(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得したパルスモータの残パルス量が、パルスモータに故障が発生した際の残パルス量の平均値である故障平均パルス量に対し所定の近似率以上近似するか否かを判定し、
近似すると判定した場合、前記パルスモータが異常傾向であると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の保守サポートシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0012】
≪自動分析装置≫
本実施形態に係る自動分析装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置100の構成概略図である。なお、以下の説明において、自動分析装置100は、吸光度の測定を行うものとして説明するが、これに限られるものではない。
【0013】
自動分析装置100は、試料を入れた試料容器101が複数個設置された検体ラック102を搬送するラック搬送装置103と、試料分注機構104と、同心円周上に反応容器105が複数個設置された反応ディスク106と、保温槽107と、恒温槽108と、同心円周上に種々の試薬が入った試薬ビン109が複数個設置された試薬ディスク110と、試薬分注機構111と、撹拌装置112と、洗浄装置113と、光源114と、多波長光度計115と、A/Dコンバータ116と、コンピュータ117と、インターフェイス118と、入力装置119と、プリンタ120と、モニタ121と、記憶装置122と、ラック番号読み取り装置123と、検体ID読み取り装置124と、を備えている。
【0014】
ラック搬送装置103は、試料分注機構104の回転円周上で、かつ、反応ディスク106の接線方向に沿って、試料を入れた試料容器101が複数個設置された検体ラック102を搬送ラインに沿って搬送することができるようになっている。なお、ラック搬送装置103は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。
【0015】
また、ラック搬送装置103の搬送ラインに沿って、ラック番号読み取り装置123および検体ID読み取り装置124が配置されている。なお、ラック番号読み取り装置123および検体ID読み取り装置124で読み取られた情報は、インターフェイス118を介してコンピュータ117に入力されるようになっている。
【0016】
試料分注機構104は、コンピュータ117の制御のもと、試料分注プローブ104Aを用いて、試料容器101の中に入った試料を所定量だけ反応容器105の中に分注することができるようになっている。なお、試料分注機構104は、試料容器101と反応容器105との間で試料分注プローブ104Aを移動させるための回転駆動機構(図示せず)を有している。また、試料分注プローブ104Aを上下動させるための駆動機構(図示せず)を有している。ちなみに、試料分注機構104の回転駆動機構および駆動機構は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。
【0017】
反応ディスク106は、その同心円周上に反応容器105が複数個配置されている。また、反応ディスク106は、回転自在に取り付けられており、回転駆動機構(図示せず)を有している。なお、反応ディスク106の回転駆動機構は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。なお、反応ディスク106は、恒温槽108に連絡された保温槽107によって所定の温度に保持されるようになっている。
【0018】
試薬ディスク110は、その同心円周上に種々の試薬が入った試薬ビン109が複数個設置されている。また、試薬ディスク110は、回転自在に取り付けられており、回転駆動機構(図示せず)を有している。なお、試薬ディスク110の回転駆動機構は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。
【0019】
試薬分注機構111は、コンピュータ117の制御のもと、試薬分注プローブ111Aを用いて、試薬ビン109の中に入った試薬を所定量だけ反応容器105の中に分注することができるようになっている。なお、試薬分注機構111は、試薬ビン109と反応容器105との間で試薬分注プローブ111Aを移動させるための回転駆動機構(図示せず)を有している。また、試薬分注プローブ111Aを上下動させるための駆動機構(図示せず)を有している。ちなみに、試薬分注機構111の回転駆動機構および駆動機構は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。
【0020】
撹拌装置112は、反応容器105の中に分注された試料と試薬を攪拌することができるようになっている。なお、撹拌装置112は、駆動機構(図示せず)を有している。ちなみに、撹拌装置112の駆動機構は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。
