(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、電源電圧を受けて前記電圧生成部への前記電源電圧の供給又は遮断を為す電源スイッチを含み、前記電源スイッチがオン状態にある場合には前記イネーブル指示を示す前記制御信号を生成する一方、前記電源スイッチがオフ状態にある場合には前記ディスエーブル指示を示す前記制御信号を生成することを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、半導体メモリの内部構成を示す図である。
【0011】
かかる半導体メモリは、メモリ制御部1、メモリセルアレイ2、センスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5を備える。
【0012】
メモリ制御部1は、書込信号WRに応じて、アドレスデータにて示される番地に情報データを書き込ませるべく、メモリセルアレイ2を制御する。又、メモリ制御部1は、読出信号RDに応じて、アドレスデータにて示される番地から情報データを読み出すべく、メモリセルアレイ2を制御すると共に、各モジュールの動作を活性化させるべき論理レベル1のイネーブル信号CEをセンスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5の各々に供給する。尚、メモリ制御部1は、情報データの読み出し動作が為されない期間中は、各モジュールを非活性状態にして、その動作を停止させるべき論理レベル0のイネーブル信号CEをセンスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5の各々に供給する。
【0013】
センスアンプ3は、論理レベル0のイネーブル信号CEが供給されている間は非活性状態となる一方、論理レベル1のイネーブル信号CEが供給されている間は活性状態となる。この活性状態にある間に限り、センスアンプ3は、メモリセルアレイ2のメモリセル(図示せぬ)各々に接続されているデータ線(図示せぬ)に流れる電流を検出し、その電流値がリファレンス電圧V
refにて示される閾値よりも高いか否かを判定する。センスアンプ3は、上記の如く検出された電流値がリファレンス電圧V
refにて示される閾値よりも高い場合には論理レベル1、低い場合には論理レベル0の情報データを読出データとして出力する。
【0014】
メモリセルアレイ2は、書込信号WRに応じて、外部供給された情報データをセンスアンプ3を介して取り込み、これをアドレスデータによって示される番地に属するメモリセル(図示せぬ)に書き込む。又、メモリセルアレイ2は、読出信号RDに応じて、アドレスデータによって示される番地のメモリセルに記憶されているデータに対応した電流を、データ線を介してセンスアンプ3に送出する。
【0015】
リファレンスアンプ4は、論理レベル0のイネーブル信号CEが供給されている間は非活性状態となる一方、論理レベル1のイネーブル信号CEが供給されている間は活性状態となる。リファレンスアンプ4は、上記の如き非活性状態から活性状態に遷移したときに電源電圧に基づき所定の閾電圧値V
Rを有するリファレンス電圧V
refの生成を開始し、活性状態にある間に亘りリファレンス電圧V
refをリファレンス電圧供給ラインRLを介してセンスアンプ3に供給する。尚、リファレンス電圧V
refの閾電圧値V
Rとは、前述した如く、センスアンプ3において、メモリセルアレイ2のデータ線に送出された電流値が論理レベル0及び1の内のどちらを示すのかを判定する為の閾値である。
【0016】
図2は、かかるリファレンスアンプ4の内部構成を示す図である。
【0017】
図2に示すように、リファレンスアンプ4は、差動アンプ21、pチャネルMOS型のFETであるトランジスタ22、nチャネルMOS型のFETであるトランジスタ22、及びインバータ24を備える。差動アンプ21は、上記閾電圧値V
Rとリファレンス電圧供給ラインRL上の電圧との電圧差に対応した差分信号をトランジスタ22のゲート端子に供給する。トランジスタ22のドレイン端子には電圧VCCが印加されており、そのソース端子がリファレンス電圧供給ラインRLに接続されている。トランジスタ23のソース端子には接地電位VSSが印加されており、そのドレイン端子がリファレンス電圧供給ラインRLに接続されている。トランジスタ23は、電圧VCCに基づき、上記差分信号に対応した出力電圧、つまり閾電圧値V
Rを有する出力電圧を生成し、これをリファレンス電圧V
