(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
投入管における前記投入管と異物分離室との接続部側の一端の中心部、及び前記一端と反対側の他端の中心部を結ぶ配管中心線と、重力方向と直交する方向とがなす角度が、0°超30°以下である請求項2に記載の異物分離装置。
請求項1から7のいずれかに記載の異物分離装置の異物分離室において、重力を利用して粉体中に含まれる金属製異物を前記粉体から分離する工程を含むことを特徴とする異物分離方法。
【背景技術】
【0002】
粉砕機により微粉末を製造する方法において、粉砕機に投入する原料粉体の粒径を30μm程度とした場合、粉砕平均粒径が4μm〜10μm、生産量が150kg/h〜200kg/hの微粉末を生産できる粉砕機としては、衝突板式粉砕機、対向気流式粉砕機、機械式粉砕機などが挙げられる。
【0003】
前記衝突板式粉砕機及び前記対向気流式粉砕機は、ジェット気流により原料粉体を加速させるため、多量のエアーを必要とする。そのため、電力消費が極めて多く、エネルギーコスト及び環境負荷が高いという問題がある。
【0004】
これに対して、エネルギーコスト及び環境負荷を低減するという観点から、前記衝突板式粉砕機及び前記対向気流式粉砕機よりも効率的な粉砕機として、前記機械式粉砕機が用いられている。前記機械式粉砕機は、高速回転するロータ(回転体)とステータ(固定子)の間に存在する空隙に原料粉体を供給することにより粉砕する。したがって、前記機械式粉砕機ではジェット気流を必要とせず、粉砕の際の圧縮エアー消費がほとんどない。そのため、省エネルギーで微粉末を得ることが可能である。
【0005】
ところで、前記回転体を用いる粉砕機での粉砕に供される原料粉体は、例えば、樹脂、着色剤などを混練し、更に必要に応じて粗粉砕を行って得られる。前記混練は、混練機によって行われる。例えば、電子写真用トナーの原料粉体を得る際、前記混練機としては、通常、スクリューを有する混練機が用いられる。前記スクリューを有する混練機は、例えば、前記スクリューと、前記スクリューの外周に位置するケーシングとを有している。前記スクリューは、その軸に螺旋状の突出部を有している。また、前記スクリュー又は前記ケーシングには、柱状の突起であるピンが設けられている。そして、前記スクリューを有する混練機は、前記スクリューの突出部、及び前記ピンの共同作業によって、効率よく混練を行う。
【0006】
前記スクリューを有する混練機により原料粉体を製造すると、前記スクリュー及び前記ピンに由来する金属製異物が前記原料粉体に混入することがある。前記混練機内では、混練の際、高い圧力が発生する。この高い圧力は、前記スクリューの螺旋状の突出部同士の間、前記ピン同士の間、前記螺旋状の突出部と前記ピンとの間などで発生しやすい。そのため、この高い圧力により前記螺旋状の突出部や前記ピンが疲労、衝撃等により破損し、前記金属製異物が発生する。また、例えば、前記混練機において前記スクリューが疲労破壊することが知られている(例えば、特許文献1参照)。疲労破壊した前記スクリューの破片は前記金属製異物となる。
【0007】
前記金属製異物が前記原料粉体に混入すると以下の問題が起こる。一つ目は、前記金属製異物が前記原料粉体とともに前記粉砕機内に入ると、前記粉砕機のロータに前記金属製異物が衝突し、ロータを破損させるという問題が起こる。また、ロータとステータとの隙間に前記金属製異物が挟まると、前記金属製異物が粉砕機を停止させるという問題が起こる。二つ目に、前記原料粉体に混入した前記金属製異物が前記粉砕機により粉砕されると、製造後の粉体に前記金属製異物の微細な破片が混入する。そして、例えば、前記粉体としてのトナーに前記金属製異物の微細な破片が混入すると、前記金属製異物の微細な破片が混入されたトナーが、画像形成工程において感光体を傷つけてしまうという問題が起こる。
【0008】
従来、気体、液体又は固体から不要な物(異物、不要な成分など)を分離する方法としては、例えば、沈降室の中程の側面に含塵気体投入口を設け、前記沈降室の下方に塵埃捕集口を設け、前記含塵気体投入口の上方の前記沈降室内の横方向全面に、塵埃を捕集する網又はフィルターを設け、塵埃が除去された気体を排出する流体排出口を、前記沈降室の上方に設けた重力沈降型集塵装置が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。これらの提案の技術では、前記沈降室の中程に、前記含塵気体投入口から投入された含塵気体が沈降室の全体を均一かつ平行に前記網又は前記フィルターに向かって上昇するように、前記網又は前記フィルターの下方に流体整流板が配設されている(例えば、特許文献2の
図1、及び特許文献3の
図1参照)。
また、鉛直面方向に多数の均一な吐出口を開設した吐出面と、鉛直面方向に多数の均一な吸引口を開設した吸引面を適宜間隔を持って対向した空間により沈降室を構成すると共に、前記沈降室の下方に粒子捕集口を開設したホッパーを配置してなり、前記吐出口をその前段に設けた気流分配手段を介して含塵流体投入口と連通すると共に、前記吸引口をその後段に設けた気流分配手段を介して処理流体排出口と連通した重力沈降型集塵装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この提案の技術では、前記沈降室に前記吐出面と前記吸引面とを横断する方向に延びる山形三角断面を呈する案内板が横架設されている(例えば、特許文献4の
図1参照)。
