(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の第1例について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、
図2は同装置の要部平面説明図である。
【0015】
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に移動可能に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0016】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。以下、他の部材についても同様とする。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0017】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0018】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0019】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0020】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0021】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0022】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0023】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0024】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0025】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0026】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0027】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0028】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0029】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0030】
次に、ヘッドタンク35の一例について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的上面説明図、
図4は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的正面説明図である。
【0031】
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部202を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は可撓性フィルム状部材203で密閉し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてのバネ204によってフィルム状部材203を常時外方へ付勢している。これにより、タンクケース201のフィルム状部材203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンクケース201内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0032】
また、タンクケース201の外側には、一端部を支軸206で揺動可能に支持され、タンクケース201側に向けて付勢されている変位部材である検知フィラ205がフィルム状部材203に接着などで固定されている。
【0033】
これにより、フィルム状部材203の動きに連動して検知フィラ205が変位するので、装置本体側に配置された光学センサからなる検知センサ301によって検知フィラ205の変位量を検知することによりヘッドタンク35内のインク残量などを検知することができる。
【0034】
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口部209があり、供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。
【0035】
この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放駆動手段である大気開放駆動ピン部材302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0036】
また、ヘッドタンク35内のインク残量を検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になった、或いは、ヘッドタンク35の液体残量が所定量以下になったことを検出することができる。
【0037】
次に、この画像形成装置のインク供給排出系について
図5を参照して説明する。なお、ここでは、図示を簡単にするためインクカートリッジからヘッドタンクまでのインク供給系は1色分のみ図示しているが、各色毎にインク供給系が設けられている。