refとしてリファレンス電圧供給ラインRLに送出する。トランジスタ23のゲート端子には、インバータ24によってイネーブル信号CEの論理レベルが反転された反転イネーブル信号が供給される。
【0018】
かかる構成により、リファレンスアンプ4は、論理レベル1のイネーブル信号CEが供給されている間はトランジスタ23がオフ状態になることから、活性化状態となり、上記した閾電圧値V
Rを有する出力電圧を生成し、これをリファレンス電圧V
refとしてリファレンス電圧供給ラインRLに送出する。しかしながら、イネーブル信号CEの論理レベルが1から0に遷移すると、トランジスタ23がオン状態に切り替わることから、このトランジスタ23を介して接地電位VSSがリファレンス電圧供給ラインRLに印加される。よって、この間、リファレンス電圧供給ラインRLは接地電位VSSに対応した0ボルトの状態に維持される。すなわち、リファレンスアンプ4は、リファレンス電圧V
refの生成を行わない状態、いわゆる非活性状態となる。ここで、イネーブル信号CEの論理レベルが0から1に遷移すると、トランジスタ23がオン状態からオフ状態に切り替わるので、リファレンスアンプ4は、上記した如き活性状態に遷移する。この際、非活性状態から活性状態への切り替わり直前の段階では、リファレンス電圧供給ラインRLは0ボルトになっているので、トランジスタ23がオン状態からオフ状態に切り替わった直後から、RL上の電圧が徐々に上昇して閾電圧値V
Rに到ることになる。
【0019】
高速立上駆動回路5は、イネーブル信号CEが論理レベル0から論理レベル1の状態に切り替わった直後に、所定期間だけ電圧VCCをリファレンス電圧供給ラインRL上に印加することにより、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部を生成する。
【0020】
図3は、かかる高速立上駆動回路5の内部構成の一例を示す図である。
【0021】
図3に示すように、高速立上駆動回路5は、pチャネルMOS型のFETであるトランジスタQ1及びQ3と、nチャネルMOS型のFETであるトランジスタQ2及びQ4と、インバータIV1とを備える。尚、これらトランジスタQ2、Q4、Q1及びQ3の各々は、エンハンスメント形のFETである。
【0022】
トランジスタQ1のゲート端子には上記イネーブル信号CEが供給されている。トランジスタQ1のソース端子には電圧VCCが印加されており、そのドレイン端子はラインENを介してトランジスタQ2のドレイン端子及びトランジスタQ4のゲート端子各々に接続されている。トランジスタQ2のソース端子には接地電位VSSが印加されており、そのゲート端子が、トランジスタQ4のソース端子及びリファレンス電圧供給ラインRLに夫々接続されている。
【0023】
以下に、
図1に示される半導体メモリの動作について
図4を参照しつつ説明する。
【0024】
メモリ制御部1は、読出信号RDが供給されていない場合、つまり情報データの読み出し動作が為されない期間中は、各モジュールを非活性状態にしてその動作を停止させるべき論理レベル0のイネーブル信号CEをセンスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5の各々に供給する。この間、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5は非活性状態にあるので、リファレンス電圧供給ラインRL上のリファレンス電圧V
refは、
図4に示す如く0ボルトである。つまり、論理レベル0のイネーブル信号CEに応じて、高速立上駆動回路5のトランジスタQ1はオン状態、Q3はオフ状態となり、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が0ボルトであることからQ2はオフ状態にある。この際、トランジスタQ1がオン状態、Q2がオフ状態にあることから、高速立上駆動回路5におけるラインEN上の電圧は電圧VCCに対応した高電圧となり、トランジスタQ4はオン状態となる。しかしながら、トランジスタQ3がオフ状態にあることから、高速立上駆動回路5はリファレンス電圧供給ラインRLに対して電圧印加を行わない。また、イネーブル信号CEが論理レベル0の状態にある間は、リファレンスアンプ4も動作が為されないので、リファレンス電圧供給ラインRLに対する電圧印加は為されない。よって、この間、リファレンス電圧供給ラインRL上のリファレンス電圧V
refは
図4に示す如く0ボルトとなる。
【0025】
このように、
図1に示される半導体メモリでは、読み出しアクセスが為されていない期間中は、センスアンプ3のみならず、リファレンスアンプ4の動作も強制的に停止させるようにしたので、消費電力を低減させることができる。
