(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転可能な像担持体の側方に、前記像担持体の周面と接触したクリーニング部材を有するトナー回収部が配設され、当該トナー回収部に、前記像担持体の軸線と平行状にトナー搬送部材が配設され、前記像担持体上の残トナーが前記クリーニング部材によって除去されて前記トナー回収部に取り込まれ、当該取り込まれた残トナーが、前記トナー回収部の底面に沿って前記トナー搬送部材に移動し、当該トナー搬送部材の回転により当該トナー搬送部材の長手方向に搬送されるトナー搬送装置において、
前記トナー回収部の底面にトナー撹拌部材を配設し、当該トナー撹拌部材の一端の固定部を前記トナー搬送部材を間に挟んで反対側のトナー回収部に固定し、当該トナー撹拌部材の他端の摺動部を前記トナー回収部の底面に摺動可能に接触させ、当該トナー撹拌部材の固定部と摺動部の間の中間部を前記トナー搬送部材の下側に接触させ、前記トナー搬送部材の回転により前記トナー撹拌部材の摺動部を前記トナー回収部の底面に沿って往復動させるようにしたトナー搬送装置。
前記トナー搬送部材がその回転トルクによって軸線が変形するフレキシブルスクリューで構成され、前記フレキシブルスクリューが回転する際の軸線の変形によって前記トナー撹拌部材の摺動部を前記トナー回収部の底面に沿って往復動させるようにした請求項1のトナー搬送装置。
前記鋸歯状又は櫛歯状の歯のピッチが前記フレキシブルスクリューの螺旋羽根のピッチと同じにされ、前記鋸歯状又は櫛歯状の歯の先端が前記フレキシブルスクリューの螺旋羽根の間に向けて延びている請求項5のトナー搬送装置。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子写真方式による画像形成装置においては、感光体ドラム上に形成された静電潜像がトナーによって顕像化され、この顕像化された像が転写紙などの記録媒体に転写された後、定着装置で加圧・加熱されることにより記録媒体に定着される。転写後の感光体ドラム外周面に残った残トナーは、ゴム弾性体で成形されたクリーニングブレードの先端部を感光体ドラム外周面に押し当てることによって除去される。除去された残トナーは、クリーニングブレードの側方に配設されたスクリューによって搬送される。
【0003】
図8は残トナーを搬送する従来のトナー搬送装置の断面図である。像担持体としての感光体ドラム3の左側にトナー回収部60が配設されている。トナー回収部60は、感光体ドラム3側にクリーニングブレード4と入口シール8が配設され、反対側にトナー搬送スクリュー9が配設された構造である。スクリュー9の一端部(
図8の紙面に垂直方向の手前側端部)に図示しないモータが連結され、クリーニングブレード4で除去された残トナーがスクリュー9の他端部(
図8の紙面に垂直方向の向こう側端部)に搬送されるようになっている。
【0004】
この種の画像形成装置では、感光体ドラム3に加え、図示しない現像部及びトナー容器等をユニット化したプロセスユニットが一般的に採用されている。プロセスユニットは小型化のために部品相互の間隔が狭くなっており、
図8のクリーニングブレード4とトナー搬送スクリュー9の間隔も狭い。
【0005】
このため、スクリュー9で残トナーを搬送する際に、スクリュー9の搬送能力以上の残トナーの入力があると、スクリュー9の手前側で残トナーの詰まりが発生しやすい。そこで、このような残トナーの詰まりが発生しないように、クリーニングブレード4とスクリュー9との間にバッファーとしてある程度の大きさの空間(バッファー領域a)を形成している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に基づき、本発明の給紙装置の実施形態について説明する。なお、この実施形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0016】
(画像形成装置としてのレーザプリンタ)
本発明の実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの各単体はもちろんこと、これらの2つ以上の機能を組み合わせた複合機であってもよい。
図1は、画像形成装置としてのレーザプリンタ10の断面図である。レーザプリンタ10の上部に排紙トレイ13が配設されている。またレーザプリンタ10の下部に給紙トレイ11が配設されている。当該給紙トレイ11の前側のレーザプリンタ10の側面に、内部点検用のカバーとしての転写カバー12が配設されている。転写カバー12の内面に両面ユニット14が配設され、転写カバー12はその下部の回転軸15を中心として両面ユニット14と一体的に手前側に回動可能とされている。