しかし、これらの提案の技術を用いて金属製異物が混入した原料粉体から前記金属製異物を分離しようとしても、沈降室内に設置された流体整流板又は案内板へ衝突した前記金属製異物が不規則な動きをして排出口へ到達してしまい、前記原料粉体から前記金属製異物が分離できない。
【0009】
また、中空の容器と、前記容器を上下に仕切り、上方側の流動層室及び下方側の気体導入室を形成する仕切部材とを含み、前記容器が、前記気体導入室に開口し、前記仕切部材の各透孔を介して前記気体導入室から前記流動層室に噴出する流動化用気体が供給される気体導入口と、前記流動層室に開口し、原料が供給される投入口と、前記流動層室における下層領域に開口し、粗粉成分及び微粉成分を排出する排出口と、前記流動層室における上層領域に開口する気体排出口とを有する流動層式分級装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、この提案の技術では、金属製異物が混入した原料粉体から前記金属製異物を分離しようとしても、前記排出口が前記投入口よりも下方にあるため、前記原料粉体から前記金属製異物が分離できない。
【0010】
また、強磁性体を含んだ異種混合粉体から強磁性体を分離するための強磁性体の分離装置であって、異種混合粉体を分散させた気流あるいは水流が導かれ、強磁性体とそれ以外の粉体とを質量の違いにより分離する分離室と、前記分離室において、前記異種混合粉体中の強磁性体に対して前記強磁性体を分離させたい領域の方向に磁力が作用するように配設された磁場発生装置とを備える強磁性体の分離装置が提案されている(例えば、特許文献6参照)。この提案の技術では、重力沈降室である前記分離室の入口と出口とが同じ高さにあるため(例えば、特許文献6の
図1参照)、投入速度が速い場合には、金属製異物が混入した原料粉体から前記金属製異物を分離しようとしても、前記原料粉体から前記金属製異物が分離できない。また、重力沈降室である前記分離室の出口が入口よりも上方にある場合(例えば、特許文献6の
図4参照)でも、前記分離室内でサイクロン効果が生じたときには、前記原料粉体から前記金属製異物が分離できない。
【0011】
したがって、金属製異物が混入した粉体から前記金属製異物を分離できる異物分離装置の提供が求められているのが現状である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(異物分離装置、及び異物分離方法)
本発明の異物分離装置は、異物分離室と、投入管と、排出管とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
本発明の異物分離方法は、前記異物分離装置の前記異物分離室において、重力を利用して粉体中に含まれる金属製異物を前記粉体から分離する工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0017】
前記金属製異物は、前記粉体を製造する過程において前記粉体に混入することがある。
例えば、前記粉体は、結着樹脂、着色剤などを混練し、更に必要に応じて粗粉砕を行って得られる。前記混練は、混練機によって行われる。前記混練機としては、例えば、スクリューを有する混練機が用いられる(例えば、特開平11−77667号公報の
図4参照)。前記スクリューを有する混練機は、例えば、前記スクリューと、前記スクリューの外周に位置するケーシングとを有している。前記スクリューは、その軸に螺旋状の突出部を有している。また、前記スクリュー又は前記ケーシングには、柱状の突起であるピンが設けられている。そして、前記スクリューを有する混練機は、前記スクリューの突出部、及び前記ピンの共同作業によって、混練を行う。前記混練機内では、混練の際、高い圧力が発生する。この高い圧力は、前記スクリューの螺旋状の突出部同士の間、前記ピン同士の間、前記螺旋状の突出部と前記ピンとの間などで発生しやすい。そのため、この高い圧力により前記螺旋状の突出部や前記ピンが疲労、衝撃等により破損し、前記金属製異物が発生する。また、前記混練機において前記スクリューは疲労破壊を起こす。疲労破壊した前記スクリューの破片は前記金属製異物となる。
そのようにして、前記金属製異物が前記粉体に混入された場合でも、本発明の異物分離装置及び異物分離方法は、前記金属製異物と前記粉体とを分離できる。また、そうすることで、例えば、前記粉体としてトナー原料粉体を用いてトナーを製造する際には、前記金属製異物が回転体を有する粉砕手段に入ること、及び前記金属製異物が製造されるトナーに入ることを防ぐことができる。
【0018】
前記金属製異物の材質としては、例えば、ステンレス、スチール、ジュラルミン(アルミ合金)、チタン合金などが挙げられる。
前記金属製異物の大きさとしては、例えば、1mm〜10mmなどが挙げられる。前記金属製異物の形状が不定形の場合、前記大きさは、前記金属製異物を内包する球の直径とする。
【0019】
<異物分離室、投入管、及び排出管>
前記異物分離室としては、前記粉体中に含まれる前記金属製異物を、重力を利用して前記粉体から分離するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投入管としては、前記異物分離室に接続され、前記粉体を前記異物分離室に供給するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記排出管としては、前記異物分離室に接続され、前記粉体を前記異物分離室から排出するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記異物分離室、前記投入管、及び前記排出管は、それらの接続部が接合によって得られたものであってもよいし、それらの接続部が明確になっていないものであってもよい。前記接続部が明確になっていないものとしては、例えば、前記異物分離室、前記投入管、及び前記排出管が、1本の管から内径を変化させるなどして形成されたものであってもよい。
