特許第6044821号(P6044821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044821難燃性ポリアミド樹脂組成物、及びその成形体
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  • 特許6044821-難燃性ポリアミド樹脂組成物、及びその成形体 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044821
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】難燃性ポリアミド樹脂組成物、及びその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20161206BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08K5/5313
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-165781(P2012-165781)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-24946(P2014-24946A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】林 弘司
(72)【発明者】
【氏名】村田 義章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 芳行
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4953039(JP,B2)
【文献】 特開2002−037852(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0032279(US,A1)
【文献】 特開2007−091606(JP,A)
【文献】 特開平06−313102(JP,A)
【文献】 特開平07−118517(JP,A)
【文献】 特開平06−256666(JP,A)
【文献】 特開2002−129010(JP,A)
【文献】 特開2004−292695(JP,A)
【文献】 特開2000−256552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69、C08L77、C09J177、C09D177
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂(A)、及び下記構造式(1)
【化1】
(構造式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又はフェニル基であり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)、
【化2】

で表される構造部位であり、また、該構造式(x1)中、R〜Rは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基であり、かつ、構造式(1)中のnは繰り返し単位で0以上の整数である。)で表されるリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分とすることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
前記リン原子含有オリゴマー(B)を、前記構造式(1)においてnが0の成分と、前記構造式(1)においてnが1以上の成分との混合物であって、かつ、nが1成分以上の成分の含有率が、GPC測定におけるピーク面積基準で5〜90%の範囲にあるリン原子含有オリゴマー組成物として用いる請求項1記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記リン原子含有オリゴマー(B)が、リン原子含有率9〜12質量%のものである請求項1記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(b1−1)又は(b1−2)
【化3】

(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基、アラルキル基を表す。)で表される化合物(b1)と、
下記構造式(b2)
【化4】

(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。)
で表される化合物(b2)とを反応させて得られるものである請求項1記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)が5〜70質量部となる割合で含まれるものである請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)、(B)の各成分に加え、さらに、ポリカーボネート樹脂(C)を、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し1〜20質量部となる割合で含有する請求項1記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)、(B)の各成分に加え、さらに、ポリフェニレンエーテル及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し10〜150質量部となる割合で含有するものである請求項1記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項8】
前記(A)、(B)の各成分に加え、さらに、充填材を、前記ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し10〜200質量部となる割合で含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は得られる硬化物の難燃性、耐熱性、成型加工性に優れるポリアミド樹脂組成物、及びその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、耐熱性が高く、成形流動性が極めて良いという特徴によって、電気電子材料、OA機器、自動車部材等に広く使用されている。これら用途では難燃性が要求されることが多いため、難燃性ポリアミド樹脂組成物が一般的に使用されている。また、近年の軽薄短小化の流れから、従来よりも薄肉成形品であっても効率的に難燃性を得ることが期待されている。