【0017】
以下、
図1に基づいて画像形成装置としてのレーザプリンタ10の主要部を説明する。レーザプリンタ10は、カラー画像の色分解成分に対応するブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の現像剤によって画像を形成する作像部として4つのプロセスユニット1K,1Y,1M,1Cを備えている。各プロセスユニット1K,1Y,1M,1Cは、互いに異なる色の未使用トナーを収容したトナー容器2K,2Y,2M,2Cを有する。それ以外は同様の構成になっている。1つのプロセスユニット1Kを例にその構成を説明すると、プロセスユニット1Kは、像担持体としての感光体ドラム3Kと、ドラムクリーニング装置4Kと、図示しない除電装置、帯電装置5K、現像装置6K等を有している。プロセスユニット1Kはレーザプリンタ10の本体に対して着脱自在に装着され、一度に消耗部品を交換可能とされている。
【0018】
各プロセスユニット1K,1Y,1M,1Cの上方には、露光器7が配設されている。この露光器7は、画像データに基づいてレーザダイオードから発光されたビームをポリゴンミラーにより走査する偏向走査型の露光器である。偏向走査型の露光器に代えて、LED等の発光素子或いは液晶シャッタを感光体ドラム3K,3Y,3M,3Cの軸方向に配列したライン型の露光器を使用してもよい。
【0019】
また、各プロセスユニット1K,1Y,1M,1Cの下方には、第1転写部としての転写装置20が配設されている。転写装置20は、各感光体ドラム3K,3Y,3M,3Cに対向する4つの一次転写ローラ21K,21Y,21M,21C、各一次転写ローラ21K,21Y,21M,21Cと駆動ローラ22及び従動ローラ23に掛け渡され循環走行する中間転写ベルト24、駆動ローラ22に対向して配設された第2転写部としての二次転写ローラ25、ベルトクリーニング装置26、クリーニングバックアップローラ27、トナーセンサ28等を有する。感光体ドラム3K,3Y,3M,3Cが各色の第1の像担持体とすれば、中間転写ベルト24はそれらの像を合成した第2の像担持体である。
【0020】
レーザプリンタ10の下部には、用紙Pを多数枚収容可能な給紙トレイ11と、給紙トレイ11から用紙Pを給紙路31に向けて送り出す給紙ローラ32が設けてある。給紙路31の末端付近には、用紙を一旦停止させるタイミングローラ対33が配設されている。このタイミングローラ対33は、中間転写ベルト24の直近上流側に位置し、中間転写ベルト24上のトナー像と、用紙先端位置とを精度良く合わせるために、一度用紙Pをたるませて、中間転写ベルト24上に形成されたトナー像が、二次転写ニップ部で用紙Pに転写される直前に、所定のタイミングで二次転写ニップ部に用紙Pを送り出す。
【0021】
二次転写ローラ25と駆動ローラ22のニップ部の上方には、転写後搬送路34が配設されている。その転写後搬送路34の末端付近に、定着部としての定着装置35が設けてある。定着装置35は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ35aと、この定着ローラ35aに対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ35bを備えている。
【0022】
定着装置35の上方に定着後搬送路36が配設してあり、定着後搬送路36の末端で、排紙路37と反転搬送路38に分岐している。定着後搬送路36の側方に、揺動軸42aを中心に揺動駆動する切替部材42が配設されている。排紙路37の末端には排紙ローラ対43が配設されている。反転搬送路38はその末端に至る途中に反転搬送ローラ対44が配設され、末端は給紙路31に合流している。
【0023】
転写装置20と給紙トレイ11の間には、残トナーを収容する粉体収容器16(トナー収容器)が配設されている。給紙ローラ32から二次転写ローラ25までの空間が、転写紙搬送の関係により、ある程度離れている。そのために生じたデッドスペースに粉体収容器16を設置して、レーザプリンタ10全体の小型化を図っている。粉体収容器16はレーザプリンタ10本体に対して着脱自在に装着されている。
【0024】
(レーザプリンタの基本動作)
次に、このレーザプリンタ10の基本的動作について説明する。
図1において、レーザプリンタ10の図示しない制御部からの給紙信号によって給紙ローラ32が回転すると、給紙トレイ11に積載した用紙Pの最上位の用紙のみが分離されて給紙路31へ送り出される。用紙Pの先端がタイミングローラ対33のニップ部に到達すると、中間転写ベルト24上に形成されるトナー画像とタイミング(同期)をとると共に、用紙Pの先端スキューを補正するため、用紙Pに弛みを形成した状態で待機状態となる。
