(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047810
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】二次電池、これを含む二次電池モジュール及び二次電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20161212BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20161212BHJP
H01M 2/08 20060101ALI20161212BHJP
H01M 2/16 20060101ALI20161212BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H01M2/10 E
H01M2/10 Y
H01M2/08 K
H01M2/16 P
H01M10/04 W
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-555907(P2015-555907)
(86)(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公表番号】特表2016-510485(P2016-510485A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】KR2014000414
(87)【国際公開番号】WO2014181950
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0050637
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソン−ユーン・リム
【審査官】
古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−313431(JP,A)
【文献】
特開2000−277176(JP,A)
【文献】
特開2006−210031(JP,A)
【文献】
特開2009−187753(JP,A)
【文献】
特開平08−128901(JP,A)
【文献】
特開2009−272113(JP,A)
【文献】
特開平10−214613(JP,A)
【文献】
特開2007−141782(JP,A)
【文献】
特開平10−294102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00− 2/10
H01M 2/14− 2/18
H01M 10/00−10/04
H01M 10/06−10/34
H01M 10/42−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板を横切って形成された少なくとも一つの非コーティング部通路を備える単位セルを含むセルアセンブリーと、
前記非コーティング部通路内に位置する温度感知部及び前記温度感知部から延長されるセンサーリードを含む温度センサーと、
前記セルアセンブリーを収容し、前記センサーリードが外部に引き出された状態で封止される電池ケースと、を含む二次電池。
【請求項2】
前記セルアセンブリーが複数の単位セルを含み、
前記温度感知部が、前記複数の単位セルのうち前記セルアセンブリーの中央に位置する単位セルに形成された前記非コーティング部通路内に位置することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記単位セルが、
正極タブを備える正極板と、
負極タブを備える負極板と、
前記正極板と負極板との間に介される分離フィルムと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記非コーティング部通路が、前記正極タブ及び負極タブのうち少なくとも一つに対応する位置に前記正極タブ及び負極タブの延長方向に平行な方向に形成されることを特徴とする、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記温度感知部が、前記非コーティング部通路内に設けられ、前記正極タブまたは負極タブに隣接した位置に設けられることを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記セルアセンブリーに接続され、前記電池ケースの外部に引き出される一対の電極リードをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記センサーリードが、前記電池ケースの周縁部において、前記電極リードが引き出される領域を除いた領域を通じて前記電池ケースの外部に引き出されることを特徴とする、請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記温度感知部が、絶縁フィルムでコーティングされていることを特徴とする、請求項3に記載の二次電池。
【請求項9】
