【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の少なくとも一実施形態に係るデフロストシステムは、
(1)冷凍庫の内部に設けられ、ケーシング、該ケーシングの内部に高低差をもって配置された熱交換管、及び前記熱交換管の下方に設けられたドレン受け部を有する冷却器と、
CO
2冷媒を冷却液化するように構成された冷凍機と、
前記冷凍機で冷却液化したCO
2冷媒を前記熱交換管に循環させるための冷媒回路と
を有する冷凍装置のデフロストシステムであって、
前記熱交換管の入口路及び出口路の間に接続され、前記熱交換管を含むCO
2循環路を形成するためのバイパス管と、
前記熱交換管の入口路及び出口路に設けられ、デフロスト時に閉じて前記CO
2循環路を閉回路とするための開閉弁と、
デフロスト時に前記閉回路を循環するCO
2冷媒を圧力調整するための圧力調整部と、
第1加熱媒体であるブラインが循環し、前記冷却器の内部で前記熱交換管に隣接配置され、前記熱交換管の下部領域に前記ブラインで前記熱交換管を循環するCO
2冷媒を加熱する第1熱交換部を形成する第1導設路を含むブライン回路と、を備え、
デフロスト時に前記閉回路でCO
2冷媒をサーモサイフォン作用により自然循環させるようにしている。
【0012】
前記構成(1)において、デフロスト時に前記開閉弁を閉じることで、前記閉回路が形成され、前記閉回路は前記バイパス路を除き前記冷却器の内部に設けられた前記熱交換管で構成される。前記閉回路内のCO
2冷媒は、前記圧力調整部によって冷凍庫の庫内空気に存在する水蒸気の氷点(例えば0℃)より高温の凝縮温度となるように圧力調整されると共に、前記熱交換管の下部領域に形成された第1熱交換部でブラインによって加熱され気化する。気化したCO
2冷媒は、冷凍庫の庫内空気に存在する水蒸気の氷点より高温となる。また、気化したCO
2冷媒の保有熱で熱交換管の下部領域の霜が融解される。
【0013】
閉回路内で気化したCO
2冷媒ガスは、サーモサイフォン作用により閉回路を上昇し、閉回路の上部領域において熱交換管の外表面に付着した霜をその凝縮潜熱で融解する。閉回路の上部領域でCO
2冷媒は霜に熱を放出して液化し、液化したCO
2冷媒液は重力で閉回路を前記第1熱交換部まで下降する。第1熱交換部まで下降したCO
2冷媒液はブラインで加熱されて気化し上昇する。
このように、閉回路内のCO
2冷媒はサーモサイフォン作用によって自然循環しながら熱交換管の外表面に付着した霜を融解する。
【0014】
ここで、「冷凍庫」とは冷蔵庫その他冷却空間を形成するものをすべて含むものであり、ドレン受け部とは、ドレンパンを含み、ドレンを受けて貯留可能な機能を有するものすべてを含んでいる。
また、前記熱交換管の入口路及び出口路とは、前記冷却器のケーシングの隔壁付近から前記ケーシングの外側であって前記冷凍庫の内部に設けられる熱交換管の範囲を言う。
【0015】
従来のデフロスト方式は、特許文献3に開示されているように、プエートフィンなどを通した外部からの熱伝導によりブラインの保有熱を熱交換管(外表面)に伝達しているため、熱伝達効率が高くならない。
これに対し、前記構成(1)によれば、庫内空気中の水蒸気の氷点を超えた凝縮温度を有するCO
2冷媒の凝縮潜熱を用い、熱交換管の内部から管壁を介して熱交換管の外表面に付着した霜を除去するので、霜への熱伝達量を増加できる。
【0016】
また、従来のデフロスト方式では、デフロストの初期に投入された熱量が冷却器内全域のCO
2冷媒液の蒸発に費やされるため熱効率が低下する。これに対し、前記構成(1)によれば、デフロスト時に形成される閉回路は他の部位との熱の授受が遮断されるため、閉回路内の熱エネルギが外部に放散されず、省エネ可能なデフロストを実現できる。
また、熱交換管及びバイパス路で形成される閉回路で、サーモサイフォン作用を利用してCO
2冷媒を自然循環させるようにしているので、閉回路の全領域で熱交換管に付着した霜を融解できると共に、CO
2冷媒を循環させるポンプ動力が不要になり、さらなる省エネが可能になる。
