(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メタクリル酸エステル単量体を水性媒体中で懸濁重合してメタクリル酸エステル重合体を製造する方法であって、水、メタクリル酸エステル単量体、遷移金属キレート錯体及び非ラジカル重合性の酸を含有するpHが1〜5である水性懸濁液を調製し、その後、メタクリル酸エステル単量体を重合する、メタクリル酸エステル重合体の製造方法。
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1分子あたり4〜6個のアルキレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及び1分子あたり3〜6個のアルキレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む請求項4〜8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いる成分として、ウレタンアクリレートよりも硬度の高いメタクリル酸エステル重合体を用いることが考えられる。この場合には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度及び重合収縮による反りの観点から、質量平均分子量が3000〜30000程度の低分子量のメタクリル酸エステル重合体を用いることが考えられる。しかしながら、低分子量のメタクリル酸エステル重合体を用いると、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の硬度が低下し脆くなってしまうという問題が生じる。そこで本発明の第1の課題は、反りが小さく(以下、「低反り性」という。)、かつ、硬度が高い硬化物を得ることができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
また、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を金属の保護被膜材料やブルーレイディスク等の光記録媒体の光透過層の材料として用いる場合には、高温高湿の環境下で腐食しないことが求められる。そこで本発明の第2の課題は、高温高湿の環境下で金属を腐食させない活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
これら第1の課題及び第2の課題を解決するために、末端に反応性二重結合を持つ低分子量のメタクリル酸エステル重合体を用いることが有用であるが、特許文献1〜3に記載の末端に反応性二重結合を持つ低分子量のメタクリル酸エステル重合体は、黄色に着色し、用途によっては使用できないという問題も生じる。そこで本発明の第3の課題は、末端に反応性二重結合を持つメタクリル酸エステル重合体であって着色の少ないメタクリル酸エステル重合体を提供することにある。
さらに本発明の第4の課題は、末端に反応性二重結合を持つメタクリル酸エステル重合体であって着色の少ないメタクリル酸エステル重合体を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、下記の発明[1]〜[15]により解決することができる。
発明[1]:酸価が50mgKOH/g以下であり、遷移金属含有量が1ppm以下であるメタクリル酸エステル重合体であって、式(1)で示される末端二重結合構造を持つ重合体を80モル%以上含有するメタクリル酸エステル重合体。
【化1】
(1)
(式(1)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示す。)
発明[2]:質量平均分子量が3000〜30000である発明[1]に記載のメタクリル酸エステル重合体。
発明[3]:イエローインデックス(YI)値が5以下である発明[1]または[2]に記載のメタクリル酸エステル重合体。
発明[4]:メタクリル酸エステル単量体を水性媒体中で懸濁重合してメタクリル酸エステル重合体を製造する方法であって、水、メタクリル酸エステル単量体、遷移金属キレート錯体及び非ラジカル重合性の酸を含有するpHが1〜5である水性懸濁液を調製し、その後、メタクリル酸エステル単量体を重合する、メタクリル酸エステル重合体の製造方法。
発明[5]:遷移金属キレート錯体が、コバルトイオンを含み、かつ配位子として窒素含有配位子および/または酸素含有配位子を有するコバルト錯体である発明[4]に記載のメタクリル酸エステル重合体の製造方法。
発明[6]:遷移金属キレート錯体が、式(2)〜(7)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属器レート錯体である発明[5]に記載のメタクリル酸エステル重合体の製造方法。
【化2】
(2)
(式(2)において、R
1〜R
4はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、XはH、BF
2、BCl
2、BBr
2又はB(Y)
2であり、ここにおいてYはOH基、炭素1〜12個のアルコキシ基、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基及び炭素原子6〜12個のアリール基から選択される置換基である。)
【化3】
(3)
(式(3)において、R
5〜R
8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。R
9はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素原子1〜4のアルキル基を表す。)
【化4】
(4)
(式(4)において、R
10〜R
13はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。R
14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子1〜4のアルキル基である。XはH、BF
2、BCl
2、BBr
2又はB(Y)
2であり、ここにおいてYはOH基、炭素1〜12個のアルコキシ基、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基及び炭素原子6〜12個のアリール基から選択される置換基である。)
【化5】
(5)
(式(5)において、R
14〜R
17はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。R
18は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。XはH、BF
2、BCl
2、BBr
2又はB(Y)
2であり、ここにおいてYはOH基、炭素1〜12個のアルコキシ基、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基及び炭素原子6〜12個のアリール基から選択される置換基である。)
【化6】
(6)
(式(6)において、R
19は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。R
20およびR
21はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、酸素原子またはNH基を表す。)
【化7】
(7)
(式(7)において、R
22〜R
25はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。R
26は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。R
27およびR
28はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、酸素原子またはNH基を表す。)
発明[7]:酸価が50mgKOH/g以下であり、遷移金属含有量が1ppm以下であるメタクリル酸エステル重合体であって、式(1)で示される末端二重結合構造を持つ重合体を80モル%以上含有するメタクリル酸エステル重合体5〜50質量%および1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物50〜95質量%を含む樹脂組成物100質量部、並びに光重合開始剤1〜20質量部を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【化8】
(1)
(式(1)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示す。)
発明[8]:酸価が50mgKOH/g以下であり、質量平均分子量が3000〜30000であるメタクリル酸エステル重合体5〜50質量%および1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物50〜95質量%を含む樹脂組成物100質量部、並びに光重合開始剤1〜20質量部を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、有機溶剤の含有量が1質量%以下である活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
発明[9]:メタクリル酸エステル重合体が、式(1)で示される末端二重結合構造を持つ重合体を80モル%以上含有する発明[8]に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【化9】
(1)
(式(1)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示す。)
発明[10]:1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、1分子内に2個または3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である発明[7]〜[9]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