【0021】
前記異物分離室において、前記排出管と前記異物分離室との接続部は、前記投入管と前記異物分離室との接続部よりも、重力方向と反対方向側に配置されている。そうすることにより、重力を効果的に利用して前記粉体と前記金属製異物との分離を行うことができる。
【0022】
前記投入管における前記投入管と前記異物分離室との接続部側の一端の中心部は、前記一端と反対側の他端の中心部よりも、重力方向側にあることが好ましい。そうすることにより、前記異物分離室におけるサイクロンの発生を抑制し、前記金属製異物が前記粉体と分離される前に前記排出管から排出されることを防ぐことができる。
前記投入管における前記投入管と前記異物分離室との接続部側の一端の中心部、及び前記一端と反対側の他端の中心部を結ぶ配管中心線と、重力方向と直交する方向とがなす角度は、0°超50°以下が好ましく、3°〜30°がより好ましい。そうすることにより、サイクロンの発生をより抑制できる。
【0023】
前記投入管は、前記投入管の内面の重力方向と反対方向側に、前記投入管における前記粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を部分的に小さくする遮蔽部分を有する。そうすることにより、前記異物分離室に堆積して損失となる前記粉体の量を低減できる。また、前記異物分離室におけるサイクロンの発生を抑制する点でも、前記投入管が前記遮蔽部分を有することが好ましい。
前記遮蔽部分は、前記投入管における前記粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を部分的に小さくするものであれば、その形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記遮蔽部分は、前記投入管の内面の重力方向と反対方向側から重力方向に向かって順次前記投入管の内面を遮蔽する構造であることが好ましい。
前記遮蔽部分は、前記投入管における前記粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を0%超60%以下に小さくすることが好ましく、20%〜30%小さくすることがより好ましい。言い換えれば、前記投入管における前記粉体の搬送方向と直交する方向の断面における前記遮蔽部分の面積は、前記粉体の搬送方向と直交する方向の断面における前記投入管の面積に対して、0%超60%以下が好ましく、20%〜30%がより好ましい。そうすることにより、前記異物分離室に沈降する前記粉体の量をより低減できる。また、前記異物分離室におけるサイクロンの発生をより抑制できる。
【0024】
前記排出管は、前記異物分離室の重力方向と反対方向側の面に接続されていることが好ましい。そうすることにより、より効果的に前記粉体と、前記金属製異物とを分離できる。
【0025】
前記異物分離室は、前記排出管と前記異物分離室との接続部に、前記異物分離室の内側に突出した突出部を有することが好ましい。そうすることにより、たとえ前記異物分離室内にサイクロンが発生しても、前記金属製異物が、前記排出管に入ることを防ぐことができる。
前記突出部の突出長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記異物分離室の重力方向の長さに対して、1%〜5%が好ましく、2%〜4%がより好ましい。前記突出長さが、1%未満であると、前記異物分離室内にサイクロンが発生しやすくなり、そのうず流により遠心力で前記金属製異物が前記排出管に流入することがあり、5%を超えると、前記投入管の断面積が小さくなることにより、吸引圧力損失が増大することで、吸引風量が低下し、例えば、後続する粉砕における粉砕処理能力を損なうことがある。前記突出長さが、前記より好ましい範囲内であると、前記金属製異物混入防止と前記粉砕処理能力確保の点で有利である。
ここで、前記異物分離室の重力方向の長さとは、例えば、
図1に示す異物分離室2においては、高さ方向の長さである。
【0026】
前記排出管と前記異物分離室との接続部と、前記投入管と前記異物分離室との接続部との距離(L)は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
m×g×L
h>(1/2)×m×v
2 ・・・式(1)
ただし、上記式(1)中、L
hは、前記距離(L)の重力方向の成分〔m〕を表し、mは、前記金属製異物の質量〔g〕を表し、gは、重量加速度〔m/s
2〕を表し、vは、前記投入管と前記異物分離室との接続部における前記金属製異物の速度〔m/s〕を表す。
そうすることにより、前記投入管から前記異物分離室に入った前記金属製異物の運動エネルギー〔(1/2)mv
2〕よりも、前記投入管から前記排出管まで前記金属製異物を移動させる位置エネルギー(mgL
h)の方が大きくなるため、前記異物分離室内で前記金属製異物が前記異物分離室内の内壁などに当たり、突発的に前記排出管に向かって飛んでいっても、前記金属製異物は、前記排出管のある高さまで届かない。
ここで、例えば、前記金属製異物の質量mとしては、例えば、0.004g〜4.0gが挙げられる。前記投入管と前記異物分離室との接続部における前記金属製異物の速度vとしては、17.5m/s〜28.0m/sが好ましく、19.2m/s〜25.4m/sがより好ましい。
【0027】
