(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調整された研磨速度を決定するステップが、前記研磨シーケンスが完了すると、前記基板の直径に沿った断面が平坦な外形となるようにする研磨速度を決定する工程を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
調整された研磨速度を決定するステップが、前記研磨シーケンスが完了すると、前記基板の直径に沿った断面がボウル型になるようにする研磨速度を決定する工程を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[0043]
図1は、基板10を研磨するために動作できる研磨装置20を示す。この研磨装置20は、研磨パッド30が上に据設された回転可能なディスク状のプラテン24を含む。プラテンは軸25の周囲で回転するように動作できる。例えば、モータが駆動シャフト22を回すとプラテン24が回転することができる。研磨パッド30は、例えば接着層によってプラテン24に取り外し可能に固着させることができる。研磨パッド30が疲労したら取り外して交換することができる。研磨パッド30は、外部研磨層32と柔軟な裏張り層34を設けた2層式研磨パッドであってもよい。
【0024】
[0044]アパーチャ(即ち、パッドを通る穴)または固体窓を含めることにより、研磨パッドを通る光学アクセス36が提供される。固体窓は研磨パッドに固着させることができるが、いくつかの実施においては固体窓をプラテン24上に支持し、研磨パッドのアパーチャ内に突出させることができる。通常は、研磨パッド30をプラテン24の上に置くことにより、プラテン24の凹部26内に据設されたアパーチャまたは窓が光学ヘッド53の上に重なるようにする。その結果、光学ヘッド53が、アパーチャまたは窓を介して、研磨中の基板との光学アクセスを有するようになる。次に、光学ヘッドについてさらに説明する。
【0025】
[0045]窓は、例えば石英やガラスといった硬質の結晶質あるいはガラス質の材料、さらに、シリコーンやポリウレタンやハロゲン化ポリマー(例えばフッ素重合体)といった柔軟なプラスチック材料、もしくはこれらの材料の組み合わせであってもよい。窓は白色光に対して透過性を有するものであってもよい。固体窓の頂面が硬質の結晶質あるいはガラス質の材料である場合には、頂面を研磨面から十分に後退させて引掻を防止するようにしなければならない。頂面が研磨面と接近している、あるいは研磨面と接触する可能性がある場合には、窓の頂面を柔軟なプラスチック材料で製造する必要がある。いくつかの実施では、固体窓は研磨パッド内に固着されたポリウレタン製の窓であるか、または、石英とポリウレタンの組み合わせを有する窓である。窓は、青色光や赤色光のような特定色の単色光に対して、例えば約80%といった高い透過率を有することができる。さらに、窓を研磨パッド30に対して密封することで、窓と研磨パッド30の境界から液体が漏出しないようにすることが可能である。
【0026】
[0046]1つの実施において、窓は、柔軟なプラスチック材料の外層でカバーした硬質の結晶質またはガラス質の材料を含む。柔軟な材料の頂面は研磨面と同平面上にあってもよい。硬質な材料の底面は研磨パッドの底面と同平面上にある、あるいはこの面から後退していてもよい。特に、研磨パッドが2つの層を含む場合には、固体窓を研磨層と一体化させ、底層がこの固体窓と整列したアパーチャを有するようにすることができる。
【0027】
[0047]窓が硬質な結晶質あるいはガラス質の材料と柔軟なプラスチック材料との組み合わせを含むと仮定した場合には、この2つの部分を固着させるために接着剤を使用する必要はない。例えば、1つの実施において、窓のポリウレタン部分を石英部分と結合させるために接着剤を使用していない。あるいは、白色光に対して透過性のある接着剤を使用するか、もしくは窓を通過する光が接着剤を通過しないように接着剤を付加することができる。一例として、接着剤はポリウレタン部分と石英部分の間の境界周辺のみに付加することができる。屈折率ゲルを窓の底面に付加してもよい。
【0028】
[0048]場合により、窓の底面に1つ以上の凹部を含めることができる。凹部の形状は、例えば、光ファイバケーブルの端部あるいは渦電流センサの端部を収容できるものであってもよい。この凹部により、光ファイバケーブルの端部または渦電流センサの端部を、窓の厚さよりも薄い研磨中の基板の表面から離れた場所に据設することが可能となる。窓が硬質の結晶質部分またはガラス質の部分を含み、このような部分に機械工作によって凹部が形成されている実現においては、機械工作によって生じた引掻を除去するために凹部の研磨を行う。あるいは、凹部の表面に溶剤および/または液体ポリマーを付加して、機械工作時に生じた引掻を除去することもできる。通常機械工作によって生じた引掻を除去することで、散乱を抑え、窓を通る光の透過性が向上する。
【0029】
[0049]
図2A〜
図2Hは、様々な窓の実現を示す。
図2Aに示すように、窓は、ポリウレタン部分202と石英部分204の2つの部分を有することができる。これらの部分は層状になっており、石英部分204の上にポリウレタン部分202が据設されている。窓を研磨パッド内に据設して、ポリウレタン層の頂面206が研磨パッドの研磨面208と同平面上にあるようにすることができる。
【0030】
[0050]
図2Bに示すように、ポリウレタン部分202は内部に石英部分を据設する凹部を有することができる。石英部分の底面210は露出する。
【0031】
[0051]
図2Cに示すように、ポリウレタン部分202は突出部を含んでいてもよく、これは例えば石英部分204内へ突出する突出部212であってもよい。この突出部は、基板または保持リングからの摩擦によってポリウレタン部分202が石英部分204から引き離されてしまう傾向を低減させる働きをする。
【0032】
[0052]
図2Dに示すように、ポリウレタン部分202と石英部分204の間の境界は粗い面であってもよい。このような表面は、窓の2つの部分の結合を強化し、さらに、基板または保持リングからの摩擦によってポリウレタン部分202が石英部分204から引き離されてしまう傾向を低減することができる。
【0033】
[0053]
図2Eに示すように、ポリウレタン部分202の厚さは不均一であってもよい。光ビームの経路214内に入る場所の厚さは、光ビームの経路214に入らない場所の厚さよりも薄くなる。例証の方法によれば、厚さt
1は厚さt
2よりも薄い。あるいは、窓の縁の厚さを薄くすることもできる。
【0034】
[0054]
図2Fに示すように、接着剤216を使用して、ポリウレタン部分202を石英部分204に取り付けることができる。接着剤は、光ビームの経路214に入らないように付加される。
【0035】
[0055]
図2Gに示すように、研磨パッドは研磨層と裏張り層を含むことができる。ポリウレタン部分202は研磨層を通り、また少なくとも一部が裏張り層内へと延びる。裏張り層に設けた穴は研磨層の穴よりも大きくてもよく、ポリウレタンの、裏張り層にあたる区間は、ポリウレタンの、研磨層にあたる区間よりも広くあってもよい。したがって、研磨層は、窓に張り出して、ポリウレタン部分202を石英部分204から引っ張る力に抵抗するように機能するリップ部218を提供する。ポリウレタン部分202は、研磨パッドの層の穴と一致する。
【0036】
[0056]
図2Hに示すように、石英部分204の底面210に屈折率ゲル220を付加することで、ファイバケーブル222から窓へ光を移動させるための媒体を提供することができる。屈折率ゲル220はファイバケーブル222と石英部分204の間の容量を充填し、さらに、ファイバケーブル222の屈折率と石英部分204の屈折率と一致するか、もしくはこれらの中間となる屈折率を有することができる。
【0037】
[0057]窓が石英部分とポリウレタン部分の両方を含む実施においては、ポリウレタン部分は、研磨パッドの寿命期間中にポリウレタンが疲労して石英部分が露出してしまうことのない厚さを有するべきである。石英を研磨パッドの底面から後退させたり、ファイバケーブル222の一部を研磨パッド内へ延ばすことができる。
【0038】
