特許第6047888号(P6047888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6047888半導体用接着剤及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047888
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】半導体用接着剤及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20161212BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20161212BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20161212BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161212BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20161212BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20161212BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20161212BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   C09J163/00
   H01L23/30 R
   H01L21/60 311S
   C09J11/06
   C09J11/04
   C09J201/00
   C09J7/00
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-38547(P2012-38547)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-173834(P2013-173834A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 一尊
(72)【発明者】
【氏名】永井 朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−149111(JP,A)
【文献】 特開2012−206886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
グリシジル基を有する化合物で表面処理されたグリシジル系表面処理フィラーと、
下記式(1)で表される基を有する化合物で表面処理されたアクリル系表面処理フィラーと、を含有し、形状が、フィルム状である、半導体用接着剤。
【化1】

[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示す。]
【請求項2】
前記式(1)で表される基を有する化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の半導体用接着剤。
【化2】

[式(2)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rはアルキル基を示す。]
【請求項3】
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
グリシジル基を含有する基を有するフィラーと、
下記式(1)で表される基を有するフィラーと、
を含有し、形状が、フィルム状である、半導体用接着剤。
【化3】

[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示す。]
【請求項4】
前記グリシジル基を含有する基が、下記式(3)又は(4)で表される基である、請求項3に記載の半導体用接着剤。
【化4】

【化5】

[式(3)及び(4)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。]
【請求項5】
重量平均分子量10000以上の高分子成分を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項6】
前記高分子成分の重量平均分子量が30000以上であり、ガラス転移温度が120℃以下である、請求項5に記載の半導体用接着剤。
【請求項7】
フラックス剤を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項8】
半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置であって、
前記接続部の少なくとも一部を、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体用接着剤を用いて封止する工程を備える、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用接着剤、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップと基板を接続するには、金ワイヤなどの金属細線を用いるワイヤーボンディング方式が広く適用されている。一方、半導体装置に対する小型化、薄型化、高機能化、高集積化、高速化等の要求に対応するため、半導体チップ又は基板にバンプと呼ばれる導電性突起を形成して、半導体チップと基板間で直接接続するフリップチップ接続方式(FC接続方式)が広まりつつある。
【0003】
例えば、基板と半導体チップ間の接続においては、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)等に盛んに用いられているCOB(Chip On Board)型の接続方式もFC接続方式である。また、FC接続方式は、半導体チップ上にバンプ又は配線を形成して、半導体チップ間で接続するCOC(Chip On Chip)型接続方式にも広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、更なる小型化、薄型化、高機能化の要求に対応するため、上述した接続方式を積層・多段化したチップスタック型パッケージやPOP(Package On Package)、TSV(Through−Silicon Via)等も広く普及し始めている。このような積層・多段化技術は、半導体チップ等を三次元的に配置することから、二次元的に配置する手法と比較してパッケージを小さくできる。特に、TSV技術は、半導体の性能向上、ノイズ低減、実装面積の削減、省電力化にも有効であり、次世代の半導体配線技術として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−294382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体装置に用いられる接着剤(以下、「半導体用接着剤」という)には、信頼性が求められ、より具体的には接続性、絶縁性、耐熱性、耐湿性及び耐リフロー性の点で十分なレベルを達成することが求められる。耐リフロー性を確保するためには、260℃前後のリフロー温度において、ダイボンド層(接着剤層)の剥離又は破壊を抑制できるような高い接着強度を維持することが求められる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、十分に高い接着性を有し、耐リフロー性、接続信頼性及び絶縁信頼性に優れる半導体装置の作製を可能とする半導体用接着剤、該接着剤を用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供する。
【0009】
(1)エポキシ樹脂と、硬化剤と、グリシジル基を有する化合物で表面処理されたグリシジル系表面処理フィラーと、下記式(1)で表される基を有する化合物で表面処理されたアクリル系表面処理フィラーと、を含有する半導体用接着剤。