前記異物分離室、前記投入管、前記排出管、前記遮蔽部分、及び前記突出部の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレスなどが挙げられる。
【0028】
前記異物分離室の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒形状などが挙げられる。
前記投入管の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記投入管の断面積が最小となる断面(ただし、前記遮蔽部分を含む断面を除く)において円形、楕円形などが挙げられる。
前記排出管の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記排出管の断面積が最小となる断面において円形、楕円形などが挙げられる。
【0029】
前記異物分離室の断面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.14m
2〜0.30m
2が好ましく、0.16m
2〜0.28m
2がより好ましく、0.17m
2〜0.25m
2が特に好ましい。
ここで、前記異物分離室の断面積とは、例えば、
図1に示す異物分離室2においては、重力方向に直交する方向の断面における、前記異物分室内の空間の断面積である。
【0030】
前記投入管の断面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.017m
2〜0.042m
2が好ましく、0.018m
2〜0.039m
2がより好ましく、0.020m
2〜0.035m
2が特に好ましい。
ここで、前記投入管の断面積とは、例えば、
図1に示す投入管3においては、粉体の搬送方向(中心部23と中心部33とを結ぶ配管中心線と平行方向)に直交する方向の断面における、前記投入管内の空間の断面積である。
【0031】
前記排出管の断面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.020m
2〜0.059m
2が好ましく、0.022m
2〜0.054m
2がより好ましく、0.024m
2〜0.049m
2が特に好ましい。
ここで、前記排出管の断面積とは、例えば、
図1に示す排出管4においては、粉体の搬送方向に直交する方向の断面における、前記排出管内の空間の断面積である。
【0032】
前記投入管の断面積(S1)と、前記異物分離室の断面積(S0)との比(S1/S0×100(%))としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10%〜50%が好ましく、20%〜40%がより好ましい。
【0033】
前記排出管の断面積(S2)と、前記異物分離室の断面積(S0)との比(S2/S0×100(%))としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10%〜50%が好ましく、20%〜40%がより好ましい。
【0034】
前記投入管における前記粉体の搬送気体の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、16.0m/s〜31.0m/sが好ましく、19.2m/s〜25.4m/sがより好ましい。前記速度が、16.0m/s未満であると、前記投入管内に前記粉体が付着し、製造量を低下させること、及び配管詰まりにより、前記投入管内を前記粉体で閉塞させることがあり、31.0m/sを超えると、風量が大きくなることで、圧力損失が増加し、この圧力損失を低下させるための設備スケールアップが必要になり、より多くの設備投資、設置スペース、及び付帯設備の追加を要することがある。前記速度が、前記より好ましい範囲内であると、投資コスト及びスペースミニマムで安定的な生産稼動の点で有利である。
【0035】
前記異物分離室における前記粉体の搬送気体の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0m/s以下が好ましく、2.1m/s〜2.9m/sがより好ましい。前記速度が、3.0m/sを超えると、旋回している沈降物が、前記異物分離室内の側面に生じた突起部に当って跳ね上がることがある。前記速度が、前記より好ましい範囲内であると、前記金属製異物の跳ね上がり抑制の点で有利である。
前記異物分離室における前記速度は、前記異物分離室において直接測定する必要はなく、例えば、前記粉体を搬送するために用いる送風機の送風量と、前記異物分離室の断面積とから計算により求めることができる。
【0036】
前記投入管における前記粉体の搬送気体の速度(Vin)と、前記異物分離室における前記粉体の搬送気体の速度(Vout)との関係としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、次式Vin≧8×Voutを満たすことが、前記粉体と前記金属製異物との分離の点で好ましい。
【0037】
前記異物分離室は、その室内に、前記粉体の搬送気体の流れを前記排出管へ誘導する案内板を有しないことが好ましい。前記案内板を有することにより、前記粉体と前記金属製異物とが分離する前に、前記金属製異物を含んだ前記粉体が前記排出管に達することがある。前記案内板としては、例えば、板状部材であって、前記板状部材の表面における前記表面と平行な一の方向が、前記排出管と前記異物分離室との接続部である排出口に向くように配置された板状部材などが挙げられる。
【0038】
ここで、図を用いて前記異物分離装置の一例を説明する。
