(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仕切板の前記先端部は、前記精鉱側の面の方が前記尾鉱側の面よりも長く、全体として前記振動テーブルの中央側に向かって尖った形状を有する請求項10に記載の仕分け板。
【背景技術】
【0002】
従来から金鉱石の選鉱方法として、金鉱石を破砕した後、適当な粒度に微粉砕したものにシアン化物を用いてシアン化物水溶液中に懸濁させて金を浸出する青化法と呼ばれる方法と、微粉砕された鉱石の比重の違いを利用した比重選鉱によるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1では、比重選鉱のみによって直接精製可能な高品位の金精鉱を回収する方法として、テーブル比重選鉱(振動薄流選鉱ともいう。)が提案されている。
【0004】
一般に、テーブル比重選鉱には、ウィルフレー・テーブルやジェームス・テーブルなどのテーブル比重選鉱機が用いられる。テーブル比重選鉱機は、振動方向に沿って形成されたリッフルを有する振動テーブルと、振動テーブルに往復運動を与えるための振動機構を備える。振動テーブル上には、振動テーブルの振動方向と異なる方向に流れる水流と共に、金鉱石の鉱粒が給鉱される。これにより比重の重い金粒子は、リッフルに沿って振動方向に前進し、精鉱として回収され、比重の軽い脈石鉱物や硫化物の粒子は、水流方向にリッフルを乗り越えて運搬され、尾鉱として排出される。精鉱と尾鉱は、例えば振動テーブルに沿って移動可能な仕切板によって分離され、それぞれの貯槽に回収される。
【0005】
このように比重が異なる鉱粒を振動テーブルに給鉱することにより、精鉱と脈石鉱物や硫化鉱物とが分離して回収されることになる。
【0006】
ところが、単にテーブル比重選鉱機を用いただけでは、精鉱と尾鉱が明確に分離されるわけではない。また、給鉱される鉱石の種類、特に金鉱石のうちでも産地や状況(あらかじめ他の選鉱がされているか否かなど)に応じて、精鉱と尾鉱の分離状況が異なってくる。
【0007】
さらに、テーブル比重選鉱を繰り返し行うことがあるが、それぞれのバッチごとに、同様に精鉱と尾鉱の境界位置が異なってくることがある。
【0008】
このため、操業ごとに仕切板の位置を調節する必要があり、それ故、仕切板は振動テーブルに沿って移動可能に構成される。
【0009】
なお、仕切板の位置を自動的に適切に調整すべく、振動テーブル上に画像処理装置と接続されたCCDカメラ等を使用して振動テーブル上の選別状況を常に無人で監視し、最適な選別が行えるように仕切板を使用して機械的に選鉱することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
このように、仕切板は可動であるため、振動テーブルの表面に密着するように設けるのは困難であり、また、振動テーブルと仕切板との摩耗を防止する必要があるため、0.5〜1mm程度の隙間を有して設ける場合が多い。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0021】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る仕分け板及びこれを用いたテーブル比重選鉱機の一例を示した図である。本実施形態に係るテーブル比重選鉱機は、振動テーブル10と、リッフル11と、振動機構12と、駆動装置13と、精鉱側貯槽20と、尾鉱側貯槽30と、仕分け板40と、ホース50と、流量調整バルブ51と、仕分け板駆動機構60と、カメラ70と、画像解析装置80と、ノズル90と、ホース91と、流量調整バルブ92
とを有する。なお、ノズル90には、供給口90aが複数形成されている。
【0022】
本実施形態に係るテーブル比重選鉱機の基本的な構造は、仕分け板40及びこれに接続されたホース50、流量調整バルブ51を除けば、従来から知られているテーブル比重選鉱機と同様である。振動テーブル10としては、ウィルフレー・テーブル及びジェームス・テーブルとして知られているタイプの振動テーブル10をいずれも適用することができる。
