(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示装置の表示面に透明な接着材を塗布して接着層を形成し、前記接着層を前記ガラス基板の前記空間に接する面に接着したことを特徴とする請求項1又は2に記載の複層ガラス構造体。
前記表示装置は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、または有機ELディスプレイ装置の何れかのディスプレイ装置であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の複層ガラス構造体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
以下の説明において、まず、複層ガラス構造体の基本構造が適用された車両用表示機器について説明し、その後、本発明による複層ガラス構造体の実施形態1について説明する。
【0016】
(第1の車両用表示機器について)
図1は、複層ガラス構造体の基本構造による車両用表示機器の構成を模式的に示した断面図である。また、
図2は、
図1に示した基本構造の第1の車両用表示機器の概略的な平面図である。なお、以下の記載では、一例として、第1の車両用表示機器100が鉄道車両の窓ガラスに適用される場合を想定して、第1の車両用表示機器100の構成および特徴について説明する。
【0017】
図1および
図2に示すように、この第1の車両用表示機器100は、第1のガラス基板110と、第2のガラス基板120と、第1および第2のガラス基板の間に設けられた空間部130とを有する複層ガラス構造体よりなる。
【0018】
第1のガラス基板110は、ガラス面としての第1の表面112および第2の表面114を有する。第1の車両用表示機器100において、第1のガラス基板110は、第2の表面114の側が外側となるようにして配置される。同様に、第2のガラス基板120は、ガラス面としての第3の表面122および第4の表面124を有する。第1の車両用表示機器100において、第2のガラス基板120は、第4の表面124の側が外側となるようにして配置される。従って、空間部130は、第1のガラス基板110の第1の表面112と、第2のガラス基板120の第3の表面122との間に形成される。
【0019】
第2のガラス基板120の第3の表面122には、任意で、機能膜140が設置されても良い。機能膜140の種類は、特に限られない。機能膜140は、例えば、熱線反射膜、UV反射膜等であっても良い。ただし、この機能膜140の設置は、必ずしも必要ではない。
【0020】
空間部130は、周囲がスペーサ材150で密閉されており、これにより、空間部130が外部環境と遮断される。尚、スペーサ材150の詳細な構成については、後述する。また、空間部130内には、乾燥気体が充填される。気体の種類は、従来の複層ガラスの空間部に充填され得るガスであれば、特に限られない。空間部130内には、例えば、乾燥した空気または乾燥した不活性ガスが充填されても良い。
【0021】
このような第1の車両用表示機器100が、例えば鉄道車両の窓ガラス等に適用される場合、第1のガラス基板110の側が内側、すなわち車内側となり、第2のガラス基板の側が外側、すなわち車外側となる。
【0022】
ここで、第1の車両用表示機器100は、さらに、空間部130内に配置された表示装置170を有する。
【0023】
表示装置170は、第1のガラス基板110の第1の表面112に配置されている。また、表示装置170は、第1のガラス基板110の第1の表面112側が表示面側となるようにして、配置される。従って、表示装置170がオン状態のときには、乗客は、第1のガラス基板110の側(すなわち車内側)から、表示装置170が表示する画像または映像等を視認することができる。
【0024】
表示装置170の第1のガラス基板110の第1の表面112への取り付け方法は、特に限られない。表示装置170は、例えば、透明な接着材または透明粘着テープ等を用いて、第1のガラス基板110の第1の表面112に貼り付けても良い。
【0025】
ガラス基板110において表示装置170が貼り付けされた周縁部には黒色のセラミック焼成による印刷膜が形成されても良い。これにより、車内側からは表示装置170に付属する部材等が見なくなり、美観に優れる。
【0026】
このように構成された第1の車両用表示機器100を鉄道車両の窓ガラス等に適用した場合、開閉扉の上部にのみ表示装置を設けた場合に比べて、より多くの客室内の乗客が、表示装置を視認することが可能になる。従って、第1の車両用表示機器100では、より多くの乗客に対して、各種情報を提供することが可能となる。
【0027】
ここで、
図2の例では、第1の車両用表示機器100は、表示装置170として、単一の表示装置170を備える。ただし、表示装置170の数は、特に限られない。表示装置170の数は、2つ以上、例えば3つであっても良い。表示装置170の数は、例えば、第1のガラス基板110の寸法、および表示装置170の寸法等に応じて、自由に選択することができる。また、ガラス基板110全面のうち一部の面に表示装置170が配置されることが好ましい。これにより、表示情報だけでなく車窓からの外観を損なうことがない。特に、ガラス基板110全面のうち2〜40%の部分に表示装置170が配置されることが好ましい。より好ましくは10〜30%の部分である。
