(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のDBG加工の際には、研削により研削屑が生じることになり、分割により形成されたチップ間の隙間や、ウェーハの外周部分において研削屑が残存することになる。
【0007】
そして、糊層を有する保護テープが用いられる場合には、保護テープの糊層に研削屑が付着することになるため、研削中に供給される研削液では充分に研削屑を除去することが難しいことになる。
【0008】
他方、研削によって形成された研削歪を除去するために、特許文献1に開示されるような乾式研磨や、周知のプラズマエッチングといった加工がなされるが、これらの加工に際してウェーハ裏面に気体を供給し、ウェーハ裏面を乾燥させることが想定される。
【0009】
しかしながら、気体の供給によってチップ間の隙間やウェーハの外周部分に残存していた研削屑の一部が舞い上がり、ウェーハの裏面やチップ側面に付着してしまうことが懸念される。
【0010】
さらに、ウェーハの裏面やチップ側面、或いは、チップ間の隙間に研削屑が残存した状態で気体による乾燥がなされると、残存した研削屑が固着してしまうという問題がある。一度乾燥して固着した研削屑は、後に洗浄しても除去することができないことになる。
【0011】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウェーハに研削屑が固着してしまうことを防ぐとともに、ウェーハから研削屑を除去するためのウェーハの加工方法及びウェーハの加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によると、表面の交差する複数の分割予定ラインで区画された各領域にそれぞれデバイスが形成されたウェーハの加工方法であって、ウェーハの表面から分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削して仕上げ厚みに至る深さの切削溝を形成する切削溝形成ステップと、切削溝形成ステップを実施した後、ウェーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、保護部材配設ステップを実施した後、裏面が上面となるようにウェーハを保持テーブル上に保持し、保持テーブルを研削加工領域に配置し、保持テーブルに保持されたウェーハに研削液を供給しつつウェーハの裏面を研削して仕上げ厚みへと薄化するとともに切削溝をウェーハの裏面に露出させることでウェーハを個々のチップへ分割する研削ステップと、研削ステップを実施した後、保持テーブルが
移動されず研削加工領域に配置された状態で、保持テーブルに保持されたウェーハの裏面に気体と液体とからなる混合流体を噴出して研削ステップで形成された研削屑を洗浄する洗浄ステップと、洗浄ステップを実施した後、保持テーブルに保持されたウェーハの裏面に気体を噴出してウェーハの裏面を乾燥させる乾燥ステップと、乾燥ステップを実施した後、ウェーハの裏面を乾式加工して研削ステップでウェーハに生成された研削歪を除去する乾式加工ステップと、を備えたウェーハの加工方法が提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によると、保護部材が配設されたウェーハを保護部材を介して保持する保持テーブルと、保持テーブルを備え、回転することで保持テーブルを研削加工領域または乾式加工領域に位置付けるターンテーブルと、研削加工領域に位置付けられた保持テーブルに保持されたウェーハの裏面を研削する研削ホイールを含む研削手段と、研削手段でウェーハを研削する間、ウェーハに研削液を供給する研削液供給手段と、研削手段に隣接して配設され、研削加工領域に位置付けられた保持テーブルに保持され研削手段で研削されたウェーハの裏面に気体と液体との混合流体を噴出する混合流体噴出手段と、研削手段で研削されて混合流体噴出手段から噴出された混合流体で洗浄されたウェーハのウェーハ裏面に気体を噴出してウェーハの裏面を乾燥させる乾燥手段と、乾燥手段で乾燥され乾式加工領域に位置付けられた保持テーブルに保持されたウェーハの裏面を乾式加工して研削手段による研削でウェーハに生成された研削歪を除去するための乾式加工手段と、を備え、混合流体噴出手段は、パイプ状の部材にて構成され、ウェーハ上方を横断するように略水平に配置された噴出部と、
ウェーハの研削が実施されたときの位置から移動していない該保持テーブルに保持された該ウェーハの上方に噴出部を
