(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分と、(B)成分及び(C)成分と混合物との配合比率が、質量比で(A)/[(B)+(C)]=5/95〜95/5である、請求項1又は2に記載の白色熱硬化性エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物の製造方法。
(C)成分の酸無水物硬化剤が、非芳香族系で且つ不飽和結合を有さない酸無水物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物の製造方法。
〔(C)成分中の酸無水物の当量数〕/〔(B)成分中のエポキシ基の当量数〕が0.6〜2.2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
[(A)熱硬化性シリコーン樹脂]
(A)成分である熱硬化性シリコーン樹脂(即ち、オルガノポリシロキサン(A))は、下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサン(A1)、及び下記式(2)で表されオルガノポリシロキサン(A2)を含み、該(A1)/(A2)の配合比は質量比で100/0〜50/50、好ましくは90/10〜70/30である。(A2)成分の添加量が少ないと連続成形性の向上効果が少なく、また低反り性や耐クラック性を達成することが出来ない。(A2)成分の添加量が多すぎると、組成物の粘度が上昇し成形に支障をきたすことがある。
該オルガノポリシロキサン(A)は、例えばトルエン等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状(即ち、分岐状又は三次元網状構造の)オルガノポリシロキサンであり、後述する(H)縮合触媒の存在下で、架橋構造を形成する。
【0012】
(CH
3)
aSi(OR
1)
b(OH)
cO
(4-a-b-c)/2 (1)
(上記平均組成式(1)において、R
1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。a、b、cは、0.8≦a≦1.5 、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5及び0.801≦a+b+c<2 を満たす数である。)
【0013】
【化1】
(R
2及びR
3はそれぞれ独立に、OH基、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル基及びアリル基から選ばれ、mは5〜50の整数である。)
【0014】
<(A1)オルガノポリシロキサン>
(A1)成分のオルガノポリシロキサンを示す上記平均組成式(1)において、メチル基の含有量を示すaが0.8未満のオルガノポリシロキサンを含むエポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物は、その硬化物が硬すぎて、耐クラック性に乏しい等の問題が生じやすくなり、好ましくない。一方、aが1.5を超えると、該樹脂組成物は固形化しない。好ましくは、0.9≦a≦1.2、より好ましくは0.9≦a≦1.1である。
【0015】
上記平均組成式(1)において、アルコキシ基の含有量を示すbが0.3を超えると、得られる架橋硬化物の分子量が小さくなり、耐クラック性が低下することが多い。好ましくは0.001≦b≦0.2であり、より好ましくは0.01≦b≦0.1である。
【0016】
上記平均組成式(1)において、Si原子に結合したヒドロキシル基の含有量を示すcが0.5を超えたオルガノポリシロキサンは、加熱硬化時の縮合反応、及び/又は、上記平均組成式(2)のポリオルガノシロキサンとの縮合反応により、高い硬度を示す一方で、耐クラック性に乏しい硬化物を与える。一方、cが0.001未満のオルガノポリシロキサン成分(A1)は、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる場合がある。また、cが0.001未満で、式(2)のオルガノポリシロキサン成分(A2)との結合生成が全くなくなると、オルガノポリシロキサン成分(A1)が硬化物内に固定化されない結果、得られる硬化物の硬度が低く、耐溶剤性が悪い傾向がある。好ましくは0.01≦c≦0.3であり、より好ましくは0.05≦c≦0.2である。ヒドロキシル基の含有量cを制御する条件としては、原料のアルコキシ基の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましく、86%未満では、オルガノポリシロキサン成分(A1)の融点が低くなり、96%を超えると融点が高くなりすぎる傾向となる。
【0017】
以上のことから、上記平均組成式(1)において、好ましくは0.911≦a+b+c≦1.8であり、より好ましくは1.0≦a+b+c≦1.5である。
【0018】
上記平均組成式(1)中、R
1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基、又はビニル基、アリル基等の炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられる。原料の入手が容易である点で、R
1はメチル基及びイソプロピル基であるのが好ましい。
【0019】
上記平均組成式(1)において、オルガノポリシロキサン(A1)はGPC測定したポリスチレン標準で換算した重量平均分子量が500〜20000、好ましくは1000〜10000、より好ましくは2000〜8000である。分子量が500未満のオルガノポリシロキサンでは、固形化しにくく、分子量が20000を超えるものでは、粘度が高くなりすぎて流動性が低下して成形性が悪くなることがある。
【0020】
上記平均組成式(1)は、一般にQ単位(SiO
4/2)、T単位(CH
3SiO
3/2)、及びD単位((CH
3)
2SiO
