【実施例】
【0032】
本実施例では、エアミルクが超速硬セメントとアルファオレフィン酸系の起泡剤とを含むことによる効果を調べた。具体的には、下記の表1の配合量でセメントミルクを製造して、下記の表1に記載の項目について評価した。
【0033】
(実施例1)
実施例1では、超速硬セメントとして住友大阪セメント株式会社製の商品名「ジェットセメント」1000gと、粉末起泡剤としてライオン株式会社製の商品名「リポネンPB−800」6.0gとを混合し、混合した粉体を1000gの水に加えて、ハンドミキサー(株式会社マキタの商品名「UT−1305」)を用いて1300rpmで2分間混練して、下記の表1に記載の練り上がり容量のエアミルクを製造した。
【0034】
(実施例2)
実施例2は、基本的には実施例1と同様であったが、超速硬セメントとして、住友大阪セメント株式会社製の商品名「マイルドジェットセメント」を用いた点において異なっていた。
【0035】
(実施例3)
実施例3は、基本的には実施例2と同様であったが、2000gの超速硬セメントと、12.0gの粉末気泡剤とを、2000gの水に加えて混練りした点において異なっていた。
【0036】
(実施例4)
実施例4は、基本的には実施例2と同様であったが、4000gの超速硬セメントと、24.0gの粉末気泡剤とを、4000gの水に加えて混練した点において異なっていた。
【0037】
(実施例5)
実施例5は、基本的には実施例2と同様であったが、10000gの超速硬セメントと、100.0gの粉末気泡剤とを、10000gの水に加えて混練した点において異なっていた。
【0038】
(実施例6)
実施例6は、基本的には実施例5と同様であったが、粉末起泡剤を160.0g配合した点において異なっていた。
【0039】
(比較例1)
比較例1は、基本的には実施例1と同様であったが、粉末起泡剤として、ステアリン酸ナトリウム(ライオン株式会社製の商品名「フレークマルセル石鹸」)を用いた点において異なっていた。
【0040】
(比較例2)
比較例2は、基本的には実施例1と同様であったが、粉末起泡剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(花王株式会社製の商品名「エマール10PT」)を用いた点において異なっていた。
【0041】
(比較例3)
比較例3は、基本的には実施例2と同様であったが、粉末起泡剤として、ステアリン酸ナトリウム(ライオン株式会社製の商品名「フレークマルセル石鹸」)を用いた点において異なっていた。
【0042】
(比較例4)
比較例4は、基本的には実施例2と同様であったが、粉末起泡剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王株式会社製の商品名「エマール10PT」)を用いた点において異なっていた。
【0043】
(比較例5)
比較例5は、基本的には実施例1と同様であったが、セメントとして、超速硬セメントではない高炉B種(住友大阪セメント株式会社製の商品名「高炉セメントB種」)を用いた点において異なっていた。
【0044】
(比較例6)
比較例6は、基本的には実施例2と同様であったが、起泡剤として、液体起泡剤であるトリデシルアルコール(青木油脂工業株式会社製の商品名「ファインサーフTD−90」)を用いた点において異なっていた。
【0045】
(比較例7)
比較例6は、基本的には実施例2と同様であったが、起泡剤として、液体起泡剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(青木油脂工業株式会社製の商品名「ブラウノンEL−1509P」)を用いた点において異なっていた。
【0046】
(評価方法)
実施例1〜6及び比較例1〜7のエアミルクについて、混練直後及びその15分後の密度、空気量、及び均一性について以下のように評価した。
密度は、内容積が1Lの容器に混練後のエアミルクを入れてその重量を測定することにより求めた。
空気量は、上記密度及び重量から求めた。
均一性は、混練後のエアミルクが目視で分離せず、かつ容器の上下で密度差が0.10t/m
3未満の場合を「○」とし、混練後のエアミルクが目視で分離し、かつ容器の上下で密度差が0.10t/m
3以上の場合を「×」とした。なお、空気量が少なかった比較例1、3、5については、評価できなかった。
混練直後及びその15分後の密度の差が0.10t/m
3未満であり、かつ1m
3当たりの空気量が300L以上であり、かつ均一性が○のものは気泡の安定性が高いため、総合評価として「○」とした。混練直後及びその15分後の密度の差1.00t/m
3以上、1m
3当たりの空気量が300L未満、均一性が×の少なくともいずれかに当てはまる場合には気泡の安定性が低いので、総合評価として「×」とした。
これらの結果を下記の表1に記載する。
【0047】
【表1】
【0048】
(評価結果)
上記表1に示すように、超速硬セメントと、アルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを含む実施例1〜6のエアミルクは、混練直後と15分後との密度の差が小さかったことから、消泡が抑制されていたことがわかる。また、超速硬セメントと、アルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを含む実施例1〜6のエアミルクは、1m
3当たりの空気量が300L以上であったことから、十分に発泡していたことがわかる。さらに、超速硬セメントと、アルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを含む実施例1〜6のエアミルクは、混練後のエアミルクが分離せず、かつ上下で密度差がなかったことから、気泡の均一性が高いことがわかる。
このように、超速硬セメントと、アルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを含む実施例1〜6のエアミルクは、十分に気泡を含み、かつ気泡抜けが抑制され、かつ気泡の均一性が高かったことがわかった。
【0049】
一方、アルファオレフィンスルホン酸系でないステアリン酸ナトリウムを粉末気泡剤として用いた比較例1、3、及び、超速硬セメントでない高炉B種を用いた比較例5は、1m
3当たりの空気量が300L未満であったことから、発泡が十分でないことがわかる。
アルファオレフィンスルホン酸系でないラウリル硫酸ナトリウムを粉末気泡剤として用いた比較例2、4、及び、液体気泡剤を用いた比較例6、7は、混練後の密度の差が1.00t/m
3以上と大きかったことから、気泡抜けが生じたことがわかると共に、混練後のエアミルクが分離したことから、エアミルク中の気泡は均一でないことがわかる。
【0050】
以上より、超速硬セメントと、アルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを混合することでエアミルクを製造することにより、気泡の安定性を高めることができることが確認できた。このように、本発明は、気泡の安定性を高めることができるので、予め気泡剤を混合した状態で施工現場に運搬しても、施工現場で用いることができる。したがって、セメントと起泡剤とを別々に運搬して施工現場で混合する必要がないので、施工現場で用いる際に、設備の小型化を図ることができることが確認できた。また、本発明の気泡の安定性が高いエアミルクを用いることで、施工品質を向上して施工を行うことができることもわかった。
【0051】
ここで、上記において超速硬セメントとアルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを混合してなるエアミルクについて説明したが、本発明者は超速硬セメントと、アルファオレフィンスルホン酸系の粉末起泡剤とを混合してなるエアモルタルについても同様の結果になるという知見を有している。
【0052】
以上のように本発明の実施の形態及び実施例について説明を行なったが、各実施の形態及び実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。