ポリアミド樹脂を難燃化する手法としては、難燃剤としてメラミンシアヌレートを用いる技術(下記、特許文献1参照)、或いは、燐系化合物であるホスファゼンやホスフィン酸系の難燃剤を使用する技術(下記、特許文献2参照)が知られている。
特許文献1に代表されるメラミンシアヌレートを用いる手法は、ハロゲンを使用しないため、環境負荷が小さく、この点においては優れた難燃化手法と言える。しかしながら難燃性が十分でなく、従来のメラミンシアヌレートでは、UL94V−0を達成するレベルまで難燃性を向上させることが困難であることに加え、熱分解や加水分解等によってブリードアウトを起こす等実用上問題が多いのが現状であった。
また、特許文献2記載のホスファゼン系やホスフィン酸系難燃剤を使用する技術は、ベース樹脂に対し、ホスファゼン化合物及び芳香族系樹脂を添加する樹脂の難燃化方法に関するものであるが、この手法では溶融混練時のブリードや成型時の離型性など加工性は良好で、一定の難燃性は得られるものの、近年、成型品の小型化、薄肉化が進む中で、薄肉成型品、或いは成型品の薄肉部の難燃性が依然不足しているのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−342482号公報
【特許文献2】特開2008−50509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明が解決しようとする課題は、成形時における加工性に優れると共に、薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部において優れた難燃性が得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物、及びその成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、HCAに代表されるリン原子含有化合物とo−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物とを反応、オリゴマー化して得られるリン原子含有フェノール系オリゴマーをポリアミド樹脂用の難燃剤として用いることにより、優れた耐熱性、加工性を発現すると共に、薄肉成型品、成型品の薄肉部、或いは薄膜部であっても優れた難燃性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、ポリアミド樹脂(A)、及び、
下記構造式(1)
【0007】
【化1】

(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表し、nは繰り返し単位で1以上の整数であり、Xは下記構造式(x1)又は(x2)
【0008】
【化2】
で表される構造部位であり、Yは水素原子、水酸基又は前記構造式(x1)若しくは(x2)で表される構造部位であり、また、該構造式(x1)又は(x2)中、R、R、R、Rは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基、アラルキル基を表す。)で表されるリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分とすることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0009】
本発明は、更に、前記難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成型体に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐熱性、加工性に優れると共に、薄肉成型品、成型品の薄肉部分、或いは薄膜部において優れた難燃性が得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物、及びその成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は合成例1で得られたリン原子含有オリゴマー(A−1)のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、アミノ酸の重合体(a1)、ラクタムの開環重合体(a2)、あるいはジアミンとジカルボン酸との重合体(a3)等が挙げられる。
【0014】
ここで、アミノ酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
【0015】
また、重合体(a3)を構成するアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、
ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの各種脂肪族、脂環族、芳香族のジアミンが挙げられる。
【0016】
他方、重合体(a3)を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。
【0017】
本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0018】
上記したポリアミド樹脂(A)の具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン66/6I/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0019】
これらの中でも、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)(融点265℃)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)(融点300℃)は、優れた耐熱性、強度などの点から好ましく、また、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン66/6I/6)やポリカプロアミド(ナイロン6)は、無機充填材の高充填時における外観性に優れる点で好ましい。
【0020】