【化1】

[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示す。]
(2)上記式(1)で表される基を有する化合物が、下記式(2)で表される化合物である、(1)に記載の半導体用接着剤。
【化2】

[式(2)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rはアルキル基を示す。]
(3)エポキシ樹脂と、硬化剤と、グリシジル基を含有する基を有するフィラーと、下記式(1)で表される基を有するフィラーと、を含有する半導体用接着剤。
【化3】

[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示す。]
(4)上記グリシジル基を含有する基が、下記式(3)又は(4)で表される基である、(3)に記載の半導体用接着剤。
【化4】

【化5】

[式(3)及び(4)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。]
(5)重量平均分子量10000以上の高分子成分を更に含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体用接着剤。
(6)上記高分子成分の重量平均分子量が30000以上であり、ガラス転移温度が120℃以下である、(5)に記載の半導体用接着剤。
(7)フラックス剤を更に含有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体用接着剤。
(8)形状が、フィルム状である、(1)〜(7)のいずれかに記載の半導体用接着剤。
(9)半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置であって、上記接続部の少なくとも一部を、(1)〜(8)のいずれかに記載の半導体用接着剤を用いて封止する工程を備える、半導体装置の製造方法。
の製造方法によって得られる、半導体装置。
(10)(9)に記載の製造方法によって得られる、半導体装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、十分に高い接着性を有し、耐リフロー性、接続信頼性及び絶縁信頼性に優れる半導体装置の作製を可能とする半導体用接着剤、該接着剤を用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す模式断面図である。
図3】本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す模式断面図である。
図4】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
<半導体用接着剤>
本実施形態の半導体用接着剤は、エポキシ樹脂(以下、場合により「(a)成分」という。)と、硬化剤(以下、場合により「(b)成分」という。)と、グリシジル基を有する化合物で表面処理されたグリシジル系表面処理フィラー又はグリシジル基を含有する基を有するフィラー(以下、場合により「(c)成分」という。)と、上記式(1)で表される基を有する化合物で表面処理されたアクリル系表面処理フィラー又は上記式(1)で表される基を有するフィラー(以下、場合により「(d)成分」という。)とを含有する。また、半導体用接着剤は、必要に応じて、重量平均分子量10000以上の高分子成分(以下、場合により「(e)成分」という。)又はフラックス活性剤(以下、場合により「(f)成分」という。)を含有する。以下、本実施形態の半導体用接着剤を構成する各成分について説明する。
【0014】
(a)成分:エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限はなく用いることができる。(a)成分として、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ナフタレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、フェノールアラルキル型、ビフェニル型、トリフェニルメタン型、ジシクロペンタジエン型及び各種多官能エポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上の混合体として使用することができる。
【0015】
(a)成分は、高温での接続時に分解して揮発成分が発生することを抑制する観点から、接続時の温度が250℃の場合は、250℃における熱重量減少量率が5%以下のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、300℃の場合は、300℃における熱重量減少量率が5%以下のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0016】
(b)成分:硬化剤
(b)成分としては、例えば、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及びホスフィン系硬化剤が挙げられる。(b)成分がフェノール性水酸基、酸無水物、アミン類又はイミダゾール類を含むと、接続部に酸化膜が生じることを抑制するフラックス活性を示し、接続信頼性・絶縁信頼性を向上させることができる。以下、各硬化剤について説明する。
【0017】
(i)フェノール樹脂系硬化剤
フェノール樹脂系硬化剤としては、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールナフトールホルムアルデヒド重縮合物、トリフェニルメタン型多官能フェノール、各種多官能フェノール樹脂等を使用することができる。これらは単独又は2種以上の混合体として使用することができる。また、高温での接続時に分解して揮発成分が発生することを抑制する観点から、室温で固形のフェノール樹脂を用いることが望ましい。
【0018】
(a)成分に対するフェノール樹脂系硬化剤の当量比(フェノール性水酸基/エポキシ基、モル比)は、硬化性、接着性及び保存安定性の観点から、0.3〜1.5が好ましく、0.4〜1.0がより好ましく、0.5〜1.0が更に好ましい。当量比が0.3以上であると、硬化性が向上し接着力が向上する傾向があり、1.5以下であると未反応のフェノール性水酸基が過剰に残存することがなく、吸水率が低く抑えられ、絶縁信頼性が向上する傾向がある。
【0019】
(ii)酸無水物系硬化剤
酸無水物系硬化剤としては、例えば、メチルシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等を使用することができる。これらは単独又は2種以上の混合体として使用することができる。また、高温加熱時に分解して揮発成分が発生することを抑制する観点から、室温で固形の酸無水物を用いることが望ましい。
【0020】
(a)成分に対する酸無水物系硬化剤の当量比(酸無水物基/エポキシ基、モル比)は、硬化性、接着性及び保存安定性の観点から、0.3〜1.5が好ましく、0.4〜1.0がより好ましく、0.5〜1.0が更に好ましい。当量比が0.3以上であると、硬化性が向上し接着力が向上する傾向があり、1.5以下であると未反応の酸無水物が過剰に残存することがなく、吸水率が低く抑えられ、絶縁信頼性が向上する傾向がある。
【0021】
(iii)アミン系硬化剤
アミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド等を使用することができる。また、高温加熱時に分解して揮発成分が発生することを抑制する観点から、室温で固形のアミン類を用いることが望ましい。
【0022】
(a)成分に対するアミン系硬化剤の当量比(アミン/エポキシ基、モル比)は、硬化性、接着性及び保存安定性の観点から0.3〜1.5が好ましく、0.4〜1.0がより好ましく、0.5〜1.0が更に好ましい。当量比が0.3以上であると、硬化性が向上し接着力が向上する傾向があり、1.5以下であると未反応のアミンが過剰に残存することがなく、絶縁信頼性が向上する傾向がある。
