層としては、シリコーンゴム、イソプレンゴム、エピロクロルヒドリンゴム等を用いることができ、その電気抵抗を10
3〜10
8Ω・cm程度に設定することが好ましい。また、帯電ローラ12の表面層しては、導電カーボンを含有したウレタン樹脂中にメラニン系硬化樹脂剤を添加して硬化したものを用いることができる。
ここで、本実施の形態では、帯電ローラ12が感光体ドラム11に対して微小な隙間を空けて対向した状態で、不図示の駆動部によって所定方向に回転駆動されるように構成されている。これにより、帯電ローラ12に潤滑剤が付着する不具合を防止しつつ、感光体ドラム11に対向する対向面を移動させながら帯電工程を良好におこなうことができる。
【0027】
現像装置(現像部)13は、主として、感光体ドラム11に対向する現像剤担持体としての現像ローラ13aと、現像ローラ13aに対向する第1搬送スクリュ13bと、仕切部材を介して第1搬送スクリュ13bに対向する第2搬送スクリュ13cと、現像ローラ13aに対向するドクターブレード13dと、で構成される。現像ローラ13aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブと、で構成される。マグネットによって現像ローラ13a(スリーブ)上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ13a上に現像剤G(2成分現像剤)が担持されることになる。
なお、現像装置13内には、キャリアCとトナーTとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0028】
クリーニング装置14には、感光体ドラム11に当接して感光体ドラム11表面をクリーニングするブレード部材としてのクリーニングブレード14aが設置されている。
クリーニングブレード14aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム11表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。これにより、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー(記録媒体Pから生じる紙粉、帯電部12による放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等の付着物も含むものとする。)が機械的に掻き取られてクリーニング装置14内に回収されることになる。なお、本実施の形態において、クリーニングブレード14aは、感光体ドラム11の走行方向(回転方向)に対してカウンタ方向にて感光体ドラム11に当接している。
また、クリーニング装置14内に回収された未転写トナーは、搬送コイル14bによって搬送されて、クリーニング装置14(プロセスカートリッジ10BK)から排出されて廃トナー回収容器(不図示である。)内に回収されることになる。
また、本実施の形態では、クリーニング装置14に潤滑剤供給装置15が内設されている。
【0029】
潤滑剤供給手段としての潤滑剤供給装置15は、感光体ドラム11に摺接するブラシ毛が周設されて感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給回転体としてのブラシローラ15a、ブラシローラ15a(ブラシ毛)に摺接する固形潤滑剤15b、固形潤滑剤15bをブラシローラ15aに向けて付勢する付勢部材としての圧縮スプリング15c、等で構成される。潤滑剤供給装置15は、クリーニングブレード14aに対して感光体ドラム11の回転方向上流側であって、1次転写ニップ(転写バイアスローラ16)に対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。
【0030】
図2を参照して、ブラシローラ15aは、芯金(回転軸部)の外周に直毛状又はループ状のブラシ毛を巻装したものであって、そのブラシ毛が感光体ドラム11表面に接触した状態で、
図2の反時計方向に回転する。これにより、固形潤滑剤15bからブラシローラ15aを介して感光体ドラム11上に潤滑剤が供給(塗布)される。
【0031】
ブラシローラ15aは、長さ(毛足)が0.2〜20mm(好ましくは、0.5〜10mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたものを芯金上にスパイラル状に巻き付けたものである。ブラシ毛の長さが20mmを超えると、経時における感光体ドラム11との繰り返し摺擦によって、ブラシ毛が所定方向に倒毛して、固形潤滑剤15bの掻取性や感光体ドラム11への潤滑剤供給性が低下してしまう。これに対して、ブラシ毛の長さが0.2mm未満であると、固形潤滑剤15bや感光体ドラム11に対する物理的な当接力が不足してしまう。したがって、ブラシ毛の長さは上述の範囲であることが好ましい。
ブラシローラ15aのブラシ毛としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、塩化ビニル等の樹脂繊維を用いることができ、必要に応じてカーボン等の導電付与剤が混入された導電繊維を用いることができる。また、ブラシ毛は、ブラシ密度が2〜10万F/inch
2のものを用いることが好ましい。
【0032】
ブラシローラ15aは、
図2の反時計方向に回転する感光体ドラム11に対してカウンタ方向(逆方向)で摺接するように回転駆動される(
図2の反時計方向の回転である。)。すなわち、ブラシローラ15aの回転方向は、感光体ドラム11との摺接位置において、感光体ドラム11の回転方向(走行方向)と逆方向になるように構成されている。
また、ブラシローラ15aは、固形潤滑剤15bと感光体ドラム11とに摺接するように配置されていて、ブラシローラ15aが回転することによって固形潤滑剤15bから潤滑剤を掻き取り、その潤滑剤を感光体ドラム11上に塗布する。
