(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電極に印加される前記電圧に対する前記第1の電圧の大きさが、前記第1の電極に印加される前記電圧に対する前記第2の電圧の大きさと同一である、請求項1から5のいずれか一項に記載の放射源燃料小滴流生成器。
前記第1の電極に印加される前記電圧に対する前記第1の電圧の大きさが、前記第1の電極に印加される前記電圧に対する前記第2の電圧の大きさとは異なる、請求項1から5のいずれか一項に記載の放射源燃料小滴流生成器。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0033] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0027】
[0034] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識にあることが理解される。
【0028】
[0035] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はその任意の組合せで実施してもよい。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサで読み取り、実行することができる機械読み取り式媒体に記憶した命令として実施してもよい。機械読み取り式媒体は、機械(例えば、計算デバイス)で読み取り可能な形態で情報を記憶するか、又は伝送する任意の機構を含んでもよい。例えば、機械読み取り式媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、及びその他を含んでもよい。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書では特定の行為を実行するものとして記述することができる。しかし、このような記述は便宜的なものにすぎず、このような行為は実際には計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスの結果であることを認識されたい。
【0029】
[0036] しかしながら、このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0030】
[0037]
図1は、リソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータによるパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータによる基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折型投影レンズシステム)PSとを備える。
【0031】
[0038] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0032】
[0039] 支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにしてもよい。
【0033】
[0040] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0034】
[0041] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0035】
[0042] 照明システムのような投影システムは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、磁気光学システム、電磁光学システム、静電光学システム等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を設けてもよい。
【0036】
[0043] 本明細書で示すように、装置は反射型である(例えば反射型マスクを使用する)。
【0037】
[0044] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、又は1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行してもよい。
【0038】
[0045]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線(EUV)放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法は、物質を少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム又はスズを有し、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態に変換する工程を含むが、これに限定されない。多くの場合、レーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれるそのような1つの方法では、要求される輝線放出元素を有する物質の小滴などの燃料をレーザビームで照射することで要求されるプラズマを生成できる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(
