特許第6046623号(P6046623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046623静電デチャックを行う装置及び方法、並びに、半導体ウェハを処理するチャンバ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046623
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】静電デチャックを行う装置及び方法、並びに、半導体ウェハを処理するチャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20161212BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
【請求項の数】32
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-529342(P2013-529342)
(86)(22)【出願日】2011年9月15日
(65)【公表番号】特表2013-539913(P2013-539913A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011051825
(87)【国際公開番号】WO2012037396
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月2日
(31)【優先権主張番号】61/384,231
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/970,914
(32)【優先日】2010年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096817
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】ハオ・ジェニファー・ファンリ
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−087478(JP,A)
【文献】 特開平07−094576(JP,A)
【文献】 特開平09−120987(JP,A)
【文献】 特開2008−060285(JP,A)
【文献】 特開2004−319840(JP,A)
【文献】 特開平10−150100(JP,A)
【文献】 特開平11−233600(JP,A)
【文献】 特開2002−026113(JP,A)
【文献】 特開2002−018661(JP,A)
【文献】 特表2002−532877(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/049085(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/061941(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0078891(US,A1)
【文献】 特開平08−055903(JP,A)
【文献】 特表2002−511662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャック及びデチャックを行なう装置であって、
複数のゾーンを備える静電チャックであって、各ゾーンは、基板の底面に接触するリフトピンの周囲に複数の極性領域を含む、静電チャックと、
前記リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、
前記極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、
を備え、
異なるゾーンの前記複数の極性領域は、互いに分離されている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記リフトピンが、さらに空気圧シリンダを備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
各リフトピンが、別々のセンサに関連付けられる、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記センサが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
1つのコントローラが、すべてのリフトピンに接続される、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、
別々のコントローラが、各リフトピンに接続される、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記センサが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項8】
請求項3に記載の装置であって、
1つのコントローラが、すべての前記極性領域に接続される、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記センサが、前記極性領域用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項10】
請求項3に記載の装置であって、
別々のコントローラが、各極性領域に接続される、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記センサが、各極性領域用の各コントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
さらに、センサピンを備える、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記センサピンが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
1つのコントローラが、すべての極性領域に接続される、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記センサピンが、前記極性領域用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、
別々のコントローラが、各極性領域に接続される、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、
前記センサピンが、各極性領域用の各コントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項18】
集積回路を製造するための基板を処理する自動化された方法であって、
処理チャンバ内で静電チャック上に前記基板を載置する工程であって、前記静電チャックが複数のゾーンを備え、各ゾーンが、空気圧で動くリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、工程と、
前記1つ又は複数の極性領域に電圧を印加することによって、前記静電チャックに前記基板を固定する工程と、
前記基板を処理する工程と、
前記処理の操作を終了する工程と、
前記1つ又は複数のゾーンの前記1つ又は複数の極性領域に別の電圧を印加して、デチャックを開始させる工程と、
1つ又は複数のリフトピンを前記基板の底面に接触させる工程と、
センサを用いて、前記基板と前記静電チャックとの間の静電力を測定する工程と、を備える方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
1つ又は複数のリフトピンの空気圧を調整する工程を備える、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の極性領域の電圧を調整する工程を備える、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記基板を処理する工程が、プラズマを発生させ、前記発生したプラズマを用いて、