横断させるように回動可能に支持する回動支持部と、を有し、噴出部及び回動支持部の内部には、液体供給源と、気体供給源と、に接続された混合流体を流通させる流路を有することを特徴とするウェーハの加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、研削後のウェーハが気体と液体とからなる混合流体によって洗い流されることになり、ウェーハに付着したまま残留せずに確実に除去される。
【0015】
さらに、洗浄によって研削屑が除去された後において、ウェーハに気体が供給されて乾燥がなされるため、研削屑が乾燥してウェーハに固着したまま残留する不具合が防がれる。
【0016】
特に、乾式の研磨パッドを用いて乾式研磨がなされる際には、研削屑や、研削屑に含まれる研削液がウェーハに残存していないため、研削屑や研削液が付着して汚染された研磨パッドでウェーハを加工してしまうことが防がれる。
【0017】
また、乾式の研磨パッドの種類によっては水分が付着することで研磨パッドの製品寿命が縮まることや、破損してしまうおそれがあるが、本発明によれば、研削液が研磨パッドに付着するおそれがないため、研磨パッドの製品寿命が縮まることや破損が防がれる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は加工前の半導体ウェーハ11の斜視図である。
図1に示す半導体ウェーハ11(以下、単に「ウェーハ11」とも表記する)は、例えば厚さが700μmのシリコンウェーハからなっており、表面11aに複数のストリート(分割予定ライン)13が格子状に形成されているとともに、該複数の分割予定ライン13によって区画された各領域にIC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0020】
このように構成されたウェーハ11は、デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を備えている。また、ウェーハ11の外周には、シリコンウェーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチ12が形成されている。
【0021】
以下、このように構成されたウェーハ11に対する本発明の加工方法について、詳細に説明する。まず、
図2に示すように、ウェーハ11の表面11aから分割予定ライン13に沿って切削ブレード22で切削して仕上げ厚みに至る深さの切削溝21を形成する切削溝形成ステップが実施される。
【0022】
本実施形態の切削溝形成ステップでは、スピンドル24の先端に切削ブレード22が装着された切削ユニット20が用いられる。ウェーハ11は図示せぬチャックテーブルによってX軸方向に加工送りされ、回転する切削ブレード22を分割予定ライン13に沿って切り込ませることにより、所定深さの切削溝21が行われる。
【0023】
切削ユニット20は、Y軸方向にインデックス送りされ、
図2においてX軸方向の全ての分割予定ライン13について切削溝21が形成される。その後、ウェーハ11を90度回転させることにより、
図2においてY軸方向の全ての分割予定ライン13についても同様に切削溝21が形成される。
【0024】
切削溝21は、ウェーハ11の表面11aから仕上げ厚みに至る深さとなるように形成されることとし、後述する研削ステップによりウェーハ11の裏面11bが研削されることでチップに分割がされるものとし、これにより、DBG加工が実施されることになる。
【0025】
切削溝形成ステップを実施した後、
図3に示すように、ウェーハ11の表面11aに保護部材30を配設する保護部材配設ステップが実施される。
【0026】
ウェーハ11の表面11aには、切削溝21が井桁状に形成された状態となっており、切削溝21によって区画される各部位にそれぞれデバイス15が配置される。
【0027】
このデバイス15を保護するように、ウェーハ11の表面11aに対して保護部材30が貼着される。保護部材30は、基材32の裏面32aに糊層34が形成されるものであり、基材32の裏面32aをウェーハ11の表面11aに覆い被せると、糊層34により保護部材30がウェーハ11に貼着される。
【0028】
保護部材配設ステップを実施した後、
図4に示すような研削装置2を用い、ウェーハに研削液を供給しつつウェーハの裏面を研削して仕上げ厚みへと薄化するとともに切削溝をウェーハの裏面に露出させることでウェーハを個々のチップへ分割する研削ステップが実施される。