【0021】
洗浄装置113は、反応容器105を洗浄することができるようになっている。なお、撹拌装置112は、駆動機構(図示せず)を有している。ちなみに、洗浄装置113の駆動機構は、パルスモータにより駆動するようになっており、インターフェイス118を介してコンピュータ117により制御されるようになっている。
【0022】
多波長光度計115は、光源114を用いて反応容器105内の液体(反応液)の吸光度を測定することができるようになっている。測定された吸光度信号は、A/Dコンバータ116でアナログ信号からデジタル信号に変換され、インターフェイス118を介してコンピュータ117に入力されるようになっている。
【0023】
コンピュータ117は、各機構を制御することにより、自動分析装置100全体を制御することができるようになっている。また、コンピュータ117は、インターフェイス118を介して、各種運転条件を入力する入力装置119、出力装置であるプリンタ120やモニタ121、各種データを記憶する記憶装置122と接続されている。
【0024】
コンピュータ117は、ラック搬送装置103を制御して、検体ラック102を搬送する。なお、検体ラック102には、ラック一つずつに個々の通し番号(ラック番号)が付されており、搬送ラインを運ばれていく途中、ラック番号読み取り装置123によって通し番号が読み取られる。また、検体ラック102に保持された試料容器101に検体ID番号が割り付けてあった場合には、検体ID読み取り装置124によって検体ID番号が読み取られる。なお、ラック番号読み取り装置123および検体ID読み取り装置124で読み取られた情報は、インターフェイス118を介してコンピュータ117に入力される。
【0025】
コンピュータ117は、ラック搬送装置103を制御して、検体ラック102に保持された第1番目の試料容器101が、試料分注機構104の試料分注プローブ104Aの真下の位置に来るところまで移動させる。そして、コンピュータ117は、試料分注機構104を制御して、試料分注プローブ104Aを用いて、第1番目の試料容器101の中に入った試料を所定量だけ第1番目の反応容器105の中に分注する。
【0026】
同様に、コンピュータ117は、ラック搬送装置103を制御して、検体ラック102に保持された第2番目の試料容器101が、試料分注機構104の試料分注プローブ104Aの真下の位置に来るところまで移動させる。また、コンピュータ117は、反応ディスク106を制御して、反応ディスク106を所定角度で回転させる。そして、コンピュータ117は、試料分注機構104を制御して、試料分注プローブ104Aを用いて、第2番目の試料容器101の中に入った試料を所定量だけ第2番目の反応容器105の中に分注する。以下、残りの試料についても、同様に、反応容器105の中に分注する。
【0027】
試料を分注された反応容器105は、反応ディスク106の回転動作により、反応ディスク106上を回転移動する。その間に、コンピュータ117は、試薬ディスク110を制御して、所定の試薬が入った試薬ビン109が、試薬分注機構111の試薬分注プローブ111Aの真下の位置に来るところまで移動させる。そして、コンピュータ117は、試薬分注機構111を制御して、試薬分注プローブ111Aを用いて、試薬ビン109の中に入った試薬を所定量だけ反応容器105の中に分注する。そして、コンピュータ117は、撹拌装置112を制御して、反応容器105の中の試料と試薬が分注された液体(反応液)を攪拌する。
【0028】
そして、光源114および多波長光度計115により、反応容器105の中の液体(反応液)の吸光度を測定し、測定された吸光度信号は、A/Dコンバータ116でデジタル信号に変換され、インターフェイス118を介してコンピュータ117に入力される。分析の終了した反応容器105は、洗浄装置113で洗浄される。
【0029】
コンピュータ117は、吸光度を試料中の測定対象成分の濃度に変換し、ラック番号読み取り装置123および検体ID読み取り装置124で読み取られた情報(ラック番号、検体ID)と関連付けしたデータを作成する。作成されたデータは、インターフェイス118を介して、プリンタ120から印字出力され、モニタ121に画面表示され、記憶装置122に格納される。
【0030】
<パルスモータの制御と異常傾向検知>
ここで、前述のように、本実施形態に係る自動分析装置100のうち、ラック搬送装置103、試料分注機構104、反応ディスク106、試薬ディスク110、試薬分注機構111、撹拌装置112、および、洗浄装置113は、パルスモータにより駆動される機構となっている。
【0031】
各パルスモータの制御は、パルスモータへのパルス(送電量)で各機構の動作速度(動作角速度)や動作距離(動作角度)を制御している。パルスは、機構の各部品の老朽化やノイズなどによる障害を考慮して、動作目的としている動作速度(動作角速度)や動作距離(動作角度)分のパルスより多いパルスを駆動パルス値として設定している。また、機構の動作目的としている動作距離(動作角度)を超えないように、センサ(図示せず)を用いて、制御を行っている機構もある。
