特許第6044681号(P6044681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044681照明装置、画像取得システムおよび照明制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6044681
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】照明装置、画像取得システムおよび照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20161206BHJP
   H05B 37/03 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H05B37/02 D
   H05B37/03 B
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-140487(P2015-140487)
(22)【出願日】2015年7月14日
【審査請求日】2016年8月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】村井 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達也
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−156170(JP,A)
【文献】 特開2004−191489(JP,A)
【文献】 特開2009−220247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02 − 39/10
H05B 37/03
G03B 15/04 − 15/05
H04N 7/18
H04N 5/222 − 5/257
G08B 13/00 − 15/02
B23Q 17/00 − 23/00
B23Q 11/00 − 13/00
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が撮像する被写体を照明する照明装置であって、
光源と、
前記光源の点灯および消灯を指示する点灯制御信号を前記撮像装置から入力する入力部と、
前記点灯制御信号に応じて前記光源を駆動する光源駆動部と、
前記光源の明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する判定部と、
前記光源の明るさが指定された明るさに達すると、前記光源が点灯したことを示す点灯信号を前記撮像装置に出力する出力部と、を備える照明装置。
【請求項2】
前記入力部と前記出力部とを含むコネクタを備える、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記光源を駆動する電流に応じた電圧の値を、指定された明るさに応じた電圧の値と比較して、前記光源の明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源から出射された光を受光する受光部をさらに備え、
前記判定部は、前記受光部の受光量に応じた電圧の値を、指定された明るさに応じた電圧の値と比較して、前記光源の明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記撮像装置とは異なる他の装置から受信した信号に応じて前記点灯制御信号を生成する制御部と、
前記入力部が入力した前記点灯制御信号と前記制御部が生成した前記点灯制御信号とのいずれかを選択する選択部と、をさらに備え、
前記光源駆動部は、前記選択部が選択した前記点灯制御信号に応じて前記光源を駆動する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記他の装置から受信した前記光源の明るさを指定するデータに応じた電圧信号を生成し、
前記光源駆動部は、前記選択部が選択した前記点灯制御信号と前記電圧信号とに応じて前記光源を駆動する、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記入力部は、前記撮像装置が前記照明装置に接続されていることを示す接続信号を前記撮像装置からさらに入力し、
前記選択部は、前記接続信号が入力されている場合に、前記入力部が入力した前記点灯制御信号を選択する、請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記点灯制御信号に重畳された信号に基づいて前記撮像装置が前記照明装置に接続されているか否かを判定し、前記撮像装置が前記照明装置に接続されていると判断した場合に、前記入力部が入力した前記点灯制御信号を選択する、請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記選択部により前記制御部が生成した前記点灯制御信号が選択された場合、光源の明るさが指定された明るさに達すると、前記点灯信号を前記他の装置に送信する、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の照明装置と、前記撮像装置と、を含み、
前記撮像装置は、前記照明装置に対して前記光源の点灯を指示する前記点灯制御信号を出力した後、前記照明装置から前記点灯信号を入力すると前記被写体を撮像して画像データを生成し、撮像が終了すると、前記照明装置に対して前記光源の消灯を指示する前記点灯制御信号を出力する、画像取得システム。
【請求項11】
前記照明装置は、前記光源駆動部が前記光源の駆動を開始してからの経過時間を計測するタイマをさらに備え、
前記出力部は、前記経過時間が所定時間に達しても前記光源の明るさが指定された明るさに達したと判定されない場合に、光源の点灯不良が発生したことを示す点灯不良信号をさらに出力し、
前記撮像装置は、前記照明装置から前記点灯不良信号を入力した場合に、前記照明装置に対して前記光源の消灯を指示する前記点灯制御信号を出力する、請求項10に記載の画像取得システム。
【請求項12】
前記撮像装置が生成した画像データに基づいて、前記被写体の位置情報を生成する画像処理装置をさらに備える、請求項10または11に記載の画像取得システム。
【請求項13】
前記被写体を把持するロボットと、
前記位置情報に基づいて前記ロボットの動作を制御する制御装置と、をさらに備える請求項12に記載の画像取得システム。
【請求項14】
前記照明装置は、前記光源駆動部が前記光源の駆動を開始してからの経過時間を計測するタイマをさらに備え、
前記出力部は、前記経過時間が所定時間に達しても前記光源の明るさが指定された明るさに達したと判定されない場合に、光源の点灯不良が発生したことを示す点灯不良信号をさらに出力し、
前記撮像装置は、前記照明装置から前記点灯不良信号を入力した場合に、前記照明装置に対して前記光源の消灯を指示する前記点灯制御信号を出力するとともに、前記制御装置に対して前記照明装置の異常を通知し、
前記制御装置は、前記照明装置の異常が通知された場合に、前記ロボットの動作を停止させる、請求項13に記載の画像取得システム。
【請求項15】
請求項5乃至9のいずれか一項に記載の照明装置と、前記撮像装置と、を含み、
前記照明装置は、前記光源駆動部が前記光源の駆動を開始してからの経過時間を計測するタイマをさらに備え、
前記制御部は、前記経過時間が所定時間に達しても前記光源の明るさが指定された明るさに達したと判定されない場合に、前記他の装置に対して前記照明装置の異常を通知する、画像取得システム。
【請求項16】
前記撮像装置が生成した画像データに基づいて、前記被写体の位置情報を生成する画像処理装置と、
前記被写体を把持するロボットと、
前記位置情報に基づいて前記ロボットの動作を制御する、前記他の装置である制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記照明装置の異常が通知された場合に、前記ロボットの動作を停止させる、請求項15に記載の画像取得システム。
【請求項17】
撮像装置が撮像する被写体を照明する照明装置において実行される照明制御方法であって、
光源の点灯および消灯を指示する点灯制御信号を前記撮像装置から入力する工程と、
前記点灯制御信号に応じて前記光源を駆動する工程と、
前記光源の明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する工程と、