図1においては、ウィルフレータイプのものを示している。振動テーブル10は、いずれのタイプでも、表面に複数のリッフル11を備える。この振動テーブル10は、通常、支持台(図示せず)の上にレールなどの手段を介して載置され、別体の振動機構12により、振動運動が可能となっている。なお、このような振動テーブル10を振動させる振動機構12は周知であるので、その説明は省略する。また、振動テーブル10に沿った奧側には、流量調整バルブ92を有するホース91に接続されたノズル90が設けられ、ノズル90の供給口90aから振動テーブル10の表面全体に亘って、奧側から手前側に向かって水を供給できるように構成されている。
【0023】
ウィルフレータイプとジェームスタイプでは、振動テーブル10の形状およびリッフル11の取付けおよび配置において異なるが、振動テーブル10は、リッフル11の伸長方向に振動運動するように構成されている点では共通する。すなわち、振動テーブル10の表面上に給鉱された鉱粒100のうち、高い比重を有する高比重鉱粒は、リッフル11の伸長方向に沿って、振動テーブル10の前進運動にともなって移動する。一方、低い比重を有する低比重鉱粒は、振動テーブル10の振動運動とは無関係に、テーブル面の傾斜に沿って、リッフル11の伸長方向とは直交する方向に流れる水流の抵抗を受けて、水流と同様の方向にリッフル11を乗り越えて移動する。なお、同様に同じ比重の鉱粒100間では、より細粒のものが振動テーブル10の振動運動にともない前進移動する傾向が強く、より粗粒のものが水流方向に移動する傾向が強くなる。したがって、高比重鉱粒である精鉱のほとんどは、盤の振動運動の方向である前進方向において振動テーブル10の端縁(精鉱側端縁)から脱落して、精鉱側貯槽20に回収される。一方、低比重鉱粒である尾鉱のほとんどは、水流方向である振動テーブル10の側面側において振動テーブル10の端縁(尾鉱側端縁)から脱落して、尾鉱側貯槽30に回収される。これによって、精鉱と尾鉱が分離回収される。なお、上述のように鉱粒の大きさの影響もあるため、精鉱と尾鉱は明確に分離される訳ではなく、両者が混在する片刃と呼ばれるゾーンが存在し、高比重鉱粒のうちの粗粒の一部が尾鉱側端縁から脱落し、低比重鉱粒のうちの細粒の一部が精鉱側に入り込む場合がある。
【0024】
この分離に際しては、振動テーブル10の端縁(精鉱側端縁)に沿って所定の可動範囲内を移動可能な仕分け板40により、精鉱が振動テーブル10より脱落するゾーンと、尾鉱が振動テーブル10より脱落するゾーンとに分割し、それぞれのゾーンの振動テーブル10下に設けられた精鉱側貯槽20、尾鉱側貯槽30に水流と共にそれぞれ回収されることとなる。
【0025】
仕分け板40は、鉱粒100を精鉱と尾鉱に仕分けるための板であり、仕分け板駆動機構60により移動可能に構成されている。本実施形態に係る仕分け板40は、流量調整バルブ51が設けられたホース50に接続され、仕分け板40と振動テーブル10の間の隙間に水等の液体が供給可能に構成されている。これにより、振動テーブル10の表面と仕分け板40の底面との間の隙間に液体を供給することができ、隙間に微細な精鉱101が留まることを防止し、噛み込み等を防止することができる。なお、仕分け板40及び仕分け板駆動機構60の具体的な構成及び機能の詳細については後述する。
【0026】
ところで、ウィルフレータイプの振動テーブル10においては、リッフル11は、振動テーブル10の振動方向に沿って等間隔に配置される。リッフル11の長さは、振動テーブル10の手前側面側の尾鉱排出側では振動テーブル10の全長に及ぶが、右奥側の給鉱側では給鉱される部分に限られており、尾鉱排出側に向けて、それぞれのリッフル11の長さが漸増していくようになっている。また、リッフル11により形成される溝の深さは、振動機構12側から左端手前側の精鉱排出側にかけて漸次浅くなり、かつ、給鉱側から尾鉱排出側にかけて徐々に深くなるようになっている。なお、通常、リッフル11を含む振動テーブル10の上は、リノリウムなどの材料により被覆されている。
【0027】