【0032】
そして、本実施形態に係る自動分析装置100のコンピュータ117は、パルスモータを駆動させるための駆動パルス値に対して実際にパルスモータが駆動した際に消費したパルス量を消費パルス量として、駆動パルス値および消費パルス量を記憶装置122に記憶し蓄積するようになっている。また、駆動パルス値から消費パルス量を減算した残パルス量も記憶装置122に記憶し蓄積するようになっている。
【0033】
ここで、パルスモータにより駆動される機構に何らかの障害が発生したり、老朽化が進んだりすると、消費パルス量が駆動パルス値より徐々に乖離した値となり、やがて、目的の動作を行えない値まで乖離し、何らかの故障の現象が発生する。
【0034】
そこで、本実施形態に係る自動分析装置100のコンピュータ117は、記憶装置122に記憶し蓄積した、パルスモータの駆動パルス値、消費パルス量および残パルス量の情報を、インターフェイス118を介して、本実施形態に係る保守サポートシステム200(後述するメンテナンスサーバ202(
図2参照))に送信する送信手段として機能するようになっている。また、駆動パルス値、消費パルス量および残パルス量の情報とともに、パルスモータの駆動回数、故障状態も送信することができるようになっている。
【0035】
そして、本実施形態に係る保守サポートシステム200(後述する
図2参照)は、駆動パルス値、消費パルス量および残パルス量を、自動分析装置100が設置されている複数の施設から収集・蓄積・監視することで、パルスモータが異常傾向にある機構、即ち、故障が発生するおそれのある機構を特定することができるようになっている。そして、特定された機構を定期点検のチェック項目に追加することで、定期点検の周期の間に発生する故障を未然に予防し、自動分析装置100のダウンタイムを軽減することが可能となる。
【0036】
また、各施設から収集したこれらの情報を統計処理することにより、故障に至るまでの機構の駆動回数をリアルタイムで更新し、部品交換時期の適切な予測、改善の必要な機構の特定が可能となる。また、自動分析装置100で故障頻度が高い機構を検出し、稼働している自動分析装置や開発中の自動分析装置の改善目安とすることが可能となる。
【0037】
≪自動分析装置の保守サポートシステム≫
次に、
図2を用いて、自動分析装置100の保守サポートシステム200について説明する。
図2は、本実施形態に係る自動分析装置100の保守サポートシステム200の構成ブロック図である。なお、
図2の例においては、2つの検査室(A検査室、B検査室)があるものとし、各検査室に複数(
図2の例では4つずつ)の自動分析装置100が設置されているものとして説明する。
【0038】
図2に示すように、自動分析装置100の保守サポートシステム200は、リモート端末201A,201Bと、メンテナンスサーバ202と、WEBサーバ203とを備え、通信回線205A,205B,206で接続されている。なお、符号204は、利用者端末である。
【0039】
リモート端末201Aは、A検査室に設置された自動分析装置100と通信回線(例えば、LAN(Local Area Network))205Aにより接続されている。また、リモート端末201Bは、B検査室に設置された自動分析装置100と通信回線(例えば、LAN)205Bにより接続されている。
【0040】
リモート端末201A,201Bは、通信回線(例えば、専用線や、インターネット回線)206を介して、メンテナンスサーバ202と通信可能に接続されている。また、メンテナンスサーバ202と、WEBサーバ203と、利用者端末204とは、通信回線206を介して、通信可能に接続されている。
【0041】
自動分析装置100は、各機構に備えつけられたパルスモータの駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量をリモート端末201A,201Bを介して、メンテナンスサーバ202に送信することができるようになっている。なお、以下の説明において、各自動分析装置100から出力される駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量をまとめてパルス情報と称するものとする。
【0042】
ここで、駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量の関係は、以下の式(1)の関係を満たす。
残パルス量=駆動パルス値−消費パルス量 ・・・(1)
【0043】
また、自動分析装置100は、各機構に備えつけられたパルスモータに故障が発生した場合には、パルス情報とともに、故障発生の通知をメンテナンスサーバ202に送信することができるようになっている。
【0044】
メンテナンスサーバ202は、自動分析装置100の各機構に備えつけられたパルスモータのパルス情報をリモート端末201A,201Bを介して取得し、蓄積することができるようになっている。なお、パルス情報が蓄積されたパルス情報テーブル300については、