発明[11]:ラジカル重合性化合物が、更に1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む発明[7]〜[10]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
発明[12]:メタクリル酸エステル重合体のガラス転移温度が50℃以上である発明[7]〜[11]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
発明[13]:1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1分子あたり4〜6個のアルキレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及び1分子あたり3〜6個のアルキレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む発明[7]〜[12]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
発明[14]:発明[7]〜[13]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層を金属上に有する物品。
発明[15]:発明[7]〜[13]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層を有する光記録媒体。
【発明の効果】
【0007】
本発明のメタクリル酸エステル重合体を用いることにより、低反り性で硬度が高く、かつ、低腐食性の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明のメタクリル酸エステル重合体は、着色が少ないため、着色の少ないことが要求される用途に好適である。
また、本発明のメタクリル酸エステル重合体は、遷移金属量が1ppm以下であるため、金属の不純物が少ないことが要求される用途に好適である。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、塗料、インキ用途、特に、高固形分の有機溶剤型塗料用樹脂、無用剤型塗料用樹脂、光硬化型塗料用樹脂、粉体塗料用樹脂、低VOC対策としての環境配慮型塗料、さらには上記用途の透明部材、自動車透明部材、ディスプレイ用透明部材等に適応可能である。
特に、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることにより、低反り性で硬度が高く、かつ腐食性の低い硬化物を得ることができるため、金属の保護被膜材料やブルーレイディスク等の光記録媒体の光透過層の材料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
<メタクリル酸エステル重合体>
【0009】
まず、発明[1]〜[3]について説明する。
本発明のメタクリル酸エステル重合体の酸価は、50mgKOH/g以下である。酸価が50mgKOH/g以下の場合に、金属の腐食性を低減することができ、例えば、光記録媒体の光透過層に用いた場合に、反射層の腐食性を低減することができる。酸価の上限値は、特に制限されないが、30mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以下がより好ましく、1mgKOH/g以下が特に好ましい。
本発明のメタクリル酸エステル重合体の遷移金属含有量は1ppm以下である。遷移金属含有量が1ppm以下の場合に、メタクリル酸エステル重合体の着色(黄色)を低減することができる。遷移金属含有量の上限値は、0.8ppm以下がより好ましく、0.6ppm以下がさらに好ましい。
【0010】
本発明のメタクリル酸エステル重合体は、式(1)で示される末端構造を有する重合体をメタクリル酸エステル重合体全量中80モル%以上含有する。式(1)で示される末端構造を有する分子の含有量が80モル%以上である場合に、活性エネルギー線硬化型組成物に配合した場合、硬化時にメタクリル酸エステル重合体がさらに高分子量化して、塗膜の強度が向上する。
【0011】
【化10】
(1)
式(1)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示す。また、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、エポキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、及びアミノ基等を有する置換基で置換されていてもよい。
アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数1〜20のシクロアルキル基が好ましい。例えば、シクロヘキシル基、イソボルニル基が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。例えば、ベンジル基、フェニル基が挙げられる。
また、Rが表すアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基の置換基としては、例えば、グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
Rは、中でも、メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、イソボルニル基が好ましく、特に、メチル基が好ましい。
【0012】
本発明のメタクリル酸エステル重合体の質量平均分子量は、特に制限されないが、3000〜30000が好ましい。質量平均分子量が3000以上の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の硬度や強度が良好となる傾向にあり、また、質量平均分子量が30000以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度が低くなり、作業性が良好となる傾向にある。質量平均分子量の上限値は、20000以下が特に好ましい。
【0013】
本発明のメタクリル酸エステル重合体のイエローインデックス(YI)値は、特に制限されないが、5以下が好ましい。YI値が5以下の場合に、メタクリル酸エステル重合体を用いて得られる成型品や活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の着色が低減する傾向にある。YI値の上限値は、4.5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。
なお、YI値は、メタクリル酸エステル重合体2.0gをクロロホルム10mLに溶解した溶液の分光光線透過率を380nm〜780nmにおいて測定し、JIS K7105記載の下式によって算出したものである。
イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
【0014】
本発明のメタクリル酸エステル重合体は、メタクリル酸エステル単量体単位を50モル%以上含有する重合体である。メタクリル酸エステル単量体単位の原料となる単量体としては、特に制限されないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸n−ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸グリセロール等の水酸基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
【0015】
これらの中では、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニルが好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
また、50モル%未満の範囲で、アクリル酸エステル単量体、アクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体等、他の共重合可能な単量体を必要に応じて用いることができる。
【0016】
<メタクリル酸エステル重合体の製造方法>
次に、発明[4]〜[6]について説明する。
本発明の式(1)で表される末端構造を有する重合体を有するメタクリル酸エステルは、例えば、Caioliら(P. Cacioli, D. G. Hawthorne, E. Rizzardo, R. L. Laslett,D.HSolomon, J. Macromol. Sci. Chem., A23(7), p839(1986))により報告されている方法により製造することができる。例えば、連鎖移動剤(遷移金属キレート錯体)存在下にメチルメタクリレートをラジカル重合してビニリデン型の末端二重結合を有するポリMMAマクロモノマーを合成して製造してもよく、マクロマーを合成せずに直接重合してもよい。
本発明のメタクリル酸エステル重合体の製造方法は、特に制限されず、懸濁重合、溶液重合、バルク重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いることができる。
中でも、懸濁重合法は、本発明のメタクリル酸エステル重合体を効率よく製造することができるため、好ましい。
以下に、懸濁重合法によるメタクリル酸エステル重合体の製造方法の例を示す。まず、分散剤を含む水にメタクリル酸エステル単量体、連鎖移動剤、重合開始剤を添加し、水性懸濁液を調製し、水性懸濁液を昇温して重合反応を開始させ、懸濁重合を行う。重合が終了した後、水性懸濁液を濾過、洗浄、脱水、乾燥して、メタクリル酸エステル重合体を得る。得られるメタクリル酸エステル重合体は、固形粒子である。
【0017】
分散剤
