(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の行及び列のそれぞれを識別可能とするように前記複数の行及び列のそれぞれに対応する少なくとも1つの記号を定めた場合に、前記少なくとも2つのウェルのそれぞれに設けられる印が、そのウェルを配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、そのウェルを配置した少なくとも1つの記号とを有している、請求項1に記載のマルチウェルプレート。
前記印が、前記周壁の中心軸線を基準として前記水平方向のうち1つの成分方向の一方寄りに位置する前記開口側周壁端部の一方側区域に配置されている、請求項1又は2に記載のマルチウェルプレート。
前記印が、レーザーマーキングを用いて前記開口側周壁端部の内周面の少なくとも一部を変色又は脱色させた状態で前記開口側周壁端部の内周面に付されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態〜第4実施形態に係るマルチウェルプレートについて以下に説明する。本発明の第1実施形態〜第4実施形態の説明に用いる
図1〜
図9においては、マルチウェルプレートを使用する作業者の近位側を矢印Pによって示し、かつ当該作業者の遠位側を矢印Dによって示す。すなわち、各実施形態においては、作業者が、マルチウェルプレートに対して矢印P側に位置し、さらには、マルチウェルプレートを斜め上方から見た状態でマルチウェルプレートを使用するものとする。しかしながら、本発明はこれに限定されず、作業者は、マルチウェルプレートに対して矢印Pにより示した方向以外の方向に位置した状態でマルチウェルプレートを使用することもあり得る。
【0017】
さらに、各実施形態においては、作業者の目を目標のウェルに対して近位側に約10cm〜約50cm離し、かつ目標のウェルの開口に対して上方に約20cm〜約60cm離した視認状態で、マルチウェルプレートを使用することが考慮されている。かかる視認状態では、作業者の視線の角度は水平方向に対して約45度〜約72度となる。さらに、各実施形態において、作業者が目標のウェルに試料を投入する際には、作業者の目を目標のウェルに対して近位側に約15cm〜約30cm離し、かつ目標のウェルの開口に対して上方に約30cm〜約45cm離した視認状態で、マルチウェルプレートを使用することが考慮されている。かかる視認状態では、作業者の視線の角度は約50度〜約60度となる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、これらの視認状態以外の状態でマルチウェルプレートを使用することもあり得る。
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るマルチウェルプレートについて説明する。
【0019】
[マルチウェルプレートの概略について]
最初に、マルチウェルプレートの概略について説明する。
図1及び
図2に示すように、マルチウェルプレートは、水平方向に沿って配置される頂部1と、水平方向と交差する方向(以下、「交差方向」という)にて頂部1に対向する底部2と、頂部1から底部2に向かって窪むように形成される複数のウェル3とを有している。なお、矢印Pにより示した作業者の近位側は水平方向のうち第1の成分方向の一方側を向き、かつ矢印Dにより示した作業者の遠位側は第1の成分方向の他方側を向くものとして定義する。
図2に示すように、上述した交差方向は、水平方向に対して略直交している。
【0020】
図1及び
図2に示すように、各ウェル3は、水平方向に対して略直交する方向に窪んでいる。また、複数のウェル3は、頂部1の外周縁区域1aによって囲まれている。かかる外周縁区域1aは、少なくとも1つの記号を有する複数の縁印Rを含んでいる。さらに、
図2に示すように、複数のウェル3のすべてが、少なくとも1つの記号を有するウェル印S1をそれぞれ含んでいる。このようなマルチウェルプレートは、プラスチック材料、ガラス材料、金属材料等を用いて作製されると好ましい。一例として、プラスチック材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、PMMA等を含むプラスチック材料とすることができる。本実施形態においては、マルチウェルプレートは実質的に透明となっており、かつ全てのウェル3の色は実質的に同じになっている。
【0021】
再び
図1及び
図2に示すように、マルチウェルプレートの外形、特に、頂部1の外形は、平面視で略四角形状に形成されている。この場合、マルチウェルプレートの外形が、第1の方向に沿った一対の第1の辺と、水平方向のうち第1の方向に対して略直交する第2の方向に沿った一対の第2の辺とを有することとなる。
【0022】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、マルチウェルプレートの概略は次のようになっていてもよい。交差方向は、水平方向に対して略直交せずに、斜めに交差していてもよい。各ウェルが、水平方向に対して斜めな方向に窪んでいてもよい。頂部の外周縁区域が縁印を含まないようにすることもできる。マルチウェルプレートに、頂部の外周縁区域の一部又は全部を設けないようにすることができ、この場合、最外周に位置するウェルのうち一部又は全部をマルチウェルプレートの外周面に沿って配置することができ、さらには、縁印を設けないようにすることもできる。マルチウェルプレートは、複数のウェルのすべてがウェル印をそれぞれ含まなくとも、複数のウェルのうち少なくとも2つがウェル印を含むように構成することができる。
