特許第6047764号(P6047764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6047764白色干渉計、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047764
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】白色干渉計、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02 20060101AFI20161212BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G01B9/02
   G01B11/24 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-100033(P2012-100033)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-228263(P2013-228263A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
(72)【発明者】
【氏名】宮倉 常太
(72)【発明者】
【氏名】高濱 康弘
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−189069(JP,A)
【文献】 特開2008−002909(JP,A)
【文献】 特開2007−033217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域スペクトルを有する光源と、
この光源からの広帯域スペクトルを有する光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、
前記光学系から出力される前記干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、
前記第1光路長と第2光路長の光路長差を変化させる光路長差変更手段と、
前記撮像手段で撮像され前記光路長差の変化に伴って変化する干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶された前記干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度情報からなる干渉光強度列に基づいて前記測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める演算手段と
を備えた白色干渉計において、
前記演算手段は、
前記測定面内の各測定位置で得られた前記干渉光強度列のピーク値を含む所定範囲の干渉光強度情報から平均的輝度情報を算出し、
算出された平均的輝度情報を前記測定面内の全ての測定位置について求めることにより測定画像情報を生成し、
前記測定画像情報に基づいてエッジ検出を行い、
前記エッジ検出の結果に基づいて、前記光学系において生じる前記干渉光強度分布画像の歪みを校正する
ことを特徴とする白色干渉計。
【請求項2】
前記平均的輝度情報は、前記所定範囲の干渉光強度情報の積算値、平均値、中央値、重心、又は前記干渉強度列の回帰曲線のピーク値である
ことを特徴とする請求項1記載の白色干渉計。
【請求項3】
前記所定範囲は、前記光路長差の変化に伴う前記干渉光強度情報の変化の周期の少なくとも1周期分の前記干渉光強度情報を含む範囲である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の白色干渉計。
【請求項4】
前記所定範囲は、前記光路長差の変化に伴う前記干渉光強度情報の変化の周期の整数倍に設定されることを特徴とする請求項3記載の白色干渉計
【請求項5】
広帯域スペクトルを有する光源と、この光源からの広帯域スペクトルを有する光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、前記光学系から出力される前記干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、前記第1光路長と第2光路長の光路長差を変化させる光路長差変更手段と、前記撮像手段で撮像され前記光路長差の変化に伴って変化する干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された前記干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度情報からなる干渉光強度列に基づいて前記測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める演算手段とを備えた白色干渉計に使用される画像処理方法であって、
前記測定面内の各測定位置で得られた前記干渉光強度列のピーク値を含む所定範囲の前記干渉光強度情報から平均的輝度情報を算出し、
算出された平均的輝度情報を前記測定面内の全ての測定位置について求めることにより測定画像情報を生成し、
前記測定画像情報に基づいてエッジ検出を行い、
前記エッジ検出の結果に基づいて、前記光学系において生じる前記干渉光強度分布画像の歪みを校正する
ことを特徴する画像処理方法。
【請求項6】
広帯域スペクトルを有する光源と、この光源からの広帯域スペクトルを有する光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、前記光学系から出力される前記干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、前記第1光路長と第2光路長の光路長差を変化させる光路長差変更手段と、前記撮像手段で撮像され前記光路長差の変化に伴って変化する干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された前記干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度情報からなる干渉光強度列に基づいて前記測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める演算手段とを備えた白色干渉計に使用される画像処理プログラムであって、
前記測定面内の各測定位置で得られた前記干渉光強度列のピーク値を含む所定範囲の前記干渉光強度情報から平均的輝度情報を算出する処理と、
