(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記複フッ化物蛍光体の粒径が、体積累計50%の粒径D50が2μm以上300μm以下であり、体積累計90%の粒径D90が50μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1記載の赤色ランプ。
更に、赤色光が照射される光路上に、上記青色LEDから発光して上記複フッ化物蛍光体に吸収されずに赤色発光部材を通過した青色光の、赤色ランプの光照射方向前方への照射を抑制するフィルター部材を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の赤色ランプ。
上記青色LEDが、赤色ランプの照射光軸に沿った赤色光の進行方向が、青色LEDの発光光軸上の青色光の進行方向とは異なる方向となるように配設され、少なくとも上記青色LEDの発光光軸上の青色光の進行方向前方に、上記赤色発光部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の赤色ランプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、車両用リアランプ、ストップランプ等の赤色灯火装置は、点灯のための光源、光源部を覆うカバー部材、反射板、レンズ、光拡散部材、デザイン用部材などで構成され、方向指示器などと一体化していることも多い。光源としては、通常、電球が用いられるが、近年では赤色LEDを光源とするものも使用されるようになっている。
【0007】
光源部を覆うカバー部材は、通常、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂でできており、光源部の保護、光の拡散、集光等のレンズとしての機能、デザイン性など、目的に応じて様々な形状に成形されて使用されている。特に、テールライトカバー等のカバー部材には、赤色の他に無色又は白色のテールライトカバーや、レンズ部のみが着色しているユーロテールと呼ばれるものがある。また、反射板には、コーナーキューブを用いたものが多く使用されており、反射板は、後方車両のヘッドライトに照らされると光を反射して赤く光り、夜間の駐停車時など点灯していないときにも注意を促す機能も有している。
【0008】
これらの車両用灯火装置については、種々の提案がなされ、様々なものが使用されているが、リアランプ及びストップランプの基本的な機能は、後方車両等への注意喚起であり、前照灯やブレーキと連動して、電球や赤色LEDが発光し、光源から出た白色光や赤色光などを、カバー部材、反射板、レンズ、光拡散部材を用いて、車両後方に照射することである。
【0009】
その場合、ランプから照射される光は、基本的に電球やLEDから発光したものであり、電球を使用する場合には、白色に近い色の発光が一般的であるため、樹脂などで形成された赤色のフィルター部材などを通し、電球からの発光の一部をカットして赤色光にするなどの色調整が行われていることが多い。この場合、赤色のフィルター部材を透過しない光は灯火装置外に出ないため、この方法での光エネルギーの利用効率が低い原因となっている。
【0010】
また、赤色LEDを使用する場合には、光源として使用される赤色LED1つの光量が比較的少ないことに起因して、一般に多数の赤色LEDを使う必要があり、コスト上、好ましくない。更に、赤色LED光源は発光の指向性が高く、発光正面方向(車両後方)のみに高い視認性を発揮して、ランプの側方での視認性に劣るという問題点もある。発光方向を変えた複数の赤色LEDを実装したり、樹脂やガラスなどの透明性の高いレンズによって赤色LEDからの光を散乱させたりといった工夫がなされているが、複数の赤色LEDを配置することはコスト面で好ましくない上、ランプの配置を工夫しても、各方向で視認性が均質な赤色光を得ることが難しく、樹脂やガラスなどの透明性の高いレンズによって赤色LEDからの光を散乱させる方法では、各方向、特に横方向での高い視認性を確保することは難しい。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低コスト、高効率であり、ランプ正面(ランプの光軸方向)はもとより、ランプの側方(ランプの光軸から外れた方向)においても視認性の高い赤色ランプ、及びこれを備える、赤色リアランプ、赤色ストップランプなどに適した車両用灯火装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、車両用灯火装置として特に要求される照射光の各方向からの良好な視認性を与える赤色ランプとして、光源として青色光を発光する青色LEDを用い、青色LEDから発光した青色光を吸収して赤色成分を含む光を発する複フッ化物蛍光体を用いて、青色光を赤色光に変換して照射光を得る方式を採用した。そして、青色光が照射される位置、特に青色LEDの発光方向前方に、樹脂と、青色光を吸収して赤色成分を含む光を発する複フッ化物蛍光体とを含む赤色発光部材を設け、赤色発光部材に分散させた複フッ化物蛍光体からの赤色光をランプから照射することにより、ランプ正面及びランプの側方の双方において、均質な視認性を与え、なおかつ高効率で、発光の強い赤色ランプとなることを見出し、本発明をなすに至った。
【0013】
従って、本発明は、下記の赤色ランプ及び車両用灯火装置を提供する。