前記光源の明るさが指定された明るさに達すると、前記光源が点灯したことを示す点灯信号を前記撮像装置に出力する工程と、を含む照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、画像取得システムおよび照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン光により照明された物体を撮像し、得られた画像を処理して物体の3次元形状を計測する方法が知られている。例えば位相シフト法と呼ばれる方法では、互いに位相をずらした正弦波縞パターン光により物体を照明し、その照明状態のもとで撮像した複数の縞パターン画像(輝度分布データ)を用いて、物体の3次元形状を求める。
【0003】
また、特許文献1には、以上のような方法によりワーク(物体)の位置情報(3次元形状)を求め、得られた位置情報を用いてロボットを駆動制御してワークのピッキング作業を行うピッキングシステムの技術が開示されている。この特許文献1に開示されるピッキングシステムでは、まず、制御装置が赤外線照明装置を点灯させて、近赤外波長の光をワークに照射させる。次に、近赤外波長の光が照射されたワークをカメラにより撮像し、ワークの画像データを画像処理装置により処理して、ワークの位置情報を算出する。そして、ワークの位置情報が算出されると、制御装置が、赤外線照明装置を消灯させるとともに、算出された位置情報に基づいてロボットアームを駆動させ、ワークのピッキングを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、カメラによるワークの撮像が終了しても、画像処理装置によりワークの位置情報が算出されて制御装置に入力されるまでは、赤外線照明装置は点灯したままになっている。照明装置は本来、カメラがワークを撮像している時間のみ点灯していればよいので、この特許文献1に記載の技術では、画像データのデータ量や伝送速度に基づくデータ転送時間、あるいはワークの位置情報を算出する処理時間によっては、照明装置の不要な点灯時間が長くなり、消費電力の増加や照明装置の寿命低下などの問題を招く虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、撮像装置が撮像する被写体を照明する照明装置であって、光源と、前記光源の点灯および消灯を指示する点灯制御信号を前記撮像装置から入力する入力部と、前記点灯制御信号に応じて前記光源を駆動する光源駆動部と、前記光源の明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する判定部と、前記光源の明るさが指定された明るさに達すると、前記光源が点灯したことを示す点灯信号を前記撮像装置に出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、照明装置の不要な点灯時間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ピッキングシステムの概要を説明するシステム構成図である。
図2図2は、照明装置の構成例を示す図である。
図3図3は、LDの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する機能の構成例を説明する図である。
図4図4は、照明装置の動作例を説明するタイミングチャートである。
図5図5は、撮像装置の構成例を示す図である。
図6図6は、ピッキングシステムの動作例を説明するタイミングチャートである。
図7図7は、照明装置の構成例を示す図である。
図8図8は、ピッキングシステムの概要を説明するシステム構成図である。
図9図9は、照明装置の構成例を示す図である。
図10図10は、撮像装置の構成例を示す図である。
図11図11は、ピッキングシステムの動作例を説明するタイミングチャートである。
図12図12は、ピッキングシステムの概要を説明するシステム構成図である。
図13図13は、照明装置の構成例を示す図である。
図14図14は、照明装置の動作例を説明するフローチャートである。
図15図15は、撮像装置の構成例を示す図である。
図16図16は、ピッキングシステムの動作例を説明するタイミングチャートである。
図17図17は、変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る照明装置、画像取得システムおよび照明制御方法の実施形態について詳しく説明する。以下で示す実施形態では、本発明を適用したシステムの一例として、ロボットを用いてワークのピッキング作業を行うピッキングシステムを例示する。ピッキングシステムは、パターン光により照明されたワークを撮像し、得られた画像を処理してワークの位置や形状、傾きなどを示す位置情報を生成し、この位置情報に基づいてロボットを駆動制御することで、ワークのピッキングを行う。このようなピッキングシステムに対して本発明を適用することで、ワークを照明する照明装置の不要な点灯時間を削減することができる。なお、本発明を適用可能なシステムは、このようなピッキングシステムに限定されるものではない。本発明は、撮像装置と照明装置とを含む様々なシステムに対して有効に適用できる。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態のピッキングシステム1の概要を説明するシステム構成図である。このピッキングシステム1は、図1に示すように、ワークWを照明する照明装置10と、照明装置10により照明されたワークWを撮像する撮像装置20と、撮像装置20により撮像されたワークWの画像を処理してワークWの位置や形状、傾きなどを示す位置情報を生成する画像処理装置30と、ワークWのピッキングを行うロボット40と、画像処理装置30により生成された位置情報に基づいてロボット40の動作を制御する制御装置50とを備える。
【0010】
これらのうち、撮像装置20、画像処理装置30および制御装置50は、例えばLANなどのネットワークに接続され、相互に制御信号CTRLによるデータの送受信が可能となっている。また、照明装置10と撮像装置20は、例えばUSBなどのシリアルバスを用いた有線接続、あるいは1対1の無線接続などによりダイレクトに接続され、後述の点灯制御信号LDGや点灯信号LD_ONを直接やり取りする。
【0011】
ロボット40は、ロボットアーム41およびロボットハンド42と、これらを駆動する駆動部43を備え、この駆動部43が制御装置50に接続されている。ロボット40によりワークWのピッキングを行う場合、制御装置50は、画像処理装置30により生成された位置情報に基づいて、ロボット40の動作を制御するためのロボット制御信号RCを生成して駆動部43に送る。駆動部43は、制御装置50から送られたロボット制御信号RCに基づいて、ロボットアーム41やロボットハンド42を駆動する。これにより、ロボット40によるワークWのピッキングが行われる。
【0012】
制御装置50は、画像処理装置30からワークWの位置情報を取得するために、まず撮像装置20に対して、制御信号CTRLにより撮像指示を送る。この撮像指示を受けた撮像装置20は、光源の点灯を指示する点灯制御信号LDGを照明装置10に出力する。そして、照明装置10が、この点灯制御信号LDGに応じてLDなどの光源の駆動を開始し、光源の明るさが指定された明るさに達すると、撮像装置20に対して点灯信号LD_ONを出力する。撮像装置20は、この点灯信号LD_ONを受けてワークWの撮像を行い、画像データを制御信号CTRLとして画像処理装置30に送る。そして、撮像装置20は、ワークWの撮像が終了すると、光源の消灯を指示する点灯制御信号LDGを照明装置10に出力する。照明装置10は、この点灯制御信号LDGに応じて光源の駆動を停止して、光源を消灯させる。
【0013】
また、画像処理装置30は、撮像装置20から画像データを受け取ると、この画像データを処理してワークWの位置や形状、傾きなどを認識する。そして、画像処理装置30は、認識したワークWの位置や形状、傾きなどを示す位置情報を生成し、この位置情報を制御信号CTRLとして制御装置50に送る。制御装置50は、この位置情報に基づいて、上述のロボットアーム41やロボットハンド42の動作を制御するためのロボット制御信号RCを生成して、ロボット40の駆動部43に送る。
【0014】