図1には示さず)を含むEUV放射源の一部であってもよい。結果として得られるプラズマは、放射源コレクタモジュール内に配置された放射源コレクタを用いて収集される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。
【0039】
[0046] レーザ及び放射源コレクタモジュールは、例えば、CO
2レーザを用いて燃料励起のためのレーザビームを提供する場合のように、独立した構成要素であってもよい。そのような例では、例えば、好適な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いて、放射ビームはレーザから放射源コレクタモジュールへ渡される。レーザ及び燃料供給はEUV放射源を備えると見なすことができる。
【0040】
[0047] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0041】
[0048] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン付けされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAに反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置検知システムPS2を用いて(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサを用いて)、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置検知システムPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせしてもよい。
【0042】
[0049] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0043】
[0050] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与したパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
【0044】
[0051] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
【0045】
[0052] 3.別のモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0046】
[0053] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0047】
[0054]
図2は、放射源(放射源コレクタモジュールSO)と、照明システムILと、投影システムPSとを含む装置100をより詳細に示す。放射源コレクタモジュールSOは、真空環境が放射源コレクタモジュールSOの密閉構造220内で維持されるように構築され構成されている。
【0048】
[0055] レーザLAは、レーザビーム205を介してレーザエネルギーを燃料小滴流生成器200から供給されるキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料に蓄えるように構成される。これによって、電子温度が数十eVである高電離プラズマ210がプラズマ形成位置211で生成される。これらのイオンの脱励起及び再結合中に生成されるエネルギー放射はプラズマから放出され、垂直に近い入射放射コレクタCOによって集光され、合焦される。レーザLAと燃料小滴流生成器200とが共にEUV放射源を構成すると見なしてもよい。EUV放射源は、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼んでもよい。
【0049】
[0056] 第2のレーザ(図示せず)を備えてもよく、第2のレーザは、レーザビーム205が燃料に入射する前に燃料を予熱するように構成される。このアプローチを使用するLPP放射源はデュアルレーザパルシング(DLP)源と呼んでもよい。
【0050】
[0057] 放射コレクタCOによって反射される放射は、仮想放射源ポイントIFに合焦される。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールSOは、中間焦点IFが密封構造220内の開口221に、又はその近傍に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0051】
[0058] その後、放射は照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAでの放射ビーム21の所望の角分散及びパターニングデバイスMAでの放射強度の所望の均一性を提供するように構成されたファセット型フィールドミラーデバイス22及びファセット型瞳ミラーデバイス24を含んでもよい。支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにて放射ビーム21が反射すると、パターン付ビーム26が形成され、パターン付ビーム26は、投影システムPSによって、反射要素28、30を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0052】
