特許第6044174号(P6044174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044174
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】光導波路の製造方法及び光導波路
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/13 20060101AFI20161206BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G02B6/13
   G02B6/122 311
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-179028(P2012-179028)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-38133(P2014-38133A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大地
(72)【発明者】
【氏名】黒田 敏裕
(72)【発明者】
【氏名】皆川 一司
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏真
(72)【発明者】
【氏名】別井 洋
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 幸太
(72)【発明者】
【氏名】内ヶ崎 雅夫
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/070585(WO,A1)
【文献】 特開2004−038162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部クラッド層、コア層、上部クラッド層が順に積層してなる光導波路の製造方法であって、
該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂を積層すること、及び、積層されたコア層形成用樹脂のうち、テーパとなる部分は加圧せずに、前記テーパとなる部分以外の少なくとも一部を加圧してテーパ付きの該コア層を形成することを含むコア層形成工程と、
該コア層及び該コア層が形成されていない該下部クラッド層上に該上部クラッド層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記コア層形成工程は、前記コア層形成用樹脂上にフレキシブル基材を積層することを更に含み、
前記コア層形成用樹脂は、該フレキシブル基材を介して加圧されることを特徴とする請求項1に記載の光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記コア層形成工程の後に、テーパ付きの前記コア層をパターン化し、コアパターンとする工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記コア層形成工程において、加圧の際に、前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側を平坦化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光導波路
の製造方法。
【請求項5】
前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側に基板を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
【請求項6】
下部クラッド層、コア層、上部クラッド層が順に積層してなる光導波路の製造方法であって、
下部クラッド層形成用樹脂うち、テーパとなる部分は加圧せずに、前記テーパとなる部分以外の少なくとも一部を加圧してテーパ付きの下部クラッド層を形成すること、及び、テーパ付きの前記下部クラッド層上にコア層形成用樹脂を積層し、前記下部クラッド層とは反対方向のテーパ付きのコア層を形成することを含むコア層形成工程と、
前記コア層及び前記コア層が形成されていない前記下部クラッド層上に上部クラッド層を形成する工程とを含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項7】
前記コア層形成工程は、前記下部クラッド層形成用樹脂上にフレキシブル基材を積層する工程を更に含み、
前記下部クラッド層形成用樹脂は、前記フレキシブル基材を介して加圧されることを特徴とする請求項6に記載の光導波路の製造方法。
【請求項8】
前記コア層形成工程において、前記コア層の表面を平坦化する工程を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の光導波路の製造方法。
【請求項9】
前記コア層形成工程の後に、テーパ付きの前記コア層をパターン化し、コアパターンとする工程を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項10】
前記コア層形成工程において、加圧の際に、前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側を平坦化することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項11】
前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側に基板を有することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光導波路の製造方法及び光導波路に関し、特に、光導波路の入射部と出射部のスポット径を変換し、光学素子と接続する際の結合損失の低減が可能であるとともに、位置合わせトレランスが確保できるテーパ付きの光導波路の製造方法及び光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
情報容量の増大に伴い、幹線やアクセス系といった通信分野のみならず、ルータやサーバ内の情報処理にも光信号を用いる光インターコネクション技術の開発が進められている。具体的には、ルータやサーバ装置内のボード間あるいはボード内の短距離信号伝送に光を用いるために、光伝送路として、光ファイバに比べ、配線の自由度が高く、かつ高密度化が可能な光導波路を用いられている。
また、光導波路は、光学製品のデバイスとして用いられる際、他の光学素子、例えば光ファイバと接続して用いられることがあり(例えば、特許文献1)、またフォトダイオードやレーザーダイオードと接続する際に、フォトダイオードに光を入射する径は小さく、レーザーダイオードから光を受光する径は大きくする必要があった。このため、光導波路と光学素子と接続する際の位置合わせトレランスが確保できることが求められる。
コアパターンの厚みを増減させる方法としては、コア層形成用樹脂フィルムを削り、コアパターンを形成する方法がある(例えば、特許文献2)。しかし、この方法では、コア層からなるコアパターンに簡便にテーパをつけることが困難であり、テーパ量を調整することも困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−42149号公報