制御装置50は、ロボット40がピッキングしたワークWを移動させる動作をしている間に、次のワークWのピッキングのために、撮像装置20に対して次の撮像指示を送る。これにより、再度、照明装置10による照明下での撮像装置20による撮像、画像処理装置30による位置情報の生成、制御装置50によるロボット制御信号RCの生成が順次行われ、ロボット40による次のワークWのピッキングが行われる。本実施形態のピッキングシステム1では、すべてのワークWのピッキングが完了するまで、以上の動作が繰り返される。
【0015】
本実施形態のピッキングシステム1では、上述のように、照明装置10が、光源の点灯を指示する点灯制御信号LDGを撮像装置20から入力すると光源の駆動を開始し、光源の明るさが指定された明るさに達すると、撮像装置20に対し点灯信号LD_ONを出力する。そして、撮像装置20は、点灯信号LD_ONを照明装置10から入力するとワークWの撮像を行い、撮像が終了すると、照明装置10に対して光源の消灯を指示する点灯制御信号LDGを出力する。そして、照明装置10が、光源の消灯を指示する点灯制御信号LDGを撮像装置20から入力すると光源の駆動を停止し、光源を消灯させる。このように、本実施形態のピッキングシステム1では、撮像装置20がワークWの撮像を行う間だけ照明装置10の光源を点灯させるようにしているので、照明装置10の不要な点灯時間を削減して、消費電力の削減や照明装置10の長寿命化などを図ることができる。
【0016】
なお、本実施形態では、撮像装置20により撮像されたワークWの画像を処理して位置情報を生成する画像処理装置30と、この位置情報に基づいてロボット40の動作を制御する制御装置50とを個別の装置として構成した例を説明するが、これら画像処理装置30と制御装置50とを一体の装置として構成してもよい。例えば、制御装置50が、画像処理装置30としての機能を備える構成としてもよい。この場合、制御装置50は、撮像装置20から画像データを受信して、この画像データを処理することでワークWの位置や形状、傾きなどを認識し、その認識結果に基づいてロボット制御信号RCを生成してロボット40の動作を制御する。
【0017】
以下では、本実施形態のピッキングシステム1における照明装置10と撮像装置20の具体的な構成例について、さらに詳しく説明する。
【0018】
まず、照明装置10の具体例について説明する。図2は、照明装置10の構成例を示す図である。照明装置10は、例えば図2に示すように、コネクタ11と、照明制御部12と、LD駆動部13と、LDモジュール14と、照明光学系15とを備える。
【0019】
コネクタ11は、照明装置10が撮像装置20との間で信号のやり取りを行うためのインタフェースであり、例えばUSBケーブルなどを介して撮像装置20と接続される。このコネクタ11は、少なくとも、撮像装置20から点灯制御信号LDGを入力するための端子(入力部)と、撮像装置20に対して点灯信号LD_ONを出力するための端子(出力部)とを有する。これらの端子は、LD駆動部13に接続されている。なお、照明装置10と撮像装置20とを1対1の無線接続により接続する場合は、コネクタ11に代えて無線通信I/Fが設けられる。
【0020】
照明制御部12は、光源として用いるLD14aの発光量(明るさ)を指定するデータLDCに応じた電圧信号Vcを生成し、この電圧信号VcをLD駆動部13に出力する。電圧信号Vcは、LD14aの発光量を制御するアナログの電圧信号である。LD14aの発光量を指定するデータLDCは、例えば、照明制御部12内のレジスタなどに予め設定されている。また、このデータLDCは、照明装置10の起動時に照明装置10に設けられた操作ボタンの操作などを受け付けることで入力され、照明制御部12内のレジスタなどに設定されてもよい。
【0021】
LD駆動部13は、撮像装置20からコネクタ11を介して入力した点灯制御信号LDGと、照明制御部12からの電圧信号Vcとに応じて、LDモジュール14の各LD14aを駆動する。点灯制御信号LDGは、光源として用いるLD14aの点灯や消灯を指示するデジタル信号であり、例えばLDG=1のときLD14aの点灯を指示し、LDG=0のときLD14aの消灯を指示する信号である。LD駆動部13は、点灯制御信号LDGが“1”のとき、電圧信号Vcの値に基づいてLD駆動電流IL1を生成し、このLD駆動電流IL1をLDモジュール14に対して出力する。LDモジュール14の各LD14aは、LD駆動電流IL1の通電により例えば青色の波長帯域のレーザ光を発光する。
【0022】
本実施形態では、照明装置20の光源として複数のLD14aが用いられ、これらがLDモジュール14としてモジュール化されている。LDモジュール14は、これら複数のLD14aのほか、各LD14aから出射されるレーザ光を平行光にコリメートする複数のコリメータレンズ14bを備える。また、LDモジュール14は、LD14aが発生する熱を放熱してLD14aの温度上昇を所定範囲内に抑えるヒートシンクの機能も兼ね備える。
【0023】
照明光学系15は、LDモジュール14から出射されるレーザ光をパターン光として、撮像装置20の被写体となるワークWに照射する。すなわち、LDモジュール14から出射されるレーザ光は、集光レンズ15aによって集光され、反射ミラー15bで光路を折り曲げられて拡散板15cに導かれる。そして、拡散板15cと導光光学素子15dを通過することによって2次元的に均一で且つインコヒーレントな照明光とされ、パターンマスク15eに入射される。パターンマスク15eは、例えば透明ガラス板の表面に所定の2次元パターンが形成されたものであり、パターンマスク15eを透過した照明光は所定のパターン光に変換される。そして、このパターン光が反射ミラー15fによって光路を折り曲げられ、投射レンズ15gを通してワークWに照射される。
【0024】
LD駆動部13がLDモジュール14の各LD14aを駆動するためのLD駆動電流IL1の経路には、電流検出用の抵抗Rs1が設けられている。LD駆動部13は、LDモジュール14にLD駆動電流IL1を出力した際に、この抵抗Rs1の両端の電圧Va,Vbの差分を検出することにより、光源として用いるLD14aの明るさを検知し、LD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する機能(判定部)を持つ。なお、本実施形態では、光源として用いるLD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する機能をLD駆動部13の内部に設けた例を説明するが、このような機能(判定部)をLD駆動部13とは別に設ける構成としてもよい。
【0025】
図3は、LD14a(図3中のLD1,LD2,・・・,LDn)の明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する機能の構成例を説明する図である。LD駆動電流IL1の通電により抵抗Rs1の両端に発生した電圧Va,Vbの端子は、例えば図3に示すように、電圧Vbの端子が接地され、電圧Vaの端子がLD駆動部13内のアンプ13aの入力端子に接続されている。アンプ13aに入力された電圧Vaは(1+R2/R1)倍に増幅され、電圧Vgとして出力される。そして、増幅された電圧Vgはコンパレータ13bに入力され、上述の電圧信号Vcと比較される。そして、Vg>Vcになると、コンパレータ13bの出力が“0”から“1”に変化する。このコンパレータ13bの出力が点灯信号LD_ONであり、この点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化すると、LD14aの明るさが指定された明るさに達したことを示す。なお、図3に示すコンデンサC1は、アンプ13aに入力される電圧Vaに高周波のノイズやリップル等があっても、これらを除去して高い検出精度を確保するためのものである。
【0026】
図4は、以上のように構成される照明装置10の動作例を説明するタイミングチャートである。
【0027】
まず、コネクタ11を介して撮像装置20から入力される点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化すると、LD駆動部13は、照明制御部12からの電圧信号Vcに応じたLD駆動電流IL1を生成してLDモジュール14に出力し、LD14aの駆動を開始する。LD14aの駆動が開始されると、アンプ13aから出力される電圧Vgが上昇していく。そして、電圧Vgが電圧信号Vcを超えると、コンパレータ13bが出力する点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化する。この点灯信号LD_ONは、コネクタ11を介して撮像装置20に出力される。