2/2)の組み合わせで表現することができる。(A1)成分をこの表現法で示した時、(A1)成分の全シロキサン単位の総モル数に対して、T単位の含有モル数の比率が70モル%以上、望ましくは75モル%以上、特に80モル%以上であることが好ましい。該T単位が70モル%未満では、硬度、密着性、概観等の総合的なバランスが崩れる場合がある。なお、残部はD,Q単位でよく、30これらがモル%以下であることが好ましい。
【0021】
上記平均組成式(1)を有するオルガノポリシロキサン(A1)は、下記一般式(3)で示されるオルガノシランの加水分解縮合物として得ることができる。
(CH
3)
nSiX
4-n (3)
(式中、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基、nは0、1、2のいずれかである。)。この場合、Xとしては、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点からは、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
【0022】
上記式(3)で示されるシラン化合物としては、例えばメチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のメチルトリクロロシラン又はメチルトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン等のジメチルジクロロシラン又はジメチルジアルコキシシラン等などが挙げられる。
【0023】
上記の加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば、加水分解性基としてクロロ基を含有するシランを使用する場合は、水添加によって発生する塩化水素ガス及び塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
【0024】
加水分解及び縮合の際に使用される水の量は、上記加水分解性基を有するシラン化合物中の加水分解性基(例としてクロロ基の場合)の合計量1モル当たり、一般的には0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0モル〜1.3モルである。この添加量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、後述の組成物は作業性に優れ、その硬化物は強靭性に優れたものとなる。
【0025】
上記加水分解性基を有するシラン化合物は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解することが好ましい。該有機溶剤は具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、芳香族化合物としてトルエン又はキシレンが好ましく、得られる組成物の硬化性およびその硬化物の強靭性が優れたものとなる点から、イソプロピルアルコールやトルエン、イソプロピルアルコール・トルエン併用系がより好ましい。
【0026】
加水分解および縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜100℃である。反応温度がかかる範囲を満たすと、ゲル化することなく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサン(A1)が得られる。
【0027】
<(A2)オルガノポリシロキサン>
上記式(2)で示される構造を含むオルガノポリシロキサン(A2)は直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有することを特徴とし、低応力剤として使用するものである。
【0028】
上記式(2)中、R
2及びR
3は、互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル基及びアリル基から選ばれる基であり、好ましくはメチル基又はフェニル基である。mは5〜50、好ましくは8〜40、より好ましくは10〜35の整数である。mが5未満では、得られる組成物の硬化物の耐クラック性に乏しく、装置の反りを起こす場合がある。一方、mが50を超えると、該硬化物の機械的強度が不足する傾向にある。
【0029】
上記式(2)で示されるオルガノポリシロキサンは、D単位(R
2R
3SiO
2/2)に加えて、D単位(R
2SiO)、M単位(R
3SiO
1/2)、T単位(RSiO
3/2)を含んでいてよい。それらのモル比はそれぞれ、90〜24:75〜0:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが硬化物特性から好ましい。ここでRは、それぞれ独立して、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基又はアリル基を示す。上記式(2)で示されるオルガノポリシロキサンは、更にQ単位(SiO
2)を含んでいてよい。
【0030】
上記式(2)で示されるオルガノポリシロキサン(A2)中の好ましくは30モル%以上、特には50モル%以上が、分子中でかかる式(2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン構造を形成していることが好ましい。また、上記式(2)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は3,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。該重量平均分子量がこの範囲にあると、該オルガノポリシロキサン(A2)は固体もしくは半固体状であり、作業性、硬化性などから好適である。
【0031】