分散剤としては、特に制限されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸メチルの共重合物のアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコール、メチルセルロース等各種分散剤が使用できる。分散剤の含有量としては、特に制限されないが、水性懸濁液中0.001〜5質量%であることが好ましい。分散剤の含有量が0.005質量%以上の場合に、懸濁重合液の分散安定性が良好となる傾向にあり、得られるメタクリル酸エステル重合体の洗浄性、脱水性、乾燥性及び流動性が良好となる傾向にある。また、分散剤の含有量が5質量%以下の場合に、重合時の泡立ちが少なく、重合安定性が良好となる傾向にある。分散剤の含有量の下限値は0.005質量%以上であることがより好ましく、また、分散剤の含有量の上限値は1質量%以下であることがより好ましい。なお、水性懸濁液の分散安定性向上を目的として、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等の電解質を併用してもよい。
【0018】
メタクリル酸エステル単量体
メタクリル酸エステル単量体としては、前述のメタクリル酸エステル単量体を用いることができ、50モル%未満の範囲で、前述の他の共重合可能な単量体を用いることもできる。
【0019】
連鎖移動剤(遷移金属キレート錯体)
連鎖移動剤としては、遷移金属キレート錯体を用いることが好ましい。遷移金属キレート錯体としては、特に制限されないが、例えば、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Tc(テクネチウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジウム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)及びAu(金)等の遷移金属のキレート錯体が挙げられる。これらの中では、連鎖移動剤としての活性の観点から、Rh(ロジウム)キレート錯体、Cr(クロム)キレート錯体、Co(コバルト)キレート錯体がより好ましく、Co(コバルト)キレート錯体が特に好ましい。
【0020】
中でも、遷移金属キレート錯体が、コバルトイオンを含み、かつ配位子として窒素含有配位子および/または酸素含有配位子を有するコバルト錯体であることが好ましい。コバルトイオンに配位する窒素含有配位子としては、たとえばアミド基、アミノ基、イミノ基、オキシメート基、ピリジル基、アゾ基等の窒素含有官能基を有する配位子が挙げられる。これらの官能基は、1種類の配位子に対して2つ以上有していてもよい。コバルトイオンに配位する酸素含有配位子としては、たとえばヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基等の酸素含有官能基を有する配位子が挙げられる。これらの官能基は、1種類の配位子に対して2つ以上有していてもよい。
【0021】
具体的なコバルト錯体の構造としては、例えば、式(2)−(7)に示すコバルト錯体を挙げられ、その他にも、例えば、特許第3587530号公報、特公平6−23209号公報、特公平7−35411号公報、米国特許第45269945号公報、米国特許第4694054、米国特許第4837326号公報、米国特許第4886861号公報、米国特許第5324879号公報、WO95/17435号公報、特表平9−510499号公報等に記載されている錯体を使用することができる。
【0023】
式(2)において、R
1〜R
4はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基がより好ましい。アリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0024】
Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、XはH、BF
2、BCl
2、BBr
2又はB(Y)
2であり、ここにおいてYはOH基、炭素1〜12個のアルコキシ基、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基及び炭素原子6〜12個のアリール基から選択される置換基である。Xとしては、BF
2又はB(Y)
2が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基がより好ましい。アリール基及びアリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0026】
式(3)において、R
5〜R
8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。アリール基及びアリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基が好ましい。
R
9はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素原子1〜4のアルキル基を表す。
【0028】
式(4)において、R
10〜R
13はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基が好ましい。アリール基及びアリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。
R
14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子1〜4のアルキル基である。
【0029】
XはH、BF
2、BCl
2、BBr
2又はB(Y)
2であり、ここにおいてYはOH基、炭素1〜12個のアルコキシ基、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基及び炭素原子6〜12個のアリール基から選択される置換基である。Xとしては、BF
2又はB(Y)
2が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基が好ましい。アリール基及びアリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0031】
式(5)において、R
14〜R
17はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。アリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基が好ましい。
R
18は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。
【0032】
XはH、BF
2、BCl
2、BBr
2又はB(Y)
2であり、ここにおいてYはOH基、炭素1〜12個のアルコキシ基、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基及び炭素原子6〜12個のアリール基から選択される置換基である。Xとしては、BF
2又はB(Y)
2が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基が好ましい。アリール基及びアリールオキシ基におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0033】
【化15】
(6)
式(6)において、R
19は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。R
20およびR
21はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、酸素原子またはNH基を表す。
【0034】
【化16】
(7)
式(7)において、R
22〜R
25はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子6〜12個のアリールオキシ基、炭素原子1〜12個のアルキル基または炭素原子6〜12個のアリール基を表す。アリールオキシ基又はアリール基におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6個のアルキル基が好ましい。
R
26は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。
R
27およびR
28はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、酸素原子またはNH基を表す。
【0035】
なお、式(2)〜(7)に示す連鎖移動剤以外にも、連鎖移動剤として機能する化合物として公知の遷移金属キレート錯体を連鎖異動剤として使用することができる。
本発明の製造方法において使用する連鎖移動剤は、特に低分子のビニル系重合体を得る観点から式(2)〜(7)で表される遷移金属キレート錯体であることが好ましく、中でも式(2)で表される遷移金属キレート錯体が好ましい。特に、式(2)においてR
1〜R
4が炭素原子6〜12のアリール基であり、XがBF
2又はB(Y)
2である遷移金属キレート錯体が好ましい。
【0036】
遷移金属キレート錯体の使用量は、特に制限されないが、メタクリル酸エステル単量体100質量部に対して0.0005〜0.02質量部が好ましい。この使用量が0.0005質量部以上の場合に、低分子量の重合体が得られる傾向にあり、0.02以下の場合に重合の制御が容易となる傾向にある。金属キレート錯体の使用の下限値は、0.001質量部がより好ましく、0.005質量部が特に好ましい。特に、金属キレート錯体の使用量が0.005質量部以上の場合に、得られるメタクリル酸エステル重合体が黄色に着色する傾向にあるが、以下に述べるように、水性懸濁液のpHを制御することによってメタクリル酸エステル重合体の着色を防止することができる傾向にある。
【0037】
水性懸濁液のpH
本発明においては、水性懸濁液のpHを1〜5に調整し、その後にビニル系単量体の重合を開始することが好ましい。pHが1以上の場合に、得られる固形粒子の形状及び粒子径が均一となる傾向にある。また、pHが5以下の場合に、メタクリル酸エステル重合体が着色しない傾向にある。pHの下限値は2以上がより好ましい。
