特許第6046482号(P6046482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046482
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ポリアセタール樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 59/00 20060101AFI20161206BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20161206BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20161206BHJP
   C08L 23/24 20060101ALI20161206BHJP
   C08K 5/3435 20060101ALI20161206BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20161206BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C08L59/00
   C08K5/13
   C08K5/29
   C08L23/24
   C08K5/3435
   C08K5/3492
   C08K5/10
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-279924(P2012-279924)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-122298(P2014-122298A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】長谷 寛之
(72)【発明者】
【氏名】龍 和博
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐子
【審査官】 岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−273657(JP,A)
【文献】 特開平05−320475(JP,A)
【文献】 特表2004−530762(JP,A)
【文献】 特表2009−523185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 5/13
C08K 5/29
C08K 5/3435
C08L 35/00
C08L 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアセタール共重合体100重量部と、
(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.03〜0.30重量部と、
(C)グアナミン化合物及び/又はヒドラジド化合物0.05〜0.8重量部と、
(D)重量平均分子量が2000以上であり、オレフィンとマレイン酸または無水マレイン酸アミノ基含有ピペリジン誘導体との共重合物であるヒンダードアミン系安定剤0.1〜1.0重量部と、
(E)重量平均分子量が700未満であり、ピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤0.1〜1.0重量部と、
(F)紫外線吸収剤0.2〜1重量部と、
を含有するポリアセタール樹脂組成物。
【請求項2】
前記(D)成分は、C20〜C24のオレフィンと無水マレイン酸と4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの共重合物であり、
前記(E)成分は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及び/又はメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートである、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項3】
前記(F)成分は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はトリアジン系紫外線吸収剤を少なくとも含む、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項4】
(G)脂肪酸エステル又はポリアルキレングリコールの少なくとも一方をさらに含有する、請求項1から3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は優れた諸特性を有し、その成形品は広汎な分野に利用されているが、その化学構造上の特徴から、加熱酸化雰囲気下や、酸性或いはアルカリ性条件下では分解されやすいという性質を有する。その為、ポリアセタール樹脂の課題として、熱安定性が高く、成形加工過程又は成形品からのホルムアルデヒドの発生を抑制することが挙げられる。熱安定性が低いと、押出又は成形等の加工工程において加熱によりポリマーが分解し、金型への付着物(モールドデポジット)が発生したり、成形性や機械的物性等が低下したりする。また、分解により発生したホルムアルデヒドは化学的に活性であり、酸化によりギ酸となってポリアセタール樹脂の耐熱性に悪影響を及ぼしたり、ホルムアルデヒド発生量の多いポリアセタール樹脂を電気・電子機器の部品等に用いると、発生したホルムアルデヒド或いはその酸化物であるギ酸により金属製接点部品が腐蝕したり、有機化合物の付着により変色や接点不良を生じる要因になる場合がある。また、通常の使用条件下においてポリアセタール樹脂成形品から発生するホルムアルデヒドは極めて微少量であるが、発生するホルムアルデヒド自体が部品組立工程での作業環境や最終製品の使用環境を汚染する要因の1つとなる。
【0003】
そこで、ポリアセタール樹脂を安定化させるため、酸化防止剤やその他の安定剤が配合されている。ポリアセタール樹脂に添加される酸化防止剤としては、立体障害を有するフェノール化合物(ヒンダードフェノール)、立体障害を有するアミン化合物(ヒンダードアミン)等が知られており、その他の安定剤として、メラミン、ポリアミド、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物等が使用されている。また、通常、酸化防止剤は他の安定剤と組み合わせて用いられる。しかしながら、このような汎用的な安定剤を通常のホルムアルデヒド品質を有するポリアセタール樹脂に配合しただけでは、発生するホルムアルデヒド、特に、成形品から発生するホルムアルデヒドを大幅に低減させることは困難である。
【0004】
さらに、上記のような問題を解決しホルムアルデヒドの発生量を低減させるため、種々の化合物を配合したポリアセタール樹脂組成物が開示されている。例えば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂とグリオキシジウレイド化合物とを含むポリアセタール樹脂組成物が開示され、特許文献2には、ポリアセタール樹脂と、環状窒素含有化合物(クレアチニン等のグリコシアミジン又はその誘導体)とを含むポリアセタール樹脂組成物が開示されている。また、特許文献3には、ポリアセタール樹脂と、ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及び脂肪酸金属塩から選択された少なくとも1種の加工安定剤と、尿素又はその誘導体及びアミジン誘導体から選択される少なくとも1種の抑制剤とを含むポリアセタール樹脂組成物が開示され、特許文献4には、ポリアセタール樹脂と、ヒンダードフェノール系化合物と、トリアジン環を有するスピロ化合物と、加工安定剤及び耐熱安定剤から選択された少なくとも1種とで構成されたポリアセタール樹脂組成物が開示されている。また、特許文献5には、ポリアセタール樹脂に、安定剤としてベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体を配合したポリアセタール樹脂組成物が開示されている。
【0005】
また、特許文献6には、特定末端基のポリアセタール共重合体とホルムアルデヒド抑制剤とで構成されたポリアセタール樹脂組成物が開示され、ホルムアルデヒド抑制剤としてグアナミン化合物、尿素系化合物、カルボン酸ヒドラジド系化合物等が開示されている。
【0006】