前記基板をエッチングする、
前記基板上に材料を蒸着させる、又は、
他の半導体製造作業を行なう、工程を備える、方法。
【請求項22】
半導体ウエハを処理するチャンバであって、
基板を支持するように構成される静電チャックであって、基板が存在する場合に前記基板に係合するリフトピンを収容する複数の穴を有し、前記複数の穴の各々の少なくとも一部を囲むように各リフトピンの周囲にそれぞれ形成される複数の極性領域を含む静電チャックを備え、
異なる穴の周囲の前記複数の極性領域は、互いに分離されている、チャンバ。
【請求項23】
請求項22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、幾何学的パターンと、前記幾何学的パターンに接続される電圧源とを有する、チャンバ。
【請求項24】
請求項22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、同じ電圧に接続される、チャンバ。
【請求項25】
請求項22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、異なる電圧に接続される、チャンバ。
【請求項26】
請求項22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、ゾーンを規定し、各ゾーンが電圧源に接続される、チャンバ。
【請求項27】
請求項22に記載のチャンバであって、
前記静電チャックが、
金属ベースと、
前記金属ベース上に配置される誘電体層であって、前記基板の支持面を規定する誘電体層と、
前記誘電体層内に配置される、導電材料から形成される幾何学的パターンと、
前記導電材料に電圧を印加する回路であって、前記誘電体層内に配置される回路と、を備えるチャンバ。
【請求項28】
請求項27に記載のチャンバであって、
前記穴が、前記金属ベースと前記誘電体層とを貫通するように形成される、チャンバ。
【請求項29】
静電チャック及びデチャックを行なう装置であって、
複数のゾーンを備える静電チャックであって、各ゾーンは、基板の底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、静電チャックと、
前記リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、
前記極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、
を備え、
前記リフトピンが、さらに空気圧シリンダを備え、
各リフトピンが、別々のセンサに関連付けられ、
1つのコントローラが、すべての前記極性領域に接続され、
前記センサが、前記極性領域用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項30】
静電チャック及びデチャックを行なう装置であって、
複数のゾーンを備える静電チャックであって、各ゾーンは、基板の底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、静電チャックと、
前記リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、
前記極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、
を備え、
前記リフトピンが、さらに空気圧シリンダを備え、
各リフトピンが、別々のセンサに関連付けられ、
別々のコントローラが、各極性領域に接続される、装置。
【請求項31】
静電チャック及びデチャックを行なう装置であって、
複数のゾーンを備える静電チャックであって、各ゾーンは、基板の底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、静電チャックと、
前記リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、
前記極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、
センサピンと、
を備え、
前記センサピンが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供し、
1つのコントローラが、すべての極性領域に接続され、
前記センサピンが、前記極性領域用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
【請求項32】
静電チャック及びデチャックを行なう装置であって、
複数のゾーンを備える静電チャックであって、各ゾーンは、基板の底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、静電チャックと、
前記リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、
前記極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、
センサピンと、
を備え、
前記センサピンが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供し、
別々のコントローラが、各極性領域に接続される、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの半導体処理設備の設計には、プラズマで半導体ウエハを処理する(たとえば、エッチングする又は蒸着処理する)処理チャンバが含まれている。設計には、多くの場合、静電チャック(ESC)が含まれ、静電チャックは、静電チャック内の電極パターンを利用することにより、処理の際に半導体ウエハを固定する。電極パターンの設計が、固定の均一性に効果を与える可能性がある。
【0002】
処理が完了すると、半導体ウエハは静電チャックから分離すなわちデチャックされ、処理チャンバから取り出し可能となる。ただし、残留電荷が効率的な分離を難しくする可能性がある。ここでも、電極パターンの設計が、このような分離の効率に効果を与える可能性がある。
【0003】
残留電荷の問題を解決し、プロセスの自動化を推進するために、特に、半導体処理設備の設計では、静電チャックから半導体ウエハを離して、半導体ウエハをロボットアームで回収可能な位置まで持ち上げるリフトピンが用いられる。このようなリフトピンで発生する力をモニター及び制御していない場合には、リフトピンが半導体ウエハに損傷を与え、破壊してしまう可能性さえある。この点に関して、共有米国特許第6,648,857号に、特に、ヨーク構成で接続され、フィードバックループに連結されるリフトピン群が記載されている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、半導体ウエハの静電チャック及びデチャックを行なう装置は、複数のゾーンを有する静電チャックを備える。各ゾーンは、半導体ウエハの底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む。装置は、さらに、リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、を備える。一実施形態において、リフトピン用のコントローラは、1つ又は複数のセンサからデータを受信し、受信したデータを用いて、リフトピンの上向きの力を調整する。同様に、一実施形態において、極性領域用のコントローラは、センサからデータを受信し、受信したデータを用いて、極性領域の電圧を調整する。
【0005】