【0028】
その後、撮像装置20によるワークWの撮像が終了すると、コネクタ11を介して撮像装置20から入力される点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化する。LD駆動部13は、点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化すると、LDモジュール14に対するLD駆動電流IL1の出力を停止して、LD14aを消灯させる。これにより、アンプ13aから出力される電圧Vgが降下し、電圧Vgが電圧信号Vc以下になると、コンパレータ13bが出力する点灯信号LD_ONが“1”から“0”に変化する。この点灯信号LD_ONは、コネクタ11を介して撮像装置20に出力される。
【0029】
本実施形態の照明装置10では、コネクタ11を介して撮像装置20から入力される点灯制御信号LDGに応じて、以上の動作が繰り返される。
【0030】
次に、撮像装置20の具体例について説明する。図5は、撮像装置20の構成例を示す図である。撮像装置20は、例えば図5に示すように、通信I/F21と、コネクタ22と、撮像制御部23と、記憶部24と、対物光学系25と、撮像素子26と、画像データ処理部27とを備える。
【0031】
通信I/F21は、撮像装置20が上述の制御信号CTRLにより制御装置50や画像処理装置30とデータを送受信するためのインタフェースである。撮像装置20は、この通信I/F21を介して制御装置50からの撮像指示を受信し、画像処理装置30に対し、通信I/F21を介して画像データを送信する。通信I/F21により受信された制御装置50からの撮像指示は、受信データRD1として撮像制御部23に渡される。また、撮像制御部23からの画像データ(後述の画像ファイルIMG.jpg)は、送信データTD1として通信I/F21に渡されて、画像処理装置30に送信される。
【0032】
コネクタ22は、撮像装置20が照明装置10との間で信号のやり取りを行うためのインタフェースであり、例えばUSBケーブルなどを介して照明装置10と接続される。このコネクタ22は、少なくとも、照明装置10に対して点灯制御信号LDGを出力するための端子と、照明装置10から点灯信号LD_ONを入力する端子とを有する。これらの端子は、撮像制御部23に接続されている。なお、撮像装置20と照明装置10とを1対1の無線接続により接続する場合は、コネクタ22に代えて無線通信I/Fが設けられる。
【0033】
撮像制御部23は、制御装置50からの撮像指示が通信I/F21により受信されると、点灯制御信号LDGを“0”から“1”にする。これにより、LD14aの点灯を指示する点灯制御信号LDGが、コネクタ22から照明装置10に対し出力される。その後、撮像制御部23は、コネクタ22を介して照明装置10から入力される点灯信号LD_ONを監視し、点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化すると、撮像素子26へのトリガ信号TRGを“1”にして、撮像素子26による撮像を開始させる。トリガ信号TRGは撮像素子26による撮像(露光)を制御するための信号であり、例えばトリガ信号TRGが“0”から“1”になると撮像を開始し、トリガ信号TRGが“1”から“0”になると撮像を終了するように、撮像素子26を制御する。
【0034】
撮像素子26としては、例えばCCDセンサやCMOSセンサが用いられる。撮像素子26は、撮像制御部23からのトリガ信号TRGが“1”のとき、対物光学系25を通過した光学像を所定のフレームレートでデジタル画像データIMG1に変換し、画像データ処理部27に出力する。
【0035】
画像データ処理部27は、撮像素子26から入力される画像データIMG1に対して例えば歪み補正やガンマ補正などの処理を行って、所定のデジタル画像データIMG2として、撮像制御部23に出力する。
【0036】
撮像制御部23は、画像データ処理部27から入力される画像データIMG2をさらに処理して、例えばIMG.jpgというファイル名のJPEG形式の画像ファイルを生成し、記憶部24に保存する。そして、予め定めた所定フレーム数(例えば3フレーム)の画像ファイルIMG.jpgが記憶部24に格納されると、撮像制御部23は、撮像素子26へのトリガ信号TRGを“0”にして撮像素子26による撮像を終了させるとともに、点灯制御信号LDGを“1”から“0”にする。これにより、LD14aの消灯を指示する点灯制御信号LDGが、コネクタ22から照明装置10に対し出力される。
【0037】
その後、撮像制御部23は、記憶部24から画像ファイルIMG.jpgを読み出してパケット化し、送信データTD1として通信I/F21に出力する。通信I/F21は、この送信データTD1を制御信号CTRLとして、ネットワーク上の画像処理装置30に送信する。これにより、撮像装置20により撮像されたワークWの画像データが、画像処理装置30により受信される。なお、画像処理装置30に対する画像データの送信は、フレームごとに行うようにしてもよい。この場合、撮像素子26が複数フレームを連続して露光する構成であれば、撮像素子26によるフレームの露光と先行するフレームの画像データの送信を並行して行うこともできる。
【0038】
図6は、以上のように構成される撮像装置20と上述の照明装置10とを含むピッキングシステム1の動作例を説明するタイミングチャートである。本例では、撮像装置20がローリングシャッタ方式により撮像素子26による露光をラインごとに行って1フレーム分の画像データを取得するものとする。図6におけるT1は1ライン分の露光時間を示し、T2は1フレーム分の露光時間を示している。また、本例では、撮像装置20が1回の撮像動作で3フレーム分の画像データを連続して取得し、フレームごとに画像データを送信するものとしているが、これに限らない。撮像装置20は、1回の撮像動作で少なくとも1フレーム分の画像データを取得して送信できればよい。
【0039】
まず、制御装置50から撮像装置20に対して撮像指示が送られると、撮像装置20は、点灯制御信号LDGを“0”から“1”にする。点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化すると、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電を開始する。これにより、アンプ13aの出力電圧Vgが上昇し、電圧信号Vcを超えると点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化する。
【0040】
点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化すると、撮像装置20は撮像(画像データの取得)を開始し、取得した画像データを、例えばフレームごとに画像処理装置30に送信する。そして、撮像装置20は、例えば3フレーム分の画像データの取得が終了すると、点灯制御信号LDGを“1”から“0”にする。点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化すると、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電を停止して、LD14aを消灯させる。これにより、アンプ13aの出力電圧Vgが降下し、電圧信号Vc以下になると点灯信号LD_ONが“1”から“0”に変化する。
【0041】
また、画像処理装置30は、撮像装置20から画像データが送られると、この画像データを処理してワークWの位置情報を生成し、この位置情報を制御装置50に送る。これにより、制御装置50によってロボット40の動作が制御され、ロボット40によるワークWのピッキングが行われる。
【0042】
本実施形態のピッキングシステム1では、制御装置50から撮像装置20に対して撮像指示が送られるたびに、以上の動作が繰り返される。