【0026】
その後、読出信号RDが供給されると、メモリ制御部1は、各モジュールを活性化させるべき論理レベル1のイネーブル信号CEをセンスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5の各々に供給する。イネーブル信号CEが論理レベル1の状態に遷移すると、リファレンスアンプ4は、電源電圧に基づき所定の閾電圧値V
Rを有するリファレンス電圧V
refの生成を開始して、その電圧をリファレンス電圧供給ラインRL上に印加する。この際、リファレンスアンプ4単独では、
図4の一点鎖線に示す形態で、0ボルトの状態から徐々にその電圧が上昇して閾電圧値V
Rに到る立ち上げ波形を有するリファレンス電圧V
refがリファレンス電圧供給ラインRL上に印加される。
【0027】
また、イネーブル信号CEが論理レベル1の状態に遷移すると、高速立上駆動回路5のトランジスタQ3がオン状態に遷移し、このトランジスタQ3及びQ4を介して電圧VCCがリファレンス電圧供給ラインRLに印加される。よって、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧は、
図4の実線にて示す如く0ボルトの状態から急峻に上昇する。そして、
図4に示す如く、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が高速立上駆動回路5のトランジスタQ2のゲート閾電圧値V
N1を超えると、このトランジスタQ2がオン状態に遷移する。これにより、接地電位VSSがリファレンス電圧供給ラインRLに印加されることになるので、
図4に示すように、ラインEN上の電位は徐々に低下して行く。この際、
図4に示す如きラインEN上の電位と、リファレンス電圧供給ラインRL上の電位との電位差V
Qが、トランジスタQ4の閾電圧値以下になると、このトランジスタQ4がオフ状態に遷移し、リファレンス電圧供給ラインRL上での電圧上昇が停止する。このリファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が0ボルトの状態から上昇して停止するまでの期間tsにおいて、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部が生成される。
【0028】
上記した如く、
図3に示す高速立上駆動回路5では、イネーブル信号が論理レベル0から1に遷移した直後、期間tsの間だけトランジスタQ3及びQ4を共にオン状態にして電圧VCCを強制的にリファレンス電圧供給ラインRLに印加することにより、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部を生成するようにしている。これにより、高速立上駆動回路5を用いずにリファレンスアンプ4単独で、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧を上昇させる場合(
図4中において一点鎖線にて示す)に比して、急峻にリファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が上昇する。尚、かかる電圧立ち上がり部では、
図4に示す如く、一時的に閾電圧値V
Rよりも高い電圧値になってしまうというオーバーシュートが発生する。その後、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧は徐々に低下するが、その直後にセンスアンプ3が動作を開始すると、動作開始時のスイッチングノイズの影響により、
図4に示す如く、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が再び上昇してオーバーシュートの状態が継続する。その後、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧は徐々に低下して、目標となる閾電圧値V
Rに収束して行く。
【0029】
従って、
図4に示す如くイネーブル信号の論理レベルが0から1へ切り替わった時点から、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が閾電圧値V
Rに到るまでの収束期間TQの経過後、センスアンプ3は、この閾電圧値V
Rを有するリファレンス電圧V
refに基づき読出データの論理レベル判定を行うことが可能となる。すなわち、イネーブル信号の論理レベルが0から1へ切り替わった時点から収束期間TQの経過後、メモリセルアレイ2に記憶されている情報データの読み出しを行うことができるようになるのである。