別の実施形態において、プロセスコントローラにより、半導体ウエハを処理する自動化された方法が実施される。プロセスコントローラは、最初に、処理チャンバ内で静電チャック上に半導体ウエハを載置する。静電チャックは複数のゾーンを備え、各ゾーンは空気圧で動くリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む。プロセスコントローラは、次に、1つ又は複数の極性領域に電圧を印加することによって、静電チャックに半導体ウエハを固定する。プロセスコントローラは半導体を処理した後、処理操作を終了する。そして、プロセスコントローラは、1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の極性領域に別の電圧を印加して、デチャックを開始させる。次に、プロセスコントローラは、リフトピンを用いた静電チャックからの半導体ウエハの持ち上げを開始する。プロセスコントローラは、センサを用いて、半導体と静電チャックとの間の静電力を測定し、半導体ウエハの損傷を防ぐように上向きの力を調整する。
【0006】
別の実施形態において、半導体ウエハを処理する装置は、RF電源に接続される上部電極と、RF電源に接続される静電チャックとを有する処理チャンバを備える。静電チャックは複数のゾーンを備え、各ゾーンは半導体ウエハの底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む。
【0007】
本発明は以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
静電チャック及びデチャックを行なう装置であって、
複数のゾーンを備える静電チャックであって、各ゾーンは、基板の底面に接触するリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、静電チャックと、
前記リフトピンを制御する1つ又は複数のコントローラと、
前記極性領域を制御する1つ又は複数のコントローラと、
を備える装置。
[適用例2]
適用例1に記載の装置であって、
前記リフトピンが、さらに空気圧シリンダを備える、装置。
[適用例3]
適用例2に記載の装置であって、
各リフトピンが、別々のセンサに関連付けられる、装置。
[適用例4]
適用例3に記載の装置であって、
前記センサが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例5]
適用例4に記載の装置であって、
1つのコントローラが、すべてのリフトピンに接続される、装置。
[適用例6]
適用例4に記載の装置であって、
別々のコントローラが、各リフトピンに接続される、装置。
[適用例7]
適用例6に記載の装置であって、
前記センサが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例8]
適用例3に記載の装置であって、
1つのコントローラが、すべての前記極性領域に接続される、装置。
[適用例9]
適用例8に記載の装置であって、
前記センサが、前記極性領域用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例10]
適用例3に記載の装置であって、
別々のコントローラが、各極性領域に接続される、装置。
[適用例11]
適用例10に記載の装置であって、
前記センサが、各極性領域用の各コントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例12]
適用例1に記載の装置であって、
さらに、センサピンを備える、装置。
[適用例13]
適用例12に記載の装置であって、
前記センサピンが、前記リフトピン用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例14]
適用例13に記載の装置であって、
1つのコントローラが、すべての極性領域に接続される、装置。
[適用例15]
適用例14に記載の装置であって、
前記センサピンが、前記極性領域用のコントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例16]
適用例13に記載の装置であって、
別々のコントローラが、各極性領域に接続される、装置。
[適用例17]
適用例16に記載の装置であって、
前記センサピンが、各極性領域用の各コントローラにフィードバックを提供する、装置。
[適用例18]
集積回路を製造するための基板を処理する自動化された方法であって、
処理チャンバ内で静電チャック上に前記基板を載置する工程であって、前記静電チャックが複数のゾーンを備え、各ゾーンが、空気圧で動くリフトピンの周囲に1つ又は複数の極性領域を含む、工程と、
前記1つ又は複数の極性領域に電圧を印加することによって、前記静電チャックに前記基板を固定する工程と、
前記基板を処理する工程と、
前記処理の操作を終了する工程と、
前記1つ又は複数のゾーンの前記1つ又は複数の極性領域に別の電圧を印加して、デチャックを開始させる工程と、
1つ又は複数のリフトピンを前記基板の底面に接触させる工程と、
センサを用いて、前記基板と前記静電チャックとの間の静電力を測定する工程と、を備える方法。
[適用例19]
適用例18に記載の方法であって、さらに、
1つ又は複数のリフトピンの空気圧を調整する工程を備える、方法。
[適用例20]
適用例18に記載の方法であって、さらに、
1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の極性領域の電圧を調整する工程を備える、方法。
[適用例21]
適用例18に記載の方法であって、
前記基板を処理する工程が、プラズマを発生させ、前記発生したプラズマを用いて、
前記基板をエッチングする、
前記基板上に材料を蒸着させる、又は、
他の半導体製造作業を行なう、工程を備える、方法。
[適用例22]
半導体ウエハを処理するチャンバであって、
基板を支持するように構成される静電チャックであって、基板が存在する場合に前記基板に係合するリフトピンを収容する複数の穴を有し、前記複数の穴の各々の少なくとも一部を囲むように構成される複数の極性領域を含む静電チャックを備える、チャンバ。
[適用例23]
適用例22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、幾何学的パターンと、前記幾何学的パターンに接続される電圧源とを有する、チャンバ。
[適用例24]
適用例22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、同じ電圧に接続される、チャンバ。
[適用例25]
適用例22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、異なる電圧に接続される、チャンバ。
[適用例26]
適用例22に記載のチャンバであって、
前記複数の極性領域の各々が、ゾーンを規定し、各ゾーンが電圧源に接続される、チャンバ。
[適用例27]
適用例22に記載のチャンバであって、
前記静電チャックが、
金属ベースと、
前記金属ベース上に配置される誘電体層であって、前記基板の支持面を規定する誘電体層と、
前記誘電体層内に配置される、導電金属から形成される幾何学的パターンと、
前記導電材料に電圧を印加する回路であって、前記誘電体層内に配置される回路と、を備えるチャンバ。
[適用例28]
適用例27に記載のチャンバであって、
前記穴が、前記金属ベースと前記誘電体層とを貫通するように形成される、チャンバ。
本発明の効果は、添付の図面と共に本発明の原理を例示する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態において、処理チャンバ内で半導体ウエハを処理するためのシステムを示す概略図。
【0009】
図2】一実施形態において、静電チャック及びデチャック用のシステムを示す概略図。
【0010】
図3A】一実施形態において、空気圧センサを備える空気圧リフトピンを示す概略図。
【0011】
図3B】一実施形態において、圧電センサを備える空気圧リフトピンを示す概略図。
【0012】
図4A】一実施形態において、空気圧シリンダーの斜視図を示す図。
【0013】
図4B】一実施形態において、空気圧シリンダーの断面図を示す図。
【0014】