【0038】
まず、インクカートリッジ(メインタンク)10からヘッドタンク35に対するインク供給は、供給ポンプユニット24内に各色毎に設けられた送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。なお、送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆型ポンプであり、インクカートリッジ10からヘッドタンク35にインクを供給する送液動作と、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10にインクを戻す逆送動作とを行なえるようにしている。
【0039】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク100に排出される。
【0040】
また、装置本体側にはヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する大気開放駆動手段(押圧部材)である大気開放駆動ピン部材302が配設され、この大気開放駆動ピン部材302を作動させることで大気開放機構207を開放することができる。さらに、装置本体側にはヘッドタンク35の検知フィラ205を検知する光学センサからなるセンサ301が設けられている。
【0041】
ここで、各色の4個の送液ポンプ241、吸引ポンプ812、大気開放駆動ピン部材302は、第1駆動源である第1駆動モータ101の駆動力が、第2駆動源(切替駆動源ともいう。)である第2駆動モータ102によって切替駆動される駆動切替機構400を介して選択的に伝達され、第1駆動モータ101は制御部500によって駆動制御される。
【0042】
次に、送液ポンプ241、吸引ポンプ812として使用しているチューブポンプの一例について
図6を参照して説明する。
チューブポンプ901は、チューブ902を矢印方向に回転する偏心させた押圧コロ903で押し潰すことによってチューブ902内の液体を移送することができる。
【0043】
このチューブポンプ901を送液ポンプ241に使用するときには、押圧コロ903を矢印の両方向に回転させることで、インクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10への逆送を行うことができる。また、吸引ポンプ812に使用するときには、押圧コロ903を一方向に回転させることで吸引を行うことができる。
【0044】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について
図7を参照して説明する。なお、同図は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、本発明におけるモータ駆動制御手段を兼ねた装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に実行させるプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0045】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、第1駆動モータ101及び駆動切替機構400の第2駆動モータ102を駆動するモータ駆動部512などを備えている。
【0046】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0047】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0048】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0049】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0050】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0051】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。このI/O部513に入力されるセンサ群515には、前述したヘッドタンク35の検知フィラ205を検知する検知センサ301、検知電極ピン208a、208bなどの信号も入力される。
【0052】
また、この制御部500は、時間を計測する計時手段520を備えている。
【0053】
次に、本発明の一実施形態における駆動切替機構ついて
図8ないし
図12を参照して説明する。
図8は同実施形態の駆動切替機構の説明に供する模式的説明図、
図9は同駆動切替機構の具体的構成の斜視説明図、
図10は同じくカム部分を取り外した斜視説明図、
図11はカムとスライダ部材の斜視説明図である。また、
図8において、図中の破線Pは2つのギヤが常に噛み合っていることを、仮想線Qは2つのギヤが噛み合い及び離間する関係にあることを示している(以下の図でも同様である。)。
【0054】
第1駆動モータ101によって回転される駆動軸104には、ギヤ104A、104Bが設けられている。
【0055】
一方、駆動切替機構400の第2駆動モータ102はステッピングモータから構成されている。この第2駆動モータ102によって回転されるカム軸131には、切替カム103A、103B(区別しないときは、「切替カム103」又は単に「カム103」という。)が設けられている。カム103A、103Bにはカム溝107が形成されている。