【0028】
第1のガラス基板110の車内側面には反射防止処理がなされていることが好ましい。少なくとも表示装置170の画像が表示される部分には反射防止処理がなされていることが好ましい。反射防止処理は、例えば反射防止層のコーティング等でなされる。
【0029】
また、第1のガラス基板110に対する表示装置170の取付位置は、特に限られない。ただし、表示装置170は、
図2に示すように、第1の車両用表示機器100の上部の上辺102の近傍に取り付けることが好ましい。これにより、表示装置170に接続される配線類を目立たなくすることができる。また、座席に座った乗客によって、表示装置170が陰になることを有意に回避することができる。さらに、ガラス基板110全面のうち一部の面に表示装置170が配置されることが好ましい。これにより、表示情報だけでなく車窓からの外観を損なうことがない。特に、ガラス基板110全面のうち2〜40%の部分に表示装置170が配置されることが好ましい。より好ましくは10〜30%である。
【0030】
また、表示装置170が複数存在する場合も、その配置形態は、特に限られない。例えば、各表示装置170は、水平方向に沿って、一列に配置されても良い。この場合も、前述のように、各表示装置170は、第1の車両用表示機器100の上部の上辺102の近傍に配置することが好ましい。なお、表示装置170を複数配置する場合、上述のように1枚のガラス基板110に配置することも、複数のガラス基板110、120に1つずつ配置しこのガラス基板110、120を並列配置することもできる。どちらの場合でも、ガラス基板110、120の全面に対する表示装置の占有面積割合は、先に述べた2〜40%が好ましい。より好ましくは10〜30%である。
【0031】
(第2の車両用表示機器について)
次に、
図3を参照して、第2の車両用表示機器について説明する。
【0032】
図3には、第2の車両用表示機器の模式的な断面図を示す。なお、ここでも、以下の記載では、一例として、第2の車両用表示機器200が鉄道車両の窓ガラスに適用される場合を想定して、第2の車両用表示機器200の構成および特徴について説明する。
【0033】
図3に示すように、この第2の車両用表示機器200は、基本的に、
図1に示した第1の車両用表示機器100と同様の構成を有する。従って、第2の車両用表示機器200において、第1の車両用表示機器100と同様の部材には、
図1に示した参照符号に100を加えた参照符号が付されている。
【0034】
なお、第2の車両用表示機器200においても、第2のガラス基板220の第3の表面222に設けられた機能膜240は、任意に設置されるものであり、必須の構成部材ではない。
【0035】
ここで、この第2の車両用表示機器200は、第2のガラス基板220の第3の表面222側に、さらに不透明部材275が設置されている点が、第1の車両用表示機器100とは異なっている。
【0036】
この不透明部材275は、第2の車両用表示機器200を車両の外側(すなわち第2のガラス基板220の側)から見たとき、表示装置270と対応する位置に配置される。例えば、不透明部材275は、表示装置270よりも一回り大きな寸法で配置されても良い。
【0037】
このような不透明部材275の設置により、表示装置270に対し陰となり、鉄道車両の外側にいる人が第2の車両用表示機器200を眺めた際に、表示装置270の背面が視認されにくくなる。これにより、表示装置270の背面が露呈して、第2の車両用表示機器200、さらには鉄道車両の美感が損なわれることを有意に抑制することができる。
【0038】
不透明部材275の形態は、特に限られない。不透明部材275は、例えば、有機インクまたはセラミック焼成による印刷膜やステッカー等であっても良い。
【0039】
(車両用表示機器の適用例について)
図4には、車両用表示機器400(第3の車両用表示機器)を鉄道車両の窓ガラスに適用した例を概略的に示す。
図4は、車両用表示機器400を鉄道車両の内側、すなわち客室401側から見た状態を示している。
【0040】
第3の車両用表示機器400は、例えば金属製の枠部材405で囲まれた空間に配置されるガラス構造体からなる。
【0041】
第3の車両用表示機器400は、基本的に、前述の
図1および
図2に示した第1の車両用表示機器100と同様の構成を有する。従って、第3の車両用表示機器400において、第1の車両用表示機器100と同様の部材には、
図1に示した参照符号に300を加えた参照符号が付されている。
【0042】
ただし、
図4の例では、第3の車両用表示機器400は、3つの表示装置470a、470b、470cを有する。これらの表示装置470a、470b、470cは、車両用表示機器400の上部に形成された上辺近傍、すなわち上部の枠部材405の直下に、一列に沿って配置されている。
【0043】
前述の第1の車両用表示機器100の場合と同様、車両用表示機器400は、第1のガラス基板(窓ガラス)410の側が客室401の側(すなわち乗客側)となるようにして、鉄道車両に設置される。従って、客室401内の乗客は、各表示装置470a、470b、470cに表示される表示物(画像)を視認することができる。
【0044】