【0023】
また、マルチウェルプレートが実質的に透明以外であってもよく、すなわち、マルチウェルプレートが半透明又は不透明であってもよい。マルチウェルプレートの後述するウェルの底壁を透明とし、かつウェルの底壁以外の部分を不透明とすることもできる。マルチウェルプレートのウェルの底壁を透明とし、かつ後述するウェルの周壁を、光の透過を防止可能とする色、例えば、白色、黒色等とすることもできる。マルチウェルプレートの外形、特に、頂部の外形は、平面視で、略四角形状以外の形状に形成することもできる。また、複数のウェルのうち一部の色と、複数のウェルのうち別の一部の色とを異なるようにすることもできる。
【0024】
[ウェルの詳細について]
次に、ウェル3の詳細について説明する。
図1に示すように、マルチウェルプレートの複数のウェル3は、水平方向にて複数の行及び複数の列に沿った行列の状態で配置されている。かかる行列の配向方向について、複数の行は、第2の方向に沿って延びる直線L1(一点鎖線により示す)上に配置され、かつ複数の列は、第1の方向に沿って延びる直線L2(一点鎖線により示す)上に配置されている。
【0025】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、ウェル3が水平方向にてn個の行及びm個の列を有する行列状態で配置されて、各行にはm個のウェル3が配置され、かつ各列にはn個のウェル3が配置されている。この場合、マルチウェルプレートは(n×m)個のウェル3を有することとなる。なお、n及びmのそれぞれは2以上の整数、特に、3以上の整数であるとよい。例えば、行列状態で配置されるウェルの数は、6個、12個、24個、48個、96個、384個、1536個等とすることができる。特に、多数のウェル間の誤認を防ぐ必要性の観点によれば、行列状態で配置されるウェルの数は、12個、24個、48個、96個、384個、又は1536個であると好ましい。さらに、多数のウェル間の誤認を防ぐ必要性の観点と、ウェル印を視認可能な大きさにできるという観点とによれば、行列状態で配置されるウェルの数は、12個、24個、48個、96個、又は384個であるとより好ましい。各行は、n個の行を互いに識別可能とするように少なくとも1つの記号を付与されており、かつ各列もまた、m個の列を互いに識別可能とするように少なくとも1つの記号を付与されている。
【0026】
一例として、
図1及び
図2においては、96個のウェル3が、8個の行かつ12個の列の行列状態で配置されている。8個の行は、それらを識別可能とするように、それぞれ「A」〜「H」の記号を付与され、かつ12個の列は、それらを識別可能とするように、それぞれ「1」〜「12」の記号を付与されていて、「A」〜「H」の記号及び「1」〜「12」の記号がそれぞれ複数の縁印Rによってマルチウェルプレート上に表記されている。
【0027】
図3及び
図4に示すように、各ウェル3は、頂部1に形成される開口4と、当該開口4の周縁から底部2に向かって延びる周壁5と、交差方向にて開口4に対向する底壁6とを有している。周壁5は開口4と底壁6との間で延びる筒形状に形成されることとなる。
図3に示すように、ウェル3の開口4は略円形状に形成され、かつ周壁5は、開口4に対応した略円形状の横断面を有するように形成されている。
図4に示すように、ウェル3の底壁6は略平坦形状に形成されている。
【0028】
図2〜
図4に示すように、ウェル印S1は、ウェル3の開口4寄りに位置する周壁5の開口側周壁端部7に配置されている。作業者がウェル印S1を視認し易くすることを考慮すると、ウェル印S1はまた、周壁5の中心軸線5a(一点鎖線により示す)を基準として作業者の遠位側に位置する開口側周壁端部7の遠位側区域7aに配置されると好ましい。
【0029】
ウェル3の高さに対する開口側周壁端部7の高さの比率は、作業者が上述の視認状態で開口側周壁端部7に配置したウェル印S1を開口4から見ることができ、かつウェル印S1を配置するスペースが確保できるように定められるとよい。特に、作業者が上述の視認状態で開口側周壁端部7に配置したウェル印S1を開口4から見ることを可能にする観点においては、かかる比率は、約0.5以下であるとよく、特に、約0.4以下であると好ましい。ウェル印S1を配置するスペースを確保するという観点においては、かかる比率は、約0.1以上であるとよく、特に、約0.2以上であると好ましい。ウェル印S1は、このような開口側周壁端部7の高さ方向の範囲内に配置される。マルチウェルプレートが、透明、半透明、又は薄い色である場合には、ウェル印S1の色は、作業者による識別を容易にする観点からは、マルチウェルプレートの色よりも暗くなっていると好ましい。例えば、ウェル印S1の色は、黒色、茶色、紺色、紫色等にすることができる。全てのウェル3に配置されるウェル印S1の色は、実質的に同じになっている。