【0017】
デフロスト運転時のCO
2冷媒の温度を庫内水蒸気の氷点に近い温度に保持するほど、モヤの発生を抑制できると共に、CO
2冷媒の圧力を低減できる。そのため、前記閉回路を構成する配管及び弁類を低圧仕様とすることができ、さらなる低コスト化が可能になる。
また、前記第1導設路を熱交換管の上部領域に配設しないので、冷却器の内部で空気流を形成するためのファンの動力を低減できる。また、上部領域の余ったスペースに熱交換管を余分に設けることで、冷却器の冷却能力を高めることができる。
【0018】
なお、ブラインの加熱源として、例えば、冷凍機を構成する圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒ガス、工場の温排水、ボイラから発せられる熱又はオイルクーラの保有熱を吸収した媒体等、任意の加熱媒体を用いることができる。
これによって、工場の余剰排熱をブラインを加熱する熱源として利用できる。
【0019】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、
(2)前記第1導設路は前記冷却器の内部で前記熱交換管の下部領域のみに配設され、
前記冷却器の内部に導設された前記第1導設路の全域で前記第1熱交換部を形成するようにしている。
前記構成(2)によれば、前記熱交換管の下部領域のみに配設される第1導設路で第1熱交換部を形成するため、冷却器の内部でファンなどによって形成される空気流の圧力損失を低減できる。そのため、ファンなどの空気流形成装置の動力を低減できる。
また、熱交換管の上部領域では第1導設路を設けない分熱交換管を余分に設けることができ、冷却器の冷却能力を高めることができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、
(3)前記第1導設路は前記冷却器の内部で高低差をもって配置され、かつ前記ブラインが下方から上方へ流れるように構成され、
前記第1導設路の上下方向中間位置に流量調整弁が設けられ、該流量調整弁より上流側の前記第1導設路で前記第1熱交換部が形成される。
前記構成(3)によれば、前記流量調整弁でブラインの流量を絞り、前記第1導設路の上部領域に流入するブラインの流量を制限することで、前記第1熱交換部の形成を前記熱交換管の下部領域のみに制限できる。
そのため、特許文献3に開示された冷却器のように、温ブラインなどが循環する加熱チューブが熱交換管の上下方向全域に配設された既存の冷却器であっても、熱交換管に流量調整弁を付設するだけの簡単な改造によって、前記閉回路でCO
2冷媒をサーモサイフォン作用によって自然循環させるようにした省エネ及び低コストなデフロストが可能になる。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(3)の何れかにおいて、
(4)前記圧力調整部は、前記熱交換管の出口路に設けられた圧力調整弁である。
前記構成(4)によれば、前記圧力調整部を簡易かつ低コスト化できる。前記閉回路のCO
2冷媒が設定圧力を超えたとき、CO
2冷媒の一部は前記圧力調整弁を通して冷媒回路に戻され、閉回路は設定圧力を維持する。
【0022】
(5)幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(3)の何れかにおいて、
前記圧力調整部は、前記第1熱交換部に流入する前記ブラインの温度を調整して前記閉回路を循環するCO
2冷媒の圧力を調整するものである。
前記構成(4)では、前記ブラインで閉回路内のCO
2冷媒を加熱することで、閉回路内のCO
2冷媒の圧力を高める。
前記構成(4)によれば、冷却器毎に圧力調整部を設ける必要がなく、1個の圧力調整部で済むので低コスト化できると共に、前記閉回路の圧力調整を冷凍庫の外部から行うことができ、閉回路の圧力調整が容易になる。
【0023】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(5)の何れかにおいて、
