(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047573
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】放射源
(51)【国際特許分類】
H05G 2/00 20060101AFI20161212BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20161212BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20161212BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20161212BHJP
H01S 3/23 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H05G2/00 K
H01L21/30 531S
G03F7/20 521
H01S3/00 A
H01S3/23
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-527556(P2014-527556)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公表番号】特表2014-531704(P2014-531704A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】EP2012064775
(87)【国際公開番号】WO2013029895
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月21日
(31)【優先権主張番号】61/530,782
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ループストラ,エリック
【審査官】
遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−506687(JP,A)
【文献】
特表2010−506425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 2/00
H01L 21/30
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射源であって、
燃料小滴の流れを軌道に沿ってプラズマ形成位置に向けて誘導するノズルと、
前記プラズマ形成位置にある燃料小滴にレーザ放射を誘導して、使用中、放射生成プラズマを生成するレーザと、を備え、
前記レーザは、
シードレーザビームを提供するシードレーザと、
前記シードレーザから前記シードレーザビームを受けるビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタから前記シードレーザビームを受けて、増幅されたシードレーザビームを提供する光前置増幅器と、
増幅された前記シードレーザビームを受け、増幅された前記シードレーザビームを前記光前置増幅器を介して前記ビームスプリッタに向けて誘導し、二度増幅されたシードレーザビームを提供する第1リフレクタと、
前記ビームスプリッタを介して二度増幅された前記シードレーザビームを受け、さらなる光増幅器の一度の通過で二度増幅された前記シードレーザビームをさらに増幅し、前記レーザビームを生成するさらなる光増幅器と、
第2リフレクタであって、プラズマ内に燃料小滴を向けるための前記放射源の動作使用時に前記燃料小滴は前記第2リフレクタとして機能し、前記さらなる光増幅器から前記レーザビームを受け、前記レーザビームの少なくとも一部分を前記さらなる光増幅器に向けて戻すように誘導する第2リフレクタと、を備える、放射源。
【請求項2】
前記ビームスプリッタは、偏光する又は偏光されたビームスプリッタである、請求項1に記載の放射源。
【請求項3】
前記ビームスプリッタと前記第1リフレクタとの間のビームパス内には波長板が配置される、請求項1又は2に記載の放射源。
【請求項4】
前記波長板は4分の1波長板である、請求項3に記載の放射源。
【請求項5】
前記ビームスプリッタは、前記シードレーザビームの一部分のみを前記光前置増幅器へと誘導する、請求項1に記載の放射源。
【請求項6】
シードレーザビームを提供するシードレーザと、
前記シードレーザから前記シードレーザビームを受けるビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタから前記シードレーザビームを受けて、増幅されたシードレーザビームを提供する光前置増幅器と、
増幅された前記シードレーザビームを受け、増幅された前記シードレーザビームを前記光前置増幅器を介して前記ビームスプリッタに向けて誘導し、二度増幅されたシードレーザビームを提供する第1リフレクタと、
前記ビームスプリッタを介して二度増幅された前記シードレーザビームを受け、さらなる光増幅器の一度の通過で二度増幅された前記シードレーザビームをさらに増幅し、前記レーザビームを生成するさらなる光増幅器と、
第2リフレクタであって、プラズマ内に燃料小滴を向けるための前記放射源の動作使用時に前記燃料小滴は前記第2リフレクタとして機能し、前記さらなる光増幅器から前記レーザビームを受け、前記レーザビームの少なくとも一部分を前記さらなる光増幅器に向けて戻すように誘導する第2リフレクタと、を備える、レーザ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の放射源若しくはレーザを備える、又は、前記放射源若しくはレーザに接続されている、又は、前記放射源若しくはレーザに接続可能な、リソグラフィ装置。