【0030】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、ウェルの詳細は次のようになっていてもよい。複数のウェルは、行列以外の状態で配置することもできる。例えば、複数の列のうち一部に沿って配置されるウェルの数と、複数の列のうち別の一部に沿って配置されるウェルの数とを異なるようにすることができる。ウェルに関する行列の配向方向については、複数の行の配向方向と複数の列の配向方向とが互いに略直交していれば、複数の行の配向方向を第2の方向以外の方向とし、かつ複数の列の配向方向を第1の方向以外の方向とすることもできる。
【0031】
また、ウェルの開口と周壁の横断面とのうち少なくとも一方を、略円形状以外の形状に形成することもでき、例えば、ウェルの開口と周壁の横断面とのうち少なくとも一方を、略四角形状等の略多角形状とすることができる。ウェルの底壁は略平坦形状以外の形状に形成することができ、例えば、ウェルの底壁は略湾曲形状、略屈曲形状、略円錐形状、略角錐形状等とすることもできる。ウェルの開口部以外の部分に貫通孔が形成されてもよく、例えば、ウェルの底壁の全体又は一部に貫通孔が形成されてもよく、又はウェルの底壁が多孔質状に形成されてもよい。複数のウェルを配置した各行又は各列において、ウェル印を設けたウェルと、ウェル印を設けえないウェルとを交互に配置することができる。ウェル印は、周壁の中心軸線を基準として、水平方向のうち1つの成分方向の一方側に位置する開口側周壁端部の一方側区域に配置されていれば、開口側周壁端部の遠位側区域以外に配置することができる。
【0032】
さらに、マルチウェルプレートが暗い色である場合には、ウェル印の色は、マルチウェルプレートの色よりも明るくすることもできる。この場合もまた、ウェル印の色とマルチウェルプレートの色との明暗差は、作業者によってウェル印を識別可能とするレベルであるとよい。例えば、ウェル印の色は、白色、黄色等にすることができる。複数のウェルのうち一部に配置されるウェル印の色と、複数のウェルのうち別の一部に配置されるウェル印の色とを異なるようにすることもできる。
【0033】
[縁印の詳細について]
縁印Rの詳細について説明する。
図1及び
図2に示すように、縁印Rは、顔料を用いてマルチウェルプレートの頂部1の外周縁区域1aに付されている。複数の縁印Rのうち一部は、ウェル3を配置したn個の行を識別可能とする複数の行識別縁印r1となっており、かつ複数の縁印Rのうち別の一部は、ウェル3を配置したm個の列を識別可能とする複数の列識別縁印r2となっている。各行識別縁印r1は、n個の行を互いに識別可能とするように付与された少なくとも1つの記号を含んでおり、かつ各列識別縁印r2は、m個の行を互いに識別可能とするように付与された少なくとも1つの記号を含んでいる。
【0034】
一例として、
図1及び
図2においては、8個の行識別縁印r1は、8個の行を互いに識別可能とするように、それぞれ「A」〜「H」のアルファベット文字の記号を含んでおり、かつ12個の列識別縁印r2は、12個の行を互いに識別可能とするように、それぞれ「1」〜「12」のアラビア数字の記号を含んでいる。
【0035】
図1に示すように、複数の行識別縁印r1は、それぞれ、n個の行に沿って延びる複数の直線L1上に配置されており、かつ複数の列識別縁印r2は、それぞれ、m個の列に沿って延びる複数の直線L2上に配置されている。複数の行識別縁印r1は、複数のウェル3に対して第2の方向の一方側に位置しており、かつ第1の方向に並んでいる。複数の列識別縁印r2は、複数のウェル3に対して第1の方向の一方側に位置しており、かつ第2の方向に並んでいる。
【0036】
一例として、
図1においては、8個の行識別縁印r1が、それぞれ、8個の行に沿って延びる8個の直線L1上に配置されており、かつ12個の列識別縁印r2は、それぞれ、12個の列に沿って延びる12個の直線L2上に配置されている。8個の行識別縁印r1は、第2の方向のいずれか一方側、特に、作業者から見て96個のウェル3に対して左側に位置している。8個の行識別縁印r1はまた、作業者の遠位側から近位側に向かって、それらの記号を「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」の順に並べるように配置されている。12個の列識別縁印r2は、第1の方向のいずれか一方側、特に、複数のウェル3に対して作業者の遠位側に位置している。12個の列識別縁印r2はまた、作業者から見て左側から右側に向かって、それらの記号を「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」、「11」、「12」の順に並べるように配置されている。
【0037】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、縁印の詳細は次のようになっていてもよい。マルチウェルプレートに縁印を付すことについて、顔料を用いて縁印を少なくとも1枚のシート部材に付し、さらに、このような少なくとも1枚のシート部材をマルチウェルプレートの頂部の外周縁区域に貼り付けることによって、縁印が外周縁区域に設けられてもよい。縁印は、レーザーマーキングを用いて頂部の外周縁区域の少なくとも一部を変色又は脱色させた状態で頂部の外周縁区域に付されてもよい。縁印は、マルチウェルプレートの頂部の外周縁区域に付された刻印となっていてもよい。縁印に含まれる記号について、特に、複数のウェルが行列の状態で配置されていない場合には、かかる少なくとも1つの記号は、上述のようなn個の行又はm個の列を識別可能とする記号でなくとも、アラビア数字、ひら仮名、片仮名、漢字、アルファベット文字、ギリシャ文字、ハングル文字、アラビア文字等の文字、図形等とすることもできる。