【0023】
(iv)イミダゾール系硬化剤
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、エポキシ樹脂とイミダゾール類の付加体などが挙げられる。中でも、硬化性、保存安定性及び接続信頼性の観点から、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これらは単独または2種以上を併用してもよい。また、これらをマイクロカプセル化して潜在性を高めたものを用いてもよい。
【0024】
イミダゾール系硬化剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。イミダゾール系硬化剤の含有量が0.1質量部以上であると硬化性が向上する傾向があり、20質量部以下であると金属接合が形成される前に接着剤が硬化することがなく、接続不良が発生しにくい傾向がある。
【0025】
(v)ホスフィン系硬化剤
ホスフィン系硬化剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ(4−メチルフェニル)ボレート及びテトラフェニルホスホニウム(4−フルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0026】
ホスフィン系硬化剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。ホスフィン系硬化剤の含有量が0.1質量部以上であると硬化性が向上する傾向があり、10質量部以下であると金属接合が形成される前に接着剤が硬化することがなく、接続不良が発生しにくい傾向がある。
【0027】
フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤及びアミン系硬化剤は、それぞれ1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。イミダゾール系硬化剤及びホスフィン系硬化剤はそれぞれ単独で用いてもよいが、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤又はアミン系硬化剤と共に用いてもよい。
【0028】
半導体用接着剤が(b)成分として、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤又はアミン系硬化剤を含む場合、酸化膜を除去するフラックス活性を示し、接続信頼性をより向上することができる。
【0029】
(c)成分:グリシジル系表面処理フィラー又はグリシジル基を含有する基を有するフィラー
グリシジル基を有する化合物で表面処理されたフィラーであれば特に制限はなく、絶縁性無機フィラー、ウィスカー、樹脂フィラー等を表面処理したものを用いることができる。すなわち、(c)成分としては、グリシジル基を含有する基を有するフィラーを用いることができる。
【0030】
グリシジル基を含有する基としては、例えば、上記式(3)又は(4)で表される基を挙げることができる。グリシジル基を有する化合物としては、例えば、上記式(3)又は(4)で表される基を有する化合物が挙げられる。
【0031】
式(3)及び(4)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示し、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜15のアルキレン基であることがより好ましい。R及びRの炭素数が30以下であると、フィラーを表面処理し易い傾向がある。アルキレン基は、直鎖状でも分岐状であってもよい。
【0032】
絶縁性無機フィラーとしては、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ及び窒化ホウ素が挙げられ、シリカ、アルミナ、酸化チタン及び窒化ホウ素が好ましく、シリカ、アルミナ及び窒化ホウ素がより好ましい。ウィスカーとしては、例えば、ホウ酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、酸化亜鉛、珪酸カルシウム、硫酸マグネシウム及び窒化ホウ素が挙げられる。樹脂フィラーとしては、例えば、ポリウレタン及びポリイミドが挙げられる。これらのフィラー及びウィスカーは単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。フィラーの形状、粒径及び配合量は、特に制限されない。微細なナノシリカを用いてもよい。これらのフィラーの中でも、表面処理の簡易さや樹脂成分との相溶性が比較的よいことからシリカフィラーが好ましい。
【0033】
(c)成分の平均粒径は特には制限されないが、フィラー形状が球形状の場合には、平均粒径は2μm以下であることが好ましく、狭ピッチ化、狭ギャップ化が進展するパッケージでは、トラッピングによる信頼性低下やバンプ間の樹脂の流動性(フィラーを含んだ樹脂のバンプ間の流れやすさ)を回避するため、1.5μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることが特に好ましい。また、その下限は取り扱い性の観点から0.005μm以上であることがより好ましく、0.01μm以上であることが特に好ましい。
【0034】
(d)成分:アクリル系表面処理フィラー又は上記式(1)で表される基を有するフィラー
(d)成分としては、上記式(1)で表される基を有する化合物で表面処理されたフィラーであれば特に制限はなく、絶縁性無機フィラー、ウィスカー、樹脂フィラー等を表面処理したものを用いることができる。すなわち、(d)成分としては、上記式(1)で表される基を有するフィラーを用いることができる。
【0035】
ここで、式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。Rの炭素数が増えるほど嵩高くなり、炭素数が15を超えると反応性が低下する傾向がある。Rはアルキレン基を示し、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜15のアルキレン基であることがより好ましい。Rの炭素数が30以下であると、フィラーを表面処理し易い傾向がある。
【0036】
(d)成分がフィラー表面に上記式(1)で表される基を有するかどうかは、例えば、以下のような方法で確認することができる。
【0037】
本実施形態の半導体用接着剤を加熱し、ガスクロマトグラフィー(例えば、SHIMADZU製、製品名「GC−17A」)を用いて発生したメタノールを測定する。該メタノールの量から、フィラー表面に存在する上記式(1)で表される基を有することが確認できる。この場合、(d)成分を含まない接着剤のメタノール量を同様に測定してリファレンスとする。
【0038】
(d)成分として、上記式(2)で表される化合物で表面処理されたフィラーを用いることができる。式(2)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。Rの炭素数が増えるほど嵩高くなり、炭素数が15を超えると反応性が低下する傾向がある。(d)成分として、具体的には、式(2)中、Rが水素原子であるアクリル系化合物で表面処理されたシリカフィラー、Rがメチル基であるメタクリル系化合物で表面処理されたシリカフィラー、Rがエチル基であるエタクリル系化合物で表面処理されたシリカフィラー等を用いることができる。半導体用接着剤に含まれる樹脂成分や半導体基板表面との反応性や結合形成の観点から、上記式(2)中、Rが嵩高くない基であることが好ましく、Rが水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基であり、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。Rの炭素数が増えるほど嵩高くなり、炭素数が2を超えると反応性が低下する傾向がある。すなわち、(d)成分として、アクリル系化合物、メタクリル系化合物又はエタクリル系化合物で表面処理されたシリカフィラーを用いることができる。