[0058]上述の窓と研磨パッドは様々な技術を使用して製造できる。研磨パッドの裏張り層34をこれの研磨外層32に例えば接着剤で取り付けることが可能である。例えばアパーチャを含むようにパッド30を切断または鋳造することで、光学アクセス36を提供するアパーチャをパッド30に形成することができ、また、窓をこのアパーチャ内に挿入し、例えば接着剤によりパッド30に固着させることができる。あるいは、窓となる液体前駆物質をパッド30のアパーチャ内部に吐出し、硬化させて窓を形成することもできる。もしくは、固体の透明要素、例えば上述した結晶質またはガラス質の部分を液体パッド材料内に位置決めし、液体パッド材料を硬化させて透明要素の周囲にパッド30を形成してもよい。これら2つの場合のいずれにおいても、パッド材料のブロックを形成することができ、また、窓が鋳造された研磨パッドの層をこのブロックから取り除くことができる。
【0039】
[0059]窓が結晶質またはガラス質の第1部分と、柔軟なプラスチック材料から作成された第2部分とを含む実現では、先述した液体前駆物質技術を適用することにより、第2部分をパッド30のアパーチャ内に形成することができる。その後、第1部分を挿入できる。第2部分の液体前駆物質が凝固する前に第1部分を挿入した場合には、硬化によって第1部分と第2部分が結合する。液体前駆物質が硬化した後に第1部分を挿入した場合には、第1部分と第2部分を接着剤で固着させることができる。
【0040】
[0060]研磨装置20は、光学アクセス36を通る光透過を向上させるための噴射システムを含んでもよい。この噴射システムには色々な実現方法がある。研磨パッド30が固体窓の代わりにアパーチャを含む研磨装置20の実現では、噴射システムは、光学ヘッド53の頂面にかけて、例えばガスや液体のような流体の層流を提供するように実現することができる。(この頂面は、光学ヘッド53に内蔵されているレンズの頂面であってもよい。)光学ヘッド53の頂面を流れる流体の層流は光学アクセスから不透明なスラリーを一掃し、および/または頂面上でスラリーが乾燥してしまうことを防止することができるため、結果的に光学アクセスを通り透過が向上する。研磨パッド30がアパーチャではなく固体窓を含む実現では、噴射システムは、窓の底面においてガス流を案内するために実現される。ガス流は、光学アクセスを妨げてしまう恐れのある凝縮が固体窓の底面に形成されることを防止する。
【0041】
[0061]
図3は、層流噴射システムの実現を示す。この噴射システムはガス源302、送達ライン304、搬送ノズル306、吸引ノズル308、真空ライン310、真空源312を含む。ガス源302と真空源は、同一容量または類似容量のガスを導入または吸引できるように構成することができる。搬送ノズル306は、ガスの層流を、研磨中の基板表面においてではなく、イン・シトゥー監視モジュール内の透明な頂面314にかけて案内できるように、据設できる。この結果、研磨に望ましくない影響を与えてしまうことになる、研磨中の基板表面上でスラリーがガスの層流によって乾燥するという事態がなくなる。
【0042】
[0062]
図4は、固体窓の底面上での凝縮の形成を防止するための噴射システムの実現を示す。このシステムは、研磨パッド窓の底面での凝縮の形成を減少させる、または防止する。このシステムはガス源402、送達ライン404、搬送ノズル406、吸引ノズル408、真空ライン410、真空源412を含む。ガス源402と真空源は、同一容量または類似容量のガスを導入および吸引するように構成することができる。搬送ノズル406は、ガス流が研磨パッド30内の底面において案内されるように据設することができる。
【0043】
[0063]
図4の実現の代替形である1つの実施において、噴射システムは真空源または真空ラインを含んでいない。これら構成部品の代わりとして、噴射システムは、プラテンに形成された通気孔を有しており、これにより、固体窓の下の空間内に導入されたガスを、プラテンの側部へ、あるいは研磨装置内の耐湿性を有するこれ以外の場所へ排出することができる。
【0044】
[0064]上述したガス源と真空源を、プラテンと共に回転することがないよう、プラテンから離れた場所に設置するが可能である。この場合には、供給ラインと真空ラインのそれぞれに、ガスを伝播するための回転カップラを含める。
【0045】
[0065]
図1に戻ると、研磨装置20は組み合わせたスラリー/すすぎアーム39を含む。研磨中に、アーム39は、液体とpH調整剤を含有したスラリー38を吐出するよう動作する。あるいは、研磨装置は、研磨パッド30上にスラリーを吐出するよう動作するスラリーポートを含む。
【0046】
[0066]研磨装置20は、基板10を研磨パッド30に対して保持するよう動作するキャリアヘッド70を含む。キャリアヘッド70は、カルーセルのような支持構造72から垂下しており、また、キャリア駆動シャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続しているため、キャリアヘッドが軸71を中心に回転できる。これに加えて、キャリアヘッド70は、支持構造72に形成されたラジアルスロット内で横方向に振動することができる。動作中に、プラテンは中心軸25を中心に回転し、キャリアヘッドは中心軸71を中心に回転し、研磨パッドの頂面にかけて横方向への並進運動を行う。
【0047】
[0067]研磨装置はまた、以降で説明する研磨終点を決定するために使用できる光学監視システムを含む。この光学監視システムは光源51と光検出器52を含む。光源51から研磨パッド30に設けた光学アクセス36を通過する光は基板10に衝突し、基板10から反射されて、再び光学アクセス36を通過して光検出器52へと移動する。
【0048】
[0068]分岐型光ケーブル54を使用することで、光源51から光学アクセス36へ光を伝送し、その後、光学アクセス36から光検出器52へ戻すことができる。この分岐型光ケーブル54は「トランク」55と2つの「分岐部」56、58を含んでもよい。
【0049】
[0069]上述したように、プラテン24は、内部に光学ヘッド53が据設される凹部26を含む。光学ヘッド53は、光を研磨中の基板表面へ、また基板表面から伝播するように構成された分岐型ファイバケーブル54のトランク55の一端を保持する。光学ヘッド53は、分岐型ファイバケーブル54(例えば
図3に示すもの)の端部上に重なる1つ以上のレンズまたは窓を含んでもよい。あるいは、光学ヘッド53は、トランク55の端部を研磨パッドに設けた固体窓の付近に単純に保持するだけでもよい。光学ヘッド53は、上述した噴射システムのノズルを保持することが可能である。さらに、例えば防止的あるいは修正的メンテナンスを施行するために、必要に応じて光学ヘッド53を凹部26から除去することができる。
【0050】
[0070]プラテンは除去可能なイン・シトゥー監視モジュール50を含む。このイン・シトゥー監視モジュール50は次のうち1つ以上を含むことができる:光源51、光検出器52、光源51と光検出器52の間で信号の送受信を行う回路部品。例えば、検出器52の出力は、駆動シャフト内の、例えばスリップリングのような回転式カップラを通過し、光学監視システムの制御装置へ到達するデジタル電子信号であってもよい。同様に、制御装置から回転式カップラを通りモジュール50へ到達するデジタル電子信号内の制御命令に応じて、光源をオン/オフ切り替えすることが可能である。
【0051】
[0071]また、イン・シトゥー監視モジュールは、分岐型光ファイバ54の分岐部56、58の対応端部を保持することができる。光源は、分岐部56を通って伝播され光学ヘッド53内に設置されているトランク55の端部から出され、さらに研磨中の基板に衝突する光を透過させるよう動作する。基板から反射された光は、光学ヘッド53内に設置されているトランク55の端部において受光され、分岐部58を通って光検出器52へ伝播される。
【0052】
[0072]1つの実施において、分岐型ファイバケーブル54は1束の光ファイバである。上記束は光ファイバの第1グループと、光ファイバの第2グループとを含む。第1グループ内の1本の光ファイバは、光を光源51から研磨中の基板表面へ伝播するように接続される。第2グループ内の1本の光ファイバは、研磨中の基板表面から反射された光を受光し、受光したこの光を光検出器へ伝播するように接続される。光ファイバは、第2グループ内の光ファイバが、(分岐型ファイバケーブル54の断面で見た場合に)分岐型光ファイバ54の縦軸上で中心決めされたX字型の形状を形成するように配列することができる。あるいは、これ以外の配列の実現も可能である。例えば、第2グループ内の光ファイバは、相互に対して鏡象となるV字型の形状を形成することができる。適切な分岐型光ファイバは、テキサス州キャロルトンにあるベリティ・インストルメント社(Verity Instruments, Inc.)より入手可能である。
