特許第6048220号(P6048220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6048220熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器
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  • 特許6048220-熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048220
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/04 20060101AFI20161212BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20161212BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20161212BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20161212BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20161212BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   C09J133/04
   C09J11/06
   C09J11/04
   C09J7/00
   C08F2/44 C
   H01L23/36 D
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-39509(P2013-39509)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167061(P2014-167061A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】北川 明子
(72)【発明者】
【氏名】熊本 拓朗
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−047725(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/024094(WO,A1)
【文献】 特開2010−143986(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/001760(WO,A1)
【文献】 特開2011−026531(JP,A)
【文献】 特開2011−068720(JP,A)
【文献】 特開2011−093985(JP,A)
【文献】 特開2012−180495(JP,A)
【文献】 特開2012−229392(JP,A)
【文献】 特開2012−067279(JP,A)
【文献】 特開2012−149179(JP,A)
【文献】 特開2012−251143(JP,A)
【文献】 特開2009−013272(JP,A)
【文献】 特開2011−046961(JP,A)
【文献】 特開2005−179475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
タッキファイヤー(B)を3質量部以上60質量部以下と、
平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)を50質量部以上300質量部以下と、
を含む混合組成物を作製する工程、並びに、
前記混合組成物中において、少なくとも前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行う工程、
を含む、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)の製造方法。
【請求項2】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
タッキファイヤー(B)を3質量部以上60質量部以下と、
平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)を50質量部以上300質量部以下と、
を含む混合組成物を作製する工程、並びに、
前記混合組成物をシート状に成形した後、又は、前記混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行う工程、
を含む、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法。
【請求項3】
求項1に記載の製造方法により得られる熱伝導性感圧接着剤組成物(F)、又は請求項2に記載の製造方法により得られる熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を発熱体に貼合する、電子機器の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、及びこれらの製造方法、並びに、該熱伝導性感圧接着剤組成物又は該熱伝導性感圧接着性シート状成形体を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)、集積回路(IC)チップ等のような電子部品は、その高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。一般的には、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を電子部品等に備えられる発熱体に取り付けることによって放熱させる方法が採られている。発熱体から放熱体への熱伝導を効率よく行うためには、熱伝導性が高いシート状の部材(熱伝導シート)が使用されている。一般的に、発熱体と放熱体とを固定する用途においては、熱伝導性に加えて感圧接着性も備えた組成物(以下、「熱伝導性感圧接着剤組成物」という。)やシート状の部材(以下、「熱伝導性感圧接着性シート状成形体」という。)が必要とされている。
【0003】
上記熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体に関する技術として、例えば特許文献1には、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体と、DBP吸油量が300cm/100g以上、又はBET比表面積が500m/g以上のカーボンブラックと、膨張化黒鉛粉と、を含有してなる、熱伝導性感圧接着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/024094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体は、発熱体から放熱体へと熱を伝えることを目的の一つとして用いられるため、高い熱伝導性が求められる。上記特許文献1に開示された熱伝導性感圧接着剤組成物によれば、膨張化黒鉛粉などを添加することによって、熱伝導性を高めることができる。しかしながら、従来技術では、熱伝導性を向上させるために膨張化黒鉛粉を多量に添加すると、凝集力が不足したり接着力が不足したりすることがあるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、高い熱伝導性を有するとともに十分な凝集力および接着力を有する熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体と、これらの製造方法と、該熱伝導性感圧接着剤組成物又は該熱伝導性感圧接着性シート状成形体を備えた電子機器とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、タッキファイヤー(B)を3質量部以上60質量部以下と、平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)を50質量部以上300質量部以下と、を含む混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われてなる、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)である。
【0008】
本明細書中において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル、及び/又は、メタクリル」を意味する。
【0009】
本発明の第2の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、タッキファイヤー(B)を3質量部以上60質量部以下と、平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)を50質量部以上300質量部以下と、を含む混合組成物をシート状に成形した後、又は該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われてなる、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)である。
【0010】
本発明の第3の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、タッキファイヤー(B)を3質量部以上60質量部以下と、平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)を50質量部以上300質量部以下と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行う工程、を含む、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)の製造方法である。
