特許第6044503号(P6044503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6044503導電性接着フィルム及びそれを用いた多接合型太陽電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044503
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】導電性接着フィルム及びそれを用いた多接合型太陽電池
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20060101AFI20161206BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20161206BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20161206BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20161206BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20161206BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20161206BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20161206BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C09J7/00
   H01L31/04 570
   H01B1/20 D
   H01B1/20 B
   H01B1/00 D
   C09J11/04
   C09J11/06
   C09J201/00
   C09J9/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-211255(P2013-211255)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-74708(P2015-74708A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】大麻 正弘
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−014894(JP,A)
【文献】 特開2004−207221(JP,A)
【文献】 特開2004−091265(JP,A)
【文献】 特開2012−074365(JP,A)
【文献】 特開2012−151486(JP,A)
【文献】 特開2013−089770(JP,A)
【文献】 特開2008−115024(JP,A)
【文献】 特開2009−242225(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073702(WO,A1)
【文献】 特開2012−216843(JP,A)
【文献】 特開2013−038168(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0174370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/00
C09J 9/02
C09J 11/04
C09J 11/06
C09J 201/00
H01B 1/00
H01B 1/20
H01L 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルスタック型太陽電池の太陽電池セル間を接続するための導電性接着フィルムであって、
絶縁性接着剤と導電性粒子とを含有し、
前記導電性粒子が、Ti/Inの原子比で0.003〜0.120のTiを含むTi添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子、及び/又は、W/Inの原子比で0.001〜0.17のWを含むW添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子であることを特徴とする導電性接着フィルム。
【請求項2】
前記絶縁性接着剤は、アクリルゴムを含有する請求項1に記載の導電性接着フィルム。
【請求項3】
分光感度の異なる複数の太陽電池セルを積層してなるメカニカルスタック型の多接合型太陽電池であって、
隣接する前記太陽電池セル間の少なくとも1箇所以上には、請求項1又は2に記載の導電性接着フィルムが配置されていることを特徴とする多接合型太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外領域の太陽光を有効に利用できる多接合型太陽電池に好適に用いられる導電性接着フィルム及びそれを用いた多接合型太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池は、分光感度の異なる発電層を積層させてタンデム構造とした多接合型太陽電池にすることにより、変換効率を向上させることができる。この多接合型太陽電池では、太陽光の入射側から見てバンドギャップの大きな発電層(短波長を吸収)からバンドギャップの小さな発電層(長波長を吸収)へと順次積層されている。
【0003】
積層された発電層間の電気的接続方法には、モノリシック型とメカニカルスタック型とがある。モノリシック型太陽電池は、両端に金属電極を有する2端子構造であり、pn接合を有する発電層とpn接合を有する発電層の間にn+/p+のトンネルダイオードを挟んで接続する方法である。一般に薄膜成長技術を用いて形成される。
【0004】
一方、メカニカルスタック型太陽電池は、両端及び発電層間に金属電極を有する多端子構造であり、別々に形成した2つの太陽電池セルを機械的に張り合わせて形成される。+極の金属電極上にpn接合、及び一(マイナス)極の金属電極が順に積層されたセルが受光面側からバンドギャップの大きなセル(短波長を吸収)からバンドギャップの小さな発電セル(長波長を吸収)へと順次積層されている(特許文献1から4参照)。
