【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
【0058】
[実施例1]
図1に示す真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)50を用い、また、長尺樹脂フィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52には、幅500mm、長さ1000m、厚さ12.5μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用した。
【0059】
冷却キャンロール56は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール55と後フィードロール61は、それぞれ、直径が150mm、有効幅500mmである。
【0060】
また、位置センサーロールは、上記後フィードロール61で構成されている。
【0061】
すなわち、位置センサーロールは、
図5に示すようにベアリング32を介し固定軸31に回転可能に支持された円筒状本体30と、円筒状本体30外周面における長尺樹脂フィルム35の幅方向両端近傍に対応する部位に開設された一対の開口部(スリット)33、34と、円筒状本体30内の上記開口部(スリット)33、34に対応する部位に設けられかつ開口部(スリット)33、34へ向けて光を照射する発光部と開口部(スリット)33、34からの反射光が入射される受光部を有する一対のセンサーヘッド36、37とでその主要部が構成され、各センサーヘッド36、37は、固定軸31に設けられた取付け部材105に固定されかつ光源と受光素子(共に図示せず)に接続された光ファイバー38、39を有している。
【0062】
尚、上記開口部(スリット)33、34の寸法は、指定された走行ラインを走行する長尺樹脂フィルム35の幅方向両端から内側へそれぞれ15mm、上記両端から外側へそれぞれ5mmの位置に相当する長さ寸法20mm、幅寸法3mmに設定されている。
【0063】
そして、長尺樹脂フィルム35が指定された走行ラインを通過していれば、
図5に示すように上記開口部(スリット)33、34の内側15mmの領域が長尺樹脂フィルム35により覆われることになる。このため、上記開口部(スリット)33、34の長尺樹脂フィルム35で覆われていない領域からの反射は殆どない。
【0064】
また、上記開口部(スリット)33、34を覆う長尺樹脂フィルム35の幅方向両端は以下のようになっている。すなわち、反射率が低いベアエリア(bare area)と称する未成膜領域は上記幅方向両端から内側3mmに設定され、膜厚が徐々に大きくなって反射率が増加する成膜エリアの領域は2mmに設定され、これより内側に略一定の反射率を有する膜厚の大きい成膜エリアになっている。
【0065】
また、
図5に示す位置センサーロールの円筒状本体30内に設けられる一対のセンサーヘッド36、37は、
図6(A)〜(C)に示すように長方形状の開放部を有する箱型ケース40と、この箱型ケース40内に2列×10本(合計20本)を千鳥状に配置させた直径2mmのファイバーバンドル41と、各ファイバーバンドル41の先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズ44とでその主要部が構成されている。尚、各ファイバーバンドル41は、1本の受光用光ファイバー43を中央にしてその周囲を6本の発光用光ファイバー42で束ねたものである。そして、ファイバーバンドル41を千鳥状に配置することにより反射率の位置精度が2倍の1mm間隔に向上している。
【0066】
また、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行った。
【0067】
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64の張力は100Nとした。巻出ロール51に上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52をセットし、かつ、冷却キャンロール56を経由して上記耐熱性ポリイミドフィルム52の先端部を巻取ロール64に取り付けた。
【0068】
また、減圧室(真空チャンバー)を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10
-3Paまで排気した。
【0069】
そして、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の搬送速度を設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜と、このNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始した。
【0070】
そして、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の走行中における光ファイバーバンドル41からの反射光強度を測定したところ、
図10(B)(C)に示すような反射光強度が得られた。すなわち、長尺樹脂フィルム113における搬送方向左側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム113の幅方向左端が3mm、上記搬送方向右側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム113の幅方向右端が7mmであった。よって、長尺耐熱性樹脂フィルム52の走行ラインは左側に2mm寄っていることが確認された。
【0071】
一方、ベアエリア(bare area)の幅(反射光強度が殆ど0である長尺耐熱性樹脂フィルム端部から、Cu膜が完全成膜されている反射光強度が高いフィルム端部寄りの位置とCu膜が成膜されていないベアエリアの反射光強度が低いCu膜端部寄りの位置との中間までの距離、すなわち、Cu膜の膜厚が徐々に大きくなる成膜エリア領域の中間点から長尺耐熱性樹脂フィルム端部までの距離をベアエリアの幅と定義する)は、左端側が6mm、右端側が4mmであった。よって、遮蔽マスクは左側に1mm寄っていることが確認された。
【0072】
[実施例2]
図1に示す真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)50を用い、また、長尺樹脂フィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52には、幅500mm、長さ1000m、厚さ12.5μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用した。
【0073】
冷却キャンロール56は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール55と後フィードロール61は、それぞれ、直径が150mm、有効幅500mmである。
【0074】
また、位置センサーロールは、上記後フィードロール61で構成されている。
【0075】
すなわち、位置センサーロールは、
図5に示すようにベアリング32を介し固定軸31に回転可能に支持された円筒状本体30と、円筒状本体30外周面における長尺樹脂フィルム35の幅方向両端近傍に対応する部位に開設された一対の開口部(スリット)33、34と、円筒状本体30内の上記開口部(スリット)33、34に対応する部位に設けられかつ開口部(スリット)33、34へ向けて光を照射する発光部と開口部(スリット)33、34からの反射光が入射される受光部を有する一対のセンサーヘッド36、37とでその主要部が構成され、各センサーヘッド36、37は、固定軸31に設けられた取付け部材105に固定されかつ光源と受光素子(共に図示せず)に接続された光ファイバー38、39を有している。