【0011】
本発明の第4の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、タッキファイヤー(B)を3質量部以上60質量部以下と、平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)を50質量部以上300質量部以下と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物をシート状に成形した後、又は、該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行う工程、を含む、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法である。
【0012】
本発明の第5の態様は、発熱体及び該発熱体に貼合された上記本発明の第1の態様の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)、又は、発熱体及び該発熱体に貼合された上記本発明の第2の態様の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)、を備えた電子機器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い熱伝導性を有するとともに十分な凝集力および接着力を有する熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体と、これらの製造方法と、該熱伝導性感圧接着剤組成物又は該熱伝導性感圧接着性シート状成形体を備えた電子機器とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の使用例を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に所定の粒径の膨張化黒鉛粉およびタッキファイヤーを適量配合することによって、高い熱伝導性を有するとともに十分な凝集力および接着力を有する熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体を得られることを見出した。
【0016】
1.熱伝導性感圧接着剤組成物(F)、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、タッキファイヤー(B)と、平均粒径が50μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粉(C)(以下、単に「膨張化黒鉛粉(C)」ということがある。)と、を含む混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われてなるものである。
【0017】
また、本発明の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、上記混合組成物をシート状に成形した後、又は上記混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われてなるものである。
【0018】
このような熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を構成する物質について以下に説明する。
【0019】
<(メタ)アクリル樹脂組成物(A)>
本発明に用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含んでいる。なお、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を得る際には、上述したように少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われる。当該重合反応を行うことによって(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体は(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の成分と混合及び/又は一部結合する。
【0020】
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量%として、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が50質量%以上98質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が55質量%以上95質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が5質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の含有比率を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物中に、膨張化黒鉛粉(C)を均一に分散させることが容易になる。(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分について、以下により詳細に説明する。
【0021】
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A1))
本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)、及び、有機酸基を有する単量体単位(a2)を含有することが好ましい。
【0022】
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度は、−24℃)、アクリル酸n−プロピル(同−37℃)、アクリル酸n−ブチル(同−54℃)、アクリル酸sec−ブチル(同−22℃)、アクリル酸n−ヘプチル(同−60℃)、アクリル酸n−ヘキシル(同−61℃)、アクリル酸n−オクチル(同−65℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(同−50℃)、アクリル酸2−メトキシエチル(同−50℃)、アクリル酸3−メトキシプロピル(同−75℃)、アクリル酸3−メトキシブチル(同−56℃)、アクリル酸エトキシメチル(同−50℃)、メタクリル酸n−オクチル(同−25℃)、メタクリル酸n−デシル(同−49℃)などを挙げることができる。中でも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルがさらに好ましい。
【0023】
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0024】
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは85質量%以上99.5質量%以下となるような量で重合に供する。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
【0025】
次に、有機酸基を有する単量体単位(a2)について説明する。有機酸基を有する単量体単位(a2)を与える単量体(a2m)は特に限定されないが、その代表的なものとして、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基などの有機酸基を有する単量体を挙げることができる。また、これらのほか、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基などを含有する単量体も使用することができる。
【0026】
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の他、イタコン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステルなどを挙げることができる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの、加水分解などによりカルボキシル基に誘導することができる基を有するものも同様に使用することができる。
【0027】
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのα,β−不飽和スルホン酸、及び、これらの塩を挙げることができる。
【0028】
単量体(a2m)としては、上に例示した有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体がより好ましく、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸がさらに好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸が特に好ましい。これらの単量体は工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く、生産性の点でも好ましい。なお、単量体(a2m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0029】
有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下となるような量で重合に供する。有機酸基を有する単量体(a2m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
【0030】
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、前述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中に導入するのが簡便であり好ましいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