請求項1:
光源として青色光を発光する青色LEDと、青色光が照射される赤色発光部材とを含み、該赤色発光部材が、
ポリプロピレン及びアクリル樹脂から選ばれる1種類以上の熱可塑性樹脂と、青色光を吸収して赤色成分を含む光を発する複フッ化物蛍光体とを含み、該複フッ化物蛍光体が、下記式(2)
K
2(Si
1-xMn
x)F
6 (2)
(式中、xは0.001以上0.3以下である。)
で表されるマンガンで賦活された複フッ化物塩であることを特徴とする赤色ランプ。
請求項
2:
上記複フッ化物蛍光体の粒径が、体積累計50%の粒径D50が2μm以上300μm以下であり、体積累計90%の粒径D90が50μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項
1記載の赤色ランプ。
請求項
3:
上記赤色発光部材の上記熱可塑性樹脂に対する上記複フッ化物蛍光体の割合が1質量%以上60質量%以下であることを特徴とする請求項1
又は2記載の赤色ランプ。
請求項
4:
更に、赤色光が照射される光路上に、カラーフィルター部材を備えることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項記載の赤色ランプ。
請求項
5:
上記カラーフィルター部材が、青色光を遮断する機能を有することを特徴とする請求項
4記載の赤色ランプ。
請求項
6:
上記カラーフィルター部材が、樹脂に、青色光を遮断する機能を有する有機顔料又は無機顔料を混合してなることを特徴とする請求項
5記載の赤色ランプ。
請求項
7:
更に、赤色光が照射される光路上に、上記青色LEDから発光して上記複フッ化物蛍光体に吸収されずに赤色発光部材を通過した青色光の、赤色ランプの光照射方向前方への照射を抑制するフィルター部材を備えることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項記載の赤色ランプ。
請求項
8:
上記青色LEDが、赤色ランプの照射光軸に沿った赤色光の進行方向が、青色LEDの発光光軸上の青色光の進行方向とは異なる方向となるように配設され、少なくとも上記青色LEDの発光光軸上の青色光の進行方向前方に、上記赤色発光部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項記載の赤色ランプ。
請求項
9:
上記赤色発光部材の有効部厚みが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項記載の赤色ランプ。
請求項
10:
請求項1乃至
9のいずれか1項記載の赤色ランプを備えることを特徴とする車両用灯火装置。
請求項
11:
赤色リアランプ又は赤色ストップランプであることを特徴とする請求項
10記載の車両用灯火装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の赤色ランプは、高効率で、発光が強く、ランプ正面及びランプの側方の双方において、良好な視認性を与え、赤色リアランプ、赤色ストップランプなどの車両用灯火装置用として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の赤色ランプは、光源として青色光を発光する青色LEDと、青色光が照射される赤色発光部材とを含む。本発明では、赤色LEDよりも高出力な青色LEDを光源として用いる。
【0017】
光源となる青色LEDには、中心波長が波長420nm以上490nm以下の範囲内にある光を発するものが好適に用いられる。青色LEDのサイズ、パワー、数量については、赤色ランプとしての光量、視認性、注意喚起の機能、デザイン性などを考慮して、必要なものを適宜選択し、発光部となる素子を1個有する青色LED又は発光部となる素子を複数個有する青色LEDを、1個で又は複数個組み合わせて用いることができ、市販品を用いてよいが、特に、車両用のリアランプ、ストップランプなどの車両用灯火装置に用いる赤色ランプでは、高出力な青色LEDが好ましい。使用する青色LEDの電力としては、個々の青色LED当たり0.5W以上、特に1W以上のものを用い、1つの赤色ランプ当たり、トータル1W以上、特に2W以上であることが好ましい。電力の上限は、特に限定されるものではないが、個々の青色LED当たり、通常2W以下、1つの赤色ランプ当たり、通常10W以下である。複数個の青色LEDを組み合わせて用いる場合、1つの赤色ランプ当たり、2個以上、特に2〜8個の青色LEDを用いることが好ましい。
【0018】
本発明の赤色ランプでは、青色光が照射される位置、特に青色LEDの発光方向前方に赤色発光部材が設けられる。この赤色発光部材は、主成分として、樹脂と、青色光を吸収して赤色成分を含む光を発する複フッ化物蛍光体とを含む。本発明の赤色ランプでは、青色LEDから発光した青色光は、赤色発光部材に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収されて、赤色成分、特に、波長が600nm以上660nm以下の範囲内の赤色成分を含む光、好ましくは赤色光、特に、波長が600nm以上660nm以下の範囲内に発光の最大強度を有する赤色光に変換される。
【0019】
赤色発光部材を構成する樹脂としては
、複フッ化物蛍光体の分散の制御のし易さ、赤色発光部材とした際の寸法安定性の点で、熱可塑性樹脂