【0056】
そして、カム103A、103Bの各カム溝107に係合する係合部105aを有し、カム103A、103Bの回転に連動して矢示のスラスト方向(カム軸131の軸方向)に移動されるスライダ部材105A〜105D(区別しないときは、「スライダ部材105」という。)を備えている。
【0057】
なお、
図7では見易くするために、スライダ部材105の係合部105aとカム103のカム溝107とは離して図示しているが、上述したとおり摺動自在に接触している(以下の図でも同様とする。)。
【0058】
スライダ部材105Aには第1駆動モータ101によって回転するギヤ104Aと噛み合う切替ギヤ106Aが回転可能に設けられている。スライダ部材105Bには第1駆動モータ101によって回転するギヤ104Bと噛み合う切替ギヤ106Bが回転可能に設けられている。
【0059】
また、スライダ部材105Cには第1駆動モータ101によって回転するギヤ104Aと噛み合う切替ギヤ106Cが回転可能に設けられている。スライダ部材105Dには第1駆動モータ101によって回転するギヤ104Bと噛み合う切替ギヤ106Cが回転可能に設けられている。
【0060】
そして、切替ギヤ106Aは、スライダ部材105Aの移動によって、例えば第1色用送液ポンプ241の駆動ギヤ112a及び第2色用送液ポンプ241の駆動ギヤ112bのいずれかと噛み合う位置といずれとも噛み合わない位置(離間する位置)との間で移動される。
【0061】
切替ギヤ106Bは、スライダ部材105Bの移動によって、例えば第3色用送液ポンプ241の駆動ギヤ112c及び第4色用送液ポンプ241の駆動ギヤ112dのいずれかと噛み合う位置といずれとも噛み合わない位置(離間する位置)との間で移動される。
【0062】
切替ギヤ106Cは、スライダ部材105Cの移動によって、維持回復機構81の吸引ポンプ812の駆動ギヤ113と噛み合う位置と離間する位置との間で移動される。
【0063】
切替ギヤ106Dは、スライダ部材105Dの移動によって、大気開放駆動ピン部材302を移動(進退)させる駆動ギヤ114と噛み合う位置と離間する位置との間で移動される。
【0064】
なお、本実施形態では、切替ギヤ106A、106Bは第1切替ギヤ、切替ギヤ106Cは同じく第2切替ギヤ、切替ギヤ106Dは同じく第3切替ギヤである。また、上記の4つの送液ポンプ241から供給する第1色ないし第4色は、例えば前述したブラック、シアン、マゼンタ、イエローのいずれかの色である。
【0065】
また、
図9ないし
図11に示す具体的構成において、第1駆動モータ101の駆動力の伝達は、モータギヤ141、支軸152の回転可能に装着したギヤ142、駆動軸104に固定したギヤ143を経て駆動軸104に伝達される。また、切替駆動源である第2駆動モータ102の駆動力は、モータギヤ132、ギヤ133及びカム軸131に固定したギヤ134を経てカム軸131に伝達される。また、スライダ部材105A及び切替ギヤ106Aとスライダ部材105B及び切替ギヤ106Bは支軸151に移動可能に支持されている。スライダ部材105C及び切替ギヤ106Cとスライダ部材105D及び切替ギヤ106Dは支軸152に移動可能に支持されている。
【0066】
このように構成したので、第1駆動モータ101を駆動することで、ギヤ104A、104Bを介して第1切替ギヤ106A、106B、第2切替ギヤ106C、第3切替ギヤ106Dに駆動力が伝達されて、各切替ギヤ106A〜106Dは回転する。
【0067】
ここで、第2駆動モータ102を回転駆動してカム103A、103Bを回転させることによりスライダ部材105A〜105Dが矢示方向に移動し、第1切替ギヤ106A、106B、第2切替ギヤ106C、第3切替ギヤ106Dも矢示方向に移動する。
【0068】
このとき、第1切替ギヤ106Aを駆動ギヤ112aと噛み合う位置に移動させたときには第1色用送液ポンプ241が駆動される。同様に、第1切替ギヤ106Aを駆動ギヤ112bと噛み合う位置に移動させたときには第2色用送液ポンプ241が駆動される。
【0069】
また、スライダ部材105Bを矢示方向に移動させることで、第1切替ギヤ106Bを駆動ギヤ112cと噛み合う位置に移動させたときには第3色用送液ポンプ241が駆動される。同様に、第1切替ギヤ106Bを駆動ギヤ112dと噛み合う位置に移動させたときには第4色用送液ポンプ241が駆動される。
【0070】
また、スライダ部材105Cを矢示方向に移動させることで、第2切替ギヤ106Cを駆動ギヤ113と噛み合う位置に移動させたときには、維持回復機構81の吸引ポンプ812が駆動される。
【0071】
また、スライダ部材105Dを矢示方向に移動させることで、第3切替ギヤ106Dを駆動ギヤ114と噛み合う位置に移動させたときには、大気開放駆動ピン部材302が進退駆動される。
【0072】
この場合、第1駆動モータ101の回転方向がいずれであっても各送液ポンプ241に駆動力を伝達することができるので、送液ポンプ241を前述したように送液方向(正転駆動)及び逆送方向(逆転方向)のいずれの方向にも駆動することができる。
【0073】
なお、カム103A、103Bのカム溝107の位相を変えたり、カム103A、103Bにスライダ部材105を別位相で複数連結することで、カム103A、 103Bが回転する中で各切替ギヤ106A〜106Dが順次切り替わり、あるいは、逆に同時に複数の駆動ギヤに連結されるようにすることもできる。