水性懸濁液のpHを1〜5に調整するためのpH調整剤としては、分子内に炭素−炭素不飽和結合などのラジカル重合性官能基を持たない、非ラジカル重合性の酸であることが好ましい。非ラジカル重合性の酸を用いた場合に、得られるメタクリル酸エステル重合体の腐食性が良好となる傾向にある。
【0038】
非ラジカル重合性の酸としては、ラジカル重合に対して不活性であれば特に制限されないが、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸;及びギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、安息香酸、アスコルビン酸などの有機酸が挙げられる。
これらの中でも、酢酸、プロパン酸及びヒドロキシ酢酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0039】
重合開始剤
重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルヒドロペルオキシド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、メタクリル酸エステル単量体100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましい。重合開始剤の使用量が0.05質量部以上の場合にメタクリル酸エステル単量体の重合速度が向上し、比較的短時間でメタクリル酸エステル重合体を製造することが可能となる傾向にある。また、重合開始剤の使用量が10質量部以下の場合に、重合発熱が緩和され、重合温度制御が容易となる傾向にある。重合開始剤の使用量の下限値は0.1質量部以上がより好ましく、また、重合開始剤の使用量の上限値は5質量部以下がより好ましい。
【0040】
重合温度は、特に制限されないが、50〜130℃であることが好ましい。重合温度が50℃以上の場合に比較的短時間で重合を完了させることができる傾向にあり、また、懸濁重合時に分散安定性が良好となる傾向にある。また、重合温度が130℃以下である場合に、重合発熱が緩和され、重合温度制御が容易となる傾向にある。重合温度の下限値は、60℃以上がより好ましく、70℃以上が特に好ましい。また、重合温度の上限値は、100℃以下がより好ましい。
重合時間は、特に制限されないが、0.5〜10時間が好ましい。
【0041】
<活性エネルギー線硬化型樹脂組成物>
次に、発明[7]及び発明[10]〜[13]について説明する。
発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、酸価が50mgKOH/g以下であり、遷移金属含有量が1ppm以下であるメタクリル酸エステル重合体であって、前記式(1)で示される末端二重結合構造をもつ重合体を80モル%以上含有するメタクリル酸エステル重合体(以下、発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体という。)を含有する。
【0042】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量は、後述する1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物の含有量と発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量の合計量100質量%に対して、5〜50質量%である。
【0043】
この含有量が5質量%以上の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化収縮が小さくなり、低反り性を向上させることができる傾向にある。また、この含有量が50質量%以下の場合に、塗装性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は、10質量%以上より好ましい。この含有量の上限値は、45質量%以下がより好ましい。
【0044】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の酸価は、50mgKOH/g以下である。酸価が50mgKOH/g以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の金属腐食性を低下させることができる。酸価の上限値は、30mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH以下がより好ましく、1mgKOH/g以下が特に好ましい。
【0045】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の遷移金属含有量は1ppm以下である。遷移金属含有量が1ppm以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の着色(黄色)を低減することができる。遷移金属含有量の上限値は、0.8ppm以下がより好ましく、0.6ppm以下がさらに好ましい。
【0046】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体は、式(1)で示される末端構造を有する重合体をメタクリル酸エステル重合体全量中80モル%以上含有する。式(1)で示される末端構造を有する分子の含有量が80モル%以上である場合に、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物の強度が向上する。
【0047】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の質量平均分子量は、特に制限されないが、3000〜30000が好ましい。質量平均分子量が3000以上の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の硬度や強度が良好となる傾向にあり、また、質量平均分子量が30000以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度が低くなり、作業性が良好となる傾向にある。質量平均分子量の上限値は、25000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましく、15000以下が特に好ましい。
【0048】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体のYI値は、特に制限されないが、5以下が好ましい。YI値が5以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の着色が低減する傾向にある。YI値の上限値は、4.5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、3.5以下が特に好ましい。
【0049】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体のガラス転移温度は、特に制限されないが、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物の耐高温高湿性の観点から、50℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度の下限値は、55℃以上がより好ましい。
【0050】
発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体は、メタクリル酸エステル単量体単位を50モル%以上含有する重合体である。メタクリル酸エステル単量体単位の原料となる単量体としては、特に制限されないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸n−ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸グリセロール等の水酸基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
【0051】
また、50モル%未満の範囲で、アクリル酸エステル単量体、アクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体等、他の共重合可能な単量体を原料とする単量体単位を含有してもよい。
【0052】
発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物を含有する。なお、ラジカル重合性化合物とは、ラジカルにより重合反応を起こす化合物である。
【0053】
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物の含有量は、発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量と1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物の含有量の合計量100質量%に対して、50〜95質量%である。
この含有量が50質量%以上の場合に、塗装性が良好となる傾向にある。この含有量が95質量%以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化収縮が小さくなり、低反り性を向上させることができる。この含有量の下限値は、55質量%以上がより好ましい。この含有量の上限値は90質量%以下がより好ましい。
【0054】
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物を架橋させる成分であり、硬化物の硬度を高める成分である。また、硬化物のシワなどの外観異常を抑制する成分である。