【0043】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のピッキングシステム1では、照明装置10が、撮像装置20から入力する点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化するとLD14aの駆動を開始し、LD14aの明るさが指定された明るさに達すると点灯信号LD_ONを“0”から“1”にする。また、撮像装置20が、照明装置10から入力する点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化すると、ワークWの撮像を開始し、撮像が終了すると点灯制御信号LDGを“1”から“0”にする。そして、照明装置10は、撮像装置20から入力する点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化するとLD14aの駆動を停止し、LD14aを消灯させる。このように、本実施形態のピッキングシステム1では、撮像装置20がワークWの撮像を行う間だけ照明装置10のLD14aを点灯させるようにしているので、照明装置10の不要な点灯時間を削減して、消費電力の削減や照明装置10の長寿命化などを図ることができる。
【0044】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、照明装置10に、LD14aの明るさを直接検知するPD(Photo Diode)を設けた例である。なお、ピッキングシステム1の基本的な枠組みは第1の実施形態と同様であるため、以下では、第1の実施形態と共通部分には共通の符号を用いて重複した説明を適宜省略し、第1の実施形態との差異を説明する。
【0045】
図7は、本実施形態の照明装置10の構成例を示す図である。本実施形態の照明装置10は、図7に示すように、第1の実施形態の構成(図2参照)に加えて、LDモジュール14から出射され、集光レンズ15aによって集光されたレーザ光を受光して、受光量に応じた電流信号PDIを出力するPD16を備える。
【0046】
本実施形態では、照明光学系15の反射ミラー15bが、集光レンズ15aにより集光されたレーザ光の一部を透過して拡散板15cに向かう光路から分離するように、反射率が制御されている。そして、反射ミラー15bを透過したレーザ光の光路上に、このレーザ光を受光するPD16が設けられている。
【0047】
PD16は、反射ミラー15bを透過したレーザ光を受光すると、受光量に応じた電流信号PDIを出力する。この電流信号PDIはLD駆動部13に導かれるが、その経路に電流検出用の抵抗Rs2が設けられている。この抵抗Rs2の両端の電圧Va,Vbの差分を検出することによりLD14aの明るさを検知し、LD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定することができる。なお、抵抗Rs2の両端の電圧Va,Vbを用いてLD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定する具体的な方法は、第1実施形態と同様の方法(図3参照)を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
【0048】
以上のように、本実施形態では、照明装置10がPD16を用いてLD14aの明るさを直接検知し、LD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定するようにしている。したがって、第1の実施形態と比較して照明装置10の構成は若干複雑になるが、LD14aの明るさを確実に検知して、LD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを精度よく判定することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、照明装置10のLD14aの点灯を撮像装置20からだけでなく、制御装置50からも指示できる構成とした例である。すなわち、第1の実施形態では、照明装置10と撮像装置20とがUSBケーブルなどによりダイレクトに接続され、撮像装置20から出力される点灯制御信号LDGが照明装置10に入力されることを前提としたが、本実施形態では、照明装置10に対して点灯制御信号LDGを出力する機能を持たない撮像装置20を用いた場合であっても、照明装置10の無駄な点灯時間を削減できるようにしている。なお、ピッキングシステム1の基本的な枠組みは第1の実施形態と同様であるため、以下では、第1の実施形態と共通部分には共通の符号を用いて重複した説明を適宜省略し、第1の実施形態との差異を説明する。
【0050】
図8は、本実施形態のピッキングシステム1の概要を説明するシステム構成図である。本実施形態のピッキングシステム1では、図8に示すように、照明装置10が、撮像装置20とダイレクトに接続されるだけでなく、ネットワークに接続されて制御装置50との間で制御信号CTRLによるデータの送受信が可能となっている。また、撮像装置20が照明装置10とダイレクトに接続されて点灯制御信号LDGを出力できる構成である場合、撮像装置20から照明装置10に対して、点灯制御信号LDGに加えて接続信号CNNDが出力されるようになっている。接続信号CNNDは、撮像装置20が照明装置10に接続されていることを示す信号である。
【0051】
なお、本実施形態では、撮像装置20が照明装置10に接続されていることを接続信号CNNDにより検出する構成としているが、これに限らない。例えば、点灯制御信号LDGと同一の信号線上に、接続検出用の信号を重畳するような方法も可能である。例えば、撮像装置20側で本来の点灯制御信号LDGとは異なる時間幅で一定周期のパルスを点灯制御信号LDGの信号線上に出力し、照明装置10側では前記周期期間内に入力されるパルスの有無とパルス幅を検出する。すなわち、前記周期期間内に信号のステータスが“1”になる期間があれば撮像装置10と接続状態にあると判断でき、前記周期期間以上“0”が続く状態が発生すると接続状態にないと判断できる。
【0052】
また、この接続検出用パルスの幅を、本来の点灯制御信号LDGが“1”になる最小の時間幅に対して小さく設定しておくことにより、照明装置10側で入力される信号の“1”になっている時間を検出することによって、本来の点灯制御信号LDGであるか接続検出用のパルスであるかを検知することができるので、接続検出用パルスによって光源であるLD14aの駆動を開始させてしまう不都合を防止できる。
【0053】
このような方法をとることにより、撮像装置20が照明装置10に接続されていることを検出するために信号線を追加する必要がなくなり、コネクタ11,22の小型化や低コスト化が図る、あるいは余った信号線を別の用途に使用することで多機能化や高機能化を図ることができる。なお、このような方法では、入力信号が“1”になってから、それが接続検出用パルスであるか本来の点灯制御信号LDGであるかを検知するのに所定の時間がかかるため、厳密に言えばその分、光源であるLD14aの点灯を開始させる時間が遅れることになるが、接続検出用のパルス幅を十分小さく設定しておけば、システムの性能には殆ど影響を与えることがない。
【0054】
図9は、本実施形態の照明装置10の構成例を示す図である。本実施形態の照明装置10は、図9に示すように、第1の実施形態の構成(図2参照)に加えて、通信I/F17と、選択部18とを備える。
【0055】
通信I/F17は、照明装置10が上述の制御信号CTRLにより制御装置50とデータを送受信するためのインタフェースである。照明装置10は、撮像装置20から点灯制御信号LDGを入力できない場合に、この通信I/F17を介して制御装置50から制御信号CTRLとして送信された点灯指示や消灯指示などのコマンドを受信する。また、照明装置10は、撮像装置20に対して点灯信号LD_ONを出力できない場合に、通信I/F17を介して、制御装置50に対して点灯信号LD_ONを送信する。通信I/F17により受信された制御装置50からの点灯指示や消灯指示などのコマンドは、受信データRD2として照明制御部12に渡される。また、照明制御部12から通信I/F17に送信データTD2として点灯信号LD_ONが渡されると、この点灯信号LD_ONが通信I/F17から制御装置50に送信される。
【0056】
本実施形態の照明装置10において、照明制御部12は、制御装置50からのコマンドに応じて点灯制御信号LDGを生成して選択部18に出力する機能を持つ。以下では、撮像装置20からコネクタ11を介して入力される点灯制御信号LDGを点灯制御信号LDG1と表記し、照明制御部12が制御装置50からのコマンドに応じて生成する点灯制御信号LDGを点灯制御信号LDG2と表記する。照明制御部12は、通信I/F17により制御装置50から点灯指示のコマンドが受信されると、選択部18に出力する点灯制御信号LDG2を“0”から“1”にする。また、照明制御部12は、通信I/F17により制御装置50から消灯指示のコマンドが受信されると、選択部18に出力する点灯制御信号LDG2を“1”から“0”にする。