を用いる。また、任意形状に後加工がしやすい点からも熱可塑性樹脂
を用いる。更に、熱可塑性樹脂を用いた場合、赤色発光部材が、振動や衝撃による割れに強く、耐衝撃、耐振動性に優れており、また、耐候性にも優れることから、車両用の部材として、特に好適なものとなる。
【0020】
熱可塑性樹脂としては
、ポリプロピレン
、アクリル樹脂
が用いられる
。これらの樹脂は、発光した赤色成分を最大限利用する点から、着色せずに、透明又は白色で用いることが好ましい。
【0021】
本発明の赤色ランプでは、赤色発光部材を構成する樹脂に混合される発光成分(赤色発光物質)として、青色光、特に波長420nm以上490nm以下の青色光を吸収して赤色成分、特に、波長が600nm以上660nm以下の範囲内の赤色成分を含む光、好ましくは赤色光、特に、波長が600nm以上660nm以下の範囲内に発光の最大強度を有する赤色光を発光する複フッ化物蛍光体を用いる。この複フッ化物蛍光体としては、ケイフッ化アルカリ、ゲルマニウムフッ化アルカリ、チタンフッ化アルカリ(これらのアルカリとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。以下のアルカリにおいて同じ。)が好ましく、中でもケイフッ化ナトリウム複塩、ケイフッ化カリウム複塩等のケイフッ化アルカリ複塩、ゲルマニウムフッ化ナトリウム複塩、ゲルマニウムフッ化カリウム複塩等のゲルマニウムフッ化アルカリ複塩、チタンフッ化ナトリウム複塩、チタンフッ化カリウム複塩等のチタンフッ化アルカリ複塩がより好ましく、特に、ケイフッ化アルカリ複塩が好ましい。
【0022】
更に、複フッ化物蛍光体としては、マンガンで賦活された複フッ化物塩が好ましい。具体的には、下記式(1)
M
2(A
1-xMn
x)F
6 (1)
(式中、MはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる1種類以上の元素、AはSi、Ge及びTiから選ばれる1種類以上の元素、xは0.001以上0.3以下である。)
で表される複フッ化物塩が好ましく、下記式(2)
K
2(Si
1-xMn
x)F
6 (2)
(式中、xは上記と同じ。)
で表される複フッ化物塩が、特に好ましい。複フッ化物蛍光体中の賦活剤であるマンガンは、上記式(1)中のAの部位を置換して賦活剤として作用する。A元素に対する置換割合は、式(1)及び(2)中のxが0.001以上0.3以下、特に0.01以上0.05以下である。式(1)中のA元素、又は式(2)中のSiに対するMnの置換割合が0.001よりも低い場合は、複フッ化物塩の青色光の吸収率が低く、赤色発光の能力が劣ってしまう。一方、Mnの置換割合が0.3よりも高い場合は、複フッ化物塩の発光効率が下がることで、赤色光の発光効率が低下してしまう。
【0023】
本発明においては、赤色発光物質として、赤色発光部材の青色光に対する吸収率が0.3〜1.0、特に0.6〜0.9となる蛍光体を用いることが好ましい。赤色発光物質として使用される複フッ化物蛍光体、特に、上記式(1)又は(2)で示されるマンガン賦活複フッ化物塩は、青色光に対する吸収率が高すぎず、また低すぎず適度であるという特徴がある。そのため、発光源である青色LEDから発光した青色光を、赤色発光部材の表面部(青色光の入射側)の複フッ化物蛍光体が青色光の大部分を吸収してしまって、青色光が赤色発光部材の内部及び背面部に届かないという状態が生じ難く、適度に赤色発光部材の内部及び背面部まで青色光が達するように調整しやすい。即ち、本発明の複フッ化物蛍光体は、赤色発光部材中に分散する赤色発光物質全体を、発光に寄与させることができ、効率的である。
【0024】
本発明の複フッ化物蛍光体は、公知の方法で製造することができるが、粒子状で樹脂に混合して赤色発光部材とするため、本発明の複フッ化物蛍光体は、青色光をほとんど吸収せずに、赤色発光部材を透過してしまうようなことがない適度な粒度とすることが必要である。複フッ化物蛍光体の粒径としては、粒度分布における体積累計50%の粒径D50が好ましくは2μm以上であり、より好ましくは5μm以上である。加えて、体積累計90%の粒径D90が好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは50〜500μmである。D50値が2μm未満の場合、青色LEDからの励起光に対して吸収・変換よりも散乱する割合が大きくなり過ぎる場合がある。なお、D50値の最大値については明確な制限はないが、D90値との関係から300μm以下が好ましい。また、D90値が1000μm超では、樹脂と混合する際などに、分散不良等の不都合が生じるおそれがある。
【0025】
なお、本発明における粒径の測定方法は、例えば気流中に粉末原料を分散し、レーザー回折散乱法により測定して得られる値を参照することが、粒度分布の評価までできるため好ましい。
【0026】
本発明の赤色発光部材には、樹脂に赤色発光物質である複フッ化物蛍光体を混合して成形した成形体が用いられる。成形は、圧縮成形、押出成形、射出成形等の公知の成形方法が適用でき、粒状、棒状、フィルム状、薄板状等の任意の形状で、適当な大きさに、赤色ランプの使用目的、形状や、赤色光の照射態様に合わせて成形したものを用いることができる。
【0027】