(6)前記ブライン回路は前記ドレン受け部に導設された第2導設路を含んでいる。
前記構成(6)によれば、前記第2導設路をドレン受け部に導設することで、デフロスト時にドレン受け部に付着した霜をブラインの熱で除去することができる。そのため、ドレンパンに除霜用加熱器を別に付設する必要がなく低コスト化できる。
【0024】
幾つかの実施形態では、前記構成(6)において、
(7)前記第1導設路と前記第2導設路とを並列又は直列に接続可能にするための流路切替部をさらに備えている。
前記構成(6)によれば、前記第1導設路と前記第2導設路とを直列に接続すれば、これらを流れるブラインの流量を増加できるので、保有熱の利用率を向上できる。また、第1導設路と第2導設路とを並列に接続すれば、これらを流れるブラインの流量及び温度の設定可能な範囲を広げることができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(7)の何れかにおいて、
(8)前記ブライン回路の入口及び出口に夫々設けられ、前記入口及び前記出口を流れる前記ブラインの温度を検出するための第1温度センサ及び第2温度センサをさらに備えている。
前記構成(8)において、前記2つの温度センサの検出値の差が小さくなった時はデフロストがほぼ完了したことを示している。霜に対する加熱方式がブラインによる顕熱加熱であるため、CO
2冷媒による潜熱加熱と異なり、前記検出値の差を求めることで、デフロスト運転終了のタイミングを正確に判定できる。
そのため、冷凍庫内の過剰な加熱や過剰な加熱による水蒸気拡散を防ぐことができるので、さらなる省エネを達成できると共に、庫内温度を安定化でき、冷凍庫に保冷された食品の品質向上を実現できる。
【0026】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、
(9)前記冷凍機は、
NH
3冷媒が循環し冷凍サイクル構成機器が設けられた一次冷媒回路と、
CO
2冷媒が循環し、前記冷却器に導設されると共に、前記一次冷媒回路とカスケードコンデンサを介して接続された二次冷媒回路と、
前記二次冷媒回路に設けられ、前記カスケードコンデンサで液化されたCO
2冷媒を貯留するためのCO
2受液器、及び該CO
2受液器に貯留されたCO
2冷媒を前記冷却器に送るCO
2液ポンプとを有している。
【0027】
前記構成(9)によれば、NH
3及びCO
2の自然冷媒を用いた冷凍機であるので、オゾン層破壊防止や温暖化防止等に寄与できる。また、冷却性能は高いが毒性があるNH
3を一次冷媒とし、無毒かつ無臭のCO
2を二次冷媒としているので、室内の空調や食品などの冷凍に用いることができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、
(10)前記冷凍機は、
NH
3冷媒が循環し冷凍サイクル構成機器が設けられた一次冷媒回路と、
前記CO
2冷媒が循環し、前記冷却器に導設されると共に、前記一次冷媒回路とカスケードコンデンサを介して接続され、冷凍サイクル構成機器が設けられた二次冷媒回路と、を有するNH
3/CO
2二元冷凍機である。
前記構成(10)によれば、自然冷媒を用いることで、オゾン層破壊防止や温暖化防止等に寄与できると共に、二元冷凍機であるため、冷凍機の冷却能力を増大でき、かつCOP(成績系数)を向上させることができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、前記構成(9)又は(10)において、
(11)前記一次冷媒回路に前記冷凍サイクル構成機器の一部として設けられた凝縮器に導設された冷却水回路をさらに備え、
第2加熱媒体は前記冷却水回路を循環し前記凝縮器で加熱された冷却水であり、
第2熱交換部は、
前記冷却水回路及び前記ブライン回路が導設され、前記冷却水回路を循環し前記凝縮器で加熱された冷却水と前記ブライン回路を循環するブラインとを熱交換するための熱交換器で構成されている。
【0030】
前記構成(11)によれば、凝縮器で加熱された冷却水でブラインを加熱できるので、冷凍装置外の加熱源が不要になる。