【0005】
モノリシック型太陽電池は、先に積層された層の物性を考慮して、後の層を積層させなくてはならない。例えば、先に積層される半導体層の安定な温度の上限が、後に積層される半導体層の最適積層温度よりも低い場合、後に積層される半導体層を最適な温度で積層すると先に積層された半導体層が劣化してしまうという問題がある。一方、メカニカルスタック型太陽電池では、2つの太陽電池セルを別々に形成させるため、各太陽電池セルを異なる条件で形成させることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載のメカニカルスタック型太陽電池は、各太陽電池セルが絶縁性の透明エポキシ樹脂などで機械的に接合されており、太陽電池セル間の電気的な接続はない。そのため、接合部から各太陽電池セルの電極を外部に取り出さなければならず、多端子構造となる。このような多端子構造を備えた太陽電池では、太陽電池セルの面積が大きい場合、太陽電池セル中央部から電極を外部に取り出すまでの距離が長くなるため、電気抵抗が増大して電力ロスが大きくなってしまうという問題が生じる。また、電極を外部に取り出して接続するためのスペースが余計に必要となるため、素子のサイズが大型化してしまうという問題もある。
【0007】
特許文献3のメカニカルスタック型の光電変換装置は、透明導電膜同士を密着させることにより光学的な・電気的な接合を可能としている。しかしながら、機械的接合強度を向上させるためには、接合が可能となる透明導電膜の種類、透明導電膜の平坦性など構造上の自由度が非常に小さいという問題がある。
【0008】
特許文献4では多接合型太陽電池において、分光感度の異なる2つ以上の太陽電池セルが、異方性導電接着層を介して光学的に、且つ、電気的に直列に接続されている構造が提案されている。そして、導電性微粒子としてハンダボール、銅、ニッケル、黒鉛、銀、アルミニウム、錫、金、及び白金の微粒子、あるいは複数の異なる金属よりなる合金微粒子、ポリスチレンやアクリルなどの微粒子が金やニッケルなどの金属薄膜で覆われたもの、導電性酸化物の微粒子、導電性半導体の微粒子などが提案されている。
【0009】
しかしながら、金属粒子は電気伝導性には優れているが、太陽光の透過率に問題がある。ITO(錫添加酸化インジウム)、ATO(アンチモン添加酸化錫)に代表される導電性酸化物粒子は、一般に可視光領域の透過率は高いが、自由電子のプラズモン吸収により近赤外領域に吸収があり、受光面から遠い太陽電池セル(長波長を吸収)は途中の導電性酸化物粒子に長波長の光が吸収されて、発電量が減少するという問題がある。
【0010】
一方、特許文献5、6には、可視光領域だけでなく赤外線領域においても透過性に優れ、しかも低抵抗値を有する酸化物透明電極膜として、チタンを含有する酸化インジウムを主成分とし、該酸化インジウムは結晶質であり、該酸化インジウムのインジウムがチタンに、チタン/インジウムの原子数比で0.003〜0.120の割合で置換されているTi添加酸化インジウムの酸化物透明電極膜や、タングステン/インジウムの原子比で0.001〜0.17のタングステンWを含むW添加酸化インジウムの酸化物透明電極膜が開示されている。
【0011】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−283738号公報
【特許文献2】特開平7−122762号公報
【特許文献3】特開昭64−41278号公報
【特許文献4】WO2011/024534号国際公開パンフレット
【特許文献5】特開2004−207221号公報
【特許文献6】特開2004−091265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、近赤外領域の太陽光を有効に利用できる多接合型太陽電池に好適に用いられる導電性接着フィルム及びそれを用いた多接合型太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、以上の状況に鑑み、近赤外領域の太陽光を有効に利用できる導電性接着フィルムについて鋭意研究を行った結果、タングステン(W)及び/又はチタン(Ti)を添加した酸化インジウム微粒子を用いることにより、導電性接着フィルムにおいて赤外光領域における吸収を抑制でき、さらに太陽電池の変換効率を向上できる可能があることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】
すなわち、本発明の第1の発明は、メカニカルスタック型太陽電池の太陽電池セル間を接続するための導電性接着フィルムであって、
絶縁性接着剤と導電性粒子とを含有し、
前記導電性粒子が、Ti/Inの原子比で0.003〜0.120のTiを含むTi添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子、及び/又は、W/Inの原子比で0.001〜0.17のWを含むW添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子であることを特徴とする導電性接着フィルムである。
【0016】
本発明の第2の発明は、分光感度の異なる複数の太陽電池セルを積層してなるメカニカルスタック型の多接合型太陽電池であって、
隣接する前記太陽電池セル間の少なくとも1箇所以上には、請求項1に記載の導電性接着フィルムが配置されていることを特徴とする多接合型太陽電池である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、導電性接着フィルムの導電性粒子として、Tiを含むTi添加酸化インジウム粒子や、Wを含むW添加酸化インジウム粒子を用いることにより、近赤外領域の太陽光を有効に利用できる多接合型太陽電池に好適に用いられる導電性接着フィルム及びそれを用いた多接合型太陽電池が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る導電性接着フィルムは、メカニカルスタック型太陽電池の太陽電池セル間を光学的、電気的に接続するためのものである。そして、この導電性接着フィルムは、絶縁性接着剤と導電性粒子とを少なくとも含むものである。