ポリアミド樹脂の重合度にはとくに制限がないが、JISK6810に従いポリアミド樹脂1gを98%濃硫酸溶液100mLに溶解し、25℃で測定した相対粘度が、1.7〜4.0の範囲のものが好ましく、1.8〜3.5の範囲のものが特に好ましい。相対粘度がこの範囲に有ると成形性、機械特性に優れる点から好ましい。
【0021】
また、上記ポリアミド樹脂は、芳香環を有するポリアミド樹脂を用いる場合、主鎖中の芳香環含有率は5〜75質量%の範囲であることが好ましく、特に25〜65質量%、更には31〜55質量%の範囲であることが好ましい。ここで、芳香環含有率は、ポリアミド樹脂(A)の繰り返し単位の総原子量に占める、芳香環を構成する炭素および水素の総原子量として算出することができる。
【0022】
次に、本発明で用いるリン原子含有オリゴマー(B)は、前記した通り、ポリアミド樹脂(A)、及び下記構造式(1)
【0023】
【化3】
(構造式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又はフェニル基であり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)、
【0024】
【化4】

で表される構造部位であり、また、該構造式(x1)中、R〜Rは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基であり、かつ、構造式(1)中のnは繰り返し単位で0以上の整数である。)で表されるものである。本発明では、斯かるリン原子含有オリゴマー(B)を難燃剤成分として用いることにより、溶融混練時のブリードを抑えかつ金型からの離型性を良好に維持しながらも、薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性能を飛躍的に高めることができるものである。また、前記リン原子含有オリゴマー(B)は、特に前記構造式(1)においてnが0であるリン原子含有化合物と、nが1以上であるリン原子含有オリゴマーとの混合物であることが、溶融混練時のブリードや成型時の離型性などに優れると共に、薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性能が一層向上する点から好ましい。
【0025】
斯かるリン原子含有オリゴマー(B)は、例えば、前記構造式(1)中で表される化学構造のうち、Xが水素原子であるものは、具体的には、下記構造式(1−1)〜(1−4)で表されるものが挙げられる。
【0026】
【化5】
【0027】
他方、前記構造式(1)中で表される化学構造のうち、Xが前記構造式(x1)で表されるものは、具体的には
【0028】
【化6】
【0029】
本発明では、前記構造式(1)中のXは前記構造式(x1)又は水素原子であるが、特に難燃性の点から構造式(x1)であることが好まく、よって、前記構造式(1−5)〜(1−8)で表される、n=0の成分とnが1以上の成分との混合物であることが、加工性、薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性能に優れる点から好ましい。
【0030】
また、前記構造式(1)におけるR〜Rは、及び前記構造式(x1)におけるR〜Rは、前記したとおり、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。ここで、炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。
【0031】
本発明では、前記構造式(1)におけるR〜Rは、及び前記構造式(x1)におけるR〜Rは、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、特に前記構造式(1)におけるR〜Rは、及び前記構造式(x1)におけるR〜Rの全てが水素原子であるものが難燃性の点から好ましい
【0032】
また、前記リン原子含有オリゴマー(B)は、前記した通り、上記した構造式(1)においてnが0である化合物(以下、これを「nが0の成分」と略記する。)と、nが1以上の成分であるリン原子含有オリゴマー(以下、これを「nが1以上の成分」と略記する。)との混合物であって、かつ、該混合物中のnが1以上の成分の含有率が、GPC測定におけるピーク面積基準で5〜90%の範囲にあるものが、加工性と、薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性能に優れる点から好ましい。
【0033】
ここで、前記リン原子含有オリゴマー(B)は、上記した構造式(1)においてnが1以上の成分であるリン原子含有オリゴマーの含有率が、GPC測定におけるピーク面積基準で40〜85%の範囲にあるものが、とりわけ薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性能に優れる点から好ましい。
【0034】
ここで、リン原子含有オリゴマー(B)中の前記構造式(1)におけるnが1以上の成分の含有率とは、下記の条件で測定されたGPCのチャートにおいて、36.0分未満のピーク面積の割合をいうものである。
【0035】
<GPC測定条件>
4)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器 : RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件 : カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
【0036】
本発明では、即ち、nが1以上の成分の含有率が、GPC測定におけるピーク面積基準で5%〜90%であることが好ましいが、特に、ポリアミド樹脂(A)との相溶性、加工性に優れ、より薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性能が良好なものとなる点から、リン原子含有オリゴマー(B)中のnが1以上の成分の含有率が、40〜75%となる範囲であって、nが0の成分の含有率が60〜25%となる範囲であることが好ましい。
【0037】