また、ポリアセタール樹脂の耐候性を改良するため、特許文献7には、ポリアセタール樹脂にベンゾトリアゾール系物質等とヒンダードアミン系物質とを添加共存させた組成物が開示されている。また、特許文献8には、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンと、光安定剤であるビス−[N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバケートと、紫外線吸収剤である2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールとを含有することで、耐候(光)性、及び熱安定性を改良できることが開示されている。また、特許文献9には、立体障害性基を有するピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とを厳格に制御された配合量及び配合比で併用添加することにより、両者の拮抗作用を抑え、耐候(光)性及び熱安定性を改良できることが開示されている。
【0007】
特許文献1〜6に開示された技術によると、ポリアセタール樹脂からのホルムアルデヒドの発生を顕著に低減することができ、特許文献7〜9に開示された技術によると、ポリアセタール樹脂に優れた耐候性を付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−182928号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平11−335518号公報(請求項1)
【特許文献3】特開平12−26704号公報(請求項1)
【特許文献4】特開2003−113289号公報(請求項1)
【特許文献5】特開昭62−190248号公報
【特許文献6】特開2005−112995号公報
【特許文献7】特開昭61−36339号公報
【特許文献8】特開平6−256623号公報
【特許文献9】特開2008−7676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、昨今の樹脂製品に対する要求性能の多様化やハイスペック化に対応できる樹脂材料を得るためには、これらの技術を単純に組み合わせただけでは困難である。特に、耐候試験及びそれらの加速試験においては、ポリアセタール樹脂の劣化過程で生成するギ酸等の酸成分とヒンダードアミン安定剤中ピペリジン誘導体のアミノ基との反応による耐候(光)性能の低下が懸念される。一方、ピペリジン誘導体のアミノ基が修飾されて3級化されているヒンダードアミン安定剤であっても、単一種類の添加では、多様化する評価方法において長期にわたり安定した耐候(光)性能を発現する事は困難である。
【0010】
本発明の目的は、極めて耐候(光)性に優れ、成形品からのホルムアルデヒドの発生を低レベルに抑制でき、かつ、配合成分等の染み出しも抑制されたポリアセタール樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の配合成分の組合せ、配合量及び配合比の厳格な制御によって目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明は、(A)ポリアセタール共重合体100重量部と、(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.03〜0.30重量部と、(C)グアナミン化合物及び/又はヒドラジド化合物0.05〜0.8重量部と、(D)重量平均分子量が2000以上であり、オレフィンとマレイン酸とアミノ基含有ピペリジン誘導体との共重合物であるヒンダードアミン系安定剤0.1〜1.0重量部と、(E)重量平均分子量が700未満であり、ピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤0.1〜1.0重量部と、(F)紫外線吸収剤0.2〜1.0重量部とを含有するポリアセタール樹脂組成物である。
【0013】
(2)また、本発明は、前記(D)成分が、C20〜C24のオレフィンと無水マレイン酸と4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの共重合物であり、前記(E)成分が、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及び/又はメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートである、(1)に記載のポリアセタール樹脂組成物である。
【0014】
(3)また、本発明は、前記(F)成分がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はトリアジン系紫外線吸収剤を少なくとも含む、(1)又は(2)に記載のポリアセタール樹脂組成物である。
【0015】
(4)また、本発明は、(G)脂肪酸エステル又はポリアルキレングリコールの少なくとも一方をさらに含有する、(1)から(3)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、使用する配合成分を選択的な組合せとし、特に選択的な2種類のヒンダードアミン安定剤の配合量及び配合比を厳格に制御しているので、極めて耐候(光)性に優れ、成形品からのホルムアルデヒドの発生を低レベルに抑制でき、さらに染み出し等も抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0018】
<ポリアセタール樹脂組成物>
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール共重合体(以下「(A)成分」ともいう。)と、(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤(以下「(B)成分」ともいう。)と、(C)グアナミン化合物及び/又はヒドラジド化合物(以下「(C)成分」ともいう。)と、(D)重量平均分子量が2000以上であり、オレフィンとマレイン酸とアミノ基含有ピペリジン誘導体との共重合物であるヒンダードアミン系安定剤(以下「(D)成分」ともいう。)と、(E)重量平均分子量が700未満であり、ピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤(以下「(E)成分」ともいう。)と、(F)紫外線吸収剤(以下「(F)成分」ともいう。)と、を含有する。
【0019】
[(A)ポリアセタール共重合体]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)成分として、ポリアセタール共重合体を含有する。ポリアセタール共重合体は、オキシメチレン基(−OCH−)を主たる構成単位とし、オキシメチレン単位以外に他のコモノマー単位を有する樹脂であり、一般的にはホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを主モノマーとし、環状エーテルや環状ホルマールから選ばれた化合物をコモノマーとして共重合させることによって製造され、通常、加水分解によって末端の不安定部分を除去して熱分解に対して安定化される。特に、主モノマーとしてはホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンを用いるのが一般的である。トリオキサンは、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることにより得られ、これを蒸留等の方法で精製して使用される。重合に用いるトリオキサンは、後述する如く、水、メタノール、蟻酸等の不純物の含有量が極力少ないものが好ましい。また、コモノマーである環状エーテル及び環状ホルマールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。さらに、分岐構造や架橋構造を形成可能な化合物をコモノマー(或いはターモノマー)として使用することが可能であり、かかる化合物としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアルキル又はアリールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらのコモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0020】