前記絶縁フィルムが、前記分離フィルムと同じ材質からなることを特徴とする、請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記絶縁フィルムが、前記分離フィルムよりも軟化点の高い高分子物質からなることを特徴とする、請求項8に記載の二次電池。
【請求項11】
前記温度感知部が、RTD、サーモカップラー及びサーミスターより選択された何れか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の二次電池と、
前記温度センサーによって測定された前記二次電池内部の温度が臨界温度を超える場合、前記二次電池の動作を中断させる制御部と、を含む二次電池モジュール。
【請求項13】
請求項12に記載の二次電池モジュールを二つ以上含む、バッテリーパック。
【請求項14】
請求項13に記載のバッテリーパックと、
前記バッテリーパックから電力の供給を受ける負荷と、を含む、バッテリー駆動システム。
【請求項15】
前記負荷が、前記バッテリーパックから電力の供給を受けて動作する電気駆動手段または電力変換回路であることを特徴とする、請求項14に記載のバッテリー駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、これを含む二次電池モジュール及び二次電池パックに関し、より詳しくは、ガス排出通路及び温度センサーを備える二次電池、これを含む二次電池モジュール及び二次電池パックに関する。
【0002】
本出願は、2013年5月6日出願の韓国特許出願第10−2013−0050637号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、化石エネルギーの枯渇と環境汚染によって、化石エネルギーを使用することなく電気エネルギーを用いて駆動できる電気製品に対する関心が高まりつつある。
【0004】
これにつれて、モバイル機器、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電力貯蔵装置(Energy Storage System)、無停電電源装置(UPS)などについての技術開発と需要が増加することに伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しつつある。特に、電気自動車やハイブリッド自動車に使用される二次電池は、高出力、大容量の二次電池であって、これについての研究が活発に進みつつある。
【0005】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、特に、リチウム二次電池は、既存の鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−亜鉛電池などの他の二次電池に比べて単位重量当たりエネルギー密度が高くて急速充電が可能であるため、その使用が大幅に増加しつつある。また、リチウム二次電池は、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−メタルハイドライド電池に比べて作動電圧が3倍高く、単位重量当たりエネルギー密度の特性にも優れることから、その使用が急激に増加しつつある。
【0006】
リチウム二次電池は、電解質の種類によって液体電解質を使用するリチウムイオン電池と、高分子固体電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池と、に区分することができる。また、二次電池は、外装材の種類によってパウチ型、円筒型、角形などに分けられる。
【0007】
二次電池の一例であるパウチ型二次電池は、アルミニウムラミネートシートからなるパウチ型ケースと、前記パウチ型ケースの内部に収納され、正極板/分離フィルム/負極板を含む電気化学セルが多重積層されたセルアセンブリーと、を含む。これらのパウチ型二次電池は、缶型の二次電池よりも電池の製造コストが安くて、重さを大幅に減らすことができ、容易な形態変形などの長所がある。
【0008】
しかし、パウチ型二次電池は、高い温度に非常に弱い。即ち、パウチ型二次電池が過熱されれば、内部でガスが発生して外装材であるパウチ型ケースが膨張する。また、膨張が極に達すると、二次電池が爆発する可能性もある。そして、二次電池の温度が短絡電流によって急激に上昇すれば、外装材の内部で発生したガスが発火して爆発とともに火事を起こすこともある。
【0009】
したがって、従来は、二次電池が過熱されることを防止するために、二次電池の温度変化を測定し、もし温度が過度に上昇すれば、二次電池の充放電を直ちに中断させる保護装置が広く使われている。
【0010】
通常的な二次電池の保護装置は、二次電池の表面、即ち、パウチ外装材の表面温度を測定し、その値をモニターする。しかし、このような方式で二次電池の温度変化をモニターすれば、事後措置が可能であるだけで、事前措置が実質的に難しいという不具合がある。
【0011】
即ち、二次電池の温度が急激に上昇する代表的な原因は、短絡電流が流れる場合である。短絡電流は、針状物体の貫通などによって二次電池内部で短絡が発生するか、または二次電池に接続された電子機器などで短絡が発生した場合に主に発生する。