算出された平均的輝度情報を前記測定面内の全ての測定位置について求めることにより測定画像情報を生成する処理と、
前記測定画像情報に基づくエッジ検出処理と、
前記エッジ検出処理の結果に基づいて、前記光学系において生じる前記干渉光強度分布画像の歪みを校正する処理と
を前記演算手段に実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域スペクトルを有する光源から測定面に対して照射された光と参照面に対して照射された光の干渉強度によって測定面の位置を測定する白色干渉計と、それに使用される画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学系を用いて非接触で被測定物の三次元形状を測定する種々の形状測定装置が知られている。例えば、マイクロマシンやLSI等の微細な被測定物の三次元計測が可能な形状測定装置としては、白色干渉計が知られている。この白色干渉計は、白色光源から被測定物に照射され、被測定物から反射された白色光と、白色光源から参照面に照射され、参照面から反射された白色光とを干渉させると共に、光源から被測定物までの距離又は光源から参照面までの距離を光軸方向に移動させて干渉光強度を測定し、この干渉光強度の振幅ピーク値が得られる被測定物又は参照面の位置に基づいて被測定物の光軸方向の高さを計測するものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2006−068217号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な白色干渉計では、干渉光を受光する撮像装置の測定面内の各画素の撮像素子で受光された干渉光強度列によって測定面内の各画素に対応した位置毎に被測定物の光軸方向の高さが測定される。このため、被測定物に対する光軸方向走査の各段階での画像情報を単独で用いてエッジ検出等の画像測定を行うことはなされていない。また、この種の白色干渉計では、光軸方向走査の各段階での画像情報に干渉縞が生じてしまう。従って、従来の白色干渉計においては、光学系によって生じる画像の歪み等を補正するためのキャリブレーションパターンを撮像しても、干渉縞が現れてしまうために正確なエッジ検出ができず、キャリブレーションが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、干渉縞の影響を受けずに画像測定に有効な画像を生成することが可能な白色干渉計、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る白色干渉計は、広帯域スペクトルを有する光源と、この光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、光源から被測定対象までの第1光路長と光源から参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、光学系から出力される干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、第1光路長と第2光路長の光路長差を変化させる光路長差変更手段と、撮像手段で撮像され光路長差の変化に伴って変化する干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された干渉光強度分布画像の各測定位置における光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度情報からなる干渉光強度列に基づいて測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める演算手段とを備える。又、演算手段は、測定面内の各測定位置で得られた干渉光強度列のピーク値を含む所定範囲の干渉光強度情報から平均的輝度情報を算出し、算出された平均的輝度情報を測定面内の全ての測定位置について求めることにより測定画像情報を生成することを特徴する。
【0007】
又、平均的輝度情報は、所定範囲の干渉光強度情報の積算値、平均値、中央値、重心、又は干渉強度列の回帰曲線のピーク値とすることも可能である。
【0008】
更に、所定範囲は、光路長差の変化に伴う干渉光強度情報の変化の周期の少なくとも1周期分の干渉光強度情報を含む範囲とすることが可能であり、更に、光路長差の変化に伴う干渉光強度情報の変化の周期の整数倍に設定することも可能である。
【0009】
又、本発明に係る画像処理方法は、広帯域スペクトルを有する光源と、この光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、光源から被測定対象までの第1光路長と光源から参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、光学系から出力される干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、第1光路長と第2光路長の光路長差を変化させる光路長差変更手段と、撮像手段で撮像され光路長差の変化に伴って変化する干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された干渉光強度分布画像の各測定位置における光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度情報からなる干渉光強度列に基づいて測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める演算手段とを備えた白色干渉計に使用され、測定面内の各測定位置で得られた干渉光強度列のピーク値を含む所定範囲の干渉光強度情報から平均的輝度情報を算出し、算出された平均的輝度情報を測定面内の全ての測定位置について求めることにより測定画像情報を生成することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明に係る画像処理プログラムは、広帯域スペクトルを有する光源と、この光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、光源から被測定対象までの第1光路長と光源から参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、光学系から出力される干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、第1光路長と第2光路長の光路長差を変化させる光路長差変更手段と、撮像手段で撮像され光路長差の変化に伴って変化する干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された干渉光強度分布画像の各測定位置における光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度情報からなる干渉光強度列に基づいて測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める演算手段とを備えた白色干渉計に使用される。