【0038】
[ウェル印の記号について]
ウェル印S1の記号について説明する。
図1及び
図2に示すように、各ウェル3に設けられるウェル印S1は、そのウェル3を配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、そのウェル3を配置した列を識別する少なくとも1つの記号とを有する。複数のウェル3のすべてに設けられるウェル印S1が、このような対応関係の記号を有している。
【0039】
各ウェル3に設けられるウェル印S1において、そのウェル3を配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、そのウェル3を配置した列を識別する少なくとも1つの記号とは、周壁5の周方向に並んで配置されている。作業者から見た場合において、行を識別する少なくとも1つの記号は左側に位置し、かつ列を識別する少なくとも1つの記号は右側に位置している。このようなウェル印S1に含まれる記号の数は1個以上かつ4個以下であると好ましい。ウェル印S1の記号に用いられる字体の高さ及び幅の関係については、高さが幅よりも大きくなっており、高さに対する幅の比率が約1.4以上かつ約3以下の範囲内であると好ましい。ウェル印S1の記号の字体はゴシック体であると好ましい。
【0040】
一例として、
図1及び
図2においては、ウェル3に設けられるウェル印S1は、そのウェル3を配置した行を識別する「A」〜「H」の記号のうち1つと、そのウェル3を配置した列を識別する「1」〜「12」の記号のうち1つとを有する。96個のウェル3のすべてに設けられるウェル印S1が、このような対応関係の記号を有している。例えば、
図2及び
図3に示すように、ウェル3が「E」の記号により識別される行と、「7」の記号により識別される列とに位置する場合において、このウェル3のウェル印S1は、「E」の記号と「7」の記号とを含むこととなる。ここでは、ウェル印S1は「E7」と表記されている。
【0041】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、ウェル印の記号は次のようになっていてもよい。複数のウェルのすべてに設けられるウェル印が上記対応関係の記号を有さずとも、複数のウェルのうち少なくとも2つに設けられるウェル印が上記対応関係の記号を有することもできる。特に、複数のウェルが行列の状態で配置されていない場合には、ウェルに設けられる少なくとも1つの記号は、上述のようなn個の行及びm個の列を識別可能とする記号でなくともよく、アラビア数字、ひら仮名、片仮名、漢字、アルファベット文字、ギリシャ文字、ハングル文字、アラビア文字等の文字、図形等であってもよい。
【0042】
また、ウェルを配置した行を識別する少なくとも1つの記号が、作業者から見て右側に配置され、かつウェルを配置した列を識別する少なくとも1つの記号が、作業者から見て左側に配置してもよい。ウェル印について、ウェルを配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、ウェルを配置した列を識別する少なくとも1つの記号とが、周壁の周方向以外の方向に並んで配置されてもよい。例えば、ウェルを配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、ウェルを配置した列を識別する少なくとも1つの記号とが、ウェルの高さ方向に並んで配置されてもよい。
【0043】
さらに、ウェル印の記号に用いられる字体の高さ及び幅の関係については、高さが幅よりも小さくなっていてもよい。さらに、高さに対する幅の比率が約1.4以上かつ約3以下の範囲以外であってもよい。ウェル印に含まれる記号の字体は、ゴシック体以外であってもよく、例えば、明朝体、楷書体、行書体等であってもよい。ウェル印に含まれる記号の数は5個以上とすることもできる。
【0044】
加えて、1つの行を識別するために2つ以上の記号を用いる必要がある場合、及び1つの列を識別するために2つ以上の記号を用いる必要がある場合、必要とされる2つ以上の記号のうち1つの記号のみを表記し、表記された1つの記号の字体を、2つ以上の記号のうち残りの記号を表現するように変化させることができる。例えば、ウェル印の位置する列を「12」と表記する必要がある場合に、「12」のうち「2」のみを表記し、表記した「2」の字体を、太字、黒板太字、合成文字、下線を引いた文字等に変化させることができる。この場合、表記した「2」の色を変化させることもできる。また、表記した「2」の大きさを変化させることもできる。
【0045】
[ウェル印の設置構造について]
ウェル印S1の設置構造について説明する。
図3及び
図4に示すように、ウェル印S1は、顔料を用いて形成され、かつウェル3における開口側周壁端部7の内周面7bに沿って配置されている。具体的には、ウェル印S1は、予め形成されたウェル3の開口側周壁端部7の内周面7bに顔料を用いて付されている。