図1は、異物分離装置の一例を示す概略断面図である。
図1の異物分離装置1は、異物分離室2と、投入管3と、排出管4とを有する。異物分離室2は、中空で円筒形状をしている。投入管3及び排出管4は、中空で円筒形状をしている。投入管3は、異物分離室2の側面(周面)の下方側(重力方向側)に接続されている。投入管3と異物分離室2との接続部は、投入口13を有している。排出管4は、異物分離室2の重力方向と反対方向側の面(上面)に接続されている。排出管4と異物分離室2との接続部は、排出口14を有している。
【0039】
図1において、投入管3における投入管3と異物分離室2との接続部側の一端の中心部23は、前記一端と反対側の他端の中心部33よりも、重力方向側(下方側)にある。そうすることにより、異物分離室2内において気流に乱れを生じさせ、サイクロンの発生を抑制し、前記金属製異物が前記粉体と分離される前に排出管4から排出されることを防ぐことができる。
具体的には、
図1において、投入管3における投入管3と異物分離室2との接続部側の一端の中心部23、及び前記一端と反対側の他端の中心部33を結ぶ配管中心線43と、重力方向と直交する方向とがなす角度(θ)は、6°となっている。
【0040】
投入管3は、投入管3の内面の重力方向と反対方向側に、投入管3における粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を部分的に小さくする遮蔽部分5を有する。
図2は、
図1におけるA−A断面図である。
図2において、遮蔽部分5は、投入管3の内周上の2点X1及びX2を結ぶ弧(劣弧)X1X2と弦X1X2とで囲まれた弓形をしている。遮蔽部分5は、投入管3における粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を部分的に小さくしている。
図2に示す遮蔽部分5は、投入管3の内面の重力方向と反対方向側から重力方向に向かって順次投入管3の内面を遮蔽する構造となっている。
投入管3が遮蔽部分5を有さない場合、異物分離室2における投入管3の下部に定常的な渦が発生することがあり、この定常的な渦により、異物分離室2の重力方向の面(底面)に粉体が堆積することがある。
投入管3が遮蔽部分5を有することで、非定常な渦を発生させることができ、前記定常的な渦による粉体の堆積を防ぐことができる。
また、投入管3が遮蔽部分5を有することで、異物分離室2におけるサイクロンの発生を抑制することもできる。
【0041】
なお、投入管3が遮蔽部分5を有することに加え、投入管3における投入管3と異物分離室2との接続部側の一端の中心部23が、前記一端と反対側の他端の中心部33よりも、重力方向側にあることを併用することにより、前記定常的な渦の領域を狭くでき、異物分離室2の重力方向の面(底面)への粉体の堆積を防ぐ効果は、より顕著になる。
【0042】
遮蔽部分5は、投入管3における粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を部分的に小さくするものであれば、その形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。遮蔽部分5は、
図1に示すような板状であってもよいし、
図3に示すような、断面において突起状であってもよい。また、遮蔽部分5は、
図4に示すように、投入管3の管壁を変形させて形成したものであってもよい。
【0043】
図1において、異物分離室2は、排出管4と異物分離室2との接続部に、異物分離室2の内側に突出した突出部6を有する。異物分離室2内にサイクロンが発生した場合でも、突出部6は、金属製異物が排出管4に入ることを防ぐ。
突出部6の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
図5に示すような、断面において突起状であってもよい。
図1において、突出部6の突出長さ(L
6)は、異物分離室2の重力方向の長さの3%である。
【0044】
図1に示す異物分離室2において、排出管4と異物分離室2との接続部と、投入管3と異物分離室2との接続部との距離(L)は、下記式(1)を満たすようになっている。
m×g×L
h>(1/2)×m×v
2 ・・・式(1)
ただし、上記式(1)中、L
hは、前記距離(L)の重力方向の成分〔m〕を表し、mは、前記金属製異物の質量〔g〕を表し、gは、重量加速度〔m/s
2〕を表し、vは、前記投入管と前記異物分離室との接続部における前記金属製異物の速度〔m/s〕を表す。
前記距離(L)とは、投入口13と排出口14との最短距離ということもできる。
前記式(1)を満たすことにより、投入管3から入った金属製異物の運動エネルギー〔(1/2)mv
2〕よりも、投入管3から排出管4まで前記金属製異物を移動させる位置エネルギー(mgL
h)の方が大きくなるため、異物分離室2内で前記金属製異物が異物分離室2内の内壁などに当たり、突発的に排出管4に向かって飛んでいっても、前記金属製異物は、排出管4がある高さまで届かない。
【0045】
図6に示す異物分離装置は、突出部を有さない以外は、
図1に示す異物分離装置と同様の構成を有する異物分離装置の一例である。
図7に示す異物分離装置は、
図1における、投入管3における投入管3と異物分離室2との接続部側の一端の中心部23、及び前記一端と反対側の他端の中心部33を結ぶ配管中心線43と、重力方向と直交する方向とがなす角度(θ)が、0°である以外は、
図1に示す異物分離装置と同様の構成を有する異物分離装置の一例である。
【0046】
<粉体>