【請求項8】
放射ビームを提供する照明システムと、前記放射ビームの断面にパターンを付与するパターニングデバイスと、基板を保持する基板ホルダと、前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、をさらに備える、請求項7に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
レーザ放射を生成する方法であって、
シードレーザビームをビームスプリッタに向けて誘導することと、
前記ビームスプリッタを用いて前記シードレーザビームを光前置増幅器へと誘導し、増幅されたシードレーザビームを提供することと、
前記シードレーザビームが前記光前置増幅器を通過した後、増幅された前記シードレーザビームを第1リフレクタから反射させて誘導し、前記光前置増幅器を介して再び前記ビームスプリッタに誘導し、二度増幅されたシードレーザビームを提供することと、
二度増幅された前記シードレーザビームをさらなる光増幅器に一度通過させてさらに増幅し、前記レーザビームを生成することと、
第2リフレクタとして機能する燃料小滴から反射された前記レーザビームの少なくとも一部分をさらなる光増幅器で受けることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001] 本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2011年9月2日に出願の米国特許仮出願第61/530,782号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置と併用して使用するのに適した放射源、又は、リソグラフィ装置の一部を形成する放射源に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成されるべき回路パターンを生成するために、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、又は1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICや他のデバイス及び/又は構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型のIC又は他のデバイス及び/若しくは構造の製造を可能にするためのより重要な要因になりつつある。
【0005】
[0005] パターン印刷の限界は、式(1)に示す解像度についてのレイリー基準によって、理論的に推測することができる。
【数1】
【0006】
[0006] 上の式で、λは、使用される放射の波長であり、NAは、パターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、k
1は、レイリー定数とも呼ばれているプロセス依存調整係数であり、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(又はクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズは、露光波長λを短くすること、開口数NAを大きくすること、又は、k
1の値を小さくすること、の3つの方法によって縮小することができると言える。
【0007】
[0007] 露光波長を短くするため、従って、最小印刷可能サイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらには、10nm未満の波長、例えば、6.7nm又は6.8nmといった5〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射が使用され得ることも提案されている。そのような放射は、極端紫外線または軟x線と呼ばれる。考えられる放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リングによって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
【0008】
[0008] EUV放射は、プラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、燃料を励起してプラズマを提供するレーザと、プラズマを収容するための放射源コレクタモジュールと、を備え得る。プラズマは、例えば、適切な燃料材料(例えば、現在最も信頼性の高い材料と考えられ、そのためEUV放射源用の燃料に選択されることが多いスズ)の粒子(つまり、小滴)、又は、Xeガス又はLi蒸気といった適切なガス又は蒸気の流れなどの燃料にレーザビームを誘導することにより作り出すことができる。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、この出力放射は放射コレクタによって集光される。放射コレクタは、鏡面仕上げの法線入射放射コレクタであってよく、放射を受けてビームへと集束させる。放射源コレクタモジュールは、プラズマを支持するための真空環境を提供するように配置された閉鎖構造又はチャンバを備え得る。このような放射システムは、通常、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれる。同様にレーザの使用を採用し得る別のシステムでは、放射は、放電を使用して形成されたプラズマによって生成され得る、放電生成プラズマ(DPP)源がある。