【0025】
作像動作について、1つのプロセスユニット1Kを例に説明すると、まず、帯電装置5Kにて感光体ドラム3Kの表面が均一な高電位に帯電される。画像データに基づいて露光器7から感光体ドラム3Kの表面にレーザビームLが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。トナー容器2Kから未使用のブラックトナーが現像装置6Kに供給される。
【0026】
現像装置6Kによって静電潜像が形成された感光体ドラム3Kの表面部分にトナーが転移され、ブラックのトナー画像が形成(現像)される。そして、感光体ドラム3K上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト24に転写される。
【0027】
ドラムクリーニング装置4Kにより、中間転写行程を経た後の感光体ドラム3K表面に付着している残トナーが除去される。除去された残トナーは、後述のトナー搬送手段によって、プロセスユニット1K内にある残トナー容器へ送られ回収される。また、図示しない除電装置により、クリーニング後の感光体ドラム3Kの残留電荷が除電される。
【0028】
各色のプロセスユニット1Y,1M,1Cにおいても、同様にして感光体ドラム3Y,3M,3C上にトナー画像が形成され、各色トナー画像が重なり合うように中間転写ベルト24に転写される。各色トナー画像が重なり合うように中間転写ベルト24に転写されると、タイミングローラ対33と給紙ローラ32が駆動を開始し、中間転写ベルト24に重畳転写されたトナー画像とタイミング(同期)が取られて用紙Pが二次転写ローラ25へ送られる。そして、二次転写ローラ25の二次転写ニップ部によって、送られてきた用紙Pに中間転写ベルト24上のトナー画像が転写される。
【0029】
トナー画像を転写された用紙Pは、転写後搬送路34を通って定着装置35へと搬送される。定着装置35に送り込まれた用紙Pは、定着ローラ35aと加圧ローラ35b間に挟まれ、その未定着トナー画像が加熱・加圧されて用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置35から定着後搬送路36へ送り出される。
【0030】
定着装置35から用紙Pが送り出されるタイミングでは、切替部材42は
図1の実線で示す位置にあり、定着後搬送路36の末端付近が開放されている。そして、定着装置35から送り出された用紙Pは、定着後搬送路36を通過した後、排紙ローラ対43に挟み込まれ、排紙トレイ13へ排出される。
【0031】
両面印刷を行う場合は、排紙ローラ対43によって搬送される用紙Pの後端が、定着後搬送路36を通り抜けると、切替部材42が
図1の点線の位置に揺動して定着後搬送路36の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対43が逆回転し、用紙Pが逆送されて反転搬送路38へ進入する。
【0032】
反転搬送路38内を搬送される用紙Pは、反転搬送ローラ対44を経て、タイミングローラ対33に至り、中間転写ベルト24上に形成された裏面用のトナー画像とタイミングを合わせて送り出され、二次転写ローラ25を通過する際に用紙Pの裏面にトナー画像が転写される。そして、用紙Pの裏面のトナー画像が定着装置35によって定着された後、定着後搬送路36、排紙路37、排紙ローラ対43を順次経由して排紙トレイ13へ排出される。
【0033】
また、中間転写ベルト24上のトナー画像が用紙Pに転写された後も、中間転写ベルト24上には残トナーが付着して残っている。この残トナーは、ベルトクリーニング装置26によって中間転写ベルト24から除去される。中間転写ベルト24から除去された残トナーは、図示しない残トナー搬送手段によって、粉体収容器16へと搬送され回収される。
【0034】
以上の説明は、転写紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0035】
(プロセスユニットの構造)
図2に1つのプロセスユニット1を拡大して示す。このプロセスユニット1は、トナー容器2や感光体ドラム3等をユニットしたもので、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色で共通である。トナー容器2は上部のトナーボックス50と下部のトナー収容部51を有し、トナー収容部51にはトナー撹拌用にアジテータ52が配設されている。
【0036】
トナー収容部51の下部にはトナー供給ローラ53、