表示装置470a、470b、470cに表示される表示物の態様は、特に限られないが、例えば、文字情報、画像または映像等であっても良い。例えば、表示装置470a、470b、470cには、窓の外に見える様々なランドマーク等の地理上の特徴物を案内する情報等を表示しても良い。あるいは、表示装置470a、470b、470cには、各種宣伝公告、または電車の運行情報等のニュース情報などを表示しても良い。
【0045】
また、各表示装置470a、470b、470cに同一時間に表示される表示物は、同一であっても、異なっていても良い。後者の場合、例えば、
図4において、左から右、または右から左に向かって、像が連続的に変化するようにして、各表示装置470a、470b、470cにわたって、一連の画像または映像を表示しても良い。
【0046】
前述のように、車両用表示機器400を鉄道車両の窓ガラスに適用した場合、従来のような開閉扉の上部にのみ表示装置を配置した場合に比べて、より多くの乗客に対して、画像または映像のような表示物を提供することが可能となる。
【0047】
(車両用表示機器の各構成部材について)
次に、車両用表示機器に含まれる各構成部材の仕様等について、簡単に説明する。なお、ここでは、
図3に示した第2の車両用表示機器200を例に、その構成部材について説明する。ただし、以下の記載が第1の車両用表示機器100および第3の車両用表示機器400を構成する構成部材にも、同様に適用し得ることは当業者には明らかである。また、以下の説明において、記載を明確にするため、各部材には、
図3に示した参照符号を使用する。
【0048】
(第1および第2のガラス基板210、220)
第1のガラス基板210の寸法は、特に限られない。第1のガラス基板210の寸法は、車両用表示機器200が適用される部位に応じて、自由に選定できる。例えば、第1のガラス基板210の厚さは、1mm〜5mm程度であっても良い。
【0049】
第1のガラス基板210のガラス組成は、特に限られない。第1のガラス基板210は、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、もしくは有機ガラス等であっても良い。
【0050】
なお、第1のガラス基板210の少なくとも一方の表面は、化学強化処理または物理強化処理されていても良い。
【0051】
ここで「化学強化処理(法)」とは、ガラス材料をアルカリ金属を含む溶融塩中に浸漬させ、ガラス材料の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する技術の総称を言う。「化学強化処理(法)」では、処理されたガラス材料の表面には、元の原子よりも原子径の大きなアルカリ金属(イオン)が配置される。このため、ガラス材料の表面に圧縮応力を付与することができ、これによりガラス材料の強度が向上する。
【0052】
例えば、第1のガラス基板210がナトリウム(Na)を含む場合、化学強化処理により、このナトリウムは、例えばカリウム(K)と置換される。あるいは、例えば、第1のガラス基板210がリチウム(Li)を含む場合、化学強化処理により、このリチウムは、例えばナトリウム(Na)および/またはカリウム(K)と置換されても良い。
【0053】
また、「物理強化処理(法)」とは、ガラス材料を高温の「飴」状の状態から急冷することにより、ガラス材料内に残留応力分布を形成する技術を言う。通常の場合、ガラス材料の内部は、表面に比べて急冷の影響を受けにくく、比較的ゆっくりと降温固化される。このため、急冷中は、ガラス材料の内部から表面に向かって、残留圧縮応力が大きくなり、残留圧縮応力の深さ方向プロファイルが得られる。最終的に得られるガラス材料の表面には、比較的深い厚さで圧縮応力層が形成され、これにより物理強化処理前に比べて、ガラス材料の強度が向上する。
【0054】
化学強化処理および物理強化処理される領域は、特に限られない。例えば、第1のガラス基板210は、実質的に、露出表面全体が強化処理されても良い。また、例えば、第1のガラス基板210は、第1の表面212および第2の表面214のうちの一方の表面のみが強化処理されても良い。
【0055】
第1のガラス基板210に対してこのような表面強化処理を実施することにより、第1のガラス基板210の強度が向上する。また、第1のガラス基板210の厚さを、より薄くすることができる。
【0056】
第2のガラス基板220についても、第1のガラス基板210と同様のものが使用できる。なお、第1のガラス基板210と第2のガラス基板220の材質、寸法(厚さ)、および物性等は、同一であっても、異なっていても良い。
【0057】
(表示装置270について)
第2の車両用表示機器200に使用される表示装置270は、第1のガラス基板210と、第2のガラス基板220との間に形成される空間部230に収納可能な厚さを有するパネル状に形成されている。また、表示装置270の種類は、特に限られない。表示装置270は、例えば、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、または有機ELディスプレイ装置等であっても良い。
【0058】
また、表示装置270の寸法は、特に限られないが、あまりに大きな寸法の場合、重量が大きくなり、第1のガラス基板210に取り付けることが難しくなる。表示装置270の寸法は、例えば、10インチ〜46インチの範囲である。
【0059】
なお、表示装置270の厚さ(
図3におけるX方向の長さ)は、空間部230の厚さ(