【0009】
[0009] 提案されるEUV LPP源は、シードレーザ(seed laser)を備える。シードレーザは、シードレーザビームを、1つ以上の光増幅器(例えば、高利得増幅器又は前置増幅器と、それに続く1つ以上の電力増幅器)内に向け、かつ、これらの光増幅器を通るように誘導する。増幅されたレーザ放射は、その後、燃料小滴に向けて誘導されて燃料小滴に入射する。増幅されたレーザ放射を使用して、例えば、燃料小滴を少なくとも部分的に蒸発させ、EUV放射を生成する。しかし、増幅されたレーザ放射が燃料小滴に入射すると、増幅されたレーザ放射の一部分は、この燃料小滴で反射され、当初のビームパスを通ってシードレーザに向けて戻される。この戻りビームは、シードレーザへと戻る途中に光増幅器によって増幅され、増幅されたレーザビームがシードレーザ自体に入射し得る。これによって、シードレーザに損傷を与えるおそれがある。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本明細書内又はそれ以外で特定される従来技術の少なくとも1つの問題を防止又は軽減すること、あるいは、既存の装置又は既存の方法の代替物を提供することが望ましい。
【0011】
[0011] 本発明の第1の態様によると、燃料小滴の流れを軌道に沿ってプラズマ形成位置に向けて誘導するように構成されたノズルと、プラズマ形成位置にある燃料小滴にレーザ放射を誘導して、使用中、放射生成プラズマを生成するように構成されたレーザと、を備えた放射源であって、レーザは、シードレーザビームを提供するためのシードレーザと、シードレーザからシードレーザビームを受けるためのビームスプリッタと、ビームスプリッタからシードレーザビームを受けて光増幅を行うための光増幅器と、光増幅器の下流側に配置され、シードレーザビームを、光増幅器を通してビームスプリッタへと戻すべく誘導するように構成された第1リフレクタと、ビームスプリッタのさらに下流側に配置され、ビームスプリッタからシードレーザビームを受け、かつ、シードレーザビームの少なくとも一部分をビームスプリッタに向けて戻すべく誘導するように構成された第2リフレクタと、を備える、放射源が提供される。
【0012】
[0012] ビームスプリッタは、偏光している又は偏光された(polarizing or polarized)ビームスプリッタであり得る。
【0013】
[0013] ビームスプリッタと第1リフレクタとの間のビームパス内には波長板が位置付けられ得る。波長板は4分の1波長板であってよい。波長板は、この波長板を二度通過した後、放射の偏光状態が確実に90°変更される(つまり、回転される)ように構成することができる。
【0014】
[0014] ビームスプリッタは、シードレーザビームの一部分(例えば、10%)のみを光増幅器へと誘導するように配置され得る。大部分(例えば、90%)が、例えばビームダンプなどといった他の場所に誘導され得る。
【0015】
[0015] 第2リフレクタは燃料小滴であり得る。
【0016】
[0016] 光増幅器は、高利得増幅器又は前置増幅器(又は、増幅プロセスにおいて1つ以上の増幅器が使用される場合は、少なくとも最高利得を有する増幅器)であり得る。
【0017】
[0017] ビームスプリッタと第2リフレクタとの間のビームパス内には、1つ以上の更なる(例えば、上述した光増幅器よりも低い利得を有する)光増幅器が配置されてもよい。
【0018】
[0018] 本発明の第2の態様によると、シードレーザビームを提供するためのシードレーザと、シードレーザからシードレーザビームを受けるためのビームスプリッタと、ビームスプリッタからシードレーザビームを受け、かつ光増幅を行うための光増幅器と、光増幅器の下流側に配置され、シードレーザビームを、光増幅器を通してビームスプリッタへと戻すべく誘導するように構成された第1リフレクタと、ビームスプリッタのさらに下流側に配置され、ビームスプリッタからシードレーザビームを受け、かつ、シードレーザビームの少なくとも一部分をビームスプリッタに向けて戻すべく誘導するように構成された第2リフレクタと、を備えるレーザが提供される。
【0019】
[0019] 本明細書に記載する1つ以上の任意の増幅器は、シードレーザによりポンピング又は作動することができる。その代わりに又はそれに加えて、1つ以上の増幅器が、例えば、電気入力などの使用といった1つ以上の他の方式によって、励起(又は増幅)状態にポンピングされてもよい。
【0020】
[0020] 本発明の第3の態様によると、本発明の他の態様の放射源若しくはレーザを備える、又は当該放射源若しくはレーザに接続されている、又は当該放射源若しくはレーザに接続可能な、リソグラフィ装置が提供される。
【0021】
[0021] リソグラフィ装置は、放射ビームを提供するための照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与するためのパターニングデバイスと、基板を保持するための基板ホルダと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するための投影システムと、をさらに備えてもよい。
【0022】
