(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理対象の画像を構成する複数の画素のそれぞれを注目画素として特定し、上記特定された注目画素との位置の乖離度が所定の範囲内の画素を抽出し、上記抽出された画素の中から、上記特定された注目画素との画素値の乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象候補画素群として決定する画像処理対象候補画素群決定部と、
上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素を上記特定された注目画素と関連付ける関連付け部と、
上記特定された注目画素に関連付けられた上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素に対して画像処理を実行する画像処理部と、
を有し、
上記画像処理部は、上記画像処理対象候補画素群を構成する画素の中から、上記特定された注目画素の画素値との乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象画素群として選択し、上記選択された画像処理対象画素群に含まれる各画素の画素値に基づいて、上記特定された注目画素の画素値を平滑化し、
上記画像処理対象候補画素群決定部は、上記特定された注目画素ごとに1回実行され、
上記画像処理部は、上記特定された注目画素ごとに複数回実行される、
ことを特徴とする画像処理装置。
処理対象の画像を構成する複数の画素のそれぞれを注目画素として特定し、上記特定された注目画素との位置の乖離度が所定の範囲内の画素を抽出し、上記抽出された画素の中から、上記特定された注目画素との画素値の乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象候補画素群として決定する画像処理対象候補画素群決定部と、
上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素を、上記特定された注目画素と関連付ける関連付け部と、
上記特定された注目画素に関連付けられた上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素に対して画像処理を実行する画像処理部と、
を有し、
上記画像処理部は、上記画像処理対象候補画素群を構成する画素の中から、上記特定された注目画素の画素値との乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象画素群として選択し、上記選択された画像処理対象画素群に含まれる各画素の画素値に基づいて、上記特定された注目画素の画素値を平滑化し、
上記画像処理対象候補画素群決定部は、上記特定された注目画素ごと実行され、
上記画像処理部は、上記特定された注目画素ごとに、上記処理対象の画像に含まれるエッジの広がりに応じて画像処理の繰り返し回数を決定し、決定された繰り返し回数に関連付けられている上記画像処理対象候補画素群を特定し、
上記特定された画像処理候補画素群に基づいて上記画像処理対象画素群を選択し、
上記特定された注目画素ごとに、複数回実行される、
ことを特徴とする画像処理装置。
処理対象の画像を構成する複数の画素のそれぞれを注目画素として特定し、上記特定された注目画素との位置の乖離度が所定の範囲内の画素を抽出し、上記抽出された画素の中から、上記特定された注目画素との画素値の乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象候補画素群として決定する画像処理対象候補画素群決定部と、
上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素を上記特定された注目画素と関連付ける関連付け部と、
上記特定された注目画素に関連付けられた上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素に対して画像処理を実行する画像処理部と、
を有してなる画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
上記画像処理部は、上記画像処理対象候補画素群を構成する画素の中から、上記特定された注目画素の画素値との乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象画素群として選択するステップと、