更に、具体的には、nが0の成分の含有率が95〜10%、nが1のリン原子含有オリゴマー(以下、「nが1の成分」と略記する。)の含有率が3〜50%、かつ、nが2以上のリン原子含有オリゴマー(以下、「nが2以上の成分」と略記する。)の含有率が2〜45%であることが加工性、難燃性のバランスが一層優れる点から好ましく、特に、nが0の成分の含有率が60〜25%、nが1の成分の含有率が10〜45%、かつ、nが2以上の成分の含有率が10〜40%であることが薄肉成型品、成型品の薄肉部、薄膜部における難燃性が顕著なものとなる点から好ましい。
【0038】
また、上記したリン原子含有オリゴマー(B)は、リン原子含有率が9〜12質量%の範囲であることが難燃性の点から好ましい。かかるリン原子含有率は、「JIS規格K0102 46」に準拠して測定した値である。
【0039】
以上詳述したリン原子含有オリゴマー(B)は、例えば、下記構造式(a1)
【0040】
【化7】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。)で表される化合物(a1)と、
下記構造式(a2)
【0041】
【化8】

(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。)
で表される化合物(a2)とを、モル比[化合物(a1)/化合物(a2)]が0.01/1.0〜0.99/1.0となる割合で配合し、酸触媒の存在下或いは無触媒下に、100〜200℃で反応を行い、次いで、前記化合物(a2)の仕込み量に対して、モル基準で合計1.01〜3.0倍量となる前記化合物(a1)を加え、140〜220℃にて反応を行うことにより目的とするリン原子含有オリゴマー組成物を得ることができる。
【0042】
本発明では、かかる方法によりリン原子含有オリゴマー(B)を製造する場合、反応中間体の析出を良好に抑制でき、高分子量化し易くなる。
【0043】
ここで、前記構造式(a1)中の、R、R、R、Rを構成する炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。本発明では、前記化合物(a1)は、R、R、R、Rの全てが水素原子であるものが難燃性の点から好ましい。他方、化合物(a2)における前記構造式(a2)中のRは、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又はフェニル基であり、炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。これらのなかでも、化合物(a1)との反応性及び硬化物の難燃性に優れる点からRは水素原子であることが好ましい。
【0044】
前記した通り、前記方法では触媒を用いても用いなくともよいが、最終的に得られる化合物の選択性及び収率に優れる点から無触媒下に反応させることが好ましい。ここで、触媒を用いる場合には、使用し得る触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。その使用量は硬化物の電気絶縁の低下を防ぐ観点から仕込み原料の総重量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲が挙げられる。
【0045】
該反応は前記化合物(a2)が液状であるため、これを有機溶媒として用い反応を行うことができるが、作業性等の向上という観点から他の有機溶媒を使用してもよい。ここで、用いる有機溶媒としては、アルコール系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒などの非ケトン系有機溶媒が挙げられ、具体的には、前記アルコール系有機溶媒としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、前記炭化水素系有機溶媒としてはトルエン、キシレン等が挙げられる。
【0046】
反応終了後は、減圧下で乾燥することによって目的物を得ることができる。
【0047】
本発明では上記したポリアミド樹脂(A)及び前記リン原子含有オリゴマー(B)に加え、更にポリカーボネート樹脂(C)を配合することにより、成型品における薄肉化が一層進んだ場合であっても優れた難燃性を発現させることができる。
【0048】
ここで用いるポリカーボネート樹脂(C)は、例えば、2価又は2官能型のフェノールとハロゲン化カルボニルとの重縮合物、或いは、2価又は2官能型のフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換法により重合させたものが挙げられる。
【0049】
ここで、ポリカーボネート樹脂(C)の原料ある2価又は2官能型のフェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これら2価のフェノールの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、さらに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料としたものが特に好ましい。
【0050】
他方、2価又は2官能型のフェノールと反応させるハロゲン化カルボニル又は炭酸ジエステルとしては、例えば、ホスゲン;二価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート等のジアリールカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物などが挙げられる。
【0051】
また、前記ポリカーボネート樹脂(C)は、そのポリマー鎖の分子構造が直鎖構造であるもののほか、これに分岐構造を有していてもよい。斯かる分岐構造は、原料成分として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等を用いることにより導入することができる。
【0052】
また、反応の際は分子量調節剤として、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等を用いることができる。
【0053】
前記ポリカーボネート樹脂(C)は、その重量平均分子量(Mw)は、10,000〜200,000の範囲であることが耐熱性や難燃性に優れたものとなる点から好ましい。ここで重量平均分子量(Mw)は、前記したGPC測定条件にて測定することができる。
【0054】
更に、本発明においては、上記各成分に加え、難燃性を向上させる目的でポリフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂を添加することができる。