[0022] 本発明の第4の態様によると、レーザ放射を生成する方法であって、シードレーザビームをビームスプリッタに向けて誘導することと、ビームスプリッタが、シードレーザビームを光増幅のために光増幅器へと誘導することと、シードレーザビームが光増幅器を通過した後、シードレーザビームを、光増幅のために光増幅器を通し、その後、ビームスプリッタへと戻すべく誘導することと、ビームスプリッタが、シードレーザビームを下流側へと誘導し、その後、シードレーザビームの少なくとも一部分がビームスプリッタに向けて戻るように誘導されることと、を含む、方法が提供される。
【0023】
[0023] 増幅器はキャビティと呼ばれることもある。
【0024】
[0024] 本発明の一態様に関連して説明される1つ以上の特徴は、適切な場合に、本発明の任意の他の態様にも適用可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[0025] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0026】
【
図1】[0026] 本発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【
図2】[0027] LPP源コレクタモジュールを含む、
図1の装置をより詳細に示す図である。
【
図3】[0028]
図1及び
図2に図示され、かつ
図1及び
図2を参照して説明される放射源の一部として使用するのに適したレーザを概略的に示す。
【
図4】[0029]
図1及び
図2に図示され、かつ
図1及び
図2を参照して説明される放射源の一部として使用するのに適した、本発明の実施形態に係るレーザの概要を概略的に示す。
【
図5】[0030] 本発明の第1実施形態に係るレーザを概略的に示す。
【
図6】[0031] 本発明の第2実施形態に係るレーザを概略的に示す。
【0027】
[0032] 本発明の特徴及び利点は、これらの図面と併せて以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同じ参照記号は、全体を通じて対応する要素を特定する。図面において、同じ参照番号は、基本的に、同一の、機能的に同様な、及び/又は、構造的に同様な要素を示す。ある要素が初めて登場する図面は、対応する参照番号における左端の数字によって示される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0034] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。
【0029】
[0035] 説明される(1つ以上の)実施形態、及び明細書中の「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」等への言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、必ずしもすべての実施形態がその特定の特徴、構造、又は特性を含んでいなくてもよい。また、かかる表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性がある実施形態に関連して説明される場合、かかる特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連においてもたらすことは、それが明示的に説明されているか否かにかかわらず、当業者の知識内のことであると理解される。
【0030】
[0036]
図1は、本発明のある実施形態に係る放射源コレクタモジュールSOを備えたリソグラフィ装置LAPを概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、かつ、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0031】
[0037] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、若しくはその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0032】
[0038] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定式又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0033】
[0039] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0034】
[0040] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、並びに、種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜させられたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0035】
[0041] 投影システムは、照明システムと同様に、使われている露光放射にとって、若しくは、真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又は他のタイプの光学コンポーネント、若しくは、それらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光学コンポーネントを含むことができる。EUV放射では、ガスが放射の多くを吸収するおそれがあるため、真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを使って、ビームパス全体に真空環境を提供してもよい。
