(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一括押出成形ではケーブル断面内における芯線の位置や発泡度がばらつくことから、更なる低スキュー(特に10ps/m以下)の実現には限界があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ケーブル断面内における芯線の位置や発泡度のばらつきを抑制することで低スキュー化した差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[4]の差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法を提供する。
【0008】
[1]2本の芯線が発泡押出成形により発泡絶縁体で一括被覆された構成を備え、
ケーブル長さ方向に対して直角に切断した際の切断面における下記定義で表される発泡度ばらつきが5%以内であることを特徴とする差動信号伝送用ケーブル。
<発泡度ばらつきの定義>
前記切断面において5つの領域を下記の手順(a)〜(c)に従い設定し、各領域における発泡度(%)を求め、発泡度が最大の領域における値と発泡度が最小の領域における値の差を発泡度ばらつきと定義する。
(a)前記2本の芯線の各上端と接する直線Xaと2本の芯線の各下端と接する直線X
bを前記発泡絶縁体の左右両端までそれぞれ引く
(b)前記2本の芯線の向き合う端部と接するように直線X
a及び直線X
bと直交する直線Y
a及び直線Y
bを前記発泡絶縁体の上下両端までそれぞれ引く
(c)直線X
a、直線X
b及び直線Y
aと前記発泡絶縁体の外縁に囲まれる領域A、直線X
a、直線X
b及び直線Y
bと前記発泡絶縁体の外縁に囲まれる領域B、直線X
a、直線X
b、直線Y
a及び直線Y
bに囲まれる領域C、直線X
a、直線Y
a及び直線Y
bと前記発泡絶縁体の外縁に囲まれる領域D、直線X
b、直線Y
a及び直線Y
bと前記発泡絶縁体の外縁に囲まれる領域Eの5つの領域を設定する
[2]下記定義で表される対称度αが0.10以下であることを特徴とする前記[1]に記載の差動信号伝送用ケーブル。
<対称度αの定義>
前記切断面において、前記2本の芯線の各中心を通る直線Xを引き、前記直線X上の前記2本の芯線の中心を結ぶ直線の中点を原点Lo(0,0)とし、前記直線Xと前記発泡絶縁体の外縁との交点をX
1、X
2とし、前記X
1とX
2とを結んだ直線X
1X
2の中点を点Lxとし、前記点Lxを通り、且つ前記直線X
1X
2に垂直な直線Yをとり、前記直線Yと前記発泡絶縁体の外縁との交点をY
1、Y
2とし、前記Y
1とY
2とを結んだ直線Y
1Y
2の中点を点Lyとした場合、前記原点Lo(0,0)から点Lyまでの直線距離をLとしたとき、前記距離Lを前記芯線の直径aで割った値を対称度αと定義する。
[3]スキューが5ps/m以下であることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の差動信号伝送用ケーブル。
[4]前記[1]〜[3]の何れか1つに記載の差動信号伝送用ケーブルの製造方法であって、
発泡押出成形時の口金内の樹脂最大流速を口金内の樹脂平均流速で割った値として定義される不均一流量指数が1.5以下であることを特徴とする差動信号伝送用ケーブルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケーブル断面内における芯線の位置や発泡度のばらつきを抑制することで低スキュー化した差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(差動信号伝送用ケーブルの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る差動信号伝送用ケーブルの断面構造を示す断面図である。また、
図2は、
図1の変形例に係る差動信号伝送用ケーブルの断面構造を示す断面図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る差動信号伝送用ケーブル10は、2本の芯線1が発泡押出成形により発泡絶縁体2で一括被覆された構成を備える。
図1に示されるように、必要に応じて発泡絶縁体2の外側に外部スキン層3を設けることができ、さらに外部スキン層3の外周にシールド層4を設けることができる。
【0013】
また、
図2に示される
図1の変形例に係る差動信号伝送用ケーブル20のように、必要に応じて発泡絶縁体2の内側に内部スキン層5を設けることができ、さらにシールド層4の外周にシース6を設けることができる。
【0014】
2本の芯線1は、平行に並べられている形態であることが好ましい。芯線1としては、単線でも撚り線でも良く、例えば、銅線や各種合金線を用いることができる。場合によってはチューブ状導体が使用できる。また、表面に銀、錫、ニッケル、金、その他任意の種類のめっきを施すことができる。
【0015】