なお、本実施の形態では、ブラシローラ15aを
図2の反時計方向に回転駆動しているが、
図2の時計方向に回転駆動することもできる。
【0033】
本実施の形態では、固形潤滑剤15bとして、ステアリン酸亜鉛を用いている。詳しくは、この固形潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、塗りすぎによる副作用がなく、充分な潤滑性があるものが好適である。
特に、本実施の形態における固形潤滑剤15bは、ステアリン酸亜鉛の粉を溶かしたものを型に流し込んで直方体状に固形化して形成されたものである。このような製造方法にて形成された固形潤滑剤15bは、ステアリン酸亜鉛の粉を圧縮して固形化して形成したものに比べて、製造設備を簡略化することができて部品コストを低くすることができる。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、感光体ドラム11表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に感光体ドラム11表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に感光体ドラム11表面を覆うことができる。
また、固形潤滑剤15bとして、ステアリン酸亜鉛に窒化ホウ素を含有したものを用いることで、感光体ドラム11表面の低摩擦係化をさらに促進することができる。
【0034】
なお、固形潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を使用して良い。他にも、脂肪酸基として、カプリル酸、リノレン酸、コリノレン酸等を使用することができる。さらに、カンデリラワックス、カンルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、おおば油、みつろう、ラノリン等のワックスを使用することもできる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性が良い。
【0035】
ここで、潤滑剤供給装置15の下流側に設置されたクリーニングブレード114aは、ブラシローラ15aによって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を、感光体ドラム11上に均一かつ適量に薄層化する薄層化ブレードとしても機能することになる。
固形潤滑剤15bからブラシローラ15aを介して感光体ドラム11表面に潤滑剤を塗布すると、感光体ドラム11表面には粉体状の潤滑剤が塗布されることになるが、この状態のままでは潤滑性は充分に発揮されないため、クリーニングブレード14a(薄層化ブレード)が潤滑剤を薄層化・均一化する部材として機能することになり、感光体ドラム11上での潤滑剤の皮膜化がおこなわれて、潤滑剤はその潤滑性を充分に発揮することになる。
【0036】
なお、本実施の形態では、ブラック用のプロセスカートリッジ10BK(第1作像部)において、潤滑剤供給装置15をクリーニング装置14に内設するように構成したが、潤滑剤供給装置15をクリーニング装置14に内設せずに、潤滑剤供給装置15をクリーニング装置14の下流側であって帯電ローラ12の上流側に設置することもできる。その場合、クリーニングブレード14aとは別に、ブラシローラ15aの下流側に薄層化ブレードを設置することが好ましい。
【0037】
図2にて、先に述べた作像プロセスをさらに詳しく説明する。
現像ローラ13aは、
図2中の矢印方向に回転している。現像装置13内の現像剤Gは、間に仕切部材を介在するように配設された第1搬送スクリュ13b及び第2搬送スクリュ13cの矢印方向の回転によって、トナー補給部30からトナー補給口を介して補給されたトナーTとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(
図2の紙面垂直方向である。)。
【0038】
そして、摩擦帯電してキャリアCに吸着したトナーTは、キャリアCとともに現像ローラ13a上に担持される。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その後にドクターブレード13dの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、ドクターブレード13dの位置で適量に調整された後に、穂立ちした磁気ブラシとなって感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)に達して、磁気ブラシが感光体ドラム11に摺接する。
【0039】
こうして、現像領域において、現像剤G中のトナーTが、感光体ドラム11表面に形成された静電潜像に付着する。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ13aに印加された現像バイアスとの、電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーTが潜像に付着する。
【0040】
その後、現像工程にて感光体ドラム11に付着したトナーTは、そのほとんどが中間転写ベルト17上に転写される。そして、感光体ドラム11上に残存した未転写のトナーTが、クリーニングブレード14aによってクリーニング装置14内に回収される。その後、クリーニング工程後の感光体ドラム11表面は、除電部(不図示である。)との対向位置を通過して、一連の作像プロセスが終了する。
【0041】
ここで、装置本体1に設けられたトナー補給部30は、交換可能に構成されたトナーボトル31と、トナーボトル31を保持・回転駆動するとともに現像装置13に新品トナーTを補給するトナーホッパ部32と、で構成されている。また、トナーボトル31内には、新品のトナーT(