図3におけるX方向の長さ)よりも薄いことが好ましい。表示装置270の厚さが空間部230の厚さと実質的に等しい場合、表示装置270の背面に隙間がなくなるため、振動等が生じた際に、表示装置270が第2のガラス基板220と当接して、第2のガラス基板220が損傷を受ける可能性がある。
【0060】
第1のガラス基板210、さらには第2の車両用表示機器200に対する表示装置270の設置位置は、特に限られないが、前述のように、表示装置270は、第2の車両用表示機器200の上端に形成された上辺の近傍、すなわち、上部スペーサ材250の直下に配置することが好ましい。これにより、表示装置270に接続される配線類を目立たなくすることができる。また、座席に座った乗客によって、表示装置270が陰になることを有意に回避することができる。
【0061】
表示装置270の第1のガラス基板210への取り付け方法は、特に限られない。表示装置270は、例えば、透明接着材または透明粘着テープ等を用いて、第1のガラス基板210の第1の表面212に取り付けても良い。
【0062】
透明接着材は、例えば、透明樹脂で構成されても良い。透明接着材は、例えば、液状の硬化性樹脂組成物を硬化することにより、形成されても良い。
【0063】
この場合、第1のガラス基板210の第1の表面212上に未硬化の樹脂組成物を塗布し、さらに樹脂組成物上に表示装置270を配置した後、樹脂組成物を硬化させることにより、第1のガラス基板210と表示装置270とが接合される。
【0064】
透明接着材は、25°Cにおけるせん断弾性率が、10
3Pa〜10
7Paの範囲であることが好ましく、10
4Pa〜10
6Paの範囲であることがより好ましい。特に、透明接着材の25°Cにおけるせん断弾性率が10
4Pa〜10
5Paの範囲である場合、第1のガラス基板210および表示装置270との接合の際に生じ得る空隙を、比較的容易に消失させることができる。
【0065】
25°Cにおけるせん断弾性率が10
3Pa以上の場合、透明接着材の形状を適正に維持できる。また、透明接着材の厚さが比較的厚い場合であっても、透明接着材全体で厚さを均一に維持することができ、第1のガラス基板210と表示装置270を接合する際に、表示装置270と透明接着材との界面に、空隙が発生し難くなる。
【0066】
また、透明接着材の25°Cにおけるせん断弾性率が10
4Pa以上の場合、透明接着材の変形を有意に抑制することができる。透明接着材のせん断弾性率が10
7Pa以下の場合、第1のガラス基板210と表示装置270とを接合した際に、透明接着材が良好な密着性を発揮できる。
【0067】
透明接着材の厚さは、0.03mm〜2mmが好ましく、0.1mm〜0.8mmがより好ましい。
【0068】
透明接着材の厚さが0.03mm以上の場合、第1のガラス基板210の外側から第2の車両用表示機器200に向かって外力等が加わった際に、透明接着材によって、外力による衝撃を有効に低減することができ、これにより、表示装置270を適正に保護することが可能となる。また、第1のガラス基板210と表示装置270の間に、透明接着材の厚さ未満の寸法の異物が混入しても、透明接着材の厚さがあまり変化しないため、異物混入による光透過性能への影響を有意に抑制することができる。また、透明接着材の厚さが2mm以下の場合、透明接着材による表示装置270部分の厚さの上昇を、有意に抑制することができる。
【0069】
なお、透明接着材は、単一の層としてではなく、平面視中央部分の層状部と、該層状部の周囲を取り囲む堰状部とで構成されても良い。堰状部は、例えば、第1のガラス基板210上で、液状の硬化性樹脂組成物から透明接着材を形成する際に、硬化性樹脂組成物が第1の表面212上で所定の範囲を超えて、外方に広がることを抑制する役割(すなわち、層状部用の液状の硬化性樹脂組成物の流出を堰き止める役割)を有する。
【0070】
堰状部は、中央部分の層状部を構成する硬化性樹脂組成物とは異なる硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、構成されても良い。
【0071】
(機能膜240について)
必要に応じて、第2のガラス基板220の第3の表面222の少なくとも一部には、機能膜240が設置されても良い。
【0072】
機能膜240の種類は、特に限られない。機能膜240は、例えば、熱線反射膜、UV線反射膜等であっても良い。
【0073】
機能膜240を設置することにより、第2の車両用表示機器200に、各種機能を付与することができる。
【0074】
なお、これに加えてまたはこれとは別に、第1のガラス基板210の第1の表面212および/または第2の表面214に、第2の機能膜を設置しても良い。ただし、第1のガラス基板210の第1の表面212に第2の機能膜を設置する場合、表示装置270が設置されている領域以外の領域に、第2の機能膜を設置することが好ましい。
【0075】
(不透明部材275について)
必要に応じて、第2のガラス基板220の第3の表面222の少なくとも一部に、不透明部材275が設置される。なお、第2のガラス基板220の第3の表面222に機能膜240が存在する場合、不透明部材275は、機能膜240の上部に配置される。あるいは、機能膜240が、不透明部材275としての役割を兼ねても良い。
【0076】