[0059] 照明システムIL及び投影システムPS内には、一般に、図示するよりも多くの要素が存在していてもよい。さらに、図に示すよりも多くのミラーが存在してもよく、例えば、投影システムPS内には、
図2に示す他に1〜6個の追加の反射要素があってもよい。
【0053】
[0060]
図3は、燃料小滴流生成器の燃料小滴エミッタ310を概略的に示す。燃料小滴エミッタ310は、燃料液(例えば液体スズ)302を含むリザーバ300を備える。リザーバ300は、圧電アクチュエータ306によって囲まれた毛細管304に接続される。振動が圧電アクチュエータから毛細管へと進むように、圧電アクチュエータ306と毛細管304との間は(例えば適切な接合材を使用して)強固に接続される。毛細管304には、燃料物質が軌道Aに沿ってそこから噴出されるノズル308が設けられている。軌道Aは、毛細管の中心を通る点線によって概略的に示されるように、毛細管304の中心に沿って延びる軸と同軸である。
【0054】
[0061] ある実施形態では、ノズル308の直径は3〜5ミクロンでよい。毛細管304の長さは例えば25ミリメートルでよく、その場合の外径は1ミリメートル、壁厚は0.2ミリメートルである。圧電アクチュエータ306の長さは例えば10mmでよく、接着剤を用いて毛細管304に固定されてもよい。接着剤は高温接着剤、すなわち燃料供給200の動作温度で接着不良にならない接着剤でよい。圧電アクチュエータ306は、所望の変調周波数で毛細管304が圧搾され、それによって毛細管内の圧力を変調して流速が変化する効果を生じるように構成される。
【0055】
[0062] 使用時には、液体燃料302はリザーバ300内の圧力に保たれる。これは例えば、ガスによって液体燃料に圧力が加わるように、これもリザーバ300内にある加圧ガス(図示せず)によって達成されてもよい。圧力の結果、燃料の流れはノズル308から流出する。圧電アクチュエータ306がないと、流れはノズル308からある距離(距離は例えばノズル径の100〜1000倍)だけ進むと自然に分裂し、それによって小滴の流れを形成する。これはレイリー分裂と呼ばれる。レイリー分裂が生じると、直径がノズル径308のおよそ2倍、又はそれよりもやや小さく、離間距離がノズル径の約4.5倍の燃料小滴が形成される。燃料液の流れのレイリー分裂は圧電アクチュエータ306が作動しなくても生じるが、圧電アクチュエータ306を使用して毛細管304内の圧力を変調することによりレイリー分裂を制御してもよい。
【0056】
[0063] しかしながら、本発明の実施形態で別のタイプの燃料小滴エミッタを使用してもよいことに注目することは重要なことである。特に、使用可能な小滴エミッタには、機械的手段で補助し、又は調整することが可能なレイリー分裂メカニズムによって連続的な小滴の流れを生成する小滴エミッタが含まれる。使用可能な別の小滴エミッタは、何らかの機械的及び/又は電気的刺激で小滴が生成される、オンデマンド小滴エミッタと呼んでもよいエミッタである。その結果生じるオンデマンド小滴エミッタの小滴の流れは、一定の小滴周波数を有することができる。あるいは、小滴間の時間を必要に応じて変更することができる。
【0057】
[0064] 読み手が異なる図に示された装置の相対的な配向を理解し易くなるように、直交座標が
図3及び他の図の幾つかに示されている。直交座標は、装置が特定の配向を有さなければならないということを意味することを意図するものではない。
【0058】
[0065]
図4に燃料小滴流生成器200が概略的に示されている。燃料小滴流生成器200は、
図3の燃料小滴エミッタ310を含み、さらに第1の電極314及び第2の電極318を含んでいる。変調電圧源312は、燃料小滴エミッタ310と第1の電極314との間に接続される。定電圧源316は、第1の電極314と第2の電極318との間に接続される。第1の電極314は、接地電圧でよい固定電圧に保たれるが、第2の電極318又は小滴エミッタが接地されることも可能である。
【0059】
[0066] 変調電圧源312は、一定の正の電圧値Vaから一定の負の電圧値−Vaへと切り換わり、その後にゼロ電圧になる電圧を印加するように構成される。正電圧Vaは、燃料小滴エミッタ310が小滴の流れの一方の半分の小滴を放出するために要する時間に対応する期間だけ印加され、負電圧−Vaは、小滴の流れの他方の半分を放出するために要する時間に対応する期間だけ印加される。小滴の流れの最初の半分は
