(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048051
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】照明装置、顕微鏡システム、顕微鏡、制御方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
G02B21/06
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-224186(P2012-224186)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-77839(P2014-77839A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】若松 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭俊
【審査官】
瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−139794(JP,A)
【文献】
特開2010−164854(JP,A)
【文献】
特開2002−185731(JP,A)
【文献】
特表2010−501086(JP,A)
【文献】
特開2005−250130(JP,A)
【文献】
特開2010−102095(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0195868(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0050852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 19/00 − 21/36
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記照明制御部は、前記蛍光フィルタが切り替えられる際に、前記蛍光フィルタの特性に対応した特性の前記半導体発光素子が存在しない場合、及び前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応した特性の前記蛍光フィルタが存在しない場合は、前記半導体発光素子の点灯を禁止することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記照明制御部は、前記複数の半導体発光素子の少なくとも2つを同時に点灯させる場合には、前記顕微鏡制御部に、点灯させる全ての前記半導体発光素子の特性に対応する特性の前記蛍光フィルタに切り替えさせることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記複数の蛍光フィルタを使用する際の優先順位の情報を備えており、
前記照明制御部は、前記顕微鏡制御部から前記優先順位の情報を取得し、前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応する前記蛍光フィルタが複数存在する場合には、前記顕微鏡制御部に前記優先順位の高い前記蛍光フィルタに切り替えさせることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記照明制御部は、前記蛍光フィルタが切り替えられる際に、前記蛍光フィルタの特性に対応する前記半導体発光素子が複数存在する場合、前記蛍光フィルタの特性に対応する全ての前記半導体発光素子を点灯させることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
前記照明制御部と前記顕微鏡制御部とを通信可能に接続する接続手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の照明装置と、
前記複数の蛍光フィルタと、前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、前記切替手段を制御する前記顕微鏡制御部とを有する前記顕微鏡とを有することを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項7】
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応した特性の前記半導体発光素子が存在しない場合、及び前記半導体発光素子が切り替えられる際に、前記半導体発光素子の特性に対応した特性の前記蛍光フィルタが存在しない場合は、前記照明制御部に前記半導体発光素子の点灯を禁止させることを特徴とする顕微鏡。
【請求項8】
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記照明制御部が前記複数の半導体発光素子の少なくとも2つを同時に点灯させる場合には、点灯させる全ての前記半導体発光素子の特性に対応する特性の前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする顕微鏡。