【0053】
[0073]通常は、研磨パッド窓と、この研磨パッド窓の付近における分岐型ファイバケーブル54のトランク55端部との間には最適な距離が存在する。この距離は経験的に決定することができ、かつ、例えば窓の反射率、分岐型ファイバケーブルから放出される光ビームの形状、および監視されている基板までの距離によって影響を受ける。或る実施形態においては、分岐型ファイバケーブルは、窓付近の端部が、窓に実際に接触することはないが窓底部に可能な限り接近するように据設される。この実現では、研磨装置20は、例えば光学ヘッド53の一部である機構、即ち、分岐方ファイバケーブル54の端部と研磨パッド窓の底面との間の距離を調整するために動作できる機構を含むことができる。あるいは、分岐型ファイバケーブルの付近端部が窓内部に埋め込まれている。
【0054】
[0074]光源51は白色光を放出するように動作する。1つの実施において、放出された白色光は、200〜800ナノメートルの波長を有する光を含む。適切な光源はキセノン灯またはキセノン水銀灯である。
【0055】
[0075]光検出器52は分光計であってもよい。基本的に分光計は、電磁スペクトルの一部にかけての光の性質、例えば強度を測定するための光学計器である。適切な分光計は回折格子分光計である。分光計の典型的な出力は、波長の関数としての光の強度である。
【0056】
[0076]場合により、イン・シトゥー監視モジュール50は他のセンサ要素を含むことができる。イン・シトゥー監視モジュール50は、例えば渦電流センサ、レーザ、発光ダイオード、光検出器を含んでもよい。イン・シトゥー監視モジュール50が渦電流センサを含む実現では、モジュール50は、通常、研磨中の基板が渦電流センサの作業範囲内に入るように据設される。
【0057】
[0077]光源51と光検出器52は、これらの動作を制御し、これらからの信号を受信するよう動作可能な計算デバイスに接続される。この計算デバイスは、研磨装置付近に据設されたマイクロプロセッサ、例えばパーソナルコンピュータを含むことができる。制御については、計算デバイスは、例えば光源51の起動をプラテン24の回転と同期させることができる。
図5に示すように、コンピュータは光源51に、基板10がイン・シトゥー監視モジュールを通過する直前に開始し、この通過の直後に終了する一連のフラッシュを発光させることができる。(図中の各点501〜511は、イン・シトゥー監視モジュールからの光の衝突場所と反射場所を表す。)あるいは、コンピュータは光源51に、基板10がイン・シトゥー監視モジュールを通過する直前に開始し、この通過直後に終了する光を連続発光させることができる。
【0058】
[0078]信号の受信については、計算デバイスは、例えば光検出器52が受光した光のスペクトルを記述する情報を携えた信号を受信できる。
図6Aは、光源の1フラッシュで発光され、基板によって反射された光から測定したスペクトルの例を示す。このスペクトルは生スペクトル、即ち正規化前のスペクトルを示している。スペクトル602は、製品基板より反射された光から測定される。スペクトル604は、ベースシリコン基板(シリコン層のみを有するウェーハ)から反射された光から測定される。スペクトル606は、基板が光学ヘッド上に据設されていない時に光学ヘッド53が受光した光からのものである。本明細書中で暗い状態と呼んでいるこの状態において、受光される光は典型的にパッド窓の光からの散乱光である。
【0059】
[0079]計算デバイスは、上述の信号を処理して、研磨ステップの終点を決定することができる。どのような具体的な理論にも限定されることなく、基板10で反射された光のスペクトルは研磨の進行と共に発展する。
図6Bは、対象膜の研磨の進行と共に進むこの発展の1例を提供している。
図6Bのスペクトルは正規化されたものである。異なるスペクトルラインは異なる研磨時間を表す。同図からわかるように、反射された光のスペクトルの性質は膜の厚さの変化と共に変化し、また、具体的なスペクトルは膜の具体的な厚さで呈されている。計算デバイスは、終点に達した時を決定する論理を、1つ以上のスペクトルに基づいて実行できる。終点決定の基準となる1つ以上のスペクトルは、ターゲットスペクトル、基準スペクトル、またはこの両方を含むことができる。
【0060】
[0080]本明細書中で使用しているとおり、ターゲットスペクトルとは、ターゲット厚さを有する対象膜から反射された白色光が呈するスペクトルを意味する。一例として、ターゲット厚さは1、2、3ミクロンであってもよい。あるいは、対象膜を排除してこれの下にある膜を露出させている場合には、ターゲット厚さは例えばゼロであってもよい。
【0061】
[0081]具体的な対象厚さには複数のターゲットスペクトルが存在してもよく、また通常は存在している。これは、複数のスペクトルが収集される期間中、対象膜がターゲット厚さを維持することができるようにするために、研磨が有限値において生じるためである。さらに、パターン化した基板の異なる領域からは、通常、異なるスペクトルが生産される(複数のスペクトルが研磨中の同一の時間点において得られた場合でも同様)。例えば、基板内のスクライブラインから反射された光のスペクトルは、同じ基板のアレイから反射された光のスペクトルとは異なる(例えば異なった形状を有する)。本明細書において、このような現象をパターン効果と呼んでいる。したがって、具体的なターゲット厚さについて複数のスペクトルが存在していてもよく、複数のスペクトルはパターン効果のために互いに異なったスペクトルを含んでもよい。
【0062】
[0082]
図7Aは、1つ以上のターゲットスペクトルを得る方法700を示す。製品基板と同じパターンを有する基板の性質を測定する(ステップ702)。本明細書において、測定される基板のことを「設定」基板と呼ぶ。設定基板は、単純に、製品基板と類似の、またはこれと同じ基板であってもよく、また、設定基板はバッチ中の1枚の基板であってもよい。この性質には、基板の具体的な対象場所における事前研磨された対象膜の厚さが含まれる。典型的には、複数の場所において厚さを測定する。通常、これらの場所は、各場所について同一タイプのダイ特徴が測定されるように選択される。測定は度量衡ステーションにおいて実行される。
【0063】
[0083]設定基板は対象の研磨ステップに従って研磨され、また、研磨中の基板表面から反射された白色光のスペクトルが研磨中に収集される(ステップ704)。研磨およびスペクトルの収集は、上述した研磨装置において実行することができる。スペクトルは、研磨中にイン・シトゥー監視システムによって収集される。各プラテンの回転毎に、複数のスペクトルを収集することができる。基板を過剰研磨する、即ち推定された終点を越えて研磨すると、ターゲット厚さの達成時に基板から反射された光のスペクトルを得ることができる。
【0064】
[0084]過剰研磨した基板の性質を測定する(ステップ706)。この性質には、研磨前測定に用いる1つ以上の具体的な場所における対象膜の研磨後の厚さが含まれる。
【0065】
[0085]この測定した厚さおよび収集したスペクトルを使用して、対象厚さ達成時に基板が呈していると決定された1またはスペクトルを、収集したスペクトルの中から選択する(ステップ708)。特に、対象膜厚さの達成時におけるスペクトルを決定するために、研磨前膜厚さと研磨後基板厚さを使用して、直線補間を実行することができる。ターゲット厚さ達成時におけるスペクトルとして決定されたスペクトルは、その複数基板のバッチのターゲットスペクトルとして指定される。典型的には、収集されたスペクトルのうち3つがターゲットスペクトルに指定される。あるいは、5、7、9個のスペクトルがターゲットスペクトルとして指定される。
【0066】