上記の如きポリアセタール共重合体は、一般には適量の分子量調整剤を添加し、カチオン重合触媒を用いてカチオン重合することにより得ることができる。使用される分子量調整剤、カチオン重合触媒、重合方法、重合装置、重合後の触媒の失活化処理、重合によって得られた粗ポリアセタールコポリマーの末端安定化処理法等は多くの文献によって公知であり、基本的にはそれらが何れも利用できる。
【0021】
本発明で使用するポリアセタール共重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が10,000〜400,000程度のものが好ましい。また、樹脂の流動性の指標となるメルトインデックス(ASTM−D1238に準じ、190℃、荷重2.16kgで測定)が0.1〜100g/10分であるものが好ましく、さらに好ましくは0.5〜80g/10分である。
【0022】
本発明において使用するポリアセタール共重合体(A)は、前記の如く特定の末端特性を有していることが必要であり、具体的には、ヘミホルマール末端基量が1.0mmol/kg以下、ホルミル末端基量が2.0mmol/kg以下、不安定末端基量が0.5重量%以下であることが必須である。
【0023】
ここでヘミホルマール末端基は−OCHOHで示されるものであり、ヒドロキシメトキシ基あるいはヘミアセタール末端基とも称される。また、ホルミル末端基は−CHOで示される。かかるヘミホルマール末端基及びホルミル末端基の量はH−NMR測定により求めることができ、その具体的な測定方法は、特開2001−11143号公報に記載された方法を参照できる。また、不安定末端基量とは、ポリアセタール共重合体の末端部分に存在し、熱や塩基に対して不安定で分解し易い部分の量を示す。かかる不安定末端基量は、ポリアセタール共重合体1gを、0.5%(体積%)の水酸化アンモニウムを含む50%(体積%)メタノール水溶液100mlとともに耐圧密閉容器に入れ、180℃で45分間加熱処理した後、冷却し、開封して得られる溶液中に分解溶出したホルムアルデヒド量を定量し、ポリアセタール共重合体に対する重量%で表したものである。
【0024】
使用するポリアセタール共重合体(A)が上記の末端特性を有するものではなく、上限値を上回る場合、ホルムアルデヒド発生量が十分に低減されたポリアセタール樹脂組成物を得ることができず、さらに、熱履歴の繰返しによって生じるホルムアルデヒドの発生量を低レベルに維持することが困難となる。このような観点から、本発明において用いる(A)成分は、ヘミホルマール末端基量が0.8mmol/kg以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.6mmol/kg以下である。またホルミル末端基量は1.5mmol/kg以下のものが好ましく、さらに好ましくは1.0mmol/kg以下である。また不安定末端基量は0.4重量%以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.3重量%以下である。ヘミホルマール末端基量、ホルミル末端基量、不安定末端基量の下限は特に限定されるものではない。
【0025】
前記の如く特定の末端特性を有するポリアセタール重合体(A)は、モノマー及びコモノマーに含まれる不純物を低減し、製造プロセスの選択及びその製造条件の最適化等を行うことにより製造できる。
【0026】
以下に本件の発明の要件を満たす特定の末端特性を有するポリアセタール重合体(A)を製造する方法の具体例を挙げるが、何らこの方法に限定されるものではない。
【0027】
先ず、重合系で不安定末端を形成する活性不純物、具体的には、前記モノマー及びコモノマー中に含まれる水、アルコール(例えばメタノール)、酸(例えばギ酸)等の不純物を少なくすることが重要であり、これらの活性不純物の総量が反応系中の全モノマーに対して1×10−2mol%以下とすることが好ましく、更に好ましくは5×10−3mol%以下である。この含有量が過大であると当然ながら不安定末端部の少ないポリアセタール重合体を得るのに好ましくない。なお、不安定末端を形成することの無い連鎖移動剤、例えば、メチラールの如き両末端がアルコキシ基を有する低分子量線状アセタール等は任意の量を含有させ、ポリアセタール重合体の分子量を調整することができる。
【0028】
次に、重合反応時に使用する触媒の量も重要な要件である。三フッ化ホウ素又はその配位化合物からなる触媒を用いる場合、全モノマーに対して5×10−3〜1×10−2mol%の範囲であることが好ましく、特に1×10−3〜7×10−3mol%が好ましい。触媒量をかかる限定範囲とすることは、不安定末端部の生成を防ぐ上で有効である。触媒量が多すぎると重合温度の適正な制御を困難にし、重合中の分解反応が優勢となって、本発明の要件を満たす不安定末端部の少ないポリアセタール重合体を得ることが困難となる。一方、触媒量が少なすぎると重合反応速度の低下や重合収率が低下をまねき好ましくない。
【0029】
コモノマーの量や種類は、ポリアセタール重合体の熱安定性に大きく影響するが、本発明の(A)成分としては、(A1)トリオキサンと、(A2)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれた化合物の1種以上とを、前者(A1)/後者(A2)=99.9/0.1〜80.0/20.0の割合(重量比)で共重合させてなるものが好ましく、さらに好ましくは前者/後者=99.5/0.5〜90.0/10.0の割合(重量比)で共重合させてなるものである。また、環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物(A2)としては、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマールが特に好ましい。
【0030】
重合法としては、従来公知の方法が何れも可能であるが、液状モノマーを用いて重合の進行と共に固体粉塊状のポリマーを得る連続式塊状重合法が工業的には好ましく、重合温度は60〜105℃、特に65〜100℃に保つことが望ましい。
【0031】
三フッ化ホウ素又はその配位化合物からなる触媒を用いた場合、重合後の触媒の失活法としては、塩基性化合物を含む水溶液中に重合後のポリマーを加える等の方法が可能であるが、本発明の要件を満たすポリアセタール重合体を得るためには、重合反応により得られた重合体を粉砕し細分化して失活剤と接触させ、速やかに触媒の失活を図るのが好ましい。例えば、触媒の失活に供する重合体を粉砕し、その80重量%以上、好ましくは90重量%が1.5mm以下の粒径であり、15重量%以上、好ましくは20重量%以上が0.3mm以下の粒径に細分化されていることが望ましい。重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、あるいは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、あるいは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、塩類、その他公知の触媒失活剤を用いることができ、これら塩基性化合物は、0.001〜0.5重量%、特に0.02〜0.3重量%の水溶液として加えるのが好ましい。また、好ましい水溶液の温度は10〜80℃、特に好ましくは15〜60℃である。また、重合終了後、これらの水溶液に速やかに投入し触媒を失活させることが好ましい。
【0032】
また、重合に先立ち予めモノマー中にヒンダードフェノール系酸化防止剤を全モノマーに対して0.01〜0.1重量%添加し、これの存在下で重合を行うことで、重合反応系に均一に存在させることによって重合中の解重合を抑制することができ、重合後の乾燥等後処理や安定化工程での酸化分解も抑制させることができる。
【0033】
以上のようなモノマー及びコモノマーに含まれる不純物の低減、製造プロセスの選択及びその製造条件の最適化等により不安定末端量の少ないポリアセタール重合体を製造することができるが、更に要すれば、安定化工程を経ることで更に不安定末端量を低減することが可能である。安定化工程としては、ポリアセタール重合体をその融点以上の温度に加熱して溶融状態で処理して不安定部分のみを分解除去することや、不溶性液体媒体中で不均一系を保って80℃以上の温度で加熱処理することで不安定末端部分のみを分解除去すること等が挙げられる。
【0034】