【請求項9】
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記複数の蛍光フィルタを使用する際の優先順位の情報を備えており、
前記顕微鏡制御部は、前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせる際に、前記半導体発光素子の特性に対応する前記蛍光フィルタが複数存在する場合には、前記優先順位の高い前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする顕微鏡。
【請求項10】
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応する前記半導体発光素子が複数存在する場合、前記照明制御部に前記蛍光フィルタの特性に対応する全ての前記半導体発光素子を点灯させることを特徴とする顕微鏡。
【請求項11】
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応した特性の前記半導体発光素子が存在しない場合、及び前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応した特性の前記蛍光フィルタが存在しない場合は、前記半導体発光素子の点灯を禁止することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記複数の半導体発光素子の少なくとも2つを同時に点灯する場合には、点灯する全ての前記半導体発光素子の特性に対応する特性の前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応する前記蛍光フィルタが複数存在する場合には、前記複数の蛍光フィルタを使用する際の優先順位の情報に基づいて、前記優先順位の高い前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする制御方法。
【請求項14】
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応する前記半導体発光素子が複数存在する場合、前記蛍光フィルタの特性に対応する全ての前記半導体発光素子を点灯させることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、顕微鏡システム、顕微鏡、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顕微鏡に用いられる光源は、ハロゲンランプからLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子に変わりつつある(例えば、特許文献1を参照。)。半導体発光素子は、ハロゲンランプに比べて長寿命、低消費電力、低発熱等の特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−321453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体発光素子を用いた蛍光顕微鏡には次のような問題がある。半導体発光素子はハロゲンランプに比べて単色に近い波長特性を有しており、ピーク波長に対して数十nm程度の波長域の光のみを放出する。このため、半導体発光素子を用いた蛍光顕微鏡は、ハロゲンランプを用いた蛍光顕微鏡のように蛍光フィルタのみを切り替えるだけでなく、蛍光フィルタの特性に合わせて半導体発光素子を切り替える必要がある。即ち、半導体発光素子を用いた蛍光顕微鏡は、半導体発光素子と蛍光フィルタのいずれか一方を切り替える際に他方も切り替える必要があり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子と蛍光フィルタを連動して切り替えることが可能な使い勝手の良い照明装置、顕微鏡システム、顕微鏡、制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更
し、
前記照明制御部は、前記蛍光フィルタが切り替えられる際に、前記蛍光フィルタの特性に対応した特性の前記半導体発光素子が存在しない場合、及び前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応した特性の前記蛍光フィルタが存在しない場合は、前記半導体発光素子の点灯を禁止することを特徴とする照明装置を提供する。
また本発明は、
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記照明制御部は、前記複数の半導体発光素子の少なくとも2つを同時に点灯させる場合には、前記顕微鏡制御部に、点灯させる全ての前記半導体発光素子の特性に対応する特性の前記蛍光フィルタに切り替えさせることを特徴とする照明装置を提供する。
また本発明は、
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記複数の蛍光フィルタを使用する際の優先順位の情報を備えており、