図4に320で示され、小滴の流れの第2の半分は322として示されている。正電圧Vaは、小滴の流れの最初の半分320が放出されると印加されるので、これらの小滴は正の電荷を有する。同様に、負電圧−Vaは、小滴の流れの第2の半分322が放出されると印加されるので、これらの小滴は負の電荷を有する。この文脈で、負電圧、及び正電圧という用語は、電極314の固定電圧に対する用語であることを理解されたい。電極314がゼロに保たれている場合は、これらの用語は絶対的な正と負とを意味するが、例えば電極314が正電圧に保たれている場合は、絶対的には正であるが、電極314の電圧と比較すると負である電圧を小滴エミッタ310に印加可能であることを理解されたい。さらに、交流電圧Vaは小滴に荷電する役割を果たすだけではなく、小滴を加速する役割をも果たすことが理解されよう。電圧Vaが極性を変えると、エミッタ310と電極314との間を既に移動している少数の小滴は、それらが「正しくない」電荷であるために減速される可能性があるが、エミッタ310と電極314との間の距離が小さい場合は、小滴の数は、流れの中の小滴の少数部分であることを示す少数であり、小滴の全体的な加速にはさしたる影響を与えない。
【0060】
[0067] 小滴の流れの第2の半分322が放出された後、変調電圧源312によって印加される電圧はゼロになり、小滴は荷電されない。電圧は、帯電小滴の流れの終了から帯電小滴の次の流れの開始までの期間に対応するt
silent期間だけゼロに保たれる。t
silent期間は任意の適切な期間でよい。ある実施形態では、t
silent期間はゼロでよく、すなわち電圧は−VaからVaに即座に変化する。ある実施形態では、小滴の流れの第2の半分の終了と後続の小滴の流れの最初の半分の開始との間にはギャップがなくてもよい。
【0061】
[0068] 第1の電極314はゼロ電位(又は少なくとも固定電位−本発明のこの実施形態はエミッタと両方の電極とが全て同じ固定電位によって電圧が上昇してもなお動作するため、それはゼロでなくてもよい)を有し、第2の電極318は、定電圧源316によって(電極314に対して)固定的な正の電圧に設定される。このようにして、負電荷を帯びた小滴322が加速され、正電荷を帯びた小滴320が減速される定電界が電極314と318との間に生成される。その結果、小滴の速度が変化し(一部が他の小滴よりも速くなる)、高速の小滴が低速の小滴の速度を上回る。この例では、高速の小滴は負に帯電し、低速の小滴は正に帯電するため、高速の小滴が低速の小滴を追い越すと電気的吸引力が生じて合体を促進し、助長する。
【0062】
[0069] 電圧変調及び位相差は、負に帯電した燃料小滴322が燃料小滴エミッタ310から放出されると、第1の電極314が正の電荷を有するような電圧変調及び位相差である。したがって、第1の電極314は燃料小滴322を吸引し、燃料小滴を加速させる。燃料小滴322は開口315を通って第2の電極314内に流入する。燃料小滴322が開口を通過すると、これらは燃料小滴エミッタ310から放出されたときの速度よりも高い速度を有する。
【0063】
[0070] 燃料小滴320、322が第1の電極314を通過した後、燃料小滴は、定電圧源316によって第2の電極318に印加される電圧により生成される電界に曝される。この電圧は正の定電圧Vcであり、その結果、小滴の流れの最初の半分を形成する正に帯電した燃料小滴320は斥力を受け、減速される。小滴の流れの第2の半分を形成する負に帯電した燃料小滴322は吸引力を受け、加速される。これによって負に帯電した燃料小滴322と正に帯電した燃料小滴320とは移動して互いにより近接し、その結果、燃料小滴の単一の燃料小滴への合体が促進される。したがって小滴の流れ320、322は合体して単一の小滴324になる。この合体は第2の電極318の前で生じ得る。さらに、電極318が電極314よりも高い電位にあるか低い電位にあるかの選択に応じて、及び流れの中の小滴の順序、すなわち正に帯電した小滴が負に帯電した小滴に先行するか、又はその逆であるかに応じて、個々の流れの中の正と負に帯電した小滴が合体し、又は1つの流れの中の正に帯電した小滴が直ぐ隣接する流れの中の負に帯電した小滴と合体し得ることに留意されたい。さらに、この実施形態は、離間した小滴群を生成可能なタイプの小滴エミッタ310に(図示した実施形態)使用可能であり、又は連続する小滴の流れを生成するタイプの小滴エミッタ310に使用可能であることを理解されたい。
【0064】
[0071] 正に帯電した小滴と負に帯電した小滴が同数あり、これらの帯電小滴が全て同じ大きさの電荷を有する場合は、結果として生じる合体したより大きい小滴は電気的に中性である。しかしながら、等しくない数の正と負に帯電した小滴を形成することによって(これはVaが高と低である期間が等しくないようにすることによって行われる)、及び/又は異なる大きさの正と負の電荷を有することによって(これは正Vaと負Vaの電荷の大きさが異なることによって行われる)、電荷と合体した粒子を形成することが可能である。合体した小滴が電荷を帯びて電極314と318との間に形成されると、さらなる加速が可能になる。
【0065】
[0072] 単一の小滴324、又は残された合体していない小滴の流れは開口319を通過して第2の電極318に流入する。したがって、燃料小滴流生成器200は、プラズマ形成位置211(
図2を参照)に移動し、及びEUV放射放出プラズマを生成するために使用できる一連の燃料小滴324を生成する。燃料小滴324は、正に帯電した燃料小滴320と負に帯電した燃料小滴322との組み合わせから形成されるため、中性の電荷を有する。