[0086]場合により、収集したスペクトルの処理を行い、正確性および/または精密性を拡張する。スペクトルの処理は、例えば、スペクトルを共通の基準に正規化するため、平均化するため、および/またはスペクトルからノイズを除去するために行われる。これら処理動作の具体的な実施を以下で説明する。
【0067】
[0087]本明細書中で使用しているように、基準スペクトルとは、ターゲット膜厚さに関連したスペクトルを意味する。通常、具体的なスペクトルに対して1個、2個、またはこれ以上の基準スペクトルが具体的なスペクトルに基づく終点決定論理に基づいて経験的に選択される。これにより、コンピュータデバイスが具体的なスペクトルに基づく終点決定論理を付加して終点を呼び出すと、ターゲット厚さが達成される。
図7Bを参照して以下で説明するように、基準スペクトルまたは複数の基準スペクトルを繰返し選択することが可能である。通常、基準スペクトルはターゲットスペクトルではない。むしろ基準スペクトルは、通常、対象の膜がターゲット厚さよりも厚い場合に基板から反射される光のスペクトルである。
【0068】
[0088]
図7Bは、具体的なターゲット厚さと、具体的なスペクトルに基づく終点決定論理とに基準スペクトルを選択する方法701を示す。いくつかの実施形態では、1個だけではなく、2つ以上のスペクトルを選択できる。上述のステップ702、706で説明したとおりに設定基板を測定し、研磨を行う(ステップ703)。特に、収集されたスペクトルと、これら収集された各スペクトルの測定時間とを記録する。研磨中の各プラテン回転について複数のスペクトルを収集することができる。
【0069】
[0089]具体的な設定基板についての研磨装置の研磨値を計算する(ステップ705)。研磨前厚さT
1、研磨後厚さT2、実研磨時間
PTを使用し、例えばPR=(T
2−T
1)/PTから平均研磨値PRを計算することができる。
【0070】
[0090]以下で説明するように、基準スペクトルを試験するための較正点を提供するべく、具体的な設定基板について終点時間を計算する(ステップ707)。終点時間は算出した研磨値PR、対象膜の研磨前開始厚さST、対象膜のターゲット厚さTTに基づいて計算することができる。また、終点時間は、研磨処理全般に亘って研磨値が一定であると仮定して 単純な直線補間として例えば次のように計算できる:ET=(ST−TT)/PR。
【0071】
[0091]場合により、算出した終点時間は、パターン化した基板のバッチの中の別の基板を研磨すること、算出した終点時間において研磨を停止すること、対象膜の厚さを測定すること、によって評価することができる。この厚さが納得できる対象厚さの範囲内にある場合には、算出した終点時間は納得できるものということになる。そうでない場合には、算出した終点時間を再度計算することができる。
【0072】
[0092]収集したスペクトルのうち1つを選択し、これを基準スペクトルに指定する(ステップ709)。選択されたスペクトルは、対象膜の厚さがターゲット厚さよりも厚い、またはこれとほぼ等しい場合に基板により反射された光のスペクトルである。あるいは、2つ以上のスペクトルを基準スペクトルに指定する。典型的には、3個の収集されたスペクトルが基準スペクトルとして指定される。あるいは、5、7、9個のスペクトルを基準スペクトルとして指定する。ターゲットスペクトルの場合には、研磨値が有限であるため基準スペクトルは複数あってもよい。
【0073】
[0093]1つの実施においては、ステップ707で算出した終点時間に対応する具体的なプラテン回転が識別され、具体的なプラテン回転中に収集されたスペクトルを選択して基準スペクトルに指定する。一例として、収集したスペクトルは基板の中心領域からのものであってもよい。算出した終点時間に対応するプラテン回転は、算出した終点時間に対応する時間が発生している、プラテン回転である。一例として、算出した終点時間が25.5秒間である場合、この算出した終点時間に関連する具体的なプラテン回転は、研磨処理中の、25.5秒間の研磨が発生している、プラテン回転である。
【0074】
[0094]具体的な終点決定論理は、設定基板について収集されたスペクトルを使用し、また、1つまたは複数の基準スペクトルに指定されるよう選択された1つ以上のスペクトルを用いたシミュレーションにおいて実行される(ステップ711)。この論理を実行することで、この論理によって終点であると決定された、経験的に導出され、シミュレーションされた終点時間が生産される。
【0075】
[0095]この経験的に導出され、シミュレートされた終点時間が、算出した終点時間と比較される(ステップ713)。経験的に導出された終点時間が算出した終点時間の閾値範囲内に入る場合には、現在選択されている1つ以上の基準スペクトルは、較正点と一致する結果を生成するものとして公知である。そのため、実行時間環境内で、1つ以上の基準スペクトルを使用して終点論理を実行する場合には、システムはターゲット厚さにおける終点を、高い信頼性をもって検出するはずである。したがって、1つ以上の基準スペクトルを、同バッチ内の他の基板の研磨実行時間の基準スペクトルとして保つことができる。(ステップ718)そうでない場合には、ステップ709、711を適宜繰り返す。
【0076】
[0096]場合により、各々の繰り返し毎に(即ち、ステップ709、711を実行する度に)、選択した1つ以上のスペクトル以外の変数を変更することができる。例えば、上述したスペクトル(たとえばフィルタパラメータ)の処理、および/または、最小限度の差分トレースからの閾値範囲を変更できる。差分トレースと、最小限度の差分トレースの閾値範囲とについて以下で説明する。
【0077】
[0097]
図8Aは、研磨ステップの終点を決定するためにスペクトルに基づく終点決定論理を使用する方法800を示す。上述した研磨装置を使用して、パターン化した基板のバッチ中の別の基板の研磨を行う(ステップ802)。プラテンの各回転時に、以下のステップが実行される。
【0078】
[0098]研磨中の基板表面において反射された白色光の1つ以上のスペクトルを測定することにより、現在のプラテン回転に1つ以上の現在のスペクトルを得る(ステップ804)。点501〜511(
図5)でのスペクトル測定は、現在のプラテン回転中に測定されたスペクトルの例である。現在のプラテン回転中に測定されたスペクトルは、
図7Aを参照して上述し、
図11を参照して以下で説明しているように、正確性および/または精密性を拡張するために任意で処理される。
【0079】
[0099]いくつかの実施では、測定するスペクトルが1個のみの場合には、この1つのスペクトルが現在のスペクトルとして使用される。1回のプラテン回転につき2個以上のスペクトルを測定する場合には、これらのスペクトルをグループ化し、各グループ内で平均をとり、この平均を現在のスペクトルとして指定する。スペクトルのグループ化は、基板の中心からのラジアル距離によって行うことができる。一例として、第1の現在のスペクトルは、点502、510(
図5)において測定したスペクトルから得られ、第2の現在のスペクトルは点503、509において測定したスペクトルから得られ、第3の現在のスペクトルは点504、508において測定したスペクトルから得られ、この後も同様に行える。点502,510で測定されたスペクトルは、現在のプラテン回転に対して第1の現在のスペクトルを得る為に平均される。現在のプラテン回転の第2現在のスペクトルを得るために、点503、509で測定されたスペクトルの平均をとる。現在のプラテン回転の第3の現在のスペクトルを得るために、点504、508で測定されたスペクトルの平均をとる。
【0080】
[00100]いくつかの実施では、現在のプラテン回転の最中に測定された2つ以上のスペクトルが、この現在のプラテン回転の、現在のスペクトルとして選択される。1つの実施においては、現在のスペクトルとして選択されるスペクトルが、基板の中心付近のサンプル位置において(例えば、
図5に示す点505、506、507において)測定されるものである。選択されたスペクトルは平均をとらず、また、選択された各スペクトルは現在のプラテン回転の現在のスペクトルに指定される。
【0081】
[0101]各現在のスペクトル、または複数の現在のスペクトルと、各基準スペクトルとの間の差分を計算する(ステップ806)。1つ以上の基準スペクトルは
図7Bを参照して説明した方法で得ることができる。1つの実施において、この差分は、或る波長範囲にかけての強度差の合計である。即ち次式が得られる:
【0082】
【数1】
【0083】
ここで、a、bはそれぞれスペクトルの波長範囲の下限および上限であり、I
current(λ)、I
reference(λ)は、それぞれ所与の波長の、現在のスペクトルの強度および
基準スペクトルの強度である。
【0084】
[0102]各現在のスペクトルと各基準スペクトルの間の差分を計算する1つの方法は、各現在のスペクトルを選択するということである。選択された各現在のスペクトルについて、各基準スペクトルとの差分が計算される。例えば現在のスペクトルe、f、gと、基準スペクトルE、F、Gを仮定した場合に、以下の現在のスペクトルと基準スペクトルの組み合わせのそれぞれについて差分が計算される:eとE、eとF、eとG、fとE、fとF、fとG、gとE、gとF、gとG。
【0085】
[0103]いくつかの実施では、算出したそれぞれの差分が差分トレースに追加される(ステップ808)。一般的に、差分トレースは算出した差分のプロットである。差分トレースは、プラテン回転1回につき少なくとも1回更新される。(複数の現在のスペクトルが各プラテン回転に対して得られたとき、差分トレースは、プラテン回転1回につき複数回更新される。
【0086】
[0104]一般的に、差分トレースは算出した差分のうちの1つのプロットである(この場合は、現在のプラテン回転に算出した差分のうちの最小のもののプロットである)。最小差分ではなく、別の差分、例えば複数の差分の中間値や、最小差分の次の差分をトレースに追加することも可能である。
【0087】
[0105]最小の差分をとることで、終点決定処理の正確性が向上する。現在のスペクトルには、基板上の異なる場所(例えば、スクライブラインやアレイ)で反射された光からのスペクトルが含まれていてもよく、また、上述したパターン効果はこれらのスペクトラ間の差を大きくすることができる。同様に、基準スペクトルは、基板上の異なる場所で反射された光からのスペクトルを含むことができる。こうした異なるスペクトルの比較には欠陥があり、終点決定を誤ったものにしてしまう可能性がある。例えば、パターン化された基板のスクライブラインで反射された光の現在のスペクトルを、パターン化された基板のアレイで反射された光の基準スペクトルと比較することで、終点決定の計算に誤りが生じる可能性がある。比喩的に言えば、このような比較はりんごとオレンジを比較するようなものである。最小の差分のみを考慮した場合には、これらのタイプの比較は(たとえこれらが行われた場合でも)計算から除外される。そのため、複数の基準スペクトルと複数の現在のスペクトルを使用することで、また、これらのスペクトル間の最小差分を考慮することで、先述の誤った比較によって生じる誤差を回避できる。
【0088】
[0106]場合により、例えば、先行する1つ以上の算出差分からの閾値を超えて逸脱した算出差分を取り除いて差分トレースを簡略化することで差分トレースの処理を行うことができる。
【0089】
[0107]差分トレースが最小の閾値内に入るかどうかが決定される(ステップ810)。最小値が検出されると、差分トレースが具体的な最小閾値を越えて上昇を始める時に終点が呼び出される。あるいは、差分トレースの傾斜に基づいて終点を呼び出すこともできる。具体的には、差分トレースの傾斜はゼロに接近し、また、最小値がゼロ付近の傾斜の閾値範囲内にある時点においてゼロになる。
【0090】
[0108]場合により、決定ステップ808を促進するために窓論理を適用することができる。使用に適した窓論理は、共同出願人による米国特許第5、893、796号、6、296、548号に説明されているものであり、これらの全体は参照によって、本明細書中に組み込まれる。
【0091】
[0109]差分トレースが最小閾値範囲に達したと決定されない場合には、研磨は継続することができ、ステップ804、806、808、810が適宜繰り返される。そうでない場合には、終点が呼び出され、研磨が停止する(ステップ812)。
【0092】
[0110]
図8Bは、上述の終点を決定する方法を例証している。トレース801は生差分トレース(raw difference trace)である。トレース803は簡略化した差分トレースである。この簡略化した差分トレース803が最小値807よりも上の閾値805に達すると、終点が呼び出される。
【0093】
[0111]1つ以上の基準スペクトルの使用の代替形として、方法800において1つ以上のターゲットスペクトルを使用することができる。差分計算は、1つ以上の現在のスペクトルと1つ以上のターゲットスペクトル間のものとなり、終点は、差分トレースが最小に達した時に決定される。
【0094】
[0112]
図9Aは、スペクトルに基づく終点決定論理を使用して研磨ステップの終点を決定する代替方法900を示す。設定基板が研磨され、1つ以上のターゲットスペクトルと1つ以上の基準スペクトルが得られる(ステップ902)。これらのスペクトルは、
図7A、
図7Bを参照して上述したとおりに得ることができる。
【0095】
[0113]ターゲット差分を計算する(ステップ904)。1つの基準スペクトルを使用する場合には、ターゲット差分は、基準スペクトルとターゲットスペクトルの間の差分であり、これは、上述の差分方程式を使用して計算できる。2つ以上の基準スペクトルを使用する場合には、ターゲット差分は基準スペクトルとターゲットスペクトルの差分の最小差分となり、これは上述の差分方程式および差分算出方法を使用して計算される(即ちステップ808)。
【0096】
[0114]基板のバッチ内の別の基板の研磨を開始する(ステップ906)。研磨の最中に、各プラテン回転について以下のステップが実行される。研磨中の基板表面で反射された白色光の1つ以上のスペクトルは、現在のプラテンの回転について1つ以上の現在のスペクトルを得るために測定される(ステップ908)。1つ以上の現在のスペクトルと基準スペクトルの間の差分を計算する(ステップ910)。算出した1つ以上の差分(現在のスペクトルが2個以上ある場合)が差分トレースに追加される(ステップ912)。(ステップ908、910、912は、ステップ804、806、808にそれぞれ類似する。)差分トレースがターゲット差分の閾値範囲内にあるか否かを決定する(ステップ914)。差分トレースがターゲット差分の閾値範囲に達したと決定されない場合には、研磨を継続することができ、ステップ908、910、912、914を適宜繰り返す。そうでない場合は、終点が呼び出され、研磨が停止する(ステップ916)。
【0097】
[0115]
図9Bは、上述の終点決定方法を例証している。トレース901は生差分トレースである。トレース903は簡略化した差分トレースである。この簡略化した差分トレース903がターゲット差分907の閾値範囲905内に入る場合に終点が呼び出される。
【0098】
[0116]
図10Aは、研磨ステップの終点を決定する別の方法1000を示す。1つ以上の基準スペクトルが得られる(ステップ1002)。この1つ以上の基準スペクトルは
図7Bを参照して上述したとおりに得られる。
【0099】
[0117]基準スペクトルを得る処理から収集したスペクトルはライブラリに記憶される(ステップ1004)。あるいは、ライブラリは、収集はされていないが理論的に生成されたスペクトルを含むことができる。基準スペクトルを含む複数のスペクトルにインデックスを付けて、各スペクトルが一意のインデックス値を有するようにする。このインデックス付けは、スペクトルを測定した順序においてインデックス値が連続するように実現される。そのため、インデックスは時間および/またはプラテン回転と相関する。1つの実施において、時間中に第1点で収集された第1スペクトルは、時間中のこれ以降の点において収集された第2スペクトルよりも小さいインデックス値を有する。ライブラリは、研磨装置の計算デバイスのメモリ内において実現することができる。
【0100】
[0118]基板バッチ内の1枚の基板が研磨され、各プラテン回転について以下のステップが実行される。現在のプラテン回転に現在のスペクトルを得るために、1つ以上のスペクトルを測定する(ステップ1006)。上述したとおりにスペクトルが得られる。各現在のスペクトルがライブラリ内に記憶されたスペクトルと比較され、任意の現在のスペクトルと最も一致するライブラリスペクトルが決定される(ステップ1008)。現在のスペクトルの任意のものに最も良く一致すると決定されたライブラリスペクトルのインデックスは、終点インデックストレースに付加される(ステップ1010)。終点トレースが任意の1または複数の基準スペクトルのインデックスに達すると、終点が要求される(ステップ1012)。