前記照明制御部は、前記顕微鏡制御部から前記優先順位の情報を取得し、前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応する前記蛍光フィルタが複数存在する場合には、前記顕微鏡制御部に前記優先順位の高い前記蛍光フィルタに切り替えさせることを特徴とする照明装置を提供する。
また本発明は、
顕微鏡の試料を照明するための複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を制御する照明制御部とを有し、
前記照明制御部は、切り替え可能に前記顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの特性の情報を前記顕微鏡の顕微鏡制御部から取得し、前記蛍光フィルタが切り替えられる際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記顕微鏡制御部に前記蛍光フィルタを切り替えさせることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記照明制御部は、前記蛍光フィルタが切り替えられる際に、前記蛍光フィルタの特性に対応する前記半導体発光素子が複数存在する場合、前記蛍光フィルタの特性に対応する全ての前記半導体発光素子を点灯させることを特徴とする照明装置を提供する。
【0007】
また本発明は、
前記照明装置と、
前記複数の蛍光フィルタと、前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、前記切替手段を制御する前記顕微鏡制御部とを有する顕微鏡とを有することを特徴とする顕微鏡システムを提供する。
【0008】
また本発明は、
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更
し、
前記顕微鏡制御部は、前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応した特性の前記半導体発光素子が存在しない場合、及び前記半導体発光素子が切り替えられる際に、前記半導体発光素子の特性に対応した特性の前記蛍光フィルタが存在しない場合は、前記照明制御部に前記半導体発光素子の点灯を禁止させることを特徴とする顕微鏡を提供する。
また本発明は、
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記照明制御部が前記複数の半導体発光素子の少なくとも2つを同時に点灯させる場合には、点灯させる全ての前記半導体発光素子の特性に対応する特性の前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする顕微鏡を提供する。
また本発明は、
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記複数の蛍光フィルタを使用する際の優先順位の情報を備えており、
前記顕微鏡制御部は、前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせる際に、前記半導体発光素子の特性に対応する前記蛍光フィルタが複数存在する場合には、前記優先順位の高い前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする顕微鏡を提供する。
また本発明は、
複数の蛍光フィルタと、
前記複数の蛍光フィルタを切り替え可能に保持する切替手段と、
前記切替手段を制御する顕微鏡制御部とを有し、
前記顕微鏡制御部は、照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の特性の情報を前記照明装置の照明制御部から取得し、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記照明制御部に前記半導体発光素子を切り替えさせ、前記半導体発光素子が切り替えられる際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記顕微鏡制御部は、前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応する前記半導体発光素子が複数存在する場合、前記照明制御部に前記蛍光フィルタの特性に対応する全ての前記半導体発光素子を点灯させることを特徴とする顕微鏡を提供する。
【0009】
また本発明は、
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更
し、
前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応した特性の前記半導体発光素子が存在しない場合、及び前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応した特性の前記蛍光フィルタが存在しない場合は、前記半導体発光素子の点灯を禁止することを特徴とする制御方法を提供する。