【0066】
[0073] 公知の燃料小滴流生成器と同様に、燃料小滴324のサイズ、それらの速度及び離間距離は部分的に、燃料小滴エミッタ310のノズル308の直径、リザーバ300内の燃料に加えられる圧力、及び圧電アクチュエータ306(
図3を参照)に適用される変調によって決定され得る。しかしながら、加えて、第1の電極314に電圧を印加することによって燃料小滴324の速度を変更してもよい。さらに、単一の小滴を形成する小滴の流れの合体が不完全になる可能性は、第2の電極318に電圧が印加されることで低くなる。
【0067】
[0074] コントローラCTを使用して燃料小滴エミッタ310に印加される電圧を制御し、及び電極314、318、332に印加される電圧を制御してもよい。コントローラCTはまた、燃料小滴エミッタ310の圧電アクチュエータの作動を制御し、燃料小滴エミッタのその他の態様を制御し得る。
【0068】
[0075] 上記の記載で、変調電圧源312によって供給される電圧の変調は正から負への変調であり、定電圧源316によって供給される定電圧は正である。しかしながら、変調電圧源312によって供給される電圧の変調が負から正への変調であり、定電圧源によって供給される電圧が負であるように、電圧の正負を交換してもよい。
【0069】
[0076]
図4に概略的に示されるように、第1の電極314と燃料小滴エミッタ310との距離は、第1の電極と第2の電極318との距離よりも小さくてもよい。実際には、一例ではエミッタ310と第1の電極314との距離は、小滴がエミッタ310から離れる際の小滴間の距離と同程度であるが、
図4では明快にするために距離は拡大して示されている。
【0070】
[0077] 第1の電極に印加される電圧は、燃料小滴320、322の流れの小滴を同じ速度に加速するように構成してもよい。
【0071】
[0078] 電極314、318の開口315、319は任意の適切な形状とサイズを有してもよい。開口315、319は電極314、318によって完全に囲まれてもよく、又は電極によって部分的に囲まれてもよい。
【0072】
[0079]
図4に示す本発明の実施形態は、燃料小滴エミッタ310によって放出される燃料のレイリー分裂を促進する圧電アクチュエータ306(
図3を参照)によって加えられた変調と組み合わせてもよい。アクチュエータの周波数は、レイリー分裂周波数に近い周波数(すなわち10倍以内)でよい。圧電アクチュエータを使用する利点は、レイリー分裂メカニズムによる小滴形成の位置が明確に定義されることにある。それは、小滴形成ポイントと電極314との距離がより明確に定義されることを意味する。
【0073】
[0080]
図4に示す実施形態は、レイリー分裂を促進するために、レイリー分裂周波数に近い(10倍以内)周波数を有する信号Va上の追加信号と結合してもよい。
【0074】
[0081] この例では、ノズルの直径は例えば4ミクロンでよい。燃料小滴はレイリー分裂によって形成されてもよく、直径が7ミクロンでよい。小滴は、約18ミクロンの距離で離間してもよい。ノズル308の小滴生成率に対応するレイリー周波数は、ノズル及びノズル径での平均速度に関連する。
【数2】
【0075】
[0082] 燃料液の流れのレイリー分裂は圧電アクチュエータ306の作動がなくても生じるが、圧電アクチュエータ306を使用して毛細管304内の圧力を変調することによってレイリー分裂を制御してもよい。毛細管304内の圧力を変調することで、ノズル308からの液体燃料の噴出速度が変調され、液体燃料の流れは、ノズルから出た直後に制御された状態で分裂し、小滴になる。圧電アクチュエータ306によって印加される周波数がレイリー周波数に十分近い場合は、燃料小滴が形成され、これらの小滴は、燃料ノズル308からの平均噴出速度によって、及び圧電アクチュエータ306によって印加される周波数によって決定される距離だけ離間される。燃料小滴は、
図4に示す本発明の実施形態によって加速され得る。より大きい小滴を形成する小滴の合体は、
図4に示す本発明の実施形態によって促進され得る。
【0076】
[0083] 圧電アクチュエータ306によって印加される周波数がレイリー周波数よりも大幅に低い場合は、一連の燃料小滴は形成されず、燃料クラウド(cloud(s) of fuel)が形成される。所与の燃料クラウドは、比較的高速で移動する小滴群と、比較的低速で移動する小滴群を含んでもよい(速度は燃料クラウドの平均速度に対する速度)。これらは合体して単一の燃料小滴を形成する。このようにして、レイリー周波数よりも大幅に低い圧電アクチュエータ306の周波数を印加することによって、一連の燃料小滴を生成してもよい。
図4に示す本発明の実施形態は、燃料クラウドと組み合わせて使用してもよい。
【0077】
[0084] また、
図4の実施形態では、電極314は、小滴がさらに高速度に加速されるように既知の距離だけ離間した電極列から構成してもよく、又は小滴を加速するためにより低い電圧を使用することができることに留意されたい。
【0078】
[0085] 本発明の代替実施形態が