【0046】
顔料は、開口側周壁端部7の内周面7bに付着可能なものであるとよい。特に、顔料の色素は、水溶性以外の色素のものであると好ましい。一例として、顔料の色素として、水分に応答した色特性の変化を可能とするソルバトクロミック色素等を用いることができ、この場合、試料投入前の色特性を有するウェル印S1を含むウェル3と、試料投入により変化した色特性を有するウェル印S1を含むウェル3とを識別し易くできる。
【0047】
ウェル印S1はまた、実質的に透明なコーティング材料から構成されるコーティング要素8によって覆われている。特に、コーティング材料は樹脂材料であると好ましい。コーティング要素8は、コーティング材料を周壁5の開口側端部7の内周面7bに塗布することによって、内周面7b上に形成されている。
【0048】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、マルチウェルプレートへのウェル印の設置構造は次のようになっていてもよい。ウェル印は、顔料を用いて形成され、かつウェルにおける開口側周壁端部の内周面に沿って配置されていれば、コーティング要素に付すこともできる。コーティング要素を実質的に透明なコーティング材料から作製されたシート部材として、かかるコーティング要素を開口側周壁端部の内周面に貼り付けることもできる。例えば、コーティング要素がシート部材である場合において、ウェル印を、コーティング要素の貼り付け面に顔料を用いて付して、コーティング要素を、その貼り付け面を開口側周壁端部の内周面に当接させるように開口側周壁端部の内周面に貼り付けることができる。コーティング要素を、全てのウェルの内部を含むマルチウェルプレートの頂部側領域の全体又は一部を頂部側から覆うように構成することもできる。この場合、かかるコーティング要素を、マルチウェルプレートの頂部側領域全体又は一部の形状に対応した形状を有する透明な樹脂部材等とすることもできる。3Dプリンタを用いて、ウェル印と一体の状態のウェルを形成することもでき、この場合、ウェル印はコーティング要素によって覆われていなくてもよい。ウェル印を有するウェルが、ウェル印を予め付した材料をウェルの形状に形作ることによって作製されてもよい。
【0049】
以上、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、水平方向に沿って配置される頂部1と、水平方向と交差する方向にて頂部1に対向する底部2と、頂部1から底部2に向かって窪むように形成される複数のウェル3とを備え、複数のウェル3が、水平方向にて複数の行及び複数の列に沿った行列の状態で配置されており、各ウェル3が、頂部1に形成される開口4と、該開口4の周縁から底部2に向かって延びる周壁5とを有し、複数のウェル3のうち少なくとも2つのウェルのそれぞれが、少なくとも1つの記号を有するウェル印S1をさらに含んでおり、かかるウェル印S1が、周壁5の開口側周壁端部7に配置されている。
【0050】
そのため、同じパターンを繰り返すように行列の状態で規則的に配置される複数のウェル3を有するマルチウェルプレートにおいても、実験又は検査の作業者が、目標のウェル3に所定の試料を投入しようとする際に、目標のウェル3自体の開口側周壁端部7に配置されたウェル印S1を容易に視認かつ把握することができる。さらに、作業者は、視線を目標のウェル3自体に位置するウェル印S1に向けたまま、目標のウェル3と別のウェル3とを正確に識別した状態で、所定の試料を目標のウェル3に確実に投入することができる。また、ウェル3内に試料が収容された状態においても、ほとんどの場合、ウェル3の開口側周壁端部7は試料の液面よりも上方に位置するので、作業者は、ウェル3の開口側周壁端部7に配置されたウェル印S1を容易に視認することができる。その結果、誤った試料等の異物がウェル3内の試料に混入することを防止できる。さらに、マルチウェルプレートリーダー等の分析機器によって発せられる光を、ウェル3の底壁6を通過してウェル3内の試料に照射する場合であっても、ウェル印S1がこのような光に干渉することを防止できる。従って、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の精度を向上させることできる。加えて、目標のウェル3を確認する時間を短縮することができるので、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の作業時間を短縮することができる。よって、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の作業性を改善することができる。
【0051】
本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、複数の行及び列のそれぞれを識別可能とするように複数の行及び列のそれぞれに対応する少なくとも1つの記号を定めた場合に、複数のウェル3のうち少なくとも2つのウェルのそれぞれに設けられるウェル印S1が、そのウェル3を配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、そのウェル3を配置した列を識別する少なくとも1つの記号とを有している。そのため、ウェル3を配置した行を識別する少なくとも1つの記号と、ウェル3を配置した列を識別する少なくとも1つの記号とを有するウェル印S1によって、作業者は、視線を目標のウェル3に向けたまま目標のウェル3と別のウェル3とを正確に識別した状態で、所定の試料を目標のウェル3に投入することができる。