【0031】
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)から誘導される単量体単位(a3)を含有していてもよい。上記有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。
【0032】
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどを挙げることができる。
【0033】
アミノ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アミノスチレンなどを挙げることができる。
【0034】
アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などを挙げることができる。
【0035】
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0036】
有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0037】
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、10質量%以下となるような量で重合に使用することが好ましい。10質量%以下の単量体(a3m)を使用することにより、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述したガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)、有機酸基を有する単量体単位(a2)、及び、有機酸基以外の官能基を有する単量体単位(a3)以外に、上述した単量体と共重合可能な単量体(a4m)から誘導される単量体単位(a4)を含有していてもよい。
【0039】
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体などを挙げることができる。
【0040】
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル(単独重合体のガラス転移温度は、10℃)、メタクリル酸メチル(同105℃)、メタクリル酸エチル(同63℃)、メタクリル酸n−プロピル(同25℃)、メタクリル酸n−ブチル(同20℃)などを挙げることができる。
【0041】
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチルなどを挙げることができる。
【0042】
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエン、及び、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
【0043】
共役ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレンと同義)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエンなどを挙げることができる。
【0044】
非共役ジエン系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどを挙げることができる。
【0045】
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどを挙げることができる。
【0046】
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
【0047】
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどを挙げることができる。
【0048】
単量体(a4m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0049】
単量体(a4m)は、それから導かれる単量体単位(a4)の量が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下となるような量で重合に供する。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述した、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)、有機酸基を有する単量体(a2m)、必要に応じて使用する、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)、及び、必要に応じて使用するこれらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって特に好適に得ることができる。
【0051】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得る際の重合方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などのいずれであってもよく、これら以外の方法でもよい。ただしこれらの重合方法の中で溶液重合が好ましく、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチルなどのカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒を用いた溶液重合がより好ましい。重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。重合開始の方法は、特に限定されないが、重合開始剤として熱重合開始剤を用いるのが好ましい。当該熱重合開始剤は特に限定されず、例えば過酸化物重合開始剤やアゾ化合物重合開始剤を用いることができる。
【0052】
過酸化物重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシドの他、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩などを挙げることができる。これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
【0053】
アゾ化合物重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。
【0054】
重合開始剤の使用量は特に限定されないが、単量体100質量部に対して0.01質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましい。
【0055】
これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件など)は、特に制限がない。
【0056】
重合反応終了後、必要により、得られた重合体を重合媒体から分離する。分離の方法は特に限定されない。例えば、溶液重合の場合、重合溶液を減圧下に置き、重合溶媒を留去することによって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得ることができる。
【0057】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)で測定して、標準ポリスチレン換算で1000以上100万以下の範囲にあることが好ましく、10万以上50万以下の範囲にあることが、より好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量は、重合の際に使用する重合開始剤の量や、連鎖移動剤の量を適宜調整することによって制御することができる。
【0058】
((メタ)アクリル酸エステル単量体(α1))
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有するものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
【0059】
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)と同様の(メタ)アクリル酸エステル単量体を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0060】
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは75質量%以上100質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を得やすくなる。
【0061】
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)、及び、これらと共重合可能な有機酸基を有する単量体(a6m)の混合物としてもよい。
【0062】
上記単量体(a6m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a2m)として例示したものと同様の有機酸基を有する単量体を挙げることができる。単量体(a6m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0063】
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率は、30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を得やすくなる。
【0064】