【0036】
[0042] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。
【0037】
[0043] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、又は予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0038】
[0044]
図1を参照すると、照明システムILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線放射を受ける。EUV光を生成する方法としては、例えば、キセノン、リチウム又はスズなどといった、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有する元素を少なくとも1つ有する材料を、プラズマ状態へと変換することが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。そのような方法のうちの1つであり、しばしばレーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれる方法では、所望の輝線を放出する元素を有する材料の小滴、流れ又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することにより所望のプラズマを生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(
図1中図示なし)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として得られるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、この出力放射は放射源コレクタモジュール内に配置される放射コレクタを使って集光される。例えば、CO
2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザ及び放射源コレクタモジュールは別個の構成要素とすることができる。
【0039】
[0045] このような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、放射ビームは、レーザから放射源コレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、放射源コレクタモジュールの一体部分とすることもできる。
【0040】
[0046] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールド(facetted field)及び瞳ミラーデバイスといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性及び強度分布をもたせることができる。
【0041】
[0047] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1及びM2と、基板アライメントマークP1及びP2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0042】
[0048] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0043】
[0049] 1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、X及び/又はY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
【0044】
[0050] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決めることができる。
【0045】
[0051] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを移動させる又はスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、又はスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0046】
[0052] 上述の使用モードの組合せ及び/又はバリエーション、もしくは、完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0047】
[0053]
図2は、放射源コレクタモジュールSO、照明システムIL及び投影システムPSを含むリソグラフィ装置LAPをより詳細に示している。放射源コレクタモジュールSOは、放射源コレクタモジュールの閉鎖構造2内に真空環境を維持することができるように構築及び配置されている。
【0048】
[0054] レーザ4は、レーザビーム6を介して、燃料源8から提供されるキセノン(Xe)、スズ(Sn)又はリチウム(Li)などの燃料内にレーザエネルギを付与するように配置される。(小滴の形態である可能性が最も高い)スズは、現在のところ、最も信頼性が高いと考えられており、そのため、EUV放射源用の燃料に選択されることが多い。燃料内にレーザエネルギを付与すると、プラズマ形成位置12において、数十電子ボルト(eV)の電子温度を有する高度にイオン化されたプラズマ10を作り出す。これらイオンの脱励起及び再結合中に生成されるエネルギ放射は、プラズマ10から放出され、近法線入射放射コレクタ14によって集光及び合焦される。レーザ4及び燃料源8(及び/又はコレクタ14)は、合わせて、放射源、具体的にはEUV放射源を構成するとみなされ得る。EUV放射源は、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼ばれ得る。