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、低反り性の観点から、1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は6個以下が好ましく、3個以下がより好ましい。
【0055】
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、特に制限されないが、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、エチレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは一種を単独で用いることもでき、二種以上を併用することもできる。
【0056】
これらの中では、1分子内に2個又は3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましく、硬度及び低反り性のバランスの観点から、1分子あたり4〜6個のアルキレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1分子あたり3〜6個のアルキレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく、1分子あたり4〜6個のエチレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1分子あたり4〜6個のプロピレンオキサイドで変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1分子あたり3〜6個のエチレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び1分子あたり3〜6個のプロピレンオキサイドで変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0057】
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は、1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物の含有量と発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量の合計量100質量%に対して、20〜90質量%の範囲内が好ましい。この含有量が20質量%以上の場合に、硬化物の硬度及び硬化物の外観(平滑性)が良好となる傾向にあり、この含有量が90質量%以下の場合に、硬化物の低反り性がより良好となる傾向にある。この含有量の下限値は25質量%以上がより好ましく、またこの含有量の上限値は70質量%以下がより好ましい。
【0058】
ラジカル重合性化合物は、1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を必須成分として含有するものであるが、必要に応じて、更に1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含んでもよい。
【0059】
特に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗工性の面から、ラジカル重合性化合物は1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を希釈成分として含有することが好ましい。1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0060】
これらの中でも、希釈性の観点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物が1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する場合には、1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物の含有量と発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量の合計量100質量%に対して、10〜50質量%の範囲内が好ましい。この含有量が10質量%以上の場合に硬化物の低反り性がより良好となる傾向にあり、この含有量が50質量%以下の場合に硬化物の硬度及び硬化物の外観(平滑性)が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は20質量%以上がより好ましく、またこの含有量の上限値は40質量%以下がより好ましい。
【0062】
発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合性開始剤は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を活性エネルギー照射により効率よく硬化させるための成分である。
光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の空気雰囲気中での硬化性の観点から、発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量と1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物の含有量の合計量100質量部に対して、1〜20質量部である。この含有量が1質量部以上の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化性が良好となる。また、この含有量が20質量部以下の場合に、活性イエネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物が黄変しにくい。この含有量の下限値は3質量部以上がより好ましく、また上限値は10質量部以下がより好ましい。
【0063】
光重合開始剤としては、特に制限されないが、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン及びメチルベンゾイルホルメートが挙げられる。
これらの中では、樹脂組成物の硬化性及び硬化物の難黄変性の観点から、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンが好ましい。
【0064】
発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の成分、例えば、防汚剤、スリップ剤、密着付与剤、熱重合開始剤、酸化防止剤や光安定剤、光増感剤、熱可塑性樹脂、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機フィラー、有機フィラー及び表面有機化処理した無機フィラー等の公知の添加剤を含有してもよい。
【0065】
また、発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、有機溶剤を含んでいてもよいし、有機溶剤を含まない無用剤タイプの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物でもよい。発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が有機溶剤を含む場合には、有機溶剤の含有量は、発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物全量中、1質量%以下であることが好ましい。有機溶剤の含有量が1質量%以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の生産性が良好となる傾向にある。有機溶剤の含有量は、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、有機溶剤を実質的に含まないことが特に好ましい。
【0066】
次に、発明[8]〜[13]について説明する。
発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、酸価が50mgKOH/g以下であり、質量平均分子量が3000〜30000であるメタクリル酸エステル重合体であるメタクリル酸エステル重合体(以下、発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体という。)を含有する。
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量は、前述した1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物の含有量と発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体の含有量の合計量100質量%に対して、5〜50質量%である。
この含有量が5質量%以上の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化収縮が小さくなり、低反り性を向上させることができる傾向にある。また、この含有量が50質量%以下の場合に、塗装性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は10質量%以上がより好ましく、この含有量の上限値は45質量%以下がより好ましい。
【0067】
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体の酸価は、50mgKOH/g以下である。酸価が50mgKOH/g以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の金属腐食性を低下させることができる。酸価の上限値は、30mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH以下がより好ましく、1mgKOH/g以下が特に好ましい。
【0068】