【0012】
二次電池に短絡が発生すれば、正極板及び負極板で急激な電気化学反応が起きて熱が発生する。このように発生した熱は、周辺物質に伝導され、この熱の伝導によりパウチ外装材の表面温度が速い速度で上昇するようになる。
【0013】
このような熱の発生及び熱伝導のメカニズムを鑑みれば、短絡が発生した時点を基準にパウチ外装材の表面温度が急上昇するまでは、ある程度の時間差が発生する。これは、二次電池の正極板及び負極板で発生した熱が、パウチ外装材の表面にまで伝導されるまで、ある程度の時間が所要されるためである。
【0014】
したがって、二次電池の保護装置がパウチ外装材の過熱を感知した時点は、短絡電流が既に相当時間流れて二次電池の安全性に問題を起こした以後となるのである。このような問題を解決するためには、二次電池の内部温度を直接測定することで、異常な温度変化を迅速かつ正確に感知可能な方案が求められる。
【0015】
なお、二次電池の充/放電過程において、電池ケースの内部には化学反応によるガスが発生するようになる。このようなガスは、互いに密着している電極板の間に圧力を加えることで電極板の浮き上がりを発生させる。このような電極板の浮き上がり現象は、二次電池のエネルギー効率に損失をもたらす。
【0016】
したがって、二次電池の温度変化に対する正確かつ迅速な測定とともに、ガス発生による浮き上がり現象を防止可能にする構造を有する二次電池の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、二次電池の温度変化を迅速かつ正確に測定可能であるだけでなく、二次電池の充/放電過程で発生するガスをセルアセンブリーの周辺領域へ容易に排出できる構造を有する二次電池及びこれを含む二次電池モジュールを提供することを目的とする。
【0018】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は上述の課題に制限されず、言及されていない更に他の課題は、下記の発明の説明から当業者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を達成するため、本発明による二次電池は、電極板を横切って形成された少なくとも一つの非コーティング部通路を備える単位セルを含むセルアセンブリーと、前記非コーティング部通路内に位置する温度感知部及び前記温度感知部から延長されるセンサーリードを含む温度センサーと、前記セルアセンブリーを収容し、前記センサーリードが外部に引き出された状態で封止される電池ケースと、を含む二次電池である。
【0020】
前記セルアセンブリーは複数の単位セルを含み、前記温度感知部は、前記複数の単位セルのうち前記セルアセンブリーの中央に位置する単位セルに形成された前記非コーティング部通路内に位置し得る。
【0021】
前記単位セルは、正極タブを備える正極板と、負極タブを備える負極板と、前記正極板と負極板との間に介される分離フィルムと、を含み得る。
【0022】
前記非コーティング部通路は、前記正極タブ及び負極タブのうち少なくとも一つに対応する位置に前記正極タブ及び負極タブの延長方向に平行な方向に形成可能である。
【0023】
前記温度感知部は、前記非コーティング部通路内に設けられ、前記正極タブまたは負極タブに隣接した位置に設けられ得る。
【0024】
前記二次電池はセルアセンブリーに接続され、前記電池ケースの外部に引き出される一対の電極リードをさらに含み得る。
【0025】
前記センサーリードは、前記電池ケースの周縁部において、前記電極リードが引き出される領域を除いた領域を通じて前記電池ケースの外部に引き出され得る。
【0026】
前記温度感知部は、絶縁フィルムでコーティングされ得る。
【0027】
前記絶縁フィルムは、前記分離フィルムと同じ材質からなり得る。
【0028】
前記絶縁フィルムは、前記分離フィルムよりも軟化点の高い高分子物質からなり得る。
【0029】
前記温度感知部は、RTD、サーモカップラー及びサーミスターより選択された何れか一つであり得る。
【0030】
なお、上記技術的課題は、本発明により二次電池モジュールによっても達成することができる。このような本発明による二次電池モジュールは、前記二次電池と、前記温度センサーによって測定された前記二次電池内部の温度が臨界温度を超える場合、前記二次電池の動作を中断させる制御部と、を含む。
【0031】
また、上記技術的課題は、本発明による二次電池パックによっても達成することができる。このような本発明による二次電池パックは、前記二次電池モジュールを二つ以上含んで具現される。
【0032】
さらに、上記技術的課題は、本発明による駆動システムによっても達成することができる。このような本発明による駆動システムは、前記バッテリーパックと、前記バッテリーパックから電力の供給を受ける負荷と、を含む。
【0033】