図5】別の実施形態において、リフトピン群とセンサピンとを示す図。
【0015】
図6】一実施形態において、1つの空気圧シリンダーに接続可能なリフトピン群を示す図。
【0016】
図7】一実施形態において、リフトピン用の穴を中心としてパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムを示す概略図。
【0017】
図8】一実施形態において、センサピンとリフトピン用の穴を中心としてパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンとを備えるシステムを示す概略図。
【0018】
図9】一実施形態において、リフトピン用の穴を中心として極性領域を形成する別のパターンを備えるシステムを示す概略図。
【0019】
図10】一実施形態において、リフトピン用の穴を中心として極性領域を形成するさらに別のパターンを備えるシステムを示す概略図。
【0020】
図11A】一実施形態において、2つの極性領域を形成するシステムを示す概略図。
【0021】
図11B】一実施形態において、誘電体層の回路を用いて2つの極性領域を形成するシステムを示す概略図。
【0022】
図12】一実施形態において、リフトピン用の穴を中心としてパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムの断面図を示す概略図。
【0023】
図13】一実施形態において、リフトピン用の穴を中心としてパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムの電気回路を示す概略図。
【0024】
図14】一実施形態において、リフトピン用の穴を中心としてパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムの別の電気回路を示す概略図。
【0025】
図15】一実施形態において、センサピンを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理するプロセスを示すフローチャート図。
【0026】
図16】一実施形態において、センサピンを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理する別のプロセスを示すフローチャート図。
【0027】
図17】一実施形態において、リフトピンと1対1に対応するセンサを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理するプロセスを示すフローチャート図。
【0028】
図18】一実施形態において、リフトピンと1対1に対応するセンサを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理する別のプロセスを示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態を十分に理解するために、数多くの詳細を以下で説明する。ただし、当業者には自明のことであるが、これら詳細の一部を省略した実施形態も可能である。また、周知の実施詳細やプロセス操作に関しては詳述しない。
【0030】
図1は、一実施形態において、処理チャンバ内で半導体ウエハを処理するためのシステムを示す概略図である。この図に示すように、システム100は、たとえば、エッチング工程や蒸着工程により半導体ウエハを処理するために用いられる処理チャンバ102を備える。処理チャンバ102は、半導体ウエハ106を固定又は把持するように設計された静電チャック104aを備える。処理チャンバ102は、処理の際にプラズマ領域112内に分配される処理ガスを受け取るように設計された上部電極114を備える。
【0031】
プラズマ領域112は、上部電極114の表面と半導体ウエハ106の表面との間に形成される。上部電極114は、マッチングボックス116aとRF(高周波)電源118aとに接続される。静電チャック104は、マッチングボックス116bとRF電源118bとに接続される。処理チャンバ102は、処理の際に余分なガスを処理チャンバ102の内部から送出させる排出口120を備える。操作時には、たとえば、RF電源118aは、上部電極114にバイアスをかけて、約27MHzの周波数で作動する。RF電源118aは、主に、プラズマ領域112内でプラズマ密度の大部分を生成する役割を果たし、一方、RF電源118bは、主に、プラズマ領域112内でバイアス電圧を発生させる役割を果たす。RF電源118bは、通常、約2MHzのより低い周波数で作動する。
【0032】
図示するシステムは、容量結合プラズマ用の処理チャンバを備えるものであるが、以下で説明する本発明は、上部電極を省略可能なトランス結合プラズマ(TCP:transformer-coupled plasma)用の処理チャンバ等、他の処理チャンバにも適用可能である。すなわち、図1は例示に過ぎず、何ら発明を限定するものではない。
【0033】
図2は、一実施形態において、静電チャック及びデチャック用のシステムを示す概略図である。この図に示すように、処理チャンバ102は、半導体ウエハ106を固定又は把持する静電チャック104を備える。別の実施形態において、半導体ウエハ106の代わりに、処理チャンバ102内での処理に適した他の基板でもよい。静電チャック104は、3本のリフトピン203a、203b及び203c用の穴(又は通路)を備え、リフトピン203a、203b及び203cは、各々、対応する空気圧シリンダー204a、204b又は204cに接続される。これらの空気圧シリンダーは、各々、対応するセンサ205a、205b又は205cに連結される。操作時には、リフトピン203a、203b及び203cが、半導体ウエハ106の底面に対して上向きの力を働かせる。
【0034】
空気圧コントローラ207は、空気圧シリンダー204a、204b及び204cをそれぞれ制御する。一実施形態において、図2に示すように、空気圧コントローラ207は、各シリンダーに対して別々の制御モジュールを備える。ただし、別の実施形態において、空気圧コントローラ207がモジュール化されていなくてもよい。また、この図に示すように、センサ205a、205b及び205cは、センサフィードバック・モジュール210にデータを提供する。このデータは、静電チャック104と半導体ウエハ106との間の静電力(たとえば、残留力又は後処理力)に関するものである。センサフィードバック・モジュール210は、このデータに基づくデータを、本実施形態においては閾値回路209を用いる活性化状態論理回路208に送信する。したがって、たとえば、本実施形態において、所定のセンサにより送信されたデータが所定の閾値よりも大きな静電力を示す場合には、活性化状態論理回路208は、受信したデータを用いて、空気圧コントローラ207に、所定のリフトピンのこれ以上の上方移動を停止させるようにしてもよい。
【0035】
また、図2に示すように、センサフィードバック・モジュール210は、センサデータに基づくデータを電極回路コントローラ211に送信し、電極回路コントローラ211は静電チャック104における極性領域212(P1/P2)を制御する。詳細に関しては後述するが、半導体ウエハ106の均一なチャック及びデチャックが容易になるように、極性領域212を所定のパターンで配置するようにしてもよい。また、詳細に関しては後述するが、電極回路コントローラ211は、受信したデータを用いて、1つ又は複数の極性領域212(P1及び/又はP2)を調節し、静電チャック104と半導体ウエハ106との間の静電力を低下させることにより半導体ウエハ106のデチャックを容易にするようにしてもよい。
【0036】