本発明の赤色発光部材の有効部厚みは0.5mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に3mm以下であることが好ましい。赤色発光部材の有効部厚みが0.5mm未満では、励起光である青色光の吸収が不十分である場合があり、10mmを超えると、赤色成分の赤色発光部材内部での吸収などによる消失に起因した発光低下が起こる場合がある。なお、この有効部厚みとは、青色光を吸収する部位の厚みを意味する。
【0028】
樹脂と複フッ化物蛍光体との混合比率は、複フッ化物蛍光体に含まれる賦活剤の割合(マンガンで賦活された複フッ化物塩の場合はマンガン(Mn)の割合)、赤色発光部材の形状、大きさ、厚み、青色LEDと赤色発光部材との配置などに応じて異なるが、樹脂に対する複フッ化物蛍光体の割合が、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以上40質量%以下である。上記範囲未満の場合は、赤色発光部材の大きさにもよるが、青色LEDから発光する青色光の吸収率が低く、赤色発光が不足する場合がある。一方、上記範囲を超える場合は、樹脂に対する複フッ化物蛍光体の混合割合が高すぎて、赤色発光部材としての強度が不足する場合がある。
【0029】
赤色発光部材には発光成分である複フッ化物蛍光体以外に、赤色発光部材全体を、より均一に発光させるために、赤色成分を吸収しないシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機化合物の粉末を分散添加してもよい。また、本発明の赤色発光部材は、耐候性を高める目的で、使用する熱可塑性樹脂よりも耐候性の高い別の透明材料で部材表面を被覆してもよい。
【0030】
次に、本発明の赤色ランプの具体的な構造の例を、図を示して説明する。
図1は、本発明の赤色ランプの一例(第1の態様)を示す図である。この赤色ランプ1は、略半楕円球形状の基材(リフレクタ)10と、赤色ランプ1の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材10の内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する3つの素子(発光部)111を有する1つの青色LED11(なお、素子及び青色LEDの数は、限定されるものではない。以下の態様において同じ。)と、青色LED11に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ1の前方側に設けられた平板状の赤色発光部材12と、赤色発光部材12に対して、赤色ランプ1の赤色光の照射方向の更に前方に設けられた平板状の保護カバー13とを備える。
【0031】
青色LED11から発光した青色光は、直接又はランプ内面(基材10の内面)などで反射されて赤色発光部材12に入射する。赤色発光部材12に入射した青色光は、赤色発光部材12に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分(赤色光)に変換される。赤色発光部材12から発光した赤色成分は、直接又はランプ内面などで反射されて、赤色ランプ1の前方に照射される。
【0032】
このような態様の場合、本発明の赤色発光部材を構成する樹脂及び複フッ化物蛍光体が、赤色成分の吸収率が低いという特徴を有するので、赤色発光部材12から発光して、基材(リフレクタ)10側に放射され、基材10で反射された赤色成分が、再び赤色発光部材12に入射しても、赤色発光部材12にあまり吸収されない。そのため、このような態様の場合、赤色成分が効率よく赤色発光部材を透過して、赤色ランプの前方側に赤色光が照射されるという利点があり、赤色成分の取り出しに特に有利である。
【0033】
図2は、本発明の赤色ランプの一例(第2の態様)を示す図である。この赤色ランプ2は、略半楕円球形状の基材(リフレクタ)20と、赤色ランプ2の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材20の内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する3つの素子(発光部)211を有する1つの青色LED21と、青色LED21に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ2の前方側(赤色光の照射方向)に、青色LED21から発光した青色光を取り囲むように設けられたドーム状又は略半楕円球形状の赤色発光部材22と、赤色発光部材22に対して、赤色ランプ2の赤色光の照射方向の更に前方に設けられた平板状の保護カバー23とを備える。
【0034】
青色LED21から発光した青色光は、赤色発光部材22に入射し、赤色発光部材22に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分(赤色光)に変換される。変換された赤色成分は直接又は基材(リフレクタ)20により反射されて赤色ランプ2の前方側に照射される。
【0035】
このような態様の場合、青色光の発光部が、従来の白熱電球、ハロゲン電球、HIDランプ又は赤色LEDを光源に用いた赤色ランプと類似しているので、従来の赤色ランプのデザインを大きく変えることなく適用できる利点がある。また、従来の白熱電球、ハロゲン電球、HIDランプ又は赤色LEDを光源に用いた赤色ランプよりも効率よく、色純度が高く(赤色度が高く)、かつ高強度の赤色光を照射することができるため、従来よりも省エネルギー性に優れている。
