特許第6048589号(P6048589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048589
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】間隙充填用スウェリングテープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20161212BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20161212BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20161212BHJP
   H01M 2/14 20060101ALI20161212BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161212BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20161212BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J201/00
   H01M2/16 P
   H01M2/14
   B32B27/00 M
   !H01M10/0587
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-542958(P2015-542958)
(86)(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公表番号】特表2016-505652(P2016-505652A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】KR2013010475
(87)【国際公開番号】WO2014077649
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年6月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0130478
(32)【優先日】2012年11月16日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0140175
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・キュ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・テ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スク・キ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャ・フン・ク
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−519365(JP,A)
【文献】 特開2003−151634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/00
B32B 1/00−43/00
H01M 2/14−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と前記電極組立体を収容する缶の内壁との間に形成された間隙を充填する間隙充填用スウェリングテープであって、
ASTM D2240によるショアA硬度が70A以上、JIS K−7311に基づくショアD硬度が40D以上の基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面に、前記基材フィルムの長さ方向に水平な方向に形成されている粘着剤層と、
を含み、
前記基材フィルムは、熱可塑性ポリウレタンを含む間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項2】
熱可塑性ポリウレタンは、2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、ポリオール化合物および鎖延長剤を含む混合物の反応物である請求項に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項3】
混合物内でイソシアネート化合物および鎖延長剤の合計含有量は、ポリオール化合物100重量部対比20重量部〜300重量部である請求項に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項4】
イソシアネート化合物は、芳香族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物または脂肪族イソシアネート化合物である請求項に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項5】
ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクタムポリオール、ポリブタジエンポリオール、またはポリサルファイドポリオールである請求項に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項6】
鎖延長剤は、2官能性ヒドロキシ化合物、3官能性ヒドロキシ化合物、4官能性ヒドロキシ化合物、または2官能性アミン化合物である請求項に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項7】
基材フィルムは、流体と接触時、長さ方向と垂直な方向に高さが0.001mm〜2.00mmの立体構造を形成する請求項1に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項8】
粘着剤層は、アクリル粘着剤、ウレタン粘着剤、エポキシ粘着剤、シリコーン粘着剤、またはゴム粘着剤を含む請求項1に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項9】
粘着剤層は、多官能性架橋剤で架橋されたアクリルポリマーを含む請求項1に記載の間隙充填用スウェリングテープ。
【請求項10】
電極組立体及び前記電極組立体と離隔されている缶の内壁との間に形成された間隙を充填する方法として、前記電極組立体または前記缶の内壁に請求項1に記載のスウェリングテープの粘着剤層を付着させ、前記スウェリングテープの基材フィルムを流体と接触させることを含む間隙充填方法。