また本発明は、
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記複数の半導体発光素子の少なくとも2つを同時に点灯する場合には、点灯する全ての前記半導体発光素子の特性に対応する特性の前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする制御方法を提供する。
また本発明は、
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記半導体発光素子を切り替える際に、前記半導体発光素子の特性に対応する前記蛍光フィルタが複数存在する場合には、前記複数の蛍光フィルタを使用する際の優先順位の情報に基づいて、前記優先順位の高い前記蛍光フィルタに切り替えることを特徴とする制御方法を提供する。
また本発明は、
切り替え可能に顕微鏡に備えられた複数の蛍光フィルタの切り替えと、切り替え可能に前記顕微鏡の照明装置に備えられた複数の半導体発光素子の切り替えとを連動させる制御方法であって、
前記複数の半導体発光素子の特性の情報と、前記複数の蛍光フィルタの特性の情報とに基づいて、前記蛍光フィルタを切り替える際には、前記蛍光フィルタの特性に応じて前記半導体発光素子を切り替え、前記半導体発光素子を切り替える際には、前記半導体発光素子の特性に応じて前記蛍光フィルタを切り替えることにより、前記半導体発光素子と前記蛍光フィルタとの組み合わせを変更し、
前記蛍光フィルタを切り替える際に、前記蛍光フィルタの特性に対応する前記半導体発光素子が複数存在する場合、前記蛍光フィルタの特性に対応する全ての前記半導体発光素子を点灯させることを特徴とする制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体発光素子と蛍光フィルタを連動して切り替えることが可能な使い勝手の良い照明装置、顕微鏡システム、顕微鏡、制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す図である。
【
図2】顕微鏡システムの主要部分のブロック図である。
【
図3】顕微鏡のフィルタターレットに備えられた複数の蛍光フィルタの具体例を示す図である。
【
図4】照明装置で実行されるLED/蛍光フィルタ連動ルーチンを示すフローチャートである。
【
図5】
図4のLED/蛍光フィルタ連動ルーチンの続きを示すフローチャートである。
【
図6】
図4及び
図5のLED/蛍光フィルタ連動ルーチンの続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る顕微鏡システムを添付図面に基づいて説明する。
はじめに、顕微鏡システムの全体的な構成を説明する。
図1に示すように顕微鏡システム1は、顕微鏡2と、照明装置3とを有する。
顕微鏡2は、落射型蛍光顕微鏡であって、試料4を載置する電動のステージ6と、複数の対物レンズ7を保持した電動のレボルバ8と、フィルタターレット10と、接眼鏡筒11と、カメラ12と、透過照明用光源13と、顕微鏡制御部15とを備えている。
【0013】
フィルタターレット10は、特性の異なる複数の蛍光フィルタ16を保持しており、公知の回転機構によって複数の蛍光フィルタ16を顕微鏡2の光路内に択一的に挿入する電動の回転切替部材である。蛍光フィルタ16は、励起フィルタ16aと、ダイクロイックミラー16bと、吸収フィルタ16cとからなる。なお、フィルタターレット10には、フィルタターレット10が停止していることを検出するための不図示のストップセンサと、光路内に挿入されているフィルタターレット10のアドレスを検出するための不図示のアドレスセンサとが設けられている。
顕微鏡制御部15は、フィルタターレット10等の顕微鏡2の電動要素を制御するものである。
照明装置3は、ファイバケーブル18を介して顕微鏡2に接続されたLEDユニット19と、LEDユニット19を制御する照明制御部20とを有する。
【0014】
上記構成の顕微鏡システム1において、照明装置3のLEDユニット19より放出された光は、ファイバケーブル18によって顕微鏡2内に導かれ、励起光のみが蛍光フィルタ16の励起フィルタ16aを透過する。この励起光は、ダイクロイックミラー16bで反射され、対物レンズ7を介してステージ6上の試料4を落射照明する。落射照明された試料4からの光は対物レンズ7を経た後、蛍光のみがダイクロイックミラー16bと吸収フィルタ16cを透過してカメラ12へ達する。これにより、カメラ12で試料4の画像が撮影されて不図示のモニタに表示され、使用者は試料4を蛍光観察することが可能となる。なお、使用者は、透過照明用光源13を用いて試料4を透過照明して接眼鏡筒11で観察することも可能である。
【0015】
次に、本実施形態に係る顕微鏡システム1の特徴的な構成について説明する。
図2に示すように顕微鏡2の顕微鏡制御部15は、フィルタターレット駆動回路21と、フィルタターレット駆動回路21を制御する顕微鏡CPU22とを有する。なお、本実施形態において顕微鏡制御部15は、顕微鏡2の本体内に配置されているが、顕微鏡2の本体と別体であってもよい。