[(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(B)成分として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する。(B)成分の具体例として、単環式ヒンダードフェノール化合物、炭化水素基又はイオウ原子を含む基で連結された多環式ヒンダードフェノール化合物、エステル基又はアミド基を有するヒンダードフェノール化合物等が挙げられる。これらの具体的化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ジヒドロシンナムアミド、N,N’−エチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−テトラメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−エチレンビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート等を例示することができる。
【0035】
(B)成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。(B)成分の割合は、(A)成分100重量部に対して0.03〜0.30重量部である。0.03重量部よりも少ないと、酸化防止の効果が不十分である点で好ましくなく、0.30重量部よりも多いと、ヒンダードアミン(系)安定剤((D)成分及び(E)成分)との拮抗作用により耐候(光)性が劣る点で好ましくない。
【0036】
[(C)グアナミン化合物及び/又はヒドラジド化合物]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(C)成分として、グアナミン化合物及び/又はヒドラジド化合物を含有する。
【0037】
〔グアナミン化合物〕
グアナミン化合物としては、メラミン、脂肪族グアナミン系化合物、脂環族グアナミン系化合物、芳香族グアナミン系化合物、ヘテロ原子含有グアナミン系化合物等が可能である。
【0038】
脂肪族グアナミン系化合物としては、バレログアナミン、カプログアナミン、ヘプタノグアナミン、カプリログアナミン、ステアログアナミン等のモノグアナミン類、サクシノグアナミン、グル夕ログアナミン、アジポグアナミン、ピメログアナミン、スベログアナミン、アゼログアナミン、セバコグアナミン等のアルキレンビスグアナミン類が挙げられる。
【0039】
脂環族グアナミン系化合物としては、シクロヘキサンカルボグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、ノルボルナンカルボグアナミン等のモノグアナミン類、及び、それらのシクロアルカン残基に、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシフェニル基等の官能基が1〜3個置換した誘導体が挙げられる。
【0040】
芳香族グアナミン系化合物としては、ベンゾグアナミン及びそのフェニル残基にアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシフェニル基等の官能基が1〜5個置換した誘導体(例えば、トルグアナミン、キシログアナミン、フェニルベンゾグアナミン、ヒドロキシベンゾグアナミン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾグアナミン、ニトリルベンゾグアナミン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンゾグアナミン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾグアナミン等)、ナフトグアナミン及びそのナフチル残基に上記の如き官能基が置換した誘導体等のモノグアナミン類、フ夕ログアナミン、イソフタログアナミン、テレフタログアナミン、ナフタレンジグアナミン、ビフェニレンジグアナミン等のポリグアナミン類、フェニルアセトグアナミン、β−フェニルプロピオグアナミン、キシリレンビスグアナミン等のアラルキル又はアラルキレングアナミン類が挙げられる。
【0041】
ヘテロ原子含有グアナミン系化合物としては、2,4−ジアミノ−6−(3,3−ジメトキシプロピル)−s−トリアジン等のアセタール基含有グアナミン類、[2−(4’−6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]−1,3−ジオキサン、[2−(4’−6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等のジオキサン環含有グアナミン類、CTU−グアナミン、CMTU−グアナミン等のテトラオキソスピロ環含有グアナミン類、1,3,5−トリス[2−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]イソシアヌレート、1,3,5−トリス[3−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)プロピル]イソシアヌレート等のイソシアヌル環含有グアナミン類、特開平6−179671号公報、特開平7−10871号公報に記載されたグアナミン化合物の如きイミダゾイル環含有グアナミン類、特開昭47−41120号公報、特開平3−284675号公報、特開平7−33766号公報に記載されたグアナミン化合物の如きイミダゾール環含有グアナミン類、特開2000−154181号記載のグアナミン化合物等が挙げられる。
【0042】
また、上記グアナミン化合物のアミノ基の水素がアルコキシメチル基に置換された化合物、例えば、(モノ〜テトラ)メトキシメチルベンゾグアナミン、(モノ〜オクタ)メトキシメチルCTU−グアナミン等も含まれる。
【0043】
これらのグアナミン化合物の中で、特に好ましいものとしては、メラミン、ベンゾグアナミン、CTU−グアナミンが挙げられる。
【0044】
〔ヒドラシド化合物〕
本発明において使用するヒドラジド化合物としては、脂肪族又は脂環族カルボン酸ヒドラジド、芳香族カルボン酸ヒドラジド等が可能である。
【0045】
脂肪族又は脂環族カルボン酸ヒドラジドとしては、ラウリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、ソルビン酸ヒドラジド等の飽和又は不飽和脂肪酸ヒドラジド、α−オキシ酪酸ヒドラジド、グリセリン酸ヒドラジド等のオキシ脂肪酸ヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)、トリス(ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0046】
芳香族ヒドラジドとしては、1−ナフトエ酸ヒドラジド、2−ナフトエ酸ヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0047】
〔(C)成分の割合〕
本発明において、(C)成分の割合は、(A)成分100重量部に対して0.05〜0.8重量部であり、0.07〜0.5重量部であることが好ましい。(C)成分の量が0.05重量部未満である場合、ホルムアルデヒド発生量が十分に低減されたポリアセタール樹脂組成物を得ることができず、さらに、熱履歴の繰返しによって生じるホルムアルデヒドの量を低レベルに維持することも困難な点で好ましくない。(C)成分の量が0.8重量部を超えると、機械的特性の低下、染み出しによる外観不良等の問題が生じる点で好ましくない。
【0048】
[(D)重量平均分子量が2000以上であり、オレフィンとマレイン酸とアミノ基含有ピペリジン誘導体との共重合物であるヒンダードアミン系安定剤]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(D)成分として、重量平均分子量が2000以上であり、オレフィンとマレイン酸とアミノ基含有ピペリジン誘導体との共重合物であるヒンダードアミン系安定剤を含有する。
【0049】
(D)成分は、下記の化学式で表される、C20〜C24のオレフィンと無水マレイン酸と4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの共重合物であることが好ましい。該共重合物を用いることで、VOC性能を損ねることなくポリアセタール樹脂組成物の耐候(光)性を高めることができる。
【化1】
【0050】
(D)成分の割合は、(A)成分100重量部に対して0.1〜1.0重量部である。0.1重量部よりも少ないと、十分な耐候(光)性が得られない可能性があるため、好ましくない。1.0重量部よりも多いと、機械的特性の低下、染み出しによる外観不良等の問題が生じる点で好ましくない。
【0051】