【0039】
上記式(2)中、Rはアルキレン基を示し、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、揮発成分が少ないことから炭素数1〜15のアルキレン基であることがより好ましい。また、式(2)中、Rはアルキル基を示し、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、表面処理の容易さにより適宜選定することができる。Rの炭素数が30以下であると、フィラーを表面処理し易い傾向がある。
【0040】
絶縁性無機フィラー、ウィスカー及び樹脂フィラーとしては、(c)成分で例示したものと同様のものを例示することができる。これらの中でも、表面処理の簡易さや樹脂成分との相溶性が比較的よいことからシリカフィラーが好ましい。
【0041】
(d)成分の形状、粒径は、半導体用接着剤の用途に応じて適宜設定すればよく、特に制限されない。
【0042】
(c)成分及び(d)成分の合計配合量は、半導体用接着剤の固形分全体を基準として、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が更に好ましい。5質量%以上であると接着力の向上が強く発揮され易い傾向があり、80質量%以下であると粘度を調整しやすく、半導体用接着剤の流動性の低下や接続部へのフィラーの噛み込み(トラッピング)が生じにくく、接続信頼性が向上する傾向がある。
【0043】
本実施形態の半導体用接着剤は、グリシジル系表面処理フィラーとアクリル系表面処理フィラーとを併用することにより、十分に高い接着性を有し、接着剤層の耐リフロー性、接続信頼性及び絶縁信頼性を向上することができる。
【0044】
本実施形態の半導体用接着剤が上記効果を奏する理由としては、例えば、半導体基板上にはソルダーレジストと呼ばれる絶縁膜が形成されているが、この成分にはパターンをきって形を形成するために、アクリル系材料を含んでいることが多いため、同材料系を含むアクリル系表面処理フィラーを用いると接着力を向上できると推測している。また、グリシジル系表面処理フィラーは、エポキシ樹脂との相互性がよく、接着剤中への分散性に優れていることから、接着剤層のバルク強度を高めることができると推測している。
【0045】
(e)成分:重量平均分子量10000以上の高分子成分
(e)成分としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びアクリルゴムが挙げられる。これらの中でも耐熱性及びフィルム形成性に優れる観点から、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルゴム、シアネートエステル樹脂及びポリカルボジイミド樹脂が好ましく、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びアクリルゴムがより好ましい。これらの(e)成分は単独で又は2種以上の混合物や共重合体として使用することもできる。但し、(e)成分には、(a)成分であるエポキシ樹脂が含まれない。
【0046】
上述したフェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の高分子成分は市販品を用いてもよいし、合成したものを用いてもよい。
【0047】
(e)成分のガラス転移温度(Tg)は、半導体用接着剤の基板やチップへの貼付性に優れる観点から、120℃以下が好ましく、さらに好ましくは100℃以下、さらに85℃以下がより好ましい。Tgが120℃以下である場合には、半導体チップに形成されたバンプや、基板に形成された電極や配線パターン等の凹凸を半導体用接着剤により埋め込み易くなり、気泡が残存することがなくボイドが発生しにくい傾向がある。Tgの下限値は特に限定されないが、10℃程度である。なお、上記Tgとは、DSC(パーキンエルマー社製DSC−7型)を用いて、サンプル量10mg、昇温速度10℃/分、測定雰囲気:空気の条件で測定したときのTgである。また、Tgが室温以下の高分子成分は、十分なフィルム形成が得られ難い。
【0048】
(e)成分の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10000以上であるが、単独で良好なフィルム形成性を示すために、30000以上が好ましく、40000以上がより好ましく、50000以上が更に好ましい。重量平均分子量が10000以上であると、フィルム形成性及び耐熱性が向上する傾向がある。重量平均分子量の上限値は、特に限定されないが、1000000程度である。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製C−R4A)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
【0049】
(e)成分の含有量は特に制限されないが、フィルム状を良好に保持するため、(a)エポキシ成分100質量部に対して、1〜500質量部であることが好ましく、5〜300質量部であることがより好ましく、10〜200質量部が更に好ましい。(e)成分の含有量が1質量部以上では、フィルム形成性の向上効果が得られ易い傾向があり、500質量部以下であると、半導体用接着剤の硬化性が向上し、接着力が向上する傾向がある。
【0050】
(f)成分:フラックス剤
本実施形態の半導体用接着剤には(f)成分、すなわち、フラックス活性(酸化物や不純物を除去する活性)を示す化合物であるフラックス活性剤を含有することができる。フラックス活性剤としては、イミダゾール類やアミン類のように非共有電子対を有する含窒素化合物、カルボン酸類、フェノール類及びアルコール類が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、カルボン酸類はフラックス活性が強く、(a)成分であるエポキシ樹脂と反応し、半導体用接着剤の硬化物中に遊離した状態で存在しないため、絶縁信頼性の低下を防ぐことができる。
【0052】
カルボン酸類としては、例えば、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸等の脂式飽和カルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘサエン酸、エイコサペンタエン酸等の脂式不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂式ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、ペンタンカルボン酸、メリト酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。また、ヒドロキシル基を有するカルボン酸としては、例えば、乳酸、りんご酸、クエン酸及びサリチル酸が挙げられる。
【0053】
フラックス剤として、下記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される基を有する化合物(以下、まとめてフラックス化合物)という。)を用いることもできる。
【0054】
【化6】
【0055】
式(1−1)、(1−2)及び(2−1)中、Rはそれぞれ独立に電子供与性基を示し、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0056】
電子供与性基としては、例えば、アルキル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、が挙げられる。電子供与性基としては、他の成分(例えば、(a)成分のエポキシ樹脂)と反応しにくい基が好ましく、具体的には、アルキル基、水酸基又はアルコキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0057】
アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、中でも直鎖状が好ましい。
【0058】
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基のアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、中でも直鎖状が好ましい。
【0059】
アルキルアミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基が挙げられる。モノアルキルアミノ基としては、炭素数1〜10のモノアルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜5のモノアルキルアミノ基がより好ましい。モノアルキルアミノ基のアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
【0060】
ジアルキルアミノ基としては、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基がより好ましい。ジアルキルアミノ基のアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
【0061】
フラックス化合物は、カルボキシル基を2つ有する化合物(ジカルボン酸)であることが好ましい。カルボキシル基を2つ有する化合物は、カルボキシル基を1つ有する化合物(モノカルボン酸)と比較して、接続時の高温によっても揮発し難く、ボイドの発生を一層抑制できる。また、カルボキシル基を2つ有する化合物を用いると、カルボキシル基を3つ以上有する化合物を用いた場合と比較して、保管時・接続作業時等における半導体用接着剤の粘度上昇を一層抑制することができ、半導体装置の接続信頼性を一層向上させることができる。
【0062】
フラックス化合物としては、下記式(2−1)、(2−2)又は(2−3)で表される化合物を好適に用いることができる。
【0063】
【化7】
【0064】
式(2−1)中、Rは電子供与性基を示し、Rは水素原子又は電子供与性基を示し、nは0又は1以上の整数を示す。また、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、Rが複数存在するとき、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0065】
式(2−1)におけるnは、1以上であることが好ましい。nが1以上であると、nが0である場合と比較して、接続時の高温によってもフラックス化合物が揮発し難く、ボイドの発生を一層抑制することができる。また、式(2−1)におけるnは、15以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、9以下であることがさらに好ましく、7以下又は5以下であってもよい。nが15以下であると、一層優れた接続信頼性が得られる。
【0066】
【化8】
【0067】
式(2−2)中、Rは電子供与性基を示し、Rは水素原子又は電子供与性基を示し、nは1以上の整数を示す。また、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、Rが複数存在するとき、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0068】
式(2−2)におけるnは、14以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましく、6以下又は4以下であってもよい。nが10以下であると、一層優れた接続信頼性が得られる。
【0069】
【化9】
【0070】
式(2−3)中、Rは電子供与性基を示し、Rは水素原子又は電子供与性基を示し、nは0又は1以上の整数を示し、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0071】
式(2−3)におけるnは、1以上であることが好ましい。nが1以上であると、nが0である場合と比較して、接続時の高温によってもフラックス化合物が揮発し難く、ボイドの発生を一層抑制することができる。また、式(2−3)におけるnは、15以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、6以下又は4以下であってもよい。nが15以下であると、一層優れた接続信頼性が得られる。
【0072】
また、フラックス化合物としては、下記式(3−1)、(3−2)又は(3−1)で表される化合物がより好適である。
【0073】
【化10】
【0074】
式(3−1)中、Rは電子供与性基を示し、Rは水素原子又は電子供与性基を示し、mは0又は1以上の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0075】
式(3−1)におけるmは、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましい。mが10以下であると一層優れた接続信頼性が得られる。
【0076】
【化11】
【0077】
式(3−2)中、Rは電子供与性基を示し、Rは水素原子又は電子供与性基を示し、mは0又は1以上の整数を示す。複数存在するR及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0078】
式(3−2)におけるmは、9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。mが9以下であると一層優れた接続信頼性が得られる。
【0079】
【化12】
【0080】
式(3−3)中、Rは電子供与性基を示し、Rは水素原子又は電子供与性基を示し、mは0又は1以上の整数を示す。
【0081】
式(3−3)におけるmは、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。mが10以下であると、一層優れた接続信頼性が得られる。
【0082】
式(3−3)において、Rは、水素原子であっても電子供与性基であってもよい。Rが水素原子であると、融点が低くなる傾向があり、半導体装置の接続信頼性をより向上させることができる場合がある。また、RとRとが異なる電子供与性基であると、RとRとが同じ電子供与性基である場合と比較して、融点が低くなる傾向があり、半導体装置の接続信頼性をより向上させることができる場合がある。
【0083】
フラックス化合物としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸及びドデカン二酸から選択されるジカルボン酸の2位に電子供与性基が2つ置換した化合物を用いることができる。
【0084】
また、フラックス化合物としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸及びドデカン二酸から選択されるジカルボン酸の3位に電子供与性基が2つ置換した化合物を用いることもできる。
【0085】
フラックス剤の含有量は、半導体用接着剤の全量基準で、0.5〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
【0086】
(その他の成分)
本実施形態の半導体用接着剤には、粘度や硬化物の物性を制御するため、及び、半導体チップ及び基板等を接続した際のボイドの発生や吸湿率の上昇を抑制するために、(c)成分及び(d)成分の他に更にフィラーを配合してもよい。
【0087】
フィラーとしては、絶縁性無機フィラー、ウィスカー又は樹脂フィラーを用いることができる。絶縁性無機フィラー、ウィスカー又は樹脂フィラーとしては、上記(c)成分と同様の物質を使用することができる。これらのフィラー、ウィスカー及び樹脂フィラーは1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。フィラーの形状、平均粒径及び含有量は特に制限されない。