【0074】
また、複数(この例では2つ)のカムを使用することで、1つのカムで移動させる切替ギヤの距離が短くなり、カムの径サイズを小さくすることができる。また、スラスト方向(軸方向)に切替ギヤを5つ以上並べてもスラスト方向以外のサイズを変更することなく対応することができる。
【0075】
このように、複数の送液ポンプを駆動する第1駆動源と、第1駆動源の駆動力を複数の送液ポンプに選択的に伝達する駆動切替機構と、を備え、駆動切替機構は、第2駆動源と、第2駆動源で回転されるカムと、カムの回転に連動してスラスト方向に移動されるスライダ部材と、第1駆動源の駆動力が伝達され、スライダ部材によって複数の送液ポンプの駆動ギヤと噛み合う位置と離間する位置との間で移動される第1切替ギヤと、を有し、第1切替ギヤが移動することで、複数の送液ポンプに選択的に第1駆動源の駆動力が伝達される構成とし、ポンプの駆動源と駆動切替機構の動力とを分離したので、少ない駆動源で複数のポンプなどを、自由度を持って駆動できる。
【0076】
言い換えれば、本発明における駆動切替機構を使用することで、第1駆動源の正転も逆転も他のポンプやユニットの駆動ギヤとは独立して伝達することができ、他のポンプなどの制約を受けることなく、単独の駆動源で駆動する構成と同様に自由に動作させることができる。
【0077】
次に、本発明における駆動切替機構の第2駆動源の駆動制御の一例について
図12ないし
図14を参照して説明する。
図12は本例における駆動切替機構の説明に供する模式的説明図、
図13は同駆動切替機構のカム位置検出機構の説明に供する説明図、
図14は同実施形態の駆動伝達対象とカム位置(カム角度)と第2駆動源のホーム位置からのステップパルス数及び切替センサの検出信号の関係の説明に供する説明図である。
【0078】
ここでは、駆動切替機構400は、
図12に示すように、第1切替ギヤ106Aによって駆動ギヤ112aと112bの駆動を切替え、第1切替ギヤ106Bによって駆動ギヤ112cと112dの駆動を切替えるものとする。また、駆動ギヤ112aはブラック用、駆動ギヤ112bはシアン用、駆動ギヤ112cはマゼンタ用、駆動ギヤ112dはイエロー用のそれぞれの送液ポンプを駆動するものとする。
【0079】
そして、カム位置を検出するためのカム位置検出機構(手段)401を備えている。このカム位置検出機構401では、カム103に、複数の送液ポンプの切替位置に対応する複数の切替位置被検知部である4個のセンサフラグ161a〜161d(区別しないときは「センサフラグ161」という。)が設けられている。
【0080】
これらのセンサフラグ161a〜161dのうち、センサフラグ161dはホーム位置検知用を兼用するため、他のセンサフラグ161a〜161dとは回転方向の幅を広く形成している。
【0081】
そして、このセンサフラグ161を検知する検知手段としての切替センサ162を配置している。切替センサ162は、例えば透過型フォトセンサで構成され、センサフラグ161を検知している間は第1状態(ON状態とする、「1」)の信号を出力し、センサフラグ161を検知していない間は第2状態(OFF状態とする、「0」)の信号を出力する。なお、切替センサ162は光学センサに変えてメカニカルなON/OFFセンサとすることもできる。
【0082】
したがって、カム103がホーム位置(これを0°とする)から回転するとき、切替センサ162からはセンサフラグ161を検知しているときにOFF状態からON状態に遷移する信号が出力される。
【0083】
この切替センサ162の出力信号がOFF状態からON状態に遷移したときにカム103が切替位置になったことを検知できる。
【0084】
この構成において、
図14(a)に示すように、カム103のホーム位置を0°として、カム103の回転角度が0°(360°)であるときにマゼンタ用の駆動ギヤ112cと第1切替ギヤ106Bが噛み合って駆動が伝達され、カム103の回転角度が90°であるときにブラック用の駆動ギヤ112aと第1切替ギヤ106Aが噛み合って駆動が伝達され、カム103の回転角度が180°であるときにシアン用の駆動ギヤ112bと第1切替ギヤ106Aが噛み合って駆動が伝達され、カム103の回転角度が270°であるときにイエロー用の駆動ギヤ112dと第1切替ギヤ106Bが噛み合って駆動が伝達されものとする。
【0085】
このとき、カム103を回転させるステッピングモータで構成した第2駆動モータ102の回転精度を、1パルスで1°回転するように設定したとすると、
図14(b)に示すように、カム103がホーム位置にあるときには第2駆動モータ102に与えるステップパルス(歩進パルス)のホーム位置からのカウント値は「0」である。
【0086】
この状態から、第2駆動モータ102に90個のステップパルスを与えることでカム103が回転して、カム103がホーム位置から90°回転してブラック用の駆動ギヤ112aと第1切替ギヤ106Aが噛み合って駆動が伝達される。同様に、180個のステップパルスを与えることでシアン用の駆動ギヤ112bと第1切替ギヤ106Aが噛み合って駆動が伝達され、270個のステップパルスを与えることでマゼンタ用の駆動ギヤ112cと第1切替ギヤ106Bが噛み合って駆動が伝達される。270個のステップパルスを与えることでイエロー用の駆動ギヤ112dと第1切替ギヤ106Bが噛み合って駆動が伝達される。
【0087】