【0101】
[0119]
図10Bは、終点を決定する上述の方法を例証する。トレース1004は生インデックストレースである。トレース1003は簡略化した差分トレースである。線1005は、基準スペクトルのインデックス値を表す。基板の下における光学ヘッドをスイープする度に複数の現在のスペクトルを得ることができ、例えば、基板上の各ラジアルゾーンのスペクトルが追跡され、また、各ラジアルゾーンにインデックストレースを生成することができる。
【0102】
[0120]
図11は、研磨ステップ中に終点を決定する実現を示している。各プラテン回転について以下のステップを実行する。研磨中の基板表面で反射された白色光の複数の生スペクトルが測定される(ステップ1102)。
【0103】
[0121]1つ以上の対象膜以外の媒体から寄与される光反射を除去するために、測定されたそれぞれの生スペクトルが正規化される(ステップ1104)。スペクトルを正規化することで、スペクトルどうしの比較が促進される。1つ以上の対象膜以外の媒体から寄与される光反射には、研磨パッド窓からの光反射、基板のベースシリコン層から寄与される光反射が含まれる。窓からの寄与は、イン・シトゥー監視システムが暗い状態において(即ち、イン・シトゥー監視システムの上に基板が配置されていない時に)受光した光のスペクトルを測定することで推定できる。シリコン層からの寄与は、剥き出しのシリコン基板の光反射のスペクトルを測定することで推定できる。剥き出しのシリコン基板からの寄与は、研磨ステップの開始前に得ることができる。しかしながら、窓からの寄与、いわゆる暗い寄与は、動的に、即ち、
図5中の点511のような各プラテン回転について得られる。
【0104】
[0122]測定された生スペクトルは以下のとおり正規化される。
【0105】
正規化されたスペクトル=(A−Dark)/(Si−Dark)
ここで、Aは生スペクトル、Darkは暗い状況下で得たスペクトル、Siは剥き出しのシリコン基板から得たスペクトルである。
【0106】
[0123]場合により、収集したスペクトルを、このスペクトルを生成したパターン領域に基づいて記憶することができ、また、いくつかの領域からのスペクトルを除外することができる。特に、スクライブラインから反射する光からのスペクトルは考慮から除去することができる(ステップ1106)。通常、パターン基板の異なる領域は異なるスペクトルを生産する(スペクトルが研磨中の何れかの時間点において得られた場合も同様である)。例えば、基板内のスクライブラインで反射された光のスペクトルは、基板のアレイで反射する光のスペクトルとは異なる。スペクトルは形状が異なるため、パターンのこれら両方の領域からのスペクトルの使用は通常、終点の決定にエラーをもたらす。しかし、スペクトルを、これらの形状に基づいて、スクライブラインのグループとアレイのグループ毎に記憶することができる。スクライブラインの場合にはスペクトルの変化がより大きいため、通常はこのスペクトルを考慮から除外して精密性を拡張することができる。
【0107】
[0124]ステップ1106は、不適切な比較によって生じた上述のエラーを補正するために複数の基準スペクトル(方法800のステップ808において上述したもの)を使用する技術の代替形であってもよい。ステップ1106はステップ808の代わりとして、またはこれに加えて実行することができる。
【0108】
[0125]これまでに、処理されたスペクトルのサブセットが選択され、いくつかの場合においては平均が取られている(ステップ1108)。サブセットは、基板上の或る領域内の複数の点において基板から反射された光から得たスペクトルで構成されている。この領域は、例えば領域503、領域507であってもよい(
図5)。
【0109】
[0126]場合により、測定した生スペクトルに高パスフィルタが付加される(ステップ1110)。典型的には、高パスフィルタを付加することで、スペクトルのサブセットの平均低周波歪みが除去される。高パスフィルタは生スペクトル、この平均、または生スペクトル及びこの平均の両方に付加することができる。
【0110】
[0127]この平均値を、これの振幅が基準スペクトルの振幅と同一となる、または類似するように正規化する(ステップ1112)。スペクトルの振幅はスペクトルのトラフ値のピークである。あるいは、この平均値を、これの基準スペクトルが基準振幅と同一となる、または類似するように正規化する。この場合、この基準スペクトルはこの基準振幅に正規化されている。いくつかの実施では、複数のスペクトルのサブセットうちの各スペクトルが、これらの振幅が基準スペクトルの振幅と同一となる、または類似するように正規化されるか、あるいは、基準スペクトルも正規化されている基準振幅と同一となる、または類似するように正規化される。
【0111】
[0128]正規化された平均又はスペクトルと基準スペクトルとの間の差分が計算される(ステップ1114)。
図7Bを参照して説明したとおりに、1つ以上の基準スペクトルが得られる。上述したスペクトル間の差分を算出する方程式を使用して、差分の計算を行う。
【0112】
[0129]差分トレースを現在の差分または最小の算出差分で更新する(ステップ1116)。差分トレースは、正規化した平均またはスペクトルと、時間の関数としての1つ以上の基準スペクトル(またはプラテン回転)との間の算出差分を呈する。
【0113】
[0130]更新した差分トレースに中間フィルタおよび低パスフィルタを付加する(ステップ1118)。典型的には、これらのフィルタを付加することでトレースが簡略化される(トレース中のスパイクを低減または排除することによる)。
【0114】
[0131]更新およびフィルタリングされた差分トレースに基づいて終点決定を実行する(ステップ1120)。この決定は、差分トレースが最小値に達したときに基づいて行われる。この決定を行うために上述の窓論理を使用する。
【0115】
[0132]より一般的には、ステップ1104〜1112の信号処理ステップを使用して終点決定手順を向上させることができる。例えば、差分トレースを生成する代わりに、
図10Aを参照して上述したように、正規化した平均スペクトルを使用して、インデックストレースを生成するスペクトルをライブラリから選択する。
【0116】
[0133]
図12はステップ1112の正規化を示す。図からわかるように、正規化の対象として考慮されるのはスペクトルの一部(またはスペクトルの平均)のみである。本明細書において、正規化に考慮されるこの部分を正規化範囲と呼び、さらにユーザが選択できるようになっている。正規化は、正規化範囲内の最高点と最低点がそれぞれ1〜0に正規化されるように遂行される。正規化は次のとおり計算できる:
g=(1−0)/(r
max−r
min)
h=1−r
max*g
N=Rg+h
ここで、gは利得、hはオフセット、r
maxは正規化範囲内の最高値、r
minは正規化範囲内の最低値、Nは正規化後のスペクトル、Rは正規化前のスペクトルである。
【0117】
[0134]
図13は、複数の基準をスペクトルを用いて円滑効果を与えることを示す。トレース1302は、シングル基準スペクトル(平均値)を使用して生成された。トレース1304は3個の基準スペクトル(
図8を参照して上述されたもの)を使用して生成された。トレース1306は9個の基準スペクトルを使用して生成された。図からわかるように、トレース1304に含まれているスパイクの数は、トレース1302に含まれているスパイクの数よりも少ない。つまり、トレース1304はトレース1302よりも簡略化されている。さらに、トレース1304はトレース1306よりもはっきりした降下を有しているが、この下降によって終点決定論理が終点を呼び出すことが可能になるので重要である。よりはっきりとした下降は終点決定を促進する。
【0118】
[0135]