図5に概略的に示されている。本発明の代替実施形態は、燃料小滴エミッタ310と電極332とを備え、その間に変調電圧源338が接続される。燃料小滴エミッタ310は、燃料小滴の流れを放出するように構成され、各々の流れは場合によっては時間的に離れていてもよい。例示的実施形態では、各々の小滴の流れ330a〜330cは6つの小滴を含む。しかしながら、各々の小滴の流れは適切な任意の数の小滴を含んでもよい。流れの間隔は任意である。
【0079】
[0086] 変調電圧源338は、正と負の値で入れ替る電圧V
vを印加するように構成される。電圧が正と負の間で入れ替る周波数は、燃料小滴が燃料小滴エミッタ310によって放出される周波数の半分である。したがって、例示的実施形態では、第1の小滴の流れ330aの第1の小滴が放出されるときには電圧は正であり、第1の小滴の流れの第2の小滴が放出されるときには負であり、第3の小滴の流れの第3の小滴が放出されるときには正であり、以下同様である。その結果、第1の小滴の流れ330aの第1、第3、及び第5の小滴は正に帯電し、第1の小滴の流れの第2、第4、及び第6の小滴は負に帯電する。第1の小滴の流れ330aの最後の小滴が放出された後、電圧V
vはゼロに降下し、第2の小滴の流れ330bの第1の小滴が燃料小滴エミッタ310によって放出されるまでゼロに保たれる。次に、電圧V
vが、第1の小滴の流れ330aの放出中に印加されたと同様に第2の小滴の流れ330bの放出中に印加される。電圧V
vは、後続の小滴の流れの放出中も同様に印加されてもよい。このようにして、各々の小滴の流れ330a〜330cの連続的な小滴には反対の正負符号の電荷が与えられる。ノズル(又はより正確には小滴形成ポイント)間の距離は、2つの小滴間の距離よりも小さくする必要があり、そうしないと電極は連続する小滴に異なる電圧を印加することができない。
【0080】
[0087]
図5から分かるように、小滴の流れの小滴に印加される電圧は、時間の関数として上昇する。したがって、例えば第1の小滴の流れ330aの第1の小滴は、比較的小さい正の電荷を有し、第1の小滴の流れ330aの第2の小滴はより大きい負の電荷を有し、第1の小滴の流れ330aの第3の小滴はより大きい正の電荷を有し、以下同様である。
【0081】
[0088] あるいは、別の可能性は、小滴が同じ速度であるが、同じ電圧の正と負の交互の電荷を有するように、電圧の大きさが(この場合も依然として符号は交互であるが)同一に留まるようにすることである。電極332の下流側の追加電極を使用して、小滴の半分の速度を加速し、別の半分の速度を減速して小滴を2つずつ合体させ、最初の小滴周波数の半分の周波数で中性の小滴を形成することもできる。
【0082】
[0089] 変調電圧源338は電極332にも電圧を印加する。電圧は、電極332が正に帯電した小滴及び/又は負に帯電した小滴の両方を加速する電界を生成するように変調される。小滴の流れ330a〜330cの最後の小滴は最大の電荷を有し、したがって最大の加速を受ける。小滴の流れの最初の小滴は最小の電荷を有し、したがって最小の加速を受ける。中間の小滴は中間的な加速を受け、小滴は、小滴の流れの最後に近い小滴ほどより大きい加速を受ける。小滴が異なる加速を受けることで、これらは移動してより近接し、その結果、小滴の流れの単一の小滴336への合体を促進する。単一の小滴336は電極332内の開口334を通過し、プラズマ形成位置211(
図2を参照)に移動してもよい。t
silentが後にゼロに等しくなると、小滴の配列の一部で後続の小滴がそれまでの小滴よりも遅い速度になり、それによっても合体が生じる。実際に、信号V
vの大きさのどの変調も合体を引き起こし、最後の小滴周波数は変調周波数に等しい。
【0083】
[0090] 別の可能性は、小滴が加速される電圧が時間と共に低下することである。
【0084】
[0091] 小滴の流れ330a〜330cの小滴の半分が正の電荷を有し、小滴の半分が負の電荷を有するため、合体によって形成される単一の小滴336は中性の電荷(又は、例えば小滴の流れのどの小滴の電荷よりも小さい、中性に近い電荷)を有する。
【0085】
[0092] 単一の小滴336への小滴の流れ330a〜330cの合体を促進することに加え、電極332により生成される電界も小滴を加速する。したがって、単一の小滴336は、電極332がない場合の速度よりも速い速度を有する。
【0086】
[0093] 燃料小滴エミッタ310に印加される電圧がゼロである期間t
silentは適切な任意の時間でよい。期間t
silentは、例えばゼロまで短縮されてもよい。
【0087】
[0094] 例示的実施形態では、小滴の流れ330a〜330cの第1の小滴に印加される電圧は正であるが、電圧は負であってもよい。
【0088】
[0095] コントローラCTを使用して燃料小滴エミッタ310に印加される電圧V
vを制御し、電極332に印加される電圧を制御してもよい。コントローラCTはまた、燃料小滴エミッタ310の圧電アクチュエータの作動を制御してもよく、燃料小滴エミッタの別の態様を制御してもよい。
【0089】
[0096] この実施形態はオンデマンドシステムに使用できるが、この場合は、小滴が生成される時点を把握し、その後で電圧を生成に同期化することがずっと容易であるからである。しかしながら、電圧変調をレイリー分裂メカニズムに同期化することも可能であり、したがって、この実施形態では、(電気的又は機械的に刺激されるか否かを問わず)レイリー分裂メカニズムを使用する小滴エミッタでも使用できる。