【特許文献2】特許第4679582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、コア層からなるコアパターンに簡便にテーパをつけることができ、テーパ量を容易に調整することができるテーパ付きの光導波路の製造方法及び光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、基板上に光導波路の下部クラッド層又はコア層を積層する際に、基板の一部を押し上げたまま各層の表面を平坦化することにより、下部クラッド層及びコア層からなるコアパターンにテーパがつけられるとともに、押し込み深さを調整することによってテーパ量が調整できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1)下部クラッド層、コア層、上部クラッド層が順に積層してなる光導波路の製造方法であって、
該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂を積層すること、及び、積層されたコア層形成用樹脂のうち、テーパとなる部分は加圧せずに、前記テーパとなる部分以外の少なくとも一部を加圧してテーパ付きの該コア層を形成することを含むコア層形成工程と、
該コア層及び該コア層が形成されていない該下部クラッド層上に該上部クラッド層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする光導波路の製造方法、
(2)前記コア層形成工程は、前記コア層形成用樹脂上にフレキシブル基材を積層することを更に含み、
前記コア層形成用樹脂は、該フレキシブル基材を介して加圧されることを特徴とする(1)に記載の光導波路の製造方法、
(3)前記コア層形成工程の後に、テーパ付きの前記コア層をパターン化し、コアパターンとする工程を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の光導波路の製造方法、
(4)前記コア層形成工程において、加圧の際に、前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側を平坦化することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光導波路の製造方法、
(5)前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側に基板を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光導波路の製造方法、
(6)下部クラッド層、コア層、上部クラッド層が順に積層してなる光導波路の製造方法であって、
下部クラッド層形成用樹脂うち、テーパとなる部分は加圧せずに、前記テーパとなる部分以外の少なくとも一部を加圧してテーパ付きの下部クラッド層を形成すること、及び、テーパ付きの前記下部クラッド層上にコア層形成用樹脂を積層し、前記下部クラッド層とは反対方向のテーパ付きのコア層を形成することを含むコア層形成工程と、
前記コア層及び前記コア層が形成されていない前記下部クラッド層上に上部クラッド層を形成する工程とを含むことを特徴とする光導波路の製造方法、
(7)前記コア層形成工程は、前記下部クラッド層形成用樹脂上にフレキシブル基材を積層する工程を更に含み、
前記下部クラッド層形成用樹脂は、前記フレキシブル基材を介して加圧されることを特徴とする(6)に記載の光導波路の製造方法、
(8)前記コア層形成工程において、前記コア層の表面を平坦化する工程を更に含むことを特徴とする(6)又は(7)に記載の光導波路の製造方法、
(9)前記コア層形成工程の後に、テーパ付きの前記コア層をパターン化し、コアパターンとする工程を含むことを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の光導波路の製造方法、
(10)前記コア層形成工程において、加圧の際に、前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側を平坦化することを特徴とする(6)〜(9)のいずれかに記載の光導波路の製造方法、
(11)前記下部クラッド層の前記コア層を形成した面とは反対面側に基板を有することを特徴とする(6)〜(10)のいずれかに記載の光導波路の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コア層からなるコアパターンに簡便にテーパをつけることができ、テーパ量を容易に調整することができるテーパ付きの光導波路の製造方法及び光導波路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路の製造方法を示す工程断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路の製造方法の一例を示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路の製造方法の他の一例を示す平面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る光導波路の製造方法を示す工程断面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る光導波路の製造方法の一例を示す平面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る光導波路の製造方法の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る光導波路を、図1〜3を用いて説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る光導波路は、図1に示すように、下部クラッド層2上に、厚み方向にテーパを有するコア層3、上部クラッド層5が積層してなる。コア層3は、厚み方向(Z軸方向)にテーパ状の構造(コアテーパA)を有しており、図1(c)及び(d)に示すように、パターン化したコアパターン4としてもよい。このとき、厚みが小さくなるにつれ、コアパターン4の幅も小さくなるようにすると、厚み・幅ともに拡縮した光導波路が得られる。基板平面内で、複数箇所にテーパ付きのコアパターン4を一括形成することもできる。
【0009】
本発明の第1の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、図2に示すように、コア部材を放射状に配置してなるコアパターン4とした場合、放射状に配置されたコアパターン4の中央部(加圧部材6側)の厚みが最も薄く、放射状に遠ざかるにつれ厚みが厚くなるテーパ構造となる。また、本発明の第1の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、コア部材を放射状に配置してなるコアパターン4である場合、放射中心側のコアパターン4の幅が最も狭く、放射状に遠ざかるにつれ幅が広くなるテーパ構造となる。
つまり、本発明の第1の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、基板平面内の2次元方向(X、Y方向の全ての方向)にもテーパを形成することができる。
基板平面内の2次元方向にテーパを形成することにより、例えば、光導波路の厚みが集中する箇所(薄くなる箇所又は厚くなる箇所)に光路変換ミラーを設け、受光面(又は発光面)が集中した受発光素子チップを光路変換ミラー上に実装すると、基板平面の様々な方向から光導波路を引き回してきても同じテーパ付きのコアを用いることができる利点がある。