図3Aは、一実施形態において、空気圧センサを備える空気圧リフトピンを示す概略図である。この図に示すように、空気圧シリンダー204は、リフトピン203を備え、導入管301を通って空気が流入する。空気圧センサ205は、空気圧シリンダー204に接続され、ピストン302の下のシリンダー内部の空気圧(たとえば、psi単位で)を測定する。空気圧センサ205は、空気圧シリンダー204の下に配置される。ただし、この位置は例示に過ぎない。別の実施形態において、空気圧センサ205を、空気圧シリンダー204の側面に配置するようにしてもよいし、あるいは、導入管301に接続させるようにしてもよい。リフトピン203が半導体ウエハに接している場合には、ピストン302の下のシリンダー204内部の空気圧(及び、導入管301内部の空気圧)は、静電チャックと半導体ウエハとの間の静電力に左右される。また、この図に示すように、空気圧センサ205は、空気圧の測定値を、ここでは図示しないが図2に関連して上述したセンサフィードバック・モジュールに送信する。
【0037】
図3Bは、一実施形態において、圧電センサを備える空気圧リフトピンを示す概略図である。この図に示すように、空気圧シリンダー204は、リフトピン203を備え、導入管301を通って空気が流入する。圧電センサ205(たとえば、圧電材料で構成されるセンサ)は、空気圧シリンダー204に接続され、ピストン302の下のシリンダー内部の空気圧(たとえば、psi単位で)を測定する。圧電センサ205は、空気圧シリンダー204の下に配置される。ただし、この位置は例示に過ぎない。別の実施形態において、圧電センサ205を、空気圧シリンダー204の側面に配置するようにしてもよいし、あるいは、導入管301に接続させるようにしてもよい。リフトピン203が半導体ウエハに接している場合には、ピストン302の下のシリンダー204内部の空気圧(及び、導入管301内部の空気圧)は、静電チャックと半導体ウエハとの間の静電力に左右される。また、この図に示すように、圧電センサ205は、空気圧の測定値を、ここでは図示しないが図2に関連して上述したセンサフィードバック・モジュールに送信する。
【0038】
上述したセンサは例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。したがって、別の実施形態において、センサは、歪ゲージやその他適当な代わりのセンサでもよい。
【0039】
図4Aは、一実施形態において、空気圧シリンダーの斜視図を示す図である。この図に示すように、空気圧シリンダー204は、絶縁層又は誘電体層401の下に導電層402を備える静電チャック104の下に配置される。半導体ウエハ106は、静電チャック104に把持される。一実施形態において、導電層402は、アルミニウム又は銅等の金属から形成されるものでもよく、また、絶縁層又は誘電体層401は、アルミナ(酸化アルミニウム)、石英、若しくはイットリウム等の材料又はセラミック材料から成形されるものでもよい。ただし、別の実施形態において、同様の特性を有する他の材料を用いるようにしてもよい。
【0040】
図4Bは、一実施形態において、空気圧シリンダーの断面図を示す図である。この図に示すように、空気圧シリンダー204は、導入管403から流入する圧縮ガスを用いて、静電チャック104内の穴を通してリフトピン203を持ち上げて、リフトピン203を半導体ウエハ106に接触させる。図4Aに示すように、静電チャック104は、絶縁層又は誘電体層401の下に導電層402を備える。一実施形態において、ガスとして、単純に空気を用いることができるが、別の実施形態において、他の適当なガス(たとえば、不活性ガス)を用いるようにしてもよい。また、一実施形態において、リフトピン203は、導電層402と同様の導電材料(たとえば、アルミニウム)から形成されるものでもよい。
【0041】
図5は、別の実施形態において、リフトピン群とセンサピンとを示す図である。この図に示すように、静電チャック104は、絶縁層又は誘電体層401の下に導電層402を備える。3本のリフトピン203a、203b及び203cは、各々、静電チャック104を貫通して、対応するリフトアセンブリ403a、403b及び403cに接続される。リフトアセンブリ403a、403b及び403cは、以下の図を参照して説明するような(図示しない)ピンリフター・ヨークに各々接続される。前述した空気圧シリンダーと異なり、これらのリフトアセンブリの各々は、対応するセンサに連結されない。センサピン501は、図3に示すリフトピンと同様に、半導体ウエハと静電チャック104との間の静電力を測定する。センサピン501も、また、導電層402と同様の導電材料(たとえば、アルミニウム)から形成されるものでもよい。さらに、別の実施形態において、センサピン501を、空気圧センサ、圧電センサ、歪ゲージ等のセンサと連結するようにしてもよい。
【0042】
図6は、一実施形態において、1つの空気圧シリンダーに接続可能なリフトピン群を示す図である。この図に示すように、3本のリフトピン203a、203b及び203cは、各々、対応するリフトアセンブリ403a、403b及び403cに接続される。これらのリフトアセンブリは、各々、ピンリフター・ヨーク502に接続され、ピンリフター・ヨーク502は、図示しない空気圧シリンダーによってスポーク503a及び503c(第3のスポークは図示されていない)から上方に持ち上げられる。同様に、リフトピンが貫通する静電チャックもこの図には図示されていない。一実施形態において、この図に示すピンリフター・ヨーク502を、図5に示すリフトピン203a、203b及び203cと共に用いるようにしてもよい。
【0043】
別の実施形態において、センサピンを、ピンリフター・ヨークに接続されるというよりむしろ自己の空気圧シリンダーを備えるリフトピンと共に用いるようにしてもよい。ただし、この実施形態では、リフトピンの空気圧シリンダーは対応するセンサを備えず、センサはセンサピンのみである。
【0044】
図7は、一実施形態において、リフトピン用の穴(又は通路)の周囲にパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムを示す概略図である。ここで用いられる「穴の周囲」という用語は、穴の近傍に、穴に隣接して、穴の全周に、穴の一部の周囲に、又は、穴を中心として、パターン化した極性領域が配置されることを意味する。ただし、「中心」は、正確な中心を意味するのではなく、リフトピンの穴又は通路の中心のまわりを意味する。この図に示すように、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーンを備え、各ゾーンはリフトピン用の穴を中心として形成される。したがって、穴704aを中心とするゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701aを含み、極性領域701aは、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703aから誘電体領域702aにより分離される。同様に、穴704bの周囲のゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701bを含み、極性領域701bは、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703bから誘電体領域702bにより分離される。また、穴704cの周囲のゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701cを含み、極性領域701cは、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703cから誘電体領域702c(Di)により分離される。ここで、各極性領域は、印加電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)の作用によりその極性(たとえば、正の極性又は負の極性)を獲得する。したがって、たとえば、極性領域703aは、P1回路を介して印加電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を受ける埋め込み導電層(又は電極パターン)を備えるものでもよい。また、極性領域701aは、P2回路を介して印加電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を受ける埋め込み導電層(又は電極パターン)を備えるものでもよい。