【0088】
さらに、本実施形態の半導体用接着剤には、酸化防止剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、レベリング剤、イオントラップ剤等の添加剤を配合してもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの配合量については、各添加剤の効果が発現するように適宜調整すればよい。
【0089】
本実施形態の半導体用接着剤は、フィルム状に形成することができる。本実施形態の半導体用接着剤を用いたフィルム状接着剤の作製方法を以下に示す。まず、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分、並びに必要に応じて添加される(e)成分又は(f)成分等を有機溶媒中に加え、攪拌混合、混錬等により、溶解又は分散させて、樹脂ワニスを調製する。その後、離型処理を施した基材フィルム上に、樹脂ワニスをナイフコーター、ロールコーターやアプリケーターを用いて塗布した後、加熱により有機溶媒を除去することにより、基材フィルム上にフィルム状接着剤が得られる。
【0090】
樹脂ワニスの調製に用いる有機溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものが好ましく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス調製の際の混合や混錬等は、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ホモディスパー等を用いて行うことができる。
【0091】
また、基材フィルムとしては、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム及びポリエーテルイミドフィルムを例示できる。基材フィルムは、これらのフィルムからなる単層のものに限られず、2種以上の材料からなる多層フィルムであってもよい。
【0092】
さらに、基材フィルムへ塗布した樹脂ワニスから有機溶媒を揮発させる際の条件は、有機溶媒が十分に揮発する条件とすることが好ましく、具体的には、50〜200℃、0.1〜90分間の加熱を行うことが好ましい。
【0093】
本実施形態の半導体用接着剤は、半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置において接続部の少なくとも一部を封止する接着剤組成物として用いることができる。
【0094】
<半導体装置>
実施形態の半導体用接着剤を用いて作製される半導体装置について、図1及び2を用いて以下説明する。図1は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図1(a)に示すように、半導体装置100は、互いに対向する半導体チップ10及び基板(回路配線基板)20と、半導体チップ10及び基板20の互いに対向する面にそれぞれ配置された配線15と、半導体チップ10及び基板20の配線15を互いに接続する接続バンプ30と、半導体チップ10及び基板20間の空隙に隙間なく充填された接着剤組成物(半導体用接着剤)40とを有している。半導体チップ10及び基板20は、配線15及び接続バンプ30によりフリップチップ接続されている。配線15及び接続バンプ30は、接着剤組成物40により封止されており外部環境から遮断されている。
【0095】
図1(b)に示すように、半導体装置200は、互いに対向する半導体チップ10及び基板20と、半導体チップ10及び基板20の互いに対向する面にそれぞれ配置されたバンプ32と、半導体チップ10及び基板20間の空隙に隙間なく充填された接着剤組成物40とを有している。半導体チップ10及び基板20は、対向するバンプ32が互いに接続されることによりフリップチップ接続されている。バンプ32は、接着剤組成物40により封止されており外部環境から遮断されている。
【0096】
図2は、本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す模式断面図である。図2(a)に示すように、半導体装置300は、2つの半導体チップ10が配線15及び接続バンプ30によりフリップチップ接続されている点を除き、半導体装置100と同様である。図2(b)に示すように、半導体装置400は、2つの半導体チップ10がバンプ32によりフリップチップ接続されている点を除き、半導体装置200と同様である。
【0097】
半導体チップ10としては、特に限定はなく、シリコン、ゲルマニウム等の同一種類の元素から構成される元素半導体、ガリウムヒ素、インジウムリン等の化合物半導体を用いることができる。
【0098】
基板20としては、回路基板であれば特に制限はなく、ガラスエポキシ、ポリイミド、ポリエステル、セラミック、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン等を主な成分とする絶縁基板の表面に、金属膜の不要な個所をエッチング除去して形成された配線(配線パターン)15を有する回路基板、上記絶縁基板の表面に金属めっき等によって配線15が形成された回路基板、上記絶縁基板の表面に導電性物質を印刷して配線15が形成された回路基板を用いることができる。
【0099】
配線15やバンプ32等の接続部は、主成分として、金、銀、銅、はんだ(主成分は、例えばスズ−銀、スズ−鉛、スズ−ビスマス、スズ−銅、スズ−銀−銅)、ニッケル、スズ、鉛等を含有しており、複数の金属を含有していてもよい。
【0100】
上記金属の中でも、接続部の電気伝導性・熱伝導性に優れたパッケージとする観点から、金、銀及び銅が好ましく、銀及び銅がより好ましい。コストが低減されたパッケージとする観点から、安価であることに基づき銀、銅及びはんだが好ましく、銅及びはんだがより好ましく、はんだが更に好ましい。室温において金属の表面に酸化膜が形成すると生産性が低下する場合やコストが増加する場合があるため、酸化膜の形成を抑制する観点から、金、銀、銅及びはんだが好ましく、金、銀、はんだがより好ましく、金、銀が更に好ましい。
【0101】
配線15及びバンプ32の表面には、金、銀、銅、はんだ(主成分は、例えば、スズ−銀、スズ−鉛、スズ−ビスマス、スズ−銅)、スズ、ニッケル等を主な成分とする金属層が、例えばメッキにより形成されていてもよい。この金属層は単一の成分のみで構成されていても、複数の成分から構成されていてもよい。また、上記金属層は、単層又は複数の金属層が積層された構造をしていてもよい。
【0102】
また、本実施形態の半導体装置は、半導体装置100〜400に示すような構造(パッケージ)が複数積層されていてもよい。この場合、半導体装置100〜400は、金、銀、銅、はんだ(主成分は、例えばスズ−銀、スズ−鉛、スズ−ビスマス、スズ−銅、スズ−銀−銅)、スズ、ニッケル等を含むバンプや配線で互いに電気的に接続されていてもよい。
【0103】
半導体装置を複数積層する手法としては、図3に示すように、例えばTSV(Through−Silicon Via)技術が挙げられる。図3は、本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す模式断面図であり、TSV技術を用いた半導体装置である。図3に示す半導体装置500では、インターポーザ50上に形成された配線15が半導体チップ10の配線15と接続バンプ30を介して接続されることにより、半導体チップ10とインターポーザ50とはフリップチップ接続されている。半導体チップ10とインターポーザ50との間の空隙には接着剤組成物40が隙間なく充填されている。上記半導体チップ10におけるインターポーザ50と反対側の表面上には、配線15、接続バンプ30及び接着剤組成物40を介して半導体チップ10が繰り返し積層されている。半導体チップ10の表裏におけるパターン面の配線15は、半導体チップ10の内部を貫通する孔内に充填された貫通電極34により互いに接続されている。なお、貫通電極34の材質としては、銅、アルミニウム等を用いることができる。