【請求項11】
前記間隙の幅は、0.001mm〜2.00mmである請求項10に記載の間隙充填方法。
【請求項12】
請求項1に記載のテープが外周面に付着している電極組立体。
【請求項13】
請求項12に記載の電極組立体と、
前記電極組立体が収納されている缶と、
前記缶の内部で前記電極組立体と接触している電解質と、
を含む電池。
【請求項14】
電極組立体の粘着テープは、電解質によって具現された立体形状により前記電極組立体を缶の内部に固定している請求項13に記載の電池。
【請求項15】
電解質は、カーボネート系電解液である請求項13に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、間隙充填用スウェリングテープ及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
離隔されている2つの対象の間に存在する間隙(gap)は、多くの場合、充填される必要があり、間隙を形成した状態で離間している2つの対象は、多くの場合、前記間隙の充填により固定される必要がある。
【0003】
たとえば、電極組立体を円筒状の缶に収納して電池を製造する際には一般的に前記電極組立体が円筒状の缶に比べてサイズが小さいので、電極組立体と缶の内壁との間には、間隙が形成される。このような場合、缶に収納されている電極組立体は、外部の振動や衝撃によって缶の内部で流動することになるが、このような電極組立体の流動は、電池の内部抵抗の増加や電極タブの損傷などを誘発して電池の性能を大きく低下させうるため、前記間隙の充填および電極組立体の固定が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2012−0087106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、間隙充填用スウェリングテープ及びその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、間隙充填用スウェリングテープに関するものである。例示的な前記テープは、基材フィルム及び前記基材フィルムの一面に形成されている粘着剤層を含みうる。本明細書において、用語「間隙充填用スウェリングテープ」は、互いに離隔されている2つの対象の間の間隙において前記間隙を埋めて、必要に応じては、前記二つの対象を互いに固定することができる役割をするテープを意味しうる。
【0007】
基材フィルムとしては、例えば、ポリウレタンフィルムを用いることができる。前記ポリウレタンは、一般的に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(以下、「ポリイソシアネート化合物」という)、ポリオール化合物および鎖延長剤を含む混合物の反応物を含みうる。
【0008】
ポリウレタンは、ウレタン結合で結合された高分子化合物を総称する意味であって、一般的にポリオールの末端に位置するアルコール基(−OH)とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)が結合してウレタン(−NHCOO−)基を作り、鎖延長剤がイソシアネート基と反応して再びウレタン基を作る反応を続けることにより、分子量の大きいポリウレタンが形成される。
【0009】
前記ポリイソシアネート化合物および鎖延長剤は、ウレタン基を作る反応を続けることにより、ポリウレタンのハード領域を形成することができる。この場合、前記ポリイソシアネート化合物および鎖延長剤の重量比は、特に制限されないが、例えば、ポリイソシアネート化合物15重量部〜60重量部および鎖延長剤5重量部〜20重量部の割合で混合することができる。
【0010】
また、前記ポリオールは、前述のように、ウレタン結合にOH基を提供する役割をし、前記ポリウレタンのソフト領域を形成する。
【0011】
前記ハード領域及びソフト領域の重量比を適正範囲に制御してポリウレタンフィルムの物性を調節することができる。たとえば、ポリウレタンフィルムは、これを構成するポリイソシアネート化合物および鎖延長剤の合計含有量は、ポリオール化合物100重量部対比20重量部〜300重量部、25重量部〜290重量部または30重量部〜280重量部を含みうる。本明細書で単位「重量部」は、各成分間の重量の比率を意味しうる。前記ポリウレタンフィルムのハード領域及びソフト領域の重量比を前述の範囲内に制御することにより、製造されたポリウレタンフィルムの物性、すなわち、基材フィルムの硬度を目的とする範囲に保持して間隙を充填するために、3次元形状を具現した場合に優れた支持力及び抵抗力を表すことができ、テープの緩み時にフィルムが伸びて変形することを防止することができる。
【0012】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物または脂肪族イソシアネート化合物を用いることができる。
【0013】
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ビス(イソシアネートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートメチル)ナフタレン、ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチルジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4−ジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)エチレン、3,3−ジメトキシビフェニル−4,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート等が使用され得、好ましくは、トルエンジイソシアネートまたはメチレンジフェニルジイソシアネートなどが使用されうる。
【0014】
脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、1,2−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が使用されうるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテルなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