前記粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナーを製造するための原料粉体などが挙げられる。
前記粉体は、例えば、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0047】
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、エポキシ樹脂、COC(環状オレフィン樹脂(例えば、TOPAS−COC、Ticona社製))などが挙げられる。これらの中でも、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが挙げられる。
前記黒色顔料は、例えば、ブラックトナーに用いられる。前記黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト、ニグロシン染料、鉄黒などが挙げられる。
前記イエロー顔料は、例えば、イエロートナーに用いられる。前記イエロー顔料としては、例えば、シイ・アイ・ピグメントイエロー(C.I.Pigment Yellow)74、93、97、109、128、151、154、155、166、168、180、185、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエローなどが挙げられる。
前記マゼンタ顔料は、例えば、マゼンタトナーに用いられる。前記マゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、シイ・アイ・ピグメントレッド(C.I.Pigment Red)48:2、57:1、58:2、5、31、146、147、150、176、184、269等のモノアゾ顔料などが挙げられる。
前記シアン顔料は、例えば、シアントナーに用いられる。前記シアン顔料としては、例えば、Cu−フタロシアニン顔料、Zn−フタロシアニン顔料、Al−フタロシアニン顔料などが挙げられる。
【0049】
前記粉体の重量平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜500μmが好ましい。
前記重量平均粒子径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、SALD−3000J、株式会社島津製作所製)により測定できる。
【0050】
前記粉体は、前記異物分離装置により前記金属製異物と分離された後、例えば、粉砕されてより微細な粉体となる。
前記粉砕は、例えば、粉砕手段により行うことができる。前記粉砕手段としては、例えば、回転体を有する粉砕手段などが挙げられる。
【0051】
前記回転体を有する粉砕手段としては、例えば、回転体を有し、回転体と前記粉体との衝突、前記粉体同士の衝突、及び前記回転体と、前記回転体の外周面の外側に間隙を設けて配置された固定子との作用の少なくともいずれかにより前記粉体を粉砕する手段などが挙げられる。
【0052】
前記回転体を有する粉砕手段としては、例えば、特開2005−21768号公報、特開平11−319601号公報、特開2004−330062号公報、特開平11−276916号公報、特開2007−041496号公報に記載の回転体を有する粉砕手段などが挙げられる。
【0053】
前記回転体を有する粉砕手段としては、具体的には、例えば、ターボミル(例えば、フロイント・ターボ工業株式会社製)、ファインミル(例えば、日本コークス株式会社製)、クリプトロン(川崎重工業株式会社製)、ACMパルベライザー、APパルベライザー(ホソカワミクロン株式会社製)、アトマイザー(東京アトマイザー製造株式会社製)、トルネードミル(三庄インダストリー株式会社製)などが挙げられる。
【0054】
次に、本発明の異物分離装置を用いたトナーの製造方法の一例について図を用いて説明する。
図8は、トナー製造方法の一例の概略流れ図である。前記回転体を有する粉砕手段である機械式粉砕機101を用いたトナーの製造において、第1温調機115に供給(流入)された気体(例えば、空気)は一定温度まで冷却され、除湿機116に供給される。除湿機116へ供給された気体は、あらかじめ決められている露点温度まで除湿され、第2温調機117へ供給される。第2温調機117へ供給された気体はあらかじめ決められている機械式粉砕機入口エアー温度まで冷却される。供給口106から供給される前記粉体であるトナー原料粉体105は、調温及び調湿された気体とともに、前記異物分離装置である異物分離手段107に供給され、混入した金属製異物と分離される。金属製異物と分離されたトナー原料粉体105は、機械式粉砕機101に供給され、粉砕される。粉砕室104で処理された粉砕物108は、サイクロン109で捕集され、次工程で更に加工される。サイクロン109で捕集されないトナーはバグフィルター110で捕集され、再利用又は廃棄される。
図8において、111はブロワーである。ブロワー111から排気された気体は機械式粉砕機101の負荷にもよるが、その大半は第1温調機115の流入部へ供給される。この場合、気体を循環利用するため、特に調湿にかかるエネルギーを節約することができる。なお、
図8において、102は回転体、103は固定子、104aは粉砕機入口、104bは、粉砕機出口である。
【0055】
ここで、回転体を有する粉砕手段の一例を図を用いて説明する。
図9は、回転体を有する粉砕手段(粉砕機)の一例を示す概略断面である。