【0036】
図3は、本発明の赤色ランプの一例(第3の態様)を示す図である。この赤色ランプ3は、略半楕円球形状の基材(リフレクタ)30と、赤色ランプ3の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材30内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する3つの素子(発光部)311を有する2つの青色LED31,31と、青色LED31に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ3の前方側(赤色光の照射方向)に設けられた断面円弧形状の板状の赤色発光部材32と、赤色発光部材32に対して、赤色ランプ3の赤色光の照射方向の更に前方に設けられた断面円弧形状の板状の保護カバー33とを備える。
【0037】
青色LED31から発光した青色光は、直接又はランプ内面(基材30の内面)などで反射されて赤色発光部材32に入射する。赤色発光部材32に入射した青色光は、赤色発光部材32に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分(赤色光)に変換される。赤色発光部材32から発光した赤色成分は、直接又はランプ内面などで反射されて、赤色ランプ3の前方に照射される。
【0038】
このような態様の場合、赤色発光部材32が断面円弧形状に形成されているので、赤色ランプ3の前方側のいずれの方向からも、特に優れた視認性を得ることができる。
【0039】
図4は、本発明の赤色ランプの一例(第4の態様)を示す図である。この赤色ランプ4は、有底円筒形状の基材(リフレクタ)40と、赤色ランプ4の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材40の底板内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する6つの素子(発光部)411を有する1つの青色LED41と、青色LED41に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ4の前方側(赤色光の照射方向)に設けられた断面円弧形状の板状の赤色発光部材42と、赤色発光部材42に対して、赤色ランプ4の赤色光の照射方向の更に前方に、赤色発光部材42から発光した赤色成分(赤色光)及び赤色発光部材42を透過した赤色成分が通過するように、赤色発光部材42の赤色ランプ4の前方側を覆って設けられた断面円弧形状の板状の赤色フィルター部材43を備える。
【0040】
青色LED41から発光した青色光は、直接又はランプ内面(基材40の内面)などで反射されて赤色発光部材42に入射する。赤色発光部材42に入射した青色光は、赤色発光部材42に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分に変換される。赤色発光部材42から発光した赤色成分は、直接又はランプ内面などで反射されて、赤色ランプ4の前方に照射される。
【0041】
このような態様の赤色ランプでは、フィルター部材が、赤色光が照射される光路上に、青色LEDから発光して複フッ化物蛍光体に吸収されずに赤色発光部材を通過した青色光の、赤色ランプの光照射方向前方への照射を抑制するように設けられている。特に、このフィルター部材は、青色LEDから発光した青色光が赤色発光部材へ直接入射する光路上以外の位置に設けられる。
【0042】
青色LEDから発光した青色光は赤色発光部材により赤色成分に変換されるが、青色LEDから発光した青色光の一部は、赤色発光部材で変換されずに通り抜ける可能性がある。このような態様の場合、赤色発光部材42から発光した赤色成分及び赤色発光部材42を透過した赤色成分が通過するように赤色フィルター部材43を設けているので、青色光の赤色ランプ4の前方側への照射が抑制され、色純度のより良い赤色光が得られる。なお、赤色フィルター部材には、保護カバーとしての機能をもたせてもよい。
【0043】
図5は、本発明の赤色ランプの一例(第5の態様)を示す図である。この赤色ランプ5は、略半楕円球形状の基材(リフレクタ)50と、赤色ランプ5の前方側(赤色光の照射方向)の基材50の内面上に設けられ、赤色ランプの後方側(赤色光の照射方向と反対方向)に青色光を発光する1つの素子(発光部)511を有する1つの青色LED51と、青色LED51に対して、赤色ランプ5の後方側に設けられ、基材50の内面の形状に合わせて形成された略半楕円球形状の板状の赤色発光部材52と、青色LED51に対して、赤色ランプ5の赤色光の照射方向の更に前方に設けられた断面円弧形状の板状の保護カバー53とを備える。
【0044】
青色LED51から発光した青色光は、直接赤色発光部材52に入射又は赤色発光部材52を通過してランプ内面(基材50の内面)で反射されて赤色発光部材52に再入射し、赤色発光部材52に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分(赤色光)に変換される。変換された赤色成分は直接又は基材(リフレクタ)50により反射されて赤色ランプ5の前方側に照射される(
図5中の矢印方向は、その一例である。)。
【0045】
このような態様の赤色ランプでは、青色LEDが、赤色ランプの照射光軸に沿った赤色光の進行方向が、青色LEDの発光光軸(