上記選択された画像処理対象画素群に含まれる各画素の画素値に基づいて、上記特定された注目画素の画素値を平滑化するステップと、
を実行し、
上記画像処理対象候補画素群決定部は、上記注目画素ごとに1回実行され、
上記画像処理部は、上記注目画素ごとに複数回実行される、
ことを特徴とする画像処理方法。
処理対象の画像を構成する複数の画素のそれぞれを注目画素として特定し、上記特定された注目画素との位置の乖離度が所定の範囲内の画素を抽出し、上記抽出された画素の中から、上記特定された注目画素との画素値の乖離度が所定の範囲内の画素を画像処理対象候補画素群として決定する画像処理対象候補画素群決定部と、
上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素を、上記特定された注目画素と関連付ける関連付け部と、
上記特定された注目画素に関連付けられた上記画像処理対象候補画素群に含まれる画素に対して画像処理を実行する画像処理部と、
を有してなる画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
上記画像処理部は、上記特定された注目画素ごとに、
上記処理対象の画像に含まれるエッジの広がりに応じて画像処理の繰り返し回数を決定するステップと、
決定された繰り返し回数に関連付けられている上記画像処理対象候補画素群を特定するステップと、
上記特定された画像処理候補画素群に基づいて上記画像処理対象画素群を選択するステップと、
上記選択された画像処理対象画素群に含まれる各画素の画素値に基づいて、上記特定された注目画素の画素値を平滑化するステップと、
を実行し、
上記画像処理対象候補画素群決定部は、上記特定された注目画素ごとに、かつ、上記画像処理部が実行された回数ごとに実行され、
上記画像処理部は、上記注目画素ごとに複数回実行される、
ことを特徴とする画像処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施形態について、図面を用いながら説明する。まず、本発明に係る画像処理装置を備える撮像装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る撮像装置の例であるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
図1において、デジタルカメラ100は、画像処理装置10と、撮像手段11と、インターフェース20と、表示手段21と、外部メモリ22と、を有してなる。デジタルカメラ100は、撮像手段11により撮像された画像に対して、画像処理装置10による画像処理を実行し、インターフェース20を介して表示手段21に表示し、また、外部メモリ22に記録するよう構成されている。
【0011】
撮像手段11は、撮像レンズ12と、絞り機構13と、メカニカルシャッター14と、撮像素子15と、前処理手段16と、を有してなる。撮像素子15は、光電変換素子であって、例えばCMOSセンサやCCDセンサなどが用いられる。撮像レンズ12と、絞り機構13と、メカニカルシャッター14とを介して撮像素子15の受光面に結像した被写体像は、光電変換されて画像信号として、撮像素子15から出力される。前処理手段16は、撮像素子15から出力された画像信号に対して、A/D変換処理や利得制御処理を行う。
【0012】
画像処理装置10は、制御手段17と、画像処理手段18と、内部メモリ19と、を有してなる。制御手段17は、撮像手段11から入力された画像信号や、内部メモリ19または外部メモリ22に記録されている画像データに対して、画像処理手段18において実行される画像処理に用いられる各種データの入出力制御を行う。また、制御手段17は、撮像手段11の撮像レンズ12やメカニカルシャッター14の動作制御、および、内部メモリ19への各種データの入出力制御などを行う。
【0013】
画像処理手段18は、撮像手段11から入力された画像信号から、例えば色や輝度を人の目で見た場合と同等となるような画像データを生成する処理を実行する。内部メモリ19は、半導体メモリにより構成されていて、画像処理に用いられるパラメータと、画像処理の実行に用いられる画像処理プログラム24が格納されている。
【0014】
画像処理装置10によって画像処理を実行された画像データは、インターフェース20を介して表示手段21や外部メモリ22に出力される。表示手段21は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成されていて、撮像された画像の表示などに用いられる。外部メモリ22は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成される。外部メモリ22に格納された画像データは、他の撮像装置やコンピュータに移動することができる。