【0010】
また、本発明の第1の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、図3に示すように、コア部材を列状に配置してなるコアパターン4とした場合、コアパターン4の一端側(加圧部材6側)中央部の厚みが最も薄く、他端側へと遠ざかるにつれ厚みが厚くなるテーパ構造となる。また、本発明の第1の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、コア部材を列状に配置してなるコアパターン4とした場合、コアパターン4の一端側(加圧部材6側)の幅が最も狭く、他端側へと遠ざかるにつれ幅が広くなるテーパ構造となる。
つまり、本発明の第1の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、基板平面内の1次元方向(X又はY方向のいずれか一定方向)にもテーパを形成することができる。
基板平面内の1次元方向にテーパを形成することにより、例えば、光導波路の厚みが集中するライン(薄くなる箇所又は厚くなるライン)上に光路変換ミラーを設け、受光面(又は発光面)が一列に整列した受発光素子チップを実装すると、基板平面の一方向から複数のコアパターンを引き回してきても同じテーパ付きのコアを用いることができる利点がある。
【0011】
得られた光導波路のコアパターン4の厚みが厚い部分から光信号を入射し、コアパターン4の厚みが小さい部分へ光信号を伝搬して、コアパターン4の厚みが薄い部分から出射することによって、光信号のスポット径を小さくすることができる。これにより、出射部近傍に、受光素子や受光用の光ファイバなどの受光器を配置した際に、光導波路と受光器間の結合損失を低減することができる。
また、コアパターン4の厚みが小さい部分から光信号を入射し、コアパターン4の厚みが大きい部分へ、光信号を伝搬することによって、光導波路から出射される光信号の広がり角を小さくすることができる。これにより、出射部より遠い場所に、受光素子や受光用の光ファイバなどの受光器を配置した際に、光導波路と受光器間の結合損失を低減することができる。
スポット径の小径化と広がり角の小角化はトレードオフの関係にあるが、使用する受光器の種類や、位置によって適宜スポット径及び広がり角を設計することができる。
【0012】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る光導波路の製造方法について、図1を用いて説明する。
(工程A1
図1に示す光導波路の製造方法は、工程A1として下部クラッド層2上にコア層3を形成する。
以下に下部クラッド層2の形成方法について説明する。
下部クラッド層2の形成方法としては特に限定はないが、下部クラッド層形成用樹脂をスピンコータ、コンマコータ、ダイコータ等を用いて基板1上に塗布する方法や、あらかじめキャリアフィルム上に塗工したドライフィルム形状の下部クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることができ、得られたドライフィルム形状の下部クラッド層形成用樹脂フィルムを別の基板にロールラミネータ、真空ロールラミネータ、真空ラミネータ、常圧プレス、真空プレス等を用いてラミネート形成すればよい。必要に応じて下部クラッド層2を光又は/及び熱によって硬化させると、次工程のコア形成時に、下部クラッド層2の厚み量の変化(膜減り)を抑制できるため更によい(図1(a)参照)。
【0013】
次に、コア層3の形成方法について説明する。
工程A1では形成した下部クラッド層2上にコア層形成用樹脂を積層する。コア層形成用樹脂の形成方法としては特に限定はなく、上述した下部クラッド層2の形成方法と同様の塗布する方法や、ラミネート、プレス等の方法で形成できる。
コア層3を積層した後、コア層3の一部に圧力をかけてテーパ付きのコア層3を形成する。このとき、テーパ形状の版を有する加圧部材6を用いるとコア層3に直接テーパを形成できる。また、コア層3上にフレキシブル基材8を設けてから、圧力をかける場合には、柱状の加圧部材6を用いてもコア層3にテーパを形成できる(図1(b)参照)。本実施の形態においてコア層3にテーパを設けるプロセスは、コア層3の圧力による厚み変化を用いるため、コア層3を物理的に削り取ることによってテーパ形状を形成する方法と比べてコア層3の表面を傷つけることなく形成できる。また、本実施の形態においてコア層3にテーパを設けるプロセスは、コア層3を物理除去してテーパ形状を形成しないため、コア層3を削り取った異物等が残留する心配もないという利点がある。上記の観点から好ましくは、フレキシブル基材8を介してコア層3にテーパを形成すると更によい。
コア層3の表面を押し下げる際に、下部クラッド層2の変形を抑制するために、コア層3形成面と反対の面側に平面基板7bを設置しておくとよい。平面基板7bを設置しておくことにより、コア層3の押し下げ時に下部クラッド層2が変形することを抑制し、所望するコア層3の厚み変化量を得やすくなる。また、下部クラッド層2が基板1上に形成されている場合には、基板1側に平面基板7bを設置すればよい。下部クラッド層2が積層されている基板1が、コア層3を押し下げる圧力によってほとんど変形しない材料であれば、平面基板7bを用いる必要はない。
【0014】
コア層3を押し下げ、厚みを変化させる方法としては、押し下げたい箇所に加圧できれば特に限定はなく、例えば、柱状や下に凸状の部材を用いて、先端部分でコア層3を押し下げればよい。また、任意の厚みを有する加圧部材6を用いることによって、より簡便に作業できる。加圧部材6は、コア層3の厚みを変化させたい箇所に配置した後に、加圧部材6を下部クラッド層2方向に加圧することによって、コア層3に任意の厚み変化を与えることができる。一定の圧力で加圧部材6を押し下げたい場合や、複数箇所の加圧部材6を一括で押し下げたい場合には、加圧部材6の上方に更に平面基板7aを配置するとよい。平面基板7aを配置した状態で加圧部材6をコア層3方向に加圧することにより、コア層3の厚み方向に均一の変化を設けると共に、精度の高いテーパ付きのコア層3を得ることができる。平面基板7aの下にあらかじめ加圧部材6を形成しておくと更によい。このときに用いられる加圧装置としては、ロールラミネータ、真空ロールラミネータ、真空ラミネータ、常圧プレス、真空プレス等が好適に挙げられ、均一かつ同時に加圧できるという観点から真空ラミネータ、常圧プレス、真空プレスがより好適に挙げられる(図1(b)参照)。また、加圧と同時に加熱するとコアの厚み変化を得やすくなるためより好ましい。
【0015】
コア層3はコアパターン4に加工してもよい。以下に、コア層3をコアパターン4にする方法について説明する。コアパターン4の形成方法としては特に限定はなく、定法によって形成できる。コアパターン4の形成方法としては、例えば、コア層3上にコアパターン形状のレジストパターンを形成した後に、ドライエッチングによってレジストが形成されていないコア層3をエッチングし、コアパターン4とする方法がある。また、コアパターン4の形成方法としては、コア層3に感光性がある場合、コアパターン形状のフォトマスクを介してコア層3をパターン化し、エッチング液によってコア層3の未硬化部を除去する方法が挙げられる(図1(c)参照)。
【0016】
(工程B1
以下に工程B1の上部クラッド層形成方法について説明する。