振動テーブル10は、基本的に、給鉱側から尾鉱排出側に傾斜するように、0°〜10°程度の傾きで配置される。本実施形態に係るテーブル比重選鉱機では、この振動テーブル10の傾斜角が0.5°〜9°の角度範囲で調整されるように構成されており、また、振動テーブル10の給鉱側下方に、この振動テーブル10の傾斜角を調整するための振動テーブル駆動装置13が備えられている。この振動テーブル駆動装置13としては、振動テーブル10の給鉱側を所定範囲で昇降させることができる、アクチュエータなどの既存の駆動機構を用いることができる。
【0028】
鉱粒100の給鉱位置も含めて、振動テーブル10に関する、その他の作用については公知のものと同様であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。また、振動テーブル10の形状、リッフル11および溝の形状、構造および配置などは、鉱石の種類などに応じて、さまざまなものがあり、給鉱される鉱粒の大きさなどにも考慮して、適宜選択されることとなる。
【0029】
カメラ70は、振動テーブル10上の選鉱状態を撮像する撮像手段である。カメラ70が撮像した画像データは、画像解析装置80に送信される。
【0030】
画像解析装置80は、カメラ70から受信した画像データを解析し、精鉱と尾鉱の境界を定めるための手段である。画像解析装置80は、解析した結果に基づいて、仕分け板駆動機構60に指令を送り、仕分け板40を適切な位置に配置するための制御を行う。
【0031】
このような動作を行うことにより、選鉱状態に応じて仕分け板40を適切な位置に移動させつつ、供給された鉱粒100を選鉱して精鉱と尾鉱に分類することができる。なお、カメラ70、画像解析装置80は、必須ではなく、必要に応じて設けるようにしてよい。
【0032】
次に、本発明の実施形態1に係る仕分け板40について詳細に説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施形態1に係る仕分け板40の一例を示した図である。
図2(A)は、
図1において振動テーブル10の左側の側面から見た仕分け板40の正面図であり、
図2(B)は、
図1において振動テーブル10の手前側の側面から見た仕分け板40の側面図である。
【0034】
図2(A)、(B)に示すように、本実施形態に係る仕分け板40は、仕切板41と、仕切板小片41aと、仕切板ベース42と、液体供給部材43と、ノズル44とを備える。また、関連構成要素として、ホース50が示されている。また、仕分け板駆動機構60は、モータ61と、1軸ユニット62とを備える。更に、関連構成要素として、振動テーブル10と、精鉱側貯槽20及び精鉱排出用ホース21と、尾鉱側貯槽30及び尾鉱排出用ホース31と、ホース50と、精鉱101と、尾鉱102とが示されている。
【0035】
図2(B)に示すように、仕分け板40は、振動テーブル10の表面上に、ほぼ垂直に立つように設けられているが、仕分け板40の底面と振動テーブル10の表面との間には、隙間Gが設けられている。かかる隙間Gを設けることにより、仕分け板40は、仕分け板駆動機構60により水平方向に振動テーブル10と接触することなく移動することができる。なお、隙間Gは、用途に応じて種々の設定とすることができるが、例えば、0.3〜2mm、好ましくは0.5〜1mm程度の設定としてもよい。
【0036】
図2(A)、(B)において、仕切板41は、鉱粒100を精鉱101と尾鉱102とに分類し、仕分けるための板であり、境界壁として機能する。
図2(A)に示すように、仕切板41の左側に精鉱101が回収され、仕切板40の右側に尾鉱102が回収される。なお、仕切板ベース42は、仕切板41の土台となる支持板である。また、仕切板小片41aは、仕切板ベース42に取り付けられ、仕切板ベース42よりも内側及び下側に突出し、振動テーブル10上に供給された液体及び鉱粒100と接触する箇所である。以後、仕切板小片41aと仕切板ベース42とは特に区別せずに、全体を仕切板41として呼ぶこととする。
【0037】
液体供給部材43は、ホース50から供給された液体を仕切板41と振動テーブル
10との間の隙間Gに供給するための部材である。液体供給部材は、その底面に液体供給口43aを有し、ホース50から供給された液体を、液体供給口43aを介して供給する。なお、液体供給口43aは、供給した液体が仕切板41の底面を通過することにより、微細な精鉱101が隙間Gに留まらないようにすべく、仕切板41の側面に沿った所から液体を供給する。つまり、液体供給口43aは、仕切板41からあまり離間していない、仕切板41の近傍の箇所に設けられることが好ましい。