図3を用いて後述する。
【0045】
また、メンテナンスサーバ202は、自動分析装置100の各機構に備えつけられたパルスモータの故障発生の通知を受けたときは、故障発生時のパルスモータの各種情報の平均値を算出し、算出した平均値を格納することができるようになっている。なお、故障発生時のパルスモータ平均値テーブル400については、
図4を用いて後述する。
【0046】
また、メンテナンスサーバ202は、パルス情報テーブル300(
図3参照)やパルスモータ平均値テーブル400(
図4参照)に基づいて、パルス情報を取得したパルスモータについて、故障発生のおそれがあるか否かを判定することができるようになっている。そして、メンテナンスサーバ202は、故障発生のおそれがあると判定した場合、その旨を利用者端末204にメールで通知することができるようになっている。
【0047】
ここで、故障発生のおそれがあるか否かを判定は、例えば、パルスモータの消費パルス量が全検査室のパルスモータの消費パルス量の平均値より一定以上乖離した場合や、故障値(故障発生時の平均値)に一定以上近似した場合、故障発生のおそれがあると判定する。なお、故障発生のおそれがあるか否かを判定については、
図5を用いて後述する。
【0048】
WEBサーバ203は、パルス情報等をメンテナンスサーバ202から取得して、グラフを表示する画面500(後述する
図5参照)、1つの自動分析装置100について各機構の状態を示す画面600(後述する
図6参照)、自動分析装置100の状態を示す画面700(後述する
図7参照)を記憶することができるようになっている。
【0049】
利用者端末204は、自動分析装置100のメンテナンス、保守点検等のサービス業務を行うサービス会社に設置される端末であり、通信回線206を介してWEBサーバ203に接続し、WEBサーバ203に記憶された画面(後述する
図5,
図6,
図7)を参照することができるようになっている。
また、利用者端末204は、入力画面800(後述する
図8参照)を表示して、故障が発生するおそれがあると判定するための乖離率および近似率を入力することができるようになっている。
【0050】
<パルス情報テーブル>
次に、メンテナンスサーバ202においてパルス情報が蓄積されるパルス情報テーブル300の例を
図3に示す。
パルスモータのパルス情報を格納するパルス情報テーブル300は、
図3に示すように、検査室に設置された自動分析装置100の自動分析装置番号301と、自動分析装置100を構成する各機構の機構番号302と、機構を構成するパルモータ番号303と、パルスモータの駆動回数304ごとのパルス情報305と、で構成される。パルス情報305は、駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量で構成される。
このように、メンテナンスサーバ202には、全検査室に設置された自動分析装置100の全機構のパルス情報が蓄積される。
【0051】
<パルスモータ平均値テーブル>
次に、メンテナンスサーバ202に故障発生時の平均値が格納されるパルスモータ平均値テーブル400の例を
図4に示す。
パルスモータ平均値テーブル400は、パルス情報テーブル300(
図3参照)で蓄積した全検査室のパルス情報の中から、パルスモータに故障が発生した時の駆動回数、パルス情報(駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量)を抽出して算出された各種の平均値が格納されるようになっている。
【0052】
パルスモータ平均値テーブル400は、
図4に示すように、自動分析装置100の機種401毎に構成される。さらに、機構番号402、パルスモータ番号403、駆動パルス値404毎に、故障が発生した時の駆動回数の平均を算出した故障平均駆動回数405と、故障が発生した時の消費パルス量の平均を算出した故障平均パルス量406とが、格納されるようになっている。
【0053】
また、パルスモータの故障発生のおそれを検出するための、平均消費パルス量(後述する
図5のグラフ506参照)からの乖離率(平均パルス量乖離率)407が格納される。さらに、パルスモータの故障発生のおそれを検出するための、故障平均パルス量406(後述する
図5のグラフ507参照)に対する近似率(故障パルス量近似率)408が格納される。なお、乖離率407および近似率408は、あらかじめ設定されている値でもよく、後述するように、入力画面800(
図8参照)で入力された値であってもよい。
【0054】
<パルスモータ毎の消費パルス量の変動を示す画面>
次に、WEBサーバ203に記憶され、利用者端末204に表示されるパルスモータ毎の消費パルス量の変動を示すグラフを表示する画面500の例を
図5に示す。
画面500のグラフは、y軸(縦軸)がパルス量501を示し、x軸(横軸)が駆動回数502を示す。グラフは、対象となるパルスモータ503の駆動パルス値504毎に作成される。
【0055】