また、前記ポリオール化合物としては、例えば、前記ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクタムポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリサルファイドポリオールまたはそれから由来される化合物などを用いることができるが、好ましくは、ポリエステルポリオールまたはポリエステルポリオールを用いることができる。
【0017】
前記鎖延長剤は、ヒドロキシ基またはアミン基を有する低分子量を有する化合物を用いることができる。本明細書で特に別段の規定がない限り、用語の「分子量」は、重量平均分子量を意味する。鎖延長剤は、最終ポリマーの形態を決定したり、柔軟性、耐熱性および化学的抵抗性を決定する重要な役割をしうる。
【0018】
鎖延長剤としては、例えば、2官能性ヒドロキシ化合物、3官能性ヒドロキシ化合物、4官能性ヒドロキシ化合物または2官能性アミン化合物などを用いることができる。
【0019】
前記2官能性ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、フェニルジエタノールアミンなどが挙げられる。3官能性ヒドロキシ化合物としては、例えば、グリセロール、トリメチルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなどが挙げられる。4官能性ヒドロキシ化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールまたはN,N,N’−N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどが挙げられる。2官能性アミン化合物としては、例えば、ジエチルトルエンジアミンまたはジメチルチオトルエンジアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前記基材フィルムは、ポリウレタンフィルムの単層構造であるか、あるいは、少なくともポリウレタンフィルムを含む多層構造で形成することができる。
【0021】
ポリウレタンフィルムとしては、一軸または二軸延伸フィルム、又は無延伸フィルムを用いることができる。
【0022】
ポリウレタンフィルムとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタンフィルム(TPUフィルム:thermoplastic polyurethane)を用いることができる。
【0023】
熱可塑性ポリウレタンフィルムとしては、ポリエステルTPUフィルム、ポリエーテルTPUフィルム、またはポリカプロラクトンTPUフィルムなどが知られており、このようなフィルムの中から適切な種類が選ばれうるが、ポリエステルTPUフィルムの使用が適切でありうる。
【0024】
前記熱可塑性ポリウレタンフィルムは、必要に応じて添加剤、例えば、架橋剤、界面活性剤、耐燃材、発泡剤、顔料またはフィラーなどを目的とする効果を達成できる範囲で適切に含みうる。
【0025】
基材フィルムは、前記熱可塑性ポリウレタンフィルムの単層構造、または少なくとも前記熱可塑性ポリウレタンフィルムを含む多層構造、例えば、二層構造でありうる。
【0026】
基材フィルムが熱可塑性ポリウレタンフィルムの他のフィルムを含む場合、前記他のフィルムは、高分子フィルムまたはシートとして、製造過程での延伸または収縮処理条件によって流体と接触すると、前記のような変形、例えば、膨張特性を示すように製造されたフィルムまたはシートでありうる。
【0027】
一つの例では、前記他のフィルムは、エステル結合またはエーテル結合を含む、またはセルロースエステル化合物を含むフィルムでありうる。例えば、アクリレート系フィルム、エポキシ系フィルムまたはセルロース系フィルムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
前記間隙充填用ウェルリングテープに含まれる基材フィルムは、例えば、液体のような流体と接触すると長さ方向に変形する特性を持つ基材フィルムでありうる。前記基材フィルムは、例えば、流体と接触すると、長さ方向に膨張する特性を持つ基材フィルムでありうる。本明細書において、用語「長さ方向」は、前記基材フィルムを平らに保持させたとき、前記基材フィルムの厚さ方向(例えば、図2の矢印の方向)と垂直な方向を意味しうる。また、本明細書において用語「垂直」または「水平」は、目的とする効果を損なわない範囲での実質的な垂直または水平を意味し、例えば、±10度以内、±5度以内、または±3度以内程度の誤差を含みうる。
【0029】
前記基材フィルムは、長さ方向に変形、例えば、膨張する特性を持つ限り、基材フィルムの平面において縦または横方向、または斜め方向を含む任意の方向に変形、例えば、膨張可能なものを用いることができる。
【0030】
基材フィルムの形状は、特に限定されず、例えば、フィルムまたはシート状でありうる。また、前記フィルムまたはシート状の基材フィルムは、長方形、円形、三角形または無定形などの形状を有することができる。
【0031】
また、前記基材フィルムは、流体と接触するとき前記長さ方向以外の垂直方向に変形、すなわち、膨張しうる。これにより、前記基材フィルムは、流体と接触するとき長さ方向に垂直な方向に高さが、例えば、0.001mm〜2.0mm、0.001mm〜1.00mm、または0.01mm〜0.5mmの立体構造を形成する間隙充填用スウェリングテープを提供することができる。
【0032】
基材フィルムは、ASTM D2240によって測定されたショアA硬度が70A以上でありうる。基材フィルムは、JIS K−7311によって測定されたショアD硬度が40D以上でありうる。基材フィルムの硬度を前記のように保持して間隙を充填するために、3次元形状を具現した場合に優れた支持力及び抵抗力を示すことができ、テープの緩み時にフィルムが伸びて変形することを防止することができる。基材フィルムの硬度の上限は特に制限されないが、例えば、前記ショアA硬度の上限は、100Aまたは95Aであり得、前記ショアD硬度の上限は、例えば、100Dまたは85Dでありうる。
【0033】
前記基材フィルムの一面に粘着剤層が形成されうる。前記粘着剤層は、例えば、前述の基材フィルムの長さ方向と水平方向に基材フィルムの一面に形成されうる。図2は、例示的な前記テープの断面図であり、基材フィルム201の一面に前記基材フィルム201の長さ方向と水平方向に形成された粘着剤層202を含むテープ2を示す。
【0034】
前記テープは、前記のように、基材フィルムの長さ方向と水平方向に形成されている粘着剤層によってテープが固定された状態で前記テープが流体と接触して膨張することにより、前記基材フィルムの長さ方向と垂直な方向に突出する立体形状を具現しうる。