【0055】
ここで、ポリフェニレンエーテル樹脂は、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
【0056】
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含むポリフェニレンエーテルであってもよい。
【0057】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂は、その樹脂構造にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、水酸基、無水ジカルボキル基等の反応性官能基を、グラフト反応や、共重合等何らかの方法で導入した変性ポリフェニレンエーテル樹脂も本発明の目的を損なわない範囲で使用できる。
【0058】
前記したポリフェニレンエーテルの分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、数平均分子量が500〜30000のものを好適に用いることができる。成型加工性に特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が好ましくは500以上、5000以下のもの、より好ましくは1200以上、4000以下である。耐熱性が特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が5000を超えるものを用いることが好ましい。ポリフェニレンエーテルは、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いればよい。
【0059】
また、前記フェノール樹脂は、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等や、フェノールアラルキル樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、メラミンまたはベンゾグアナミンで変性されたトリアジン変性フェノールノボラック樹脂等がある。これらの中でも特にノボラック型フェノール樹脂が成型品強度に優れる点から好ましい。
【0060】
前記フェノール樹脂は、その重量平均分子量(Mw)が、難燃性付与効果、機械特性の向上及び加工性とのバランスを考慮すると、2000〜100000の範囲であることが好ましく、特に3000〜30000の範囲であることが好ましい。
【0061】
本発明で用いられるフェノール樹脂は、難燃性、加工流動性、機械特性、低発煙性等のバランスを考慮すると、遊離モノマー及び二核体の合計含有量がフェノール樹脂全体の15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは11質量%以下である。また、三核体成分の含有量が好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下であるものが好適に用いられる。
【0062】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、機械物性等の諸特性を向上させる目的で、従来公知の充填材(E)を配合することができる。例えば、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウムや、ケナフ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤等が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。また、これらは、有機物や無機物等で被覆されていてもよい。
【0063】
また、充填材としてガラス繊維を用いる場合、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は使用する樹脂用に表面処理した物を用いるのが好ましい。
充填材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができる。燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
【0064】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物における各成分の配合割合は、難燃性付与効果と機械特性、加工性等のバランスを考慮すると、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を合計で5〜70質量部、好ましくは7〜60質量部、より好ましくは10〜50質量部、(C)ポリカーボネート樹脂を1〜20質量部、好ましくは2〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは2〜10質量部である。
【0065】
また、さらにポリフェニレンエーテル樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(D)を用いる場合の配合割合は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、合計で好ましくは10〜150質量部、より好ましくは10〜120質量部、さらに好ましくは10〜100質量部である。(D)成分がフェノール樹脂の場合、特に好ましくは15〜50質量部である。
【0066】
さらに充填材(E)を用いる場合の配合量は、本発明の効果を発揮できる範囲であれば特に規定はされない。充填材配合による上記効果を効率的に得る為の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、充填材を好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部、さらに好ましくは20〜120質量部、特に好ましくは20〜100質量部である。
【0067】
本発明においては更に難燃効果を高める目的で、窒素含有化合物を添加してもよい。斯かる窒素含有化合物は、トリアリールアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン等の三級アミン類や四級アンモニウム塩、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4’−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物や、ポリリン酸塩等が挙げられる。