フィルタターレット駆動回路21は、顕微鏡CPU22の指示によりフィルタターレット10に備えられた不図示の駆動部を駆動してフィルタターレット10を回転させるものである。
【0016】
顕微鏡CPU22は、回転していたフィルタターレット10が不図示のクリック機構によって停止したことをストップセンサから読み出し、光路内に挿入されているフィルタターレット10のアドレスをアドレスセンサから読み出すことが可能である。
顕微鏡CPU22はメモリ22aを備えており、メモリ22aにはフィルタターレット10の各アドレスに配置されている蛍光フィルタ16の特性、及び蛍光フィルタ16を使用する際の優先順位の情報が予め記憶されている。なお、これらの情報は使用者が顕微鏡2に備えられた不図示の入力手段を用いて予め任意に設定入力してもよい。
【0017】
顕微鏡制御部15には、使用者が顕微鏡2を操作するための顕微鏡リモートコントローラ25がケーブルを介して接続されている。
顕微鏡リモートコントローラ25には、正転ボタン26aと、逆転ボタン26bとが備えられている。
正転ボタン26aは、使用者が顕微鏡2の光路内の蛍光フィルタ16を切り替えるために、フィルタターレット10を正回転させる駆動命令を顕微鏡制御部15に入力するものである。逆転ボタン26abは、使用者がフィルタターレット10を逆回転させる駆動命令を顕微鏡制御部15に入力するものである。
【0018】
図2に示すように照明装置3のLEDユニット19は、第1LED23と、第1LED23と特性の異なる第2LED24とを有している。なお、第1、第2LED23、24の光路は、LEDユニット19内で一つにまとめられ、ファイバケーブル18によって顕微鏡2に導かれている。
照明装置3の照明制御部20は、LED制御回路27と、LED制御回路27を制御する照明CPU28とを有する。なお、照明CPU28はメモリ28aを備えている。
LED制御回路27は、照明CPU28の指示により第1、第2LED23、24を個別に又は同時に点灯/消灯させるものである。
【0019】
照明装置3には、使用者が照明装置3を操作するための照明リモートコントローラ30がケーブルを介して接続されている。
照明リモートコントローラ30には、第1ON/OFFボタン31aと、第2ON/OFFボタン31bと、第1ロータリスイッチ32aと、第2ロータリスイッチ32bと、不図示のスピーカが備えられている。
第1ON/OFFボタン31aは、使用者が第1LED23をON/OFFする、即ち第1LED23の点灯/消灯命令を照明制御部20に入力するためのものである。
【0020】
第1ロータリスイッチ32aは、使用者が第1LED23のピーク波長の情報を照明制御部20に入力するためのものである。詳細には、第1ロータリスイッチ32aの各ポジションには、LEDのピーク波長の情報が予め設定されている(例えば、ポジション「1」は「530nm」、ポジション「2」は「625nm」等)。このため、照明制御部20の照明CPU28は第1ロータリスイッチ32aのポジションを読み出すことにより、第1LED23のピーク波長の情報を取得することができる。
なお、第2ON/OFFボタン31b及び第2ロータリスイッチ32bの構成は、第1ON/OFFボタン31a及び第1ロータリスイッチ32aと同様である。
【0021】
上記構成の照明制御部20と顕微鏡制御部15とは、互いの通信を可能にするUSBケーブル34で接続されている。これにより照明制御部20の照明CPU28は、フィルタターレット10に備えられている蛍光フィルタ16の特性や、顕微鏡2の光路内に現在挿入されているフィルタターレット10のアドレスの情報をUSBケーブル34を介して顕微鏡制御部15の顕微鏡CPU22から読み出し、またフィルタターレット10の駆動命令を顕微鏡CPU22へ出力することができる。
【0022】
ここで、本実施形態では、照明装置3のLEDユニット19は、第1LED23としてピーク波長が530nmのLED、第2LED24としてピーク波長が625nmのLEDを一例として備えている。
また、顕微鏡2のフィルタターレット10は、複数の蛍光フィルタ16として
図3に示す4つの蛍光フィルタを一例として備えている。
図3において、例えば励起フィルタ「510−560」は510nmから560nmまでの光を透過し、励起フィルタ「530/36」は530nmを中心に上下18nm(幅36nm)の光を透過するものである。ダイクロイックミラー「565」は565nm以下の光を反射して565nm以上の光を透過し、ダイクロイックミラー「560−590」は560nmから590nmまでの光を透過してそれ以外の光を反射するものである。吸収フィルタ「573−648」は573nmから648nmまでの光を透過し、吸収フィルタ「575/24」は575nmを中心に上下12nm(幅24nm)の光を透過するものである。なお、フィルタターレット10のアドレス「3」の蛍光フィルタ「Cy3/Cy5」を構成する励起フィルタ、ダイクロイックミラー、及び吸収フィルタは、いずれも2つの波長領域の光を透過するマルチバンドフィルタである。