【0052】
本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S1が、周壁5の中心軸線5aを基準として、水平方向のうち一成分方向の一方寄りに位置する開口側周壁端部7の一方側区域、特に、遠位側区域7aに配置されている。そのため、作業者が、マルチウェルプレートに対して水平方向のうち一成分方向の他方側、特に、作業者の近位側からマルチウェルプレートを使用する場合、作業者の視線には、ウェル印S1を配置した開口側周壁端部7の一方側区域、特に、遠位側区域7aが入り易くなる。その結果、作業者は、視線を目標のウェル3に安定的に向けたまま目標のウェル3と別のウェル3とを正確に識別した状態で、所定の試料を目標のウェル3に投入することができる。
【0053】
本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S1が、顔料を用いて形成され、かつ開口側周壁端部7の内周面7bに沿って配置されているので、ウェル印S1を視認し易くすることができる。さらに、ウェル印S1が実質的に透明なコーティング要素によって覆われているので、作業者がウェル印S1を視認可能とした状態を維持しながら、ウェル3に投入される試料と接触することを防止でき、さらには、ウェル印S1を形成する顔料が離脱することによってウェル3内の試料に混入することが防止できる。よって、ウェル印S1を形成する顔料等の異物がウェル3内の試料に混入することを防止でき、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の精度を向上させることできる。
【0054】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るマルチウェルプレートについて説明する。本実施形態に係るマルチウェルプレートは、マルチウェルプレートの概略、ウェルの詳細、縁印の詳細、及びウェル印の記号については、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと同様になっている。しかしながら、本実施形態に係るマルチウェルプレートは、ウェル印の設置構造については、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと異なっている。以下、本実施形態に係るマルチウェルプレートにおけるウェル印の設置構造について説明する。
【0055】
[ウェル印の設置構造について]
図5を参照して、ウェル印S2の設置構造について説明する。ウェル印S2は、レーザーマーキングを用いてマルチウェルプレートのウェル3における開口側周壁端部7の内周面7bの少なくとも一部を変色又は脱色した状態でマルチウェルプレートにおける周壁5の開口側周壁端部7の内周面7bに付されている。
【0056】
かかるレーザーマーキングにおいては、レーザービームを照射することによって生ずる熱を用いて、ウェル印S2の形状に対応した化学変化を予め形成された開口側周壁端部7の内周面7bに生じさせ、かかる化学変化に伴って、内周面7bの少なくとも一部の色がウェル印S2の形状に対応して変化し、その結果、ウェル印S2が開口側周壁端部7の内周面7bに付されることとなる。このようにウェル印S2を付されるマルチウェルプレートは、レーザーマーキング可能なプラスチック材料、金属材料等を用いて作製されるとよい。例えば、レーザーマーキング可能なプラスチック材料は、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、PMMA等を含むプラスチック材料、又はレーザー添加剤入りのプラスチック材料であると好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ウェル印を有するウェルが、レーザーマーキングによってウェル印を予め付した材料をウェルの形状に形作ることによって作製されてもよい。
【0057】
以上、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S1の設置構造に基づく作用及び効果を除いて、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと同様の作用及び効果を得ることができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S2が、レーザーマーキングを用いて開口側周壁端部7の内周面7bの少なくとも一部を変色又は脱色した状態で開口側周壁端部7の内周面7bに付されている。そのため、ウェル印S2は、レーザーマーキングによってマルチウェルプレートのプラスチック材料の一部が化学変化したものであるので、ウェル印S2を付したことに起因する異物が発生し難くなっている。よって、ウェル印S2を形成する材料等の異物がウェル3内の試料に混入することを防止でき、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の精度を向上させることできる。