【0049】
[0055] 第2レーザ(図示なし)を設けてもよい。第2レーザは、レーザビーム6が燃料に入射する前にこの燃料を予熱するように構成される。このアプローチを使用するLPP源は、デュアルレーザパルス(DLP)源と呼ばれ得る。
【0050】
[0056] 図示はないが、燃料源は、軌道に沿ってプラズマ形成位置12に向けて燃料小滴の流れを誘導するように構成されたノズルを備える、又は、このノズルに接続される。
【0051】
[0057] 放射コレクタ14によって反射された放射Bは仮想放射源点16にて合焦される。仮想放射源点16は、通常中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールSOは、この中間焦点16が閉鎖構造2内の開口部18上又は開口部18近傍に位置付けられるように配置される。仮想放射源点16は放射放出プラズマ10の像である。
【0052】
[0058] 続いて、放射Bは、照明システムILを横断する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビームBに所望の角度分布を与え、かつ、パターニングデバイスMAにおいて放射強度に所望の均一性を与えるように配置されたファセットフィールドミラーデバイス20及びファセット瞳ミラーデバイス22を備え得る。サポート構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAで放射ビームが反射されると、パターン付きビーム24が形成され、このパターン付きビーム24は、投影システムPSにより、反射要素26、28を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0053】
[0059] 一般に、照明システムIL及び投影システムPS内には、図示されるよりも多い要素が存在し得る。さらに、図に示されるよりも多いミラーが存在してもよく、例えば、
図2に示されるよりも1〜6個多い追加の反射要素が投影システムPS内に存在してもよい。
【0054】
[0060]
図3は、上述した放射源の一部として使用するのに適したレーザ(例えば、
図2のレーザ4)を概略的に示す。
図3に戻ると、レーザは、シードレーザビーム32を提供するためのシードレーザ30を備える。シードレーザビーム32は、1つ以上の光増幅器34、36、38(例えば、前置増幅器又は高利得増幅器34及び1つ以上の電力増幅器36、38)に向け、かつ、これらを通過するように誘導される。光増幅器34、36、38を通過した後、増幅されたシードレーザビーム32は燃料小滴40上に入射する。上述したように、EUV放射を生成するために、燃料小滴40の少なくとも部分的な蒸発が起こり得る。
【0055】
[0061] 生成されたレーザ放射は、その全てが、燃料小滴40の蒸発に使用されるとは限らない。代わりに、レーザ放射42の一部分は、小滴40から反射され、当初のレーザビームパスと実質的に同一のパスに沿って、光増幅器34、36、38及びシードレーザ30自体に戻り得る。このように誘導される場合、反射され、それにより戻って行くビームは、シードレーザ30上に入射する前に再び増幅され得る。特に、高利得増幅器又は前置増幅器34において、顕著な増幅が起こることがある。これは、シードレーザビーム42が増幅器34を最初に通過する時、アヴァランシェ効果により、増幅器34の実質的に出口部分のみが励起(excited)状態又は上昇(elevated)状態にある電子が空(emptied)である(つまり、これらの電子のみが、より低い又は最も低いエネルギレベルに戻される)ためである。これにより、増幅器の他方の(すなわち入口)部分がそのような励起状態又は上昇状態の電子で満たされることになるため、シードレーザビームがこの増幅器を通って逆方向に戻る際、更なる増幅が起こり得る。シードレーザ30に入射する増幅された(シード)レーザビームは、このシードレーザ30に損傷を与え得る。シードレーザ上に入射するあらゆるレーザビームの増幅を最小限に抑え、レーザへの損傷を最小限に抑えるか、又は防止することが望ましい。
【0056】
[0062] 上述した問題は、本発明により防止又は軽減することができる。本発明によれば、レーザが提供される。レーザは、シードレーザビームを提供するためのシードレーザを備える。本発明によると、シードレーザからシードレーザビームを受けるためにビームスプリッタが設けられる。ビームスプリッタは、(例えば、適宜、透過又は反射により)シードレーザビームを光増幅させるために、光増幅器(例えば、上述したような高利得増幅器又は前置増幅器)に向けて誘導する。光増幅器の下流側には、第1リフレクタ(例えば、ミラー又はプリズムなど)が配置される。シードレーザビームが増幅器を通過した後、リフレクタは、シードレーザビームを、光増幅器を通ってビームスプリッタへと戻すべく誘導するように構成されている。シードレーザビームを、確実に、逆の二方向から光増幅器を通過させることにより、光増幅器は、励起状態又は上昇状態の電子が実質的に「空」になるため、以降でより詳細に説明するように、戻りビームの更なる利得又は増幅をもたらさないようにすることができる。