【0015】
画像処理装置10は、内部メモリ19に格納されている画像処理プログラム24と画像処理手段18によって、本発明に係る画像処理方法を実行する。
【0016】
図2は、画像処理プログラム24の機能構成の例を示す機能ブロック図である。
図2において、画像処理プログラム24は、画像処理対象候補画素群決定部241と、関連付け部242と、画像処理部243と、を有してなる。
【0017】
画像処理対象候補画素群決定部241は、以下の複数の処理を実行するプログラムにより構成される。画像処理の対象となる画像(以下「処理対象画像」という。)は、複数の画素から構成されている。画像処理対象候補画素群決定部241は、この処理対象画像を構成する複数の画素の中から、注目画素を特定する処理を実行するプログラムを有する。画像処理を実行する範囲が処理対象画像全体であれば、処理対象画像を構成する画素の一つ一つを注目画素として特定する。画像処理を実行する範囲が設定されたときは、設定された範囲に含まれる画素の一つ一つを注目画素として特定する。
【0018】
また、画像処理対象候補画素群決定部241は、特定された注目画素との位置の乖離度が、所定の範囲内にある画素を抽出する処理を実行するプログラムを有する。
【0019】
また、画像処理対象候補画素群決定部241は、抽出された画素の中から、特定された注目画素との画素値の乖離度が、所定の範囲内にある画素を決定する処理を実行するプログラムを有する。
【0020】
画像処理対象候補画素群決定部241の処理により決定された画素からなる画素群を「画像処理対象候補画素群」という。
【0021】
関連付け部242は、画像処理対象候補画素群を構成する画素と注目画素とを関連付ける処理を実行するプログラムである。具体的には、画像処理対象候補画素群を構成する各画素を識別可能な情報と、これに関連付けられる注目画素を識別可能な情報とを、関連付けて記憶する処理を実行する。なお、画素を識別可能な情報とは、例えば、処理対象画像における各画素の位置に関する情報である。
【0022】
画像処理対象候補画素群決定部241と関連付け部242は、処理対象となる各画素をそれぞれ注目画素として特定し、特定された注目画素ごとに1回実行される。
【0023】
画像処理部243は、特定された注目画素ごとに、所定の画像処理を実行する。ここで、所定の画像処理とは、例えば、フィルタ処理である。画像処理部243は、例えば、以下の複数の処理を実行するプログラムにより構成される。
【0024】
画像処理部243は、特定されている注目画素に関連付けられている画像処理対象候補画素群を読みだす処理を実行するプログラムを有する。
【0025】
また、画像処理部243は、読み出された画像処理対象候補画素群によって特定された画素を、画像処理対象画素群として選択する処理を実行するプログラムを有する。
【0026】
また、画像処理部243は、選択された画像処理対象画素群を構成する画素の画素値を用いて、注目画素の画素値を平滑化する処理を実行するプログラムを有する。
【0027】
また、画像処理部243は、平滑化された画素値を用いて、注目画素の画素値を置換する処理を実行するプログラムを有する。
【0028】
また、画像処理部243は、画像処理部を実行する回数を制御するプログラムを有する。このプログラムにより、一連の画像処理部243の各処理は、注目画素ごとに複数回実行される。
【0029】
次に、本発明に係る画像処理方法の実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像処理方法の例を示すフローチャートである。
図3において、まず、画像情報取得処理(S10)が実行される。画像情報取得処理(S10)は、処理対象画像を内部メモリ19に読み込んで、画像処理の対象範囲を決定する処理である。処理対象とする画像は、デジタルカメラ100が直接撮像した画像でもよいし、外部メモリ22に既に格納されている画像でもよい。
【0030】
続いて、処理対象画像に対して画像処理が実行される(S20)。画像処理の詳細は後述する。画像処理によって処理対象画像を構成する各画素に対する「平滑化された画素値」が生成される。画像処理が終了した後に、この「平滑化された画素値」の出力処理が実行される(S30)。続いて、出力された「平滑化された画素値」に基づいて、処理対象画像を構成する各画素の画素値を補正する補正処理が行われる(S40)。続いて、補正処理(S40)によって、処理対象画像からノイズが低減された画像が出力される(S50)。