ここで、前記負荷は、電気駆動手段または電力変換回路であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一側面によれば、二次電池の温度変化を迅速かつ正確に測定することができるため、温度変化による二次電池の制御をより精密に行うことができる。
【0035】
本発明の他の側面によれば、二次電池の内部短絡及び異常発熱などが発生したとき、二次電池の異常な温度上昇をより正確かつ迅速に感知することができるため、熱爆走現象による安全事故の被害を減らすことができる。
【0036】
本発明の更に他の側面によれば、二次電池の充放電過程で電池ケースの内部で発生するガスをセルアセンブリーの周辺領域へ容易に排出可能となるため、電極板の浮き上がり現象による電池効率の低下を防止することができる。
【0037】
本発明の他面によれば、二次電池の温度測定のための温度センサーが、ガスの排出のための非コーティング部の通路内に設けられることで、温度センサーの取り付けによる非コーティング部面積のさらなる損失なく二次電池の温度をより精密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【0039】
【
図1】本発明の一実施例による二次電池の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例による二次電池の内部構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1に示された二次電池の内部構造を示すために切断線A−A’に沿って見た断面図である。
【
図4】
図2に示されたセルアセンブリーを切断線B−B’に沿って見た断面図である。
【
図5】本発明の他の実施例による二次電池の内部構造を示すための断面図である。
【
図6】本発明の更に他の実施例による二次電池の平面透視図である。
【
図7】本発明の更に他の実施例による二次電池の斜視図である。
【
図8】本発明による二次電池を含む二次電池モジュールの構成を概略的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0041】
図1から
図4は、本発明の一実施例による二次電池10の構成及び構造を説明するための図面である。
【0042】
先ず、
図1は、本発明の一実施例による二次電池10の斜視図であり、
図2は、本発明の一実施例による二次電池10の内部構成を示す分解斜視図である。そして、
図3は、
図1に示した二次電池10の内部構造を示すために、切断線A−A’に沿って見た断面図であり、
図4は、
図2に示したセルアセンブリー100を切断線B−B’に沿って見た断面図である。
【0043】
図1から
図4を参照すれば、本発明の一実施例による二次電池10は、セルアセンブリー100、温度センサー140及び電池ケース170を含む。
【0044】
セルアセンブリー100は、正極板111、分離フィルム112及び負極板113を含む単位セル110が少なくとも二つ以上積層された構造を有する。各単位セル110の正極板111及び負極板113から突出した複数の正極タブ121及び負極タブ122には、それぞれ正極リード131及び負極リード132が電気的に接続される。正極タブ121及び負極タブ122は、それぞれ正極板111及び負極板113が延長された形態からなり得、このような電極タブ121、122は電極活物質が塗布されてない非コーティング部領域に該当する。
【0045】
本発明の図面では、電極板(111、113)を示すことにおいて、電極集電体と電極活物質を区別して示していない。しかし、これは図示上の便宜のためのことであり、実際に正極板111は正極集電体及び正極集電体の両面の少なくともいずれか一面に形成される正極活物質を含むものであり、負極板113は、負極集電体及び負極集電体の両面のいずれか一面に形成される負極活物質を含むものであることは当業者であれば明確に理解できるだろう。
【0046】
なお、
図3及び
図4を参照すれば、単位セル110の少なくともいずれの一つの正極板111及び/または負極板113は、電極板111、113を横切って形成される少なくとも一つの非コーティング部通路Pを備える。以下、非コーティング部通路Pが負極板113にのみ形成された場合を例で説明する。
【0047】
非コーティング部通路Pは、正極板113を横切って形成される非コーティング部パターンであって、正極集電体に正極活物質を塗布しないことで形成される領域である。このような非コーティング部通路Pは、電池ケース170内で起こる化学反応によって発生するガスがセルアセンブリー100の周辺領域へ容易に排出されるようにする。
【0048】
ここで、前記セルアセンブリー100の周辺領域とは、セルアセンブリー100と電池ケース170との間の空間を示す。このような周辺領域にガスが円滑に排出されない場合、積層された電極板111、113の間に発生する圧力によって電極板111、113間の浮き上がりが発生し、これは二次電池10の効率低下に繋がるようになる。
【0049】
したがって、本発明の一実施例による二次電池10のように、ガスの排出のための非コーティング部通路Pを備える二次電池の場合、内部ガスの発生による効率低下を防止することができる。
【0050】