不透明部材275を設置することにより、鉄道車両の外側にいる人が第2の車両用表示機器200を眺めた際に、表示装置270の背面が視認されにくくなる。これにより、第2の車両用表示機器200の美感が向上する。なお、この目的のため、不透明部材275の寸法は、第2の車両用表示機器200を第2のガラス基板220の側から見たとき、表示装置270よりも少なくとも一回り大きな寸法であることが好ましい。
【0077】
不透明部材275の種類および設置方法は、特に限られない。不透明部材275は、例えば、有機インクまたはセラミック焼成による印刷膜や貼付されたステッカー等であっても良い。
【0078】
印刷膜は、例えば、スクリーン印刷法またはインクジェット印刷法等により、第2のガラス基板220の第3の表面222に設置しても良い。セラミック焼成による印刷膜は、例えば、顔料または染料を含有するガラスフリットをスクリーン印刷で第2のガラス基板220の第3の表面222にスラリーを塗布した後、第2のガラス基板220の加熱強化処理時に焼成させることにより、形成しても良い。ステッカーは、例えば、絵柄が外側(第2のガラス基板220側)となるようにして、第2のガラス基板220の第3の表面222に貼付されても良い。
【0079】
なお、可能な場合、不透明部材275は、表示装置270の背面(第2のガラス基板220側)に、直接設置しても良い。
【0080】
(スペーサ材250について)
スペーサ材250としては、従来の複層ガラスにおいて使用されているものを適用することができる。例えば、スペーサ材250は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であっても良い。また、乾燥剤を混練した樹脂製スペーサを用いることもできる。
【0081】
スペーサ材250は、内部を中空にして、例えば、シリカゲルのような乾燥剤を内部に設置しても良い。これにより、外界から空間部230への水分の侵入を、よりいっそう抑制することができる。
【0082】
(車両用表示機器の基本的な製造方法について)
次に、
図5〜
図7を参照して、車両用表示機器の基本的な製造方法の一例について、簡単に説明する。
【0083】
図5には、車両用表示機器の製造方法のフローを概略的に示す。また、
図6〜
図7には、
図5に示した製造方法の中の一工程の様子を概略的に示す。
【0084】
なお、ここでは、一例として、
図3に示した第2の車両用表示機器200を例に、その製造方法を説明する。ただし、以下に記載の製造方法が、第1の車両用表示機器100および第3の車両用表示機器400を構成する際にも、同様に適用し得ることは当業者には明らかである。また、以下の説明では、記載を明確にするため、各部材の説明の際には、
図3に示した参照符号を使用する。
【0085】
図5に示すように、この車両用表示機器の基本的な製造方法は、
(a)第1のガラス基板の第1の表面に、少なくとも一つの表示装置を取り付けるステップ(ステップS110)と、
(b)第1のガラス基板と第2のガラス基板とを、間に密閉空間が形成されるように積層するステップであって、前記表示装置は、前記密閉空間内に配置されるステップ(ステップS120)と、
を有する。
【0087】
(ステップS110について)
まず、第1および第2の表面212、214を有する第1のガラス基板210、ならびに第3および第4の表面222、224を有する第2のガラス基板220が準備される。なお、第2のガラス基板220の第3の表面222には、機能膜を配置しても良い。
【0088】
次に、
図6に示すように、第1のガラス基板210の第1の表面212の所望の位置に、少なくとも一つの表示装置270が配置される。また、第2のガラス基板220の第3の表面222の所定の位置に、不透明部材275が設置される。ただし、不透明部材275の設置は、任意である。
【0089】
(ステップS120について)
次に、第1のガラス基板210の第1の表面212と、第2のガラス基板220の第3の表面222とが対向するようにして、両ガラス基板210、220が積層される。ここで、第1のガラス基板210と第2のガラス基板220は、両者の間に、表示装置270を収容することが可能な空間が形成されるようにして、相互に積層される。
【0090】
図7には、第1のガラス基板210と第2のガラス基板220の間にそのような空間が形成されるようにして、両ガラス基板210、220を積層する工程の一例を示す。
【0091】
図7に示すように、第1のガラス基板210の周囲には、略角柱状の4つのスペーサ材250a〜250dが配置される。これらのスペーサ材250a〜250dの高さ(図のZ方向の長さ)は、表示装置270の高さよりも大きいことに留意する必要がある。
【0092】
各スペーサ部材は、内部が中空になっており、この中に、シリカゲル等の乾燥剤を添加しても良い。
【0093】
このようなスペーサ材250a〜250dを用いることにより、両ガラス基板210、220を積層した際に、両者の間に、密閉空間である空間部230を形成することができる。また、この空間部230内に、表示装置270を収容することができる。
【0094】
なお、スペーサ材250a〜250dと、第1および第2のガラス基板210、220との接合方法としては、例えば、気密を保つためのシール性の高い接着材により接着した後、より接着強度の高い接着材により強固に固定することができる。以上の工程により、第2の車両用表示機器200を製造することができる。
【0095】
(複層ガラス構造体の実施形態1)