【0045】
一実施形態において、P1極性を有する極性領域の総表面積とP2極性を有する極性領域の総表面積とをほぼ等しくするようにしてもよい。半導体ウエハを把持又はチャックする際に、これら総表面積の各々に同じ電圧を印加して、反りを防止するようにしてもよい。ただし、別の実施形態において、P1極性を有する極性領域の総表面積とP2極性を有する極性領域の総表面積とを異ならせるとともに、これら総表面積の各々に異なる電圧を印加するようにしてもよい。
【0046】
別の実施形態において、静電チャックをバイポーラ(双極性)ではなくユニポーラ(単極性)としてもよい。このような実施形態において、極性P2を有する極性領域が存在しないものでもよい。したがって、たとえば、1つのゾーン内の極性領域701a及び703aを両方とも極性P1を有する領域とする一方で、誘電体領域702aに分離されるとともに、絶縁層又は誘電体層401に形成されたリフトピン704a用の穴を中心として又は穴の周囲に形成されるものでもよい。
【0047】
図8は、一実施形態において、センサピンとリフトピン用の穴を中心として、又は、穴の周囲に、パターン化した極性領域が形成された複数のゾーンとを備えるシステムを示す概略図である。図8の大部分は図7と同一である。すなわち、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーンを備え、各ゾーンはリフトピン用の穴の周囲に形成される。したがって、穴704aの周囲のゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701aを含み、極性領域701aは、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703aから誘電体領域702aにより分離される。同様に、穴704bの周囲のゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701bを含み、極性領域701bは、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703bから誘電体領域702bにより分離される。また、穴704cの周囲のゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701cを含み、極性領域701cは、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703cから誘電体領域702c(Di)により分離される。
【0048】
さらに、図8に、上述したようなセンサピン用の穴805を示す。したがって、図5Bに示すピンリフター・ヨークを有する実施形態やリフトピンの空気圧シリンダーが対応するセンサを持たない実施形態で図8の構成を利用可能である。
【0049】
図9は、一実施形態において、リフトピン用の穴を中心として、又は、穴の周囲に、極性領域を形成する別のパターンを備えるシステムを示す概略図である。この図に示すように、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーン、すなわち、ゾーン1、ゾーン2及びゾーン3を備える。この例でも、各ゾーンはリフトピン用の穴の周囲に形成される。したがって、穴704の周囲のゾーンは、電気極性P1(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701を含み、極性領域701は、反対の電気極性P2を有する別の極性領域703から誘電体領域702により分離される。上述の実施形態では極性領域が半円状であるのに対して、この実施形態では極性領域がリング状である。
【0050】
図10は、一実施形態において、リフトピン用の穴の周囲に極性領域を形成するさらに別のパターンを備えるシステムを示す概略図である。この図に示すように、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーンを備え、各ゾーンはリフトピン用の穴の周囲に形成される。したがって、穴704の周囲のゾーンは、電気極性P1(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701を含み、極性領域701は、反対の電気極性P2を有する別の極性領域703から誘電体領域702により分離される。さらに、別の極性領域703は、誘電体領域1001により、極性P1を有するまた別の極性領域1002から分離される。図8図10等に示す幾何学的パターンの代わりに、別の幾何学的パターンとしてもよい。すなわち、これらの図に示す幾何学的パターンは例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。
【0051】
図示した上述の実施形態では、誘電体層401は3つのゾーンを備えるものであったが、別の実施形態において、2つのゾーンだけ、又は、4つ、5つ、6つ又はそれ以上のゾーンを備えるものでもよい。一般に、ゾーンの数は、リフトピンの数によって決まるが、リフトピンの数よりもゾーンの数が少ない実施形態やリフトピンの数よりもゾーンの数が多い実施形態も可能である。
【0052】
図11Aは、一実施形態において、2つの極性領域を形成するシステムを示す概略図である。この図に示すように、半導体ウエハ106は、静電チャック104の絶縁層又は誘電体層401により把持される。絶縁層又は誘電体層401の内部に、「電極パターン」とも称される2つの埋め込み導電層1101a及び1101bが形成される。たとえば、共有米国特許第7,525,787号参照。これらの埋め込み導電層は、タングステン等の金属から形成可能であるが、別の実施形態において、(銅等の他の金属を含む)他の適当な材料を用いるようにしてもよい。一実施形態において、絶縁層又は誘電体層401の厚さAは、約0.02〜0.06インチ(0.508〜1.524mm)の範囲でもよく、埋め込み導電層1101a及び1101bの厚さBは、0.0001〜0.0005インチ(0.00254〜0.0127mm)の範囲でもよい。
【0053】
また、図11Aに示すように、各埋め込み層は、半導体ウエハと静電チャックとの間の静電力に寄与する(たとえば、正の極性又は負の極性の)極性領域を形成する対応回路に接続される。したがって、埋め込み導電層1101aはP1(極1)回路212aに接続され、また、埋め込み導電層1101bはP2(極2)回路212bに接続される。図11Aは、静電チャック104と半導体ウエハ106とに交差する左側のS字状の線で示すように、図示及び説明の便宜上、一部を切り取った図である。切り取る前の構造において、誘電体層401がさらに別の埋め込み導電層を備えるものでもよい。
【0054】
図11Bは、一実施形態において、誘電体層の回路を用いて2つの極性領域を形成するシステムを示す概略図である。この図に示すように、半導体ウエハ106は、静電チャック104の絶縁層又は誘電体層401により把持される。絶縁層又は誘電体層401の内部に、2つの埋め込み導電層1101a及び1101bが形成される。さらに、絶縁層又は誘電体層401の内部に、2つの電気的接続1102a及び1102bが形成される。電気的接続1102aは、(たとえば、誘電体層401に形成された穴を介して)埋め込み導電層1101aをP1(極1)回路212aに接続し、極性領域(たとえば、正の極性又は負の極性)を形成する。同様に、電気的接続1102bは、(たとえば、誘電体層401に形成された穴を介して)埋め込み導電層1101bをP2(極2)回路212bに接続し、極性領域(たとえば、正の極性又は負の極性)を形成する。図11Bも、静電チャック104と半導体ウエハ106とに交差する左側のS字状の線で示すように、図示及び説明の便宜上、一部を切り取った図である。切り取る前の構造において、誘電体層401がさらに別の埋め込み導電層を備えるものでもよい。