【0059】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係るマルチウェルプレートについて説明する。本実施形態に係るマルチウェルプレートは、マルチウェルプレートの概略、ウェルの詳細、縁印の詳細、及びウェル印の記号については、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと同様になっている。しかしながら、本実施形態に係るマルチウェルプレートは、ウェル印の設置構造については、第3実施形態に係るマルチウェルプレートと異なっている。以下、本実施形態に係るマルチウェルプレートにおけるウェル印の設置構造について説明する。
【0060】
[ウェル印の設置構造について]
図6及び
図7を参照して、ウェル印S3の設置構造について説明する。ウェル印S3が、マルチウェルプレートのウェル3における開口側周壁端部7の内周面7bに付された刻印となっている。ウェル印S3は、開口側周壁端部7の内周面7bから凹むように形成されている。ウェル印S3は、予め形成されたウェル3の一部をレーザーマーカによって削ることによって形成されている。
【0061】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、マルチウェルプレートへのウェル印の設置構造は次のようになっていてもよい。ウェル印は、開口側周壁端部の内周面から突出するように形成されてもよい。マルチウェルプレートが射出成型によって作製される場合、ウェル印は、マルチウェルプレートを作製する金型に設けられるインサートによってウェルと共に形成されてもよい。3Dプリンタを用いて、ウェル印と一体の状態のウェルが形成されてもよい。ウェル印を有するウェルは、ウェル印の刻印を予め形成した材料をウェルの形状に形作ることによって作製されてもよい。
【0062】
以上、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S1の設置構造に基づく作用及び効果を除いて、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと同様の作用及び効果を得ることができる。
【0063】
さらに、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S3が、開口側周壁端部7の内周面7bに付された刻印となっている。そのため、刻印から成るウェル印S3はマルチウェルプレートの材料から構成されるので、ウェル印S3を付したことに起因する異物が発生し難くなっている。よって、ウェル印S3を形成する材料等の異物がウェル3内の試料に混入することを防止でき、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の精度を向上させることできる。
【0064】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係るマルチウェルプレートについて説明する。本実施形態に係るマルチウェルプレートは、マルチウェルプレートの概略、ウェルの詳細、縁印の詳細、及びウェル印の記号については、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと同様になっている。しかしながら、本実施形態に係るマルチウェルプレートは、ウェル印の設置構造については、第4実施形態に係るマルチウェルプレートと異なっている。以下、本実施形態に係るマルチウェルプレートにおけるウェル印の設置構造について説明する。
【0065】
[ウェル印の設置構造について]
図8及び
図9を参照して、ウェル印S4の設置構造について説明する。ウェル印S4が、マルチウェルプレートのウェル3における開口側周壁端部7の外周面7cに隣接している。さらに、作業者が、外周面7cに隣接するウェル印S4を開口側周壁端部7の内周面7b側から視認することができるように、この開口側周壁端部7におけるウェル印S4の配置区域が実質的に透明となっている。
【0066】
なお、ウェル印S4の配置区域は、ウェル印S4の配置位置に対して周壁5の内周側、かつ少なくとも周壁5の周方向におけるウェル印S4の占有範囲であるとよい。具体的には、
図8及び
図9においては、ウェル印S4が、顔料を用いて開口側周壁端部7の外周面7cに付されている。さらには、開口側周壁端部7の全体、特に、ウェル3の全体が実質的に透明になっていると好ましい。
【0067】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、ウェル印の設置構造が次のようになっていてもよい。ウェル印を付した別部材をマルチウェルプレートの開口側周壁端部の外周面に当接又は隣接させるように配置することによって、ウェル印が開口側周壁端部に設けられてもよい。ウェル印は、レーザーマーキングを用いて開口側周壁端部の外周面の少なくとも一部を変色又は脱色させた状態で開口側周壁端部の外周面に付されてもよい。ウェル印は、開口側周壁端部の外周面に付された刻印となっていてもよい。ウェル印を有するウェルが、ウェル印を予め付した材料をウェルの形状に形作ることによって作製されてもよい。3Dプリンタを用いて、ウェル印と一体の状態のウェルを形成してもよい。