【0029】
図4は、研削装置2の一実施形態について示すものであり、保護部材30が配設されたウェーハ11(
図3)を保護部材30を介して保持する保持テーブル41,41と、保持テーブル41,41で保持されたウェーハ11の裏面を研削する研削ホイール51a,53aを含む研削ユニット(研削手段)51,53と、研削ユニット51,53でウェーハを研削する間、ウェーハに研削液を供給する研削液供給ユニット(研削液供給手段)62a,62bと、研削ユニット51,53に隣接して配設され、研削ユニット51,53で研削されたウェーハの裏面に気体と液体との混合流体からなる洗浄液を噴出する混合流体洗浄液噴出ユニット(混合流体洗浄液噴出手段)64と、研削ユニット51,53で研削されて混合流体洗浄液噴出ユニット64から噴出された混合流体洗浄液で洗浄されたウェーハの裏面に気体を噴出してウェーハの裏面を乾燥させる乾燥ユニット(乾燥手段)66と、乾燥ユニット66で乾燥されたウェーハの裏面を乾式加工して研削ユニット51,53による研削でウェーハに生成された研削歪を除去するための乾式加工ユニット(乾式加工手段)70と、を備えて構成される。
【0030】
研削装置2について詳述すると、ベース81の後部にはコラム82が立設されており、このコラム82に研削ユニット51,53が設けられている。研削ユニット51,53は、コラム82に対し、平面視において斜め方向に移動可能に設けられている。
【0031】
研削ユニット51,53は、モータ51b,53bによって回転駆動される研削ホイール51a,53aを備えている。この研削ホイール51a,53aは、上下移動されるように構成されており、保持テーブル41上に保持されるウェーハの裏面に接触してウェーハを所定の厚さに研削する。
【0032】
ベース81において、研削ユニット53の側部となる位置にはコラム83が立設されており、このコラム83に乾式加工ユニット70が設けられている。
【0033】
乾式加工ユニット70は、モータ71bによって回転駆動される研磨ホイール71aを備えている。この研磨ホイール71aは、上下移動されるように構成されており、保持テーブル41上に保持されるウェーハの裏面に接触して研磨を行い、研削歪を除去する。
【0034】
ベース81上には、ターンテーブル85が水平面内において回転可能に設けられている。ターンテーブル85には、円周方向に90度離間して4個の保持テーブル41,41が備えられており、ターンテーブル85を回転させることで各保持テーブル41,41が、ウェーハ搬入・搬出領域A、粗研削加工領域B、仕上げ研削加工領域C、乾式加工領域D、にそれぞれ位置付けられるようになっている。
【0035】
ベース81上には、研削ユニット51,53における研削加工がなされる際に、ウェーハに対してそれぞれ研削液を供給するための研削液供給ユニット62a,62bが設けられている。研削液供給ユニット62aからは、粗研削加工領域Bに配置された保持テーブル41上のウェーハに対し研削液が供給され、研削液供給ユニット62bからは、仕上げ研削加工領域Cに配置された保持テーブル41上のウェーハに対し研削液が供給される。
【0036】
ベース81上には、研削ユニット51,53で研削されたウェーハの裏面に気体と液体との混合流体からなる洗浄液を噴出する混合流体洗浄液噴出ユニット64が設けられている。本実施形態では、一つの混合流体洗浄液噴出ユニット64を回動させることで、粗研削加工領域Bと仕上げ研削加工領域Cに配置された保持テーブル41について、洗浄液を供給できるようにしている。
【0037】
なお、粗研削加工領域Bと仕上げ研削加工領域Cについて、それぞれ独立して洗浄液を供給するために、二つの混合流体洗浄液噴出ユニットを設けてもよく、また、ベース81上ではなくターンテーブル85上に混合流体洗浄液噴出ユニットを設けることとしてもよい。
【0038】
ベース81上には、混合流体洗浄液噴出ユニット64から噴出された混合流体洗浄液で洗浄されたウェーハの裏面に気体を噴出してウェーハの裏面を乾燥させる乾燥ユニット66が設けられる。乾燥ユニット66からは、乾式加工領域Dに配置された保持テーブル41上のウェーハに対し乾燥した気体が供給される。
【0039】
ベース81の前側となる部分は一段と高くなる様に構成されており、ベース81の前端にカセット載置台90,91が固定されている。カセット載置台90上には研削前のウェーハを収容したカセット92が載置され、カセット載置台91にはカセット93が載置されて研削加工の終了したウェーハがカセット93内に収容される。