【0038】
液体供給部材43は、ホース50から供給された液体を、仕切板41の側面に沿って供給できる構成を有していれば、種々の形状に構成することができるが、例えば、底面に液体供給口43aが形成された平板状の容器のように構成されてもよい。
【0039】
液体供給部材43及び液体供給口43aは、仕切板41の尾鉱側の側面に設けられることが好ましい。これにより、精鉱101が、隙間Gを超えて尾鉱102側に混合することを防止することができる。つまり、液流により仕切板41の下から尾鉱側に壁を設け、精鉱101が尾鉱102側に混合することを確実に防止することができる。
【0040】
ノズル44は、ホース50から液体供給部材43に液体を供給するための部材である。なお、
図1に示したように、ホース50には流量調整バルブ51が設けられ、供給する液体の供給量を調整してよい。例えば、液体の供給量は、1時間に1〜3リットル、例えば2リットル前後であってもよい。また、供給する液体も、用途に応じて種々の液体であってよいが、例えば、水が用いられてもよい。水が供給される場合、流量調整バルブ51ではなく、水道の蛇口にホース50が接続され、蛇口により流量を調整するようにしてもよい。
【0041】
なお、精鉱側貯槽20により回収された精鉱101は、精鉱排出用ホース21を介して回収され、尾鉱側貯槽30により回収された尾鉱102は、尾鉱排出用ホース31を介して回収される。
【0042】
また、仕切板41を含む仕分け板40は、用途に応じて種々の材料により構成することができるが、例えばポリ塩化ビニル製であってもよい。このような材質を用いることによって、精鉱101と尾鉱102の分離時に、仕分け板40を振動テーブル10上でスムーズに移動させることができる。
【0043】
本実施形態では、この仕分け板40は、仕
分け板駆動装置60により駆動可能に構成されている。このような仕
分け板駆動装置60としては、1軸ユニット62を介して、サーボモータ61等により仕分け板40の支点を振動テーブル10に対して前後運動させることができ、かつ、支点を中心に仕分け板40を回動させて、支点と逆側の端縁を振動テーブル10の精鉱側端縁に接触させつつ、仕分け板40を振動テーブル10の精鉱側端縁に沿って所定範囲の水平移動可能とする、既存の駆動機構を用いることができる。
【0044】
本実施形態に係る仕分け板40によれば、液体供給口43aを有する液体供給部材43を備えることにより、仕切板41と振動テーブル10との間の隙間Gに微細な精鉱101が入り込み、噛み込みによる仕切板41の移動
時の動作不良を防止することができる。また、液体供給部材43を尾鉱回収側に設けることにより、精鉱101の尾鉱102への混合を防止することができ、精鉱101の回収率を高めることができる。
【0045】
また、
図2(B)に示すように、本実施形態に係るテーブル比重選鉱機において、仕分け板40が設けられた振動テーブル10の上端部の辺は、角が丸められた丸め形状(又はR形状)に構成された丸め形状部Rを有する。そして、仕切板41は、振動テーブル10の中央側に向かって延びる先端部Eが、丸め形状部Rの内側端部よりも内側に入らず、上面視にて、丸め形状部Rの範囲内にあるように構成されている。つまり、仕切板41の先端部Eが、振動テーブル10の傾斜が開始する箇所よりも、外側に位置するように構成されている。
【0046】
仕切板41の先端部Eが、丸め形状部Rの範囲内にあるように仕分け板40を構成することにより、鉱粒100が水に流されてきたときに、仕切板41の先端で振動テーブル10上を流れる水を遮ってしまい、仕切板41の先端に水が溜まることを防止することができる。
【0047】
図3は、本発明の実施形態1に係る仕分け板の仕切板の形状をより詳細に説明するための図である。
図3(A)は、実施形態1に係る仕分け板の上面図であり、
図3(B)は、比較例に係る仕分け板の側面図であり、
図3(C)は、実施形態1に係る仕分け板の側面図である。
【0048】
図3(B)において、比較例に係る仕切板141が示されており、