工程B1として工程A1で形成されたコア層3上に上部クラッド層5を形成する方法は、コア層3(コアパターン4)の上面を覆えば特に限定はなく、下部クラッド層2やコア層3の形成方法と同様の方法で形成できる。コア層3がコアパターン化されている場合には、コアパターン4の側面も覆うことが好ましい。この場合、コアパターン4の埋め込み性の観点から、真空ラミネータ、真空ロールラミネータ、真空プレスを用いる方法が好適に挙げられる。
上部クラッド層5の表面を平坦に形成したい場合には、工程A1と同様の平面基板7aを少なくとも上部クラッド層5の上方に配置して加圧するとよく、より平坦性を得るためには更に下部クラッド層2のコア層3形成面と反対の面側に平面基板7bを配置して加圧するとよい。この場合、真空ラミネータ、常圧プレス、真空プレスを用いると簡便に行うことが可能となる(図1(d)参照)。
【0017】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る光導波路を、図4〜6を用いて説明する。第2の実施の形態に係る光導波路について、第1の実施の形態に係る光導波路と実質的に同様である箇所の記載については、重複した記載となるので省略する。
本発明の第2の実施の形態に係る光導波路は、図4に示すように、下部クラッド層2上に、厚み方向にテーパを有するコア層3、上部クラッド層5が順に積層してなる。下部クラッド層2は厚み方向(Z軸方向)にテーパ状の構造(下部クラッドテーパB)を有している。コア層3は、厚み方向(Z軸方向)にテーパ状の構造(コアテーパA)を有しており、図4(c)及び(d)に示すように、パターン化したコアパターン4としてもよい。このとき、厚みが小さくなるにつれ、コアパターン4の幅も小さくなるようにすると、厚み・幅ともに拡縮した光導波路が得られる。基板平面内で、複数箇所にテーパ付きのコアパターン4を一括形成することもできる。
【0018】
本発明の第2の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、図5に示すように、コア部材を放射状に配置してなるコアパターン4とした場合、放射状に配置されたコアパターン4の中央部(加圧部材6側)の厚みが最も厚く、放射状に遠ざかるにつれ厚みが薄くなるテーパ構造となる。また、本発明の第2の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、コア部材を放射状に配置してなるコアパターン4である場合、放射中心側のコアパターン4の幅が最も広く、放射状に遠ざかるにつれ幅が狭くなるテーパ構造となる。
つまり、本発明の第2の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、基板平面内の2次元方向(X、Y方向の全ての方向)にもテーパを形成することができる。
【0019】
また、本発明の第2の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、図6に示すように、コア部材を列状に配置してなるコアパターン4とした場合、コアパターン4の一端側(加圧部材6側)中央部の厚みが最も厚く、他端側へと遠ざかるにつれ厚みが薄くなるテーパ構造となる。また、本発明の第2の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、コア部材を列状に配置してなるコアパターン4とした場合、コアパターン4の一端側(加圧部材6側)の幅が最も広く、他端側へと遠ざかるにつれ幅が狭くなるテーパ構造となる。
つまり、本発明の第2の実施の形態に係るテーパ付きの光導波路は、基板平面内の1次元方向(X又はY方向のいずれか一定方向)にもテーパを形成することができる。
【0020】
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る光導波路の製造方法について、図4を用いて説明する。
(工程A2
図4に示す光導波路の製造方法は、工程A2として下部クラッド層2にテーパを形成する。
以下に工程A2の下部クラッド層2の形成方法について説明する。
下部クラッド層2の形成は、工程A1記載した方法と同様の方法で形成できる。
その後、下部クラッド層形成面側から加圧部材6付きの平面基板7aを押し下げることで、下部クラッド層2の厚みを変化させ、テーパ付きの下部クラッド層2が形成される。このとき、テーパ形状の版を有する加圧部材6を用いると下部クラッド層2に直接テーパを形成できる。また、下部クラッド層2上にフレキシブル基材8を設けてから、圧力をかける場合には、柱状の加圧部材6を用いてもコア層3にテーパを形成できる。下部クラッド層2にテーパを形成するのと同時に、加圧部材6にて加圧されない下部クラッド層形成用樹脂表面は、平面基板7aにて平坦化される。
下部クラッド層2を押し下げ、厚みを変化させる方法としては、押し下げたい箇所に加圧できれば特に限定はなく、工程B1に記載した方法と同様の方法で行えばよい(図4(a)参照)。
本実施の形態において下部クラッド層2にテーパを設けるプロセスは、下部クラッド層2にかかる圧力による厚み変化を用いるため、例えば、下部クラッド層2を物理的に削り取ることによってテーパ形状を形成する方法と比べて下部クラッド層2の表面を傷つけることなく形成できる。また、本実施の形態において下部クラッド層2を物理除去してテーパ形状を形成しないため、下部クラッド層2を削り取った異物等が残留する心配もないという利点がある。上記の観点からより好ましくは、フレキシブル基材8を介してテーパを形成するとよい。
【0021】
以下に工程A2におけるコア層形成方法について説明する。
形成されたテーパ付きの下部クラッド層2上にコア層3を形成する方法は特に限定はなく、工程A1記載した方法と同様の塗布する方法や、ラミネート、プレス等の方法で形成できる。
コア層3の表面を平坦化することにより、下部クラッド層2に設けられたテーパ方向と反対方向のテーパがコア層3に形成できる。コア層3の表面を平坦化する方法としては、工程B1で用いたものと同様の平面基板7を少なくともコア層3の上方に配置して加圧するとよい。より平坦性を得るためには更に下部クラッド層2のコア層形成面と反対の面に平面基板7bを配置して加圧すると良く、下部クラッド層2が基板1上に形成されている場合には該基板1側に、平面基板7bを設置すればよい。下部クラッド層2が積層されている基板1が、コア層3を押し下げる圧力によってほとんど変形しない材料であれば、平面基板7bは用いる必要はない。
この場合、真空ラミネータ、常圧プレス、真空プレスを用いると簡便に行うことが可能となる。これにより、コア層3表面が平坦化され、厚みが変化した下部クラッド層2に追従するようにコア層3にテーパが形成される(図4(b)参照)。なお、コア層3の積層と平坦化は同時に行ってもよい。
また、コア層3は工程B2に記載したと同様にコアパターン4に加工してもよい(図4(c)参照)。
【0022】
(工程B2
いかに工程B2の上部クラッド層形成方法について説明する。
工程B2は工程B1と同様の方法で形成できる(図4(d)参照)。
【0023】
以下、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る光導波路を構成する各層について説明する。
(クラッド層及びクラッド層形成用樹脂フィルム)
以下、本実施の形態で使用される下部クラッド層2及び上部クラッド層5について説明する。下部クラッド層2及び上部クラッド層5としては、クラッド層形成用樹脂又はクラッド層形成用樹脂フィルムを用いることができる。
【0024】