【0057】
また、本実施形態の照明装置10において、コネクタ11は、撮像装置20から点灯制御信号LDG1を入力するための端子と、撮像装置20に対して点灯信号LD_ONを出力するための端子に加えて、撮像装置20から接続信号CNNDを入力するための端子を有する。撮像装置20に対して点灯信号LD_ONを出力するための端子は、第1の実施形態と同様にLD駆動部13に接続されているが、撮像装置20から点灯制御信号LDG1を入力するための端子と接続信号CNNDを入力するための端子は、選択部18に接続されている。
【0058】
選択部18は、撮像装置20からコネクタ11を介して入力される点灯制御信号LDG1と、制御装置50からのコマンドに応じて照明制御部12により生成される点灯制御信号LDG2とのいずれか一方を、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして選択する。例えば、選択部18は、撮像装置20が照明装置10に接続されていることを示す接続信号CNNDがコネクタ11を介して入力されている場合、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして、撮像装置20からコネクタ11を介して入力される点灯制御信号LDG1を選択する。一方、接続信号CNNDが入力されていない場合、選択部18は、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして、制御装置50からのコマンドに応じて照明制御部12により生成される点灯制御信号LDG2を選択する。
【0059】
本実施形態の照明装置10において、LD駆動部13は、選択部18により選択された点灯制御信号LDGが“0”から“1”になるとLD14aの駆動を開始し、LD14aの明るさが指定された明るさに達すると点灯信号LD_ONを“0”から“1”にする。本実施形態では、この点灯信号LD_ONが照明制御部12にも入力される。照明制御部12は、選択部18がLD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして点灯制御信号LDG2を選択した場合(つまり、撮像装置20が照明装置10にダイレクトに接続されていない場合)、この点灯信号LD_ONが“0”から“1”になると、LD_ON=1を送信データTD2として通信I/F17に渡す。これにより、LD14aの明るさが指定された明るさに達したことを示す点灯信号LD_ONが、通信I/F17から制御装置50に送信される。
【0060】
図10は、本実施形態の撮像装置20(照明装置10に対して点灯制御信号LDGを出力する機能を持つ撮像装置20)の構成例を示す図である。本実施形態の撮像装置20は、図10に示すように、第1の実施形態の撮像装置20(図5参照)と同様の構成であるが、コネクタ22が、照明装置10に対して点灯制御信号LDG1を出力するための端子と、照明装置10から点灯信号LD_ONを入力する端子に加えて、照明装置10に対して接続信号CNNDを出力するための端子を有する。なお、本実施形態では、撮像制御部23からコネクタ22を介して照明装置10に接続信号CNNDを出力するものとしているが、接続信号CNNDは、撮像装置20が照明装置10に対してダイレクトに接続されている場合に照明装置10に入力される信号であればよい。
【0061】
図10に示す構成の撮像装置20が図9に示す構成の照明装置10に対してダイレクトに接続されている場合、照明装置10の選択部18により、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして、撮像装置20からコネクタ11を介して入力される点灯制御信号LDG1が選択される。したがって、この場合のピッキングシステム1の動作は、図6のタイミングチャートで示した第1の実施形態の動作と同様となる。
【0062】
一方、照明装置10に対して点灯制御信号LDGを出力する機能を持たない撮像装置20を用いた場合、あるいは、図10に示す構成の撮像装置20を用いるが、この撮像装置20が照明装置10にダイレクトに接続されていない場合は、照明装置10の選択部18により、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして、制御装置50からのコマンドに応じて照明制御部12により生成される点灯制御信号LDG2が選択される。この場合、ピッキングシステム1の動作は、第1の実施形態の動作とは異なったものとなる。以下では、このような場合のピッキングシステム1の動作例を説明する。
【0063】
図11は、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして点灯制御信号LDG2が選択される場合のピッキングシステム1の動作例を説明するタイミングチャートである。本例では、撮像装置20が照明装置10に接続されていることを示す接続信号CNNDが入力されていないため、照明装置10の選択部18は、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGとして、照明制御部12により生成される点灯制御信号LDG2を選択する。
【0064】
まず、制御装置50から照明装置10に対して点灯指示が送られると、照明装置10の照明制御部12が点灯制御信号LDG2を“0”から“1”にする。これにより、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化する。点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化すると、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電を開始する。これにより、アンプ13aの出力電圧Vgが上昇し、電圧信号Vcを超えると点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化する。この点灯信号LD_ONは、照明装置10から制御装置50に送られる。
【0065】
制御装置50は、照明装置10のLD14aの明るさが指定された明るさに達したことを示す点灯信号LD_ONを受信すると、撮像装置20に対して撮像指示を送る。撮像装置20は、制御装置50から撮像指示を受信するとワークWの撮像を開始し、取得した画像データを、例えばフレームごとに画像処理装置30に送る。画像処理装置30は、撮像装置20から画像データが送られると、この画像データを処理してワークWの位置情報を生成し、この位置情報を制御装置50に送る。
【0066】
制御装置50は、画像処理装置30から位置情報が送られると、撮像装置20によるワークWの撮像が終了したと判断し、照明装置10に対して消灯指示を送る。照明装置10の照明制御部12は、制御装置50から消灯指示が送られると、点灯制御信号LDG2を“1”から“0”にする。これにより、LD駆動部13に出力する点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化する。点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化すると、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電を停止して、LD14aを消灯させる。これにより、アンプ13aの出力電圧Vgが降下し、電圧信号Vc以下になるとLD_ON信号が“1”から“0”に変化する。
【0067】
また、制御装置50は、画像処理装置30から位置情報が送られると、この位置情報に基づいてロボット40の動作を制御する。これにより、ロボット40によるワークWのピッキングが行われる。本実施形態のピッキングシステム1では、制御装置50から照明装置10に対して点灯指示が送られるたびに、以上の動作が繰り返される。
【0068】
以上のように、本実施形態では、撮像装置20から照明装置10に対して点灯制御信号LDG1が入力されない場合、照明装置10の照明制御部12により制御装置50からのコマンドに応じて点灯制御信号LDG2が生成され、この点灯制御信号LDG2に基づいてLD14aの駆動が制御される。したがって、ワークWを撮像する撮像装置として、照明装置10に対して点灯制御信号LDGを出力する機能を持たない撮像装置20を用いた場合であっても、撮像装置20がワークWの撮像を行う間だけ照明装置10のLD14aを点灯させることができ、照明装置10の無駄な点灯時間を削減できる。