[(E)重量平均分子量が700未満であり、ピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(E)成分として、重量平均分子量が700未満であり、ピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤を含有する。
【0052】
(E)成分の例として、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、
等が挙げられる。
【0053】
特に好ましいものとしては、下記の化学式で表される、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及び/又はメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートが挙げられる。
【化2】
【0054】
(E)成分の割合は、(A)成分100重量部に対して0.1〜1.0重量部である。0.1重量部よりも少ないと、十分な耐候(光)性が得られない可能性があるため、好ましくない。1.0重量部よりも多いと、機械的特性の低下、染み出しによる外観不良等の問題が生じる点で好ましくない。
【0055】
また、(B)成分の、(D)成分及び(E)成分の合計に対する比(B/(D+E))は0.03〜0.5であることが好ましく。B/(D+E)が0.03より小さいと、熱安定性に劣る可能性があり、0.5より大きいと、耐候性が低下するおそれがある。
【0056】
[(F)紫外線吸収剤]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(F)成分として、紫外線吸収剤を含有する。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物又はトリアジン系化合物を少なくとも含むことが好ましく一種又は二種以上の化合物を組合せて使用できる。
【0057】
ベンゾトリアゾール系化合物として、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−イソアミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のヒドロキシル基及びアルキル(C1−6アルキル)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類、2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール等のヒドロキシル基及びアラルキル(又はアリール)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類、及び2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のヒドロキシル基及びアルコキシ(C1−12アルコキシ)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類等を挙げることができる。
【0058】
これらのベンゾトリアゾール化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0059】
これらのベンゾトリアゾール系化合物のうち、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が好ましい。
【0060】
トリアジン系化合物として、Tinuvin 1600(BASFジャパン社製)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、85% 2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10−C16,主としてC12−C13アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、15% 1−メトキシ−2−プロパノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]−フェノール、アデカスタブLA−F70(ADEKA社製)を挙げることができる。これらのトリアジン系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0061】
本発明において、(F)成分の含有量は、ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.2〜1.0重量部であり、0.4〜0.8重量部であることが好ましい。(F)成分が0.2重量部未満であると、耐候性に優れたポリアセタール樹脂組成物を得ることができない点で好ましくなく、1.0重量部を超えると、機械的特性の低下、染み出しによる外観不良等の問題が生じる点で好ましくない。
【0062】
また、(D)成分と(E)成分との合計の(F)成分に対する比((D+E)/F)は0.5〜2.0であることが好ましい。(D+E)/Fが0.5より小さい場合は耐候性が低下する点で好ましくなく、2.0より大きい場合はヒンダードアミン安定剤の染み出しの問題や耐候性の低下の問題が生じ得る点で好ましくない。
【0063】
また、(D)成分、(E)成分及び(F)成分の合計(D+E+F)は、(A)成分100重量部に対して0.5〜1.5重量部であることが好ましい。D+E+Fが0.5重量部より小さい場合は耐候性の低下が生じ得る点で好ましくなく、1.5重量部より大きい場合は染み出しの問題が生じ得る点で好ましくない。
【0064】
[(G)脂肪酸エステル又はポリアルキレングリコール]
必須の成分ではないが、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、任意の成分として、(G)脂肪酸エステル又はポリアルキレングリコールの少なくとも一方をさらに含有することが好ましい。
【0065】
〔脂肪酸エステル〕
脂肪酸エステルの構成成分である脂肪酸は、1種又は2種以上の飽和又は不飽和脂肪酸であり、このような脂肪酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ヒバリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、イソトリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、12ヒドロキシステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、セトレイン酸、エルカ酸等があり、好ましくは炭素数が12以上の脂肪酸である。
【0066】
一方、脂肪酸エステルの構成成分であるアルコールとしては、1価アルコール(例えばステアリルアルコール、等)及び多価アルコールの何れもが可能であるが、多価アルコールであることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のC2−6アルキレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリC2−6オキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(ランダム又はブロック共重合体等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等の共重合体類も、脂肪酸エステルを構成するための好ましい多価アルコールとして挙げられる。より好ましいポリオキシアルキレングリコールは、オキシエチレン単位を有する重合体、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びそれらの誘導体等である。また、前記ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量は、1×10〜1×10(例えば、1×10〜5×10)、好ましくは2×10〜1×10(例えば、2×10〜5×10)程度である。
【0067】
好ましい脂肪酸エステルとしては、炭素数12以上の脂肪酸と、平均重合度が20から300程度のポリアルキレングリコールとのエステルが挙げられる。
【0068】
〔ポリアルキレングリコール〕
【0069】
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリグリセリン等のホモポリマー及びコポリマー等から選ばれた少なくとも1種類を用いることができ、平均重合度が20から300程度のポリアルキレングリコールが好ましい。
【0070】