【0055】
図11Bに示すような埋め込み導電層及び電気的接続を備える誘電体層は、既存の微細加工又は微細製造技術を用いて製造可能である。
【0056】
図12は、一実施形態において、リフトピン用の穴の周囲にパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムの断面図を示す概略図である。この図に示すように、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーンを備え、各ゾーンはリフトピン用の穴の周囲に形成される。したがって、穴704の周囲のゾーンは、電気極性P2(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701を含み、極性領域701は、反対の電気極性P1を有する別の極性領域703から誘電体領域702により分離される。
【0057】
断面図1201は、絶縁層又は誘電体層401を、その回路とこの層を貫通するリフトピン203のうちの2つと共に示す。リフトピンは、各々、対応する空気圧シリンダー204を備える。断面図1201に示すように、P1回路212aは極性領域703に接続され、P2回路212bは極性領域701に接続される。前述したように、各極性領域は、タングステン等の材料から形成され、回路に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加する際に領域の極性(正の極性又は負の極性)を形成する埋め込み導電層を備える。
【0058】
図13は、一実施形態において、リフトピン用の穴の周囲にパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムの電気回路を示す概略図である。この図に示すように、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーンを備え、各ゾーンはリフトピン用の穴の周囲に形成される。したがって、穴704の周囲のゾーンは、電気極性P1(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701を含み、極性領域701は、反対の電気極性P2を有する別の極性領域703から誘電体領域702により分離される。さらに、別の極性領域703は、誘電体領域1001により、極性P1を有するまた別の極性領域1002から分離される。絶縁層又は誘電体層401は、さらに、センサピン501用の穴を備える。この図に示すように、P1回路212aは極性領域701及び1001に接続され、P2回路212bは極性回路703に接続される。前述したように、各極性領域は、タングステン等の材料から形成され、回路に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加する際に領域の極性(正の極性又は負の極性)を形成する埋め込み導電層を備える。
【0059】
図14は、一実施形態において、リフトピン用の穴の周囲にパターン化した極性領域が形成された複数のゾーンを備えるシステムの別の電気回路を示す概略図である。この図に示すように、静電チャックの絶縁層又は誘電体層401は3つのゾーンを備え、各ゾーンはリフトピン用の穴の周囲に形成される。したがって、穴704の周囲のゾーンは、電気極性P1(たとえば、正の極性又は負の極性)を有する極性領域701を含み、極性領域701は、反対の電気極性P2を有する別の極性領域703から誘電体領域702により分離される。さらに、別の極性領域703は、誘電体領域1001により、極性P1を有するまた別の極性領域1002から分離される。
【0060】
この図に示すように、212(PIN−1)におけるP1回路は極性領域701及び1001に接続され、212におけるP2回路は極性回路703に接続される。各ゾーンは、それぞれ対応するP1−P2回路、たとえば、PIN−1、PIN−2及びPIN−3を有する。この回路構成は、1つのP1回路と1つのP2回路とが3つのゾーンすべてに接続される図13の回路構成とは異なる。図13の回路構成では、別々のゾーンのP1領域に別々の電圧を印加することはできない。これに対して、図14に示す回路構成では、たとえば、第1のゾーンのP1、第2のゾーンのP1及び第3のゾーンのP1にそれぞれ異なる電圧を印加することが可能である。
【0061】
図15は、一実施形態において、センサピンを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理するプロセスを示すフローチャート図である。プロセスコントローラの観点から、このプロセスを説明する。ここで、プロセスコントローラは、一実施形態において、Linux(登録商標)又はWindows(登録商標)オペレーティングシステムのx86プロセッサ・プラットフォーム上で実行されるアプリケーションプログラムを備えるものでもよい。
【0062】
プロセスの工程1501で、プロセスコントローラは、処理チャンバ内において、前述したように各々リフトピンの周囲に形成された極性領域のパターンを含む複数のゾーンを備える静電チャック上に半導体ウエハを載置する。工程1502で、プロセスコントローラは、ゾーン内の極性領域の1つまたは複数に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加することにより、半導体ウエハを静電チャックに固定する。次に、工程1503で、プロセスコントローラは、プラズマを発生させ、発生したプラズマを用いて、基板をエッチングする、基板上に材料を蒸着させる、又は、その他の半導体製造作業を行なうことにより、半導体ウエハを処理する。
【0063】
工程1504で、プロセスコントローラは、処理を終了する。工程1505で、プロセスコントローラは、リフトピンを用いた静電チャックからの半導体ウエハの持ち上げを開始する。次に、工程1506で、プロセスコントローラは、上述したセンサピンを用いて、半導体ウエハと静電チャックとの間の静電力を測定する。工程1507で、プロセスコントローラは、センサピンの測定結果に基づいて、リフトピンの上向きの力(たとえば、空気圧)を調整する。
【0064】
図16は、一実施形態において、センサピンを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理する別のプロセスを示すフローチャート図である。プロセスの工程1601で、プロセスコントローラは、処理チャンバ内において、前述したように各々リフトピンの周囲に形成された極性領域のパターンを含む複数のゾーンを備える静電チャック上に半導体ウエハを載置する。工程1602で、プロセスコントローラは、ゾーン内の極性領域の1つまたは複数に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加することにより、半導体ウエハを静電チャックに固定する。次に、工程1603で、プロセスコントローラは、プラズマを発生させ、発生したプラズマを用いて、基板をエッチングする、基板上に材料を蒸着させる、又は、その他の半導体製造作業を行なうことにより、半導体ウエハを処理する。
【0065】
工程1604で、プロセスコントローラは、処理を終了し、極性領域に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加することによりデチャックを開始する。このような電圧の印加は図15に示すプロセスでは実行されない。このようなデチャック電圧に関しては、米国特許第5,612,850号に記載されている。次に、図16に示すプロセスの工程1605で、リフトピンを用いた静電チャックからの半導体ウエハの持ち上げを開始する。次に、工程1606で、プロセスコントローラは、上述したセンサピンを用いて、半導体ウエハと静電チャックとの間の静電力を測定する。工程1607で、プロセスコントローラは、センサピンの測定結果に基づいて、リフトピンの上向きの力(たとえば、空気圧)及び/又はデチャック電圧を調整する。