【0090】
[0097]
図6は、本発明の他の代替実施形態を概略的に示す。この実施形態では、電圧源348によって燃料小滴エミッタ310に交流電圧が印加される。燃料小滴エミッタ310から放出される燃料は、最初は連続的な流れの形態であるが、連続的な流れは放出からある程度の時間後に(例えばレイリー分裂により)分裂して小滴の流れ340になる。
【0091】
[0098] 交流電圧源348はまた、電極342にも接続される。電極342は、小滴の流れ340の燃料小滴を加速する電界を生成する。小滴の半分は正の電荷を有し、小滴の半分は負の電荷を有するため、小滴のより大きい小滴346への合体が促進される。交流電圧がゼロである場合は、小滴346が中性になることを意味する。
【0092】
[0099] 交流電圧源348によって印加される電圧の大きさは、より大きい小滴346への合体が生じる燃料小滴エミッタ310からの距離を決定するが、それは、交流電圧の大きさがより大きいと、小滴の速度が大きく変化し、したがって合体がより早期に行われるためである。交流電圧源348により印加される電圧の周波数は、より大きい燃料小滴346の周波数を決定し、且つより大きい燃料小滴のサイズを決定する。何故ならば、変調周波数は、速度変調の周波数を決定し、この周波数がいくつの小滴を合体し、結果として生じた合体小滴のサイズを決定するからである。
【0093】
[00100] 電荷342には、小滴の流れ340が通過する開口344が設けられている。小滴の流れ340のより大きい燃料小滴346への合体が電極342の前で生じると、より大きい燃料小滴が開口344を通過する。
【0094】
[00101]
図7は、本発明の他の代替実施形態を概略的に示す。この他の代替実施形態では、定電圧源360が燃料小滴エミッタ310に接続され、燃料小滴エミッタにより放出される燃料に電荷を印加するように配置される。電荷は負の電荷でも正の電荷でもよい。
【0095】
[00102] 定電圧源360はまた、電極352にも接続される。電極352は、燃料小滴エミッタ310から放出される燃料に印加される電荷とは符号が反対の電荷を有する。したがって、電極352は燃料に吸引力を加え、その結果、燃料を電極の方向に加速する。
【0096】
[0100]
図7に概略的に示すように、燃料は一定の流れとして燃料小滴エミッタ310から放出されてもよく、燃料は(例えば、レイリー分裂により)燃料小滴350に分裂してもよい。
【0097】
[0101] 変調電圧源358は、電極352に電圧変調を加える。電極352に加えられた電圧変調は電界を生成し、これが燃料小滴350のより大きい燃料小滴の流れ356への合体を促進する。変調は例えば、より大きい燃料小滴356の周波数に対応する周波数を有してもよい。変調の第1の部分は例えば、燃料小滴350の電荷と同じ符号を有してもよく、それによって燃料小滴に反発力を加え、燃料小滴を減速させる。変調の第2の部分は例えば、燃料小滴の電荷と反対の符号を有してもよく、それによって燃料小滴に吸引力を加え、燃料小滴を加速させる。それによって燃料小滴は互いにより近接するように移動し、より大きい燃料小滴356への合体を促進する。
【0098】
[0102] 電極352の後に電離ガス(図示せず)が供給されてもよく、電離ガスは、燃料小滴エミッタ310によって燃料に印加される電荷を中性化するように作用する。電離ガスは任意の適切な電離ガス源によって供給されてもよい。
【0099】
[0103] 他の代替実施形態(図示せず)では、符号は同じであるが大きさが異なる電圧が燃料小滴エミッタから放出される燃料に印加される。定電界が、燃料小滴エミッタから離間位置にある電極によって印加される。定電界はより大きい電荷を有する燃料小滴により大きい力を加え、より小さい電荷を有する燃料小滴にはより小さい力を加える。それによって、燃料小滴に異なる加速が生じ、それによってより大きい燃料小滴への合体が促進される。
【0100】
[0104] 全ての実施形態について、レイリー分裂を促進するために、レイリー分裂周波数に近い周波数(すなわち約10倍以内)を有する信号がここで電圧に追加されてもよい。
【0101】
[0105] 筒形の圧電アクチュエータ(例えば
図3に示す圧電アクチュエータ306)は異なるモード、例えば長さのキートーン1/2λモード、厚さ(径方向)キートーン1/2λモード、曲げモード、高次共鳴(オーバートーン)で駆動させることができる。これらの特性モードは、圧電アクチュエータを実装する態様に影響される。
図3に示す圧電アクチュエータ306は、厚さ1/2λモードによって駆動されてもよい。圧電アクチュエータ306の厚さモード周波数は毛細管304の存在によって低下する。圧電アクチュエータ306は毛細管304を質量の追加、及び剛性の上昇として受け止める。毛細管304内の燃料302の存在も、圧電アクチュエータ306の厚さモード周波数を変化させる。圧電アクチュエータ306は、毛細管304内に定在波を生成するようにその厚さ(径方向)モードで駆動してもよい。圧電アクチュエータ306と毛細管304の壁厚とを合わせた厚さは約XXmmでよい。定在波が1/2λ=XXmmを有する場合は、定在波の関連周波数は、圧電アクチュエータ306及び毛細管304の壁内での音速を用いて計算されてもよい。圧電アクチュエータ306はセラミック製でよく、毛細管304はガラス製でよい。これらの物質内での音速は4000m/sでよい。したがって、定在波の周波数Fの概算は(波長=2*厚さ)、