図9に示す粉砕機120は、基台121の上に横置きに設置された円筒形状のケーシング122を有する。ケーシング122の中には、円筒形状の回転体(ロータ)123が横置き配置され、この回転体123の軸124はケーシング122と同軸に配置されて、その一端がモータ125の出力軸に連結されている。ケーシング122は、その一端(
図9の左側端)に、粉体を搬送気体と共に機内に供給する供給口126を有し、右端(
図9の右側端)には、図外の吸引送風機に連なる排出口127を有する。回転体123の回りには、ケーシング122と一体構造の固定子(ステータ)128を有し、固定子128と回転体123との間には間隙129が設けられている。回転体123及び固定子128には、その一方または両方に、チタンなどの耐摩耗性に優れた材料でライニング処理するのが好ましい。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
<トナー製造>
本発明の異物分離装置を用いてトナーの製造を行った。
図8に示す装置構成により、トナーの製造を行った。
【0058】
−トナー原料粉体の製造−
下記配合の混合物を溶融混練して冷却した後、更に粗粉砕して、重量平均粒子径が400μmの粗粉砕物(トナー原料粉体)を得た。
〔配合〕
スチレン−アクリル共重合体 100質量部
カーボンブラック 10質量部
ポリプロピレン 5質量部
サリチル酸亜鉛 2質量部
【0059】
−異物分離工程(異物分離方法)−
得られたトナー原料粉体を用い、
図10に示す異物分離装置を用いて異物分離工程を行った。評価のため、金属製異物として、直径1mmのステンレス製ボールを用いた。これは、混練機において発生する金属製異物の平均的な大きさを想定したものである。
前記トナー原料粉体100質量部に前記金属製異物0.1質量部(前記トナー原料粉体10kg当たり前記金属製異物を約2,500個)を混合したものを、送風機を用いて、前記トナー原料粉体としての供給量は10kg/hで異物分離装置に搬送し、異物分離工程を行った。
用いた異物分離装置の装置構成、及び異物分離工程の各条件について以下に示す。
【0060】
〔異物分離装置の装置構成〕
異物分離室2は、直径470mm×高さ627mmの円筒形状である。
投入管3は、直径160mmの円筒形状である。
排出管4は、長軸210mm、短軸150mmの楕円形円筒形状である。
投入管3は、異物分離室2下方側面に接続されている。
排出管4は、異物分離室2上面に接続されている。
投入管3における投入管3と異物分離室2との接続部側の一端の中心部23、及び前記一端と反対側の他端の中心部33を結ぶ配管中心線43と、重力方向と直交する方向とがなす角度(θ)は、6°である。
投入管3には、遮蔽部分5が形成されている。遮蔽部分5は、
図2に示すような、投入管3の内面の重力方向と反対方向側から重力方向に向かって順次投入管3の内面を遮蔽する構造をしている。遮蔽部分5は、投入管3におけるトナー原料粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を25%小さくしている。遮蔽部分5の厚みは3mmとした。
異物分離室2は、排出管4と異物分離室2との接続部に、異物分離室2の内側に突出した突出部6を有する。突出部6の突出長さ(L
6)は、20mmであり、異物分離室2の高さ627mmの3%である。突出部6の厚みは2mmとした。
排出管4と異物分離室2との接続部と、投入管3と異物分離室4との接続部との距離(L)は、前記式(1)を満たすようにした。
【0061】
投入管3における前記トナー原料粉体の搬送気体の速度(Vin)を25.0m/sとした。
異物分離室2における前記トナー原料粉体の搬送気体の速度(Vout)を2.5m/sとした。
【0062】
−粉砕工程−
異物分離工程に続いて、粉砕工程を行った。
図9に示す粉砕機(機械式粉砕機)を用いて粉砕を行った。回転体123と固定子128との間隙129は、1mmとした。回転体123の周速は、94.2m/s(3,000rpm)とした。粉砕機への前記トナー原料粉体の供給量は、10kg/hとした。
【0063】
粉砕機による粉砕後の粉砕物は、サイクロンにより微粉末を除去し、更に外添剤を添加してトナーを得た。
得られたトナーの体積平均粒子径は、9.5μmであった。
【0064】
〔評価〕
以下の評価を行った。結果を表1−1に示す。
【0065】
<異物分離率>
トナー製造を1時間行った後、異物分離室に残った金属製異物の質量を測定し、異物分離工程におけるトナー原料粉体からの異物分離率(%)を下記計算式から求めた。
異物分離率(%)=100×M1/M0
M0:評価中に異物分離室に入った金属製異物の質量
M1:評価後に異物分離室に残った金属製異物の質量
【0066】
<トナー帯電量>
トナー及びキャリアをトナー濃度7質量%の現像剤として温度40℃で湿度70%の環境下に2時間放置した。続いて、前記現像剤を金属ゲージに入れ、回転数285rpmの攪拌装置で所定時間攪拌混合した6gの初期剤から、1gの現像剤を計量した。計量した1gの現像剤を、東芝ケミカル株式会社製のブローオフ帯電量測定器を用いてトナーの帯電量を測定した。
【0067】
<感光体の損傷>
得られたトナーについて、株式会社リコー製のAficio MP301 SPFを用いて、画像面積率8%のチャートを用いて1万枚画像形成を行い、画像形成後の感光体の状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:感光体にキズの発生無し
×:感光体にキズの発生有り(1箇所〜4箇所)
××:感光体にキズの発生有り(5箇所以上)
【0068】
(実施例2)