図8は本発明による複層ガラス構造体の実施形態1による車両用表示機器の構成を模式的に示した正面図である。
図9は
図8中、VIII−VIII線に沿う縦断面図である。
【0096】
ここでは、表示装置470a〜470cに接続される各ケーブルの配線構造について説明する。各ケーブルの配線構造以外については、前述した第1〜第2の車両用表示機器と同様なため、説明を省略する。一例として、
図3に示した第3の車両用表示機器400を例に、複層ガラス構造体の実施形態1及びその製造方法について説明する。
【0097】
図8及び
図9に示されるように、第3の車両用表示機器400は、第1のガラス基板410と、第2のガラス基板420と、第1および第2のガラス基板410、420の間に設けられた空間部430とを有する複層ガラス構造体440よりなる。尚、表示装置470a〜470cは、それぞれのパネル状に形成されたディスプレイ装置からなる。
【0098】
また、複層ガラス構造体440は、表示装置470a〜470cの下端縁部472を保持する表示装置保持部材520a〜520cにより保持されている。この表示装置保持部材520a〜520cは、後述するように第1のガラス基板410の空間430に面する内側に形成された第1の表面412に接着されることで各表示装置470a〜470cを保持する。また、各表示装置470a〜470cは、表示面474が第1のガラス基板410の空間430に面する内側に形成された第1の表面412に透明接着材により接着される。
【0099】
そのため、表示装置保持部材520a〜520cは、各表示装置470a〜470cの荷重(質量)を全て支える必要がなく、むしろ表示装置470a〜470cの下端縁部472が第1のガラス基板410の第1の表面412から剥がれないように保持している。すなわち、表示装置保持部材520a〜520cは、各表示装置470a〜470cの表示面474と第1のガラス基板410の第1の表面412との間に塗布された透明接着材の接着力が低下した場合の安全策として各表示装置470a〜470cをサポートする補助的な固定部材として機能する。
【0100】
(第1のスペーサ材について)
ガラス面が互いに対向する第1のガラス基板410と第2のガラス基板420との間の四辺の間隙は、各四辺の長さに応じた全長を有する第1のスペーサ材450a〜450dにより形成される。また、角部の間隙は、各四辺に取り付けられる第1のスペーサ材450a〜450dの端部が直交する角部に配置される第2のスペーサ材460a〜460dにより形成される。尚、
図9においては、ガラス基板410、420の上端に取り付けられる第1のスペーサ材450aのみが図示されているが、上端以外の他のスペーサ材450b〜450dの形状及び取付構造は同じである。尚、第1のスペーサ材450a〜450dの内部には、乾燥剤を挿入しても良い。
【0101】
図9に示されるように、第1のスペーサ材450a〜450dは、例えば、アルミニウム合金が曲げ加工され、内部にケーブル480が挿通される第1のケーブル挿通路452が長手方向に延在形成されている。また、第1のスペーサ材450a〜450dは、空間部430を囲む内側にスリット454が形成されている。このスリット454は、内部の第1のケーブル挿通路452と、空間部430とを連通する連通路である。尚、第1のケーブル挿通路452及びスリット454は、組立て完了後に乾燥気体を空間部430に供給するための気体供給通路としても兼用される。
【0102】
このスリット454は、ガラス基板410、420の各四辺の長さに応じた直線状に形成されており、且つ各表示装置470a〜470cに接続されるケーブル480の外径よりも幅広に形成されている。
【0103】
また、第1のスペーサ材450a〜450dは、第1のガラス基板410の空間430に面する内側の第1の表面412と、第2のガラス基板420の空間430に面する内側の第1の表面422に対して第1の接着層490により接着される。第1の接着層490は、気密性を確保するため、例えばシール性の高いブチルゴムからなる接着材が用いられる。
【0104】
また、第1のスペーサ材450a〜450dの外側の外周面と一対のガラス基板410、420の外周縁部416、426との間に形成された凹部には、接着強度の高い第2の接着層495が充填される。第2の接着層495としては、例えば、高い剛性を有するシリコン系の接着材が用いられる。
【0105】
(第2のスペーサ材について)
図10は
図8中、A部を正面からみた縦断面図である。尚、第2のスペーサ材460a〜460dは、それぞれ同一構成であるので、
図10においては第2のスペーサ材460aのみを図示している。
【0106】
図10に示されるように、第2のスペーサ材460aは、例えば、上辺に取り付けられた第1のスペーサ材450aの端部と左辺に取り付けられた第1のスペーサ材450bの端部との間に介在する。また、第2のスペーサ材460aは、L字状に形成されており、角部に位置する本体462と、本体262より水平方向(Y方向)に延在する第1の腕部464と、本体262より垂下方向(Z方向)に延在する第2の腕部466とを有する。
【0107】
本体462は、第1のスペーサ材450aの端部と第1のスペーサ材450bの端部との間に形成された角部空間500に収納され、水平に対して45°の傾斜方向に貫通する第2のケーブル挿通路463を有する。また、第1の腕部464は、上辺に取り付けられた第1のスペーサ材450aの第1のケーブル挿通路452に挿入される。また、第2の腕部466は、左辺に取り付けられた第1のスペーサ材450bの第1のケーブル挿通路452に挿入される。