F=音速/波長=XX MHz (式9)
となる。
【0102】
[0106] これはレイリー周波数に近い。したがって、圧電アクチュエータ306はレイリー周波数で毛細管304を変調するように駆動してもよい。
【0103】
[0107] ノズル308の直径は、例えば3ミクロン以上でよい。ノズル308の直径が3ミクロン未満である場合は、ノズルは汚染物により詰まり易くなる。
【0104】
[0108] 約20ミクロンの直径を有する燃料小滴を提供することが望ましい。この直径の燃料小滴は十分に大きいため、レーザビーム205が燃料小滴の的を外すリスクが極めて低く、十分に小さいためほとんどの燃料がレーザビームによって気化され、気化されない燃料物質による汚染は少ない。
【0105】
[0109] ノズルの直径は、(レイリー分裂により)約20ミクロンの直径を有する燃料小滴を自然に生成するはずの直径よりも小さい。したがってノズルは、その後で互いに合体して所望の直径を有する、より小さい燃料小滴を生成してもよい。
【0106】
[0110] 燃料小滴には、例えば電極を使用して燃料小滴を加速することによって、所望の速度が与えられる。燃料小滴がより高い速度(例えば100m/s以上)を有することが望ましいことがある。それは、速度が速いほど、(プラズマ形成位置での燃料小滴送出の所与の周波数で)燃料小滴間の離間距離が大きくなるからである。より大きい離間が望ましいのは、それによって先行の燃料小滴により生成されるプラズマが次の燃料小滴と相互作用して、例えばその燃料小滴の軌道を変更させるリスクが低減するからである。(どのような離間距離を用いてもよいが)プラズマ形成位置に送出される小滴間の離間距離は1mm以上であることが望ましい。
【0107】
[0111] 本発明の1つ以上の実施形態は、(毛細管の壁と、毛細管の壁と圧電アクチュエータとの間に位置する任意の物質とを考慮に入れて)圧電アクチュエータがその独自の共振周波数で、又はそれに近い周波数で駆動されるという利点をもたらし得る。それによって、駆動される圧電アクチュエータは、そうではない場合よりも効率的に駆動することができる。
【0108】
[0112] 燃料小滴の速度、燃料小滴のサイズ、燃料小滴の離間距離、リザーバ内の燃料圧、圧電アクチュエータによって印加される変調の周波数、ノズル径の値は単なる例であるにすぎない。その他の任意の適切な値が用いられてもよい。
【0109】
[0113] 本発明の上記実施形態では、燃料小滴は液体スズである。しかしながら、燃料小滴は1つ以上のその他の物質(例えば液状の)から形成されてもよい。
【0110】
[0114] 圧電アクチュエータ306は、液体燃料に圧力変調を加えるために使用し得るアクチュエータの単なる例であるに過ぎない。任意の適切なアクチュエータを使用することができる。
【0111】
[0115] 放射源によって生成される放射は、例えばEUV放射でよい。EUV放射は、例えば5nm〜20nmの範囲内の、例えば13nm〜14nmの範囲内の、例えば6.7nm若しくは6.8nmなどの5nm〜10nmの範囲内に波長を有するものでよい。
【0112】
[0116] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、LED、太陽電池、光素子などの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0113】
[0117] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指すことができる。
【0114】
[0118] 以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきたが、本発明は上記以外の方法でも実施できることを理解されたい。上記説明は例示するものであって限定するものではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく上記の本発明を様々に修正できることは当業者には明らかであろう。
【0115】
[0119] 「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0116】
[0120] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的な境界を画定することができる。
【0117】
[0121] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
【0118】
[0122] 本発明の幅及び範囲は、上記例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。