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体の質量平均分子量は、3000〜30000である。質量平均分子量が3000以上の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の硬度や強度が良好となり、また、質量平均分子量が30000以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度が低くなり、作業性が良好となる。質量平均分子量の上限値は、25000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、15000以下が特に好ましい。
【0069】
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体は、前述の式(1)で示される末端構造を有する重合体をメタクリル酸エステル重合体全量中80モル%以上含有することが好ましい。式(1)で示される末端構造を有する分子の含有量が80モル%以上である場合に、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物の強度が向上する傾向にある。
【0070】
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体のガラス転移温度は、特に制限されないが、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物の耐高温高湿性の観点から、50℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度の下限値は、55℃以上がより好ましい。
【0071】
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体の遷移金属含有量は、特に制限されないが、1ppm以下が好ましい。遷移金属含有量が1ppm以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の着色(黄色)を低減することができる傾向にある。遷移金属含有量の上限値は、0.8ppm以下が好ましく、0.6ppm以下が特に好ましい。
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体のYI値は、特に制限されないが、5以下が好ましい。YI値が5以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の着色が低減する傾向にある。YI値の上限値は、4.5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、3.5以下が特に好ましい。
【0072】
発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体は、メタクリル酸エステル単量体単位を50モル%以上含有する重合体である。メタクリル酸エステル単量体単位の原料となる単量体としては、特に制限されないが、発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体で例示したメタクリル酸エステル単量体が挙げられる。
また、発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体は、50モル%未満の範囲で、アクリル酸エステル単量体、アクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体等、他の共重合可能な単量体を原料とする単量体単位を含有してもよい。
発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むラジカル重合性化合物を含有する。
【0073】
なお、発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いるラジカル重合性化合物は、前述した発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いるラジカル重合性化合物と同じものを用いることができ、好ましい化合物も同じである。
【0074】
また、発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いるラジカル重合性化合物の含有量や好ましい含有量についても、前述した発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いるラジカル重合性化合物の含有量と同じであり、「発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体」を「発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体」と読み替えて含有量を考えればよい。
【0075】
発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いる光重合開始剤は、前述した発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いる光重合開始剤と同じものを用いることができ、好ましい化合物も同じである。
【0076】
また、発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いる光重合開始剤の含有量や好ましい含有量についても、前述した発明[7]及び発明[10]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いる光重合開始剤の含有量と同じであり、「発明[7]に用いるメタクリル酸エステル重合体」を「発明[8]に用いるメタクリル酸エステル重合体」と読み替えて含有量を考えればよい。
【0077】
発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、有機溶剤の含有量が1質量%以下である。有機溶剤の含有量が1質量%以下の場合に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の生産性が良好となる。有機溶剤の含有量は、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、有機溶剤を実質的に含まないことが特に好ましい。
【0078】
発明[8]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の成分、例えば、防汚剤、スリップ剤、密着付与剤、熱重合開始剤、酸化防止剤や光安定剤、光増感剤、熱可塑性樹脂、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機フィラー、有機フィラー及び表面有機化処理した無機フィラー等の公知の添加剤を含有してもよい。
他の成分の含有量は、特に制限されないが、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0079】
<活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層を金属上に有する物品>
次に、発明[14]について説明する。
発明[14]は、発明[7]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層を金属上に有する物品である。
発明[7]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、プラスチックなどに塗布することができるが、特に、金属上に塗布する場合に特に好適な材料である。なお、金属としては、金、銀、銅、鉄、パラジウム、インジウム、テルル、スズ、亜鉛、イットリウム、セリウム、アルミニウム、チタン、コバルト及びこれらの合金などが挙げられる。
金属上に塗布した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
【0080】
活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線及び可視光線が挙げられる。作業性及び硬化性の観点から紫外線が特に好ましい。紫外線を照射する光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、及びLEDランプなどが挙げられる。活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化性及び硬化物の耐摩耗性の観点から、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、作業性の観点から、スピンコート法、スプレーコート法、及びブラシコート法等の公知の塗工方法で塗工されることが好ましい。得られる塗膜の厚みは、硬化後に10〜300μmの厚みになるようにすることが好ましい。また、50〜150μmの厚みにすることがより好ましい。
【0081】
<活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層を有する光記録媒体>
最後に、発明[15]について説明する。
発明[15]は、発明[7]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層を有する光記録媒体である。
発明[7]〜[13]の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、その硬化物の反りが少なく、硬度が高いことから、各種物品の製造に好適に用いられ、特に光記録媒体の製造に好適に用いられる。光記録媒体では、光透過層もしくは保護層として利用できる。光記録媒体としてはブルーレイディスクなどが挙げられる。
【0082】