図2では、ブラックのトナーである。)が収容されている。また、トナーボトル31の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
【0042】
なお、トナーボトル31内の新品トナーTは、現像装置13内のトナーT(既設のトナーである。)の消費にともない、トナー補給口から現像装置13内に適宜に補給されるものである。現像装置13内のトナーTの消費は、感光体ドラム11に対向する反射型フォトセンサと、現像装置13の第2搬送スクリュ13cの下方に設置された磁気センサと、によって間接的又は直接的に検知される。
【0043】
次に、
図3にて、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yについて詳述する。
図3に示すように、イエロー用のプロセスカートリッジ10Y(作像部)は、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電ローラ12(帯電部)と、現像部13(現像装置)と、クリーニング装置14(クリーニング部)と、潤滑剤除去手段としての発泡性樹脂ローラ14c(ローラ部材)と、が一体的にユニットとして構成されている。
イエロー用のプロセスカートリッジ10Yは、他の2つのカラー色のプロセスカートリッジ10M、10Cと同様に潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置されておらず、第2作像部として機能する。また、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yは、他の3つのプロセスカートリッジ10M、10C、10BKとは異なり、潤滑剤除去手段としての発泡性樹脂ローラ14c(ローラ部材)が設置されている。また、イエロー用のプロセスカートリッジ10Y(潤滑剤除去手段が設置された第2作像部)は、
図1に示すように、2次転写バイアスローラ18(2次転写部材)の位置を基準として中間転写ベルト17の走行方向最上流側に位置するように配設されている。
【0044】
ここで、潤滑剤除去手段としての発泡性樹脂ローラ14cは、感光体ドラム11(像担持体)に当接するとともに所定方向(
図3の時計方向である。)に回転するローラ部材であって、クリーニングブレード14aに対して上流側(感光体ドラム11の回転方向上流側である。)であって中間転写ベルト17と感光体ドラム11との対向位置(1次転写ニップ)に対して下流側(感光体ドラム11の回転方向下流側である。)に配設されている。詳しくは、発泡性樹脂ローラ14c(潤滑剤除去手段)は、ステンレス鋼等からなる芯金上に、発泡ポリウレタン(ポリウレタンフォーム)等の発泡性樹脂からなる弾性層が形成されたものである。
【0045】
そして、この発泡性樹脂ローラ14cは、感光体ドラム11に付着した潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段として機能することになる。
詳しくは、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yは、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKとは異なり、潤滑剤供給装置15が設置されていないため、感光体ドラム11上に積極的に潤滑剤を供給していない(潤滑剤の供給を予定していない)。しかし、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yの上流側に位置するブラック用のプロセスカートリッジ10BKの感光体ドラム11に塗布された潤滑剤の一部が、中間転写ベルト17に移動・付着して、さらに中間転写ベルト17に付着した潤滑剤の多くが1次転写ニップの位置でイエロー用のプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11に移動・付着(逆転写)してしまう。このように、潤滑剤の供給を予定していない感光体ドラム11(イエロー用のプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11である。)に付着した潤滑剤は、分子膜のように均一な状態のものではなくて、縞状(海縞状)で不均一な状態のものになってしまうため、そのまま潤滑剤の付着を放置してしまうと、感光体ドラム11やクリーニングブレード14aが偏磨耗して異常画像が発生してしまうことになる。
これに対して、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yに発泡性樹脂ローラ14cを設置することで、1次転写ニップの位置で感光体ドラム11に逆転写した潤滑剤は、発泡性樹脂ローラ14cの発泡弾性層の目に吸収されるように、発泡性樹脂ローラ14cによって効率的に除去されることになるため、上述した不具合の発生を未然に防止することができる。
【0046】
なお、発泡性樹脂ローラ14cの発泡弾性層の目には、感光体ドラム11に付着した未転写トナーがある程度入り込むことになるが、この未転写トナーによって感光体ドラム11に付着した潤滑剤に対する除去性が向上することになる。
また、
図3に示すように、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yには、発泡性樹脂ローラ14cに当接するスクレーパ14dが設置されている。このスクレーパ14dは、金属材料又は樹脂材料からなる板状の部材であって、発泡性樹脂ローラ14cに付着した潤滑剤を除去してクリーニング装置14内に回収するためのものである。スクレーパ14dの当接部(エッジ部)の形状は、直線状であってもよいし、櫛歯状であってもよい。また、発泡性樹脂ローラ14cの発泡弾性層の目に入り込んだ未転写トナーが潤滑剤と適度に混ざり合うことで、スクレーパ14dによる潤滑剤の除去性も向上することになる。
【0047】