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及び所望により共重合させることができる有機酸基を有する単量体(a6m)の他に、これらと共重合可能な単量体(a7m)も含む混合物としてもよい。
【0065】
上記単量体(a7m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a3m)、及び単量体(a4m)として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。単量体(a7m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0066】
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a7m)の比率は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0067】
<重合開始剤>
熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を得る際、上述したように(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分が重合する。当該重合反応を促進するため、重合開始剤を用いることが好ましい。当該重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。ただし、得られる熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に強い接着力を付与する等の観点からは、有機過酸化物熱重合開始剤を用いることが好ましい。
【0068】
光重合開始剤としては、公知の各種光重合開始剤を用いることができる。その中でも、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましい。好ましい光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0069】
アゾ系熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられる。
【0070】
有機過酸化物熱重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンのようなペルオキシドなどを挙げることができる。ただし、熱分解時に臭気の原因となる揮発性物質を放出しないものが好ましい。また、有機過酸化物熱重合開始剤の中でも、1分間半減期温度が100℃以上かつ170℃以下のものが好ましい。
【0071】
上記重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましい。
重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率を適正な範囲にし易くなり、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に単量体臭が残ることを防止し易くなる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率が95質量%以上であれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に単量体臭が残ることを防止し易くなる。
また、重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、重合反応が過度に進行して熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)が平滑なシート状にならずに表面に凹凸やピンホールが発生するという事態を防止し易くなる。
【0072】
<タッキファイヤー(B)>
次に、タッキファイヤー(B)について説明する。タッキファイヤー(B)を配合することによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の接着力を強めることができる。しかしながら、タッキファイヤー(B)を多量に添加すると熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の成形が困難であった。本発明者らは、後に詳述する所定の粒径の膨張化黒鉛粉(C)とタッキファイヤー(B)とを併用することによって、タッキファイヤー(B)の添加量を増やしても熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の成形性が良好であることを見出した。タッキファイヤー(B)と所定の粒径の膨張化黒鉛粉(C)とを所定量で配合することによって、熱伝導性を高めつつ、十分な凝集力および接着力を有する熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を得ることができる。
【0073】
タッキファイヤー(B)としては、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と相溶し、溶剤を含まない公知のタッキファイヤー(粘着付与剤)を特に限定することなく用いることができる。例えば、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー、石油樹脂系タッキファイヤーをタッキファイヤー(B)として用いることができる。
【0074】
ロジン系タッキファイヤーとしては、例えば、松ヤニや松根油中のアビエチン酸を主成分とするロジン酸とグリセリンやペンタエリスリトールとのエステル、及び、これらの水添物、不均化物を挙げられる。より具体的には、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、変性ロジン、ロジンエステル(ロジンジオール)などを挙げられる。
【0075】
テルペン系タッキファイヤーとしては、松に含まれるテルペン油やオレンジの皮などに含まれる天然のテルペンを重合したものを挙げられる。より具体的には、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂などを挙げられる。
【0076】
石油樹脂系タッキファイヤーとしては、石油を原料とした脂肪族、脂環族、芳香族系の樹脂を挙げられる。より具体的には、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、スチレン系石油樹脂などが挙げられる。
【0077】
タッキファイヤー(B)としては、ロジン系タッキファイヤーが好ましく、ロジンエステルがより好ましい。
【0078】
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に使用するタッキファイヤー(B)の量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、3質量部以上60質量部以下であり、5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、7質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。タッキファイヤー(B)の含有量を上記範囲の下限以上とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の接着力を向上させやすくなる。また、タッキファイヤー(B)の含有量が上記範囲の上限以下とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の凝集力を維持しつつ成形しやすくなる。
【0079】
<膨張化黒鉛粉(C)>
次に膨張化黒鉛粉(C)について説明する。膨張化黒鉛粉(C)は高い熱伝導性を有しており、膨張化黒鉛粉(C)を添加することによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の熱伝導性を向上させることができる。
【0080】
なお、膨張化黒鉛粉とは、黒鉛を膨張させた後に粉砕して得られものである。本発明に用いる膨張化黒鉛粉(C)の例としては、酸処理した黒鉛を500℃以上1200℃以下にて熱処理して100ml/g以上300ml/g以下に膨張させ、次いでそれを粉砕する工程を含む方法によって得られたものを挙げることができる。より好ましくは、黒鉛を強酸で処理した後にアルカリ中で焼結し、その後再度強酸で処理したものを500℃以上1200℃以下にて熱処理して酸を除去すると共に100ml/g以上300ml/g以下に膨張させ、次いで粉砕する工程を含む方法によって得られたものを挙げることができる。上記熱処理の温度は、特に好ましくは800℃以上1000℃以下である。
【0081】
膨張化黒鉛粉(C)の平均粒径は50μm以上500μm以下であり、100μm以上400μm以下であることが好ましく、150μm以上300μm以下であることがより好ましい。膨張化黒鉛粉(C)の平均粒径が上記の範囲内にあることにより、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は熱伝導性に優れ、かつ、表面が滑らかになる。また、膨張化黒鉛粉(C)の平均粒径が上記範囲の下限以上にあることにより、延伸したときのシートにより高い強度を付与することができる。
【0082】
なお、本発明において「平均粒径」とは、以下に説明する方法で測定したものを意味する。すなわち、レーザー式粒度測定機(株式会社セイシン企業製)を用い、マイクロソーティング制御方式(測定領域内にのみ測定対象粒子を通過させ、測定の信頼性を向上させる方式)により測定する。この測定方法によれば、セル中に測定対象粒子0.01g〜0.02gが流されることで、測定領域内に流れてくる測定対象粒子に波長670nmの半導体レーザー光が照射され、その際のレーザー光の散乱と回折が測定機にて測定されることにより、フランホーファの回折原理から、平均粒径及び粒径分布が算出される。