本発明の実施の形態で用いるクラッド層形成用樹脂としては、コアパターン4より低屈折率で、光又は熱により硬化する樹脂組成物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。図2に用いる下部クラッド層2は、変形させた下部クラッド層2の形状を保持する観点から、光硬化性があるとよい。なお、クラッド層形成用樹脂に用いる樹脂組成物は、下部クラッド層2及び上部クラッド層5において、該樹脂組成物に含有する成分が同一であっても異なっていてもよく、該樹脂組成物の屈折率が同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
本発明においては、クラッド層の形成方法は特に限定されず、例えば、クラッド層形成用樹脂の塗布又はクラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートにより形成すればよい。ラミネートに用いるクラッド層形成用樹脂フィルムは、例えば、前記樹脂組成物を溶媒に溶解して、キャリアフィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。このときキャリアフィルムを基板1としても良く、フレキシブル基材8としてもよい。
【0026】
下部クラッド層2及び上部クラッド層5の厚みに関しては、乾燥後の厚みで、5〜500μmの範囲が好ましい。5μm以上であると、光の閉じ込めに必要なクラッド厚みが確保でき、500μm以下であると、膜厚を均一に制御することが容易である。以上の観点から、下部クラッド層2及び上部クラッド層5の厚みは、さらに10〜100μmの範囲であることがより好ましい。さらに下部クラッド層2の厚みは10〜40μmであると基板1の変形と追従しやすいためさらによい。
また、コアパターン4を埋め込むために、上部クラッド層5の厚みは、コアパターン4の平均厚みよりも厚くすることが好ましい。
【0027】
(コア層形成用樹脂及びコア層形成用樹脂フィルム)
本発明の実施の形態においては、下部クラッド層2に積層するコア層3及びコアパターン4の形成方法は特に限定されず、例えば、コア層形成用樹脂の塗布又はコア層形成用樹脂フィルムのラミネートによりコア層3を形成し、エッチングによりコアパターン4を形成すればよい。
【0028】
コア層形成用樹脂、特にコアパターン4に用いるコア層形成用樹脂は、クラッド層2,4より高屈折率であるように設計され、活性光線(遠赤外線)によりコアパターン4を形成し得る樹脂組成物を用いることができる。
【0029】
コア層形成用樹脂フィルムの厚みについては特に限定されず、乾燥後のコア層3の厚みが、通常は10〜100μmとなるように調整される。コア層形成用樹脂フィルムの厚みが10μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において、さらに位置合わせトレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において、結合効率が向上するという利点がある。以上の観点から、コア層形成用樹脂フィルムの厚みは、更に30〜70μmの範囲であることが好ましい。
【0030】
また、クラッド層形成用樹脂フィルム及びコア層形成用樹脂フィルムはキャリアフィルム上に形成するとよい。キャリアフィルムの種類としては、柔軟性及び強靭性のあるキャリアフィルムとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルファイド、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が好適に挙げられる。キャリアフィルムの厚みは、5〜200μmであることが好ましい。5μm以上であると、キャリアフィルムとしての強度が得やすいという利点があり、200μm以下であると、パターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターンが形成できるという利点がある。以上の観点から、キャリアフィルムの厚みは10〜100μmの範囲であることがより好ましく、15〜50μmであることが特に好ましい。
【0031】
(基板)
基板1の材質としては、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、基板1としては、変形し得る材料であってもよく、弾性変形し得る材料であってもよい。
変形が容易な基板1としては、柔軟性及び強靭性のあるフレキシブル基板、例えば、上述のクラッド層形成用樹脂フィルム及びコア層形成用樹脂フィルムのキャリアフィルムを基板として用いることができる。
基板1の厚みは特に制限はないが、5μm〜500μmであるとよい。基板1の厚みが10μm〜50μmであると、下部クラッド層2又はコア層3の押し下げ時に変形しやすいため、基板1の下に平面基板7を配置するとよい。
【0032】
基板1は、下部クラッド層2から剥離可能な基板であることが好ましい。剥離可能な基板1とすることにより、テーパ付きの光導波路を単体で取り出すことができる。
また、基板1と下部クラッド層2に密着性が無い場合には、その間に接着層を設け、接着層付きの基板としてもよい。
接着層の種類としては特に限定されないが、両面テープ、UVまたは熱硬化性接着剤、プリプレグ、ビルドアップ材、電気配線板製造用途に使用される種々の接着剤が好適に挙げられる。
【0033】
(フレキシブル基材)
フレキシブル基材8の材質としては、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルムなどが挙げられる。フレキシブル基材8は、下部クラッド層2又はコア層3の一部を押し下げる際に、変形し得る材料であれば良く、より好適には弾性変形し得る材料であるとよい。
変形が容易な基板1として柔軟性及び強靭性のあるフレキシブル基板、例えば、上述のクラッド層形成用樹脂フィルム及びコア層形成用樹脂フィルムのキャリアフィルムを基板として用いると更によい。基板1の厚みは、基板1が変形し得る範囲内であれば特に制限はないが、5μm〜500μmであると良く、10μm〜50μmであると、容易に変形させられるためより好ましい。弾性率が200MPa〜20GPaの材料であれば、変形時の圧力を0.05〜2.0MPa程度で変形させられるため好ましい。
【0034】
(加圧部材)
下部クラッド層2、コア層3、及びフレキシブル基材8を変形させる加圧部材6としての材質としては、特に制限はなく、下部クラッド層2、コア層3、及びフレキシブル基材8を変形させ得る材料であればよい。例えば、厚みを変化させる層の樹脂フィルムのキャリアフィルム上に加圧部材6をあらかじめ形成し、その後加圧部材6上に平面基板を設置して押し下げる方法を用いてもよい。また、あらかじめ平面基板の下に加圧部材6が配置された加圧部材6を用いると、位置合わせが容易となるため好ましい。加圧部材6としては、例えば、上記基板1に列挙した基板下に設けられた凸部や凹部である。具体的には、凸部は、金属基板の凸部形成部以外をハーフエッチングしたものや、ガラスエポキシ樹脂基板、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板等の下に凸部としてレジストパターンを形成すればよい。また、凹部は、周囲の凸部を利用して加圧する部位であり、エッチングや切削等を用いて形成すればよい。加圧部材6の厚みは、所望するテーパ量(樹脂の最大厚みと最小厚みの差)、フレキシブル基材8の厚みや弾性率によって適宜選択されるが、テーパを形成する樹脂厚みを超えない範囲で、0.5μm〜100μmであると良く、加圧部材6の厚みを{(所望するテーパ量)+(フレキシブル基材の変形時の厚み変化量)}にすると目的のテーパ量を得ることができる。また、フレキシブル基材8を変形させる際に加圧部材6が配置された平面基板7も変形する場合には、加圧部材6の厚みを{(所望するテーパ量)+(フレキシブル基材の変形時の厚み変化量)+(平面基板の厚み方向の変形量)}とすると所望のテーパ量を得ることができる。その他にも、その他コア層押し下げ時に厚み方向に変化及び変形する材料がある場合には、その変化量及び変形量を加圧部材6の厚みに加算するとよい。