上記式(2)のオルガノポリシロキサン(A2)は、上記各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中でM,D,T,Q単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で加水分解して縮合を行うことによって合成することができる。
【0032】
ここで、T単位(RSiO
3/2)の原料としては、MeSiCl
3、EtSiCl
3、PhSiCl
3、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のトリクロロシラン類、これらそれぞれのトリクロロシラン類に対応するトリメトキシシラン類などのトリアルコキシシラン類などを例示できる。
【0033】
上記式(2)のD単位(R
2R
3SiO
2/2)の原料としては、
【化2】
(ここで、m=3〜48の整数(平均値)、n=0〜48の整数(平均値)、かつm+nが3〜48(平均値))、MePhSiCl
2、MeViSiCl
2、PhViSiCl
2等のジクロロシラン類、これらのジクロロシランのそれぞれに対応するジアルコキシシラン類等を例示することができる。
【0034】
また、M単位の原料としては、Me
2PhSiCl、MeViSiCl、Ph
2MeSiCl、Ph
2ViSiCl等のモノクロロシラン類、これらのモノクロロシランのそれぞれに対応するモノメトキシシラン類等のモノアルコキシシラン類などを例示することができる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
【0035】
これらの原料となる化合物を、所定のモル比で組合せて、例えば以下の反応で得ることが出来る。フェニルメチルジクロロシラン100質量部、フェニルトリクロロシラン1900質量部、Si数21個の両末端クロルジメチルシリコーンオイル2400質量部、トルエン3000質量部を投入混合し、水11000質量部中に混合シランを滴下し30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、50℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水や25〜40℃でアンモニア重合を行い、濾過、減圧ストリップをする。
【0036】
なお、上記共加水分解及び縮合により製造する際に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれ得る。上記式(2)のオルガノポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を、通常、全シロキサン単位に対して0.5〜10モル%、好ましくは1〜5モル%程度含有することが好ましい。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、R(HO)SiO
2/2単位、R(HO)
2SiO
1/2単位、R
2(HO)SiO
1/2単位が挙げられる(Rはヒドロキシル基以外の基である)。該オルガノポリシロキサンはシラノール基を含有するので、上記式(1)のオルガノポリシロキサンと反応する。
【0037】
[(B)トリアジン誘導体エポキシ樹脂]
本発明で用いられる(B)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂は一分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するが、これを酸無水物と特定の割合で反応させて得られる反応物を樹脂成分として含有することにより、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の黄変を抑制し、且つ経時劣化の少ない半導体発光装置を実現する。かかるトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂であることが好ましい。特にイソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れており、1つのイソシアヌレート環に対して、2個の、より好ましくは3個のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等が挙げられる。中でも、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが好ましく、TEPIC−Sとして日産化学工業(株)より市販されているものを使用することができる。
【0038】
本発明で用いるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の軟化点は90〜125℃であることが好ましい。なお、本発明において、このトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、トリアジン環を水素化したものは包含しない。
【0039】
[(C)酸無水物硬化剤]
本発明で用いられる(C)成分の酸無水物は、硬化剤として作用するものであり、耐光性を与えるために非芳香族系であり、且つ炭素−炭素二重結合等の不飽和結合を有さないものが好ましく、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などが挙げられ、これらの中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物系硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0040】
(C)成分の酸無水物硬化剤の配合量は、上記(B)成分中のエポキシ基の当量数に対して、(C)成分中の酸無水物の当量数が0.6〜2.2となる量であり、好ましくは0.7〜2.0、更に好ましくは0.8〜1.8となる量である。0.6未満では硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。また、2.2を超える量では未反応の酸無水物が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。