本発明による二次電池10は、絶縁テープ160をさらに含むことができる。絶縁テープ160は、電池ケース170と、正極リード131及び負極リード132との接着性を向上させる役割をする。絶縁テープ160は、正極リード131及び負極リード132と電池ケース170との接着性を向上させながらも、絶縁性のある物質であれば、その種類は制限されない。
【0051】
望ましくは、セルアセンブリー100は、積層(stack)/折畳み(folding)構造を有する。積層/折畳み型のセルアセンブリー100は、所定の大きさに切り取った正極板111と負極板113との間に分離フィルム112を介した単位セル110を長尺の巻取フィルム115上に配列する。そして、前記巻取フィルム115と単位セル110とを一緒に巻き取ることでセルアセンブリー100を形成する。このような構造を有するセルアセンブリーは、本出願人の韓国登録特許公報第0515571号、第0515572号、第0497147号及び韓国公開特許公報第2011−0058657号などに開示されている。しかし、本発明による二次電池10は、積層/折畳み構造のセルアセンブリー100のみならず、ゼリーロールタイプ及び単純積層型のセルアセンブリーを含むこともでき、例示されたセルアセンブリー100の構造によって発明が限定されない。
【0052】
温度センサー140は、温度感知部141とセンサーリード142とを含み、温度感知部141は、非コーティング部通路Pのうち少なくともいずれか一箇所に設けられる。温度感知部141は、単位セル110の温度を感知してこれを電気的信号に出力する。電気的信号は、前記センサーリード142を通じて二次電池10の外部へ出力される。
【0053】
温度感知部141は、RTD(Resistance Thermometer Detector)、サーモカップラー(Thermocoupler)またはサーミスター(Thermistor)のいずれか一つを含むことができる。RTDは、温度に応じて抵抗値が変わる特性を用いた温度測定素子であって、一般的に0.02mmの白金線を用いて作る。サーモカップラーは接合した二種類の金属が温度に応じて起電力を生成する温度測定素子である。そして、サーミスターは、半導体の温度変化による抵抗値変化特性を用いた温度測定素子である。
【0054】
但し、温度感知部141で使用される温度測定素子は前記例示に限定されず、当業者の水準で容易に適用可能なすべての温度測定素子を考慮可能であることは自明である。
【0055】
なお、温度感知部141は、温度感知部141と単位セル110との接着力を向上させるために、絶縁フィルム150でコーティング可能である。前記絶縁フィルム150は、温度感知部141と単位セル110との接着力を改善できるだけでなく、温度感知部141が二次電池10内に充填された電解質との不要な反応を起こすか、電解質による損傷を受けることを抑制する。絶縁フィルム150は、必要に応じて温度感知部141だけでなく、センサーリード142までもコーティングすることができる。
【0056】
絶縁フィルム150は、分離フィルム112または巻取フィルム115と同じ材質からなり得る。代案的に、絶縁フィルム150は、分離フィルム112または巻取フィルム115よりも軟化点の高い高分子物質からなり得る。
【0057】
絶縁フィルム150が、分離フィルム112または巻取フィルム115と同じ材質からなる場合、本発明による二次電池10の生産が容易である。なお、絶縁フィルム150が、分離フィルム112または巻取フィルム115よりも軟化点の高い高分子物質からなる場合、分離フィルム112または巻取フィルム115が収縮を起こす温度まで二次電池10の温度が上昇しても、温度感知部141が絶縁フィルム150の外部に露出することを防止することができる。
【0058】
温度感知部141が一部単位セルにのみ設けられる場合、前記単位セル(110−1から110−5)のうち、少なくともセルアセンブリー100の中央に位置する単位セル110−3に設けられることが有利である。これは、二次電池10の内部の温度測定が正確に行われるようにするためである。
【0059】
即ち、本発明による二次電池10のセルアセンブリー100は、少なくとも二つ以上の単位セル110を含んでいる。したがって、それぞれの単位セル110が発熱すれば、セルアセンブリー100内における位置によって互いに異なる温度値を有し得るが、中央に位置する単位セル110−3の場合、他の単位セル(110−1、110−2、110−4、110−5)に比べて放熱がさらに制限されるため、温度が最も速く上昇する可能性が大きい。
【0060】
したがって、積層または巻取の際、セルアセンブリー100の中央に位置する単位セル110−3に、温度感知部141を設ければ、二次電池10の温度変化をより正確に測定することができる。
【0061】
セルアセンブリー100内の中央に位置する単位セル110の位置は、図面に示した例示に限定されない。単位セル110の個数は、二次電池10の容量などによっていくらでも変更可能であり、特に、単位セル110の個数が偶数の場合であれば、中央に位置する単位セル110が必ずしも真ん中を意味しないことを当業者であれば明確に理解できるだろう。