加圧部材6の形状は特に限定はない。例えば、柱状、下に凸状、線状、リング状等であれば問題はなく、柱状の場合、コア層3又は下部クラッド層2の変形が柱状の形状に追従することはなく山なりに変形するため、コア層3にはテーパ形状が形成される。下に凸状の加圧部材6を用いると、コア層3又は下部クラッド層2が下に凸状に追従しても、追従することなく変形してもやはり山なりに変形するため同様にコア層にはテーパ形状が形成される。フレキシブル基材8を用いない場合には、下に凸状が好ましい。
加圧部材6を柱状や下に凸状に形成することにより、図2に示したような、加圧部材6付近のコア層3の厚さを薄くし、加圧部材6から放射状に遠ざかるにつれコアパターン4が厚くなる構造とすることができる。また、加圧部材6を柱状や下に凸状に形成することにより、図5に示したような、加圧部材6付近のコア層3の厚さを厚くし、加圧部材6から放射状に遠ざかるにつれコアパターン4が薄くなる構造とすることができる。つまり第1及び第2の実施の形態に係る光導波路の製造方法では、基板平面内2次元(X、Y方向の全ての方向)にテーパを形成することができる。基板平面内2次元にテーパを形成することによって、放射中心近傍に光路変換ミラーを設けると、基板平面の様々な方向から光導波路を引き回してきても同じテーパ付きのコアを用いることができる利点がある。
また、加圧部材6を線状に形成することにより、図3に示したような、線状の加圧部材6付近のコア層3の厚さを薄くし、加圧部材6から遠ざかるにつれコアパターン4が厚くなる構造とすることができる。また、加圧部材6を線状に形成することにより、図6に示したような、線状の加圧部材6付近のコア層3の厚さを厚くし、加圧部材6から遠ざかるにつれコアパターン4が薄くなる構造とすることができる。つまり、第1及び第2の実施の形態に係る光導波路の製造方法では、基板平面内1次元方向(X又はY方向の一定方向)にテーパを形成することができる。基板平面内1次元にテーパを形成することによって、例えば、受光面(又は発光面)が整列した受発光素子チップを実装する場合に、基板平面の一方向から複数のコアパターンを引き回してきても同じテーパ付きのコアを用いることができる利点がある。
さらに、加圧部材6を複数箇所形成することで、基板平面内で、複数箇所に一括形成できる利点もある。
【0035】
(平面基板)
平面基板7の材質としては、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルムなどが挙げられるが、基板面の一部に加圧する圧力で、変形しにくい材料であればよい。
上記の観点から、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板がより好適に挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
[クラッド層形成用樹脂フィルムの作製]
[(A)ベースポリマー;(メタ)アクリルポリマー(A−1)の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと、及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部及び乳酸メチル23質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を65℃に上昇させ、メチルメタクリレート47質量部、ブチルアクリレート33質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16質量部、メタクリル酸14質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部、及び乳酸メチル23質量部の混合物を3時間かけて滴下後、65℃で3時間撹拌し、さらに95℃で1時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマー(A−1)溶液(固形分45質量%)を得た。
【0037】
[重量平均分子量の測定]
(A−1)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)をGPC(東ソー(株)製「SD−8022」、「DP−8020」、及び「RI−8020」)を用いて測定した結果、3.9×104であった。なお、カラムは日立化成工業(株)製「Gelpack GL−A150−S」及び「Gelpack GL−A160−S」を使用した。
【0038】
[酸価の測定]
A−1の酸価を測定した結果、79mgKOH/gであった。なお、酸価はA−1溶液を中和するのに要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
【0039】
[クラッド層形成用樹脂ワニスの調合]
(A)ベースポリマーとして、A−1溶液(固形分45質量%)84質量部(固形分38質量部)、(B)光硬化成分として、ポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製「U−200AX」)33質量部、及びポリプロピレングリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製「UA−4200」)15質量部、(C)熱硬化成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型三量体をメチルエチルケトンオキシムで保護した多官能ブロックイソシアネート溶液(固形分75質量%)(住化バイエルウレタン(株)製「スミジュールBL3175」)20質量部(固形分15質量部)、(D)光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア2959」)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア819」)1質量部、及び希釈用有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23質量部を攪拌しながら混合した。孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋(株)製「PF020」)を用いて加圧濾過後、減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスを得た。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100」、厚み50μm)の非処理面上に、塗工機(マルチコーターTM−MC、(株)ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥後、カバーフィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。