発泡絶縁体2は、単一層でも複数の発泡層を組合わせても構わない。発泡絶縁体2の樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィンを用いることができる。オレフィンを重合した単位を持つポリマであれば、特に限定されずに使用することができ、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、ポリプロピレン、エチレン共重合体ポリプロピレン、リアクタブレンド型ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマ、ポリ−4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、2種以上をブレンドして使用することも可能である。伝送損失低減のため、ポリエチレンが好適である。
【0016】
樹脂を発泡させる方式としては、樹脂に予め添加された化学発泡剤の分解により発泡させる化学発泡方式と、押出機中にガスを圧入して樹脂に溶解させ、押出ヘッドの口金出口における圧力降下により発泡させる物理発泡方式とが挙げられる。
【0017】
化学発泡剤としては、樹脂成形温度にあわせて、(A)アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジッド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ビステトラゾール・ジアンモニウム、ビステトラゾール・ピペラジン、5−フェニールテトラゾールなどの有機系化学発泡剤、(B)炭酸塩、重炭酸塩、亜硝酸塩、水素化物などの無機系化学発泡剤、(C)酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、脂肪酸塩、無機亜鉛化合物、有機亜鉛化合物、尿素系化合物、有機酸、アミン化合物などの発泡助剤が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、2種以上をブレンドして使用することも可能である。ポリオレフィンの加工温度に適したアゾジカルボンアミドが好適である。
【0018】
物理発泡方式によるガス種類としては、窒素ガス、炭酸ガス、空気、ペンタン、ブタン、フロン化合物が挙げられる。樹脂への溶解性、安全性、地球環境保護の点から、窒素ガス、又は炭酸ガスが好適である。最も好適には、気泡径を小さくできる窒素ガスである。
【0019】
外部スキン層3及び内部スキン層5は、発泡していない又は発泡絶縁体2と比較して発泡度が小さい被覆層である。外部スキン層3及び内部スキン層5の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用いることができる。
【0020】
シールド層4は、用途と必要性により極細金属線による横巻、編組、あるいは金属箔の巻き付け(横巻き、縦添え巻き)、縦添え金属によるコルゲート構造などから任意に選択できる。例えば、銅線編組、錫メッキ銅線編組、銀メッキ銅線編組、銅箔テープ、銅テープ/ポリエステルフィルム、アルミ箔/ナイロンラミネートテープ、銅コルゲート管、アルミストレート管、アルミコルゲート管を用いることができる。
【0021】
シース6の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などポリオレフィン、フッ素樹脂、ハロゲンフリー難燃ポリオレフィン、軟質塩化ビニル樹脂を使用できる。
【0022】
差動信号伝送用ケーブル10を構成する発泡絶縁電線の形態は、任意の形態を採用できるが、
図1及び
図2に示されるように、ケーブル長さ方向に対して直角に切断した際の切断面が2本の芯線1の並び方向に長い楕円形状であることが好ましい。当該切断面を2本の芯線1の並び方向に対して平行な平坦部を有する扁平楕円形状としてもよい。
【0023】
差動信号伝送用ケーブル10は、ドレイン線を有する形態とすることもできるが、ドレイン線を有していない形態であることが好ましい。
【0024】
図3は、発泡度ばらつきの定義を説明するための図である。
【0025】
差動信号伝送用ケーブル10は、ケーブル長さ方向に対して直角に切断した際の切断面における下記定義で表される発泡度ばらつきが5%以内である。好ましくは発泡度ばらつきが4.5%以内であり、より好ましくは4%以内であり、さらに好ましくは3.5%以内である。
<発泡度ばらつきの定義>
上記切断面において5つの領域を下記の手順(a)〜(c)に従い設定し、各領域における発泡度(%)を求め、発泡度が最大の領域における値と発泡度が最小の領域における値の差を発泡度ばらつきと定義する。
(a)2本の芯線1の各上端と接する直線X
aと2本の芯線の各下端と接する直線X
bを発泡絶縁体2の左右両端までそれぞれ引く
(b)2本の芯線1の向き合う端部と接するように直線X
a及び直線X
bと直交する直線Y
a及び直線Y
bを発泡絶縁体2の上下両端までそれぞれ引く
(c)直線X
a、直線X
b及び直線Y
aと発泡絶縁体2の外縁に囲まれる領域A、直線X
a、直線X
b及び直線Y
bと発泡絶縁体2の外縁に囲まれる領域B、直線X