【0023】
以上に述べた構成の顕微鏡システム1において、照明装置3は
図4〜
図6に示し以下に詳述するLED/蛍光フィルタ連動ルーチンを実行するように構成されている。なお、LED/蛍光フィルタ連動ルーチンは、使用者が照明装置3の電源を入れることによって開始される。また、照明装置3におけるLEDユニット19の第1、第2LED23、24は予め消灯されている。
ステップS1:照明装置3における照明制御部20の照明CPU28が、第1、第2LED23、24の特性の情報として、照明リモートコントローラ30の第1、第2ロータリスイッチ32a、32bから第1、第2LED23、24のピーク波長の情報を読み出す。
【0024】
ステップS2:照明CPU28が、顕微鏡2のフィルタターレット10に備えられている複数の蛍光フィルタ16の特性とアドレス、及び上述した蛍光フィルタ16の優先順位の情報を顕微鏡制御部15の顕微鏡CPU22から取得する。具体的には、照明CPU28は蛍光フィルタ16の特性の情報として励起フィルタ16aの透過波長の情報を顕微鏡CPU22から取得する。また、蛍光フィルタ16の優先順位は、本実施形態ではフィルタターレット10のアドレスの昇順に設定されている。
ステップS3:照明CPU28が、顕微鏡CPU22に顕微鏡2の光路内に現在挿入されているフィルタターレット10のアドレスをアドレスセンサから読み出させ、その情報を顕微鏡CPU22から取得する。照明CPU28は、上記ステップS2と本ステップS3により、顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16の特性を認識することができる。
【0025】
ステップS4:照明CPU28が、使用者が顕微鏡リモートコントローラ25の正転ボタン26a又は逆転ボタン26bを操作することで、顕微鏡CPU22が正転ボタン26a又は逆転ボタン26bからフィルタターレット10の駆動命令を受けてフィルタターレット10を回転させている最中であるか否かを判定する。具体的には照明CPU28が、顕微鏡CPU22にフィルタターレット10が回転中であるか否かをストップセンサから読み出させ、その情報を顕微鏡CPU22から取得する。フィルタターレット10が回転中である場合はステップS14へ進み、そうでない場合はステップS5へ進む。
【0026】
ステップS5:照明CPU28が、使用者が照明リモートコントローラ30の第1ON/OFFボタン31a又は第2ON/OFFボタン31bを操作することで、第1、第2ON/OFFボタン31a、31bの少なくとも1つがON状態になっているか否か、即ち第1、第2ON/OFFボタン31a、31bの少なくとも1つから点灯命令が照明CPU28に入力されているか否かを判定する。第1、第2ON/OFFボタン31a、31bの少なくとも1つがON状態である場合はステップS6へ進み、そうでない場合(両方ともOFF状態である場合)はステップS3へ戻る。
【0027】
ステップS6:照明CPU28が、第1、第2ON/OFFボタン31a、31bのうち、ステップS5でON状態であると判定したボタンに対応するLED(以下、「点灯指示LED」という。)の特性と、顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16の特性とが合致しているか否かを判定する。具体的には、点灯指示LEDのピーク波長が、顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16中の励起フィルタ16aを透過できる波長であるか否かを判定する。点灯指示LEDの特性と蛍光フィルタ16の特性とが合致している場合はステップS7へ進み、そうでない場合はステップS8へ進む。なお、点灯指示LEDが複数である場合には、全ての点灯指示LEDの特性と蛍光フィルタ16の特性とが合致している場合のみステップS7へ進む。
【0028】
ステップS7:照明CPU28が、点灯指示LEDを点灯させ、ステップS3へ戻る。
ステップS8:照明CPU28が、点灯指示LEDの特性と合致する特性の蛍光フィルタがフィルタターレット10に備えられているか否かを判定する。点灯指示LEDの特性と合致する特性の蛍光フィルタがフィルタターレット10に備えられている場合はステップS9へ進み、そうでない場合はステップS13へ進む。
ステップS9:照明CPU28が、点灯指示LEDの特性と合致する特性の蛍光フィルタが複数であるか否かを判定する。点灯指示LEDの特性と合致する特性の蛍光フィルタが複数である場合はステップS10へ進み、そうでない場合(1つだけである場合)はステップS11へ進む。
【0029】
ステップS10:照明CPU28が、ステップS2で取得した蛍光フィルタ16の優先順位に基づいて、点灯指示LEDの特性と合致する特性を備えた複数の蛍光フィルタ16のうち、優先順位の最も高い蛍光フィルタ16を顕微鏡2の光路内に挿入するように、フィルタターレット10の駆動命令を顕微鏡CPU22に出力する。これにより、顕微鏡CPU22はフィルタターレット10を回転させ、優先順位の最も高い蛍光フィルタ16を顕微鏡2の光路内に挿入する。