【0066】
図17は、一実施形態において、リフトピンと1対1に対応するセンサを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理するプロセスを示すフローチャート図である。プロセスコントローラの観点から、このプロセスを説明する。ここで、プロセスコントローラは、一実施形態において、Linux(登録商標)又はWindows(登録商標)オペレーティングシステムのx86プロセッサ・プラットフォーム上で実行されるアプリケーションプログラムを備えるものでもよい。
【0067】
プロセスの工程1701で、プロセスコントローラは、処理チャンバ内において、前述したように各々リフトピンの周囲に形成された極性領域のパターンを含む複数のゾーンを備える静電チャック上に半導体ウエハを載置する。工程1702で、プロセスコントローラは、ゾーン内の極性領域の1つまたは複数に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加することにより、半導体ウエハを静電チャックに固定する。次に、工程1703で、プロセスコントローラは、プラズマを発生させ、発生したプラズマを用いて、基板をエッチングする、基板上に材料を蒸着させる、又は、その他の半導体製造作業を行なうことにより、半導体ウエハを処理する。
【0068】
工程1704で、プロセスコントローラは、処理を終了する。工程1705で、プロセスコントローラは、リフトピンを用いた静電チャックからの半導体ウエハの持ち上げを開始する。次に、工程1706で、プロセスコントローラは、前述したようにリフトピンと1対1に対応するセンサを用いて、半導体ウエハと静電チャックとの間の静電力を測定する。工程1707で、プロセスコントローラは、センサの測定結果に基づいて、リフトピンの上向きの力(たとえば、空気圧)を調整する。
【0069】
図18は、一実施形態において、リフトピンと1対1に対応するセンサを有する静電チャックを備える処理チャンバ内で半導体ウエハを処理する別のプロセスを示すフローチャート図である。プロセスの工程1801で、プロセスコントローラは、処理チャンバ内において、前述したように各々リフトピンの周囲に形成された極性領域のパターンを含む複数のゾーンを備える静電チャック上に半導体ウエハを載置する。工程1802で、プロセスコントローラは、ゾーン内の極性領域の1つまたは複数に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加することにより、半導体ウエハを静電チャックに固定する。次に、工程1803で、プロセスコントローラは、プラズマを発生させ、発生したプラズマを用いて、基板をエッチングする、基板上に材料を蒸着させる、又は、その他の半導体製造作業を行なうことにより、半導体ウエハを処理する。
【0070】
工程1804で、プロセスコントローラは、処理を終了し、1つ又は複数の極性領域に電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)を印加することによりデチャックを開始する。このような電圧の印加は図17に示すプロセスでは実行されない。次に、図18に示すプロセスの工程1805で、リフトピンを用いた静電チャックからの半導体ウエハの持ち上げを開始する。次に、工程1806で、プロセスコントローラは、前述したようにリフトピンと1対1に対応するセンサを用いて、半導体ウエハと静電チャックとの間の静電力を測定する。工程1807で、プロセスコントローラは、センサの測定結果に基づいて、極性領域におけるデチャック電圧を調整する。次に工程1808で、プロセスコントローラは、センサの測定結果に基づいて、リフトピンの上向きの力(たとえば、空気圧)を調整する。
【0071】
図18で説明したプロセスは、印加電圧(たとえば、直流電圧すなわちDC電圧)及びリフトピンと1対1に対応するセンサの両方を用いて、半導体ウエハを静電チャックから分離させている。電圧の印加及びリフトピンの上向きの力をゾーンごとに変化させ、静電力がリフトピンによる半導体ウエハに対する損傷を引き起こす可能性のある位置に関して「ピンポイント」調整を行なうようにしてもよい。
【0072】
別の実施形態において、1つ又は複数の極性領域に印加される電圧(大きさ及び時間)は、所定の式に基づくものでもよい。この式は、ウエハ上で実施されると考えられる処理に基づいて定義されるものでもよい。たとえば、特定の種類のエッチングレシピが想定される場合に、所定の予期デチャック電圧及び持続時間を適用するようにしてもよい。一実施形態において、チャック上に導電パターンを配置することにより(すなわち、極性領域を定義することにより)、持ち上げ点におけるデチャックをより効果的に実施することができる。
【0073】
上述した実施形態を念頭において、本発明は、コンピュータシステム内に記憶されるデータが関与する様々なコンピュータ実施操作を採用するようにしてもよい。これらの操作は、物理量の物理的な操作を必要とする作業である。必ずではないが、通常、これらの量は、記憶、移動、結合、比較及びその他の操作が可能な電気信号や磁気信号の形態をとる。さらに、多くの場合、実施される操作は、生成、特定、判定又は比較等の観点から説明される。
【0074】
本発明の一部を形成する上述した操作は、いずれも、機械操作としても有用である。本発明は、また、これらの操作を実施するデバイスまたは装置に関する。装置は、上述したキャリアネットワーク等の必要な目的のために特別に構成されるものでもよいし、あるいは、コンピュータに格納されるコンピュータプログラムによって選択的に起動される又は構成される汎用コンピュータでもよい。具体的には、様々な汎用機を、本明細書の記載に従って書かれたコンピュータプログラムと共に用いるものでもよいし、必要な操作を実行するための専用装置を構成するほうがより便利な場合もある。
【0075】
本発明を、コンピュータ読み取り可能な媒体上のコンピュータ読み取り可能なコードとして実現するようにしてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、後にコンピュータシステムによって読み取り可能なデータを記憶できる任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、ハードディスクドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS:network attached storage)、リード・オンリ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、フラッシュメモリ、磁気テープ並びにその他の光学的及び非光学的データ記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体をネットワーク結合コンピュータシステム上で分配して、コンピュータ読み取り可能なコードを分散して格納及び実行するようにしてもよい。
【0076】
以上、理解を助ける目的で実施形態を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲内で変更及び変形が可能であることは明らかである。たとえば、別の実施形態において、静電チャックをバイポーラやユニポーラでなくトリポーラ(三極性)としてもよい(たとえば、極性領域は、正の極性又は負の極性に加えて大きさにも関連付けられるものでもよい)。したがって、上述した実施形態は例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明は、上述した詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその等価の範囲内で変形可能である。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18