【0076】
尚、上記開口部(スリット)33、34の寸法は、指定された走行ラインを走行する長尺樹脂フィルム35の幅方向両端から内側へそれぞれ15mm、上記両端から外側へそれぞれ5mmの位置に相当する長さ寸法20mm、幅寸法3mmに設定されている。
【0077】
そして、長尺樹脂フィルム35が指定された走行ラインを通過していれば、
図5に示すように上記開口部(スリット)33、34の内側15mmの領域が長尺樹脂フィルム35により覆われることになる。このため、上記開口部(スリット)33、34の長尺樹脂フィルム35で覆われていない領域からの反射は殆どない。
【0078】
また、上記開口部(スリット)33、34を覆う長尺樹脂フィルム35の幅方向両端は以下のようになっている。すなわち、反射率が低いベアエリア(bare area)と称する未成膜領域は上記幅方向両端から内側3mmに設定され、膜厚が徐々に大きくなって反射率が増加する成膜エリアの領域は2mmに設定され、これより内側に略一定の反射率を有する膜厚の大きい成膜エリアになっている。
【0079】
また、
図5に示す位置センサーロールの円筒状本体30内に設けられる一対のセンサーヘッド36、37は、
図7(A)〜(C)に示すように長方形状の開放部を有する箱型ケース70と、この箱型ケース70内に長さ方向に亘って平行かつ41本×2列で配列された直径0.5mmの発光用光ファイバー71群と、配列された発光用光ファイバー72群の間に設けられかつ40本×1列で配列された直径0.5mmの受光用の光ファイバー72群と、上記箱型ケース70の開放部に取付けられたシリンドルカルレンズ73とでセンサーヘッド74の主要部が構成されている。
【0080】
また、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行った。
【0081】
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64の張力は100Nとした。巻出ロール51に上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52をセットし、かつ、冷却キャンロール56を経由して上記耐熱性ポリイミドフィルム52の先端部を巻取ロール64に取り付けた。
【0082】
また、減圧室(真空チャンバー)を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10
-3Paまで排気した。
【0083】
そして、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の搬送速度を設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜と、このNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始した。
【0084】
そして、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の走行中における受光用光ファイバー72からの反射光強度を測定したところ、
図10(B)(C)に示すような反射光強度が得られた。すなわち、長尺樹脂フィルム113における搬送方向左側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム113の幅方向左端が3mm、上記搬送方向右側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム113の幅方向右端が7mmであった。よって、長尺耐熱性樹脂フィルム52の走行ラインは左側に2mm寄っていることが確認された。
【0085】
一方、ベアエリア(bare area)の幅(反射光強度が殆ど0である長尺耐熱性樹脂フィルム端部から、Cu膜が完全成膜されている反射光強度が高いフィルム端部寄りの位置とCu膜が成膜されていないベアエリアの反射光強度が低いCu膜端部寄りの位置との中間までの距離、すなわち、Cu膜の膜厚が徐々に大きくなる成膜エリア領域の中間点から長尺耐熱性樹脂フィルム端部までの距離をベアエリアの幅と定義する)は、左端側が6mm、右端側が4mmであった。よって、遮蔽マスクは左側に1mm寄っていることが確認された。
【0086】
[比較例]
図1に示す真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)50を用い、また、長尺樹脂フィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52には、幅500mm、長さ1000m、厚さ12.5μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用した。
【0087】
冷却キャンロール56は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール55と後フィードロール61は、それぞれ、直径が150mm、有効幅500mmである。
【0088】
また、比較例では、後フィードロール61で構成される実施例1〜2の位置センサーロールは適用されておらず、特許文献3〜4に記載された投光部と受光部から成るウェブ端縁検出装置が適用されている。
【0089】
すなわち、
図1に示した後フィードロール61と張力センサーロール62間における搬送路中間に、断面略コ字形状を有するウェブ端縁検出装置の本体を長尺樹脂フィルム52端縁上下から挟むように配置している。尚、このウェブ端縁検出装置は、本体上側に受光部としての受光素子アレイ(若しくはCCDアレイ)が配置され、本体下側に投光部としてのLED照明アレイが配置された構造を有しており、長尺樹脂フィルム52端縁が光を遮蔽して上記端縁位置が検出される「透過型」である。
【0090】
また、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行った。
【0091】
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64の張力は100Nとした。巻出ロール51に上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52をセットし、かつ、冷却キャンロール56を経由して上記耐熱性ポリイミドフィルム52の先端部を巻取ロール64に取り付けた。
【0092】
また、減圧室(真空チャンバー)を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10
-3Paまで排気した。
【0093】
そして、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の搬送速度を設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜と、このNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始した。
【0094】
そして、上記ウェブ端縁検出装置を用いて走行中における長尺樹脂フィルム52の端縁位置を測定したが、12.5μm厚の薄い樹脂フィルムは走行中に端部がカールしてしまい、正確な位置検出は困難であった。