【0030】
よって、高速立上駆動回路5によれば、
図4に示すように、高速立上駆動回路5を用いずにリファレンスアンプ4単独でリファレンス電圧V
refの生成を開始させる場合(
図4のて一点鎖線にて示す)に比して、リファレンス電圧V
refの電圧値を迅速に、0ボルトの状態から目標となる閾電圧値V
Rに到らせることができる。
【0031】
よって、センスアンプ3及びリファレンスアンプ4を非活性状態から活性状態に遷移させた後、直ちに情報データの読み出しを行うことが可能となる。
【0032】
この際、高速立上駆動回路5は、
図3に示すように4つのトランジスタQ1、Q3、Q2及びQ4と、1つのインバータIV1だけで構成されている。よって、回路規模を大幅に増大させることなく、低消費電力にて高速なデータ読み出しを行うことが可能となる。
【0033】
尚、高速立上駆動回路5において、
図4に示す如き電圧立ち上がり部でのオーバーシュトをなくすことにより、更に高速な読み出しアクセスを行うことが可能となる。
【0034】
図5は、かかる点に鑑みて為された高速立上駆動回路5の他の内部構成を示す図である。
【0035】
図5に示す高速立上駆動回路5では、
図3に示すトランジスタQ4とリファレンス電圧供給ラインRLとの間にnチャネルMOS型のFETであるトランジスタQ5を付加した点を除く他の構成は、
図3に示すものと同一である。
【0036】
図5において、トランジスタQ5のソース端子はリファレンス電圧供給ラインRLに接続されており、そのドレイン端子はトランジスタQ4のソース端子と接続されている。トランジスタQ5のゲート端子には、所定の正極性の電圧値Vddが供給されている。
【0037】
以下に、
図5に示す構成を有する高速立上駆動回路5によるリファレンス電圧V
refの電圧立ち上げ部の生成動作について
図6を参照しつつ説明する。
【0038】
先ず、論理レベル0のイネーブル信号CEが供給されている間は、
図3に示す構成を採用した場合と同様に、高速立上駆動回路5のトランジスタQ1及びQ4がオン状態、Q3及びQ2が夫々オフ状態となるので、高速立上駆動回路5はリファレンス電圧供給ラインRLに対して電圧印加を行わない。また、イネーブル信号CEが論理レベル0の状態にある間は、リファレンスアンプ4も動作が為されないので、リファレンス電圧供給ラインRLに対する電圧印加は為されない。よって、この間、リファレンス電圧供給ラインRL上のリファレンス電圧V
refは
図6に示す如く0ボルトとなる。
【0039】
その後、読出信号RDが供給されると、メモリ制御部1は、各モジュールを活性化させるべき論理レベル1のイネーブル信号CEをセンスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5の各々に供給する。イネーブル信号CEが論理レベル1の状態に遷移すると、リファレンスアンプ4は、電源電圧に基づき所定の閾電圧値V
Rを有するリファレンス電圧V
refの生成を開始して、その電圧をリファレンス電圧供給ラインRL上に印加する。この際、リファレンスアンプ4単独では、
図6の一点鎖線に示す形態で、0ボルトの状態から徐々にその電圧が上昇して閾電圧値V
Rに到る立ち上げ波形を有するリファレンス電圧V
refがリファレンス電圧供給ラインRL上に印加される。
【0040】
そして、イネーブル信号CEが論理レベル1の状態に遷移すると、高速立上駆動回路5のトランジスタQ3がオン状態に遷移し、このトランジスタQ3及びQ4を介して電圧VCCがリファレンス電圧供給ラインRLに印加される。よって、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧は、
図6の実線にて示す如く0ボルトの状態から急峻に上昇し、かかる電圧上昇に伴いトランジスタQ5のソース・ドレイン間電圧が減少して行く。すると、トランジスタQ5が線形領域で動作するようになり、このトランジスタQ5に流れ込むドレイン電流が急激に減少する。よって、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部での時間経過に伴う電圧上昇は、例えば
図6に示す時点t以降緩やかになる。そして、
図6に示す如く、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が高速立上駆動回路5のトランジスタQ2のゲート閾電圧値V
N1を超えると、このトランジスタQ2がオン状態に遷移する。これにより、接地電位VSSがリファレンス電圧供給ラインRLに印加されることになるので、