図5中の一点鎖線)上の青色光の進行方向とは異なる方向となるように配設されている。特に、
図5の赤色ランプの場合、青色LEDの発光光軸に沿った青色光の進行方向が、赤色ランプの照射方向後方側に向くようになっている。また、赤色発光部材は、少なくとも青色LEDの発光光軸上の青色光の進行方向前方に設けられる。
【0046】
図6は、本発明の赤色ランプの一例(第6の態様)を示す図である。この赤色ランプ6は、有底円筒形状の基材(リフレクタ)60と、赤色ランプ6の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材60の底板内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する6つの素子(発光部)611を有する1つの青色LED61と、青色LED61に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ6の前方側(赤色光の照射方向)に近接して設けられ、青色LED61の発光方向に、6つの素子(発光部)に対応した6つの陥没部621を有するブロック形状の赤色発光部材62と、赤色発光部材62に対して、赤色ランプ6の赤色光の照射方向の更に前方に設けられた断面円弧形状の板状の保護カバー63とを備える。
【0047】
青色LED61から発光した青色光は、その大部分が、直接、赤色発光部材62に入射する。赤色発光部材62に入射した青色光は、赤色発光部材62に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分(赤色光)に変換される。赤色発光部材62から発光した赤色成分は、直接又はランプ内面などで反射されて、赤色ランプ6の前方に照射される。
【0048】
このような態様の赤色ランプは、赤色発光部材がブロック形状をしており、また、青色LED61の各々の素子611が、赤色発光部材62の対応する陥没部621内に配置され、赤色発光部材が青色LEDから発光した青色光を覆う構造をしていることから、青色LEDから発光した青色光が、赤色発光部材以外の部分に入射することがほとんどなく、青色LEDから発光した青色光は、そのほとんどが、赤色発光部材に直接入射する。また、赤色発光部材はブロック形状をしているため、強度が高く、破損、劣化に強い。
【0049】
図7は、本発明の赤色ランプの一例(第7の態様)を示す図である。この赤色ランプ7は、平板状の基材(リフレクタ)70と、赤色ランプ7の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材70の内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する3つの素子(発光部)711を有する1つの青色LED71と、青色LED71に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ7の前方側に、青色LED71の発光光軸に平行して、各々の素子(発光部)711間及びそれらの両端側に設けられた平板状の4つの赤色発光部材72と、赤色発光部材72に対して、赤色ランプ7の赤色光の照射方向の更に前方に設けられたドーム状の保護カバー73とを備える。
【0050】
青色LED71から発光した青色光は、直接又はランプ内面(基材70の内面)などで反射されて赤色発光部材72に入射する。赤色発光部材72に入射した青色光は、赤色発光部材72に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分(赤色光)に変換される。赤色発光部材72から発光した赤色成分は、直接又はランプ内面などで反射されて、赤色ランプ7の前方に照射される。
【0051】
このような態様の赤色ランプでは、板状や棒状に成形した赤色発光部材が、青色LEDの発光光軸に対して平行な方向に複数個配設される。この場合、青色LEDから発光した青色光の一部は、赤色ランプの前方側に照射されるが、残部は、赤色発光部材に入射して赤色成分に変換されて照射される。また、赤色発光部材に反射された又は透過した青色光は、他の赤色発光部材に入射して、赤色成分に変換されて照射される。このような態様の赤色ランプは、青色光の一部を赤色成分に混合して利用する場合に好適である。
【0052】
保護カバーは、いずれの場合も、赤色ランプの前方向に照射された赤色光に対し、車両後方等の赤色光の照射方向前方側からの視認性の更なる向上や、照度の向上、デザイン性、内部保護などの点から設けられる。また、保護カバーは、レンズ部材、光拡散部材としての機能をもたせてもよく、赤色、白色、透明に形成することができる。更に、赤色光が照射される光路上に、カラーフィルター部材を設けてもよく、保護カバーに、カラーフィルター部材としての機能をもたせてもよい。カラーフィルター部材として具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂に、有機顔料又は無機顔料を混合したものが挙げられる。なかでも、青色光を遮断する機能を有する有機顔料又は無機顔料を用いることが好ましく、この場合、カラーフィルター部材を設けることにより励起光源の青色光が遮断されることで、色純度の良い発光が得られる。
【0053】