ステップS11:照明CPU28が、点灯指示LEDの特性と合致する特性の蛍光フィルタ16を顕微鏡2の光路内に挿入するように、フィルタターレット10の駆動命令を顕微鏡CPU22に出力する。これにより、顕微鏡CPU22はフィルタターレット10を回転させ、当該蛍光フィルタ16を顕微鏡2の光路内に挿入する。
【0030】
ステップS12:照明CPU28が、点灯指示LEDを点灯させ、ステップS3へ戻る。
ステップS13:照明CPU28が、照明リモートコントローラ30の不図示のスピーカから警告音を出力させ、ステップS3に戻る。この警告音により、点灯指示LEDの特性と合致する特性の蛍光フィルタがフィルタターレット10に備えられていないことを使用者に警告することができる。なお、警告音を出力する代わりに、照明リモートコントローラ30にディスプレイを設けて警告情報を表示したり、照明制御部20にPCを接続してPCのディスプレイに警告情報を表示するようにしてもよい。このことは後述するステップS19においても同様である。
【0031】
ステップS14:照明CPU28が、LEDユニット19の全てのLED、即ち第1、第2LED23、24を消灯する。
ステップS15:照明CPU28が、顕微鏡CPU22にフィルタターレット10が停止しているか否かをストップセンサから読み出させ、その情報を顕微鏡CPU22から取得する。フィルタターレット10が停止している場合はステップS16へ進み、そうでない場合は本ステップS15を再度実行する。
ステップS16:照明CPU28が、顕微鏡CPU22に顕微鏡2の光路内に現在挿入されているフィルタターレット10のアドレスをアドレスセンサから読み出させ、その情報を顕微鏡CPU22から取得する。照明CPU28は、上記ステップS2と本ステップS16により、顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16の特性を認識することができる。
【0032】
ステップS17:照明CPU28が、顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16の特性と合致する特性のLEDがLEDユニット19に備えられているか否かを判定する。当該蛍光フィルタ16の特性と合致する特性のLEDがLEDユニット19に備えられている場合はステップS18へ進み、そうでない場合はステップS19へ進む。
ステップS18:照明CPU28が、ステップS17で顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16の特性と合致する特性を備えていると判定した全てのLEDを点灯させ、ステップS3に戻る。
ステップS19:照明CPU28が、照明リモートコントローラ30の不図示のスピーカから警告音を出力させ、ステップS3に戻る。この警告音により、顕微鏡2の光路内に現在挿入されている蛍光フィルタ16の特性と合致する特性のLEDがLEDユニット19に備えられていないことを使用者に警告することができる。
【0033】
以上のように、照明装置3がLED/蛍光フィルタ連動ルーチンを実行することにより、蛍光観察に使用する第1、第2LED23、24を切り替える際には、切り替えるLEDの特性に合致した蛍光フィルタ16に自動的に切り替えることができ、また蛍光フィルタ16を切り替える際には、切り替える蛍光フィルタ16の特性に合致したLEDに自動的に切り替えることができる。
【0034】
以上より本実施形態に係る顕微鏡システム1は、第1、第2LED23、24と蛍光フィルタ16を連動して切り替えて、蛍光観察で使用する第1、第2LED23、24と蛍光フィルタ16との組み合わせを変更することができるため、使い勝手が非常に良く、操作性を向上することができる。
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、第1、第2LED23、24を切り替える際に、切り替えるLEDの特性に合致した特性の蛍光フィルタがない場合、及び蛍光フィルタ16を切り替える際に、切り替える蛍光フィルタ16の特性に合致した特性のLEDがない場合には、全てのLEDの点灯を禁止して警告音を出力することができる。これにより、試料4に対して不必要に励起光を照射することがないため、試料4の負担を軽減することができる。また、使用者が想定していない第1、第2LED23、24と蛍光フィルタ16の組み合わせで蛍光観察を行うことがないため、想定外の散乱光等が観察中の使用者の目に入ることを防止でき、安全性を向上することができる。
【0035】
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、複数のLED(本実施形態では第1、第2LED23、24の両方)を同時に点灯させて蛍光観察を行う場合には、複数のLEDの特性に合致する特性の蛍光フィルタ16に切り替えることができるため、使い勝手が良い。