【0062】
本発明による二次電池10は、複数個の単位セル110に形成された非コーティング部通路P内にそれぞれ温度センサー140を設けることができる。これについて
図5を参照して説明する。
【0063】
図5は、本発明の他の実施例による二次電池10の内部構造を示すために
図3のように切断線A−A’に沿って見た断面図である。
【0064】
図5を参照すれば、二次電池10内に含まれた各単位セル110の温度は、位置によって互いに相違し得る。したがって、少なくとも二つ以上の単位セル(110−1、110−3、110−5)に温度センサー140を設けて複数の箇所で単位セル110の温度を測定することができる。このような場合、温度センサー140が設けられた単位セル(110−1、110−3、110−5)は、一定間隔に配置することが望ましい。このような配置によって二次電池10の局所的な温度変化を迅速かつ精密に測定することができ、さらに、二次電池10の内部の温度分布までも測定することができる。
【0065】
複数個の単位セルにそれぞれ設けられた温度感知部141には、前述の絶縁フィルム150がコーティングされ得る。なお、温度センサー140の個数及び温度センサー140が設けられた単位セル110の配置間隔は、図面に示した実施例に制限されないことは自明である。
【0066】
本発明による二次電池10の非コーティング部通路Pは、電極板111、113における多様な位置に形成可能であり、温度感知部141もこのような非コーティング部通路P内における多様な位置に設けることができる。
【0067】
図6は、非コーティング部通路Pの形成位置及び温度感知部141の付着位置に対する一実施例を示す二次電池10の平面透視図である。
【0068】
図6を参照すれば、非コーティング部通路Pは、負極板113における電極タブ121、122に対応する位置に、電極タブ121、122の延長方向に平行な方向に沿って形成可能であり、温度感知部141は、このような非コーティング部通路P内に設けられ得る。さらに、温度感知部141が非コーティング部通路P内で電極タブ121、122に隣接した位置に設けられる場合、二次電池10内部の温度上昇をより迅速に感知することができる。
【0069】
即ち、セルアセンブリー100が複数の単位セル110からなる場合、電極タブ121、122での発熱量が非常に大きくなり得るため、このような電極タブ121、122に隣接した位置に温度感知部141が設けられる場合、二次電池10に異常が発生したことを迅速に感知することができる。
【0070】
なお、本発明による前記二次電池10のセンサーリード142は、多様な方向へ外部に露出可能である。
【0071】
すなわち、前記センサーリード142は、
図1に示したように、正極リード131及び負極リード132と同じ方向へ外部に露出し得る。また、センサーリード142は、
図6に示したように、正極リード131及び負極リード132とは異なる方向へ外部に露出し得る。延いては、
図7に示したように、正極リード131及び負極リード132が互いに違う方向に引き出された形態を有する二次電池10においては、正極リード131と同じ方向へ少なくとも一つ以上のセンサーリード142が露出し得る。勿論、図示されたものとは相違に、センサーリード142が負極リード132と同じ方向へ露出し得ることも自明である。
【0072】
センサーリード142の露出方向は、本発明による二次電池10の製造環境、温度センサー140の個数、二次電池10が使用される環境、二次電池10を制御するためのBMS(Battery Management System)の接続位置などを考慮して多様に決めることができる。したがって、センサーリード142の露出方向は、例示されたものに限定されない。
【0073】
但し、センサーリード142が、電池ケース170の周縁部171において、電極リード131、132の引出し領域を通じて電池ケース170の外部に引き出される場合は、周縁部171の封止性が低下する問題が発生し得る。したがって、センサーリード142は、電池ケース170の周縁部171において、電極リード131、132の引出し領域を除いた領域を通じて引き出されることがより望ましい。
【0074】
上述のように、本発明の一実施例による二次電池10は、非コーティング部通路Pを備えることで、電極板111、113間の浮き上がりによる電池効率の低下を防止できるだけでなく、電池ケース170の内部に温度センサー140を備えることで、二次電池10の温度をより正確に測定することができる。
【0075】
特に、二次電池10は、温度感知部141が非コーティング部通路P内に設けられる構造を有することで、温度感知部141が占める別途の空間を確保するために、さらなる非コーティング部を形成する必要がない。すなわち、二次電池10は、温度感知部141の取り付けのためにわざと活物質の量を減少させる必要のない構造を有するため、優れるエネルギー密度を維持することができる。
【0076】
なお、本発明による二次電池10は、二次電池10の動作を制御する制御部30を含む二次電池モジュール20の構成要素になり得る。