【0040】
カセット載置台90,91に隣接してベース81に凹部94が形成されており、この凹部94内にウェーハ搬送ロボット95が収容されている。ベース81の前側部分には更に、複数の位置決めピン97を有する位置決めテーブル96と、ウェーハ搬入機構(ローディングアーム)86と、ウェーハ搬出機構(アンローディングアーム)87と、研削及び研磨されたウェーハを洗浄及びスピン乾燥するスピンナ洗浄装置98が配設されている。
【0041】
以上のように構成した研削装置2を用いて、ウェーハを個々のチップへ分割する研削ステップが実施される。まず、研削前のウェーハを収容したカセット92内には、
図4に示すように、切削溝21が形成された表面11aに対して保護部材30が貼着された状態のウェーハ11が収容されている。
【0042】
カセット92内のウェーハ11は、ウェーハ搬送ロボット95によって位置決めテーブル96に搬送された後、ウェーハ搬入機構86よりウェーハ搬入・搬出領域Aに位置付けられた保持テーブル41上に載置される。この際、ウェーハ11は、その裏面が上側となるように保持テーブル41上にて保持される。
【0043】
次いで、ターンテーブル85を回転させることで、保持テーブル41を粗研削加工領域Bへと位置付けると、
図5及び
図6に示すように、ウェーハ11が研削ユニット51の研削ホイール51aの直下に位置付けられる。
【0044】
そして、保持テーブル41を矢印aで示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール51aを矢印bで示す方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削ホイール51aの下部に設けた研削砥石51cをウェーハ11の裏面11bに接触させる。
【0045】
研削ホイール51aは、所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りされ、ウェーハ11が所定の厚みとなるまで粗研削される。この粗研削の際には、研削液供給ユニット62aからウェーハ11の裏面11bに向けて研削液62cが供給される。
【0046】
なお、粗研削を行う研削ユニット51では、例えば、JIS規格「R6001:研削といし用研磨材の粒度」で規定される#320番以上#400番以下の砥粒を含んだ研削砥石を装着した研削ホイール51aが使用される。
【0047】
この粗研削を実施した後、ターンテーブル85を回転させることで、保持テーブル41を仕上げ研削加工領域Cへと位置付け、
図5に示す粗研削と同様の形態で、研削ユニット53(
図4参照)による仕上げ研削が行われる。この仕上げ研削により、ウェーハ11が仕上げ厚み(例えば100μmの厚み)に研削される。
【0048】
そして、ウェーハ11が仕上げ厚みまで薄化されることにより、切削溝形成ステップにより事前に形成されていた切削溝21がウェーハ11の裏面11b側に現れ、これにより、切削溝21がウェーハ11を貫通して露出することになり、ウェーハ11が個々のチップに分割された状態となる。
【0049】
なお、仕上げ研削を行う研削ユニット53では、例えば、JIS規格「R6001:研削といし用研磨材の粒度」で規定される#1000番以上#2000番以下の砥粒を含んだ研削砥石を装着した研削ホイール53aが使用される。
【0050】
なお、以上に説明した本実施形態では、二つの研削ユニット51,53により、粗研削と仕上げ研削に分けて、段階的に研削加工を実施してウェーハを所定の厚み(仕上げ厚み)まで薄化することとしたが、一つの研削ユニットによって研削加工を実施してウェーハを所定の厚み(仕上げ厚み)まで薄化される実施形態も考えられる。
【0051】
以上のようにして研削ステップを実施した後、
図4及び
図7に示すように、混合流体洗浄液噴出ユニット64を用い、ウェーハ11の裏面11bに気体と液体とからなる混合流体64aを噴出して研削ステップで形成された研削屑を洗浄する洗浄ステップが実施される。
【0052】
洗浄ステップでは、混合流体洗浄液噴出ユニット64が用いられる。混合流体洗浄液噴出ユニット64は、保持テーブル41に保持されたウェーハ11の上方に位置付けられ、ウェーハ11に対して混合流体64aを噴出させるものである。本実施形態の混合流体洗浄液噴出ユニット64は、パイプ状の部材にて構成され、ウェーハ11の上方を横断するように略水平に配置される噴出部64bと、噴出部64bを回動可能に支持する回動支持部64cとを有する構成としている。