【0083】
膨張化黒鉛粉(C)の量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)100質量部に対して50質量部以上300質量部以下であり、80質量部以上280質量部以下であることが好ましく、100質量部以上260質量部以下であることがより好ましい。膨張化黒鉛粉(C)の添加量を上記範囲の下限以上とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の熱伝導性を向上させやすくなる。また、膨張化黒鉛粉(C)の添加量を上記範囲の上限以下とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物の流動性が低下して熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を成形し難くなるという事態を抑制できる。
【0084】
<架橋剤(D)>
上述したように、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、混合組成物中において少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われてなる。ただし、さらに架橋剤(D)による、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応がさらに行われることが好ましい。架橋剤(D)を適量用いることによって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体に分子内及び/又は分子間架橋を導入して、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の凝集力および引張強度を向上させやすくなる。
なお、「(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応」とは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)同士の架橋反応、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体同士の架橋反応、及び、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)と(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体との架橋反応のうち、一又は複数の架橋反応を意味する(以下、同じ。)。
【0085】
本発明に用いる架橋剤(D)としては、以下に説明する多官能エポキシ化合物(D1)および多官能性単量体(D2)を挙げることができる。架橋剤(D)は一種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0086】
(多官能エポキシ化合物(D1))
多官能エポキシ化合物(D1)は、官能基を2以上10000以下有する多官能エポキシ化合物である。多官能エポキシ化合物(D1)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中の有機酸基と反応して架橋構造を形成し得る。また、同様に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が有機酸基を有する単量体を含有している場合、該有機酸基と反応し得るため、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体に架橋構造を形成し得る。
【0087】
本発明に用いることができる多官能エポキシ化合物(D1)は、25℃における粘度が600mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましく、400mPa・s以下であることがさらに好ましい。多官能エポキシ化合物(D1)の粘度を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物中に多官能エポキシ化合物(D1)が均一に分散されやすくなり、多官能エポキシ化合物(D1)による上記架橋構造が均一に形成されやすくなると考えられる。なお、多官能エポキシ化合物(D1)の粘度は、以下に説明するようにして測定したものを意味する。
【0088】
(粘度測定方法)
B型粘度計(東京計器株式会社製)を用いて、以下に示す手順で行う。
(1)常温の環境で測定対象を300ml計量し、500mlの容器に入れる。
(2)攪拌用ロータNo.1、2、3、4、5、6、7から、いずれかを選択し、粘度計に取り付ける。
(3)測定対象が入った容器を粘度計の上に置き、ロータを該容器内の測定対象に沈める。このとき、ロータの目印となる凹みが丁度、測定対象の液状界面にくるように沈める。
(4)回転数を20、10、4、2の中から選択する。
(5)攪拌スイッチを入れ、1分後の数値を読み取る。
(6)読み取った数値に、係数Aを掛け算した値が粘度[mPa・s]となる。
なお、係数Aは、下記表1に示すように、選択したロータNo.と回転数とから決まる。
【0089】
【表1】
【0090】
また、本発明に用いることができる多官能エポキシ化合物(D1)は、官能基の数が2以上10000以下であることが好ましく、2以上1000以下であることがより好ましく、2以上10以下であることがさらに好ましい。多官能エポキシ化合物(D1)の官能基の数が上記範囲であることで、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に適切な引張強度を備えさせやすくなる。
【0091】
本発明に用いることができる多官能エポキシ化合物(D1)の具体例としては、レゾルシノールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。中でも、少量でも効果的に架橋構造ができることから、4官能エポキシ化合物が好ましく、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好ましい。多官能エポキシ化合物(B)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0092】
多官能エポキシ化合物(D1)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることがさらに好ましい。多官能エポキシ化合物(D1)の使用量を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な引張強度および凝集力を付与しやすくなる。
【0093】
(多官能性単量体(D2))
多官能性単量体(D2)は重合性不飽和結合を複数有しており、該不飽和結合を末端に有することが好ましい。多官能性単量体(D2)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)に含まれる単量体と共重合可能なものを用いる。
【0094】
多官能性単量体(D2)としては、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−5−トリアジンなどの置換トリアジンの他、4−アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトンなどを用いることができる。中でも、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性単量体(D2)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0095】
多官能性単量体(D2)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることがさらに好ましい。多官能性単量体(D2)の使用量を上記範囲とすることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な接着力および引張強度を付与しやすくなる。
【0096】
多官能エポキシ化合物(D1)および多官能性単量体(D2)を含む架橋剤(D)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、0.15質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.15質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましい。架橋剤(D)の使用量を上記範囲とすることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な接着力、凝集力および引張強度を付与しやすくなる。
【0097】
<性能>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)によれば、タッキファイヤー(B)と所定の粒径の膨張化黒鉛粉(C)とを併用することによって、凝集力(成形性)を良好に保ちつつタッキファイヤー(B)の添加量を増やすことができ、接着力を強めることができる。また、膨張化黒鉛粉(C)を添加することによって熱伝導性を向上させることができる。
【0098】
<その他の添加剤>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)には、これまでに説明した物質以外にも、上述した本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の性能を満足できる範囲で、公知の各種添加剤を添加することができる。
【0099】