しかし、同時に、シードレーザビームは、この空の状態のために、従来技術よりも一層増幅されることになる。つまり、増幅器の両端部分が空になることにより、増幅はおよそ二倍になる。シードレーザビームは、その後、ビームスプリッタに向かってビームスプリッタを通り、さらに第2リフレクタ上に入射するように誘導される。第2リフレクタは、燃料小滴であってよく、この燃料小滴がプラズマ生成放射に変換され得る。第2リフレクタは、ビームスプリッタからシードレーザビームを受け、かつ、このシードレーザビーム(その一部分を含む)の少なくとも一部分をビームスプリッタに向けて戻すべく誘導するように構成される。この戻りビームがビームスプリッタを通過したとしても、上述したように増幅器は励起電子が空の状態であり、更なる増幅をもたらすことができないため、光増幅器による戻りビームの増幅は起こり得ない。このような構成でなければ、この増幅が、ビームがシードレーザ自体に戻るように誘導された場合に、シードレーザに損傷を与えるおそれがある。
【0057】
[0063] 本発明のある実施形態を、例示のみを目的として、
図4〜
図6を参照して以下に説明する。これらの図において、一貫性及び明確性のために、同じ特徴には、同じ参照番号が付与されている。これらの図面は、特定の縮尺に合わせて描かれたものではない。
【0058】
[0064]
図4は、上述した放射源の一部として使用するのに適したレーザ(例えば
図2のレーザ4)を概略的に示している。
図4に戻ると、レーザは、シードレーザビーム52を提供するためのシードレーザ50を備える。ビームスプリッタ54は、シードレーザビーム52を受け、かつ、このシードレーザビームの少なくとも一部分56を主要な光増幅器58(例えば、上述したような高利得増幅器もしくは前置増幅器、又は、少なくともレーザ内で最高利得を有する増幅器)に向けて誘導するために設けられている。光増幅は光増幅器58内で起こる。光増幅器58の下流側には、第1リフレクタ60(例えば、ミラーまたはプリズムなど)が配置されている。第1リフレクタ60は、シードレーザビームの一部分を、当初の誘導方向とは実質的に逆方向から光増幅器58を通して戻すべく誘導するように構成されている。シードレーザビームを、これら実質的に逆の二方向から光増幅器58を通過させることにより、光増幅器は、励起状態の電子を実質的に「空」にすることができる。これは、例えば戻りビームの更なる利得または増幅が光増幅器58内で起こり得ないことを意味する(以下、より詳細に説明する)。
【0059】
[0065] 光増幅器58を通過した後、シードレーザビーム62はビームスプリッタ54に向かって進み続ける。以下でより詳細に説明するように、ビームスプリッタ(1つ以上の追加の構成要素と組み合わされている可能性もある)は、増幅された放射のほとんど又は全てがシードレーザ50に戻らずに、別の下流方向へと通過するべく誘導するように構成されている。この方向は、例えば、更なる光増幅器64、66(例えば、より低利得の電力増幅器)に通じており、この更なる増幅器において更なる増幅が起こり、その後、増幅されたレーザビーム68がターゲットの燃料小滴70上に入射する。ここで、燃料小滴70の少なくとも部分的な蒸発が起こり、EUV放射が生成され、かつ、例えば上述したようなリソグラフィ装置内で放射ビームとして使用するために集光することが可能となり得る。しかし、燃料小滴70を少なくとも部分的に蒸発させるために、レーザビーム放射68の全てが使用されるわけではない。代わりに、レーザビーム放射の一部分72が反射などによって、当初のビームパスと実質的に同一のパスに沿って、増幅器64、66を通って、ビームスプリッタ54に向けて戻るように誘導される場合がある。ビームスプリッタ54の構成に応じて、この戻りビームは、ビームスプリッタ54を通過するのを防止される場合もあれば、戻りビーム72の一部分のみがビームスプリッタ54を通過し得るように構成される場合もある。一部分がビームスプリッタ54を通過して高利得増幅器58に入射て高利得増幅器58を通り、結果として及び/又は場合によって、シードレーザ50自体に入射したとしても、光増幅器58は、前述のシードビーム56が増幅器58を「二重通過」することで励起電子が「空」であるため、光増幅器58内で更なる増幅は起こり得ない。したがって、シードレーザへの損傷は防止又は軽減される。
【0060】
[0066] 簡単に上述したように、ビームスプリッタ(及び、場合によっては他の構成要素)は、戻り放射(つまり、小滴、又は、一般に第2リフレクタから反射された放射)のほとんど又は全てを通過させず、シードレーザ50へと戻さないことを確実にするべく、適切に構成又は設けられ得る。本発明のいくつかの実施形態によれば、これは、
図5及び
図6においてそれぞれ別々に記載される2つの方法のうちの1つによって実現することができる。
【0061】
[0067]
図5を参照すると、ビームスプリッタは、具体的には偏光している又は偏光されたビームスプリッタ80であり、この偏光ビームスプリッタ80は、シードレーザビーム52を偏光することが可能であるか、又は、第1偏光を有する放射を反射し、かつ、第2偏光方向を有する放射を実質的に透過することが少なくとも可能である。ビームスプリッタ80の下流側には、ビームスプリッタ80と第1リフレクタ60との間のビームパス内に位置付けられる波長板82が設けられる。例えば、波長板82は4分の1波長板であってよい。
【0062】