図14は、所望の基板外形を達成するためにスペクトルを使用する方法1200を示す。製品基板の研磨に予測される終点時間を決定する(ステップ1210)。いくつかの実施では、この予想される終点時間は、所定処理パラメータによって設定基板を研磨し、設定基板が所望の厚さに達する時間を決定し(例えば、従来のオフライン方法測定を用いる)、設定基板が所望の厚さに達する研磨時間を予想される終点時間として使用することで決定される。
【0119】
[0136]製品基板研磨を開始する(ステップ1218)。2基板の個以上のラジアル位置においてスペクトルを得る(ステップ1226)。各スペクトルの測定毎に基板上のラジアル位置を決定し、スペクトル測定値をこれらのラジアル点に基づいてゾーン内に入れることができる。基板は、中心ゾーン、中間ゾーン、辺縁ゾーンといった複数のゾーンを有することができる。300mmのウェーハ上において、中心ゾーンは中心から半径50mm、中間ゾーンは半径50〜約100mm、辺縁ゾーンは約100〜150mmの距離に亘っていてもよい。いくつかの実施では、基板はこれら3個よりも多いまたは少ないゾーンを有している。スペクトルを得る位置は2004年8月18日に提出の米国出願10/922、110号、“Determination of Position of Sensor Measurements During Polishing”、または米国特許第7、018、271号において説明されている方法を使用して決定することができる。これらは全ての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0120】
[0137]
図10Aに関連して上述したように、各ゾーンからのスペクトル(または、各ゾーンについての、基板にわたるセンサのシングルスイープで得られるゾーン内のスペクトル平均)を、スペクトルライブラリ内のスペクトルと比較する。対応するインデックス数は、スペクトルライブラリ内の比較から各ゾーンに対して決定される(ステップ1238)。
【0121】
[0138]ゾーンのインデックスが1または複数の終点基準と一致すると研磨が停止する。例えば、事前に選択したゾーンが所望のインデックスに到達した時、または、何れかのゾーンが所望のインデックスに最初に到達した時、あるいは、各ゾーンで所望のインデックスが達成された時に研磨を停止できる(ステップ1244)。各ゾーンの所望のインデックスは、最終的に所望の基板の外形によって決定される。研磨完了後の基板を平坦な外形にしたり、均等な酸化物膜を設ける場合には、全てのゾーンで得られたスペクトルが同一またはほぼ同一でなければならず、また、全てのゾーンが同一または類似の所望のインデックス数を有する。
【0122】
[0139]全てのゾーン内の最終的なインデックス数が所望の最終インデックス数と等しくなるように、ゾーン内での研磨速度を、フィードバックループを使用して調整することができる。
図15は、予想された終点時間において所望の基板外形を得るために研磨処理を調整する1つの方法1400を示す。予想された終点時間における所望のインデックス数は基板上の各ゾーンに決定される(ステップ1402)。研磨が開始し(ステップ1404)、基板が上述したとおりに光学監視されることで、基板上の全てのゾーンにインデックストレースが決定される(ステップ1406)。研磨処理を安定させる初回遅延時間の後に、時間に従ったインデックスの変化速度が計算される(時間を表すものとしてプラテン回転数を使用できる)(ステップ1408)。インデックスの変更速度は、異なる時間にインデックスを生成したスペクトル測定どうしの間に経過したプラテン回転数で割った、2つの異なる時間におけるインデックスの差分として単純に算出できる。インデックス数の変化速度は研磨速度を表す。典型的には、どの研磨パラメータにも変化がない場合には、研磨速度は一定していると仮定できる。
【0123】
[0140]各ゾーンについてのインデックスの変化速度を使用してインデックストレースを補外することで、関連するゾーンに予想された終点時間に達成されるインデックス数を決定することができる(ステップ1412)。予想された終点時間に所望のインデックス数を超えた、または未だこの数に達していない場合には、必要に応じて研磨速度を上方または下方に調整することができる(ステップ1420)。予想された終点時間に所望のインデックス数に達した場合には、調整は必要ない。2個以上の外挿と調整がなされるべきかどうかの決定は、研磨シーケンスにわたって生じ得る。研磨速度の調整を行う必要があるかどうかの決定には、研磨終点の発生時に所望のインデックス数が達成されるかどうかの決定と、最終インデックスが所望の最終インデックス数からの許容可能な範囲内に入るかどうかの決定とが含まれる。
【0124】
[0141]いくつかの実施では、例えば中心ゾーンのような1つのゾーンに予想される終点時間を決定する。次に、必要に応じてこの他のゾーン内の研磨速度を調整することで、これらゾーンの所望の終点が、中心ゾーンのような選択されたゾーンに予想される終点時間と同時に達成される。研磨速度は、例えばキャリアヘッド内部における対応ゾーン内の圧力を増減することで調整できる。例えば米国公報第2005−0211377号で説明されているキャリアヘッドのようないくつかのキャリアヘッドにおいては、キャリアヘッドは調整可能な圧力ゾーンを有する。研磨速度の変化は圧力の変化に直接比例すると仮定でき、これは例えば、単純なプレストニアン(Prestonian)モデルである。これに加えて、プラテンまたはヘッド回転速度の影響、異なるヘッド圧力の組み合わせの2次効果、研磨温度、スラリー流、また、研磨速度に影響するこれ以外のパラメータを考慮した、基板を研磨するための制御モデルを開発することが可能である。
【0125】
[0142]さらに、方法800において上述したスペクトルに基づく終点決定論理を使用して研磨終点を決定することができ、また、この終点決定論理を研磨処理の調整と共に使用して、所望の基板外形を得ることもできる。各ゾーンの相対厚さは、ゾーン間の差分を使用して、ステップ806に関連して上で提供された方程式から決定される。基板の研磨時にスペクトルが得られ、このスペクトルがゾーン内に入れられる。場合により、スペクトルに信号の処理およびフィルタリングを付加する。各ゾーンについて収集したスペクトルと、所定基準スペクトルとに対して2乗誤差和計算を適用する。所定基準スペクトルは、研磨終点に達した際に得たスペクトルである。
【0126】
[0143]基準スペクトルを伴った2乗誤差和が1つのゾーン内の最小値に接近すると、任意のゾーンにおける研磨速度に対して変更するべきかどうかを決定するために、他のゾーンの研磨圧力の検査が行われる。2乗誤差和が最小値に接近しているゾーンにおける研磨速度は減少され、他のゾーンにおける研磨速度は増加し得る。研磨全体に亘って2乗誤差和を分析し、これにより、研磨シーケンスの初期において研磨速度の調整の変更を行うこともできる。方法1400で説明した方法とは異なり、この方法では、スペクトルライブラリからの研磨スペクトルとインデックス数の間の相関を必要としない。
【0127】
[0144]
図16を参照すると、例えば基板表面全体にかけて均一な厚さを有するといったように具体的な外形が望ましい場合には、時間に従ったインデックス数の変化で表される研磨速度の傾斜を監視し、さらに研磨速度の調整を行うことができる。研磨安定期間1505の後に、中心ゾーン1510、辺縁ゾーン1515、これらの間の中間ゾーン1520においてスペクトルが得られる。ここでは、ゾーンは円形または環状形のゾーンである。各スペクトルは対応するインデックスと相関される。この処理をプラテン回転の回数だけ、または時間にかけて繰り返し、さらに、中心ゾーン1510、中間ゾーン1520、辺縁ゾーン1515のそれぞれにおける研磨速度を決定する。研磨速度は、インデックス1530(y軸)を回転数1535(x軸)に従ってプロットして得た線の傾斜で表される。いずれかの速度が他のものよりも速いまたは遅いような場合には、これのゾーン内の速度を調整することができる。ここでは、この調整は中心ゾーン1510の終点C
Eに基づいている。現在の基板に十分なデータ点またはプラテン回数が収集された後に、中心ゾーンにおおよその研磨終点(「EDP」)、または推定された終点時間(「EET」)が決定される。各プラテン回転の後にEETが再計算される。研磨処理中の最初の研磨時間T
1に、中間ゾーン1520での研磨速度が減速し、辺縁ゾーンでの研磨速度が増加する。中間ゾーン1520で研磨速度を調整しなければ、中間ゾーンは基板の他のゾーンよりも速く、過剰研磨速度M