測定面内の各測定位置で得られた干渉光強度列のピーク値を含む所定範囲の干渉光強度情報から平均的輝度情報を算出する処理と、算出された平均的輝度情報を測定面内の全ての測定位置について求めることにより測定画像情報を生成する処理とを演算手段に実行させることを特徴する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、干渉縞の影響を受けずに画像測定に有効な画像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る白色干渉計の構成を示すブロック図である。
図2】同白色干渉計における演算処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】同白色干渉計の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】同白色干渉計の動作を説明するための模式図である。
図5】比較例に係る白色干渉計によって取得された画像を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る白色干渉計によって取得された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る白色干渉計、画像処理プログラム及び画像処理方法について詳細に説明する。
【0014】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る白色干渉計の構成を示す図である。なお、ここでは、マイケルソン型の干渉計を示すが、ミラウ型等、他の等光路干渉計を用いることもできる。また、画像測定装置等、他の光学測定装置と併用したものでも良い。
【0015】
光源1は、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、LED等の広帯域スペクトルを有する白色光源である。光源1から出射された白色光は、コリメータレンズ2でコリメートされ、ビームスプリッタ3で2方向に分割される。一方の分割光は、被測定対象であるワーク4の測定面に照射され、他方の分割光は、参照板5の参照面に照射される。測定面及び参照面からそれぞれ反射された白色光は、ビームスプリッタ3で合成され、その際の干渉光が結像レンズ7を介してCCDカメラ8で撮像される。
【0016】
参照板5は、ピエゾ素子のような駆動手段6によって光軸方向に移動走査され、各走査位置での干渉像がCCDカメラ8によりサンプリングされ、画像メモリ9に記憶される。演算処理部10は、ワーク4の測定面の各測定位置での干渉光の強度とエンコーダ14から入力される参照板5の走査位置情報とに基づいて、ワーク4の測定面の高さ方向の位置を求める。また、演算処理部10は、ワーク4の測定面の高さ方向の位置を決定するのに際し使用される。また、演算処理部10は、画像メモリ9に記憶されている各走査位置での干渉像から平均的輝度情報を算出し、これに基づき測定画像情報を生成する。入力部11は、演算処理部10に計測に必要なデータを入力する。出力部12は、演算処理部10で求められた測定結果を出力する。また、表示部13は、入力操作に必要な情報及び測定結果を表示する。
【0017】
次に、この白色干渉計による形状測定方法について説明する。
光源1からの白色光は、ワーク4の測定面と参照板5の参照面で反射され、ビームスプリッタ3で合成される。そのときの干渉強度は、光源1からワーク4までの第1の光路長と、光源1から参照板5までの第2の光路長との光路長差によって決まる。第1及び第2の光路長が等しいときは、最も干渉光強度が大きくなる。干渉光強度は、参照板5をピエゾ素子6で光軸方向に移動走査することにより変化する。可干渉性の少ない白色光を使用することで、干渉縞の発生する範囲を狭くすることができる。後に詳細に説明するが、図4に示すように、参照面の移動走査により発生する測定面の各位置での干渉光強度の変化は、測定面の高さ(z方向位置)に応じた位相で発生する。干渉光強度列の変化のピーク値がフォーカス位置zfとなる。従って、干渉光強度列のピーク値が観測される参照面の走査位置を、測定面の対応する部位の高さとして求めることができる。この高さを測定面の全ての位置で求めることにより、ワーク4の表面の変位測定を行うことができる。
【0018】
[演算処理部10の構成]
次に、本実施形態に係る白色干渉計のキャリブレーションや画像計測に適した画像処理方法及び画像処理プログラムについて説明する。図2は本実施形態に係る画像処理方法を実現する演算処理部10の構成を示すブロック図、図3は本実施形態に係る画像生成方法を説明するためのフローチャートである。図2の演算処理部10は、コンピュータで実行される画像処理プログラムによっても実現することができる。尚、図2中、干渉光強度列(xi,yj)は、測定面内の座標(xi,yj)における干渉光強度列を示している。同様に、座標(xi,yj)における種々の値、情報等を、用語の後ろに(xi,yj)を付して示す事がある。
【0019】
本実施形態に係る画像処理方法を実現する演算処理部10は、ステップS1において画像メモリ9に記憶された干渉光強度分布画像の各測定位置における光路長差の変化に伴う干渉光強度を示す干渉光強度列(xi,yj)に基づいて測定対象の各測定位置における光軸方向の位置(フォーカス位置情報(xi,yj))を求めるフォーカス位置検出部101と、ステップS2においてワーク4の光軸方向の位置(フォーカス位置)と対応する干渉光強度情報を含む干渉光強度列(xi,yj)内の所定範囲を積算領域として規定し、積算領域に含まれる干渉光強度情報を積算した積算画素情報S[xi,yj](平均的輝度情報)を算出する積算処理部102と、ステップS3において積算画素情報S[xi,yj]を画素とする積算画像(測定画像情報)を生成する積算画像生成部103とを有する。