(G)成分は必須の成分ではないが、(G)成分を含有すると、耐候性の改善を助長する効果が生じる。(G)成分の割合は、(A)成分100重量部に対して0.01〜5.0重量部であることが好ましく、0.05〜2.0重量部であることがより好ましい。
【0071】
[(H)その他の成分]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(H)その他の成分として、熱安定性、長期熱安定性等を向上させるために、有機カルボン酸金属塩、金属酸化物、金属水酸化物をさらに含んでもよい。
【0072】
有機カルボン酸金属塩を形成する有機カルボン酸としては、炭素数が1〜34程度の各種の脂肪族カルボン酸が使用可能であり、飽和脂肪族モノカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族モノカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸、及びこれらのオキシ酸等が挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸は、ヒドロキシル基を有するものであってもよい。また、重合性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチル等)とオレフィンとの共重合体等であってもよい。有機カルボン酸金属塩の具体例を挙げると、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム等のアルカリ金属有機カルボン酸塩、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等のアルカリ土類金属有機カルボン酸塩、アイオノマー樹脂等である。これらの有機カルボン酸金属塩のうち、クエン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩及びアイオノマー樹脂が好ましい。
【0073】
金属酸化物、金属水酸化物としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。
【0074】
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、さらに、耐衝撃性改良剤、光沢性制御剤、摺動性改良剤、充填剤、着色剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、抗カビ剤、芳香剤、発泡剤、相容化剤、物性改良剤(ホウ酸又はその誘導体等)、香料等を配合することが可能であり、本発明の目的を損なうことなく、それぞれの添加剤に応じた諸特性を向上させることができる。また、前述した以外の酸化防止剤、耐熱安定剤、加工性改良剤等を併用することも可能である。
【0075】
耐衝撃性改良剤には、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、アクリル系コアシェルポリマー、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ゴム成分(天然ゴム等)等が含まれる。
【0076】
光沢制御剤には、アクリル系コアシェルポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、アルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、AES樹脂等)、オレフィン系樹脂(ポリプロピレンや環状ポリオレフィン等)等が含まれる。
【0077】
摺動性改良剤には、オレフィン系ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体、これらの酸無水物等による変性体等)、ワックス類(ポリエチレンワックス等)、シリコーンオイルやシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪酸エステル等が含まれる。
【0078】
充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、アラミド繊維等の無機又は有機繊維状充填剤、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト等の板状充填剤、ミルドファイバー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、タルク、カオリン、シリカ、ケイソウ土、クレー、ウォラスナイト、アルミナ、フッ化黒鉛、炭化ケイ素、窒化ホウ素、金属粉等の粉粒状充填剤等が挙げられる。
【0079】
離型剤としては、長鎖脂肪酸アミド等が挙げられ、長鎖脂肪酸(1価又は2価の長鎖脂肪酸)とアミン類(モノアミン、ジアミン、ポリアミン類等)との酸アミド(モノアミド、ビスアミド等)が使用できる。モノアミドとしては、例えば、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、モンタン酸アミド等の飽和脂肪酸の第1級酸アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸の第1級酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミド等の飽和及び/又は不飽和脂肪酸とモノアミンとの第2級酸アミド等が例示できる。また、ビスアミドには、C1−6アルキレンジアミン(特に、C1−2アルキレンジアミン)と前記脂肪酸とのビスアミド等が含まれ、その具体例としては、エチレンジアミン−ジパルミチン酸アミド、エチレンジアミン−ジステアリン酸アミド(エチレンビスステアリルアミド)、ヘキサメチレンジアミン−ジステアリン酸アミド、エチレンジアミン−ジベヘン酸アミド、エチレンジアミン−ジモンタン酸アミド、エチレンジアミン−ジオレイン酸アミド、エチレンジアミン−ジエルカ酸アミド等が挙げられ、さらにエチレンジアミン−(ステアリン酸アミド)オレイン酸アミド等のアルキレンジアミンのアミン部位に異なるアシル基が結合した構造を有するビスアミド等も使用できる。好ましい脂肪酸アミドはビスアミドである。
【0080】
着色剤としては、各種染料及び顔料が使用できる。染料としてはアゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、ナフトキノン系染料等が挙げられる。顔料としては無機顔料及び有機顔料のいずれも使用でき、無機顔料としては、チタン系顔料、亜鉛系顔料、カーボンブラック、鉄系顔料、モリブデン系顔料、カドミウム系顔料、鉛系顔料、コバルト系顔料及びアルミニウム系顔料等が例示でき、有機顔料としては、アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料及びスレン系顔料等が例示できる。これらのうち、光遮蔽効果の高い着色剤であるカーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料を用いると、耐候(光)性も向上できる。配合される着色剤の量は特に制限されず、一般的な着色目的の量が用いられる。
【0081】
[ポリアセタール樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、樹脂組成物の調製法として従来から知られた各種の方法により調製することができる。例えば、(1)組成物を構成する全成分を混合し、これを押出機に供給して溶融混練し、ペレット状の組成物を得る方法、(2)組成物を構成する成分の一部を押出機の主フィード口から、残余成分をサイドフィード口から供給して溶融混練し、ペレット状の組成物を得る方法、(3)押出し等により一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを混合して所定の組成に調整する方法等が採用できる。
【0082】
押出機を用いた組成物の調製においては、一カ所以上の脱揮ベント口を有する押出機を用いるのが好ましく、さらに、主フィード口から脱揮ベント口までの任意の場所に水や低沸点アルコール類をポリアセタール樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度供給し、押出工程で発生するホルムアルデヒド等を水や低沸点アルコール類と共に脱揮ベント口から脱揮除去するのが好ましい。これにより、ポリアセタール樹脂組成物及びその成形品から発生するホルムアルデヒド量をさらに低減することができる。
【0083】