【0041】
作業の容易さから、(B)及び(C)成分を予め反応させてプレポリマーとして構成することが好ましく、〔(C)成分中の酸無水物の当量数〕/〔(B)成分中のエポキシ基の当量数〕の比(但し、酸無水物1モルは、エポキシ基2モルと等価(2当量)に相当する)が0.6〜2.2で配合し、反応して得られた固体生成物(即ち、プレポリマー)を樹脂成分として使用する。このとき、該固体生成物は粉砕等により微粉末状態で用いることが好ましい。該微粉末の粒子径は10μm〜3mmの範囲が好ましい。上記の当量比は好ましくは1.2〜1.8である。この当量比が0.6未満では硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。また、2.2を超えると未反応硬化剤として酸無水物が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。
【0042】
上記プレポリマーを合成する際には、必要に応じて、(B)成分以外のエポキシ樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で一定量以下併用することができる。このエポキシ樹脂の例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂又は4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂のようなビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂、等が挙げられる。これらエポキシ樹脂の中でも耐熱性や耐紫外線性から芳香環を水素化したエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂が望ましい。また、その他のエポキシ樹脂の軟化点は70〜100℃であることが好ましい。
【0043】
上記プレポリマー合成の詳細な反応条件としては、上記した(B)成分及び(C)成分を70〜120℃、好ましくは80〜110℃にて4〜20時間、好ましくは6〜15時間反応させる。こうして、軟化点が50〜100℃、好ましくは60〜90℃である固体生成物としてプレポリマーを得る。これを本発明の組成物に配合するには、粉砕等により微粉状化して行うことが好ましい。反応して得られる物質の軟化点が、50℃未満では固体とはならず、100℃を超える温度では組成物として成型の時に必要な流動性が低すぎるおそれがある。
【0044】
さらに上記プレポリマー合成の際に(A)成分のオルガノポリシロキサンを入れ、同時に溶融混合させる。(A)成分をあらかじめ溶融混合させることで樹脂成分の分散性が上がり、流動性の向上、色むらの低減が出来るだけでなく、オルガノポリシロキサン由来の撥水性、離型性から、上記プレポリマーの取り扱いが容易になる。
【0045】
上記プレポリマーへの(A)成分の投入には、上記(B)成分及び(C)成分のプレポリマーを回収する1〜2時間前に投入することが好ましい。投入時間が回収の1時間より短い時間では(A)成分の分散性が悪く、回収の2時間より前では(A)成分のオルガノポリシロキサンの反応が進行しすぎて、むしろ溶融混合物の流動性の低下を引き起こす。これを本発明の組成物に配合するには、粉砕等により微粉状化して行うことが好ましい。
【0046】
(A)成分と、(B)成分及び(C)成分の混合物との配合比率は、質量比で(A)/[(B)+(C)]=5:95〜95:5、好ましくは(A)/[(B)+(C)]=10:90〜80:20、より好ましくは(A)/[(B)+(C)]=15:90〜75:25である。(A)成分の配合比が5/95未満、(B)+(C)の配合比が95/5を超えると、得られる硬化物に耐熱性・耐候性の向上が望めず、逆に(A)成分の配合比が95/5を超え、(B)+(C)の配合比が5/95未満であると、該硬化物に強度の向上が望めない。
【0047】
[(D)白色顔料]
光半導体装置のリフレクター(反射板)等の用途向けの硬化物用樹脂組成物には、白色度を高めるために白色顔料を配合する。
【0048】
ここで、白色顔料とは、(A)成分からなる熱硬化性シリコーン樹脂に該樹脂の5vol%の量で加えたとき、450 nmの反射率が75%以上の値を示すものと定義し、それ以下の値を示すものは無機充填剤とする。白色顔料としては、二酸化チタン;酸化イットリウムや酸化ランタンを代表とする希土類酸化物;硫酸亜鉛;酸化亜鉛;酸化マグネシウム等が挙げられ、単独で又は数種の白色顔料を併用して用いられていることができる。
【0049】
(D)成分の白色顔料としては、白色度をより高めるために二酸化チタンを用いることが好ましく、この二酸化チタンの単位格子はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わないが、熱安定性の面から見ればルチル型がより好ましい。また、平均粒径や形状も限定されないが、平均粒径は通常0.05〜5.0μmである。上記二酸化チタンは、樹脂成分や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、アルミニウムやケイ素などの含水酸化物、ポリオールなどの有機物、又は有機ポリシロキサン等で予め表面処理することができる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D
50(又はメジアン径)として求めることができる。
【0050】
上記白色顔料の配合量は、(A)、(B)及び(C)成分の成分合計100質量部に対し、通常は3〜200質量部、望ましくは5〜150質量部である。3質量部未満では十分な白色度が得られない場合がある。また、200質量部を超えると機械的強度向上の目的で添加する他成分の割合が少なくなるだけでなく、成形性が著しく低下することがある。なお、この白色顔料は、白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物全体に対して1〜50質量%であり、望ましくは3〜30質量%の範囲である。