図3(C)において、実施形態1に係る仕切板41が示されている。比較例に係る仕切板141及び実施形態1に係る仕切板41の双方とも、振動テーブル10の上方に設けられているが、実施形態1に係る仕切板41の振動テーブル10の中央側に向かって延在する長さが短く、その先端部Eが振動テーブル10の傾斜開始点Sと同じ箇所にあるのに対し、比較例に係る仕切板141は仕切板41よりも長く、その先端部E1が当該傾斜開始点Sよりも内側に存在する。比較例に係る仕切板141の先端部E1のように、傾斜開始点Sよりも内側に存在すると、振動テーブル10上の平坦部を流れる水が仕切板141に遮られ、先端部E1に水が溜まってしまうという現象が発生する。
【0049】
一方、
図3(C)に示した実施形態1に係る仕切板41においては、振動テーブル10の平坦部を流れる水を遮らず、水が丸め形状部Rの傾斜に沿って流れ落ちるので、先端部Eに水が溜まらず、スムーズに水を流すことができる。このように、実施形態1に係る仕分け板40においては、仕切板41の先端部Eを丸め形状部Rの傾斜開始点Sと同じ地点に配置することにより、水をスムーズに流出させ、精鉱及び尾鉱の引っ掛かりを無くし、精鉱の回収効率を高めることができる。
【0050】
また、
図3(A)に示すように、実施形態1に係る仕分け板40の仕切板41は、先端部Eが、全体として尖った形状を有する。また、振動テーブル10の傾斜開始点Sと同じ位置に先端部Eが配置されている。これにより、
図3(A)中、左上側から流れてくる水を引っ掛かり無く流出させ、比重が小さい精鉱のみを効率的に回収することができる。
【0051】
また、
図3(A)において、実施形態1に係る仕切板41の傍に、
図3(B)に示した比較例に係る仕切板141が示されている。比較例に係る仕切板141は、先端部E1が平坦面を有し、振動テーブル10の傾斜開始点Sよりも内側に先端部E1が配置されている。このような構成であると、振動テーブル10の平坦部を流れる水の流出を妨げるとともに、先端部E1に水が溜まってしまい、効率的な精鉱の回収が妨げられてしまう。
【0052】
一方、実施形態1に係る仕切板41は、先端部Eが振動テーブル10の傾斜開始点Sと同位置にあり、また、先端部Eの形状が振動テーブル10の平坦部を流れる水と同じ方向に傾斜しているので、水の流れを妨げず、尾鉱が精鉱に混じることを防止することができる。
【0053】
なお、実施形態1に係る仕切板41は、比較例に係る仕切板141を用いる場合よりも、右側に移動させて用いることが好ましい。仕切板41の内側への入り込み量を少なくした分、精鉱を回収するポイントを右側寄りにする必要があるからである。
【0054】
また、実施形態1に係る仕切板41の先端部E中の最先端部には、その鋭利な先端により人体の皮膚が損傷することを回避するため、平坦面Fが形成されていてもよい。仕切板41の最先端部に平坦面Fを有する形状であっても、先端部Eが全体としては尖った形状を有しているので、水の流れを妨げずに、効率的に流出させることができる。
【0055】
また、尖りの方向は、水の流れに沿った尖り形状であることが好ましいが、振動テーブル10の略中央側に向かって尖った形状であれば、水の流れを妨げない効果が得られるので、必ずしも水の流れの方向に正確に沿った尖り形状でなくてもよい。
【0056】
なお、仕切板41の厚さは、用途に応じて種々の厚さとされてよいが、尖った傾斜面を形成できるような厚さが必要であり、例えば、仕切板41全体として3〜6mm程度であってもよく、例えば、4mmとされてもよい。この場合、仕切板小片41a、仕切板ベース42の双方と各2mmに構成してもよい。その場合、例えば、傾斜面を構成する部分の厚さを1.5mm、平坦面Fを構成する厚さを0.5mmとし、平坦面F:傾斜面の厚さが、1:3となるように構成してもよい。
【0057】
更に、
図3においては、仕切板41の先端部Eが、振動テーブル10の傾斜開始点Sと同地点である例を挙げて説明したが、傾斜開始点Sよりも外側の丸め形状部Rの領域内にあれば、任意の位置に配置することができる。
【0058】
また、
図2、3においては、振動テーブル10の辺の上端部の角を、丸め加工して丸め形状部Rとした例を挙げて説明したが、液体を下に落とすことができる傾斜が形成されていればよいので、直線的な傾斜を含む種々の傾斜面として構成することができ、種々の傾斜部として構成することができる。