【0053】
噴出部64bと回動支持部64cの内部には、混合流体64aを流通させる一連の流路64dが形成されており、この流路64dが液体供給源64eと気体供給源64fに接続されている。
【0054】
液体供給源64eからは、研削ステップにより発生した研削屑25,25の除去を目的とする液体が供給されるものであり、例えば、水が供給されることが考えられる。また、気体供給源64fからは、研削ステップにより発生した研削屑25,25の除去を目的とする気体が供給されるものであり、例えば、粉塵フィルタなどを介して取り込まれた大気(空気)が供給されることが考えられる。
【0055】
液体供給源64eから供給される液体と、気体供給源64fから供給される気体は、混合流体洗浄液噴出ユニット64に至る途中の経路にて混合されて混合流体64aとなり、流路64d内へと供給される。なお、流路64d内において、液体供給源64eからの液体と、気体供給源64fからの気体を混合させることとしてもよい。
【0056】
噴出部64bには、所定の間隔を開けて微小な噴出口を有する噴出ノズル64g,64gが形成されており、流路64d内の混合流体64aが噴出ノズル64g,64gを通じてウェーハ11の裏面11bに対して噴出される。なお、噴出部64bに噴出ノズル64gを設ける代わりに、スリット(線状開口)を設けて、当該スリットから混合流体64aが噴出される構成としてもよい。また、液体、気体、或いは、混合流体64aに超音波振動を付与することで、超音波が付与された混合流体64aが噴出される構成とし、超音波付与による洗浄効果の向上を図ることとしてもよい。超音波振動を付与する装置の設置箇所は、液体供給源64e、気体供給源64f、混合流体洗浄液噴出ユニット64、のいずれか一箇所、或いは、複数箇所が考えられる。
【0057】
また、噴出部64bから噴出される混合流体64aについては、例えば、液体(例えば水)の流量が200ml/min、圧力が0.4MPaに設定されることにより、ウェーハ11に付着する研削屑を確実に洗い流せることとすることが好ましい。なお、この所定の圧力は、混合流体64aの噴出によって分割されたチップが移動しない(ずれない)範囲において、できるだけ高圧とされることが好ましく、適宜設定されるものである。
【0058】
以上のようにして、研削後のウェーハ11が所定の圧力にて噴出される混合流体64aによって洗浄され、ウェーハ11に付着した研削屑25,25がウェーハに付着したまま残留せずに確実に除去される。即ち、単に液体をウェーハ11の表面上を流すだけでは、研削屑25,25がウェーハ11から剥離せずに残留することが懸念され、また、単に気体をウェーハ11の表面上に吹き付けるだけでは、舞い上げられた研削屑25,25が再びウェーハ11上に付着することが懸念されるが、混合流体64aを噴出させてウェーハ11に吹き付けることによる洗浄を行うことによって、液体、気体単独で研削屑25,25を除去する場合に懸念される不具合の解消が図られることになる。また、切削溝21の間の研削屑25,25についても、切削溝21に残留することなく確実に除去することができる。
【0059】
以上の混合流体洗浄液噴出ユニット64によるウェーハ11の洗浄は、研削ユニット51による粗研削の後、研削ユニット53による仕上げ研削の後のいずれか一方、或いは、両方において行われることが考えられる。好ましくは、研削ユニット53による仕上げ研削の後には、必ず実施されることが好ましい。
【0060】
また、本実施形態の混合流体洗浄液噴出ユニット64では、回動支持部64cを中心として噴出部64bを回動させることにより、粗研削加工領域B、仕上げ研削加工領域Cについて択一的に洗浄が可能なものとしたが、粗研削加工領域Bと仕上げ研削加工領域Cのそれぞれの領域において単独で洗浄を行うための混合流体洗浄液噴出ユニットを設けることとしてもよい。
【0061】
以上のようにして洗浄ステップを実施した後、
図8に示すように、ウェーハ11の裏面11bに気体を噴出してウェーハ11の裏面11bを乾燥させる乾燥ステップが実施される。
【0062】
乾燥ステップでは、乾燥ユニット66が用いられる。乾燥ユニット66は、乾式加工領域D(
図4)に配置された保持テーブル41上のウェーハに対し乾燥した気体を供給するためのものである。本実施形態の乾燥ユニット66は、パイプ状の部材にて構成され、ウェーハ11の上方を横断するように略水平に配置される噴出部66bと、噴出部66bを回動可能に支持する回動支持部66cとを有する構成としている。