赤色ランプの前方側に照射される赤色光の強さは、素子(発光部)の数、青色LEDの数、電流値などによって適宜設定することができ、リアランプとして作動させる場合と、ストップランプとして作動させる場合とで、赤色光の強さを変えたい場合でも、点灯させる青色LEDの数、電流値などを変えることなどで、適宜変更できる。
【0054】
また、青色LEDから発光した光を効率的に使用するために、青色LEDに対して、赤色ランプの後方側及び/又は側方側に、反射鏡や反射板を設けてもよい。また、これらの反射鏡や反射板は、赤色発光部材から発光した赤色成分を、赤色ランプの光の照射方向に効率的に照射させるように設置することもできる。
【0055】
本発明の赤色ランプにおいては、赤色光の発光面の色純度を向上させる目的で、赤色光以外の光を反射又は吸収し、赤色光を透過する透光性カバーで赤色ランプを覆ってもよい。これは、励起光である青色光の一部は、赤色発光部材で吸収されずに赤色ランプの外側に出てくることがあり、発光色が赤色光から変動することを防止するためである。このような透光性カバーとしては、青色光を反射又は吸収し、赤色光を透過するもの、例えばオレンジ色の透光性樹脂で形成した透光性カバーなどがよい。
【0056】
本発明の赤色ランプの構造は、青色LED及び赤色発光部材を備え、赤色発光部材から発光した赤色成分を、効率的に赤色ランプの前方側に照射できるものであればよく、上記態様に制限されるものではない。
【0057】
従来のリアランプ、ストップランプでは、光源として、白熱ランプ、ハロゲンランプ、HIDランプ、赤色LEDなどが使用され、これらのランプからの光は、光源からの光及び反射板から反射された光を、光拡散部材やレンズなどにより光の方向を変えて、視認性を高める工夫を行なったり、複数のランプを別々の方向に向けたりして視認性を高める工夫を行なっている。しかし、前者の場合は、光拡散部材やレンズだけでは、視認性の均一化には限界があり、明るく見える方向と暗くみえる方向ができてしまうという欠点がある。また、後者の場合は、赤色LEDの数が増えすぎることで消費電力の増大を生じるという欠点がある。
【0058】
これに対して、本発明の赤色ランプに使用される赤色発光部材では、蛍光体が赤色ランプから放出する光は、蛍光体が青色光を一旦吸収した後に発する光であり、全方向に発光し、発光に指向性はない。そのため、適切な形状に成形した赤色発光部材を本発明の赤色ランプに使用することで、点灯時の視認性がいずれの方向でも高く、視認性が均一な赤色ランプを得ることができる。また、本発明の赤色発光部材は青色光を高効率に赤色成分に変換して利用するため、従来よりも消費電力を低減できるという利点がある。
【0059】
また、赤色発光部材に含まれる複フッ化物蛍光体は、青色光の吸収率が高すぎず適当であることから、青色光が、赤色発光部材の表面近傍で全て吸収されずに、赤色発光部材の内部まで到達する。そのため、赤色発光部材を、全体としてほぼ均一に発光させられるという利点がある。この利点により、任意の形状に成形した本発明の赤色発光部材は、その全体を単一の光源のように扱うことができ、単一の光源を有する赤色リアランプ、赤色ストップランプ等の車両用灯火装置としての設計が可能である。
【0060】
従って、赤色リアランプ、赤色ストップランプ等の車両用灯火装置として、従来適用されてきたような、点光源を用いた設計に縛られることなく、線光源、面光源を始め、立体光源のような多彩な形状の赤色ランプの設計も可能になり、従来よりも、赤色リアランプ、赤色ストップランプ等の車両用灯火装置のデザインの自由度が高くなり、新規デザイン、斬新なデザインを採用することが可能となる。
【実施例】
【0061】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0062】
[実施例1]
図8に示される赤色ランプを製作した。
図8は、本発明の赤色ランプの一例(第8の態様)を示す図である。この赤色ランプ8は、横断面四角形の有底筒形状の基材(リフレクタ)80と、赤色ランプ8の後方側(赤色光の照射方向と反対方向)の基材80の底板内面上に設けられ、赤色ランプの前方側(赤色光の照射方向)に青色光を発光する青色LED81と、青色LED81に対して、その青色光の発光方向に対向して、赤色ランプ8の前方側(赤色光の照射方向)に設けられた平板状の赤色発光部材82と、赤色発光部材82に対して、赤色ランプ8の赤色光の照射方向の更に前方に、赤色発光部材82から発光した赤色成分(赤色光)及び赤色発光部材82を透過した赤色成分が通過するように、赤色発光部材82の赤色ランプ8の前方側を覆って設けられた平板状の板状の保護カバー(オレンジ色透明樹脂カバー)83を備える。
【0063】
青色LED81から発光した青色光は、直接又はランプ内面(基材80の内面)などで反射されて赤色発光部材82に入射する。赤色発光部材82に入射した青色光は、赤色発光部材82に含まれる複フッ化物蛍光体に吸収され、赤色成分に変換される。赤色発光部材82から発光した赤色成分は、直接又はランプ内面などで反射されて、赤色ランプ8の前方に照射される(
図8中の矢印方向は、その一例である。)。
【0064】
青色LEDは、出力1Wのものを2個配置した。赤色発光物質として、K
2(Si
0.97Mn
0.03)F
6で示される複フッ化物塩(粒度:体積累計D50=22μm、D90=80μm)をポリプロピレンに対して10質量%含有する混合物を、厚さ1mm、縦40mm、横60mmの大きさに成形して赤色発光部材とした。この赤色発光部材を青色LEDの前面20mmの距離に青色LEDの光軸(