【0059】
このように、本実施形態に係る仕分け板40は、仕切板41の底面での微細な鉱粒の噛み込みを低減できるだけでなく、仕切板41の先端部Eの位置を振動テーブル10の傾斜開始点Sと同じかそれよりも外側にするとともに、先端部Eを、水の流れに沿った尖った形状とすることにより、精鉱の回収効率をも高めることができる。
【0060】
図1に戻る。
図1に示すように、本実施形態に係るテーブル比重選鉱機では、振動テーブル10の上方にカメラ70が設置されている。上述のように、必要に応じて、仕分け板40の位置決めを、カメラ70により撮像した振動テーブル10上の選鉱状態に基づいて行ってもよい。カメラ70としては、既存の2値化画像処理システムに用いるものであれば任意のものが採用でき、デジタルカメラなどの静止画撮像機やデジタルビデオカメラなどの動画撮像機など、撮像した画像をデータとして出力できるものを例示することができる。
【0061】
カメラ70は、画像解析装置80と電気的な接続がなされており、撮像データを画像解析装置80に出力する。画像解析装置80としては、既存のサーバ、パーソナルコンピュータなどのハードウェアと、2値画像処理用のソフトウェアなどの組合せのほか、専用の2値化画像処理装置などを用いることができる。かかる画像解析装置80は、入力した撮像データを2値化処理して、盤上の状況に基づいて白黒(0または1)の2値画像データを得る。この2値画像データを画像解析装置80のモニタもしくは外部モニタを通じて表示させることもできる。
【0062】
2値化の際における閾値は、選鉱される鉱石の種類、精鉱における高比重鉱粒の含有率(精鉱の回収率)などに応じてあらかじめ適切に設定ないしは選択される。通常は、既存の選鉱において、精鉱とされる範囲と片刃とされる範囲の境界に、この閾値が設定されるように調整することが好ましい。また、操業開始前にテストを行い、操業ごとに画像解析装置10により適宜閾値を調整できるようにしておくことが好ましい。
【0063】
例えば、必要に応じて、単一波長照明により鉱粒100を照射するようにしたり、カメラ70に光学フィルタを備えたり、あるいは、カメラ70として、近赤外線カメラを用いたりすることができる。例えば、光の反射率が近似する2種以上の鉱粒が混在している場合には、閾値の調整が困難となる可能性がある。このような場合でも、上述の構成を採ることで、目的とする鉱粒のみを選択的に強調して撮影することが可能となり、閾値の調整が容易となる。
【0064】
より具体的には、鉱粒に、自然金と黄鉄鋼や硫砒鉄鉱が混在している場合、これらの光の反射率は近似しているものの、その吸収波長の比較では、自然金は800nm以上の長波長を反射しやすいのに対し、黄鉄鉱や硫砒鉄鉱はこのような長波長の光を吸収しやすいという傾向がある。したがって、たとえば、850nmの波長を有するLED光源などを用いて鉱粒に照射することで、自然金のみを明りょうに撮影することが可能となる。同様の効果は、光学フィルタをカメラ70に取り付けたり、カメラ70自体を長波長の光に対して感度の良好な近赤外線カメラを用いたりすることによっても得ることができる。
【0065】
このように、必要に応じてカメラ70及び画像解析装置80を設け、撮像した振動テーブル10上の選鉱状態に基づいて仕分け板40の位置を制御してもよい。その際、必要に応じて光学フィルタや近赤外線カメラを用いるようにしてもよい。
【0066】
実施形態1に係る仕分け板40及びこれを用いたテーブル比重選鉱機によれば、選鉱中に仕分け板40が頻繁に移動しても、仕切板41と振動テーブル10との間の隙間Gに水等の液体を流しながら選鉱を行うことにより、隙間Gへの微細な精鉱101の噛み込みを防止することができる。また、これにより、精鉱101が研磨剤として作用することを防止し、仕切板41と振動テーブル10を長寿命化することができる。
【0067】
〔実施形態2〕