【0063】
噴出部66bと回動支持部66cの内部には、乾燥用気体66aを流通させる一連の流路66dが形成されており、この流路66dが図示せぬ気体供給源に接続されている。ここで用いられる乾燥用気体66aについては、特に限定されるものではないが、大気(空気)を所定の湿度以下に乾燥させたものを使用することが間がえられる。また、流路66dを上述した気体供給源64fに接続し、気体供給源64fから乾燥用気体66aが供給されることとしてもよい。
【0064】
噴出部66bには、所定の間隔を開けて微小な噴出口を有する噴出ノズル66g,66gが形成されており、流路66d内の乾燥用気体66aが噴出ノズル66g,66gを通じてウェーハ11の裏面11bに対して噴出される。なお、噴出部66bに噴出ノズル66gを設ける代わりに、スリット(線状開口)を設けて、当該スリットから乾燥用気体66aが噴出される構成としてもよい。
【0065】
以上のようにして、混合流体64aによって洗浄された後のウェーハ11の裏面11bが、乾燥用気体66aによって乾燥されることになる。この乾燥は、洗浄によって研削屑が除去された後において行われるため、研削屑が乾燥してウェーハに固着したまま残留する不具合が防がれる。
【0066】
次いで、以上の乾燥ステップを実施した後、
図9に示すように、ウェーハ11の裏面11bを乾式加工して研削ステップでウェーハ11に生成された研削歪を除去する乾式加工ステップが実施される。
【0067】
本実施形態では、乾式加工ユニット70により、乾式加工ステップが実施される。上述の乾燥ステップが実施された段階で、乾式加工ユニット70の直下となる乾式加工領域D(
図4)に、裏面11bが乾燥されたウェーハ11が保持テーブル41に保持された状態とされている。
【0068】
そして、保持テーブル41を矢印aで示す方向に例えば100rpmで回転しつつ、研磨ホイール71aを矢印bで示す方向に例えば1600rpmで回転させるとともに、研磨ホイール71aの下部に設けた研磨パッド71cをウェーハ11の裏面11bに所定の圧力(例えば、300N)で押圧して研磨する。
【0069】
このように研磨を行うことによって、ウェーハ11に生成された研削歪を除去することができ、分割して形成された個々のチップ11C,11Cの抗折強度を向上させることができる。
【0070】
そして、本実施形態では、乾式の研磨パッドを用いて乾式研磨がなされることとしている。即ち、研磨液を用いることなく、研磨が実施されることとしている。このような乾式研磨がなされる場合であっても、上述した洗浄ステップにより研削屑が除去され、さらに、その後の乾燥ステップによりウェーハ11の裏面11bを乾燥させて研削液が残存していないため、研削屑や研削液が付着して汚染された研磨パッドでウェーハを加工してしまうことが防がれる。
【0071】
さらに、乾式の研磨パッドの種類によっては水分が付着することで研磨パッドの製品寿命が縮まることや、破損してしまうおそれがあるが、以上の実施形態によれば、研削液が研磨パッドに付着するおそれがないため、研磨パッドの製品寿命が縮まることや破損が防がれる。
【0072】
以上に説明した乾式加工ステップは、研磨パッドを用いる乾式加工ユニット70(
図4)による乾式研磨を実施するほか、
図10に示すように、プラズマエッチングユニット75を用い、周知のプラズマエッチングによって研削歪の除去を行うこととしてもよい。
【0073】
このプラズマエッチングによる乾式加工ステップの実施によれば、洗浄ステップにおいて万一チップ間に研削屑が残存するような場合であっても、この研削屑をエッチングによって除去することができ、また、研削歪の除去による抗折強度の向上が図られる。
【0074】
図10に示すプラズマエッチングユニット75は、乾式加工手段の一実施形態であり、例えば、乾式加工領域Dに位置付けられた保持テーブル41上のウェーハ11を上方に吊り上げて装置内に収容してプラズマエッチングを施すとともに、プラズマエッチングを実施した後に保持テーブル41上にウェーハ11を戻す構成にて実現される。
【0075】
なお、以上に説明した乾式加工手段の実施形態である研磨パッドを用いる乾式加工ユニット70(
図4)、プラズマエッチングユニット75(
図10)は、研削装置2に搭載して、研削装置2と一体的に備えられる構成とするほか、研削装置2に併設して配置される構成(いわゆるインラインの形態での設置)としてもよい。