[0068] 使用中、シードレーザビーム52は、やはり、ビームスプリッタ80に向け、さらに、(増幅のために)増幅器58および第1リフレクタ60に向けて誘導される。しかしながら、本実施形態では、シードレーザビーム52(あるいは、少なくともその一部分56)は、波長板82を通過し、この波長板82で偏光状態が(例えば、直線偏光から円偏光へと)変更される。第1リフレクタ60により反射され、増幅器58を通過した後、シードレーザビームの一部分は、再び、偏光状態が(例えば、円偏光から直線偏光へと)変更されるが、ここでは、直線偏光は、ビームスプリッタ80がシードレーザ50から受けた放射に最初に与えた向きとは(例えば、90°)異なる向きを有する。この新規の、異なる向きを有することで、シードレーザビームがビームスプリッタ80を実質的にまっすぐ通過し、例えば、更なる(例えば、より低利得の)光増幅器64、66上に入射し、その後、上述したようにEUV放射を生成するために燃料小滴70上に入射するよう、偏光が生じる。
【0063】
[0069] 反射により戻される放射68はいずれも、小滴70に入射する放射と同一の偏光状態を有するべきである。これは、戻り放射68が、増幅器64、66に向かい、かつこれらを通過し、さらにビームスプリッタ80をまっすぐ通過するように誘導され得ることを意味する。その後、第1リフレクタ60による反射後でビームスプリッタ80への入射前に波長板82を二度通過した後、再び偏光方向が(例えば、90°)変更されることになる。偏光状態が(例えば、90°)変更されているため、放射ビームは、ビームスプリッタ80を通過することができず、代わりに、ビームスプリッタ80によりシードレーザ50に向けて反射される。この時、シードレーザ50に戻るように誘導されるシードレーザビームの部分は、小滴70により反射される量が小さいため、小さくなる。さらに、上述したように、主要な増幅器58は、励起電子が既に「空」であるために増幅が防止されることから、この増幅器58内ではシードレーザビームの増幅は起こらない。したがって、シードレーザ50への損傷は防止又は軽減される。
【0064】
[0070] 当然のことながら、戻りビーム部分が更なる増幅器64、66を通過する際に、最小限の増幅は起こり得る。しかし、そのような増幅は、(一般的に)より低い利得を有するため、増幅に最小限の影響しか及ぼさない。また、そのような増幅器は、より低い利得を有することから、シードレーザビームの一度の通過で空になる可能性が高く、戻りビームのあらゆる増幅は最小限に抑えられる。
【0065】
[0071]
図6は、偏光ビームスプリッタを使用する必要のない別の実施形態を概略的に示している。本実施形態では、一般的なビームスプリッタ、具体的には、シードレーザビーム52の小さい部分56のみを光増幅器58へと誘導し、かつ、例えば、シードレーザビームの大半部分92がビームスプリッタを通過可能とする(および、例えば、ビームダンプなどに入射可能とする)ことができるビームスプリッタ90が使用される。本実施形態では、上述したような態様により、増幅器58は励起電子があらかじめ「空」であるため、この増幅器58内では戻りビーム68の増幅が起こり得ないという1つの利点がある。別の利点としては、シードレーザビームの小さい部分56のみがビームスプリッタ90に戻され、かつ、ビームスプリッタ90の透過特性により、この小さい部分のうちさらに小さい部分しかシードレーザ50に向けて戻るべく誘導され得ない。例えば、ビームスプリッタが当初のシードレーザビームの90%を透過し、10%のみを増幅に向けて反射する場合、(増幅あるいはそれ以外の状態の)戻りビームのうち10%しかシードレーザ50には戻り得ないため、シードレーザ50に与えられ得るあらゆる損傷を最小限に抑えることができる。
【0066】
[0072] ここでもやはり、当然のことながら、戻りビーム部分が更なる増幅器64、66を通過する際に最小限の増幅は起こり得る。しかしながら、そのような増幅は、(一般的に)より低い利得を有するため、増幅に最小限の影響しか及ぼさない。また、そのような増幅器は、より低い利得を有することから、シードレーザビームの一度の通過で空になる可能性が高く、戻りビームのあらゆる増幅は最小限に抑えられる。
【0067】
[0073] 上述した実施形態では、レーザは燃料小滴などの蒸発に関連し、この燃料小滴がレーザの第2リフレクタを形成するものとして説明した。他の実施形態では、燃料小滴は第2リフレクタとして使用する必要はなく、ミラー又はプリズムなどが第2リフレクタであってもよい。
【0068】
[0074] 上述した実施形態において、異なる方向に進むビームは、互いから分離した状態又は互いからオフセットした状態で図示されているが、これは、単に明確さを目的としたものである。実際は、これらのビームは、同一のビームパス又は実質的に同一のビームパスを共有することになる。
【0069】
[0075] 本明細書に記載するレーザは、主要な増幅レーザビームを生成するためにシードレーザを使用していることから、主発振器電力増幅器(MOPA)レーザとして説明され得る。
【0070】
[0076] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0071】
[0077] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光学コンポーネントを含む様々な種類の光学コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組合せを指すことができる。
【0072】
[0078] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。