図4は、本発明の実施形態2に係る仕分け板45の一例を示した図である。実施形態2に係る仕分け板45においては、仕切板41の尾鉱回収側の側面に、液体供給部材43ではなく、気体供給ノズル46が設けられている点で、実施形態1に係る仕分け板40と異なっている。このように、液体だけではなく、気体を仕切板41と振動テーブル10との間の隙間Gに供給する構成としてもよい。なお、気体供給ノズル46は、気体供給管52に接続されており、気体が供給されるように構成されている。また、気体供給管52には、流量調整バルブ53が設けられ、供給する気体の流量を調整できるように構成されている。
【0068】
供給口46aが下を向いた気体供給ノズル46から気体を噴出させることにより、振動テーブル10に衝突した気体は水平方向に広がり、気体流により微細な精鉱101を吹き飛ばし、仕切板41と振動テーブル10との間の隙間Gに微細な精鉱101が堆積することを防止することができる。
【0069】
なお、
図4においては、気体供給ノズル46の供給口46aは真下を向いているが、仕切板41側(内側)に、0度より大きく45度以下の範囲で傾斜させて配置するようにしてもよい。これにより、水平方向成分の気流を増加させることが可能となる。
【0070】
また、気体供給ノズル46は、仕切板41の奥行き方向に複数本設けられてもよい。また、供給される気体は、用途に応じて選択されてよく、例えば、空気、窒素又は不活性ガスであってもよい。
【0071】
なお、仕分け板45以外の構成は、実施形態1に係るテーブル比重選鉱機と同様であってよいので、その説明を省略する。
【0072】
また、仕切板41の先端部を実施形態1と同様に構成し、精鉱効率を高めるように構成してもよいことは、言うまでもない。
【0073】
実施形態2に係る仕分け板45及びテーブル比重選鉱機によれば、気体を用いて仕切板41と振動テーブル10との間の微細な精鉱101の噛み込みによる動作不良を防止することができる。また、これにより、精鉱101が研磨剤として作用することを防止し、仕切板41と振動テーブル10を長寿命化することができる。
【0074】
〔実施形態3〕
図5は、本発明の実施形態3に係る仕分け板47の一例を示した図である。実施形態3に係る仕分け板47においては、仕切板41の尾鉱回収側の側面のみでなく、精鉱回収側の側面にも気体供給ノズル48を設けた点で、実施形態2に係る仕分け板45と異なっている。
【0075】
なお、気体供給ノズル48の供給口48aは下方を向いており、気体供給ノズル48は気体供給管54に接続され、気体の供給が可能に構成されている。また、気体供給管54には流量調整バルブ55が設けられ、流量の調整が可能に構成されている。
【0076】
このように、仕切板41の両側に気体供給ノズル46、48を設ける構成としてもよい。気体の場合、液体よりも微細な精鉱101を吹き飛ばす力が弱い場合もあるので、仕切板41の両側に気流による壁を形成し、仕切板41と振動テーブル10との間の隙間Gへの微細な精鉱101の侵入を防ぐような構成としてもよい。
【0077】
なお、気体供給ノズル46、48は、仕切板41の奥行き方向に各々複数本設けられる構成としてもよい。また、気体供給ノズル46、48の双方とも、供給口46a、48aを仕切板41側(内側)に、0度より大きく45度以下の範囲で傾斜させて配置してもよい。
【0078】
また、気体供給管52、54及び流量調整バルブ53、55をまとめて各々1つとし、気体供給ノズル46、48の双方に気体を供給する構成としてもよい。更に、供給される気体は、用途に応じて選択されてよく、例えば、空気、窒素又は不活性ガスであってもよい。
【0079】
なお、仕分け板47以外の構成は、実施形態1に係るテーブル比重選鉱機と同様であってよいので、その説明を省略する。
【0080】
また、仕切板41の先端部を実施形態1と同様に構成し、精鉱効率を高めるように構成してもよいことは、実施形態2に係る仕分け板45と同様である。
【0081】
実施形態3に係る仕分け板45及びテーブル比重選鉱機によれば、仕切板41の両側から気体を供給し、仕切板41と振動テーブル10との間の微細な精鉱101の噛み込みによる動作不良を防止することができる。また、これにより、精鉱101が研磨剤として作用することを防止し、仕切板41と振動テーブル10を長寿命化することができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。