公知の添加剤としては、発泡剤(発泡助剤を含む。);金属水酸化物や金属塩水和物などの、添加により難燃性を付与させる熱伝導性無機化合物;ガラス繊維;上述した膨張化黒鉛粉(C)以外の膨張化黒鉛粉やPITCH系炭素繊維などの、添加により難燃性を付与しない熱伝導性無機化合物;外部架橋剤;カーボンブラック、二酸化チタンなど顔料;クレーなどのその他の充填材;フラーレン、カーボンナノチューブなどのナノ粒子;ポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤;アクリル系ポリマー粒子、微粒シリカ、酸化マグネシウムなど増粘剤;などを挙げることができる。
【0100】
2.製造方法
次に、熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法について説明する。
【0101】
熱伝導性感圧接着剤組成物(F)は、これまでに説明した各物質を混合して混合組成物を作製した後、該混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)重合反応を行うことにより得ることができ、架橋剤(D)による、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応がさらに行われることが好ましい。
【0102】
すなわち、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、タッキファイヤー(B)と、膨張化黒鉛粉(C)と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物中において少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行う工程、を含んでいる。
なお、その他に使用できる物質や、各物質の好ましい含有比率等は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0103】
本発明の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、これまでに説明した各物質を混合して混合組成物を作製し、該混合組成物をシート状に成形した後、又は該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)重合反応を行うことにより得ることができ、架橋剤(D)による、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応がさらに行われることが好ましい。
【0104】
すなわち、本発明の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、タッキファイヤー(B)と、膨張化黒鉛粉(C)と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物をシート状に成形した後、又は、該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行う工程、を含んでいる。
なお、その他に使用できる物質や、各物質の好ましい含有比率等は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0105】
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法において、上記重合反応及び架橋反応を行う際には、加熱することが好ましい。当該加熱には、例えば、熱風、電気ヒーター、赤外線などを用いることができる。このときの加熱温度は、重合開始剤が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合が進行する温度が好ましい。温度範囲は、用いる重合開始剤の種類等により異なるが、100℃以上200℃以下が好ましく、130℃以上180℃以下がより好ましい。
【0106】
また、本発明の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法において、上記混合組成物をシート状に成形する方法は特に限定されない。好適な方法としては、例えば、離型処理されたポリエステルフィルムなどの工程紙の上に上記混合組成物を塗布してシートを成形する方法、二枚の離型処理された工程紙間に上記混合組成物を挟んでロールの間を通して押圧することでシートを成形する方法、及び、押出機を用いて上記混合組成物を押出し、その際にダイスを通して厚さを制御することでシートを成形する方法などが挙げられる。上記工程紙は特に限定されないが、上記工程紙の具体例としては、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムや離型処理されたポリエチレンナフタレートフィルムなどを挙げることができる。中でも、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0107】
熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の厚さは0.05mm以上5mm以下にすることができる。熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の厚さを薄くすることによって、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の厚み方向の熱抵抗を低くすることができる。かかる観点から、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の厚さの上限は、好ましくは2mmである。一方、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の厚さの下限は、好ましくは0.1mmである。熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)にある程度の厚さをもたせることによって、当該熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を発熱体及び放熱体に貼付する際に空気を巻き込むことを防止し易くなり、結果として熱抵抗の増加を防止し、且つ、被着体への貼り付け工程における作業性を良好にし易くなる。
【0108】
また、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、基材の片面又は両面に成形することもできる。当該基材を構成する材料は特に限定されない。当該基材の具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ベリリウム銅などの熱伝導性に優れる金属、及び、合金の箔状物や、熱伝導性シリコーンなどのそれ自体熱伝導性に優れるポリマーからなるシート状物や、熱伝導性添加物を含有させた熱伝導性プラスチックフィルムや、各種不織布や、ガラスクロスや、ハニカム構造体などを挙げることができる。プラスチックフィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、芳香族ポリアミドなどの耐熱性ポリマーのフィルムを使用することができる。
【0109】
3.使用例
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、熱伝導性が高く、且つ感圧接着性を有しているため、発熱体と放熱体との間に介在させて、発熱体から放熱体への熱伝導を効率よく行うなどの用途に使用できる。また、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、電子機器に備えられる発熱体である電子部品に取り付け、該電子部品の一部として用いることができる。本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の使用例について、図1を参照しつつ説明する。図1は、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の使用例を説明する図である。
【0110】
図1(A)は、パーソナルコンピュータ等の電子機器の一部を概略的に示す斜視図である。図1(A)には、基板1、基板1上に設置した発熱体である電子部品2、放熱体であるヒートシンク3、および電子部品2とヒートシンク3との間に配置した熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)4と、を示している。
図1(A)に示したように、電子部品2とヒートシンク3とで熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)4を挟んで固定することによって、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)4が有する感圧接着性により、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)4は電子部品2とヒートシンク3とに接着する。そして、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)4は高い熱伝導性を有しているので、電子部品2で発した熱は熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)4を介してヒートシンク3へと効率よく伝えられ、ヒートシンク3から放熱される。
【0111】
図1(B)は、放熱体であるヒートシンク13に熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14、14を介して発熱体であるNPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bを取り付けた様子を概略的に示す斜視図である。