【0051】
[(E)無機充填剤]
本発明のエポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物には、更に(E)成分として上記(D)成分以外の無機充填剤を配合する。このような無機充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられるが、上記した(B)成分の白色顔料(白色着色剤)は除かれる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常3〜40μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均値D
50(又はメジアン径)として求めることができる。
【0052】
特に、溶融シリカ、溶融球状シリカ等のシリカ系無機充填剤が好適に用いられ、その粒径は特に限定されるものではないが、成形性、流動性からみて、平均粒径は4〜40μm、特には7〜35μmが好ましい。また、高流動化を得るには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、10〜40μmの粗領域のものを組み合わせて使用するのが好ましい。
【0053】
上記(D)成分以外の無機充填剤(E)は、(A)、(B)及び(C)成分の樹脂成分や、(D)成分の白色顔料との結合強度を強くするために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、150℃以上に放置した場合に処理フィラーが変色しないものが好ましい。
【0054】
(D)成分以外の無機充填剤(E)の配合量は、(A)、(B)及び(C)成分の樹脂成分の合計量100質量部に対し、400〜1,000質量部、特に600〜950質量部が好ましい。400質量部未満では、十分な強度を得ることができないおそれがあり、1,000質量部を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、この(D)成分以外の無機充填剤(E)の配合量は、組成物全体の10〜90質量%、特に20〜80質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0055】
[(F)硬化促進剤]
(F)成分の硬化促進剤は主に、(B)及び(C)成分から成るプレポリマー化した熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させるための触媒である。硬化促進剤の種類としては、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として公知のものが使用でき、特に限定されないが、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩、有機カルボン酸金属塩、金属−有機キレート化合物、芳香族スルホニウム塩、有機ホスフィン化合物類、ホスホニウム化合物類等のリン系硬化触媒、これらの塩類等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、イミダゾール類、リン系硬化触媒、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール又はメチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト、第三級アミンのオクチル酸塩が更に好ましい。また、第四級ホスホニウムブロマイドとアミンの有機酸塩の併用も好ましく用いられる。また、第三級アミン類、イミダゾール類のように硬化促進剤の種類によっては(A)成分の熱硬化性シリコーン樹脂の硬化も促進することが出来る。
【0056】
上記硬化促進剤の使用量は、(B)及び(C)成分の総和に対して0.05〜5質量%、特に0.1〜3質量%の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるおそれがある。
【0057】
[(G)酸化防止剤]
本発明の熱硬化性シリコーン・エポキシハイブリッド樹脂組成物には、エポキシ樹脂分の劣化の低減のために(G)酸化防止剤を配合するのが好ましい。(G)成分の酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤を使用でき、酸化防止剤の具体例としては、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
【0058】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、中でも2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが好ましい。
【0059】
リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、トリフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホネート等が挙げられ、中でも亜リン酸トリフェニルが好ましい。
【0060】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール等が挙げられる。
【0061】
これらの酸化防止剤は、それぞれ1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。酸化防止剤の配合量は、(B)及び(C)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に0.03〜7質量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると十分な耐熱性が得られず変色する場合があり、多すぎると硬化阻害を起こし、十分な硬化性、強度を得ることができない場合がある。