図6に示すように、ラインEN上の電位は徐々に低下して行く。この際、
図6に示す如きラインEN上の電位と、リファレンス電圧供給ラインRL上の電位との電位差V
Qが、トランジスタQ4の閾値電圧以下になると、このトランジスタQ4がオフ状態に遷移し、リファレンス電圧供給ラインRL上での電圧上昇が停止する。このリファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が0ボルトの状態から上昇して停止するまでの期間tsにおいて、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部が生成される。
【0041】
上記した如き駆動によれば、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部において、
図4に示す如き、目標となる閾電圧値V
Rを大幅に増加してしまうようなオーバーシュートが回避される。更に、電圧立ち上がり部での時間経過に伴う電圧上昇が時点t以降緩やかになることから、その後、センスアンプ3が動作を開始しても、その動作開始時のスイッチングノイズに伴う電圧上昇を回避させることが可能となる。よって、電圧立ち上がり部での時間経過に伴う電圧上昇が時点t以降、緩やかになるものの、上記した如きオーバーシュートが生じない分だけ、
図6に示す如く、その電圧値が迅速に閾電圧値V
Rに収束するようになる。その結果、イネーブル信号の論理レベルが0から1へ切り替わった時点から、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が閾電圧値V
Rに到るまでの収束期間TQは、
図4に示す如きオーバーシュートが発生する場合に比して短くなる。
【0042】
すなわち、高速立上駆動回路5として
図5に示す構成を採用した場合には、
図3に示す構成を採用した場合に比して高速に、情報データの読み出しを行うことが可能となるのである。
【0043】
尚、
図5に示すトランジスタQ5として、エンハンスメント形のFETに代わり、デプレッション形のFETを採用するようにしても良い。
【0044】
図7は、かかる点に鑑みて為された高速立上駆動回路5の内部構成の他の一例を示す図である。
【0045】
図7に示す高速立上駆動回路5では、
図5に示すエンハンスメント形のトランジスタQ5に代わりデプレッション形のnチャネルMOSFETとしてのトランジスタQ6を採用した点を除く他の構成は、
図5に示すものと同一である。
【0046】
図7において、トランジスタQ6のソース端子はリファレンス電圧供給ラインRLに接続されており、そのドレイン端子はトランジスタQ4のソース端子と接続されている。トランジスタQ6のゲート端子には、接地電位VSSが固定供給されている。
【0047】
以下に、
図7に示す構成を有する高速立上駆動回路5によるリファレンス電圧V
refの電圧立ち上げ部の生成動作について、
図8を参照しつつ説明する。
【0048】
先ず、論理レベル0のイネーブル信号CEが供給されている間は、
図5に示す構成を採用した場合と同様に、高速立上駆動回路5のトランジスタQ1及びQ4がオン状態、Q3及びQ2が夫々オフ状態となるので、高速立上駆動回路5はリファレンス電圧供給ラインRLに対して電圧印加を行わない。また、イネーブル信号CEが論理レベル0の状態にある間はリファレンスアンプ4も動作が為されないので、リファレンス電圧供給ラインRLに対する電圧印加は為されない。よって、この間、リファレンス電圧供給ラインRL上のリファレンス電圧V
refは
図8に示す如く0ボルトとなる。
【0049】
その後、読出信号RDが供給されると、メモリ制御部1は、各モジュールを活性化させるべき論理レベル1のイネーブル信号CEをセンスアンプ3、リファレンスアンプ4及び高速立上駆動回路5の各々に供給する。イネーブル信号CEが論理レベル1の状態に遷移すると、リファレンスアンプ4は、電源電圧に基づき閾電圧値V
Rを有するリファレンス電圧V
refの生成を開始して、その電圧をリファレンス電圧供給ラインRL上に印加する。この際、リファレンスアンプ4単独では、
図8の一点鎖線に示す形態で0ボルトの状態から徐々にその電圧が上昇して閾電圧値V
Rに到る立ち上げ波形を有するリファレンス電圧V
refがリファレンス電圧供給ラインRL上に印加される。
【0050】