【0019】
<絶縁性接着剤>
絶縁性接着剤の成分としては特に制限はないが、接続信頼性の観点から、熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。
【0020】
熱硬化性樹脂としては公知のものを使用できるが、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、その中でも、より十分な接続信頼性を得る観点から、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂及びアクリル樹脂のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0021】
また、樹脂の流動性やフィルムの物性制御の観点から、導電性接着フィルムは、絶縁性接着剤の成分としてゴム成分を含むことが好ましい。ゴム成分としては公知のものが使用できるが、例えば、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、熱硬化性樹脂との混合性、及び、被着体との密着性の観点からアクリルゴムが好ましい。
【0022】
ゴム成分の配合量は、絶縁性接着剤の全量を基準として9〜34質量%であることが好ましい。ゴム成分の配合量が、絶縁性接着剤の全量を基準として9〜34
質量%であれば、導電性接着フィルムと被着体との密着性に優れるとともに、環境変化による被着体の物理的変動にも追随性がよく、被着体同士間の接続不良を十分に抑制することができる。
【0023】
<導電性粒子>
導電性粒子としては、可視光及び近赤外領域の透過率が高く、電気伝導率が高いことが望ましい。ハンダボール、銅、ニッケル、黒鉛、銀、アルミニウム、錫、金、及び白金の微粒子等の金属粒子は電気伝導性には優れているが、太陽光の透過率に問題がある。
【0024】
ITO(錫添加酸化インジウム)、ATO(アンチモン添加酸化錫)に代表される導電性酸化物粒子は、一般に可視光領域の透過率は高いが、自由電子のプラズモン吸収により近赤外領域に吸収があり、受光面から遠い太陽電池セル(長波長を吸収)は途中の導電性酸化物粒子に長波長の光が吸収されて、発電量が減少する。
【0025】
電気伝導率σはσ=e×n×μ(e:電気素量、n:キャリア濃度、μ:移動度)で表され、近赤外の吸収を抑えるためには、キャリア濃度nを低くする必要があるが、キャリア濃度nを下げると電気伝導率σが低下する。これを解決するためには、移動度μの大きな材料を使うことが有効である。
【0026】
ここで、上記のように特許文献5や6によれば、酸化インジウム薄膜にWやTiを添加すると、移動度が向上することが知られている。今回、本発明者らは、この導電性薄膜において得られた知見を、導電性「粒子」においても達成することに成功し、更に、この粒子をバインダー中に分散させてフィルム化し、これを太陽電池セル間の導電性接着フィルムとして適用した点に本発明の特徴がある。
【0027】
具体的には、Ti/Inの原子比で0.003〜0.120のTiを含むTi添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子、及び/又は、W/Inの原子比で0.001〜0.1のWを含むW添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子であれば、可視光及び近赤外領域の透過率が高く、電気伝導率が高い導電性接着フィルムを作成できることを見出したものである。
【0028】
ここで、Ti添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子や、W添加酸化インジウムを少なくとも表層に備える粒子は、粒子全体がTi添加酸化インジウムやW添加酸化インジウムで構成されていてもよく、ポリスチレンなどの樹脂粒子や硫酸バリウムなどの無機粒子の表面に、上記のTi添加酸化インジウムやW添加酸化インジウムの層がコーティングされていてもよい。
【0029】
具体的には、例えば、特開平8−175815号に記載の無機酸化物粒子表面を導電性無機酸化物で被覆することにより導電性酸化物粒子を得る方法や、特開平6−329415号に記載のインジウムとスズとの合金を陽極としてこれを電解し、得られた水酸化インジウムとメタスズ酸の混合沈殿物を仮焼して酸化インジウム−酸化スズ粒子を得る方法や、特開2009−123458に記載のインジウム塩の水溶液とスズ塩の水溶液との混合水溶液とアルカリ水溶液を混合して共沈反応により得られた水酸化物を焼成して酸化インジウム−酸化スズ粒子を得る方法において、スズ源をTi源もしくはW源に置き換えることによって得ることができる。
【0030】
導電性粒子の平均粒径は1μm以上40μm以下であることが好ましい。導電性粒子の平均粒子径が小さいと凹凸のある電極表面の凹部に埋もれるため1μm以上とすることが好ましい。導電性粒子の平均粒子径が大きいと導電性接着フィルムの厚さが厚くなり光吸収量が増加するため40μm以下とすることが好ましい。
【0031】
<導電性接着フィルム>
上記の絶縁性接着剤中に、従来公知の方法で上記の導電性粒子を分散させて導電性接着接着剤組成物を得て、従来公知の方法でフィルム化することにより、本発明の導電性接着フィルムを得ることができる。
【0032】
導電性接着剤組成物における導電性粒子の含有量は、樹脂を押し出して電気的に接触するために導電性接着剤組成物の固形分全体積を基準として1体積%以上が好ましく、樹脂の量が少ないと接着性が低下するため12体積%以下が好ましい。
【0033】
導電性接着フィルムの厚さは、被接着物の表面粗さと導電性粒子径の点から5μm以上が好ましく、100μm以下が好ましい。
【0034】
本発明の導電性接着フィルムの可視光及び近赤外領域の透過率は、波長1000μmにおいて86%以上という高い透過率が得られ、同時に、電気伝導率として1S/cmという高い導電性が得られ、高光線透過性と高伝導率を両立する導電性接着フィルムを得ることができる。
【0035】
<多接合型太陽電池>