本発明には、前記ポリアセタール樹脂組成物及び上記による着色されたポリアセタール樹脂組成物からなる成形品のリサイクルも含まれる。具体的には、これらの樹脂組成物からなる成形品又はその粉砕物を、単独で、或いは同一又は異なる組成の樹脂材料又は成形品と共に、溶融混練し押出してなるリサイクル樹脂組成物、及び、これらの樹脂組成物からなる成形品又はその粉砕物を、単独で、或いは同一又は異なる組成の樹脂材料又は成形品と共に、溶融混練し成形してなるリサイクル成形品である。このように、溶融熱履歴の繰返しを受けて調製されたリサイクル樹脂組成物及びリサイクル成形品も、それらの基になるポリアセタール樹脂組成物と同様に、ホルムアルデヒド発生量が極めて低レベルに保持されたものである。
【0084】
本発明には、前記ポリアセタール樹脂組成物に着色剤を加え、ベント口を有する押出機を用いて、ベントより−400mmHg以下の減圧度(絶対圧360mmHg以下)で脱気を行いながら溶融混練することによって調製されたポリアセタール樹脂組成物も含まれる。減圧度として好ましくは−500mmHg以下(絶対圧260mmHg以下)、さらに好ましくは−600mmHg以下(絶対圧160mmHg以下)である。このような溶融熱履歴を受けて調製された着色ポリアセタール樹脂組成物も、その基になるポリアセタール樹脂組成物と同様に、ホルムアルデヒド発生量が極めて低レベルに保持されたものである。
【0085】
本発明のポリアセタール樹脂組成物で形成された成形品、該ポリアセタール樹脂組成物に着色剤を加えて調製されたポリアセタール樹脂組成物で形成された成形品は、ホルムアルデヒド発生量が極めて少ない。具体的には、実施例の項で記載した測定法によるホルムアルデヒド発生量として、成形品の単位重量当たり2.0μg/g以下が可能であり、好ましくは1.0μg/g以下、さらに好ましくは0.6μg/g以下が可能である。これは、一般に市販されているポリアセタール樹脂からなる成形品からのホルムアルデヒド発生量が、単位重量当たり5〜20μg/g程度であるのに比べ、極めて低いレベルである。さらに、これらの成形品又はその粉砕物を回収し、溶融混練処理して調製されたリサイクル樹脂組成物からなる成形品、或いは回収した成形品又はその粉砕物を溶融混練し直接成形してなる成形品は、上記と同様にホルムアルデヒド発生量が極めて少ないものであり、そのホルムアルデヒド発生量は、上記のレベルに近いものである。
【実施例】
【0086】
以下、実施例及び比較例を示し具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0087】
<実施例及び比較例>
【表1】
【表2】
【0088】
[(A)成分の調製]
二軸パドルタイプの連続式重合機を用いて、全モノマー(トリオキサン+1,3−ジオキソラン)に対して0.03重量%のエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネートを含有させた1,3−ジオキソラン2.5%(全モノマー中)添加したトリオキサンを連続的に供給し、同時に同じところへ三フッ化ホウ素を触媒(触媒濃度2×10−3mol%)として重合した。なお、このとき使用したモノマー中の不純物濃度は、水は3×10−3mol%、メタノールは1×10−3mol%、蟻酸1×10−3mol%であった。
【0089】
重合機吐出口より排出された重合体について、排出直後にトリエチルアミン1000ppm含有する水溶液を加え混合粉砕を行うと共に、撹拌処理を行った。その後、遠心分離、乾燥を行い触媒失活された重合体を得た。
【0090】
この重合体を、ベント口を有する二軸押出機に供給し、樹脂温度約220℃で溶融混練させて、ベント口で減圧脱揮を行いながら、不安定末端の除去を行いペレット状の重合体を得た。
【0091】
次いで、保温可能な円筒状の耐圧容器を用い、その上部より上記のペレット状の重合体を連続的に供給し、下部より135℃のトリエチルアミン500ppm%の水溶液を供給しながら8時間処理を行った。その後、遠心分離、乾燥を行い、(A)成分に係るポリアセタール共重合体を得た。このポリアセタール共重合体のヘミホルマール末端基量は0.38mmol/kgであり、ホルミル末端基量は0.03mmol/kgであり、不安定末端基量は0.15重量%であり、メルトインデックスは9g/10分であった。
【0092】
なお、ポリアセタール共重合体のヘミホルマール末端基量及びホルミル基末端基量は、Bruker(株)製のAVANCE400型FT−NMR装置を用いて、特開2001−11143号公報に記載の方法に準じて測定を行って得られた値(mmol/kg)である。
【0093】
また、不安定末端基量は、ポリアセタール共重合体1gを、0.5%(体積%)の水酸化アンモニウムを含む50%(体積%)メタノール水溶液100mlとともに耐圧密閉容器に入れ、180℃で45分間加熱処理した後、冷却し、開封して得られる溶液中に分解溶出したホルムアルデヒド量を定量し、ポリアセタール共重合体に対する重量%で表したものである。
【0094】
また、上記メルトインデックスは、ASTM−D1238に準じ、190℃、2160gの条件下で求めた値(g/10分)である。
【0095】
[(B)成分について]
(B)成分として、下記(B1)又は(B2)のいずれかを用いた。
(B1):エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](製品名:IRGANOX245,BASFジャパン社製)
(B2):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名:IRGANOX1010,BASFジャパン社製)
【0096】
[(C)成分について]
(C)成分として、下記(C1)から(C4)のいずれか1以上を用いた。
(C1):メラミン
(C2):ベンゾグアナミン
(C3):セバシン酸ジヒドラジド
(C4):イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体
【0097】
[(D)成分について]
(D)成分として、C20〜C24のオレフィンと無水マレイン酸と4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの共重合物(製品名:Uvinul 5050H,BASFジャパン社製)を用いた。
【0098】
[(D)’成分について]
(D)’成分として、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)−ジエタノールとの縮合物(製品名:アデカスタブLA−63P,ADEKA社製)を用いた。
【0099】
[(E)成分について]
(E)成分として、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(製品名:Tinuvin 765,BASFジャパン社製)を用いた。
【0100】
[(E)’成分について]
(E)’成分として、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(製品名:Tinuvin 622,BASFジャパン社製)を用いた。
【0101】
[(E)’’成分について]
(E)’’成分として、下記(E’’1)又は(E’’2)のいずれかを用いた。
(E’’1):N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルヘキサメチレンジアミン(製品名:Uvinul 4050FF,BASFジャパン社製)
(E’’2):ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(製品名:Tinuvin 770,BASFジャパン社製)
【0102】
[(F)成分について]
(F)成分として、下記(F1)及び/又は(F2)を用いた。
(F1):2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(製品名:Tinuvin 234,BASFジャパン社製)
(F2):Tinuvin 1600(BASFジャパン社製)
【0103】
[(G)成分について]
(G)成分として、下記(G1)及び/又は(G2)を用いた。
(G1):モノステアリン酸ポリエチレングリコール
(G2):グリセリンモノステアレート
【0104】
[(H)成分について]
(H)成分として、下記(H1)及び/又は(H2)を用いた。
(H1):12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