【0040】
[コア層形成用樹脂フィルムの作製]
(A)ベースポリマーとして、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業株式会社製)36質量部、及びビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業株式会社製)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法及び条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法及び条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚み:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いでカバーフィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚み:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。
【0041】
(加圧部材の作製)
平面基板7として100mm×100mmの銅箔をエッチング除去したFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL‐E‐679FGB、厚さ;0.6mm)に、上記で得られた厚み20μmのクラッド層形成用樹脂フィルムからカバーフィルムである離型PETフィルム(ピューレックスA31)を剥離し、平板型ラミネータとして真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度50℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着し、直径150μmの開口部(開口部ピッチ;X,Y方向それぞれ10mm(81箇所))を有するネガ型フォトマスクを介し、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM−1172)にて紫外線(波長365nm)を0.25J/cm2照射し、その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、下部クラッド層2をエッチングした。続いて、水洗浄し、170℃で1時間加熱乾燥及び硬化し、加圧部材6付きの平面基板7を作製した。
【0042】
[光導波路の作製]
(工程A1
(下部クラッド層の形成)
30μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムを100mm×100mmに切断し、カバーフィルムを剥離した後、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件で基板1としてポリイミドフィルム(商品名:カプトンEN、東レ・デュポン(株)製、厚さ:25μm)に加熱圧着した。その後、紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス(株)製)でキャリアフィルム側から紫外線を4000mJ/cm2照射し、キャリアフィルムを剥離した後に170℃、1時間加熱硬化して下部クラッド層2を得た(図1(a)参照)。
【0043】
(コア層の形成)
平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL‐E‐679FGB、厚さ;0.6mm)上に、下部クラッド層2付きの基板1の基板面を下にして配置し、下部クラッド層2上に、カバーフィルムを剥離したサイズ100mm×100mm、厚み50μmのコア層形成用樹脂フィルムを配置し、さらにその上に、加圧部材6付きの平面基板7の加圧部材6形成面側を下にして、配置し、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着し、コア層のラミネートと、コア層の押し下げを同時に行った。なおコア層のキャリアフィルムをフレキシブル基材8とした(図1(b)参照)。
その後、加圧部材6付き平面基板7と、平面基板7を取り外した。
【0044】
(コアパターンの形成)
幅が30μmから50μmに拡大するテーパ形状で長さ0.5mmの開口部を持ち、該開口部が幅30μm側を内側にして放射状(4方位)にそれぞれ設けられ、対向する開口部間を100μmにしたネガ型フォトマスクを介し、4つの開口部の中心を加圧部材6にて押し下げた押し下げ部(図示せず)に位置合わせをする。そして、コア層形成側から上記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を0.6J/cm2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。その後、キャリアフィルムであるPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、コアパターン4を現像した。続いて、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥し、厚み方向及び幅方向にテーパを有する4個の四角錐台形状のコア部材が放射状に配置してなるコアパターン4を形成した(図1(c)、図2参照)。
【0045】
(工程B1
(上部クラッド層の形成)
平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL‐E‐679FGB、厚さ;0.6mm)上にコアパターン4を形成した基板1の基板面を下にして設置する。そして、コアパターン形成面上には、カバーフィルムを剥離したサイズ100mm×100mm、厚み70μmの上部クラッド層形成用樹脂フィルムを配置した。さらに、上部クラッド層形成用樹脂フィルムの上に平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL−E−679FGB、厚さ;0.6mm)を配置した。そして、順次積層配置した積層体を、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着し、キャリアフィルム側から紫外線を4000mJ/cm2照射し、キャリアフィルムを剥離した後に170℃、1時間加熱硬化して光導波路を得た(図1(d)参照)。
【0046】
(厚み測定)
得られたコアパターン4を構成する4個のコア部材は総て、放射中心側の端部の厚みが30μmであり、当該端部の幅は30.1μmであった。コアパターン4を構成する4個のコア部材は総て、放射外側の端部の厚みが50μmであり、当該端部の幅は50μmであった。
コアの中心(コアパターンの放射中心端部から0.25mm地点)のコア厚みは42.5μm、幅は40μmであった。上部クラッド層下面から下部クラッド層上面までの厚みは、コアパターン4厚みが薄い箇所も厚い箇所もどちらも全て100μmであった。
【0047】
(実施例2)
(工程A2
(下部クラッド層の形成)