【0020】
更に本実施形態に係る演算処理部10は、ステップS4において積算画像に基づいてエッジ検出を行うエッジ検出部104と、ステップS5においてエッジ検出部104から出力された情報に基づいて光学系によって生じる画像の歪み等を校正する校正部105を有する。
【0021】
尚、本実施形態に係る演算処理部10を画像処理プログラムによって実現する場合には、画像処理プログラムは演算処理部10に接続された記憶装置15内に記録され、演算処理プログラムの各機能は演算処理部10によって実現される。
【0022】
[演算処理部10の動作]
次に、上記画像処理の各ステップにおける動作について詳細に説明する。以下、干渉光強度列(xi,yj)を構成する各点を干渉光強度情報(xi,yj,zk)、干渉光強度情報(xi,yj,zk)における干渉光強度を干渉光強度L[xi,yj,zk]とする。
【0023】
まず、ステップS1における、フォーカス位置検出部101の動作について説明する。図4は、任意の測定位置(xi,yj)における干渉光強度列(xi,yj)の、ワーク4表面の高さzと干渉光強度との関係を示す図である。
【0024】
フォーカス位置の検出方法としては、まず所定の干渉光強度列(xi,yj)を構成する複数の干渉光強度情報(xi,yj,zk)について、数1の計算を行う。
【数1】
【0025】
そして、上記数1で定義される干渉光強度変動Dif[xi,yj,zk]が最大となるワーク4表面の高さzfを、測定位置(xi,yj)におけるフォーカス位置情報(xi,yj)とする。
【0026】
尚、本実施形態においては上記の方法を採用しているが、フォーカス位置を検出する方法としては、所定のしきい値を設定して、しきい値以上の干渉光強度を示す干渉光強度情報に基づいて演算を行う方法や、干渉光強度列に対してフィッティング処理を行う方法等種々の方法が適用可能である。
【0027】
次に、ステップS2における、積算処理部102の動作について説明する。積算処理部102はまず、干渉光強度列(xi,yj)及びフォーカス位置情報(xi,yj)を入力し、フォーカス位置zfを含む干渉光強度列(xi,yj)内の所定領域を積算領域として設定する。本実施形態においては、積算領域はフォーカス位置zfを中心として設定される。又、本実施形態において、積算領域の幅は、干渉光強度L[xi,yj,z]が高さzに応じて変化する周期の少なくとも1周期分の干渉光強度情報を含み、より好ましくは干渉光強度情報の変化の周期の整数倍に設定される。従って、積算領域には、干渉光強度列のピーク値が含まれる。尚、図4においては、積算領域の幅を干渉光強度L[xi,yj,z]の変化する周期の3倍に設定している。
【0028】
次に積算処理部102は、積算領域に含まれる干渉光強度L[xi,yj,z]を積算し、積算画素情報(xi,yj)として算出する。例えば、積算画素情報S[xi,yj]がフォーカス位置zfの干渉光強度L[xi,yj,zf]を中心として5点分の干渉光強度L[xi,yj,z]を含む場合には、積算画素情報S[xi,yj]は数2で表される。
【数2】
【0029】
又、積算画素情報S[xi,yj]は、積算領域に含まれる最小の高さzをzl、最大の高さzをzhとすると、数3のように表す事も可能である。
【数3】
【0030】
尚、本実施形態においては単純な積算処理によって積算画素情報S[xi,yj]を平均的輝度情報として算出しているが、平均値、中央値、重心、又は干渉強度列の回帰曲線のピーク値等種々の演算方法を適用することが可能である。
【0031】
ステップS3において、積算画像生成部103は、積算画素情報S[xi,yj]を入力して、積算画素情報S[xi,yj]を画素とする積算画像情報を生成する。図5は、比較例に係る白色干渉計によって取得された画像を、図6は、本実施形態に係る白色干渉計によって取得された積算画像を示している。
【0032】
比較例に係る白色干渉計においては、光軸方向の走査のある段階で取得された画像であり、積算処理を行っていない為、画像に干渉縞が生じていることが分かる。又、任意の測定位置(xi,yj)におけるフォーカス位置zfと、干渉光強度(xi,yj,zk)が最大となる高さzkとは、必ずしも一致しない。これに対し、本実施形態に係る白色干渉計によって取得された積算画像は干渉縞を生じておらず、明るさも一様であることが分かる。又、積算処理によって干渉光強度(xi,yj,zk)のノイズも減少している。
【0033】
ステップS4において、エッジ検出部104は積算画像に基づいてエッジ検出を行う。エッジ検出の方法としては、種々の方法が適用可能である。本実施形態のステップS3において生成された積算画像は干渉縞を生じない為、適切なエッジ検出を行う事が可能である。
【0034】
その後、ステップS5において、校正部105がエッジ検出部104から出力された情報に基づいて光学系によって生じる画像の歪み等を校正する。即ち、ワーク4として図6に示した様な既知の明暗パターンを撮像することによって、各画素(xi,yj)の位置と、ワーク4表面における実際の測定位置との対応関係を調整する。
【0035】
このように本実施形態によれば、積算画像により干渉縞の影響のない測定画像を得ることができるので、図6のような校正パターンを撮像してCCDカメラ8や光学系2,3,7の校正を精度良く行うことができる。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る白色干渉計、画像処理プログラム及び画像処理方法について説明する。第1実施形態においては積算画像情報を光学系によって生じる画像の歪み等を補正するために使用していたが、本実施形態においては積算画像情報を用いて座標測定、幾何形状測定、寸法測定等の画像測定を行う。従って、本実施形態に係る白色干渉計は、画像測定用の別系統の光学系やカメラを搭載することなく、同時に画像測定機として使用することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…光源、2…コリメータレンズ、3…ビームスプリッタ、4…ワーク、5…参照板、6…駆動手段、7…結像レンズ、8…CCDカメラ、9…画像メモリ、10…演算処理部、11…入力部、12…出力部、13…表示部、14…エンコーダ、15…記憶装置、101…フォーカス位置検出部、102…積算処理部、103…積算画像生成部、104…エッジ検出部、105…校正部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6