そして、イネーブル信号CEが論理レベル1の状態に遷移すると、高速立上駆動回路5のトランジスタQ3がオン状態に遷移し、このトランジスタQ3及びQ4を介して電圧VCCがリファレンス電圧供給ラインRLに印加される。よって、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧は、
図8の実線にて示す如く0ボルトの状態から急峻に上昇する。かかる電圧上昇に伴いトランジスタQ6のソース・ドレイン間電圧が減少して行くと、トランジスタQ6が線形領域で動作するようになり、このQ6に流れ込むドレイン電流が急激に減少する。よって、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部での時間経過に伴う電圧上昇は、例えば
図8に示す時点t以降緩やかになる。そして、
図8に示す如く、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が高速立上駆動回路5のトランジスタQ2のゲート閾電圧値V
N1を超えると、このトランジスタQ2がオン状態に遷移する。これにより、接地電位VSSがリファレンス電圧供給ラインRLに印加されることになるので、
図8に示すように、ラインEN上の電位は徐々に低下して行く。この際、
図8に示す如きラインEN上の電位と、リファレンス電圧供給ラインRL上の電位との電位差V
Qが、トランジスタQ4の閾値電圧以下になると、このトランジスタQ4がオフ状態に遷移し、リファレンス電圧供給ラインRL上での電圧上昇が停止する。このリファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が0ボルトの状態から上昇して停止するまでの期間tsにおいて、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部が生成される。
【0051】
上記した如き駆動によれば、リファレンス電圧V
refの電圧立ち上がり部において、
図4に示す如く目標となる閾電圧値V
Rを大幅に増加してしまうようなオーバーシュートが回避される。更に、電圧立ち上がり部での時間経過に伴う電圧上昇が時点t以降緩やかになることから、その後、センスアンプ3が動作を開始しても、その動作開始時のスイッチングノイズに伴う電圧上昇を回避させることが可能となる。よって、電圧立ち上がり部での時間経過に伴う電圧上昇が時点t以降、緩やかになるものの、上記した如きオーバーシュートが生じない分だけ、
図8に示す如く、その電圧値が迅速に閾電圧値V
Rに収束するようになる。その結果、イネーブル信号の論理レベルが0から1へ切り替わった時点から、リファレンス電圧供給ラインRL上の電圧が閾電圧値V
Rに到るまでの収束期間TQは、
図4に示す如きオーバーシュートが発生する場合に比して短くなる。
【0052】
すなわち、高速立上駆動回路5として
図7に示す構成を採用した場合にも、
図3に示す構成を採用した場合に比して高速に、情報データの読み出しを行うことが可能となる。 尚、
図7に示す構成では、
図5に示すエンハンスメント形のnチャネルMOSFETであるトランジスタQ5に代わり、デプレッション形のnチャネルMOSFETであるトランジスタQ6を用いているので、ゲート端子に印加する電圧を接地電位VSSにしても、上述した如き線形領域での動作を行うことが可能となる。
【0053】
よって、正極性の電圧値Vddをそのゲート端子に固定供給することにより線形領域での動作を可能としたエンハンスメント形のトランジスタQ5を採用した場合に比して安定した収束期間TQを得ることができる。
【0054】
また、上記実施例においては、センスアンプ3において論理レベルの判定を行う際の閾値となるリファレンス電圧を高速に立ち上げるために、高速立上駆動回路5を用いているが、この高速立上駆動回路5を、
図9に示すように、定電圧電源装置の出力電圧を高速に立ち上げる為に用いるようにしても良い。
【0055】
図9において、定電圧電源装置90は、電源スイッチ91がオフ状態からオン状態に切り替えられて電源電圧の供給が開始されると、かかる電源電圧に基づく所定の一定電圧値を有する出力電圧VGを生成しこれを電源ラインGLに印加する。電源スイッチ91は、オフ状態にある間は論理レベル0、オン状態にある間は論理レベル1のイネーブル信号を高速立上駆動回路5に供給する。
図9に示す高速立上駆動回路5は、
図3、
図5又は
図7に示す内部構成を有し、論理レベル1のイネーブル信号に応じて、電源ラインGLに対して前述した如き駆動を行うことにより、電源ラインGLに印加される出力電源電圧VGの電圧立ち上げ部での時間経過に伴う電圧上昇を急峻にする。これにより、電源投入時点から高速に、出力電圧VGの電圧値を目標とする一定電圧値に立ち上げるのである。