【0035】
前記粘着剤層には、例えば、アクリル粘着剤、ウレタン粘着剤、エポキシ粘着剤、シリコーン粘着剤またはゴム系粘着剤などが使用されうるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
一つの例では、前記粘着剤層は、アクリル粘着剤層であり、例えば、多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体を含みうる。
【0037】
アクリルポリマーとしては、例えば、重量平均分子量(M:Weight Average Molecular Weight)が40万以上のものを用いることができる。前記重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)により測定される標準的なポリスチレンに対する換算値である。アクリルポリマーの分子量の上限は特に限定されず、例えば、250万以下の範囲で制御することができる。
【0038】
前記アクリルポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び架橋性官能基を有する共重合性単量体を重合された形で含みうる。前記各単量体の重量比は、特に制限されない。
【0039】
ポリマーに含まれる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを用いることができ、粘着剤の凝集力や、ガラス転移温度または粘着性などを考慮して、炭素数が1〜14であるアルキル基を持つアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどの1種または2種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
架橋性官能基を有する共重合性単量体は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体またはポリマーに含まれる他の単量体と共重合され得、共重合された後にポリマーの主鎖に多官能性架橋剤と反応できる架橋点を提供することができる単量体である。前記で架橋性官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基またはアミド基などであり得、場合によっては、アクリロイル基またはメタクリロイル基などのような光架橋性官能基でありうる。光架橋性官能基の場合、前記共重合性単量体によって提供された架橋性官能基に光架橋性官能基を有する化合物を反応させて導入することができる。粘着剤の製造分野では、目的とする官能基に応じて使用できる様々な共重合性単量体が公知されている。このような単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する単量体と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸、およびマレイン酸無水物などのカルボキシル基を有する単量体と、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような単量体は、1種または2種以上がポリマーに含まれうる。
【0041】
前記アクリルポリマーは、必要に応じて他の機能性共単量体を重合された形でさらに含みうるが、その例としては、下記化1で表わされる単量体を挙げることができる。
【0042】
【化1】
【0043】
前記化1においてR〜Rは、それぞれ独立して水素またはアルキルを示し、Rは、シアノと、アルキルで置換または非置換されたフェニルと、アセチルオキシと、またはCORを示し、この時、Rは、アルキルまたはアルコキシアルキルで置換または非置換されたアミノまたはグリシジルオキシを示す。
【0044】
前記化1のR〜Rの定義で、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1〜8のアルキルまたはアルコキシを意味し、好ましくはメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシである。
【0045】
前記化1の単量体の具体的な例としては、(メタ)アクリロニトリル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチルスチレン、またはビニルアセテートなどのカルボン酸のビニルエステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
前記アクリルポリマーは、例えば、溶液重合(solution polymerization)、光重合(photo polymerization)、塊状重合(bulk polymerization)、懸濁重合(suspension polymerization)、または乳化重合(emulsion polymerization)などを介して製造することができる。
【0047】
粘着剤層において、前記アクリルポリマーを架橋させている多官能性架橋剤の種類は特に限定されず、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、金属キレート架橋剤または光架橋剤などの公知の架橋剤の中でポリマーに存在する架橋性官能基の種類に応じて適切な架橋剤が選ばれうる。前記イソシアネート架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどのジイソシアネートや、前記ジイソシアネートとポリオールとの反応物などを挙げることができ、前記ポリオールとしては、トリメチルロールプロパンなどが使用されうる。エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミンまたはグリセリンジグリシジルエーテルなどを用いることができ、アジリジン架橋剤としては、N、N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド、N、N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタルロイル−1−(2−メチルアジリジン)、またはトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドなどを挙げることができ、金属キレート架橋剤としては、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどの化合物に多価金属が配位した化合物を挙げることができ、前記多価金属としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、またはバナジウムなどを挙げることができ、光架橋剤としては、多官能性アクリレートなどを用いることができる。前記ポリマーに含まれている架橋性官能基の種類を考慮して1種または2種以上の架橋剤が用いられうる。