グラフ505は、対象となるパルスモータ503の駆動パルス値504毎に、消費パルス量をプロットしたグラフである。
グラフ506は、全施設を対象に、対象となるパルスモータ503と同じパルスモータ(同一機種で同じ機構の同じ位置に取り付けられているパルスモータ)の平均消費パルス量をプロットしたグラフである。
グラフ507は、同じパルスモータについて故障が発生した時の消費パルス量の平均(
図4の故障平均パルス量406)を示したグラフである。
【0056】
ここで、メンテナンスサーバ202によるパルスモータの故障発生のおそれの判定について、
図5を参照しつつ説明する。
グラフ505が、平均消費パルス量をプロットしたグラフ506から所定の乖離率(
図4の平均パルス量乖離率407)より乖離した場合、故障発生のおそれがあると判定する。また、グラフ505が、故障平均パルス量406を示すグラフ507に所定の近似率(
図4の故障パルス量近似率408)より近似した場合、故障発生のおそれがあると判定する。なお、故障発生のおそれがあると判定された場合、例えば、グラフ505の表示色を変更して、故障のおそれがあることを視覚的にわかるようにする。
【0057】
<自動分析装置単位のパルスモータの状態を示す画面>
次に、利用者端末204に表示される自動分析装置単位のパルスモータの状態を示す画面600の例を
図6に示す。
図6に示す画面600は、自動分析装置単位601で表示され、横軸に自動分析装置の各機構と縦軸にモータ番号とが配置されたマトリクス構成602で表示され、1つのセルが1つのパルスモータに対応している。
そして、
図5に示したグラフと連動し、故障発生のおそれがあると判定されたパルスモータのセルの表示を、マークや色を異ならせて表示603するようになっている。なお、平均消費パルス量との乖離により判定した場合と、故障平均パルス量との近似により判定した場合とで、表示やマークを異ならせてもよい。
ちなみに、
図6の画面600において、パルスモータに対応するセルを選択することにより、パルスモータ毎の消費パルス量の変動を示す画面500(
図5参照)が表示されるようになっている。
【0058】
<自動分析装置の状態を示す画面>
次に、利用者端末204に表示される自動分析装置の状態を示す画面700の例を
図7に示す。
図7に示す画面700は、縦軸に検査室の番号と横軸に各検査室の自動分析装置の番号とが配置されたマトリクス構成701で表示され、1つのセルが1つの自動分析装置に対応している。
そして、
図5に示したグラフと連動し、故障発生のおそれがあると判定されたパルスモータを有する自動分析装置のセルの表示を、マークや色を異ならせて表示702するようになっている。なお、平均消費パルス量との乖離により判定した場合と、故障平均パルス量との近似により判定した場合とで、表示やマークを異ならせてもよい。
ちなみに、
図7の画面700において、自動分析装置に対応するセルを選択することにより、自動分析装置単位のパルスモータの状態を示す画面600(
図6参照)が表示されるようになっている。
【0059】
<乖離率および近似率を入力する入力画面>
次に、利用者端末204に表示される乖離率および近似率を入力する入力画面800の例を
図8に示す。
図8に示す入力画面は、プルダウン801で乖離率と近似率の入力の切り替えができるようになっており、プルダウン802で自動分析装置の機種を切り替えることができるようになっている。
また、プルダウン802で選択された自動分析装置の機種ごとに、横軸に自動分析装置の各機構と縦軸にモータ番号とが配置されたマトリクス構成803で表示され、1つのセルが1つのパルスモータに対応している。
そして、パルスモータに対応するセル804に数値を入力することにより、プルダウン801で選択された乖離率または近似率を入力することができるようになっている。
ちなみに、入力画面800で入力された乖離率および近似率は、WEBサーバ203および通信回線206を介して、メンテナンスサーバ202のパルスモータ平均値テーブル400(
図4参照)の乖離率407および近似率408に格納される。
【0060】
<メンテナンスサーバ202の処理>
次に、メンテナンスサーバ202の処理について、
図9を用いて説明する。
図9は、メンテナンスサーバ202の処理を示すフローチャートである。
【0061】
まず、自動分析装置100は、パルスモータのパルス情報(駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量)、駆動回数、故障状態が格納された電文を送信することができるようになっている。
【0062】
ステップS901において、メンテナンスサーバ202は、自動分析装置100からパルス情報(駆動パルス値、消費パルス量、残パルス量)、駆動回数、故障状態を含む電文を取得したか否かを判定する。パルス情報を含む電文を取得していない場合(S901・No)、取得するまでステップS901を繰り返す。パルス情報を含む電文を取得すると(S901・Yes)、メンテナンスサーバ202の処理はステップS902に進む。
【0063】
