特許6044671IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

本件発明は、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される窒化物半導体を用いた窒化物半導体レーザダイオード

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、のInGaN発光層を用いた緑色半導体レーザダイオードでは、ライフ特性がまだ十分ではなかった。非特許文献1に示されるように、波長が510〜513nmの緑色半導体レーザダイオードは、室温動作(25℃)のライフテストでは500hまで駆動電流が安定しており、そこから推定される室温動作での寿命は5000h以上であった(非特許文献1、Fig.8参照)。しかし、加速試験として60℃の高温動作を行うと駆動直後から急激な劣化を示し、高温動作における寿命は僅か数十時間であった。 本件発明者が検討したところ、InGaN発光層を用いた半導体レーザダイオードのライフ特性は波長に対する強い依存性を示し、発振波長が500nmを越えるとライフ特性が急激に低下する。従来より、InGaN発光層のIn含有率が増えると下地となるGaN層との格子不整合が大きくなり、InGaN層とGaN層の界面で転位が発生することが知られていた。また、レーザダイオード素子中の転位密度が増えるとライフ特性が低下することも知られていた。しかし、転位密度の増大によってライフ特性が低下する原因は、転位自身が非発光再結合中心として働くためと考えられていた。そこで従来は、発振波長の長波長化に伴うライフ特性の低下を抑制するために、転位の発生を減少させる努力がされていた。 例えば、InGaN発光層の膜厚を薄くすれば、下地となるGaN層との格子不整合による歪を緩和し易くなり、転位の発生はある程度抑制される。しかし、InGaN発光層を薄くするとInGaN発光層へのキャリアの閉じ込めが悪くなるため、閾値電流が増大してしまう。 一方、特許文献2及び3では、InGaNに代えて、InGaNPやInGaNAsを発光層に用いることにより、少ないIn含有率で目的波長が得られるようにした。これによってInの偏析防止と、格子不整合の緩和を図っている(特許文献2、段落0041)。しかし、AsやPをInGaN発光層に導入すると発光層の結晶性が低下し易くなる。また、AsやPを含む発光層は、転位付近にAsやPが偏析し易く、発光層の結晶性が低下して発光効率が低下し、閾値電流が増大し易くなる(特許文献3、段落0012)。 そこで本件発明は、InGaN発光層を用い、発振波長が500nm以上の窒化物半導体レーザダイオードにおいて、InGaN発光層へのキャリア閉じ込めや結晶性は良好に維持しながら、発振波長の長波長化に伴うライフ特性の低下を抑制し、発光効率とライフ特性に優れた長波長の窒化物半導体レーザダイオードを実現することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本件発明者は、鋭意検討の結果、発振波長が500nm以上の窒化物半導体レーザダイオードにおけるライフ特性の急激な低下は、転位自身ではなく、転位の影響によってp型不純物の活性化が阻害され、InGaN発光層への正孔の供給不足がライフ特性を低下させていたことを見出した。本件発明によれば、In含有率を増大して活性層に転位を発生させながら、InGaN発光層から所定の距離内におけるp型不純物濃度を所定の範・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
以上の通り、本件発明によれば、発振波長が500nm以上の窒化物半導体レーザダイオードにおいて、In含有率の増大に伴って発光層から発生する転位を敢えてそのままにすることで、InGaN発光層へのキャリア閉じ込めや結晶性は良好に維持しながら、InGaN発光層から所定の距離内におけるp型不純物濃度を所定の範囲に制御することにより、ライフ特性を劇的に改善することができる。したがって、発光効率とライフ特性に優れた長波長の窒化物半導体レーザダイオードを実現することができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】図1は、本発明の窒化物半導体レーザダイオードの一例を示す模式断面図である。

【図2】図2は、図1の窒化物半導体レーザダイオードの活性層とp側窒化物半導体層の部分を拡大した模式断面図である。

【図3】図3は、窒化物半導体レーザダイオードの発振波長と推定寿命の関係を示すグラフである。

【図4】図4は、活性層における転位発生の様子を模式的に示す断面図である。

【図5】図5は、窒化物半導体レーザダイオードの発振波長と転位密度の関係を示すグラフである。

【図6】図6は、比較例である窒化物半導体レーザダイオードの高温ライフ試験の結果を示すグラフである。

【図7】図7は、比較例である窒化物半導体レーザダイオードの初期と通電後のI−V特性である。

【図8】図8は、比較例である窒化物半導体レーザダイオードのp型不純物の深さ方向の濃度分布を示すグラフである。

【図9】図9は、実施例である窒化物半導体レーザダイオードのp型不純物の深さ方向の濃度分布を示すグラフである。

【図10】図10は、実施例である窒化物半導体レーザダイオードの高温ライフ試験の結果を示すグラフである。

【図11A】図11Aは、窒化物半導体レーザダイオードにおけるp型不純物濃度の極大値と推定寿命の関係を示すグラフである。

【図11B】図11Bは、窒化物半導体レーザダイオードにおけるp型不純物濃度の極小値と推定寿命の関係を示すグラフである。

【図12】図12は、n側窒化物半導体層の層構成の例を示す模式断面図である。

【図13】図13は、p側窒化物半導体層に形成するリッジ構造の一例を示す模式断面図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1 窒化物半導体レーザダイオード   2 基板   4 n側窒化物半導体層   6 活性層   8 p側窒化物半導体層   12 第1のn側窒化物半導体層   14 第2のn側窒化物半導体層   16 n側クラッド層   18a、b n側ガイド層   22a、b、c InGaN井戸層   24a、b、c InGaN障壁層   26 Alを含む窒化物半導体層   28a、b p側光ガイド層   32 p側クラッド層   34 p側コンタクト層   36 リッジ構造   38 p側電極   40 p側ボンディングパッド   42 n側電極   46 埋め込み層   48 保護膜   49 窪み   50 転位   52 スパイク   54 極大   56 極小

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