実施例1において、トナー原料粉体の供給量を表1−1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー製造を行い、評価を行った。結果を表1−1に示す。
【0069】
(比較例1)
実施例1において、異物分離装置を用いず、異物分離工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてトナー製造を行い、評価を行った。結果を表1−2に示す。
【0070】
(比較例2)
比較例1において、トナー原料粉体の供給量を表1−2に記載の条件に変更した以外は、比較例1と同様にしてトナー製造を行い、評価を行った。結果を表1−2に示す。
【0071】
(実施例3〜16、及び比較例3)
実施例1において、異物分離装置における各種条件を表1−3、及び表1−4に記載の条件に変えた以外は、実施例1と同様にしてトナー製造を行い、評価を行った。結果を表1−3、及び表1−4に示す。
【0072】
【表1-1】
【0073】
【表1-2】
【0074】
【表1-3】
【0075】
【表1-4】
表1−3、及び表1−4において、「重力方向と直交する方向とがなす角度θ」とは、「投入管と異物分離室との接続部側の一端の中心部、及び前記一端と反対側の他端の中心部を結ぶ配管中心線と、重力方向と直交する方向とがなす角度」を表す。「遮蔽部分面積率」とは、トナー原料粉体の搬送方向と直交する方向の断面における投入管の面積に対する遮蔽部分の面積(%)を表す。
【0076】
トナーの製造の際に異物分離装置を設けない比較例1〜2では、金属製異物がトナーに混入したことによると考えられる感光体の損傷が見られた。
また、比較例1〜2では、粉砕機の損傷、及び停止が起こった。
一方、異物分離装置を設けた実施例1〜16では、金属製異物による感光体の損傷は見られなかった。
投入管と異物分離室との接続部側の一端の中心部、及び前記一端と反対側の他端の中心部を結ぶ配管中心線と、重力方向と直交する方向とがなす角度が0°超50°以下であることにより、異物分離率は、98%以上となり、優れていた(例えば、実施例1、4〜9)。更に、前記角度が、3°〜30°であることにより、異物分離率は、100%となった(例えば、実施例1、5〜7)。
トナー原料粉体の搬送方向と直交する方向の断面における投入管の面積に対する遮蔽部分の面積(遮蔽部分面積率)が0%超60%以下であることにより、異物分離率は、98%以上となり、優れていた(例えば、実施例1、10〜16)。更に、前記遮蔽部分面積率が、20%〜30%であることにより、異物分離率は、100%となった(例えば、実施例1、12〜13)。
実施例1〜16においては、粉砕機の損傷、及び停止は生じなかった。
トナー原料粉体の搬送方向と直交する方向の断面における投入管の面積に対する遮蔽部分の面積(遮蔽部分面積率)が0%、即ち前記遮蔽部分を設けない比較例3では、異物分離率は低下し80%となった。
【0077】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 粉体中に含まれる金属製異物を、重力を利用して前記粉体から分離する異物分離室と、前記異物分離室に接続され、前記粉体を前記異物分離室に供給する投入管と、前記異物分離室に接続され、前記粉体を前記異物分離室から排出する排出管とを有し、
前記異物分離室において、前記排出管と前記異物分離室との接続部が、前記投入管と前記異物分離室との接続部よりも、重力方向と反対方向側に配置されており、
前記投入管が、前記投入管の内面の重力方向と反対方向側に、前記投入管における前記粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を部分的に小さくする遮蔽部分を有することを特徴とする異物分離装置である。
<2> 投入管における前記投入管と異物分離室との接続部側の一端の中心部が、前記一端と反対側の他端の中心部よりも、重力方向側にある前記<1>に記載の異物分離装置である。
<3> 投入管における前記投入管と異物分離室との接続部側の一端の中心部、及び前記一端と反対側の他端の中心部を結ぶ配管中心線と、重力方向と直交する方向とがなす角度が、0°超30°以下である前記<2>に記載の異物分離装置である。
<4> 遮蔽部分が、投入管における粉体の搬送方向と直交する方向の断面の面積を20%〜30%小さくする前記<1>から<3>のいずれかに記載の異物分離装置である。
<5> 排出管が、異物分離室の重力方向と反対方向側の面に接続されている前記<1>から<4>のいずれかに記載の異物分離装置である。
<6> 異物分離室が、排出管と前記異物分離室との接続部に、前記異物分離室の内側に突出した突出部を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の異物分離装置である。
<7> 排出管と異物分離室との接続部と、投入管と前記異物分離室との接続部との距離(L)が、下記式(1)を満たす前記<1>から<6>のいずれかに記載の異物分離装置である。
m×g×L
h>(1/2)×m×v
2 ・・・式(1)
ただし、上記式(1)中、L
hは、前記距離(L)の重力方向の成分〔m〕を表し、mは、金属製異物の質量〔g〕を表し、gは、重量加速度〔m/s
2〕を表し、vは、前記投入管と前記異物分離室との接続部における前記金属製異物の速度〔m/s〕を表す。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の異物分離装置の異物分離室において、重力を利用して粉体中に含まれる金属製異物を前記粉体から分離する工程を含むことを特徴とする異物分離方法である。