【0062】
本発明の組成物には、上記成分に加え、更に下記の成分を配合できる。
【0063】
[(H)硬化触媒]
この硬化触媒は、(A)成分のシリコーン樹脂の硬化に用いるための縮合触媒であり、(A)成分の安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。例えば、有機金属触媒として、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられる。具体的には安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−ターシャリーブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(ノルマルブチレ−ト)、アルミニウム-n-ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。中でも、安息香酸亜鉛が好ましく使用される。
【0064】
(A)成分のシリコーン樹脂と(B)及び(C)成分のエポキシ樹脂をほぼ同時に硬化させるために、これらの触媒と(E)成分の反応促進剤を併用したり、場合によっては1種の触媒で両方の樹脂を硬化させることもできる。
【0065】
上記硬化触媒の添加量は、上記(A)成分のシリコーン樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは0.1〜1.6質量部である。添加量がかかる範囲を満たすと、該シリコーン樹脂の硬化性が良好であり、安定したものとなる。
【0066】
[(I)カップリング剤]
本発明の組成物には、樹脂成分と無機充填剤との結合強度を強くするために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合にシリコーン樹脂が変色するものはあまり好ましくない。
【0067】
上記カップリング剤の配合量は、(A)、(B)及び(C)成分の総和100質量部に対して、0.1〜8.0質量部、特に0.5〜6.0質量部添加することが好ましい。0.1質量部未満であると、基材への接着効果が十分でなく、また8.0質量部を超えると、組成物の粘度が極端に低下して、その硬化物のボイドの原因になる可能性がある。
【0068】
[その他の添加剤]
その他、本発明のエポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のシリコーンパウダー、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、ワックス類、ハロゲントラップ材、難燃材等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
【0069】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を通常の半導体用封止材や車載用各種モジュールなどの封止に使用することもできる。その際は、着色剤としてカーボンブラックなどを用いる。カーボンブラックとしては市販されているものであればどのようなものも使用できるが、望ましくはアルカリ金属やハロゲンを多く含まない純度のよいものが望ましい。
【0070】
[組成物の製造方法]
本発明の組成物は、(B)一分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するトリアジン誘導体エポキシ樹脂、及び(C)酸無水物硬化剤を溶融混合して(B)及び(C)成分をあらかじめプレポリマー化し、このプレポリマー化工程中に該(B)及び(C)成分に(A)熱硬化性シリコーン樹脂を更に溶融混合し、得られた溶融混合物に(D)白色顔料、及び(E)(D)成分の白色顔料以外の無機充填剤を混合することにより製造することができる。
即ち、(A)、(B)及び(C)成分の混合物、(D)白色顔料、(E)無機充填剤、及び場合によっては硬化促進剤、酸化防止剤、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して、エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物から成る成形材料とすることができる。
【0071】
該リフレクターの最も一般的な成形方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が挙げられる。トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm
2、成形温度120〜190℃で成形時間30〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間30〜180秒で行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120〜190℃で成形時間30〜600秒、特に成形温度130〜160℃で成形時間120〜300秒で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で2〜20時間行ってよい。
【実施例】
【0072】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例、比較例で使用した原料を以下に示す。
【0073】
<(A)熱硬化性シリコーン樹脂>
A1−1:下記合成例1で合成した(A1)オルガノポリシロキサン
A2−1:下記合成例2で合成した(A2)オルガノポリシロキサン
【0074】
<(B)トリアジン誘導体エポキシ樹脂>
B−1:トリアジン誘導体エポキシ樹脂:トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC−S:日産化学(株)製商品名)