【0069】
なお、本実施形態では、照明装置10が制御装置50から点灯指示や消灯指示などのコマンドを受信するものとして説明したが、例えば画像処理装置30などの制御装置50以外の外部装置からコマンドを受信して、点灯制御信号LDG2を生成する構成であってもよい。また、点灯指示については、外部装置からのコマンドだけではなく、例えば照明装置10に設けられた操作ボタンの操作などに応じて、照明制御部12が点灯制御信号LDG2を“0”から“1”にする構成としてもよい。
【0070】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。本実施形態は、光源として用いるLD14aの点灯不良が発生した場合にこれを検知して、LD14aが点灯不良の状態であることを示す点灯不良信号を出力する機能を照明装置10に持たせた例である。なお、ピッキングシステム1の基本的な枠組みは第1乃至第3の実施形態と同様であるため、以下では、第1乃至第3の実施形態と共通部分には共通の符号を用いて重複した説明を適宜省略し、本実施形態に特徴的な部分を説明する。
【0071】
図12は、本実施形態のピッキングシステム1の概要を説明するシステム構成図である。本実施形態のピッキングシステム1の構成は、図12に示すように、第3の実施形態(図8参照)と同様であるが、照明装置10から撮像装置20に対して点灯不良信号LD_ERRが出力される。点灯不良信号LD_ERRはLD14aの点灯不良を知らせる信号であり、例えばLD_ERR=1のとき、LD14aに点灯不良が発生していることを示す。撮像装置20は、照明装置10から入力する点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化すると、点灯制御信号LDGを“1”から“0”にするとともに、制御装置50に対して制御信号CTRLにより、照明装置10が異常状態であることを示す照明エラーを通知する。制御装置50は、撮像装置20から照明エラーが通知されると、ロボット40の動作を停止させる。
【0072】
図13は、本実施形態の照明装置10の構成例を示す図である。本実施形態の照明装置10は、図13に示すように、第3の実施形態の構成(図9参照)に加えて、タイマ19が設けられている。また、コネクタ11には、撮像装置20に対して点灯不良信号LD_ERRを出力するための端子が付加されている。この端子は、LD駆動部13に接続されている。また、点灯不良信号LD_ERRは、LD駆動部13から照明制御部12にも入力される構成となっている。したがって、点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化したときに、照明装置10が異常状態であることを示す照明エラーを照明制御部12が生成し、照明装置10から撮像装置20に対して照明エラーを通知するようにしてもよい。その場合、撮像装置20は、照明装置10から入力する点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化したときに、点灯制御信号LDGを“1”から“0”にするだけでよく、制御装置50に対して照明エラーを通知する必要はなくなる。
【0073】
また、本実施形態の照明装置10では、照明制御部12からLD駆動部13に対してリセット信号RSTが出力される構成となっている。このリセット信号RSTは、LD駆動部13を初期化するための信号であり、例えばRST=0とすることでLD駆動部13が初期化される。LD駆動部13の初期化は、点灯不良信号LD_ERRを0にすることを含む。
【0074】
本実施形態の照明装置10において、照明制御部12は、制御装置50から制御信号CTRLとして送信された初期化コマンドを通信I/F17が受信すると、LD14aの発光量を指定するデータLDCを初期化するとともに、リセット信号RSTを“1”から“0”にしてLD駆動部13を初期化させる。これにより、点灯不良信号LD_ERRは、それまでの状態にかかわらず“0”になる。照明制御部12は、点灯不良信号LD_ERRが“0”になったことを検知すると、リセット信号RSTを“0”から“1”にする。また、照明制御部12は、例えば制御装置50から制御信号CTRLとしてデータLDCが送信されて通信I/F17により受信されると、このデータLDCを内部のレジスタなどに改めて設定する。これにより、照明装置10はスタンバイ状態となる。照明装置10がスタンバイ状態になると、照明制御部12は、通信I/F17から制御装置50に対して応答信号ACKを送信し、照明装置10がスタンバイ状態になったことを制御装置50に通知する。
【0075】
その後、上述したように点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化すると、LD駆動部13は、電圧信号Vcの値に基づいてLD駆動電流IL1を生成し、このLD駆動電流IL1をLDモジュール14に対して出力する。また、このときLD駆動部13は、タイマ起動信号TCを“1”にしてタイマ19を起動する。その後、LD駆動部13は、タイマ19の計時データTMDをモニタするとともに、点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化するかどうかを観測する。そして、点灯信号LD_ONが“1”になることなくタイマ19の計時データTMDが所定時間Tnに達した場合、LD駆動部13は、点灯不良信号LD_ERRを“1”にする。点灯不良信号LD_ERRはいったん“1”になると、リセット信号RSTが“0”になってLD駆動部13が初期化されるまで維持される。
【0076】
照明装置10に対して撮像装置20がダイレクトに接続されている場合、撮像装置20は、照明装置10から入力する点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化すると、点灯制御信号LDG1を“1”から“0”にする。これにより、照明装置10のLD14aに対するLD駆動電流IL1の通電が停止される。
【0077】
一方、照明装置10に対して撮像装置20がダイレクトに接続されていない場合、点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化すると、照明制御部12が、照明装置10が異常状態であることを示す照明エラーを通信I/F17を介して制御装置50に通知する。そして、この照明エラーの通知を受けた制御装置50から制御信号CTRLとして送信された消灯指示のコマンドを通信I/F17が受信すると、照明制御部12は、点灯制御信号LDG2を“1”から“0”にする。これにより、照明装置10のLD14aに対するLD駆動電流IL1の通電が停止される。
【0078】
図14は、本実施形態の照明装置10の動作例を説明するフローチャートであり、照明制御部12およびLD駆動部13の処理手順の一例を示している。
【0079】
制御装置50から制御信号CTRLとして送信された初期化コマンドが通信I/F17により受信されると、まず、照明制御部12が、リセット信号RSTを“0”にする(ステップS101)。そして、点灯不良信号LD_ERRが“0”になると(ステップS102:Yes)、照明制御部12は、リセット信号RSTを“1”にする(ステップS103)。これにより、照明装置10はスタンバイ状態となる。
【0080】
そして、LD駆動部13は、点灯制御信号LDGが“1”になると(ステップS104)、タイマ起動信号TCを“1”にしてタイマ19を起動する(ステップS105)。その後、LD駆動部13は、タイマ19の計時データTMDをモニタするとともに、信号LD_ONが“0”から“1”に変化するかどうかを観測する(ステップS106、ステップS107)。
【0081】
ここで、点灯信号LD_ONが“1”になることなくタイマ19の計時データTMDが所定時間Tnに達した場合(ステップS106:No、ステップS107:Yes)、LD駆動部13は、点灯不良信号LD_ERRを“1”にする(ステップS108)。一方、タイマ19の計時データTMDが所定時間Tnに達する前に点灯信号LD_ONが“1”になった場合は(ステップS107:No、ステップS106:Yes)、点灯不良信号LD_ERRを“0”のままとする。その後、LD駆動部13は、タイマ起動信号TCを“0”にしてタイマ19をリセットする(ステップS109)。