図1(B)に示したように、1つのヒートシンク13に熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14、14を介してNPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bを取り付けることによって、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14が有する感圧接着性により、一方の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14はNPNトランジスタ12aとヒートシンク13とに接着し、他方の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14はPNPトランジスタ12bとヒートシンク13とに接着する。そして、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14は高い熱伝導性を有しているので、NPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bで発した熱は熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14、14を介してヒートシンク13へと効率よく伝えられ、ヒートシンク13から放熱される。このとき、NPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bが、共に、高い熱伝導性を有する熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)14、14を介して一つのヒートシンク13に取り付けられていることによって、NPNトランジスタ12aとPNPトランジスタ12bとで温度差が生じることを抑制できる。
【0112】
図1(C)は、発熱体である2つのトランジスタ22、22が熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)24を介して固定された様子を概略的に示す断面図である。
図1(C)に示したように、2つの発熱体22、22が熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)24を介して固定されることによって、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)24が有する感圧接着性により、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)24は2つの発熱体22、22に接着する。そして、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)24は高い熱伝導性を有しているので、2つの発熱体22、22の一方の温度が他方に比べて高くなれば、一方から他方へと速やかに熱を伝えられるので、2つの発熱体22、22の間で温度差が生じることを抑制できる。
【0113】
なお、図1に示した例では熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を用いたが、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)に代えて熱伝導性感圧接着剤組成物(F)を同様に用いることもできる。また、上記例では放熱体としてヒートシンクを用いたが、電子部品の筐体などを放熱体とすることもできる。以下、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の他の使用例について説明する。
【0114】
上述したように、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は、電子機器に備えられる電子部品の一部として用いることができる。当該電子機器及び電子部品の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード(LED)光源を有する機器における発熱部周囲の部品、自動車等のパワーデバイス周囲の部品、燃料電池、太陽電池、バッテリー、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン、液晶パネル、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は集積回路(IC)などの発熱部を有する機器や部品を挙げることができる。
【0115】
なお、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の電子機器への使用方法の一例としては、LED光源を例にすると下記に記述するような使用方法を挙げることができる。すなわちLED光源に直接貼り付ける;LED光源と放熱材料(ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、グラファイトシート等)との間に挟みこむ;LED光源に接続された放熱材料(ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、グラファイトシート等)に貼り付ける;LED光源を取り囲む筐体として使用する;LED光源を取り囲む筐体に貼り付ける;LED光源と筐体との隙間を埋める;等の方法である。LED光源の用途例としては、透過型の液晶パネルを有する表示装置のバックライト装置(テレビ、携帯、PC、ノートPC、PDA等);車両用灯具;工業用照明;商業用照明;一般住宅用照明;等が挙げられる。
【0116】
また、LED光源以外の具体例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、PDPパネル;IC発熱部;冷陰極管(CCFL);有機EL光源;無機EL光源;高輝度発光LED光源;高輝度発光有機EL光源;高輝度発光無機EL光源;CPU;MPU;半導体素子;等である。
【0117】
更に本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)の使用方法としては、装置の筐体に貼り付けること等を挙げることができる。例えば、自動車等に備えられる装置に使用する場合、自動車に備えられる筐体の内部に貼り付ける;自動車に備えられる筐体の外側に貼り付ける;自動車に備えられる筐体の内部にある発熱部(カーナビ/燃料電池/熱交換器)と該筐体とを接続する;自動車に備えられる筐体の内部にある発熱部(カーナビ/燃料電池/熱交換器)に接続した放熱板に貼り付ける;こと等が挙げられる。
【0118】
なお、自動車以外にも、同様の方法で本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)を使用することができる。その対象としては、例えばパソコン;住宅;テレビ;携帯電話機;自動販売機;冷蔵庫;太陽電池;表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED);有機ELディスプレイ;無機ELディスプレイ;有機EL照明;無機EL照明;有機ELディスプレイ;ノートパソコン;PDA;燃料電池;半導体装置;炊飯器;洗濯機;洗濯乾燥機;光半導体素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体装置;各種パワーデバイス;ゲーム機;キャパシタ;等が挙げられる。
【0119】
更に、発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(F)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(G)は上記の使用方法に留まらず、用途に応じて他の方法で使用することも可能である。例えば、カーペットや温暖マット等の熱の均一化のために使用する;LED光源/熱源の封止剤として使用する;太陽電池セルの封止剤として使用する;太陽電池のバックシ−トとして使用する;太陽電池のバックシ−トと屋根との間に使用する;自動販売機内部の断熱層の内側に使用する;有機EL照明の筐体内部に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層、放熱層、及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層、エポキシ系の放熱層、及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;人や動物を冷やすための装置、衣類、タオル、シート等の冷却部材に対し、身体と反対の面に使用する;電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像成形装置に搭載する定着装置の加圧部材に使用する;電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像成形装置に搭載する定着装置の加圧部材そのものとして使用する;制膜装置の処理対象体を載せる熱流制御用伝熱部として使用する;制膜装置の処理対象体を載せる熱流制御用伝熱部に使用する;放射性物質格納容器の外層と内装の間に使用する;太陽光線を吸収するソーラパネルを設置したボックス体の中に使用する;CCFLバックライトの反射シートとアルミシャーシの間に使用する;こと等を挙げることができる。
【実施例】
【0120】
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
【0121】
<凝集力>