図8中の一点鎖線)に垂直になるように配置した。また、赤色発光部材の外側にオレンジ色の樹脂製の透明フィルターをカバー兼用として配置した。ランプ基材部は白色のポリエチレンで製作した。
【0065】
この赤色ランプについて、色度、正面方向及び横方向の輝度及び視認性について確認した。この発光の色度はC.I.E.色度座標上でx:0.68、y:0.30と赤色ランプとして良好な色相であった。また、正面方向及び横方向の輝度について測定を行なった。赤色ランプの照射光軸を0°として、0〜70°の範囲で輝度を測定した結果を、照射光軸0°の輝度の相対強度として表1に示す。この赤色ランプは正面方向と横方向の間の輝度の変化量が小さく、広い範囲での視認性が良好であった。更に、300m離れた距離からの昼間及び夜間での視認性確認を行なった。結果を表2に示す。いずれの時間帯においても正面方向の視認性は良好であった。視認性については、赤色ランプの照射光軸に対して斜め45°方向からの視認性も確認したところ、正面方向と変わらず良好であった。
【0066】
[実施例2]
赤色発光物質として、K
2(Ti
0.97Mn
0.03)F
6で示される複フッ化物塩(粒度:体積累計D50=25μm、D90=85μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして赤色ランプを製作した。
【0067】
この赤色ランプの発光スペクトルを
図9に示す。また、この赤色ランプについて、色度、正面方向及び横方向の輝度及び視認性について確認した。この発光の色度はC.I.E.色度座標上でx:0.69、y:0.30と赤色ランプとして良好な色相であった。また、正面方向及び横方向の輝度について測定を行なった。赤色ランプの照射光軸を0°として、0〜70°の範囲で輝度を測定した結果を、照射光軸0°の輝度の相対強度として表1に示す。この赤色ランプは正面方向と横方向の間の輝度の変化量が小さく、広い範囲での視認性が良好であった。更に、300m離れた距離からの昼間及び夜間での視認性確認を行なった。結果を表2に示す。いずれの時間帯においても正面方向の視認性は良好であった。視認性については、赤色ランプの照射光軸に対して斜め45°方向からの視認性も確認したところ、正面方向と変わらず良好であった。
【0068】
[比較例1]
図10に示される赤色ランプを製作した。この赤色ランプ9は、
図8に示される赤色ランプに対し、光源として白色LED(Cree社製CR−E)91を用い、赤色発光部材を用いず、厚さ2mmの赤色透明アクリル板をフィルター部材93として用いたことが異なる。なお、
図10中、90は基材(リフレクタ)である。白色LEDは、出力1Wのものを2個配置した。
【0069】
この赤色ランプについて、色度、正面方向及び横方向の輝度及び視認性について確認した。この発光の色度はC.I.E.色度座標上でx:0.66、y:0.32と赤色ランプとして良好な色相であった。また、正面方向及び横方向の輝度について測定を行なった。赤色ランプの照射光軸を0°として、0〜70°の範囲で輝度を測定した結果を、照射光軸0°の輝度の相対強度として表1に示す。この赤色ランプは、照射光軸方向の輝度は実施例2の概ね1.1倍であったが、照射光軸からずれた横方向、特に照射光軸から50°以上傾いた斜め方向の輝度が低く、発光が極めて見難かった。また、発光はLED部分に限局した点状であり、強いぎらつきが認められた。更に、300m離れた距離からの昼間及び夜間での視認性確認を行なった。結果を表2に示す。正面方向の視認性は昼間曇天及び夜間晴天において良好であったものの、昼間晴天及び夜間雨天の正面方向の視認性及び赤色ランプの照射光軸に対して斜め45°方向からの視認性は、いずれの時間帯においても劣っていた。
【0070】
[比較例2]
図10に示される赤色ランプを製作した。この赤色ランプ9は、
図8に示される赤色ランプに対し、光源として赤色LED(日亜化学工業株式会社製NS6R083T)91を用い、赤色発光部材を用いず、保護カバーとして、厚さ2mmの無色の透明樹脂カバー93を用いたことが異なる。赤色LEDは、出力0.5Wのものを4個配置した。
【0071】
この赤色ランプの発光スペクトルを
図11に示す。また、この赤色ランプについて、色度、正面方向及び横方向の輝度及び視認性について確認した。この発光の色度はC.I.E.色度座標上でx:0.70、y:0.30と赤色ランプとして良好な色相であった。また、正面方向及び横方向の輝度について測定を行なった。赤色ランプの照射光軸を0°として、0〜70°の範囲で輝度を測定した結果を、照射光軸0°の輝度の相対強度として表1に示す。この赤色ランプは、照射光軸方向の輝度は実施例1の概ね2倍であったが、照射光軸からずれた横方向、特に照射光軸から40°以上傾いた斜め方向の輝度が低く、発光が極めて見難かった。また、発光はLED部分に限局した点状であり、強いぎらつきが認められた。更に、300m離れた距離からの昼間及び夜間での視認性確認を行なった。結果を表2に示す。正面方向の視認性は昼間晴天、昼間曇天及び夜間晴天において良好であったものの、夜間雨天の正面方向の視認性及び赤色ランプの照射光軸に対して斜め45°方向からの視認性は、いずれの時間帯においても劣っていた。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】