光記録媒体は、支持基体上に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有する構造を具備することができる。また、この光透過層を通して記録光又は再生光が入射して、情報記録面に情報を記録したり、情報記録面の情報を読み出したりできる。
【0083】
光記録媒体の支持基体としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック及びこれらの複合材料が挙げられる。特に、従来の光ディスク製造プロセスを利用できる点で、メチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が好適である。
【0084】
情報記録面の少なくとも一方の側に、情報記録面の保護やレーザー光の反射率を変化させるといった光学的効果を目的として、SiN、ZnS、及びSiO
2等の誘電体層を設けることができる。
【0085】
光透過層は前述の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物であって、その厚みは0.5〜300μmが好ましい。光透過層の厚みは1〜200μmが好ましく、1.5〜150μmがより好ましい。また、情報記録面上への記録及び再生のために波長400nm程度のレーザー光に対する透明性を有していることが好ましい。光透過層に気泡が存在すると読み取り又は書き込みエラーの原因となるため、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を予め真空、超音波振動若しくは遠心回転条件下、又はその組み合わせの条件下において、脱気することが好ましい。
【0086】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、作業性の観点から、支持基体単独又は支持基体上に金属等の無機物もしくは有機色素等の有機物の情報記録面が形成されたものに、スピンコート法、スプレーコート法、及びブラシコート法等の公知の塗工方法で塗工されることが好ましい。得られる塗膜の厚みは、硬化後に10〜300μmの厚みになるようにすることが好ましい。また、50〜150μmの厚みにすることがより好ましい。
【0087】
なお、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を光記録媒体の光透過層用に用いる場合には、ダストやゲル物等の異物の存在による読み取り又は書き込みエラーを防止するために、5μm以上、好ましくは1μm以上の異物を除去できるろ過フィルターを用いて、予めろ過することが好ましい。
【0088】
ろ過フィルターの素材としては、例えば、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン及びナイロンが挙げられる。
上記で得られた塗膜は、活性エネルギー線により硬化され、情報記録面上に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物からなる光透過層が形成され、光記録媒体が得られる。
上記の塗膜に活性エネルギー線を照射する雰囲気としては、空気中又は窒素、アルゴン等の不活性ガス中のいずれでもよいが、製造コストの点で空気中が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることで、硬度及び低反り性に優れた光透過層を有する光記録媒体が得られる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を表す。また、各物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
<メタクリル酸エステル重合体の末端構造>
メタクリル酸エステル重合体を重クロロホルムに溶解させ、Varian社製核磁気共鳴装置 UNITY INOVA 500 超伝導FT−NMR(商品名)を用いて、1H−NMR測定を行った。5.5及び6.2ppmに末端二重結合由来のピークを確認し、末端構造を同定した。
東ソー株式会社製HLC−8220GPC及びViscotek社製TriSEC302TDAを用いたGPC−LALLS測定により数平均絶対分子量を測定した。この数平均絶対分子量を、使用した単量体のモル比率で加重平均して得られる単量体の平均分子量で割ることで、数平均重合度を求めた。一方、超伝導FT−NMRから単量体ユニット単位に対する末端二重結合の比率(mol%)を求め、以下の式により末端二重結合量(モル%)を計算した。
末端二重結合量(モル%)=数平均重合度×末端二重結合の比率
【0090】
<メタクリル酸エステル重合体の酸価>
メタクリル酸エステル重合体をトルエンに溶解し、エタノール性KOH溶液にて、自動滴定装置COMTITE−550(沼産業装置製)を用いて測定した。
【0091】
<メタクリル酸エステル重合体の遷移金属含有量>
サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICP発光分析装置IRIS−AP(商品名)を用いて、遷移金属含有量を測定した。
【0092】
<メタクリル酸エステル重合体の質量平均分子量>
メタクリル酸エステル重合体の質量平均分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法により求めた。なお、標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算によって、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を求めた。
使用装置:東ソー株式会社製HLC−8320(商品名)
カラム:東ソー株式会社製のTSKgel SUPER H−4000(6.0mmφx150mm)(商品名)及びTSKgel SUPER H−2000(6.0mmφ x150mm)(商品名)を2本直列にして使用した。
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:40℃
試料:メタクリル酸エステル重合体のTHF溶液(濃度:0.2質量%)
標準ポリスチレン:東ソー株式会社製の以下の分子量のものを用いた。6200000、2800000、1110000、707000、354000、189000、98900、37200、9830、5870、500、340
【0093】
<メタクリル酸エステル重合体のガラス転移温度>
(株)リガク製高感度示差走査熱量計 ThermoplusEVOII/DSC8230(商品名)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から120℃まで昇温速度20℃/minで昇温してDSC曲線を得た。このDSC曲線の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状部分の曲線こう配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度(補外ガラス転移開始温度)をガラス転移温度とした。
【0094】
<水性懸濁液のpH>
(株)堀場製作所製カスタニーLAB pHメーター F−21IIを用いて、水性懸濁液のpHを測定した。
【0095】
<メタクリル酸エステル重合体の着色度>
メタクリル酸エステル重合体約2.0gをクロロホルム10mLに溶解した溶液の、380nm−780nmにおける分光光線透過率を(株)日立ハイテクフィールディング製U−3300(商品名)を用いて測定し、イエローインデックス(YI)を算出した。三刺激値X、Y、Zにもとづいて、JIS K7105記載の下式によって算出した。なお、YIの数値が高いほど、黄色度(黄色み、着色度合い)が高いことを表している。
イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
【0096】
<光記録モデル媒体の仮反り性>
dr.schwab InspectionTechnology GmbH社製のIOPC blu Tilt−scanner(商品名)を用いて、23℃、相対湿度50%環境下にて、光記録モデル媒体の反り角を測定した。尚、反り角とは、光記録媒体の中心から48mm位置におけるRadial Tiltを意味する。低反り性の判定基準は以下の通りである。
【0097】
<光記録モデル媒体の硬化物層の硬度>
フィッシャースコープ社製のFischerscope HM2000(商品名)を用いて、光記録モデル媒体の硬化物層のマルテンス硬さを、ISO14577に準じて測定した。なお、圧子としては、ダイヤモンド製の四角錐型、対面角135度のものを使用した。具体的には、圧子を硬化物に対しdF/dt
2(F=荷重、t=経過時間)が一定となるよう10秒間で50mNまで加重し、次いで5秒間クリープさせ、その後加重時と同じ条件で除重させた。
【0098】
<光記録モデル媒体の耐高温高湿性(耐腐食性)>
光記録モデル媒体を、80℃、相対湿度85%の環境下に100時間静置した後、銀合金反射膜及び活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物の外観を目視にて確認した。耐高温高湿性の判定基準は以下の通りである。
○:銀合金反射膜上に腐食が見られなかった。
×:銀合金反射膜上に腐食が見られた。
【0099】
〔製造例1〕分散剤1の製造
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
【0100】
〔製造例2〕連鎖移動剤1(遷移金属キレート錯体)の製造
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(Co(OC(=O)CH
3)
2・4H
2O)2.00g(8.03mmol)およびジフェニルグリオキシム3.86g(16.1mmol)及びあらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。ついで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体20mlを加え、さらに6時間攪拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、20℃、100Mpa以下の真空条件で約12時間乾燥し、茶褐色固体である連鎖移動剤1(式(1)において、R