また、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yにおけるその他の構成部材(感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像装置13、クリーニングブレード14a等の部材である。)であって、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKと共通するものは、先に
図2を用いて説明したものと同様に構成され動作することになる。
【0048】
なお、
図3に示すイエロー用のプロセスカートリッジ10Yでは、潤滑剤除去手段として機能するローラ部材として、発泡性樹脂ローラ14cを用いた。
これに対して、潤滑剤除去手段として機能するローラ部材として、樹脂繊維(例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、塩化ビニル等で形成されたものである。)等からなる可撓性を有するブラシ毛が芯金上に周設されたブラシ状ローラを用いることもできる。そして、このようなブラシローラ状ローラを用いた場合であっても、上述したものと同様の効果を得ることができる。
【0049】
次に、
図4にて、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10Cについて詳述する。
図4に示すように、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10C(作像部)は、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電ローラ12(帯電部)と、現像部13(現像装置)と、クリーニング装置14(クリーニング部)と、が一体的にユニットとして構成されている。
マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10Cは、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yと同様に潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置されておらず第2作像部として機能するが、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yとは異なり潤滑剤除去手段としての発泡性樹脂ローラ14c(ローラ部材)が設置されていない。また、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10C(潤滑剤除去手段が設置されていない第2作像部)は、
図1に示すように、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yとブラック用のプロセスカートリッジ10BKとの間に並んで設置されている。なお、マゼンタ用のプロセスカートリッジ10Mと、シアン用のプロセスカートリッジ10Cと、の並び順は、本実施の形態のものに限定されることはない。
【0050】
そして、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10Cにおけるその他の構成部材(感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像装置13、クリーニングブレード14a等の部材である。)であって、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKと共通するものは、先に
図2を用いて説明したものと同様に構成され動作することになる。
なお、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10Cには、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yのように潤滑剤除去手段(発泡性樹脂ローラ14c)が設けられていないが、これはブラック用のプロセスカートリッジ10BKから中間転写ベルト17に付着する潤滑剤の多くが、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10Cの上流側に位置するイエロー用のプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11に逆転写することによる。すなわち、マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10Cの感光体ドラム11に潤滑剤が逆転写する不具合がほとんど生じないことによる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置には、複数の作像部としての4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKが設置されている。そして、4つの作像部のうち、感光体ドラム11(像担持体)の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置された第1作像部と、潤滑剤供給手段が設置されていない第2作像部と、をそれぞれ少なくとも1つ設けている。具体的には、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKを第1作像部として、他の3つのカラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cを第2作像部としている。このように、潤滑剤供給手段が設置されない第2作像部を設けることで、複数の作像部のすべてを潤滑剤供給手段が設置された第1作像部とする場合に比べて、画像形成装置1全体を小型化・低コスト化することができる。
【0052】