また、デフロスト時に前記ブラインで冷却水の温度を低下できるので、冷凍運転時のNH
3冷媒の凝縮温度を下げ、冷凍機のCOPを向上できる。
さらに、前記冷却水回路が凝縮器と冷却塔との間に配設される例示的な実施形態では、前記第2熱交換部を冷却塔内に設けることもでき、これによって、デフロストに使用される装置の設置スペースを縮小できる。
【0031】
幾つかの実施形態では、前記構成(9)又は(10)において、
(12)前記一次冷媒回路に前記冷凍サイクル構成機器の一部として設けられた凝縮器に導設された冷却水回路をさらに備え、
前記第2加熱媒体は前記冷却水回路を循環し前記凝縮器で加熱された冷却水であり、
前記第2熱交換部は、
前記冷却水回路を循環する冷却水を散布水と熱交換させて冷却するための冷却塔と、
前記散布水を導入し該散布水と前記ブライン回路を循環するブラインとを熱交換するための加熱塔とで構成されている。
前記構成(12)によれば、加熱塔を冷却塔と一体にすることで、第1の熱交換部の設置スペースを縮小できる。
【0032】
本発明の少なくとも一実施形態に係る冷却ユニットは、
(13)ケーシング、該ケーシングの内部に上下方向に高低差をもって配置された熱交換管、及び該熱交換管の下方に設けられたドレンパンを有する冷却器と、
前記熱交換管の入口路及び出口管の間に接続され、前記熱交換管を含むCO
2循環路を形成するためのバイパス管と、
前記熱交換管の入口路及び出口路に設けられ、デフロスト時に閉じて前記CO
2循環路を閉回路とするための開閉弁と、
デフロスト時に前記閉回路を循環するCO
2冷媒を圧力調整するための圧力調整弁と、
第1加熱媒体であるブラインが循環し、前記冷却器の内部で前記熱交換管の下部領域に隣接配置され、前記熱交換管の下部領域に前記ブラインで前記熱交換管を循環するCO
2冷媒を加熱する第1熱交換部を形成する第1導設路、及び前記ドレンパンに導設された第2導設路を含むブライン回路と、
前記第1導設路と前記第2導設路とを並列又は直列に接続可能にするための流路切替部
と、を備えている。
【0033】
前記構成(13)を備えた冷却ユニットを用いることで、冷凍庫へのデフロスト装置付き冷却器の取付けが容易になると共に、前記閉回路を循環するCO
2冷媒の蒸発潜熱を利用した省エネかつ低コストなデフロストが可能になる。
また、この冷却ユニットの各部品を一体に組立てておくことで、さらに冷凍庫への取付けが容易になる。
【0034】
幾つかの実施形態では、前記構成(13)において、
(14)前記第1導設路は前記熱交換管の下部領域のみに配設され、
前記冷却器の内部に導設された前記第1導設路の全域で前記第1熱交換部を形成するようにしている。
前記構成(14)によれば、第1導設路を熱交換管の下部領域のみに配設することで、
冷却器の内部に空気流を形成するためのファンなどの空気流形成装置の動力を低減できる簡素な構成の冷却ユニットとすることができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、前記構成(13)において、
(15)前記第1導設路は前記冷却器の内部で高低差をもって配置され、かつ前記ブラインが下方から上方へ流れるように構成され、
前記第1導設路の上下方向中間位置に流量調整弁が設けられている。
前記構成(15)において、デフロスト運転時に前記流量調整弁の開度を絞ることで、熱交換管の下部領域に前記第2の熱交換部を形成できる。
前記構成(15)によれば、熱交換管のほぼ全域に第1導設路を設けた既存のデフロスト装置付き冷却器を簡単に改造するだけで、省エネかつ低コストなデフロストが可能なデフロスト装置付き冷却ユニットを実現できる。
【0036】
なお、前記構成(13)〜(15)の何れかにおいて、前記ドレンパンに補助加熱用電気ヒータをさらに付設することができる。
これによって、ドレンパンに落下した溶解水の再凍結抑制効果を向上できると共に、ドレンパンに導設された前記第2導設路を流れるブラインの補助的に加熱できるデフロスト装置付き冷却器の組立が容易になる。