【0068】
耐熱性を特に必要とする場合には、トリアジン系化合物、ポリリン酸塩を用いることができる。更に熱安定性、耐揮発性等が必要な場合、メラム、メレム、メロン等のメラミン縮合物や、上記トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物、ポリリン酸塩、特にメラミンとシアヌル酸との反応物であるメラミンシアヌレート、ポリリン酸塩を用いることが好ましい。また、前記トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物は、その水酸基及び/又はアミノ基の一部又は全部が他の置換基で置換されていてもよい。
【0069】
本発明で好ましく用いられるメラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸との等モル反応物である。例えば90〜100℃程度の温度下で、メラミン水溶液とシアヌル酸水溶液とを攪拌混合し、反応して得られた生成物を沈殿・濾過することにより、白色固体として得ることができ、粉砕して微粉末状にして使用するのが好ましい。上記窒素含有化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いてもよい。また、前記ポリリン酸塩としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等が挙げられる。
【0070】
例えば、工業的に入手できるポリリン酸アンモニウムとしては、ポリリン酸アンモニウムをメラミン樹脂等で処理し、水に難溶性としたタイエンS[太平化学産業(株)製]、スミセ−フP、スミセ−フPM[以上、住友化学工業(株)製]、Exolit462(ヘキスト社製)、AMGARDMC(アルブライトアンドウイルソン社製)、FRCROS(ブーデンハイム・イベリカ社製)、TERRAJU(ブーデンハイム・イベリカ社製)等が挙げられる。さらに、ポリリン酸アンモニウムに他の補助成分を加え、より難燃効果を改良したExolitVPIFR−23(ヘキスト社製)、SPINFLAMMF80/PP、SPINFLAMMF82/PP、SPINFLAMMF82/PS(以上、モンテカチ−ニ社製)等もまた挙げることができる。
【0071】
また、ポリリン酸アンモニウムを構成するポリリン酸とはいわゆる縮合リン酸と呼ばれるものであり、鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸等が挙げられる。本発明において、これらの縮合度は本願の効果を得られる範囲であれば特に規定はしないが、特に耐熱性が必要な場合、縮合度は5以上であることが好ましい。
【0072】
本発明に用いることのできるポリリン酸系メラミンとは、メラミンと上記リン酸、ピロリン酸またはポリリン酸との実質的に等モルから形成されるメラミン付加物を意味し、一部酸官能基が遊離の状態にあってもよい。
【0073】
本発明で用いられるポリリン酸メラミンとは、メラミンとリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸との実質的に等モルの反応生成物から得られる物を意味し、製法には特に制約はない。通常、リン酸メラミンを窒素雰囲気下、加熱縮合して得られるポリリン酸メラミンを挙げることができる。ここでリン酸メラミンを構成するリン酸としては、具体的にはオルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等が挙げられるが、特にオルトリン酸、ピロリン酸を用いたメラミンとの付加物を縮合したポリリン酸メラミンが難燃剤としての効果が高く、好ましい。特に耐熱性の点からかかるポリリン酸メラミンの縮合度nは5以上が好ましい。
【0074】
また、ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンの等モルの付加塩であってもよく、メラミンとの付加塩を形成するポリリン酸としては、いわゆる縮合リン酸と呼ばれる鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸が挙げられる。これらポリリン酸の縮合度nには特に制約はないが、ポリリン酸メラミン付加塩の耐熱性の点でここに用いるポリリン酸の縮合度nは5以上が好ましい。かかるポリリン酸メラミン付加塩はメラミンとポリリン酸との混合物を例えば水スラリーとなし、よく混合して両者の反応生成物を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し、さらに必要であれば焼成し、得られた固形物を粉砕して得られる粉末である。
【0075】
本発明組成物を成形して得られる成形品の機械的強度、成形品外観の点でポリリン酸メラミンの粒径は好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下に粉砕した粉末を用いるのがよい。0.5〜20μmの粉末を用いると、高い難燃性を発現するばかりでなく成形品の強度が著しく高くなるので特に好ましい。
また、ポリリン酸メラミンは必ずしも完全に純粋である必要はなく、未反応のメラミンあるいはリン酸、ポリリン酸が多少残存していてもよい。ポリリン酸メラミン中にリン原子として10〜18質量%含有するものが、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着する現象が少なく特に好ましい。
これらの窒素系化合物は、単独で用いてもよいし、ニ種以上を組み合わせて用いてもよい。
窒素系化合物の添加量は、本発明の効果を発揮できる量であれば規定されないが、好適にはポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、1〜150質量部、より好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。
【0076】