1〜R
4がフェニル基であり、XがBF
2で示される化合物)を収量5.02g(7.93mmol、収率99%)で得た。
【0101】
〔製造例3〕ウレタンアクリレート(UA)の製造
攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製デスモジュールI(商品名):加水分解塩素量60ppm)1112g(10モル当量)及びジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んで、ウオーターバスで内温が70℃になるように加熱した。
ついで、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロピルアミド193g(2.4モル当量)とポリブチレングリコール(n=12;数平均分子量:850)1105g(2.6モル当量)を均一に混合溶解させた液を側管付きの滴下ロートに仕込み、フラスコ中の内容物を攪拌しながら、この滴下ロートの内容物を滴下した。なお、フラスコ内温を65〜75℃に保ちながら、滴下ロートの内容物を4時間かけて等速で滴下し、滴下終了後、同温度で2時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に下げた後、別の滴下ロートを用いて、2−ヒドロキシエチルアクリレート581g(5モル当量)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.5gを均一に混合溶解させた液をフラスコ内温を55〜65℃に保ちながら、2時間かけて等速で滴下した。滴下終了後、フラスコ内容物の温度を昇温し、75〜85℃で4時間反応させて、2官能のウレタンアクリレート(以下、「UA」という。)を製造した。
【0102】
〔実施例1〕
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水200部、硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)0.13部及び製造例1で製造した分散剤1(固形分10質量%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。この水溶液へ、pH=2.4となるようにpH調整剤として酢酸(CH
3COOH)を滴下した。
次に、メチルメタクリレートを100部、製造例2で製造した連鎖移動剤1を0.0065部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.7部を加え、水性懸濁液とした。水性懸濁液のpHを測定したところ、2.4であった。
次に、重合装置内を十分に窒素置換し、80℃に昇温して約2時間反応し、さらに重合率を上げるため、後処理温度として92℃に昇温して30分間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、メタクリル酸エステル重合体を含む水性懸濁液を得た。
この水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、メタクリル酸エステル重合体(AP−1)を得た。
メタクリル酸エステル重合体(AP−1)の酸価は0.5mgKOH/gであり、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により算出したポリスチレン換算分子量は、Mn=3,700、Mw=11,100であり、ガラス転移温度は93℃であり、YIは2.7であった。
【0103】
〔実施例2〜4〕
水性懸濁液のpHを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、メタクリル酸エステル重合体(AP−2)〜(AP−4)を製造した。得られたメタクリル酸エステル重合体の評価結果を表1に示す。
【0104】
〔比較例1〕
pH調整剤として酢酸を滴下しないこと以外は、実施例1と同様の方法で、メタクリル酸エステル重合体(AP−5)を製造した。得られたメタクリル酸エステル重合体の評価結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
表1からわかるように、水性懸濁液のpHを1〜5の範囲に調整した後に重合を開始した場合には、Mwが3900〜11100と低く、かつYIが2.2〜3.4であり、着色の低い重合体が得られた(実施例1〜4)。
一方、水性懸濁液のpHを1〜5の範囲に調整することなく、pHが7.3のままで重合を開始した場合には、Mwは5100と低分子量であったが、YIが8.3と高く、黄色に着色していた(比較例1)。
【0106】
〔実施例5〕
表2に示す配合割合で各原料を混合し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
ポリカーボネート樹脂製光ディスク支持基体(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)の片面に、Ag
98Pd
1Cu
1(原子比)合金を膜厚20nmとなるようにスパッタリング法にて製膜し、鏡面に銀合金反射膜を有する評価用光ディスク基板(反り角0度)を得た。
得られた評価用光ディスク基板の銀合金反射膜上に、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、空気中、雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境下、スピンコーターを用いて塗工した。さらに、塗工面の上方より、高圧水銀灯を用いて、積算光量1500mJ/cm
2のエネルギー量(UV光量計、UV−351SN型、(株)オーク製作所製にて測定)で紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて、平均膜厚が100μmの硬化物層を有する評価用光記録モデル媒体を得た。評価結果を表2に示す。
【0107】
〔実施例6〜14〕
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物として、表2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いること以外は、実施例5と同様の方法で評価用光記録モデル媒体を得た。評価結果を表2に示す。
【0108】
〔比較例2〕
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物として、表2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いること以外は、実施例5と同様の方法で評価用光記録モデル媒体を得た。評価結果を表2に示す。
比較例2は、メタクリル酸エステル重合体を用いずにウレタンアクリレートを用いているため、低反り性は良好であるものの、硬度が不良であった。
【0109】
〔比較例3〕
メチルメタクリレート100部を、メチルメタクリレート92部及びメタクリル酸8部からなる混合物に変更すること以外は、比較例1と同様の方法でメタクリル酸エステル重合体(AP−6)を製造した。
メタクリル酸エステル重合体として、(AP−2)の代わりに(AP−6)を用いること以外は、実施例5と同様の方法で評価用光記録モデル媒体を得た。評価結果を表2に示す。
比較例3は、酸価が52.1mgKOH/gであるメタクリル酸エステル重合体(AP−6)を用いているため、耐高温高湿性(腐食性)が不良であった。
【0110】
【表2】
なお、表2中の略号は、以下の化合物を示す。
FA324A:ジ(メタ)アクリロイルポリエトキシレーテッドビスフェノールA、{商品名:ファンクリルFA−324A、日立化成工業(株)製}。
FAP324A:ジ(メタ)アクリロイルポリプロポキレーテッドビスフェノールA、{商品名:ファンクリルFAP−324A、日立化成工業(株)製}。
TMP3P:1分子あたり3個のプロピレンオキサイドにより変性されたトリメチロールプロパントリアクリレート、{商品名:ニューフロンティアTMP−3P、第一工業製薬(株)製}。
FA220:ポリエチレングリコールジアクリレート、{商品名:ファンクリルFA−220、日立化成工業(株)製}。
TCDDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、{商品名:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学(株)}。
R604:ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、{商品名:カヤラッドR−604、日本化薬(株)製}。
TMP6E:1分子あたり6個のエチレンオキサイドにより変性されたトリメチロールプロパントリアクリレート、{商品名:アロニックスM−360、東亞合成(株)製}。
UA:製造例6で得た2官能ウレタンアクリレート。
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート{商品名:ビスコート#150、大阪有機化学工業(株)製}。
PEA:フェノキシエチルアクリレート{商品名:ニューフロンティアPHE、第一工業製薬(株)製}。
MEDA:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート{商品名:MEDOL−10、大阪有機化学工業(株)製}。
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン。
APMA:2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート{商品名:カヤマーPM−2、日本化薬(株)製}。なお、APMAは金属への密着付与剤である。