本発明に係る多接合型太陽電池は、分光感度の異なる複数の太陽電池セルを積層し、光学的、電気的に接続してなる多接合型太陽電池であり、隣接する前記太陽電池セル間の少なくとも1箇所以上には、請求項1に記載の導電性接着フィルムが配置されている。
【0036】
より具体的には、少なくとも光が入射する側と反対側の端部の太陽電池セルは、接続する側の最上層にそれぞれ導電性接着フィルムを有し、その他の太陽電池セルは接続する側の最上層及び最下層にそれぞれ導電性接着フィルムを有し、前記最上層及び最下層同士を導電性接着フィルムで接合させた構成が例示できる。
【0037】
多接合型太陽電池を構成する太陽電池セルは、受光面に近い側が、バンドギャップが大きく、遠くなるにしたがってバンドギャップが小さくなるものであればよい。
【0038】
太陽電池セルは結晶Si太陽電池、薄膜Si太陽電池、III−V族化合物太陽電池、CdTe太陽電池、カルコパイライト型太陽電池(CIGS、CZTS等)などが用いられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
<導電性接着フィルムの作製>
まず、ブチルアクリレート40質量部と、エチルアクリレート30質量部と、アクリロニトリル30質量部と、グリシジルメタクリレート3質量部とを共重合してなるアクリルゴムを用意した。このアクリルゴム125gと、フェノキシ樹脂50gとを、酢酸エチル400gに溶解し、30%溶液を得た。次いで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ325gを上記の溶液に加えて撹拌し、接着剤組成物を得た。
【0041】
この接着剤組成物に対し、平均粒子径が2μmの導電性粒子(Ti/Inの原子比で0.003のTiを含むTi添加酸化インジウム)を分散させて導電性接着剤組成物を得た。このとき、導電性粒子は、その含有量が導電性接着剤組成物の固形分全体積を基準として5
体積%となるように配合した。
【0042】
得られた導電性接着剤組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布し、ホットプレート上で70℃、3分間乾燥し、25μmの導電性接着フィルムを作製した。なお、膜厚の調整は、アプリケータのギャップを変更することで行った。このとき、ギャップと乾燥後の膜厚との関係式から、所望の膜厚が得られるようにギャップの調整を行った。
【0043】
<多接合型太陽電池の作製>
非晶質Si薄膜太陽電池(ARコート層/ガラス/TCO/a−Si:H(p−i−n)/TCO)とヘテロ接合型太陽電池(TCO/a−Si:H(p−i)/c−Si(n−type)/Al)の間に導電性接着フィルムを配置した後、170℃、2MPで20秒間圧着して、太陽電池セルと太陽電池セルを光学的、電気的に接続した多接合型太陽電池を得た。
【0044】
[導電性接着フィルムの透過率測定]
導電性接着フィルムの透過率測定は分光光度計(日立製作所製 U−4000)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0045】
[多接合型太陽電池の変換効率の測定]
多接合型太陽電池の変換効率の測定は、ソーラーシミュレーターで100mW/cm2の光を照射し、そのときの電流−電圧測定から変換効率を求めた。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例2]
実施例1において導電性粒子をTi/Inの原子比で0.01のTiを含むTi添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0047】
[実施例3]
実施例1において導電性粒子をTi/Inの原子比で0.05のTiを含むTi添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0048】
[実施例4]
実施例1において導電性粒子をTi/Inの原子比で0.1のTiを含むTi添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0049】
[実施例5]
実施例1において導電性粒子をTi/Inの原子比で0.12のTiを含むTi添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0050】
[実施例6]
実施例1において導電性粒子をW/Inの原子比で0.001のWを含むW添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0051】
[実施例7]
実施例1において導電性粒子をW/Inの原子比で0.01のWを含むW添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0052】
[実施例8]
実施例1において導電性粒子をW/Inの原子比で0.05のWを含むW添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0053】
[実施例9]
実施例1において導電性粒子をW/Inの原子比で0.1のWを含むW添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0054】
[実施例10]
実施例1において導電性粒子をW/Inの原子比で0.17のWを含むW添加酸化インジウムにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0055】
[比較例1]
実施例1において導電性粒子をITOにした以外は、全て同様の方法にて導電性接着フィルム及び多接合型太陽電池を作製した。作製した導電性接着フィルムの透過率の測定、及び多接合型太陽電池の変換効率の測定は、実施例1と同様の方法で行なった。導電性接着フィルムの透過率測定結果を表1に示す。また、多接合型太陽電池の変換効率の測定結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1の結果より、本発明の導電性フィルムにおいては、波長1000nmにおける透過率が高く、変換効率も14%以上と高い太陽電池が得られていることが理解できる。