本発明においては、本発明の効果が達成できる範囲で、前記リン原子含有オリゴマー(B)以外の、ノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤、難燃助剤等を併用してもよい。ノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤、難燃助剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物類、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、シリカ、石炭灰(フライアッシュ)、ゼオライト、珪酸塩、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、フェニルクレジルホスフェート、フェニルキシレニルホスフェート、クレジルキシレニルホスフェート等のリン酸エステル類、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシン、ハイドロキノン等で架橋された縮合リン酸エステル、トリアリールホスフィンやトリアルキルホスフィン等の三級ホスフィンやそれらの酸化物や硫化物等を添加して、更なる難燃性の向上も可能である。
【0077】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。使用に供される樹脂は何等規定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が好適に使用される。一例を挙げると、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、生分解性樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
本発明で使用することの出来るその他の樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、硬化剤、硬化促進剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等を添加することも可能である。
【0079】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物を製造する際の各成分の配合順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものでない。すべての成分を予め混合して用いてもよいし、適宜順番に混合して用いてもよい。また、配合方法は、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練りが、生産性の面で好ましい。混練り温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては好ましくは140〜340℃の範囲、より好ましくは180〜330℃の範囲である。
【0080】
また本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の成形体は、板状、棒状、球状、シート状、フィルム状、中空状、ガス微分散状、発泡体、繊維状、ペレット状等、用途に合わせて最適な形状のものを広く用いることができる。これらの成形体の成型方法としては、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、プレス成形、押出成形、発泡成形、フィルム成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができ、それぞれの樹脂の適正に応じて、好ましい方法を用いることができる。
【0081】
また、前記成形体の具体的用途は、例えば、エアフローメーター、エアポンプ、サーモスタットハウジング、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブースター部品、各種ケース、各種チューブ、各種タンク、各種ホース、各種クリップ、各種バルブ、各種パイプなどの自動車用アンダーフード部品、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジングなどの自動車用内装部品、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車用外装部品、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなど各種自動車用コネクター、リレーケース、コイルボビン、光ピックアップシャーシ、モーターケース、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブのハウジングおよび内部部品、コピー機のハウジングおよび内部部品、ファクシミリのハウジングおよび内部部品、パラボラアンテナなどに代表される電気・電子部品を挙げることができる。更に、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、ビデオカメラ、プロジェクターなどの映像機器部品、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、ブルーレイディスクなどの光記録媒体の基板、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、などに代表される家庭・事務電気製品部品を挙げることができる。また電子楽器、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機などのハウジングや内部部品、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子部品、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナー、ブラインド部品、ガスメーター部品、水道メーター部品、湯沸かし器部品、ルーフパネル、断熱壁、アジャスター、プラ束、天井釣り具、階段、ドアー、床などの建築部材、釣り糸、漁網、海藻養殖網、釣り餌袋などの水産関連部材、植生ネット、植生マット、防草袋、防草ネット、養生シート、法面保護シート、飛灰押さえシート、ドレーンシート、保水シート、汚泥・ヘドロ脱水袋、コンクリート型枠などの土木関連部材、歯車、ねじ、バネ、軸受、レバー、キーステム、カム、ラチェット、ローラー、給水部品、玩具部品、結束バンド、クリップ、ファン、テグス、パイプ、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの機械部品、マルチフィルム、トンネル用フィルム、