a、直線X
b、直線Y
a及び直線Y
bに囲まれる領域C、直線X
a、直線Y
a及び直線Y
bと発泡絶縁体2の外縁に囲まれる領域D、直線X
b、直線Y
a及び直線Y
bと発泡絶縁体2の外縁に囲まれる領域Eの5つの領域を設定する
【0026】
上記定義で表されるA〜Eの5領域の発泡度ばらつきを5%以内にすることで、ケーブル断面内における芯線の位置や発泡度のばらつきが抑制された低スキューの差動信号伝送用ケーブルを得ることができる。
【0027】
また、差動信号伝送用ケーブル10は、下記定義で表される対称度αが0.10以下であることが好ましい。
図4及び
図5は、対称度αの定義を説明するための図である。
<対称度αの定義>
上記切断面において、2本の芯線1の各中心を通る直線Xを引き、直線X上の2本の芯線1の中心を結ぶ直線の中点を原点Lo(0,0)とし、直線Xと発泡絶縁体2の外縁との交点をX
1、X
2とし、X
1とX
2とを結んだ直線X
1X
2の中点を点Lxとし、点Lxを通り、且つ直線X
1X
2に垂直な直線Yをとり、直線Yと発泡絶縁体2の外縁との交点をY
1、Y
2とし、Y
1とY
2とを結んだ直線Y
1Y
2の中点を点Lyとした場合、原点Lo(0,0)から点Lyまでの直線距離をLとしたとき、距離Lを芯線1の直径aで割った値を対称度αと定義する。
【0028】
上記定義で表される対称度αを0.10以下にすることで、ケーブル断面内における芯線の位置のばらつきが抑制された低スキューの差動信号伝送用ケーブルを得ることができる。
【0029】
図4は、2本の芯線1の位置に偏りが無く、好適な実施形態の例を示す断面図である。
図4の実施形態において、原点Lo(0,0)、点Lx及び点Lyの位置が一致しており、L=0となっている。このとき、対称度αは0/a=0である。
【0030】
一方、
図5は、2本の芯線1の位置に偏りがある場合であり、(a)は上方及び左方に偏っている場合、(b)は上方に偏っている場合、(c)は右方に偏っている場合の断面図である。
【0031】
図5(a)では、点Lyの座標は(Lx,Ly)であるので、対称度αは、以下の式により求められる。
【0033】
図5(b)では、点Lyの座標は(0,Ly)であるので、対称度αは、以下の式により求められる。
【0035】
図5(c)では、点Lyの座標は(Lx,0)であるので、対称度αは、以下の式により求められる。
【0037】
(差動信号伝送用ケーブルの用途)
本実施の形態に係る差動信号伝送用ケーブル10は、数Gbps以上の大容量の高速伝送に適しており、10Gbps以上クラスの高速伝送にも好適に使用できる。
【0038】
(差動信号伝送用ケーブルの製造方法)
本実施の形態に係る差動信号伝送用ケーブル10の製造方法は、2本の芯線1を発泡絶縁体2で一括被覆する発泡押出成形時の口金内の樹脂最大流速を口金内の樹脂平均流速で割った値として定義される不均一流量指数が1.5以下であることに特徴がある。不均一流量指数が1.4以下であることが好ましく、1.35以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましい。
【0039】
不均一流速指数が1.5よりも大きければ、口金内で応力バランスがとれず、発泡度のばらつきが増加し、芯線の位置ズレも発生しやすくなる。その結果、対称度αが0.10を越え、スキューが増加する。
【0040】
流速分布v(m/s)は、下記の連続の式、及びナビエストークス方程式の定常解を計算することで求めることができる。
【0043】
ここで、∂/∂tは時間に関する偏微分、∇は空間に関する偏微分で例えば直交座標系であれば(∂/∂x,∂/∂y,∂/∂z)で与えられる。ρは樹脂密度(kg/m
3)、pは圧力(Pa)、τは応力(Pa)で、Newton流体で評価する。場合によっては非Newton流体で評価しても構わない。
【0044】
(本発明の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、ケーブル断面内における芯線の位置や発泡度のばらつきを抑制することで低スキュー化した差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法を提供することができる。本実施の好ましい形態によれば、2本の芯線1の間のスキューを10ps/m以下に低くでき、特に好ましい形態においては、スキューを5ps/m以下とすることができ、最も好ましい形態においては、スキューを3ps/m以下とすることができる。
【実施例】
【0045】
発泡絶縁電線の製造は、45mm押出機により楕円型の開口部を有する口金を用いて行った。口金内には2本の芯線を通す心金が設置されている。芯線として24AWG銀メッキ銅導体(直径a=0.55mm)を用い、発泡絶縁体の材料としてポリエチレン樹脂を用いた。化学発泡剤は、ADCA(アゾジカルボンアミド)を用い、その添加量はポリエチレン樹脂に対して1%とした。2芯を一括で押出して、スクリュ回転及び線速を調整して押出を実施した。
【0046】