【0104】
このようなTSV技術により、通常は使用されない半導体チップの裏面からも信号を取得することが可能となる。さらには、半導体チップ10内に貫通電極34を垂直に通すため、対向する半導体チップ10間や半導体チップ10及びインターポーザ50間の距離を短くし、柔軟な接続が可能である。本実施形態の半導体用接着剤は、このようなTSV技術において、対向する半導体チップ10間や、半導体チップ10及びインターポーザ50間の半導体用接着剤として適用することができる。
【0105】
また、エリヤバンプチップ技術等の自由度の高いバンプ形成方法では、インターポーザを介さないでそのまま半導体チップをマザーボードに直接実装できる。本実施形態の半導体用接着剤は、このような半導体チップをマザーボードに直接実装する場合にも適用することができる。なお、本実施形態の半導体用接着剤は、2つの配線回路基板を積層する場合に、基板間の空隙を封止する際にも適用することができる。
【0106】
<半導体装置の製造方法>
本実施形態の半導体装置の製造方法について、図4を用いて以下説明する。図4は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【0107】
まず、図4(a)に示すように、配線15を有する基板20上に、接続バンプ30を形成する位置に開口を有するソルダーレジスト60を形成する。このソルダーレジスト60は必ずしも設ける必要はない。しかしながら、基板20上にソルダーレジストを設けることにより、配線15間のブリッジの発生を抑制し、接続信頼性・絶縁信頼性を向上させることができる。ソルダーレジスト60は、例えば、市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキを用いて形成することができる。市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキとしては、具体的には、SRシリーズ(日立化成工業株式会社製、商品名)及びPSR4000−AUSシリーズ(太陽インキ製造(株)製、商品名)が挙げられる。
【0108】
次に、図4(a)に示すように、ソルダーレジスト60の開口に接続バンプ30を形成する。そして、図4(b)に示すように、接続バンプ30及びソルダーレジスト60が形成された基板20上に、フィルム状の半導体用接着剤(以下、場合により「フィルム状接着剤」という。)40を貼付する。フィルム状接着剤40の貼付は、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等によって行うことができる。フィルム状接着剤40の供給面積や厚みは、半導体チップ10及び基板20のサイズや、接続バンプ30の高さによって適宜設定される。
【0109】
上記のとおりフィルム状接着剤40を基板20に貼り付けた後、半導体チップ10の配線15と接続バンプ30とをフリップチップボンダー等の接続装置を用いて、位置合わせする。続いて、半導体チップ10と基板20とを接続バンプ30の融点以上の温度で加熱しながら圧着し、図4(c)に示すように、半導体チップ10と基板20とを接続すると共に、フィルム状接着剤40によって半導体チップ10及び基板20間の空隙を封止充填する。以上により、半導体装置600が得られる。
【0110】
本実施形態の半導体装置の製造方法では、位置合わせをした後に仮固定し(半導体接着剤を介している状態)、リフロー炉で加熱処理することによって、接続バンプ30を溶融させて半導体チップ10と基板20とを接続してもよい。仮固定の段階では、金属接合を形成することが必ずしも必要ではないため、上記の加熱しながら圧着する方法に比べて低荷重、短時間、低温度による圧着でよく、生産性が向上すると共に接続部の劣化を抑制することができる。
【0111】
また、半導体チップ10と基板20とを接続した後、オーブン等で加熱処理を行って、更に接続信頼性・絶縁信頼性を高めてもよい。加熱温度は、フィルム状接着剤の硬化が進行する温度が好ましく、完全に硬化する温度がより好ましい。加熱温度、加熱時間は適宜設定される。
【0112】
本実施形態の半導体装置の製造方法では、フィルム状接着剤40を半導体チップ10に貼付した後に基板20を接続してもよい。また、半導体チップ10及び基板20を配線15及び接続バンプ30により接続した後、半導体チップ10及び基板20間の空隙にペースト状の半導体用接着剤を充填してもよい。
【0113】
生産性が向上する観点から、複数の半導体チップ10が連結した半導体ウェハに半導体用接着剤を供給した後、ダイシングして個片化することによって、半導体チップ10上に半導体用接着剤が供給された構造体を得てもよい。また、半導体用接着剤がペースト状の場合は、特に制限されるものではないが、スピンコート等の塗布方法により、半導体チップ10上の配線やバンプを埋め込み、厚みを均一化させればよい。この場合、樹脂の供給量が一定となるため生産性が向上すると共に、埋め込み不足によるボイドの発生及びダイシング性の低下を抑制することができる。一方、半導体用接着剤がフィルム状の場合は、特に制限されるものではないが、加熱プレス、ロールラミネート及び真空ラミネート等の貼付方式により半導体チップ10上の配線やバンプを埋め込むようにフィルム状の樹脂組成物を供給すればよい。この場合、樹脂の供給量が一定となるため生産性が向上し、埋め込み不足によるボイドの発生及びダイシング性の低下を抑制することができる。
【0114】
接続荷重は、接続バンプ30の数や高さのばらつき、加圧による接続バンプ30、又は接続部のバンプを受ける配線の変形量を考慮して設定される。接続温度は、接続部の温度が接続バンプ30の融点以上であることが好ましいが、それぞれの接続部(バンプや配線)の金属接合が形成される温度であればよい。接続バンプ30がはんだバンプである場合は、約240℃以上が好ましい。
【0115】
接続時の接続時間は、接続部の構成金属により異なるが、生産性が向上する観点から短時間であるほど好ましい。接続バンプ30がはんだバンプである場合、接続時間は20秒以下が好ましく、10秒以下がより好ましく、5秒以下が更に好ましい。また、240℃以上かかる時間が5秒以下であることが好ましく、4秒以下がより好ましく、3秒以下が更に好ましい。銅−銅又は銅−金の金属接続の場合は、接続時間は60秒以下が好ましい。
【0116】
本発明の半導体用接着剤は、上述した様々なパッケージ構造のフリップチップ接続部においても、優れた耐リフロー性、接続信頼性及び絶縁信頼性を示すことができる。
【実施例】
【0117】
以下、実験例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0118】
各実施例及び比較例で使用した化合物を以下に示す。
(a)エポキシ樹脂
トリフェノールメタン骨格含有多官能固形エポキシ(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名「EP1032H60」、以下「EP1032」と表記する。)
ビスフェノールF型液状エポキシ(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名「YL983U」、以下「YL983」と表記する。)
柔軟性エポキシ(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名「YL7175」)
(b)硬化剤
2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体(四国化成株式会社、商品名「2MAOK−PW」)
(c)グリシジル系表面処理フィラー
エポキシ(グリシジル)表面処理シリカフィラー(株式会社アドマテックス、商品名「SE2050SEJ」、平均粒径0.5μm、以下「SEフィラー」と表記する。)
エポキシ(グリシジル)表面処理ナノシリカフィラー(株式会社アドマテックス、商品名「YA050C−SE」、平均粒径約50nm以下「SEナノフィラー」と表記する。)