【0075】
<(C)酸無水物硬化剤>
C−1:ヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドHH:新日本理化(株)製商品名)
C−2:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名)
【0076】
<(D)白色顔料>
D−1:二酸化チタン ルチル型(CR−95、石原産業(株)製、平均粒径0.28μm)
【0077】
<(E)無機充填剤>
E−1:溶融球状シリカA:(ES−105、東海ミネラル(株)製、平均粒径45μm)
E−2:溶融球状シリカB:(N−MSR−04、(株)龍森製、平均粒径4um)
E−3:溶融球状シリカC:(SO−25R、(株)アドマテック製、平均粒径0.5um)
【0078】
<(F)硬化促進剤>
F−1:リン系硬化促進剤;第4級ホスホニウムブロマイド(U−CAT5003、サンアプロ(株)製商品名)
【0079】
<(G)酸化防止剤>
G−1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3´、5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(AO−60、ADEKA(株)製商品名)
【0080】
<(H)硬化触媒>
H−1:安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
【0081】
<(I)カップリング剤>
I−1:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン (KBM−803、信越化学工業(株)製)
【0082】
<(J)離型剤>
J−1:エステル系離型剤(カオーワックス220、花王(株)製)
【0083】
[合成例1]((A1)オルガノポリシロキサンの合成)
メチルトリクロロシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8質量部、イソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃で5〜20hrかけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200部をいれて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記式(A−1)で示される無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060)36.0質量部の熱硬化性オルガノポリシロキサン(A1−1)を得た。
(CH
3)
1.0Si(OC
3H
7)
0.07(OH)
0.10O
1.4
【0084】
[合成例2]((A2)オルガノポリシロキサンの合成)
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロルジメチルシリコーンオイル2400g(12.4モル%)、トルエン3000gを混合し、水11000g中に混合した上記シランを滴下し30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、150℃での溶融粘度5Pa.s、無色透明のオルガノポリシロキサン(A2−1)を得た。
【0085】
[配合例1](A、B,C成分の溶融混合物の配合例)
下記表1に示す割合で(A)、(B)及び(C)成分を配合し、所定の条件で加熱することにより、(A)、(B)及び(C)成分の混合物を得た。
【0086】
【表1】
【0087】
[実施例1〜5、比較例1〜5]
表2及び表3に示す配合(質量部)で、各種成分を配合し、二本熱ロールを用いて製造し、冷却、粉砕して白色エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂組成物を得た。表3中の比較例のプレポリマー化の有無は、(A)成分は含めずに、(B)及び(C)成分のみをプレポリマー化した場合を「有」、(B)及び(C)成分のプレポリマー化を行わなかった場合を「無」で示す。
【0088】
これらの組成につき、以下の諸特性を測定した。評価結果を表2に示す。成形はすべてトランスファー成形機で、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で行った。
【0089】
<スパイラルフロー値>
EMMI規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で行った。
【0090】
<室温での曲げ強度、曲げ弾性率>
JIS−K6911規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で成形し、150℃、2時間ポストキュアーした。ポストキュアーした試験片を室温(25℃)にて、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
【0091】
<光反射率>
成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で、直径50mm、厚さ3mmの円形の硬化物を作成し、175oCの各時間の反射率をエス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して450nmでの光反射率を測定した。
【0092】
【表2】
【表3】
【0093】
表2,3より、(A)、(B)及び(C)成分をプレポリマー化混合することで組成物の流動性が向上し、熱硬化性シリコーン樹脂単独の場合よりも高強度を有し、熱硬化性エポキシ樹脂単独の場合よりも高耐熱性を有することがわかる。従って、本発明の組成物の硬化物でLEDリフレクターが封止された半導体装置が有効であることが確認できた。