図1の現像装置6Kを構成する現像ローラ6及び規制ブレード55が配設されている。また、現像ローラ6の左側にやや間隔をあけて
図1の帯電装置5Kを構成する帯電ローラ5が配置され、当該帯電ローラ5及び現像ローラ6に対向して感光体ドラム3が配設されている。
【0037】
感光体ドラム3の外周面は、帯電ローラ5によって負電荷で所定電位に一様に帯電されるようになっている。この一様帯電された感光層は、帯電ローラ5と現像ローラ6の間を通して、上方の露光器7から矢印方向に潜像形成用のレーザビームLが感光体ドラム3上に導入され、感光体ドラム3の表面が画像データに基づいて選択的に露光されるようになっている。この露光により、感光体ドラム3の表面に、電位の減衰した低電位部と、初期化による高電位部とから成る静電潜像が形成されるようになっている。
【0038】
感光体ドラム3の回転方向に対して、帯電ローラ5よりも上流側にドラムクリーニング装置4Kを構成するクリーニングブレード4(クリーニング部材)が設けられている。クリーニングブレード4の基端部は、プロセスユニット1の機枠に固定されたブレードホルダ56によって支持されている。クリーニングブレード4は、例えばゴム弾性体により構成することができる。このようなゴム弾性体としては、例えばウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0039】
クリーニングブレード4の先端部は、感光体ドラム3の外周面に対して所定の圧力でカウンタ接触している。この接触圧はある程度大きくしないと良好なクリーニング作用が得られないが、接触圧を大きくすると感光体ドラム3の駆動トルクも増大させなければならない。そこで、レーザプリンタ10やプロセスユニット1の小型化との兼ね合いや、感光体ドラム3及びトナーへのダメージ等も考慮して前記接触圧を設定する。
【0040】
クリーニングブレード4の左側に隣接して、所定の容積のトナー回収部60が配設されている。このトナー回収部60は、クリーニングブレード4で除去された感光体ドラム3の外周面の残トナーを受け入れるためのものである。トナー回収部60の向こう側の端壁に排出口60aが形成され、この排出口60aとトナーボックス50の供給口50aが後述のフレキシブルスクリュー66の移送管66cで連結されている。
【0041】
トナー回収部60は、
図3A、
図3Bに示すように、感光体ドラム3の外周面に対してクリーニングブレード4の回転上流側で近接した顎部61と、当該顎部61に配設され感光体ドラム3の外周面にトレーリング接触した入口シール62を有する。トナー回収部60の底面63は、前記顎部61に向かって直線状の上り傾斜となる傾斜底面63とされ、当該傾斜底面63は最も低い位置にある円弧状断面の搬送溝64を介して、クリーニングブレードの背面側に位置するほぼ垂直な垂直面65に続いている。そして、前記搬送溝64に、トナー搬送部材としてのフレキシブルスクリュー66が回転可能に配設されている。
【0042】
フレキシブルスクリュー66は、コイルやエラストマーゴム等の弾性体によって構成され、所定以上の回転トルクが作用するとその軸線が不規則に屈曲変形するように構成されている。フレキシブルスクリュー66は、
図3A、
図3Bのように、回転軸66aの回りに螺旋羽根66bを形成した形態や、或いは、回転軸66aなしで螺旋羽根66bのみの形態とすることができる。
【0043】
フレキシブルスクリュー66の手前側端部は、トナー回収部60の端壁に回転自在に軸支され、当該端壁の外側で図示しないモータに連結されている。フレキシブルスクリュー66の向こう側の端部は、トナー回収部60の排出口60aに挿入され、斜め上方に直角に折り曲げられた状態で、前記移送管66cの中をトナーボックス50の供給口50aの高さまで延びている。
【0044】
フレキシブルスクリュー66の螺旋羽根66bの外周は、搬送溝64の内面に近接又は接触している。そして、クリーニングブレード4によって除去された残トナーが、トナー回収部60の傾斜底面63を重力で滑って搬送溝64に集まると、ここでフレキシブルスクリュー66の螺旋羽根66bの間に保持されるようになっている。
【0045】
クリーニングブレード4とフレキシブルスクリュー66の間には、
図3A、
図3Bに示すように、クリーニングブレード4で除去される残トナー量がフレキシブルスクリュー66の搬送能力を超えた場合のために、所定の大きさのバッファー領域aが形成されている。このバッファー領域aに重なるようにして、傾斜底面63に撹拌部材70が配設されている。
【0046】
撹拌部材70は、感光体ドラム3の軸線方向長さとほぼ同じ長さを有し、感光体ドラム3の軸線と平行状に配設されている。撹拌部材70は、