このとき、第2駆動モータ102を上記の論理値で動作させる間、切替センサ162の検出信号の立ち上がりをカウントして、目標停止位置の切替センサ162の状態を確認するようにしている。
【0088】
ここで、本実施形態においては、センサフラグ161dは、他のセンサフラグ161a〜161dよりも回転方向の幅を広く形成しているので、
図14(b)に示すように、ON時間に遷移している時間が相対的に長くなる。
【0089】
つまり、センサフラグ161aと161bとの間、161bと161cとの間、1611cと161dとの間は時間T1となるのに対し、センサフラグ161dと161aとの間は時間T2になる。
【0090】
そこで、このセンサフラグ間の時間、すなわち、切替センサ162の検出信号の立ち下がりから次の立ち上りまでの時間を計測して、予め定めた閾値(上記の例では、T1とT2との間の時間)と比較し、計測時間が閾値以下であるときには、次のセンサフラグの検知をホーム位置の検知と判断するようにしている。
【0091】
これによって、切替センサ162がセンサフラグ161dを検知したときには、次のセンサフラグ161aの検知位置をホーム位置とすることができる。
【0092】
このように、切替位置検出用の被検知部をホーム位置検知用の被検知部と兼用することで、ホーム位置検知用のセンサを別途設ける必要がなくなり、コストの低減を図れる。
【0093】
これに対し、例えば、
図15(a)、(b)に示す比較例のように、例えば、カム103Aにホーム位置検知用のセンサフラグ164を設けてホームセンサ166Aで検知し、カム103Bに切替位置検知用のセンサフラグ165a〜165dを設けて切替センサ166Bで検知する構成を採用し、
図16に示すように、各センサ166A、166Bでホーム位置及び切替位置を検知するのでは、構成が複雑になるとともに、コストが高くなる。
【0094】
次に、本発明における駆動切替機構の第2駆動源の駆動制御の他の例について
図17を参照して説明する。
図17は駆動伝達対象とカム位置(カム角度)と第2駆動源のホーム位置からのステップパルス数及び切替センサの検出信号の関係の説明に供する説明図である。
【0095】
ここでは、前述した
図8で説明したと同様に、4つの送液ポンプに対応する駆動ギヤ112a〜112dと、維持回復機構の駆動ギヤ113、大気開放駆動ピン部材の駆動ギヤ114を、カム103A、103Bで切替えることで、選択的に駆動伝達を行うようにしている。
【0096】
このようにすることで、前述したと同様に、ホーム位置検知と切替位置検知とを1つのセンサで行うことができる。
【0097】
次に、本発明に係る画像形成装置の第2例について
図18ないし
図24を参照して説明する。
図18は同画像形成装置の機構部の斜視説明図、
図19は同機構部の要部平面説明図、
図20は同機構部のキャリッジ部分の側面説明図である。
【0098】
この画像形成装置の機構部の基本的な構成は、前記した画像形成装置と同様であるので、簡単に説明する。ここでは、装置本体に装着される給排紙トレイ702を有している。
【0099】
そして、機構部は、左右の側板701A、701Bに架け渡した案内部材である板状部材からなるガイド部材703にてキャリッジ704を主走査方向に移動可能に支持し、主走査モータ705によって駆動プーリ706と従動プーリ707との間に張った状態で掛け回されたタイミングベルト708を介してキャリッジ704を主走査方向に移動走査する。
【0100】
ここで、キャリッジ704の移動を案内するガイド部材703は、キャリッジ704を移動自在に案内するための支持面となるガイド面801とガイド面802、803とを有している。キャリッジ704には、ガイド部材703のガイド面801に移動自在に支持される高さ調整部804と、ガイド面802に移動自在に接触する接触部805と、ガイド面803に移動自在に接触する接触部806とを有する所謂ロッドレスタイプの案内機構としている。
【0101】
また、キャリッジ704には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液滴を吐出する画像形成手段としての液体吐出ヘッからなる記録ヘッド711a、711b(区別しないときは、「記録ヘッド711」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0102】
記録ヘッド711にはこの記録ヘッド711にインクを供給するヘッドタンク712が一体的に設けられている。一方、装置本体側には、カートリッジ装着部であるカートリッジホルダ761にインクカートリッジ(メインタンク)762が交換可能に着脱され、インクカートリッジ762から送液ポンプ部763によって供給チューブ764を介してヘッドタンク712にインク(液体)を供給する。
【0103】
また、キャリッジ704の主走査方向に沿ってエンコーダスケール715を配置し、キャリッジ704側にはエンコーダスケール715を読み取るエンコーダセンサ716を取り付けてリニアエンコーダを構成している。
【0104】
一方、キャリッジ704の下方側には、図示しない用紙を副走査方向に搬送する搬送手段としての搬送ベルト721を配置している。この搬送ベルト721は、搬送ローラ722とテンションローラ723との間に掛け回されて、副走査モータ731によってタイミングベルト732及びタイミングプーリ733を介して搬送ローラ722が回転駆動されることによって副走査方向に周回移動される。
【0105】