防鳥シート、植生保護用不織布、育苗用ポット、植生杭、種紐テープ、発芽シート、ハウス内張シート、農ビの止め具、緩効性肥料、防根シート、園芸ネット、防虫ネット、幼齢木ネット、プリントラミネート、肥料袋、試料袋、土嚢、獣害防止ネット、誘因紐、防風網などの農業部材、紙おむつ、生理用品包材、綿棒、おしぼり、便座ふきなどの衛生用品、医療用不織布(縫合部補強材、癒着防止膜、人工器官補修材)、創傷被服材、キズテープ包帯、貼符材基布、手術用縫合糸、骨折補強材、医療用フィルムなどの医療用品、カレンダー、文具、衣料、食品等の包装用フィルム、トレイ、ブリスター、ナイフ、フォーク、スプーン、チューブ、プラスチック缶、パウチ、コンテナー、タンク、カゴなどの容器・食器類、ホットフィル容器類、電子レンジ調理用容器類化粧品容器、ラップ、発泡緩衝剤、紙ラミ、シャンプーボトル、飲料用ボトル、カップ、キャンディ包装、シュリンクラベル、蓋材料、窓付き封筒、果物かご、手切れテープ、イージーピール包装、卵パック、HDD用包装、コンポスト袋、記録メディア包装、ショッピングバック、電気・電子部品等のラッピングフィルムなどの容器・包装、天然繊維複合、ポロシャツ、Tシャツ、インナー、ユニホーム、セーター、靴下、ネクタイなどの各種衣料、カーテン、イス貼り地、カーペット、テーブルクロス、布団地、壁紙、ふろしきなどのインテリア用品、キャリアーテープ、プリントラミ、感熱孔版印刷用フィルム、離型フィルム、多孔性フィルム、コンテナバッグ、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ICカード、紙、皮革、不織布等のホットメルトバインダー、磁性体、硫化亜鉛、電極材料等粉体のバインダー、光学素子、導電性エンボステープ、ICトレイ、ゴルフティー、ゴミ袋、レジ袋、各種ネット、歯ブラシ、文房具、水切りネット、ボディタオル、ハンドタオル、お茶パック、排水溝フィルター、クリアファイル、コート剤、接着剤、カバン、イス、テーブル、クーラーボックス、クマデ、ホースリール、プランター、ホースノズル、食卓、机の表面、家具パネル、台所キャビネット、ペンキャップ、ガスライターなどが挙げられる。
【実施例】
【0082】
次に、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、150℃における溶融粘度及びGPC、NMR、MSスペクトルは以下の条件にて測定した。
【0083】
1)180℃における溶融粘度:ASTMD4287に準拠
2)軟化点測定法:JISK7234
3)リン含有量測定法;JIS K0102−46に準拠
【0084】
4)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0085】
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
n=2以上の成分比率は、GPCチャートの36.0分未満のピーク面積を基に算出した。
【0086】
合成例1
温度計、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを324.0質量部(1.5モル)、o−ヒドロキシベンズアルデヒド122質量部(1.0モル)を仕込み、40℃下、窒素を吹き込みながら撹拌した。140℃に加熱し4時間撹拌後、180℃に加熱し8時間撹拌した。その後、水を加熱減圧下で除去して下記構造式


であらわされるリン原子含有オリゴマー物(−1)を410重量部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は428グラム/当量、軟化点140℃、燐含有量は10.5%であり、n=1以上の成分比率は46.7%であった。得られたリン含有オリゴマーのGPCチャートを図1に示す。


【0087】
[実施例1〜4、比較例1]
実施例1〜4、比較例1
上流側と下流側にそれぞれ1箇所の供給口を備えた二軸回転押出機を用いて、加熱シリンダーの設定温度を280℃に設定し、上流側供給口よりGF以外の各成分を表1に示す割合で混合して投入し、下流側供給口よりGFを表1に示す量で供給し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
(表1中の各成分は以下の通り。)
(A)成分:ポリアミド樹脂
(A−1) ポリアミド66樹脂(レオナ1300;旭化成ケミカルズ(株)製)
(B)成分:ホスファゼン化合物
(B−2) 下記化学式において、

n=3が94質量%、n=4が4質量%、n≧5が2質量%であるフェノキシホスファゼン5%重量減少温度;336℃、50%重量減少温度;398℃、500℃残渣量;4.7質量%
(C)成分:ポリカーボネート樹脂
(C−1) カリバー301−10(住友ダウ(株)製)
(D)成分
(D−1) フェノールノボラック樹脂 フェノライトTD−2131(DIC(株)製)
(D−2) 2,6ジメチル−1,4−フェニレンエーテル100質量部に無水マレイン酸0.5質量部を配合し、2軸押出機で330℃、300rpmで混練押出しして得られた無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル
その他
(E−1) ガラス繊維(GF) T−275(日本電気硝子(株)製)
メラミンシアヌレート(MCA) MCA C−0(三菱化学(株)製)
滴下防止剤(PTFE) 6C−J (三井デュポンフロロケミカル(株)製)
【0088】
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成型機にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表1の結果を得た。
[物性試験条件]
(1)難燃性
UL−94 垂直燃焼試験に準拠
(2)押出時のブリード
二軸回転押出機を用いて溶融混練して、得られたストランドを水浴にて冷却する際に水浴上に出る油膜の量を目視により観測し、評価を行う。
【0089】
○:油膜の観測がない
×:油膜が見られる
(3)離型性
規定温度に設定した射出成型機を用いて、長さ128mm×幅12.8mm×厚さ0.79mmの成形試験片を成形し、20ショット成型中にランナー部の型離れが問題なかったものを○、型離れが悪い成型片があったものを△、すべての成型片で型離れが悪かったものを×として、目視により観察し、評価を行った。
【0090】
【表1】
図1