図4(a)(b)のように、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタール)、SUS(ステンレス)等の弾性的に屈曲可能な弾性シート部材を折り曲げ形成したものである。
【0047】
撹拌部材70の一端部は、直角に折り曲げられた固定部70aとされ、この固定部70aが、プロセスユニット1のケーシングの垂直面65に、両面テープや接着剤等で固定されている。撹拌部材70の反対側の他端部は摺動部70bを構成し、この摺動部70bは、フレキシブルスクリュー66を配設した状態で傾斜底面63に摺動自在に接触している。また、この摺動部70bに続いて鋭角の角度θで折り曲げられた折り曲げ部70cが形成され、その先端70dがフレキシブルスクリュー66の方向に向けられている。この折り曲げ部70cは、例えば
図4(b)のように、必要に応じて二等辺三角形を複数並べた鋸歯状又は櫛歯状に形成することができる。鋸歯状又は櫛歯状の形は二等辺三角形に限らず、長方形等の適当な形状、長さにすることができる。
【0048】
撹拌部材70の中間部70eは、フレキシブルスクリュー66を配設した状態で螺旋羽根66bの外周が弾性的に接触する部分である。この中間部70eに、矩形又は長方形の穴70fが長手方向に複数形成されている。この穴70fは、撹拌部材70と搬送溝64の間に溜まったトナーを撹拌部材70の上側に排出してフレキシブルスクリュー66で搬送可能にするためのものである。穴70fの形は矩形又は長方形に限らず、任意の形状でよい。
【0049】
図5A、
図5Bは、本発明の変形実施形態を示したものである。撹拌部材70の鋸歯状又は櫛歯状の折り曲げ部70c1の長さを延ばし、撹拌部材70の中間部70eが
図5Aのように屈曲した時に、折り曲げ部70c1の先端70dがフレキシブルスクリュー66の螺旋羽根66bの間に入り込むようにしたものである。こうすることで、螺旋羽根66bの間にトナーが固まってフレキシブルスクリュー66の搬送能力が低下したり、フレキシブルスクリュー66の上下動が妨げられたりするのが防止される。鋸歯状又櫛歯状の歯のピッチPは、フレキシブルスクリュー66の螺旋羽根66bのピッチPと同じにするのが望ましい。これにより、螺旋羽根66bの間のトナーの固まりを満遍なく除去することができ、また螺旋羽根66bと鋸歯又は櫛歯との接触による異音の発生を抑制することができる。
【0050】
以上のように構成されたプロセスユニット1及びトナー搬送装置は、次のように作動する。すなわち、
図2のプロセスユニット1で作像動作が開始されると、感光体ドラム3が時計回りに回転駆動される。このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ5によって感光体ドラム3が所定の極性に帯電される。このように帯電された感光体ドラム3に対し、露光器7からのレーザビームLによる露光で形成された静電潜像が現像ローラ6との対向位置に移動すると、そこで現像ローラ6から当該静電潜像にトナーが供給される。
【0051】
詳しくは、トナー収容部51のアジテータ52が回転してトナーを攪拌し、所定の極性の電荷をトナーに帯電させる。帯電されたトナーが、トナー供給ローラ53から現像ローラ6へ搬送され、現像ローラ6の外周面に担持される。
【0052】
現像ローラ6に担持されたトナーは、規制ブレード55によって所定の厚さに規制される。その後、現像ローラ6と感光体ドラム3との間の現像領域に運ばれ、ここでトナーが感光体ドラム3上の静電潜像に静電的に移行され、当該静電潜像がトナー画像として可視像化される。そして、感光体ドラム3上のトナー画像は、感光体ドラム3の回転により感光体ドラム3の下部位置に移動し、ここで中間転写ベルト24に一次転写される。中間転写ベルト24上に転写される各色のトナー像は、ある一定のジョブ間隔でもって、トナーセンサ28により適切なタイミングで転写されるよう調整される。
【0053】
前記一次転写の後に、感光体ドラム3の表面に残留するトナーがクリーニングブレード4によって除去され、除去された残トナーがフレキシブルスクリュー66と移送管66cによってトナーボックス50に搬送される。一方、トナー収容部51内のトナー残量がある閾値を下回ると、トナー収容部51内の図示しないトナー残量検知手段によってそれが検知され、トナーボックス50から一定量のトナーがトナー収容部51に補給される。
【0054】
フレキシブルスクリュー66は、搬送する残トナーの量によって回転トルクが変動する。この回転トルクの変動によって、フレキシブルスクリュー66の回転軸66aが部分的に曲がり、
図3Bのように搬送溝64から不規則に上昇したり下降したりする。フレキシブルスクリュー66のこのような上下動によって、撹拌部材70の中間部70eの上面が強弱の繰り返し変動力で押圧される。