【0048】
粘着剤層において、前記多官能性架橋剤の重量比は、例えば、目的とする硬度を考慮して調節しうる。
【0049】
前記のような粘着剤層は、例えば、前記のようなアクリルポリマーと多官能性架橋剤を配合したコーティング液をコーティングし、適正な条件で前記ポリマーと多官能性架橋剤の架橋反応を誘導して形成することができる。
【0050】
前記粘着剤層には、目的とする効果に影響を及ぼさない範囲でカップリング剤、粘着性付与剤、エポキシ樹脂、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤および可塑剤からなる群から選ばれた一つ以上の添加剤がさらに含まれうる。
【0051】
前記粘着剤層の厚さは、適用される用途、例えば、目的とする剥離力や立体形状の具現能または充填しようとする間隙の大きさなどに応じて適宜選ぶことができるもので、特に制限されるものではない。
【0052】
前記テープは、前記テープの使用前まで粘着剤層を保護するために、前記粘着剤層に付着している離型シートをさらに含みうる。
【0053】
一つの例では、前記スウェリングテープは、前記間隙を形成している二つの対象のいずれかの対象に前記粘着剤層を介して貼り付けられている状態で、例えば、液体のような流体と接触すると、基材フィルムが膨張することにより発生する力と粘着剤層の固定力の相互バランスによって前記間隙を埋めることができる立体形状を具現できるテープでありうる。
【0054】
図1は、前記スウェリングテープが間隙の間で立体形状を具現して前記間隙を埋める過程を模式的に示した図である。
【0055】
一つの例では、前記間隙を形成しながら離間している2つの対象は、それぞれ電池の電極組立体と前記組立体を収納する缶でありうるが、これに限定されるものではない。このような場合には、前記テープは、例えば、電極組立体用シールテープとして電極組立体の緩みを防止し、また、電極組立体を電池の缶の内部に固定する用途として用いることができる。
【0056】
図2に示すように、前記スウェリングテープ101は、間隙を形成している二つの対象103、104のいずれかの対象104に前記粘着剤層を介して貼り付けられる。前記のように付着した状態で前記間隙の間に流体が導入され、前記スウェリングテープ101の基材フィルムと接触すると、前記基材フィルムは、長さ方向に、例えば、膨張する。前記でテープ101は、対象104に粘着剤層によって固定された状態で基材フィルムが膨張することになるので、前記スウェリングテープ102は、立体形状を具現することになり、このような立体形状により間隙は埋まって、必要に応じて、前記間隙を形成している二つの対象103、104は、互いに固定されうる。
【0057】
スウェリングテープによって具現される立体形状の大きさ、すなわち、前記間隙の幅は、例えば、0.001mm〜2.0mm、0.001mm〜1.0mm、または0.01mm〜0.5mm程度であるうる。しかし、前記立体形状の大きさは、前記ウェルリングテープが適用される間隙の具体的な種類に応じて変更されうるもので、特に限定されるものではない。スウェリングテープが適用される前記立体形状の大きさは、前記間隙の幅に応じて適切に制御することができる。
【0058】
本出願は、また、間隙の充填方法に関するものである。一つの例示的な前記方法は、第1基板及び前記第1基板と離隔されている第2基板によって形成された間隙を充填する方法でありうる。前記方法は、例えば、前記第1基板または第2基板に前記スウェリングテープの粘着剤層を付着させ、前記スウェリングテープの基材フィルムを流体と接触させることを含みうる。
【0059】
前記方法で間隙を形成している第1基板及び第2基板の具体的な種類及びその形状は特に制限されるものではない。すなわち、前記第1基板及び第2基板の範囲には、充填が必要な間隙を形成しており、前記間隙に流体が導入されうるすべての種類の基板を含みうる。
【0060】
また、前記基板の形状も特に制限されず、例えば、図1のように平らな形状はもちろん、屈曲したり、不規則な形状の基板もすべて含みうる。一つの例では、前記第1基板と第2基板によって形成される間隙の幅は、0.001mm〜2.0mm、0.001mm〜1.00mm、または0.01mm〜0.5mm程度でありうるが、これに限定されるものではない。
【0061】
図1に示すように、前記方法は、間隙を形成している第1及び第2基板103、104のいずれかの基板に前記テープ101を粘着剤層を介して付着させた状態で前記基材フィルムを流体と接触させて膨張させることにより、立体的形状を有するテープ102を形成することにより行うことができる。
【0062】
一つの例では、前記方法に使用される第1及び第2基板のいずれかは、電池用電極組立体であり、他の一つは、前記組立体を収納する缶であり、前記テープと接触する流体は、前記電池に含まれる電解質でありうる。
【0063】
前記のような場合には、例えば、前記方法は、電極組立体に前記テープを貼り付けた後に缶の内部に収納し、前記缶の内部に電解質を注入する方式で行うことができる。
【0064】
前記電極組立体の具体的な種類は、特に制限されず、この分野で使用される一般的な組立体を全て含みうる。一つの例では、前記電極組立体は、二次電池、例えば、リチウム二次電池用電極組立体でありうる。
【0065】
前記スウェリングテープは、前記電極組立体の外周面のセパレータの最外側端部が位置する仕上がり部を含んで前記外周面を囲むように貼り付けられうる。また、前記スウェリングテープは前記電極組立体の外周面の全体の面積の少なくとも30%以上を覆うように貼り付けられえ、前記電極組立体の外周面から上端部及び下端部は、前記組立体がそのまま露出するように貼り付けられうる。
【0066】
前記電極組立体が収納される缶の種類は、特に制限されず、例えば、この分野の公知の種類として円筒状の缶などが挙げられる。
【0067】