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、第1、第2LED23、24を切り替える際に、切り替えるLEDの特性に対応する蛍光フィルタが複数ある場合、優先順位の高い蛍光フィルタ16に切り替えることができるため、使い勝手が良い。
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、蛍光フィルタ16を切り替える際に、切り替える蛍光フィルタ16の特性に合致するLEDが複数ある場合、蛍光フィルタ16の特性に合致する全てのLEDを点灯することができるため、使い勝手が良い。
【0036】
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、照明制御部20の照明CPU28と顕微鏡制御部15の顕微鏡CPU22とがUSBケーブル34を介して通信を行う構成であるため、PC(パーソナルコンピュータ)が不要であり、低コスト化や省スペース化を図ることができるという利点も備えている。
また本実施形態における照明装置3を、複数の蛍光フィルタを切り替え可能に備えたフィルタターレットと、フィルタターレットを制御する顕微鏡制御部とを備えた従来の蛍光顕微鏡に適用すれば、本実施形態に係る顕微鏡システム1と同様の効果を奏することが可能である。
【0037】
なお、本実施形態に係る顕微鏡システム1は、照明装置3が2つのLEDを備え、顕微鏡2のフィルタターレット10が4つの蛍光フィルタ16を備えている。しかしながら、LEDと蛍光フィルタ16の数はこれに限られるものではない。また、LEDに限られず、照明装置3はピーク波長に対して小さな波長域の光のみを放出する光源、例えば有機ELや半導体レーザ等のLED以外の半導体発光素子を備える構成としてもよい。
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、ハロゲンランプをさらに備え、蛍光フィルタ16を切り替える際に、切り替える蛍光フィルタ16の特性に合致した特性のLEDがない場合には、警告音を出力する代わりにハロゲンランプを点灯する構成としてもよい。これにより、顕微鏡システム1の使い勝手をさらに向上することができる。
【0038】
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、照明リモートコントローラ30に第1、第2LED23、24の強度を変更するためのロータリスイッチをさらに備え、第1、第2LED23、24の所望の強度を照明CPU28のメモリ28aに記憶させる構成としてもよい。これにより、照明制御部20がLEDを切り替える際に、メモリ28aに記憶されている所望の強度で第1、第2LED23、24を点灯させることができるため、使い勝手が良い。
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、蛍光フィルタ16を切り替える際に、切り替える蛍光フィルタ16の特性に合致するLEDが複数ある場合、蛍光フィルタ16の特性に合致する全てのLEDを点灯する構成である。しかしながらこれに限られず、第1、第2LED23、24の優先順位を照明CPU28のメモリ28aに記憶しておき、優先順位の高いLEDに切り替える構成としてもよい。
【0039】
また本実施形態に係る顕微鏡システム1は、上記LED/蛍光フィルタ連動ルーチンに基づいて、照明制御部20が第1、第2LED23、24と蛍光フィルタ16の切り替えを制御する構成である。しかしこれに限られず、顕微鏡制御部15が第1、第2LED23、24と蛍光フィルタ16の切り替えを制御する構成としてもよい。詳細には、顕微鏡制御部15が照明装置3に備えられた複数のLEDの特性の情報を照明制御部20から取得し、蛍光フィルタ16を切り替える際には、切り替える蛍光フィルタ16の特性に応じて照明制御部20に第1、第2LED23、24を切り替えさせ、照明制御部20が第1、第2LED23、24を切り替える際には、切り替えるLEDの特性に応じて蛍光フィルタ16を切り替える構成としてもよい。また、顕微鏡制御部15と照明制御部20との間にPCを配置してUSBケーブルやRS232Cケーブルで接続することで、PCが蛍光フィルタ16の特性の情報を顕微鏡制御部15から取得し、かつLEDの特性の情報を照明制御部20から取得して、第1、第2LED23、24と蛍光フィルタ16の切り替えを制御する構成とすることも可能である。
【0040】
以上、本実施形態によれば、半導体発光素子と蛍光フィルタを連動して切り替えることが可能な使い勝手の良い照明装置、顕微鏡システム、顕微鏡、制御方法を実現することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 顕微鏡システム
2 顕微鏡
3 照明装置
10 フィルタターレット
15 顕微鏡制御部
16 蛍光フィルタ
19 LEDユニット
20 照明制御部
22 顕微鏡CPU
23 第1LED
24 第2LED
25 顕微鏡リモートコントローラ
28 照明CPU
30 照明リモートコントローラ
34 USBケーブル