【0031】
次に、本発明に係る画像処理方法の詳細な実施形態について説明する。
図4は、上記の画像処理(S20)の詳細な処理の流れの例を示すフローチャートである。
図4において、まず、処理対象画像を構成する複数の画素の中から注目画素を特定する処理が実行される(S201)。
【0032】
続いて、画像処理対象候補画素群決定処理が実行される(S202)。画像処理対象候補画素群決定処理(S202)では、まず、特定された注目画素を中心として、所定の位置範囲内にある画素を抽出する処理が実行される。すなわち、特定された注目画素との位置の乖離度が所定の範囲内の画素が抽出される。続いて、この抽出された画素のうち、画素値が、特定された注目画素の画素値から所定の範囲内にある画素を抽出する処理が実行される。すなわち、特定された注目画素との画素値の乖離度が所定の範囲内の画素が抽出される。この抽出された画素群が、画像処理対象候補画素群である。
【0033】
ここで、画像処理対象候補画素群決定処理(S202)の内容について、
図5を用いて説明する。
図5は、処理対象画像に対して画像処理対象候補画素群決定処理(S202)を実行した例を示す図である。
図5(a)は、処理対象画像に含まれる画素のうち、特定された注目画素111との位置の乖離度が所定の範囲内にある画素群110を示している。
図5(a)は、各画素を矩形で表している。
図5(a)において画素群110は、25画素(5×5)で構成されている。
【0034】
各画素を表す矩形内の数字は、各画素の画素値の例を示している。画素値は、各画素に係る情報を数値化したものである。例えば、モノクロ画像であれば、画素値は輝度値で表される。
【0035】
図5(a)において、注目画素111の画素値は「112」である。この注目画素111の画素値との乖離度(差分の絶対値)を算出すると、画素群110に含まれる各画素における画素値の乖離度は、それぞれ
図5(b)に示すようになる。ここで、乖離度の所定の範囲を「30以下」とする。この範囲内にある画素を抽出すると、
図5(c)のようになる。この抽出された第1画素群112が「画像処理対象候補画素群」として決定される。
【0036】
図4に戻る。続いて、決定された第1画素群112を、注目画素111と関連付ける処理が実行される(S203)。第1画素群112と注目画素111との関連付け処理(S203)は、例えば、第1画素群112を構成する各画素の位置を識別する情報と、注目画素111の位置を識別する情報とを、関連付けて内部メモリ19に記憶する処理である。
【0037】
画像処理対象候補画素群決定処理(S202)と関連付け処理(S203)は、処理対象画素を構成する各画素を注目画素111としたときに、1回だけ実行される処理である。すなわち、本実施形態に係る画像処理方法においては、各注目画素111と第1画素群112との関連付けは、後の処理によって変動しない。
【0038】
続いて、処理対象として特定されている注目画素111に関連付けられて、内部メモリ19に記憶されている第1画素群112を読み出す処理が実行される(S204)。
【0039】
続いて、画像処理対象画素群選択処理が実行される(S205)。この処理は、第1画素群112に含まれる各画素のうち、画素値の乖離度が、注目画素111の画素値と所定の範囲内にある画素からなる第2画素群113を、「画像処理対象画素群」として選択する処理である。ある注目画素111に対して、最初に画像処理対象画素群選択処理(S205)が実行されるときは、第1画素群112に含まれる画素と、第2画素群113に含まれる画素は一致している。
【0040】
続いて、第2画素群113を構成する各画素の画素値の平均値を算出する処理が実行される(S206)。
【0041】
続いて、算出された平均値を用いて注目画素111の画素値を置換する処理が実行される(S207)。
【0042】
続いて、画像処理の繰り返し回数の判定処理が実行される(S208)。繰り返し回数の閾値は予め規定されていて、図示しない記憶手段に記憶されている。画像処理の繰り返し回数が所定の閾値を超えているとき(S208のYes)、画像処理は終了する。画像処理の繰り返し回数が所定の閾値を超えていなければ(S208のNO)、画像処理は画像処理対象候補画素群読み出し処理(S204)に戻る。
【0043】
以上説明をした画像処理の効果について、具体例を示しながら説明する。
図6は、第1画素群112と、第2画素群113との関係を示す図である。