ステップS902において、メンテナンスサーバ202は、ステップS901で取得したパルス情報を含む電文にパルスモータの故障状態が故障であるとの通知があるか否かを判定する。パルスモータの故障の通知がある場合(S902・Yes)、メンテナンスサーバ202の処理はステップS903に進む。パルスモータの故障の通知がない場合(S902・No)、メンテナンスサーバ202の処理はステップS905に進む。
【0064】
ステップS903において、メンテナンスサーバ202は、ステップS901で取得した消費パルス量と過去の故障時の消費パルス量とに基づいて平均値算出の演算を行い、パルスモータ平均値テーブル400(
図4参照)の故障平均パルス量406を更新する。
【0065】
ステップS904において、メンテナンスサーバ202は、ステップS901で取得した電文の駆動回数と過去の故障時の駆動回数とに基づいて平均値算出の演算を行い、パルスモータ平均値テーブル400(
図4参照)の故障平均駆動回数405を更新する。そして、メンテナンスサーバ202の処理はステップS905に進む。
【0066】
ステップS905において、メンテナンスサーバ202は、ステップS901で取得したパルス情報および駆動回数をパルス情報テーブル300(
図3参照)に蓄積する。ここで、パルスモータが故障でない場合、全施設を対象に、対象となるパルスモータと同じパルスモータ(同一機種で同じ機構の同じ位置に取り付けられているパルスモータ)の平均消費パルス量(
図5のグラフ506参照)を算出する。
【0067】
ステップS906において、メンテナンスサーバ202は、パルスモータの異常傾向を検知する。具体的には、ステップS901で取得した消費パルス量が平均消費パルス量(
図5のグラフ506参照)に対して乖離率407(
図4参照)より乖離する場合、パルスモータに故障発生のおそれがあるとして、異常傾向ありと検知する。また、ステップS901で取得した消費パルス量が故障平均パルス量406(
図4参照)に対して近似率408(
図4参照)で近似する場合、パルスモータに故障発生のおそれがあるとして、異常傾向ありと検知する。
【0068】
異常傾向を検知した場合(S906・Yes)、メンテナンスサーバ202の処理はステップS907に進む。異常傾向を検知しない場合(S906・No)、メンテナンスサーバ202の処理はステップS908に進む。
【0069】
ステップS907において、メンテナンスサーバ202は、利用者端末204に対して異常通知を行う。そして、メンテナンスサーバ202の処理はステップS908に進む。
【0070】
ステップS908において、メンテナンスサーバ202は、画面500,600,700(
図5,
図6,
図7参照)を更新して、WEBサーバ203に送信する。
【0071】
このように、メンテナンスサーバ202は、自動分析装置100からパルス情報を取得して、パルスモータの異常傾向(故障発生のおそれ)を検知し、異常傾向を検知した場合、利用者端末204に通知することができるようになっている。
【0072】
これにより、異常傾向を検知した自動分析装置100の機構を定期点検のチェック項目に追加することにより、パルスモータの故障発生を予防し、定期点検の周期の間に発生する自動分析装置100のダウンタイムを軽減することができる。
【0073】
また、故障平均駆動回数405(
図4参照)をリアルタイムで更新し、部品交換時期の適切な予測、改善の必要な機構の特定が可能となる。また、自動分析装置100で故障頻度が高い機構を検出し、稼働している自動分析装置や開発中の自動分析装置の改善目安とすることが可能となる。
【0074】
≪変形例≫
なお、本実施形態に係る自動分析装置および保守サポートシステムは、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0075】
自動分析装置100から保守サポートシステム200にパルス情報として、駆動パルス値、消費パルス量および残パルス量が送信されるものとして説明したが、これに限られるものではない。駆動パルス値、消費パルス量および残パルス量は、前述した式(1)の関係を満たすため、いずれか2つがわかれば、残りの1つを式(1)により算出することができる。このため、自動分析装置100から保守サポートシステム200に送信するパルス情報としては、駆動パルス値、消費パルス量および残パルス量のうちいずれか2つの情報が送信され、保守サポートシステム200において残りの1つの情報が式(1)により算出される構成であってもよい。
【0076】
メンテナンスサーバ202は、消費パルス量に基づいて異常傾向を検知する(
図9のS906参照)として説明したが、これに限られるものではない。
例えば、残パルス量に基づいて異常傾向を検知する構成であってもよい。即ち、メンテナンスサーバ202は、対象のパルスモータの残パルス量が、全検査室のパルスモータの残パルス量の平均値より一定以上乖離した場合や、故障発生時の残パルス量の平均値に一定以上近似した場合、パルスモータに故障発生のおそれがあるとして、異常傾向ありと検知する。