(H2):エチレンビスステアリン酸アミド
【0105】
[ポリアセタール樹脂組成物の調製]
上記[(A)成分の調製]によって得た(A)成分100重量部に、他の成分を表1に示す割合でプリブレンドした後、1ヶ所のベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口に投入して溶融混合(押出条件:L/D=35、押出し温度=200℃、スクリュー回転数=120rpm、ベント真空度=−700mmHg、吐出量=18kg/hr)し、実施例及び比較例に係るポリアセタール樹脂組成物を調製した。
【0106】
[評価]
実施例及び比較例に係るポリアセタール樹脂組成物を用いて、シリンダー温度を190℃に設定した射出成形機により、所定の大きさの平板状試験片を成形し、この成形品について、各種項目の評価を行った。
【0107】
〔成形品からのホルムアルデヒド発生量の評価〕
100mm×40mm×2mmの平板状試験片2枚(総重量約22gを精秤)を、蒸留水50mlを含むポリエチレン製瓶(容量1L)の蓋に吊下げて密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置した後、室温で1時間静置した。平板状試験片から発生してポリエチレン製瓶中の蒸留水に吸収されたホルムアルデヒド量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、試験片単位重量当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/g)を算出した。結果を表3及び表4に示す。
【0108】
〔Foggingの評価〕
Foggingの評価は、ISO6452にしたがって行った。試験片として、直径が80mm、厚さが2mmの円盤を用い、加熱槽の温度を100℃とし、冷却板の温度を21℃とし、加熱時間を18時間とした。冷却板に取り付けたアルミホイルについて、試験前後の重量(単位:mg)を量り、試験前後での重量差をFoggingの値とした。結果を表3及び表4に示す。
【0109】
〔耐候(光)性の評価〕
耐候(光)性の評価は、自動車内装用規格SAE J1885に準拠して行った。照射サイクルは、1サイクルを288分とし、そのうち228分を照射状態(Light,dry)とし、60分を非照射状態(Dark,dry)とした。また、波長340nmの光の放射照度を0.55(W/m)とし、上記照射状態でのブラックパネルの温度を89±3℃とした。上記照射サイクルを130サイクル繰り返した。照射サイクルの繰り返し後において、照射前後における色相の変化(ΔE)、光沢保持率及び試験片表面のクラックの有無を評価した。
【0110】
(照射前後における色相の変化(ΔE))
平板状成形品の色相(L*,a*,b*)をカラーセンサーZ−300A(日本電色工業社製)を用いて測定し、色相の変化(ΔE)を次の式を用いて計算した。ΔEが3.1未満である場合を“○”とし、ΔEが3.1以上である場合を“×”とした。結果を表3及び表4に示す。なお、ΔEの値が小さいほど色相の変化が少ないことを示す。
ΔE={(L*−L*+(a*−a*+(b*−b*1/2
(L*、a*、b*は初期の色相(L*,a*,b*)を示し、L*、a*、b*は照射後の色相(L*,a*,b*)を示す。)
【0111】
(光沢度の保持率(%))
成形品の光沢度(測定角度60度)を携帯光沢計HG−246(スガ試験機社製)で測定し、光沢度の保持率(%)を次の式を用いて計算した。光沢度の保持率が30%以上である場合を“○”とし、30%未満である場合を“×”とした。結果を表3及び表4に示す。
光沢度の保持率(%)=(初期の光沢度)/(照射後の光沢度)×100
【0112】
(クラックの有無)
試験片表面を光学顕微鏡(倍率:100倍)による表面観察で目視観察し、クラックの発生の有無を判定した。クラックがない場合を“○”とし、クラックがある場合を“×”とした。結果を表3及び表4に示す。
【0113】
【表3】
【表4】
【0114】
(A)ポリアセタール共重合体100重量部と、(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.03〜0.30重量部と、(C)グアナミン化合物及び/又はヒドラジド化合物0.05〜0.8重量部と、(D)重量平均分子量が2000以上であり、オレフィンとマレイン酸とアミノ基含有ピペリジン誘導体との共重合物であるヒンダードアミン系安定剤0.1〜1.0重量部と、(E)重量平均分子量が700未満であり、ピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤0.1〜1.0重量部と、(F)紫外線吸収剤0.2〜1重量部とを含有するポリアセタール樹脂組成物は、樹脂成形品からのホルムアルデヒドの発生量が極めて少なく、かつ、耐候(光)性にも優れることが確認された(実施例1〜6)。したがって、本発明のポリアセタール組成物は、低ホルムアルデヒド発生と耐候(光)性とが要求される各種成形品、例えば、建材、自動車の車室内等の成形品として好適に用いることができる。
【0115】
本発明の構成成分及びその配合量等は、本発明者の検討によって見出した次のような知見に基づいて初めてなし得たものである。すなわち、一般的には、ピペリジン誘導体のアミノ基が修飾されていないヒンダードアミン安定剤の方が、アミノ基が修飾されているヒンダードアミン安定剤より良好な耐候(光)性を呈するが、ポリアセタール樹脂の場合、ピペリジン誘導体のアミノ基が修飾されていないヒンダードアミン安定剤を用いると、劣化に伴い生成する酸成分とヒンダードアミン安定剤中のアミノ基が反応して耐候性能が不十分なものとなる。これに対し、ピペリジン誘導体のアミノ基が修飾されていないヒンダードアミン安定剤であっても、ピペリジン誘導体がオレフィン及びアミノ基含有マレイン酸との共重合物であることにより酸性物質との反応性が低い性質を有するヒンダードアミン安定剤は、酸成分が生成するポリアセタール樹脂において良好な耐候(光)性を呈する。一方、かかる特定のヒンダードアミン安定剤は高分子量であるが、高分子量のヒンダードアミン安定剤のみを樹脂に配合するよりも、低分子量のヒンダードアミンを併用する方が耐候性向上に効果的であることが経験的に知られている。さらに、併用する低分子量のヒンダードアミン安定剤に関しては、拡散・染み出しの速度、ポリアセタール樹脂との相溶性、及び、先にも述べたポリアセタール樹脂において生成する酸性成分との反応性の観点から、分子量は700未満でピペリジン誘導体の窒素が3級であるヒンダードアミン安定剤を選択する事により、長期にわたり安定した耐候(光)性能を発揮する極めて耐候(光)性に優れた成形材料となる。また、グアナミン化合物又はヒドラジド化合物と組み合わせることにより、成形品からのホルムアルデヒド発生を低レベルに抑制できる。一方、かかる2種類のヒンダードアミン安定剤を併用するにおいて、配合成分の染み出しやホルムアルデヒド以外のVOC発生量抑制のため、配合量や配合比は厳格な制御が必要であり、これによって極めて耐候性に優れ、ホルムアルデヒド発生も抑制され、染み出しやホルムアルデヒド以外のVOC発生も抑制された成形材料となる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のポリアセタール樹脂組成物は特定のポリアセタール共重合体と配合成分の選択的な組合せからなるものであり、成形加工工程等におけるポリアセタール共重合体の酸化又は熱分解等によるホルムアルデヒドの生成を顕著に抑制でき、作業環境を改善できる。また、金型への分解物や添加物等の付着(モールドデポジット)、成形品からの分解物や添加物の浸出を顕著に抑制でき、成形加工時の諸問題を改善できる。そのため、本発明の樹脂組成物は、慣用の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスインジェクションモールディング等の方法で、種々の成形品を成形するのに有用である。
【0117】
また、本発明のポリアセタール樹脂組成物は特定のポリアセタール共重合体と配合成分の選択的な組合せにより、耐候(光)性にも優れており、耐候(光)性が要求される用途にも使用することができる。
【0118】
本発明の樹脂組成物は、その成形品としての利用分野に制約はないが、ホルムアルデヒド発生量の低減が強く求められる用途、例えば自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品、建材、配管部品、日用品、化粧品用部品、医療用機器部品等に好適に使用できる。