【0077】
図8は、本発明による二次電池10を含む二次電池モジュール20の構成を概略的に示したブロック図である。
図8を参照すれば、本発明による二次電池10のセンサーリード142は、制御部30に接続され得る。制御部30は、二次電池10の動作中に、センサーリード142を通じて出力される温度感知信号を受信する。そうすれば、制御部30は、温度感知信号を用いて電池ケース170の内部の少なくとも一つ以上の箇所に対する温度をモニターする。この際、少なくともある一箇所の温度が予め設定された臨界温度を超える場合、二次電池モジュール20の充電または放電動作を中断させる。
【0078】
制御部30は、二次電池10の高電位端子(V+)または/及び低電位端子(V−)に接続されたスイッチ部40を制御して二次電池10の充電または放電動作を中断させることができる。しかし、制御部30が二次電池10を制御する方法は例示されたものに限らず、二次電池10の使用を制御する公知技術及び公知技術から当業者が容易に導出可能なすべての制御方法を含む。
【0079】
制御部30は、本発明による二次電池モジュール20の制御のために、プログラムコードを実行できるマイクロプロセッサーで構成することができる。代案的に、制御部30は、本発明による二次電池モジュール20の制御のために制御流れを論理回路に具現した半導体チップで構成することもできる。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0080】
また、本発明による二次電池10は、前記二次電池モジュール20を二つ以上含むバッテリーパックの一構成要素になり得る。
【0081】
近来、エネルギー貯蔵源としての活用を含め、大容量構造に対する必要性が高まりつつ、複数個の二次電池モジュール20を直列、並列または直列と並列との混合方式で接続してマルチモジュール構造を有するバッテリーパックが普遍的に用いられている。
【0082】
一般的に、前記バッテリーパックは、電流、電圧などの電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化(equalization)制御、SOC(State of Charge)などの推定のためのアルゴリズムが適用され、二次電池10の状態をモニターして制御するBMSなどがさらに含まれて構成される。この場合、前記二次電池モジュール20の制御部30は、前記BMSに含まれるか別途の回路に具現され得る。
【0083】
また、本発明による二次電池10は、バッテリーパック及び前記バッテリーパックから電力の供給を受ける負荷を含むバッテリー駆動システムの一構成要素になり得る。
【0084】
バッテリー駆動システムの例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気自転車(E−Bike)、電動工具(Power tool)、電力貯蔵装置、無停電電源装置、携帯用コンピューター、携帯用電話機、携帯用オーディオ装置、携帯用ビデオ装置などになり得る。
【0085】
また、負荷の例としては、バッテリーパックから電力の供給を受けて回転力を発生させる電気駆動手段(例えば、モーター)、またはバッテリーパックが供給する電力を各種回路部品が必要とする電力に変換する電力変換回路であり得る。
【0086】
本発明によれば、二次電池の温度変化を迅速かつ正確に測定することができるため、温度変化に応じる二次電池の制御をより精密に行うことができる。また、二次電池の内部短絡及び異常発熱などが発生したとき、二次電池の内部温度が急上昇することをより速く感知することができるため、熱爆走現象による安全事故の被害を減少させることができる。
【0087】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0088】
さらに、本発明の説明にあたって、
図8などに示した本発明の二次電池モジュール20の各構成は、物理的に区分される構成要素よりは論理的に区分される構成要素として理解すべきである。
【0089】
即ち、それぞれの構成は、本発明の技術思想を実現するための論理的な構成要素に該当するため、それぞれの構成要素が統合または分離して実施されるとしても、本発明の論理構成が行う機能が実現可能であれば、本発明の範囲内にあると解釈されるべきであり、同一または類似の機能を行う構成要素であれば、その名称上の整合性の如何とは係わらず、本発明の範囲内にあると解釈すべきことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0090】
10 二次電池
20 二次電池モジュール
30 制御部
40 スイッチ部
100 セルアセンブリー
110 単位セル
111 正極板
112 分離フィルム
113 負極板
115 巻取フィルム
121 正極タブ
122 負極タブ
131 正極リード
132 負極リード
140 温度センサー
141 温度感知部
142 センサーリード
150 絶縁フィルム
160 絶縁テープ
170 電池ケース
171 周縁部
P 非コーティング部通路