【0108】
このように、第2のスペーサ材460aは、第1の腕部464及び第2の腕部466を介して第1のスペーサ材450a及び450bに保持される。
【0109】
さらに、第2のスペーサ材460aの外側には、角部カバー部材510が配置されている。角部カバー部材510は、第2のスペーサ材460aの本体462の外側に配置される角部本体512と、角部本体512より水平方向(Y方向)に延在する第1の係合部514と、角部本体512より垂下方向(Z方向)に延在する第2の係合部516とを有する。
【0110】
角部本体512は、角部空間500と外部とを連通するための連通孔513を有する。この連通孔513は、第2のスペーサ材460aの第2のケーブル挿通路463に連通するため、空間部430に設けられた表示装置470a〜470cからの各ケーブル480がスリット454及び第1のケーブル挿通路452を通して第2のスペーサ材460aの本体462に至り、さらに第2のケーブル挿通路463及び連通孔513を通して第3の車両用表示機器400の外部に引き出される。
【0111】
尚、第2のケーブル挿通路463及び連通孔513は、前述した第1のケーブル挿通路452及びスリット454と同様に、組立て完了後に乾燥気体を空間部430に供給するための気体供給通路としても兼用される。
このように表示装置470a〜470cからの各ケーブル480の大部分が、第1のスペーサ材450a及び第2のスペーサ材460aの内部を通して外部に引き出されるため、ガラス基板410、420の正面(車内側)及び背面(車外側)から視認することはできない。そのため、外観的に見栄えが良くなると共に、周囲の機器などがケーブル480に接触することが防止でき、ケーブル480の断線も防止できる。
【0112】
(表示装置保持部材について)
図11は表示装置保持部材を示す図である。尚、前述した表示装置保持部材520a〜520cは、それぞれ同一形状であるので、以下「表示装置保持部材520」という。
【0113】
図11(A)〜(C)に示されるように、表示装置保持部材520は、各表示装置470a〜470c(以下「表示装置470」という)の横幅とほぼ同じ寸法の全長を有する棒状部材である。また、表示装置保持部材520は、第1のガラス基板410の第1の表面412に接着される被接着面522と、各表示装置470の下端縁部472が当接する段部524と、表示装置470の裏面(背面)に当接する凸部526とを有する。尚、段部524の奥行き寸法は、各表示装置470の厚さ寸法より若干大きい寸法とされており、第1のガラス基板410の第1の表面412と凸部526との間に形成される凹部に各表示装置470の下端縁部472ががたつきなく嵌合される。
【0114】
また、表示装置保持部材520は、立っている乗客からの目線の高さ位置に固定されるため、光を透過する無色透明であることが好ましいが、ガラス基材410上の表示装置470が接着された周縁部にセラミック材料等から成る暗色層が積層される場合、表示装置保持部材520は暗色層に隠れ車内側から見えなくなることから、表示装置保持部材520は無色透明でなくても良い。
【0115】
(表示装置470及び表示装置保持部材520の取付状態について)
図12は表示装置保持部材520の取付状態を示す縦断面図である。
図12に示されるように、表示装置470は、表示面474に透明接着材が塗布された第3の接着層530が形成されている。この第3の接着層530は、表示装置470の表示面474を第1のガラス基板410の空間430に面する内側に接着され、表示装置470の質量を支える十分な接着強度を有する。
【0116】
尚、透明接着材は、前述した通り、25°Cにおけるせん断弾性率が、10
3Pa〜10
7Paの範囲であることが好ましく、10
4Pa〜10
6Paの範囲であることがより好ましい。一方、表示装置470は、薄型化されたパネル状のディスプレイ装置からなり、大幅な軽量化が図られている。
【0117】
そのため、軽量化された表示装置470の質量が表示面474の全面積に分散されて第3の接着層530により支持されるため、表示装置470は強固に固定される。
【0118】
表示装置保持部材520は、被接着面522及び段部524に上記透明接着材が塗布されて第4の接着層540が形成されている。この第4の接着層540は、表示装置470よりも大幅に軽量な構成とされた表示装置保持部材520の被接着面522を第1のガラス基板410の空間430に面する内側の第1の表面412に接着するものであり、表示装置保持部材520の質量を支える十分な接着強度を有する。すなわち、表示装置470の質量は第3の接着層530が支えているため、第4の接着層540は、軽量な表示装置保持部材520の質量のみを支えることになり、その分経時変化による接着力の低下が緩和され、第3の接着層530よりも接着強度を長期間維持することが可能になる。
【0119】
このように、表示装置470の下端縁部472を保持する表示装置保持部材520を第1のガラス基板410の内側に接着するため、表示装置470を安定的に保持できると共に、ガラス基板410にネジで固定する方法のように空間部430に外気が侵入せず、且つ見栄えが良い。
【0120】