【0055】
このため、撹拌部材70の中間部70eが強く押圧されて下方に大きく屈曲すると、その右端の折り曲げ部70cが
図6の点線のようにフレキシブルスクリュー66側に接近する。また、フレキシブルスクリュー66が上昇すると撹拌部材70の中間部70eが弾性復元作用で平坦状態に近づき、右端の折り曲げ部70cが
図6の実線のようにフレキシブルスクリュー66から離間する。
【0056】
このように、フレキシブルスクリュー66の上下動によって撹拌部材70の折り曲げ部70cが傾斜底面63に沿って往復動するため、傾斜底面63上のバッファー領域aでトナーTが堆積しそうになっても、当該堆積が折り曲げ部70cですぐに崩壊させられる。従って、バッファー領域aでトナーの詰まりが発生することがない。従って、残トナーの堆積によるクリーニング不良や、感光体ドラム3へのトナー固着、或いは入口シール62からの残トナー漏れを防ぐことが出来る。また、折り曲げ部70cは単純形状の任意長さで構成可能であるから、バッファー領域aでトナーTが堆積するデッドスペースをなくすことができる。
【0057】
なお、撹拌部材70の折り曲げ部70cは、フレキシブルスクリュー66から最大限離間した状態でも、傾斜底面63の端部の入口シール62や、その先にある感光体ドラム3に接触しないようにするのが好ましい。これにより、入口シール62や感光体ドラム3の損傷を防止し、接触による異音の発生を防止する。
【0058】
撹拌部材70の折り曲げ部70cの角度θを鋭角にすることで、残トナーTを感光体ドラム3側からフレキシブルスクリュー66側へ効率よく搬送することが出来る。また、折り曲げ部70cを鋸歯状又は櫛歯状にすることで、折り曲げ部70cが感光体ドラム3側に移動する際に、感光体ドラム3側にあるトナーが折り曲げ部70cをすり抜けてフレキシブルスクリュー66側に移動しやすくなる。従って、感光体ドラム3や入口シール62に対する残トナーTの圧力を低減することが出来る。
【0059】
また、
図5Aのように折り曲げ部70c1を延ばすと、螺旋羽根66bの間のトナーの固まりでフレキシブルスクリュー66の搬送能力が低下したり、フレキシブルスクリュー66の上下動が妨げられたりするのが防止される。
【0060】
撹拌部材70の摺動部70bと折り曲げ部70cが往復動を繰り返すと、残トナーの一部が撹拌部材70の下側に侵入することがある。しかし、撹拌部材70の下側に残トナーがある程度蓄積しても、撹拌部材70の中間部70eの屈曲ないし上下動に伴い、当該残トナーが中間部70eの穴70fから上方に排出され、フレキシブルスクリュー66によって搬送される。従って、撹拌部材70の下側に溜まった残トナーによって、撹拌部材70やフレキシブルスクリュー66の動きが妨げられることがない。
【0061】
また、フレキシブルスクリュー66がその回転に伴い上昇する際に、撹拌部材70の残トナーの一部を撹拌部材70の穴70fから下側に落下させることができるので、フレキシブルスクリュー66の上昇に合わせた撹拌部材70のスムーズな上昇が可能になる。このように、撹拌部材70の穴70fは、フレキシブルスクリュー66の上下動に対する撹拌部材70の追従性を向上させる作用がある。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、以上の説明は転写紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y〜1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成することも可能である。また、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0063】
また、前記フレキシブルスクリュー66に代えて、
図7のように軸線が変形しない通常の搬送スクリュー76を使用することも可能である。この場合、撹拌部材70の固定部70aから先を鋸歯状又櫛歯状に分ける。鋸歯状又櫛歯状のピッチは、搬送スクリュー76の螺旋羽根76bのピッチと同じでもよいし、異なっていても良い。
【0064】
そして、搬送スクリュー76が回転すると、各鋸歯又は櫛歯が搬送スクリュー76の螺旋羽根76bによって押し下げられたり、螺旋羽根76bの相互間で弾性復元力により浮き上がって回転軸76aに当接したりする。従って、各鋸歯又は櫛歯の先端の摺動部70bと折り曲げ部70cを、傾斜底面63に沿って往復動させることができる。これにより、前記実施形態と同様に、傾斜底面63上のバッファー領域aで形成されそうになるトナーの堆積を崩すことができる。