なお、本実施の形態において、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKのうち、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKのみを第1作像部としたのは、カラー画像形成装置であっても4色を用いたフルカラーの画像形成よりもブラックのみを用いたモノクロの画像形成をおこなうことが圧倒的に多くなり、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKの使用頻度(稼働率)が高くなるためである。すなわち、使用頻度(稼働率)の高いブラック用のプロセスカートリッジ10BKのみに潤滑剤供給装置15を設置することで、画像形成装置1全体の耐久性(長寿命化)をある程度維持しつつ、装置1の小型化・低コスト化を達成することができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、第1作像部(ブラック用のプロセスカートリッジ10BK)に対して中間転写ベルト17の走行方向下流側の位置に他の作像部(マゼンタ用、シアン用のプロセスカートリッジ10M、10C)を介在することなく配設された第2作像部(イエロー用のプロセスカートリッジ10Y)に、第1作像部(ブラック用のプロセスカートリッジ10BK)の感光体ドラム11から中間転写ベルト17を介してその第2作像部(イエロー用のプロセスカートリッジ10Y)の感光体ドラム11に移動して付着した潤滑剤を除去する発泡性樹脂ローラ14c(潤滑剤除去手段)を設置している。
これにより、第1作像部(ブラック用のプロセスカートリッジ10BK)のすぐ下流側に位置する第2作像部(イエロー用のプロセスカートリッジ10Y)における感光体ドラム11やクリーニングブレード14aの偏磨耗を確実に軽減しつつ、画像形成装置1全体の長寿命化と小型化・低コスト化とを達成することができる。
【0054】
なお、ブラック用のプロセスカートリッジ10BKが、2次転写バイアスローラ18(2次転写部材)の位置を基準として中間転写ベルト17の走行方向最下流側に位置するように配設されているのは、上述したようにブラック用のプロセスカートリッジ10BKの使用頻度が高く、モノクロ画像形成時におけるプリントスピード(プリント生産性)を高めるためである。
また、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yが、2次転写バイアスローラ18(2次転写部材)の位置を基準として中間転写ベルト17の走行方向最上流側に位置するように配設されているのは、イエロートナーが中間転写ベルト17を介して下流側の作像部の感光体ドラム11から現像装置13内に移動して他の色のトナーに混ざっても(混色しても)、その作像プロセスにて形成される画像上の影響が少ないからである。
【0055】
なお、本実施の形態では、イエロー用のプロセスカートリッジ10Y(第2作像部)に設置する潤滑剤除去手段として、クリーニングブレード14aの上流側に設置した発泡性樹脂ローラ14cを用いた。
これに対して、
図5に示すように、潤滑剤除去手段として帯電ローラ12を用いることもできる。ここで、帯電ローラ12は、先に
図2等を用いて説明したものと同様に構成されているものの、潤滑剤除去手段として機能させるために、感光体ドラム11に所定の圧力で当接させて、感光体ドラム11の回転にならって連れ回りするように構成されている。
【0056】
このように構成された帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を帯電する帯電部として機能するとともに、感光体ドラム11に移動・付着した潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段としても機能することになる。
なお、帯電ローラ12における潤滑剤除去性を向上させるためには、その表面の粗さをある程度粗く形成することが好ましく、具体的には、感光体ドラム11に当接する表面の十点平均表面粗さ(Rz)が5〜15μmになるように形成することが好ましい。
【0057】
また、
図5に示すイエロー用のプロセスカートリッジ10Yには、帯電ローラ12の表面をクリーニングするクリーニング部材としてのクリーニングローラ40が、帯電ローラ12に摺接するように設置されている。クリーニングローラ40としては、芯金上に、毛足が2mm以下でブラシ繊維太さが2デニール以下で繊維密度が2万本/cm
2程度のブラシ毛(ナイロン、PET等の樹脂繊維からなるブラシ毛である。)が周設されたものを用いることができる。
【0058】
ここで、本実施の形態では、イエロー用のプロセスカートリッジ10Yにおいて、通常の作像プロセスがおこなわれているときであっても、通常の作像プロセスがおこなわれていないとき(例えば、ウォーミングアップ時等である。)であっても、プロセスカートリッジ10Y(感光体ドラム11)が駆動されているときには潤滑剤除去手段による潤滑剤除去がおこなわれるように構成されている。
これに対して、通常の作像プロセスがおこなわれないときに、イエロー用のプロセスカートリッジ10Y(潤滑剤除去手段が設置された第2作像部)の感光体ドラム11を中間転写ベルト17に対して相対的に離間した状態(例えば、
図5の破線で示すように、中間転写ベルト17を下方に移動させた状態である。)で、潤滑剤除去手段によってプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11に移動して付着した潤滑剤を除去する「潤滑剤除去モード」を所定のタイミングでさらに実行してもよい。例えば、記録媒体Pの累積通紙枚数が所定枚数に達するごとに(又は、感光体ドラム11の累積駆動時間が所定時間に達するごとに)、ジョブ終了後に、イエロー用の感光体ドラム11に対向する転写バイアスローラ16を下方に移動して、中間転写ベルト17をイエロー用の感光体ドラム11から離間させて、プロセスカートリッジ10Yを所定時間だけ空駆動する。これにより、感光体ドラム11への潤滑剤の逆転写を遮断した状態で、潤滑剤除去手段による潤滑剤除去を効率的かつ確実におこなうことができる。