尚、上記実施形態1では、表示装置470の下端縁部472に表示装置保持部材520の段部524を嵌合させる場合について説明したが、これに限らず、例えば、表示装置470の下端縁部472だけでなく上端縁部及び左右側面の縁部にも表示装置保持部材520を接着して表示装置470の2辺〜4辺を保持する構成としても良い。
【0121】
(表示装置保持部材520の変形例)
図13は表示装置保持部材520の変形例の取付状態を示す縦断面図である。
図13に示されるように、表示装置保持部材520Aは、一対のガラス基板410と420との間の空間部430の間隔に応じた厚さ寸法を有し、第1のガラス基板410の空間430に面する内側の第1の表面412に接着される第1の被接着面522Aと、第2のガラス基板420の空間430に面する内側の第1の表面422に接着される第2の被接着面528Aとを有する。
【0122】
第1の被接着面522A及び第2の被接着面528Aには、透明接着材が塗布された第4の接着層540及び第5の接着層550が形成されている。また、表示装置保持部材520Aは、立っている乗客からの目線の高さ位置に固定されるため、光を透過する無色透明であることが好ましいが、ガラス基材410上の表示装置470が接着された周縁部にセラミック材料等から成る暗色層が積層される場合、表示装置保持部材520Aは暗色層に隠れ車内側から見えなくなることから、表示装置保持部材520Aは無色透明でなくても良い。
【0123】
さらに、表示装置保持部材520Aは、第1の被接着面522Aに上記透明接着材が塗布されて第4の接着層540が形成され、且つ反対側の第2の被接着面528Aにも上記透明接着材が塗布されて第5の接着層550が形成されているので、より強固に固定される。また、第4の接着層540及び第5の接着層550は、表示装置保持部材520Aの質量を支える十分な接着強度を有する。すなわち、表示装置470の質量は第3の接着層530が支えているため、第4の接着層540及び第5の接着層550は、軽量な表示装置保持部材520の質量のみを支えることになり、その分経時変化による接着力の低下が緩和され、第3の接着層530よりも接着強度を長期間維持することが可能になる。
【0124】
このように、表示装置保持部材520Aを第1のガラス基板410及び第2のガラス基板420の空間430に面する内側に接着するため、表示装置470を安定的に保持できると共に、ガラス基板410にネジで固定する方法のように空間部430に外気が侵入せず、且つ見栄えが良い。
【0125】
(実施形態2)
図14は本発明による複層ガラス構造体の実施形態2による冷蔵・冷凍装置用表示機器の構成を模式的に示した正面図である。
図14に示されるように、冷蔵・冷凍装置600は、冷蔵及び/又は冷凍機能を有する冷凍及び/又は冷蔵ショーケースであり、ショーケース本体610を有する。ショーケース本体610には、その内部空間(庫内空間)を冷却する手段(図示せず)が設けられる。
【0126】
また、冷蔵・冷凍装置600は、開閉可能な二重ガラス扉620を有する。二重ガラス扉620は、複層ガラス構造体630と、複層ガラス構造体630の周縁部を保持する枠材(サッシ)640とを含む。二重ガラス扉620は、ショーケース本体610の前面に設けられ、ショーケース本体610の庫内空間が二重ガラス扉620の複層ガラス構造体630を介して庫外から目視可能とされる。
【0127】
複層ガラス構造体630は、一対のガラス基板間の上辺近傍に表示装置470が取り付けられた冷蔵・冷凍装置用表示機器であり、例えば、表示装置470にはショーケース本体610の庫内に収納されている物品リスト(例えば、飲料品、冷蔵食品、冷凍食品など)の画像表示されている。また、表示装置470は、物品リストだけでなく、例えば、商品広告、または各商品毎の賞味期限、金額、成分などの情報(動画を含む)を表示しても良い。
【0128】
また、複層ガラス構造体630は、前述した実施形態1と同様に、第1のガラス基板410と、第2のガラス基板420と、第1および第2のガラス基板410、420の間に設けられた空間部430とを有する。
【0129】
第1のガラス基板410と第2のガラス基板420との間の四辺の間隙は、各四辺の長さに応じた全長を有する第1のスペーサ材450a〜450dにより形成される。また、角部の間隙は、各四辺に取り付けられる第1のスペーサ材450a〜450dの端部が直交する角部に配置される第2のスペーサ材460a〜460dにより形成される。
【0130】
従って、複層ガラス構造体630の場合も、実施形態1と同様に、表示装置470からの各ケーブル480の大部分は、第1のスペーサ材450a及び第2のスペーサ材460aの内部を通して外部に引き出されるため、ガラス基板410、420の正面(外側)及び背面(内側)から視認することはできない。そのため、外観的に見栄えが良くなると共に、周囲の機器などがケーブル480に接触することが防止でき、ケーブル480の断線も防止できる。
【0131】
さらに、複層ガラス構造体630では、表示装置470の下端縁部472を保持する表示装置保持部材520(又は520A)がガラス基板410の表面412(又はガラス基板410、420の表面412、422)に接着されている。そのため、冷蔵・冷凍装置600においても、表示装置470を安定的に保持できると共に、ガラス基板410にネジで固定する方法のように空間部430に外気が侵入せず、且つ見栄えを良くすることができる。