搬送ベルト721の入口部分及び出口部分には、それぞれ用紙ガイド部材751、752が配置されている。
【0106】
さらに、キャリッジ704の主走査方向の一方側には、搬送ベルト721の側方(側板702Bより外側)に、記録ヘッド711の維持回復を行う維持回復機構(メンテナンスユニット)741が配置されている。維持回復機構741は、吸引キャップ742a及び保湿キャップ742bと、ワイパ部材743と、空吐出受け744などで構成されている。維持回復動作で生じる廃液は廃液タンク770に排出される。
【0107】
このように構成したこの画像形成装置における画像形成動作は前記画像形成装置と同様であるので、説明を省略する。
【0108】
次に、この画像形成装置における駆動切替機構400の配置について
図21を参照して説明する。
図21は同説明に供する機構部の側面説明図である。
【0109】
この画像形成装置においては、
図21にも示すように、記録ヘッド711及びヘッドタンク712を搭載したキャリッジ704と、キャリッジを移動させるガイド部材703などを含むキャリッジ駆動機構780、インクカートリッジ762を装着するタンク装着部(カートリッジホルダ)761と、送液ポンプ部763と、維持回復機構741とを備えている。
【0110】
ここで、被記録媒体の搬送方向に沿う方向で、カートリッジホルダ761、送液ポンプ部763、キャリッジ駆動機構780、維持回復機構741の順に(搬送方向下流側から上流側に向かって)配置されている。また、装置本体の高さ方向で見て、キャリッジ704及びキャリッジ駆動機構780は、送液ポンプ部763及び維持回復機構741より高い位置に配置されている。
【0111】
そして、駆動切替機構400は、被記録媒体の搬送方向で、送液ポンプ部763と維持回復機構741との間であって、装置本体の高さ方向で、キャリッジ駆動機構780の下方に配置されている。
【0112】
これにより、駆動切替機構400は、キャリッジ704の移動方向(主走査方向)に対向する方向から見て、送液ポンプ部763、維持回復機構741、キャリッジ704、キャリッジ駆動機構780に囲まれた形で配置されており、装置本体のサイズを大型化しない効率的な配置としている。
【0113】
次に、駆動切替機構を構成している第1駆動モータとエンコーダシートユニットの連結構造について
図22ないし
図24を参照して説明する。
図22は同機構部の駆動切替機構の斜視説明図、
図23は駆動モータとエンコーダユニットの連結部分の側面説明図、
図24は
図23の要部拡大説明図である、
【0114】
駆動切替機構400は、カートリッジホルダ761及び
送液ポンプである供給ポンプ763Aを含む送液ポンプ部763にユニット化された状態で、装置本体に組み付けられる。前述した第1駆動モータ(第1駆動源)101は、カートリッジホルダ761と送液ポンプ部763を挟んで反対側に配置され、第1駆動モータ101の回転軸には駆動ギヤ451が取り付けられ、駆動ギヤ451に第1駆動モータ101の回転量を検出するためにエンコーダシートユニット453が連結され、エンコーダシート453aを読み取るエンコーダセンサ454が配置されている。
【0115】
ここで、エンコーダシートユニット453のエンコーダシート453aを保持する軸部材453bには、軸方向の溝455が形成され、駆動ギヤ451には溝455に嵌り合うピン部材456が設けられている。
【0116】
このように、駆動ギヤ451はエンコーダシートユニット453に対してスラスト方向に移動可能で、駆動ギヤ451の回転に伴ってエンコーダシートユニット453が回転する状態で連結される。
【0117】
これにより、第1駆動モータ101の回転軸や駆動ギヤ451が上下方向に変動しても、エンコーダシートユニット453が上下に移動することはなく、エンコーダシート453aがエンコーダセンサ454と擦れることを防止しつつ、第1駆動源の回転力のみをエンコーダシートユニット453に伝達できる。
【0118】
次に、本発明に係る画像形成装置の第3例について
図25及び
図26を参照して説明する。
図25は同画像形成装置の外観斜視説明図、
図26は同画像形成装置における駆動切替機構回りの模式的説明図である。なお、前記第2例に係る画像形成装置と対応する部分には、同一符号を付して説明する。
【0119】
この画像形成装置は、装置本体1の前面側に、用紙を装填する給紙トレイ及び画像が形成された用紙をスタックする排紙トレイと一体化した給排紙トレイ702が着脱可能に装着されている。また、装置本体1の前面上部には、操作ボタンや表示器などを有する操作/表示部5を備えている。
【0120】
また、装置本体1の内部には、前記第2例に係る画像形成装置と同様な機構部(
図21参照)を有し、記録ヘッド711及びヘッドタンク712を搭載したキャリッジ704と、キャリッジを移動させるガイド部材703などを含むキャリッジ駆動機構780、インクカートリッジ762を装着するタンク装着部(カートリッジホルダ)761と、送液ポンプ部763と、駆動切替機構400と、維持回復機構741とを備えている。
【0121】
ここで、
図26にも示すように、前記第2例に係る画像形成装置と同様に、被記録媒体の搬送方向に沿う方向で、カートリッジホルダ761、送液ポンプ部763、キャリッジ駆動機構780、維持回復機構741の順に(搬送方向下流側から上流側に向かって)配置されている。また、装置本体の高さ方向で見て、キャリッジ704及びキャリッジ駆動機構780は、送液ポンプ部