後に説明するようにして2枚の離型PETフィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム。以下同じ。)で挟持された熱伝導性感圧接着性シート状成形体を作製し、その後、上面側の離型PETフィルムを剥がした。このとき、熱伝導性感圧接着性シート状成形体に適正な凝集力が付与されていれば、熱伝導性感圧接着性シート状成形体を破壊することなく離型PETフィルムを剥がすことができる。熱伝導性感圧接着性シート状成形体を破壊することなく剥がせた場合を「○」、熱伝導性感圧接着性シート状成形体が破壊された場合を「×」として、その結果を表2に示した。なお、この評価結果が「×」であったものについては、以降の評価を行っていない。
【0122】
<せん断接着力>
後に説明するようにして2枚の離型PETフィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム。以下同じ。)で挟持された感圧接着性シート状成形体を作製し、これを20mm×25mmに切り出した試験片を用意した。
メチルエチルケトン(MEK)を含ませたキムワイプでアルミニウム板の一方の面を洗浄し、洗浄した面に試験片を貼り付けた。このとき、試験片は2枚の離型PETフィルムで挟持されているので、一方の離型PETフィルムを剥がしてアルミニウム板に貼合し、他方の離型PETフィルム上から圧着ローラーで押圧(1cm/秒の速さで1往復)した。
その後、他方の離型PETフィルムを剥がして空気を噛み込まないようにガラス板を貼り付け、23℃下で2時間放置した。その後、引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−500)にロードセル(1kN)・冶具をセットし、ガラス板の下部を挟んで引張試験機の下チャックで固定した。
次に、アルミニウム板に付されたワイヤーを引張試験機の上フックに掛け、引張速度50mm/分でガラス板及びアルミニウム板を上下に、試験片の長方形の長手方向にずらすように引っ張った。このときの試験力の最大値を読み取り、下記式からせん断接着力を算出した。その結果を表2に示した。
せん断接着力[N/cm]=最大試験力(N)/試験片の接着面の片面の面積(cm
【0123】
<熱伝導率>
後に説明するようにして2枚の離型PETフィルム挟持された熱伝導性感圧接着性シート状成形体を作製し、それを50mm×110mmの大きさに裁断した試験片を用意した。その後、当該試験片の一方の面から離型PETフィルムを剥離し、当該離型PETフィルムを剥がした面に、空気が入らないようにラップフィルム(ポリ塩化ビニル製、厚さ8μm)を貼った。このラップフィルムの大きさは、試験片の粘着面より大きいものであれば良い。そして、この試験片のラップフィルムを貼った面とは反対の面の離型PETフィルムを剥離して、当該離型PETフィルムを剥離した面を後述のリファレンスプレートに接するようにセットし、以下の方法で熱伝導率を測定した。熱伝導率[W/m・K]の測定は、迅速熱伝導率計(商品名「QTM−500」、京都電子工業株式会社製)を用いて、非定常熱線比較法により行った。なお、リファレンスプレートには、石英(電流値:4A)、ジルコニア(電流値:6A)、及び、ムライト(電流値:9A)をこの順で使用した。測定は23℃雰囲気下で行った。結果を表2に示した。
【0124】
<熱拡散効果>
後に説明するようにして2枚の離型PETフィルムで挟持された熱伝導性感圧接着性シート状成形体を作製し、それを25mm×120mmの大きさに裁断した試験片を用意した。試験片から上記2枚の離型PETフィルムを剥離し、長手方向の一方の端部に、マイクロセラミックヒーター(坂口電熱株式会社製、商品名:MS−5、25mm×25mm)を貼り付けた。なお、試験片とマイクロセラミックヒーターとの間には厚さ0.05mmの両面テープを使用した。マイクロセラミックヒーターにスライダックを接続し、マイクロセラミックヒーターに200Vの電圧をかけて60分間加熱した後、マイクロセラミックヒーターの表面をサーモグラフィーで撮影した。試験片を貼り付けた場合と貼り付けなかった場合とのマイクロセラミックヒーターの表面温度を比較し、その差(貼り付けなかった場合のマイクロセラミックヒーターの表面温度−試験片を貼り付けた場合のマイクロセラミックヒーターの表面温度)[℃]を評価し、熱拡散効果[℃]とした。熱拡散効果[℃]の数値が大きいほど、熱拡散の効果が高く熱伝導性が高い。測定は23℃雰囲気下で行った。結果を表2に示した。
【0125】
<熱伝導性感圧接着性シート状成形体の作製>
(実施例1)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)の重量平均分子量(Mw)は270,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は3.1であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
【0126】
次に、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)9.0部と、有機過酸化物熱重合開始剤(1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度は150℃である。))1.0部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びペンタエリスリトールジアクリレートを60:35:5の割合で混合した、架橋剤である多官能性単量体(ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学株式会社製)1.0部と、タッキファイヤー(荒川化学工業株式会社製、商品名「KE−359」、超淡色ロジンエステル)10部と、を電子天秤で計量し、これらを上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)90部と混合した。混合には、恒温槽(東機産業株式会社製、商品名「ビスコメイト 150III」)及びホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」、容量:5L)を用いた。ホバート容器の温調は40℃に設定し、回転数目盛を3にして10分間攪拌した。この工程を第1混合工程という。
【0127】
次に、膨張化黒鉛粉(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC−50」、平均粒径:250μm)120部を計量して上記ホバート容器に投入し、ホバート容器の温調を40℃に設定し、真空(−0.1MPaG)にして、回転数目盛を3にして10分間攪拌した。この工程を第2混合工程という。
【0128】
次に、上記第1混合工程及び第2混合工程を経て得た混合組成物を、厚さ75μmの離型PETフィルム上に垂らし、当該混合組成物上にさらに、厚さ75μmの他の離型PETフィルムを被せた。混合組成物が離型PETフィルムに挟持されたこの積層体を、間隔を650μmに調整した2つのロールの間に通し、混合組成物をシート状に成形した。その後、当該積層体をオーブンに投入し、150℃で15分間加熱した。この加熱工程によって、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び多官能性単量体を重合させ、またほぼ同時に、架橋剤により、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造単位を含む重合体を架橋させ、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(以下、単に「シート」と表記する。)(G1)を得た。なお、シート(G1)中の残存単量体量から(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。評価結果を表2に示した。
【0129】
(実施例2乃至5、及び比較例1乃至5)
各物質の配合を表2に示したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜5に係るシート(G2〜G5)、及び比較例1〜5に係るシート(GC1〜GC5)を作製した。なお、実施例5では第1混合工程において多官能エポキシ化合物(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「EX−1410」、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、官能基数:4、粘度:320mPa・s、全塩素含有量:0.5%未満、エポキシ当量:160)を用い、比較例1では第2混合工程において膨張化黒鉛粉(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC−500」、平均粒径:30μm)を用いた。
【0130】
【表2】
【0131】
表2に示したように、実施例にかかるシート(G1〜G5)は、いずれも凝集力、せん断接着力および熱伝導性が高かった。せん断接着力は接着力に加えて引張強度を図る指標にもなり、実施例にかかるシート(G1〜G5)は、せん断接着力が高かったことによって、接着力および引張強度が強かったと考えられる。
一方、平均粒径が本発明の規定範囲より小さい膨張化黒鉛粉を用いた比較例1にかかるシート(GC1)、タッキファイヤーの配合量が本発明の規定量より多かった比較例3にかかるシート(GC3)、及び膨張化黒鉛粉の配合量が本発明の規定量より多かった比較例5にかかるシート(GC5)は、凝集力が不足していた。また、タッキファイヤーの配合量が本発明の規定量より少なかった比較例2にかかるシート(GC2)は、せん断接着力が低く、接着力が低かったと考えられる。さらに、膨張化黒鉛粉の配合量が本発明の規定量より少なかった比較例4にかかるシート(GC4)は、熱伝導性に劣っていた。
【符号の説明】
【0132】
1 基板
2、12a、12b、22 発熱体
3、13 放熱体
4、14、24 熱伝導性感圧接着性シート状成形体
図1