実施例1で用いた平面基板7b(両面銅箔付きのFR−4基板)上に、基板1としてポリイミドフィルム(商品名:カプトンEN、東レ・デュポン(株)製、厚さ:25μm)を配置する。そして、基板1の上には、カバーフィルムを剥離した下部クラッド層形成用樹脂の樹脂面が対向するように配置した。更に、実施例1で用いた加圧部材6付きの平面基板7を、加圧部材6形成面側を下にして設置した。そして、順次積層配置した積層体を、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着し、下部クラッド層のラミネートと、下部クラッド層の押し下げを同時に行った。なお下部クラッド層のキャリアフィルムをフレキシブル基材8とした(図4(a)参照)。
【0048】
(コア層の形成)
平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL−E−679FGB、厚さ;0.6mm)上に下部クラッド層2を形成した基板1の基板面を下にして設置した。そして、下部クラッド層2の形成面上に、カバーフィルムを剥離したサイズ100mm×100mm、厚み30μmのコア層形成用樹脂フィルムを配置した。さらに、コア層形成用樹脂フィルムの上に平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL−E−679FGB、厚さ;0.6mm)を配置した。そして、順次積層配置した積層体を、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着した(図4(b)参照)。
【0049】
(コアパターンの形成)
幅が50μmから30μmに縮小するテーパ形状で長さ0.5mmの開口部を持ち、該開口部が幅30μm側を内側にして放射状(4方位)にそれぞれ設けられ、対向する開口部間を100μmにしたネガ型フォトマスクを介し、4つの開口部の中心を加圧部材6に位置合わせした。そして、コア層形成側から上記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を0.6J/cm2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。その後、キャリアフィルムであるPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、コアパターンを現像した。続いて、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥し、厚み方向及び幅方向にテーパを有する四角錐台形状のコアパターン4を形成した(図4(c)、図5参照)。
【0050】
(工程B2
(上部クラッド層の形成)
平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL−E−679FGB、厚さ;0.6mm)上にコアパターン4を形成した基板1の基板面を下にして配置した。そして、コアパターン4形成面上に、カバーフィルムを剥離したサイズ100mm×100mm、厚み70μmの上部クラッド層形成用樹脂フィルムを配置した。さらに、上部クラッド層形成用樹脂フィルムの上に平面基板7として100mm×100mmの両面銅箔付きのFR−4基板(日立化成株式会社製、商品名;MCL−E−679FGB、厚さ;0.6mm)を配置した。そして、順次積層配置した積層体を、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着し、キャリアフィルム側から紫外線を4000mJ/cm2照射し、キャリアフィルムを剥離した後に170℃、1時間加熱硬化して光導波路を得た(図4(d)参照)。
【0051】
(厚み測定)
得られたコアパターン4を構成する3個のコア部材は総て、放射中心側の端部の厚みが50μmであり、当該端部の幅は50μmであった。コアパターン4を構成する4個のコア部材は総て、放射外側の端部の厚みが30μmであり、当該端部の幅は30μmであった。
コアの中心(コアパターンの放射中心端部から0.25mm地点)のコア厚みは37.5μm、幅は40μmであった。上部クラッド層下面から下部クラッド層上面までの厚みは、コアパターン4厚みが薄い箇所も厚い箇所もどちらも全て98〜100μmの範囲内であった。
【0052】
(実施例3)
実施例1において加圧部材6作製時に用いたネガ型フォトマスクを、幅150μmの開口部(開口部ピッチ;Y方向それぞれ10mm(9箇所))を有するネガ型フォトマスクに変えて直線状の加圧部材6付き平面基板7aを形成した。
さらに、コアパターン形成用のネガ型フォトマスクを、幅が30μmから50μmに拡大するテーパ形状で長さ0.5mmの開口部を持ち、該開口部が30μmである側を内側とし、Y方向の開口部間を100μm(該開口部間中心と、加圧部材6中心とが位置合わせされて工程B1のコア層3のラミネートとテーパ形成が行われている)に対向するように設ける。X方向に500μmピッチで整列した開口部を有するネガ型フォトマスクに変更した以外は、実施例1と同様の方法で光導波路を形成した。
【0053】
(厚み測定)
得られた光導波路の加圧部材6で押し下げた側の総てのコアパターン4の端部の厚みが30μmであり、当該端部の幅は30.1μmであった。他端側の総てのコアパターン4の端部の厚みが50μmであり、当該端部の幅は50μmであった。
コアの中心(コアパターンの厚み30μm側端部から0.25mm地点)のコア厚みは43.5μm、幅は40μmであった。上部クラッド層下面から下部クラッド層上面までの厚みは、コアパターン4厚みが薄い箇所も厚い箇所もどちらも全て100μmであった(図3参照;コアパターン形成後の基板平面図)。
【0054】
(実施例4)
実施例2において実施例3の加圧部材6を用い、コアパターン形成用のネガ型フォトマスクを、幅が50μmから30μmに縮小するテーパ形状で長さ0.5mmの開口部を持ち、該開口部が幅50μm側を内側とし、Y方向の開口部間を100μm(該開口部間中心と、加圧部材6中心とが位置合わせされて工程A2の下部クラッド層2のラミネートとテーパ形成が行われている)に対向するように設ける。X方向に500μmピッチで整列した開口部を有するネガ型フォトマスクに変更した以外は、実施例2と同様の方法で光導波路を形成した(図6参照;コアパターン形成後の基板平面図)。
【0055】
(厚み測定)
得られた光導波路の加圧部材6で押し上げた側の総てのコアパターン4の端部の厚みが50μmであり、当該端部の幅は50μmであった。他端側の総てのコアパターン4の端部の厚みが30μmであり、当該端部の幅は30μmであった。
コアの中心(コアパターンの厚み50μm側端部から0.25mm地点)のコア厚みは42.3μm、幅は40μmであった。上部クラッド層下面から下部クラッド層上面までの厚みは、コアパターン4厚みが薄い箇所も厚い箇所もどちらも全て100μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上詳細に説明したように、本発明の光導波路の製造方法は、特に、テーパ付きの光導波路の製造方法に関し、任意かつ/又は複数の位置に、任意かつ/又は複数の方向に簡便にテーパ付きのコアパターンを有する光導波路を製造できる。これにより光学素子と接続する際の結合損失の低減が可能であるとともに、光学素子と接続する際の位置合わせトレランスが確保できる光導波路を得ることができる。
このため、例えば、光ファイバと光導波路の接続機器用のデバイスや、光導波路と電気配線板が複合されたデバイスとして有用である。
【符号の説明】
【0057】
1:基板
2:下部クラッド層
3:コア層
4:コアパターン
5:上部クラッド層
6:加圧部材
7:平面基板
8:フレキシブル基材
A:コアテーパ
B:下部クラッドテーパ
図2
図3
図5
図6
図1
図4