(図26では供給ポンプ部と表記)763及び維持回復機構741より高い位置に配置されている。
【0122】
そして、駆動切替機構400は、被記録媒体の搬送方向で、送液ポンプ部763と維持回復機構741との間であって、装置本体の高さ方向で、キャリッジ駆動機構780の下方に配置されている。
【0123】
また、駆動切替機構400の駆動力は維持回復機構741の下側を迂回する大気開放用駆動力伝達機構310を介してヘッドタンク712の大気開放機構を開放させる大気開放駆動ピン部材に伝達される。
【0124】
つまり、本実施形態において、駆動切替機構400及び駆動切替機構400を介して駆動される送液ポンプ部763の送液ポンプ、維持回復機構741の周辺は、キャリッジ704やガイド部材703などが配置され、ヘッドタンク712の大気開放機構を駆動する大気開放駆動(機構)を配置するスペースがない。
【0125】
そのため、維持回復機構741を回避するように、詳細は後述するリンク機構からなる駆動力伝達機構310を使用して大気開放機構を作動させる構成としている。
【0126】
ここで、大気開放用の駆動力伝達機構310の詳細について
図27を参照して説明する。
図27は大気開放用の駆動力伝達機構を説明する説明図である。なお、ヘッドタンク712の大気開放関係部材の符号は前記第1例の画像形成装置と同様とする。
【0127】
駆動力伝達機構310は、切替ギヤ(以下では、「アイドラギヤ」と称する。)106Dに噛み合う駆動ギヤ114を一端部に一体的に設けたリンク部材311と、中間のリンク部材312と、ヘッドタンク712の大気開放機構207を開閉する大気開放駆動ピン部材302を押すための大気開放レバー313とを有するリンク機構である。
【0128】
リンク部材311は軸部材315で揺れ動くことが可能に支持されている。大気開放レバー313は軸部材318で揺れ動くことが可能支持され、ばね319によって大気開放駆動ピン部材302から離間する方向に勢いを付けられている。そして、リンク部材311とリンク部材312、リンク部材312と大気開放レバー313は、互いに揺れ動くことが可能に連結されている。
【0129】
大気開放レバー313の一端部は大気開放駆動ピン部材302の背面側に臨んで配置されている。ここで、大気開放駆動ピン部材302は、ブラケット320(
図25参照)にラッチ機構部321を介して保持されている。ラッチ機構部321は、ピン部材302が大気開放レバー313で押される毎にピン部材302を進入及び後退させる機構である。なお、ラッチ機構部321はキャリッジ704側に設けることもできる。
【0130】
このように構成したので、
図27において、例えば駆動切替機構400のアイドラギヤ106Dが矢印方向に回転することで、駆動ギヤ114を含むリンク部材311が矢印方向に揺れ動き、リンク部材312を介して大気開放レバー313が矢印方向に揺れ動いて、大気開放駆動ピン部材302を押圧するので、ヘッドタンク712の大気開放機構207が大気開放状態にされる。
【0131】
ここで、この画像形成装置では、シーケンス上、ヘッドタンク712の大気開放機構207を大気開放状態にしたまま、送液ポンプ部763や維持回復機構741を動作させる必要がある。そこで、第1駆動モータ101を逆回転させることで、大気開放レバー313は図示の状態まで復帰するが、ラッチ機構によって大気開放駆動ピン部材302はそのままの状態に保持され、ヘッドタンク712の大気開放機構207は大気開放状態に維持される。
【0132】
その後、再度大気開放レバー313が駆動されて矢印方向に揺れ動いて、大気開放駆動ピン部材302を押圧することで、ヘッドタンク712の大気開放機構207が閉じられる。
【0133】
次に、この画像形成装置における駆動切替機構について
図28及び
図29を参照して説明する。
図28は同駆動切替機構の基本的構成を説明する装置本体右前から見た斜視説明図、
図29は同じく装置本体右後から見た斜視説明図である。
【0134】
この画像形成装置における駆動切替機構400は、前述した各実施形態で説明した駆動切替機構400とほぼ同様な構成である。つまり、駆動切替機構400の基本的構成は、切替モータ(切替駆動源、第2駆動モータ)102と、切替センサ162と、切替カム103と、スライダ部材105とアイドラギヤ106をユニット化したスライダユニット905A〜905Dと、第1駆動モータ101と、エンコーダシートユニット453とエンコーダセンサ454で構成されるエンコーダ953等からなる。
【0135】
次に、この駆動切替機構の駆動切替部について
図30ないし
図32を参照して説明する。
図30は同駆動切替部を装置本体右前から見た斜視説明図、
図31は同じく装置本体右後から見た斜視説明図、
図32は同じく側面説明図である。
【0136】
駆動切替機構部400は、駆動切替部411と後述する駆動伝達部412とからなる。
【0137】
駆動切替部411は、切替モータである第2駆動モータ102の回転により切替カム103が回転し、切替カム103のカム溝107に沿ってスライダユニット905がスラスト方向に移動し、アイドラギヤ106と駆動伝達先のギヤが順番に噛み合う。
【0138】
ここでは、アイドラギヤ106Aの駆動伝達先は、送液ポンプ部763の
送液ポンプであるK用供給ポンプ(Kポンプ)241KとC用供給ポンプ(Cポンプ)241Cである。アイドラギヤ106Bの駆動伝達先は、送液ポンプ部763の