A速度で研磨されるようになる。辺縁ゾーン1515の研磨速度T
1を調整しなければ、辺縁ゾーン1515の研磨は速度E
uで研磨不足となる。
【0128】
[0145]研磨処理中の後続の時間(T
2)でも、必要であれば速度を調整することが可能である。この研磨処理における目標は、基板の表面が平坦になった場合、あるいは比較的平坦な表面全体にかけて酸化物層である場合に研磨を終了することである。研磨速度の調整量を決定する1つの方法は、中心、中間、辺縁ゾーンのそれぞれのインデックスが、ほぼ研磨終点EDPにおいて等しくなるように速度の調整を行うというものである。そのため、辺縁ゾーンにおける研磨速度は調整が必要であるが、中心および中間ゾーンがT
2以前と同じ速度で研磨される。EDPは、中心ゾーンの近似直線が所望のASLレベルに達した場合に決定される。これ以外の全てのゾーンは、これらの近似直線が同時にASLレベルと交差するために可能な限り接近するように制御される。
【0129】
[0146]具体的な外形を達成するために研磨速度のスペクトルに基づく観察を使用する別の方法には、第1基板を研磨し、研磨速度を監視し、この後に研磨される基板に対して磨速度情報を供給するというものがある。
図17を参照すると、第1設定基板が研磨され、さらに、中心ゾーン1610、中間ゾーン1620、辺縁ゾーン1630の研磨速度と相対酸化物厚さを決定するスペクトルが得られる。中間ゾーン1620、中心ゾーン1610、辺縁ゾーン1630の開始インデックスはそれぞれM
O、C
O、E
Oで表される。中心ゾーン1610は、ターゲットスペクトルに選択される終点C
Eスペクトルを有する。現在のウェーハの研磨の最後に、他の2つのゾーンが、中心終点C
Eのインデックスからの閾距離1640に入るインデックス数を有する場合には、次のウェーハの辺縁ゾーン1630または中間ゾーン1620の研磨速度を調整する必要はない。同様に、研磨中の研磨速度とインデックス数が許容範囲1650内にある場合にも、辺縁ゾーン1630または中間ゾーン1620に調整を行う必要はない。ここでは、研磨の最後に、中間ゾーンMEの終点はこの中間ゾーンが過剰研磨されたことを示し、辺縁ゾーンE
Eの終点はこの辺縁ゾーンが研磨不足であることを示している。その結果、後続のウェーハでは、研磨速度パラメータを、全てのゾーンE、M、Cの終点における厚さが許容範囲1640内に入るように調整することになる。
図18は、次のウェーハのゾーンE、M、Cに予想される信号の発生を表す。
【0130】
[0147]
図18を参照すると、イン・シトゥー調整を使用した場合の研磨処理中に、研磨速度を例えば4回、3回、2回または1回のみといったように数回変更するだけにすることが好ましい。調整は、研磨処理の開始時付近、中間、終了近くに行うことができる。インデックス数を設けたスペクトルに関連して、各ゾーンにおける研磨の直線比較が作成され、また、研磨処理を制御し、複雑なソフトウェアまたは処理ステップを不要にする方法を決定するのに必要な計算が単純化される。
【0131】
[0148]基板の差分ゾーンから得られたスペクトルは基板プロファイルを得ることができるが、酸化物層の絶対厚さを提供する必要はない。そのため、ここで説明しているいくつかのスペクトルに基づく研磨速度調整方法を使用して、基板全体にかけての酸化物相対厚さを監視することができる。これらスペクトルに基づく方法は、基板のゾーン内での研磨速度の決定および調整を行うために使用できるので、スペクトルに基づく方法は、続いて起こる基板の厚さ変化と、ウェーハの非均一性において誘発された研磨とを補正することができる。
【0132】
[0149]ここで説明しているように、相対厚さを使用して所望の基板外形を達成することができる。上述した例のうちのいくつかでは、研磨後の所望の基板外形は平坦外形である。しかし、平坦以外の外形を達成することも可能である。多くの場合、基板は2個以上のプラテン上で研磨される。1つのゾーンを他のゾーンよりも高速で固有に研磨する研磨処理がいくつか知られている。この非均一研磨を補正するために、第1プラテンでの研磨を、例えば次のプラテン上ではより高速に研磨される1つのゾーンを、他のゾーンよりも厚く残すように制御することができる。この厚さの差分は、ターゲットインデックス数の差分や、1つのゾーンの終了インデックス数と他のゾーンの終了インデックス数の間の割合を選択することで達成できる。
【0133】
[0150]本発明の実施形態、および本明細書中で説明した全ての機能動作は、デジタル電子回路要素内で、または、本明細書およびこれの構造同等物、あるいはこれらの組み合わせにおいて開示された構造手段を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア内で実現することが可能である。本発明の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品として、即ち、例えばプログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、複数のプロセッサまたはコンピュータのようなデータ処理装置によって実行される、またはこれの動作を制御するための、マシン読み出し可能な記憶装置のような情報キャリアや伝播信号内で実際に具現化される1つ以上のコンピュータプログラムとして実現することができる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、コードとしても公知)は、コンパイルされた言語や翻訳された言語を含む任意のプログラム言語形式で書くことができ、さらに、コンポーネント、サブルーチン、これ以外の、計算環境での使用に適したユニットをスタンドアロンプログラムまたはモジュールとして含む任意の形式で展開することが可能である。コンピュータプログラムは必ずしもファイルに関連していない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部、質問またはコーディネートされた複数のファイル(例えば、1または複数のモジュール、サブプログラム、コードの各部を記憶するファイル)内のプログラムに専念された単一ファイルに記憶することができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ上、あるいは1箇所に設置された、または複数個所に分散され通信ネットワークでつながれた数台のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0134】
[0151]本明細書中で説明した処理フローおよび論理フローは、データの入力と出力の生成を行うことによって機能を実効する1つ以上のコンピュータプログラムを実行している、1つ以上台のプログラム可能なプロセッサによって実現することができる。プロセスフローおよび論理フローは、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)やASIC(アプリケーション特化型集積回路)のような特殊用途論理回路によって実現することができ、さらに、装置をこのような特殊用途論理回路として実現することも可能である。
【0135】
[0152]上述した研磨装置および方法は、様々な研磨システムに適用できる。研磨パッドまたはキャリアヘッド、あるいはこれらの両方は、研磨面と基板の間の相対動作を提供するように移動できる。例えば、プラテンは回転ではなく軌道旋回することができる。研磨パッドは、プラテンに固着された円形(またはこれ以外の形状)のパッドであってもよい。終点検出システムのいくつかの態様は、例えば、研磨パッドが連続している、あるいはリール・ツー・リールベルトが直線方向に移動する直線研磨システムに適用することができる。研磨層は標準的な(例えば、充填材を含む、または含まないポリウレタン)研磨材料、柔軟な材料、固定研磨材料であってもよい。相対位置決め方式を使用できる:研磨表面と基板を垂直方位またはこれ以外の方位に保持できることが理解されるべきである。
【0136】
[0153]本発明の具体的な実施形態を説明してきた。これ以外の実施形態も特許請求の範囲内に包括される。例えば、特許請求項で引用した動作を異なる順序で実行しても、所望の結果を達成することが可能である。