また、前記でテープを変形、例えば、膨張させる流体である電解液の種類も特に制限されず、電池の種類に応じてこの分野の公知の電解液が使用される。たとえば、前記電池がリチウム二次電池である場合、前記電解質は、例えば、非水性有機溶媒及びリチウム塩を含みうる。前記でリチウム塩は、有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用し、陽極と陰極との間のリチウムイオンの移動を促進させることができる。リチウム塩の例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiCFSO、LiN(CFSO、Li(CFSO)2N、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(CF2+1SO)(ここで、xおよびyは自然数)、LiCl、LiI、およびリチウムビスオキサレートボレート(lithium bisoxalate borate)などの1種または2種以上を支持(supporting)電解塩として含むことが挙げられる。電解質でリチウム塩の濃度は、用途に応じて変化されうるもので、通常は、0.1M〜2.0Mの範囲内で用いる。また、前記有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をするものであって、その例としては、ベンゼン、トルエン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン(iodobenzene)、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、フルオロトルエン、1,2−ジフルオロトルエン、1,3−ジフルオロトルエン、1,4−ジフルオロトルエン、1,2,3−トリフルオロトルエン、1,2,4−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2−ジクロロトルエン、1,3−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロトルエン、1、2,4−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2−ジヨードトルエン、1,3−ジヨードトルエン、1,4−ジヨードトルエン、1,2,3−トリヨードトルエン、1,2,4−トリヨードトルエン、R−CN(ここで、Rは、炭素数2〜50の直鎖状、分枝状、または環状構造の炭化水素基であって、前記炭化水素基は二重結合、芳香族環またはエーテル結合などを含みうる)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセテート、キシレン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、ジグライム、テトラグライム、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン(sulfolane)、バレロラクトン、デカノライド、またはメバルノラクトンの1種または2種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
前記スウェリングテープには、前述のような変形、例えば、膨張特性を有する基材フィルムの一面に粘着剤層が形成されている。これにより、前記テープは、前記方法に適用された後に、例えば、電極組立体に付着した状態で前記立体形状を具現することができる。その結果、前記テープは、電極組立体と缶の内壁の間隔を効果的に充填し、電極組立体を固定して流動や揺れ等を防止することができる。
【0069】
すなわち、前記でスウェリングテープの「立体形状」は、電解質と接触したスウェリングテープの基材フィルムの変形力と粘着剤層の剥離力の作用を介して形成されるものであって、電極組立体を缶の内部に強固に固定することができるすべての構造を含む概念でありうる。
【0070】
図3は、前記方法によって製造された例示的な電池を示すものであって、スウェリングテープ51a、51bが電解質によって立体形状を形成し、電極組立体53を缶52に固定している状態を示す。
【0071】
例えば、図3の左側図面に例示的に示すように、スウェリングテープ51aは、組立体53に貼り付けられた後に缶52に挿入された段階では、平らな形状に保持されうる。しかし、缶52内に注入された電解質と接触した後に所定の時間が経過した後は、図3の右側の図面に例示的に示すように、スウェリングテープ53bが立体形状を形成し、これによって電極組立体53と缶52の間の間隔を充填および固定することができる。
【発明の効果】
【0072】
本出願によるスウェリングテープは、例えば、流体が存在する間隙の間に適用されて立体形状を具現することにより、前記間隙を充填し、必要に応じて間隙を形成している対象を固定する用途として使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】前記スウェリングテープが立体形状を形成する過程を例示的に示す図である。
図2】前記スウェリングテープの例示的な断面図である。
図3】電池の製造過程において、前記スウェリングテープが立体形状を形成する過程を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、実施例及び比較例を介して前記スウェリングテープを詳細に説明するが、前記スウェリングテープの範囲が下記の実施例により制限されるものではない。
【0075】
以下の実施例および比較例での物性は、下記の方式により評価した。
【0076】
1.スウェリングテープの立体形状の具現能の評価
実施例及び比較例で製造された電池を常温で1日間保管した後、電池を分解して電極組立体を取り出し、電極組立体に付着していたスウェリングテープの状態を評価して、下記基準に沿って立体形状の具現能を評価する。
【0077】
<立体形状の具現能の評価基準>
○:スウェリングテープの立体形状が観察される。
△:スウェリングテープの立体形状が観察されない。
×:スウェリングテープの立体形状が観察されず、テープが電極組立体から剥離される。
【0078】
2.スウェリングテープの間隙充填能(電極組立体の流動防止能)の評価
スウェリングテープの間隙充填能は、電極組立体の流動防止特性を評価する方法で評価することができる。前記方式には、例えば、残振動評価方式と残衝撃評価方式とが存在する。残振動評価方式では、UN38.3規格の振動実験方法により行われ、評価後に電池が電源無感(cut-off)になると、流動による端子の切断であると判断する。残衝撃評価方式は、8角円柱内に電池を入れて、回転させて所定時間が経過した後に電池が電源無感になると、流動による端子の切断であると判断する。前記方式により評価したスウェリングテープの間隙充填能は、下記の基準に沿って評価する。
【0079】
<間隙充填能の評価基準>
○:残振動評価及び残衝撃評価後、電池の電源が測定される。