(d)メタクリル表面処理シリカフィラー
メタクリル表面処理ナノシリカフィラー(株式会社アドマテックス、商品名「YA050C−SM」平均粒径約50nm、以下「SMナノフィラー」と表記する。)
(d’)その他のフィラー
未処理のシリカフィラー(株式会社アドマテックス、商品名「SE2050」、平均粒径0.5μm、以下「未処理フィラー」と表記する)
フェニル表面処理ナノシリカフィラー(株式会社アドマテックス、商品名「YA050C−SP」、平均粒径約50nm以下「SPナノフィラー」と表記する。)
有機フィラー(ロームアンドハースジャパン(株)社製、商品名「EXL−2655」、コアシェルタイプ有機微粒子)
(e)重量平均分子量10000以上の高分子成分
フェノキシ樹脂(東都化成株式会社、商品名「ZX1356」、Tg:約71℃、Mw:約63000)
(f)フラックス剤
2−メチルグルタル酸(アルドリッチ)
【0119】
<半導体用フィルム状接着剤の作製方法>
(実施例1)
「EP1032」80質量部を2.4g、「YL983」15質量部、「YL7175」5質量部、「2MAOK」3.3質量部、2−メチルグルタル酸3.3質量部、未処理フィラー12.7質量部、SEフィラー12.7質量部、SMナノフィラー38質量部、「EXL2655」8.3質量部を固形分が63質量%になるようにメチルエチルケトンを添加した。その後、直径0.8mm、直径2.0mmのビーズを固形分と同量加え、ビーズミル(フリッチュ・ジャパン株式会社、遊星型微粉砕機P−7)で30分撹拌した。その後、「ZX1356」56.7質量部を加え、再度、ビーズミルで30分撹拌した。撹拌に用いたビーズをろ過によって除去し、樹脂ワニスを得た。
【0120】
得られた樹脂ワニスを、基材フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名「ピューレックスA53」)に、小型精密塗工装置(廉井精機製)で塗工し、クリーンオーブン(エスペック株式会社製)中、70℃で10分間乾燥して、フィルム状接着剤を作製した。
【0121】
(実施例2及び比較例1〜3)
使用した原材料の組成を下記の表1の通りに変更したことを除いては、実施例1と同様にして、実施例2及び比較例1〜3のフィルム状接着剤を作製した。
【0122】
以下に、実施例及び比較例で得られたフィルム状接着剤の評価方法を示す。
【0123】
<吸湿後260℃における接着力の測定>
フィルム状接着剤を所定のサイズ(縦5mm×横5mm×厚さ0.045mm)に切り抜き、シリコンチップ(縦5mm×横5mm×厚さ0.725mm、酸化膜コーティング)に70℃で貼付け、熱圧着試験機(日立化成テクノプラント株式会社製)を用いてソルダーレジスト(太陽インキ製、商品名「AUS308」)がコーティングされたガラスエポキシ基板(厚み0.02mm)に圧着した(圧着条件:250℃/5秒間/0.5MPa)。次に、クリーンオーブン(エスペック株式会社製)中でアフターキュアした(175℃/2時間)。その後、85℃、相対湿度60%の恒温恒湿器(エスペック株式会社製、商品名「PR−2KP」)に48時間放置し、取り出し後、260℃のホットプレート上で接着力測定装置(DAGE社製、万能型ボンドテスタDAGE4000型)を使い、基板からのツール高さ0.05mm、ツール速度0.05mm/秒の条件で測定した。
【0124】
<初期接続性の評価>
作製したフィルム状接着剤を所定のサイズ(縦8mm×横8mm×厚さ0.045mm)に切り抜き、ガラスエポキシ基板(ガラスエポキシ基材:420μm厚、銅配線:9μm厚、80μmピッチ)上に貼付し、はんだバンプ付き半導体チップ(チップサイズ:縦7mm×横7mm×厚さ0.15mm、バンプ:銅ピラー及びはんだ、バンプ高さ:約40μm、バンプ数328)をフリップチップ実装装置(パナソニック製、商品名「FCB3」)で実装した(実装条件:圧着ヘッド温度350℃/5秒間/0.5MPa)。これにより、図4と同様に上記ガラスエポキシ基板と、はんだバンプ付き半導体チップとがデイジーチェーン接続された半導体装置を得た。
【0125】
得られた半導体装置の接続抵抗値をマルチメータ(ADVANTEST製、商品名「R6871E」)を用いて測定することにより、実装後の初期導通の可否を評価した。接続抵抗値が10〜13Ωの場合を接続性良好「A」とし、それ以外の接続抵抗値の場合又は接続不良(Open)が生じて抵抗値が表示されなかった場合を「B」として評価した。
【0126】
<ボイド評価>
上述の半導体装置を、超音波映像診断装置(インサイト株式会社製、商品名「Insight−300」)により、外観画像を撮り、スキャナGT−9300UF(EPSON社製)でチップ上の接着剤層の画像を取り込み、画像処理ソフトAdobe Photoshopを用いて、色調補正、二階調化によりボイド部分を識別し、ヒストグラムによりボイド部分の占める割合を算出した。チップ上の接着剤部分の面積を100%とし、ボイド部分が10%未満の場合を「A」、10〜20%の場合を「B」、20%を超える場合を「C」とした。
【0127】
<耐リフロー性の評価>
上述の半導体装置を封止材(日立化成工業株式会社製、商品名「CEL9750ZHF10」)を用いて、180℃、6.75MPa、90秒間の条件でモールドし、クリーンオーブン(エスペック株式会社)中、175℃で5時間硬化させてパッケージを得た。次に、このパッケージをJEDEC level 2条件で高温吸湿後、IRリフロ炉(FURUKAWA ELECTRIC製、商品名「SALAMANDER」)を3回通過させた。リフロー後のパッケージの接続性を、後述の初期接続性の評価と同様の方法で評価し、耐リフロー性の評価とした。剥離がなく、接続良好な場合を「A」、剥離や接続不良が生じて抵抗値が表示されなかった場合を「B」とした。
【0128】
<接続信頼性の評価(耐TCT評価)>
上述の半導体装置を封止材(日立化成工業株式会社製、商品名「CEL9750ZHF10」)を用いて、180℃、6.75MPa、90秒間の条件でモールドし、クリーンオーブン(エスペック株式会社)中、175℃で5時間硬化させてパッケージを得た。次に、このパッケージを冷熱サイクル試験機(ETAC製、商品名「THERMAL SHOCK CHAMBER NT1200」)内に放置し、1mAの電流を流し、25℃2分間→−55℃15分間→25℃2分間/125℃で15分間/25℃2分間を1サイクルとして接続抵抗を測定し、1000サイクル繰り返した後の接続抵抗の変化を評価した。初期の抵抗値波形と比べて1000サイクル後も大きな変化がなかった場合を「A」、1Ω以上の差が生じた場合を「B」とした。
【0129】
<絶縁信頼性の評価(耐HAST評価)>
作製したフィルム状接着剤を所定のサイズ(縦1.2mm×横1.2mm×厚さ45μm)に切り抜き、くし型電極評価TEG(配線ピッチ:50μm)にボイドなく貼付けたサンプルを、クリーンオーブン(エスペック株式会社製)中、175℃で2時間保持して硬化した。硬化後、サンプルを取り出し、加速寿命試験装置(HIRAYAMA社製、商品名「PL−422R8」、条件:130℃/85%RH/100時間/5V印加)に設置し、絶縁抵抗を測定した。評価方法としては、100時間を通して、絶縁抵抗が10Ω以上である場合を「A」、10Ω未満である場合を「B」として評価した。
【0130】
【表1】
【0131】
グリシジル系表面処理フィラーとアクリル系表面処理フィラーとを併用した実施例1及び2では、吸湿後の260℃における接着力が高く、耐リフロー性、接続信頼性及び絶縁信頼性に優れることが確認できる。
【符号の説明】
【0132】
10…半導体チップ、15…配線(接続部)、20…基板(配線回路基板)、30…接続バンプ、32…バンプ(接続部)、34…貫通電極、40…接着剤組成物(フィルム状接着剤)、50…インターポーザ、60…ソルダーレジスト、90…くし型電極、100,200,300,400,500,600…半導体装置。
図1
図2
図3
図4