【0068】
以上、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S1の設置構造に基づく作用及び効果を除いて、第1実施形態に係るマルチウェルプレートと同様の作用及び効果を得ることができる。
【0069】
さらに、本実施形態に係るマルチウェルプレートによれば、ウェル印S4が、開口側周壁端部7の外周面7cに隣接しており、開口側周壁端部7におけるウェル印S4の配置区域が実質的に透明となっている。そのため、ウェル3に投入される試料とウェル印S4とが、実質的に透明な開口側周壁端部7によって隔てられるので、作業者がウェル印S4を視認可能とした状態を維持しながら、ウェル3に投入される試料とウェル印S4とが互いに接触することを防止できる。さらには、例えば、ウェル印S4が顔料を用いて付される場合であっても、ウェル印S4を形成する顔料が、離脱することによってウェル3内に混入することが防止できる。よって、ウェル印S4を形成する材料等の異物がウェル3内の試料に混入することを防止でき、マルチウェルプレートを用いた実験又は検査の精度を向上させることできる。
【0070】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
実施例1について説明する。実施例1においては、本発明の第1実施形態と同様に構成される2個のマルチウェルプレートを用いて作業を行い、その作業性を確認した。詳細には、各マルチウェルプレートを透明なプラスチック材料から作製し、さらに、各マルチウェルプレートにおいては、96個のウェルを、8個の行かつ12個の列の行列状態で配置して、96個のウェルのそれぞれに設けられるウェル印を、そのウェルを配置した行を識別する「A」〜「H」の記号のうち1つと、そのウェルを配置した列を識別する「1」〜「12」の記号のうち1つとを有するように構成した。
【0072】
ウェル印はまた、周壁の中心軸線を基準として作業者の遠位側に位置する開口側周壁端部の遠位側区域に配置した。ウェル印の各記号については、高さを2.5mmとし、幅を1.5mmとし、色を黒色とし、フォントをゴシック体のヘルベチカとした。さらに、実施例1のマルチウェルプレートにおいては、ウェル印をシート部材の貼り付け面に顔料を用いて付して、かかるシート部材を、その貼り付け面を開口側周壁端部の内周面に当接させるように開口側周壁端部の内周面に貼り付けた。
【0073】
実施例1の作業については、上述した2個のマルチウェルプレートのうち一方(以下、「一方のマルチウェルプレート」という)の全ウェルに試料として水を収容し、このように全ウェルに収容された水を、マイクロピペットを用いて、2個のマルチウェルプレートのうち他方(以下、「他方のマルチウェルプレート」という)の全ウェルに移し替えた。なお、初期状態で水を収容した一方のマルチウェルプレートのウェルと、このウェルから水を移し替える他方のマルチウェルプレートのウェルとは、各マルチウェルプレートにおいて同じ行かつ同じ列に位置するものとした。さらに、実施例1の作業においては、その作業時間と、水を誤ったウェルに移し替える作業ミスの回数とを測定した。このような作業を3回行って、これら3回の作業についての平均作業時間及び平均作業ミス回数を算出した。
【0074】
[比較例1]
比較例1について説明する。比較例1においては、ウェル印を設けない点を除いて、実施例1と同様の2個のマルチウェルプレートを用いて作業を行い、その作業性を確認した。さらに、比較例1においては、実施例1と同様の作業を3回行って、これら3回の作業についての平均作業時間及び平均作業ミス回数を算出した。
【0075】
このような実施例1及び比較例1にて得られた平均作業時間及び平均作業ミス回数を下記表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示すように、比較例1の平均作業時間は341秒であるのに対して、実施例1の平均作業時間は283秒であった。すなわち、実施例1の作業時間は比較例1の作業時間に対して約17%短縮された。そのため、実施例1及び比較例1の対比によれば、作業効率を改善できることが確認できた。さらに、表1に示すように、比較例1の平均作業ミス回数は0.67回であるのに対して、実施例1の平均作業ミス回数は0回であった。そのため、実施例1及び比較例1の対比によれば、作業精度を向上できることが確認できた。
【解決手段】本発明は、水平方向に沿って配置される頂部と、水平方向と交差する方向にて頂部に対向する底部と、頂部から底部に向かって窪むように形成される複数のウェルとを備え、複数のウェルが、水平方向にて複数の行及び複数の列に沿った行列の状態で配置され、各ウェルが、頂部に形成される開口と、該開口の周縁から底部に向かって延びる周壁とを有する、マルチウェルプレートに関する。かかるマルチウェルプレートにおいては、複数のウェルのうち少なくとも2つのウェルのそれぞれが、少なくとも1つの記号を有する印をさらに含んでおり、該印が、開口寄りに位置する周壁の開口側周壁端部に配置されている。