△:残振動評価または残衝撃評価後、電池の電源が測定されるが、抵抗が10%以上増加する。
×:残振動評価又は残衝撃評価後、電池の電力が測定されていない。
【0080】
3.硬度の評価
基材フィルムのショアA硬度は、ASTM D2240によって測定し、ショアD硬度は、JIS K−7311によって測定した。
【0081】
〔実施例1〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールをそれぞれ38:50:12の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアA硬度が95Aであり、長さ方向への変形率(膨張率)が18%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,200gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0082】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0083】
〔実施例2〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールをそれぞれ20:75:5の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアA硬度が75Aであり、長さ方向への変形率(膨張率)が19%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,230gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0084】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0085】
〔実施例3〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールをそれぞれ58:27:15の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアD硬度が85Dであり、長さ方向への変形率(膨張率)が10%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,130gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0086】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0087】
〔実施例4〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールをそれぞれ55:30:15の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアD硬度が80Dであり、長さ方向への変形率(膨張率)が11%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,150gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0088】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0089】
〔実施例5〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールをそれぞれ40:48:12の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアD硬度が45Dであり、長さ方向への変形率(膨張率)が14%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,200gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0090】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0091】
〔比較例1〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールをそれぞれ15:80:5の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアA硬度が65Aであり、長さ方向への変形率(膨張率)が30%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,300gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0092】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0093】
〔比較例2〕
スウェリングテープの製造
イソシアネート化合物として芳香族イソシアネート化合物、ポリオール化合物としてポリエステルポリオール、および鎖延長剤としてブタンジオールを、それぞれ32:58:10の重量比で配合した混合物で製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムとして、ショアD硬度が35Dであり、長さ方向への変形率(膨張率)が20%であり、厚さが約40μmの無延伸フィルムを基材フィルムとして用いた。前記基材フィルムの一面にイソシアネート架橋剤で架橋されたアクリル粘着樹脂を含むアクリル系粘着層としてガラス板に対する剥離力が1,280gf/25mm程度であり、厚さが15μm程度の粘着層を形成してスウェリングテープを製造した。
【0094】
電極組立体及び電池の製造
陰極、陽極、およびセパレータを含むゼリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周の約50%の面積を覆うようにスウェリングテープを貼り付けて、前記組立体を円筒状の缶(断面直径:17.5mm)に挿入した。次に、前記缶の内部にカーボネート系電解質を注入し、密封して電池を完成した。
【0095】
前記実施例及び比較例について測定した物性を、表1にまとめて記載した。
【0096】
【表1】
【符号の説明】
【0097】
103、104 間隙を形成している対象
101 立体形状を具現する前のスウェリングテープ
102 立体形状を具現したスウェリングテープ
2 スウェリングテープ
201 基材フィルム
202 粘着剤層
51a、51b スウェリングテープ
52 缶
53 電極組立体
図1
図2
図3