【0082】
図15は、本実施形態の撮像装置20の構成例を示す図である。本実施形態の撮像装置20は、図15に示すように、第3の実施形態の撮像装置20(図10参照)と同様の構成であるが、コネクタ22が、照明装置10から点灯不良信号LD_ERRを入力する端子をさらに有する。この端子は、撮像制御部23に入力されている。
【0083】
本実施形態の撮像装置20において、撮像制御部23は、コネクタ22を介して照明装置10から入力される点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化すると、点灯制御信号LDG1を“1”から“0”にする。これにより、LD14aの消灯を指示する点灯制御信号LDG1が、コネクタ22から照明装置10に対し出力される。また、点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”に変化すると、撮像制御部23は、照明装置10が異常状態であることを示す照明エラーのメッセージを生成し、これを送信データTD1として通信I/F21に出力する。この照明エラーのメッセージは、通信I/F21から制御信号CTRLとして制御装置50に送信される。
【0084】
図16は、本実施形態のピッキングシステム1において、照明装置10のLD14aに点灯不良が発生した場合の動作例を説明するタイミングチャートである。なお、ここでは撮像装置20が照明装置10に対してダイレクトに接続されているものとする。
【0085】
第1の実施形態と同様に、制御装置50から撮像装置20に対して撮像指示が送られると、撮像装置20は、点灯制御信号LDG1を“0”から“1”にする。点灯制御信号LDG1が“0”から“1”に変化すると、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電を開始するとともに、タイマ19を起動する。そして、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電開始から所定時間Tnが経過する前に、アンプ13aの出力電圧Vgが電圧信号Vcを超えて点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化するかどうかを判定する。ここでは、点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化する前に所定時間Tnが経過したとする。
【0086】
この場合、照明装置10は、点灯不良信号LD_ERRを“0”から“1”にして、LD14aが点灯不良の状態であることを撮像装置20に知らせる。撮像装置20は、点灯不良信号LD_ERRが“0”から“1”になると、点灯制御信号LDG1を“1”から“0”にするとともに、照明装置10が異常状態であることを示す照明エラーを制御装置50に通知する。
【0087】
点灯制御信号LDGが“1”から“0”に変化すると、照明装置10は、LD14aに対するLD駆動電流IL1の通電を停止して、LD14aを消灯させる。また、撮像装置20から照明エラーが通知されると、制御装置50は、ロボット40の動作を停止させる。
【0088】
その後、例えばユーザによって照明装置10のLD14aの点灯不良の要因が取り除かれると、制御装置50から照明装置10に対して初期化コマンドが送信される。照明装置10は、制御装置50から初期化コマンドを受信すると、データLDCを初期化して0にするとともにLD駆動部13をリセットし、点灯不良信号LD_ERRを“1”から“0”にする。また、制御装置50は、初期化コマンドの送信後、照明装置10に対して再設定するデータLDCを送信する。照明装置10は、制御装置50からデータLDCを受信すると、このデータLDCを照明制御部12内のレジスタなどに設定し、制御装置50に応答信号ACKを送信することで、照明装置10がスタンバイ状態になったことを制御装置50に通知する。
【0089】
照明装置10がスタンバイ状態になると、制御装置50から撮像装置20に対して撮像指示が送られる。これにより、点灯制御信号LDGが“0”から“1”になる。ここで、照明装置10のLD14aに点灯不良が発生しなければ、点灯制御信号LDGが“0”から“1”に変化してLD14aの駆動が開始されてから所定時間Tnが経過する前に点灯信号LD_ONが“0”から“1”に変化するため、以降は第1の実施形態と同様の動作(図6参照)となる。
【0090】
以上のように、本実施形態では、LD14aの点灯不良が発生した場合に照明装置10がこれを検知して、LD14aが点灯不良の状態であることを示す点灯不良信号LD_ERRを撮像装置20に出力する。そして、撮像装置20は、このような点灯不良信号LD_ERRを照明装置10から入力すると、点灯制御信号LDG1を“1”から“0”にしてLD14aの駆動を停止させるとともに、照明装置10が異常状態であることを示す照明エラーを制御装置50に通知する。そして、制御装置50は、撮像装置20から照明エラーが通知されると、ロボット40の動作を停止させるようにしている。したがって、本実施形態によれば、照明装置10の異常に起因して撮像装置20がワークWの画像を正しく撮像できない場合にロボット40が誤動作することを有効に防止できるとともに、その後の迅速且つ適切な対応を可能とすることができ、信頼性の高いピッキングシステム1を実現することができる。
【0091】
<補足説明>
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明の一適用例を示したものである。本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。
【0092】
例えば、上述した実施形態では、撮像装置20として単眼カメラを用いる例を想定したが、撮像装置20としてステレオカメラを用いるようにしてもよい。この場合、例えば、ステレオカメラにより撮像された視点が異なる複数の画像が画像処理装置30に送信され、画像処理装置30によって、これら複数の画像から視差画像(距離画像)が生成されて、この視差画像に基づいてワークWの3次元形状の認識が行われる。あるいは、ステレオカメラの内部で生成された視差画像が画像処理装置30に送信され、画像処理装置30によって、この視差画像に基づいてワークWの3次元形状の認識が行われる。
【0093】
また、上述した実施形態では、本発明を適用したシステムの一例としてピッキングシステム1を例示したが、本発明は、照明装置により照明された被写体を撮像装置により撮像することで画像を取得する様々な画像取得システムに対して有効に適用することができる。すなわち、図17に示すように、被写体Obを照明する照明装置10と、照明装置10により照明された被写体Obを撮像する撮像装置20との間で、上述の点灯制御信号LDG、点灯信号LD_ON、点灯不良信号LD_ERRなどを直接やり取りできるようにすることで、上述した実施形態と同様に、撮像装置20が被写体Obの撮像を行う間だけ照明装置10を点灯させて、照明装置10の不要な点灯時間を削減することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 ピッキングシステム
10 照明装置
11 コネクタ
12 照明制御部
13 LD駆動部
14 LDモジュール
14a LD
15 照明光学系
16 PD
17 通信I/F
18 選択部
19 タイマ
20 撮像装置
22 コネクタ
23 撮像制御部
30 画像処理装置
40 ロボット
50 制御装置
LDG 点灯制御信号
LD_ON 点灯信号
CNND 接続信号
LD_ERR 点灯不良信号
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2010−240785号公報
【要約】
【課題】照明装置の不要な点灯時間を削減する。
【解決手段】実施形態の照明装置10は、光源として用いるLD14aと、LD14aの点灯および消灯を指示する点灯制御信号LDGを撮像装置から入力するコネクタ11の端子と、点灯制御信号LDGに応じてLD14aを駆動するLD駆動部13と、LD14aの明るさが指定された明るさに達したか否かを判定するLD駆動部13内のコンパレータと、LD14aの明るさが指定された明るさに達すると、LD14aが点灯したことを示す点灯信号LD_ONを撮像装置に出力するコネクタ11の端子と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17