なお、このような「潤滑剤除去モード」は、潤滑剤除去手段として帯電ローラ12を用いた場合に限定されることなく、
図3のように潤滑剤除去手段として発泡性樹脂ローラ14cを用いた場合や、潤滑剤除去手段としてその他の部材を用いた場合(例えば、後述する
図6の場合である。)であっても、当然に実行することができる。
【0059】
さらに、
図6に示すように、潤滑剤除去手段として現像ローラ13aを用いることもできる。
ここで、現像ローラ13aは、先に
図2等を用いて説明したものと同様に構成されていて、その表面に担持された2成分現像剤Gが穂立ちして磁気ブラシとなった状態で感光体ドラム11に摺接することになるため、潤滑剤除去手段としても機能することになる。すなわち、現像ローラ13a上の磁気ブラシが感光体ドラム11に摺接することで、感光体ドラム11に移動・付着した潤滑剤を除去することになる。
【0060】
ただし、このような現像ローラ13aによる潤滑剤除去性を向上させるためには、通常の現像工程時(画像形成時)よりも現像ローラ13aの回転速度を増速して、感光体ドラム11に対して磁気ブラシが相対的に移動する速度を速める必要がある。
すなわち、通常の作像プロセスがおこなわれないときに、潤滑剤除去手段の回転速度を増速した状態で、潤滑剤除去手段によってプロセスカートリッジ10Y(第2作像部)の感光体ドラム11に移動して付着した潤滑剤を除去する「潤滑剤除去モード」を所定のタイミングで実行する必要がある。具体的には、現像ローラ13aを回転駆動する駆動モータ50(感光体ドラム11を回転駆動するモータとは独立して別に設けられている。)を回転数可変型のものとして、記録媒体Pの累積通紙枚数が所定枚数に達するごとに(又は、感光体ドラム11の累積駆動時間が所定時間に達するごとに)、ジョブ終了後に、現像ローラ13aの回転速度を増速した状態で、プロセスカートリッジ10Yを所定時間だけ空駆動する。これにより、潤滑剤除去手段による潤滑剤除去を効率的かつ確実におこなうことができる。
なお、このような「潤滑剤除去モード」は、潤滑剤除去手段として現像ローラ13aを用いた場合に限定されることなく、
図3のように潤滑剤除去手段として発泡性樹脂ローラ14cを用いた場合や、
図5のように潤滑剤除去手段として帯電ローラ12を用いた場合にも、実行することができる。すなわち、画像形成時以外のタイミングで、発泡性樹脂ローラ14cや帯電ローラ12の回転速度を増速する「潤滑剤除去モード」を実行することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、中間転写ベルト17(中間転写体)に対向するように並設した複数のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(作像部)のうち、潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)を設置したものと、潤滑剤供給装置15を設置しないものと、を設けた場合であっても、潤滑剤供給装置15を設置しないプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cのうち潤滑剤が移動して付着しやすいプロセスカートリッジ10Yに発泡性樹脂ローラ14c等の潤滑剤除去手段を設置しているため、潤滑剤供給装置15が設置されていないプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cの感光体ドラム11(像担持体)に潤滑剤が付着することによる不具合を生じにくくすることができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、複数の作像部における構成部材(感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像装置13、クリーニング装置14等である。)を一体化してプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKを構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。
これに対して、複数の作像部をプロセスカートリッジ化することなく、複数の作像部における構成部材がそれぞれ単体で装置本体1に交換可能に設置されるように構成することもできる。このような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部(クリーニング装置)とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0063】
また、本実施の形態では、2成分現像剤を用いる2成分現像方式の現像装置13が搭載された画像形成装置に対して本発明を適用したが、
図6のように2成分現像剤を担持する現像ローラ13aを潤滑剤除去手段として用いることなくその他の部材を潤滑剤除去手段として用いる場合であれば、1成分現像剤を用いる1成分現像方式の現像装置が搭載された画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置される第1作像部をブラック用のプロセスカートリッジ10BKのみとして、そのすぐ下流側に位置する第2作像部としてのイエロー用プロセスカートリッジ10Yにのみ潤滑剤除去手段を設けたが、本発明の適用はこれに限定されることはない。例えば、潤滑剤供給装置15(潤滑剤供給手段)が設置される第1作像部を2つ以上とした場合には、それらの第1作像部のすぐ下流側に位置する第2作像部にそれぞれ潤滑剤除去手段を設けることになる。そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。