送液ポンプであるM用供給ポンプ(Mポンプ)241MとY用供給ポンプ(Yポンプ)241Yである。アイドラギヤ106Cの駆動伝達先は維持回復機構741である。アイドラギヤ106Dの駆動伝達先は大気開放用の駆動力伝達機構310である。なお、アイドラギヤ106C、106Dの位置関係は前記
図9とは逆である。
【0139】
切替カム103は、
図17で説明したと同様に、詳細を後述する切替センサ162の基準位置から回転角度60°毎に、維持回復機構741→M用供給ポンプ241M→K用供給ポンプ241K→大気開放用駆動力伝達機構310→C用供給ポンプ241C→Y用供給ポンプ241Y→(維持回復機構741)へと1箇所ずつ駆動伝達先を切替える。
【0140】
この駆動切替機構400においては、1つのスライダユニット905A及び905Bによってそれぞれ2つの切替先(駆動伝達先)を選択するようにしている。また、
図32に示すように、1つの切替カム103に対して前後に2つのスライダユニット905を60°(カム回転角度と同じ)で配置している。
【0141】
このように、スライダユニット905や切替カム103を共通に使用することで、部品点数を削減し、ユニット(駆動切替機構400)のサイズの小型化を図れる。
【0142】
ここで、スライダユニット905の詳細について
図33及び
図34を参照して説明する。
図33は同スライダユニットの斜視説明図、
図34は同スライダユニットの動作説明に供する正面説明図である。
【0143】
スライダユニット905のアイドラギヤ106は、スライダ部材105に対して移動可能に嵌め込まれている。そして、アイドラギヤ106の両端はフランジ部材908、909との間に配置したばね907、907により保持されている。
【0144】
フランジ部材908、909は架橋部910、910にてアイドラギヤ106との間の最大離間範囲が規制された状態でアイドラギヤ106に保持され、フランジ部材908、909はアイドラギヤ106に近づく方向には移動可能である。
【0145】
これにより、
図34(a)に示す初期状態からスライダ部材105が矢印方向に移動するとき、アイドラギヤ106の歯と駆動伝達先のギヤ112の溝が一致すれば、
図34(b)に示すように、アイドラギヤ106と駆動伝達先のギヤ112とはスムーズに噛み合う。
【0146】
これに対し、
図34(c)に示すように、アイドラギヤ106の歯と駆動伝達先のギヤ112の歯の側面同士が干渉することがある。このとき、アイドラギヤ106がばね907で保持されていることにより、ばね907が収縮することによって、一時的にアイドラギヤ106が逃げることができ、アイドラギヤ106が回転することで、アイドラギヤ106の歯と駆動伝達先のギヤ112の溝が一致し、ばね907の復元力でアイドラギヤ106が移動して、上述した
図34(b)の正常な噛み合い状態に移行する。
【0147】
次に、この駆動切替機構400における切替カムホーム位置検知と切替位置検知の構成について
図35を参照して説明する。
図35は同説明に供する側面説明図である。
【0148】
前述した
図13のカム位置検出機構401では、カム103にセンサフラグ161を設けていたのに対し、ここでのカム位置検出機構401は、カム103とともに回転する部材であるセンサカム960と、センサカム960の回転に従って揺れ動くセンサフィラ(レバー)961とを使用している。
【0149】
センサカム960は、周面に切替センサ162がオフ(センサフィラ961を検知していない状態)になるオフ形状部960aと、切替センサ162がオン(センサフィラ961を検知している状態)になるオン形状部960bが順次交互に6箇所に形成されている。
【0150】
これにより、前述したように60°毎に切替センサ162がオン状態になって駆動伝達先の切替えが行われる。
【0151】
また、切替を行うときに、切替センサ162がオン状態になる回数をカウントし、理論上の必要回数と比較することで、確実に切替位置を判別するようにしている。
【0152】
ここで、センサカム960は、1箇所のオフ形状部960a1を他のオフ形状部960aよりもオフ時間が短くなる形状としている。
【0153】
そして、短い時間のオフ状態の直後のオンの位置を切替カム103のホーム位置としている(前述した
図17と同様である。)。
【0154】
次に、駆動切替機構400の駆動伝達部について
図36及び
図37を参照して説明する。
図36は同駆動伝達部を装置本体右前から見た斜視説明図、
図37は同じく装置本体右後から見た斜視説明図である。
【0155】
駆動伝達部412は、第1駆動モータ101としてDCモータを使用し、PWM制御で第1駆動モータ101を駆動制御する。この第1駆動モータ101の駆動力伝達経路は、前述した
図9ないし
図11で説明したと同様に、モータギヤ141→ギヤ142→ギヤ143→駆動軸104である。
【0156】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0157】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0158】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0159】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0160】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。