また、アスペクト比(長径/短径)1.5〜3.0の口金を適宜選定して用い、心金の2芯導体間の距離を調整することで、不均一流量指数が実施例においては1.5以下となるようにした。また、実施例においては流量の少ないところの流路を広げるなどして流速分布を適正化し、断面における芯線間とその左右上下(領域A〜E)の流量をほぼ等しくなるように調節した。
【0047】
前述の領域A〜Eについて発泡度を画像処理により計測し、発泡度ばらつきを求めた。まず、作製したケーブルを切断して、切断面を電子顕微鏡にて撮影する。次に、発泡絶縁体の発泡度を発泡絶縁体の比重の測定により求める。測定方法は、JIS Z 8807:2012「固体の密度及び比重測定方法」に従う。次に、撮影した画像を白黒の2値化し、発泡絶縁体の切断面を気泡の部分と気泡壁の部分とに分ける。白黒の比率は、測定した発泡度に合わせる。気泡壁は、発泡絶縁体の樹脂の部分(気泡ではない部分)である。そして、白の部分と黒の部分の面積(画素数)を求めて、次式によりケーブル切断面における発泡度を算出する。
発泡度=B/(A+B)×100(%)
A:気泡壁画素数(黒)
B:気泡画素数(白)
各領域について発泡度を算出し、ケーブル切断面における発泡度のばらつきを評価した。その結果を表1及び表2に示す。
なお、内部スキン層及び外部スキン層を設けている場合、内部スキン層及び外部スキン層を含めて比重を測定して、発泡度を求める。したがって、画像の白黒の2値化は、内部スキン層及び外部スキン層を含めて白黒の比率を調整して行う。そして、上式により、発泡絶縁体の各領域(すなわち、内部スキン層及び外部スキン層は含まない)について、ケーブル切断面における発泡度を算出する。なお、全ての気泡を完全に包括し、囲まれた面積を最少とするような外側に凸な閉曲線で囲まれた領域を発泡絶縁体と定義する。これにより、ケーブル切断面において、内部スキン層及び外部スキン層と発泡絶縁体とを分けることができる。
【0048】
対称度α(L/a)を以下のようにして求めた。結果を表1及び表2に示す。
すなわち、前述の対称度αの定義に示す原点Lo(0,0)から点Lyまでの直線距離Lを断面写真上に前述の定義に従って直線を引いて測定し、Lを芯線の直径a=0.55mmで割って対称度α(L/a)を求めた。
【0049】
樹脂最大流速(Vmax)及び樹脂平均流速(Va)を以下のようにして求め、不均一流量指数(Vmax/Va)を求めた。結果を表1及び表2に示す。
【0050】
上記の発泡絶縁電線に銅テープとポリエステルフィルムを積層した積層テープを巻いてシールド層とし、さらにその外側を軟質ポリ塩化ビニル樹脂からなるシースを被覆し、二芯並行同軸ケーブルを各30m作成した。
【0051】
作製した30mのケーブルを5m毎に切断して、6本のケーブルとし、それぞれに対してTDR(時間領域反射率計)によって遅延時間差(スキュー)を測定した。結果を表1及び表2に示す。遅延時間差(スキュー)が10ps/m以下を合格とした。
【0052】
押出成形後の発泡絶縁電線の外観を目視により以下の基準により評価した。結果を表1及び表2に示す。
合格:滑らか
不合格:滑らかでない(凸凹やザラつきがある)
【0053】
総合評価は、以下の基準により評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:スキュー及び外観ともに合格
×:スキュー及び外観の何れか又は両方が不合格
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
図6は、実施例1に係る差動信号伝送用ケーブルの断面写真と流速解析結果(断面写真のVI−VI線における流速解析(樹脂流速及び導体の引き取り速度を含む))であり、
図7は、比較例1に係る差動信号伝送用ケーブルの断面写真と流速解析結果(断面写真のVII−VII線における流速解析(樹脂流速及び導体の引き取り速度を含む))である。
【0057】
実施例1〜5の流速分布では、中央及び両サイド(領域A〜C)にピークが見られた。すなわち、領域Cにおいて最大流速のピークが見られ、領域A,Bにおいても最大流速よりは低いが明確に樹脂流速のピークが見られた。樹脂流速が安定したことにより、領域A〜Eにおける発泡度ばらつきを5%以下に抑えることができ、対称度αも0.10以下となっていた。このように、領域A〜Cにおいて、それぞれ樹脂流速のピークが見られることが重要である。領域A,Bのピークの高さが領域Cのピークの高さに近いほど好ましく、領域Cのピークの1/2以上の高さであることが好適である。2/3以上の高さであることがより好適である。
【0058】
一方、比較例1〜4の流速分布では、中央(領域C)に大きなピークが見られた。領域A,Bにおいては、僅かしか樹脂が流れていない(比較例2,4では、領域A,Bにおいて小さなピークが見られたが、領域Cのピークの1/2未満の高さであった)。そのため、不均一流量指数が大きく、流量が口金の出口で不均一となり、製造時の安定性が著しく低下した。また、発泡度が不均一となり、芯線の位置がずれ、対称度αは0.10を越えるものとなった。