図6は、説明を簡素化するために注目画素111を中心として右方向と左方向にそれぞれ3つの画素を含む範囲を画素群110としている。
【0044】
図6(a)における注目画素111の画素値は「120」である。したがって、画素群110に含まれる各画素の画素値と注目画素111の画素値の絶対差分値は、それぞれ、
図6(b)に示すようになる。ここで、画素値の乖離度の閾値を「30」とし、この閾値以下の画素を抽出する。そうすると、絶対差分値が30以下の画素は、
図6(c)に示すようになる。この抽出された画素から構成されるものが、第1画素群112である。
【0045】
この第1画素群112が注目画素111に関連付けられて記憶される。続く処理において、注目画素111に関連付けられている第1画素群112が読み出される。
【0046】
当該注目画素111に対する画像処理が最初の画像処理であれば、注目画素111に関連付けられている第1画素群112は、
図6(c)と同様である。続いて、注目画素111の画素値との乖離度の閾値「30」以下である画素値を有する第1画素群112に含まれる各画素を第2画素群113として決定する。この決定された第2画素群113は、第1画素群112と同じである。したがって、平均値算出処理(S206)および注目画素置換処理(S207)は、
図6(c)に示す第2画素群113に含まれる画素の画素値に基づいて実行される。
【0047】
平均値算出処理(S206)および注目画素置換処理(S207)が実行されると、注目画素111の画素値は「116」になる。次に、画像処理対象画素群選択処理(S205)が実行される前に、まず、画像処理対象候補画素群読み出し処理(S204)が実行されると、読み出された第1画素群112は、
図6(d)のようになる。
【0048】
この第1画素群112に対して、画像処理対象画素群選択処理(S205)が実行される。各画素の絶対差分値は、
図6(e)に示すようになり、所定の乖離度(30以下)に相当する画素である第2画素群113は、
図6(f)のようになる。これを繰り返し回数に至るまで繰り返す。
【0049】
仮に、第1画素群112を決定せずに、上記の処理を繰り返した場合について説明する。
図6(a)の画素群110において、注目画素111から右に2つ目の画素の画素値は「89」である。一度目の注目画素置換処理(S207)により、注目画素の画素値が「116」になると、2回目の画像処理では第2画素群113に、この画素値「89」の画素も含まれるようになる(|116−89|=27)。したがって、画像処理を複数回繰り返して実行すると、第2画素群113に含まれる画素の範囲が広がっていくことになる。すなわち、処理対象画像のエッジ部分が広がってぼやけた状態になり、画質が低下することとなる。
【0050】
ここで、本実施形態に係る画像処理方法において、複数回の画像処理(フィルタ処理)を実行してもエッジ部分が保持される原理について、さらに説明する。
図7は、本実施形態に係る画像処理方法の効果の例を示す図である。
図7は、処理対象画像を構成する各画素を横方向に、各画素の画素値の大きさを縦方向にとって並べたイメージ図である。すなわち、各画素の縦方向の位置の変化が急峻であれば、エッジがハッキリした画像となる。
【0051】
図7(a)は、従来の画像処理および本発明に係る画像処理における繰り返し回数が1回目のときの画素群110の状態を示している。
図7(b)は、従来の画像処理における繰り返し回数が2回目のときの画素群110の状態を示している。
図7(c)は、本発明に係る画像処理における繰り返し回数が2回目のときの画素群110の状態を示している。
【0052】
図7(a)に示すように、繰り返し回数が1回目のときは、注目画素111の画素値は「120」であるから、所定の画素値の乖離度を「30以下」とすれば、第2画素群113には、注目画素111を含めて5個の画素が含まれる。
【0053】
従来例における繰り返し回数が2回目のときは、
図7(b)に示すように、第2画素群113に含まれる画素が増える。すなわち、エッジ部分が広がることになる。このように、従来例では、処理を繰り返して実行ことでエッジ部分が広がりぼやけることとなる。
【0054】
これに対して本発明によれば、繰り返し回数が2回目のときは、
図7(c)に示すように、第2画素群113に含まれる画素は増えずに、当初に決定された第1画素群112と同じ位置的乖離度の範囲内にある画素によって、第2画素群113が決定される。したがって、繰り返し回数を更に重ねてもエッジ部の画素に周辺の画素近づくことも、エッジ部の画素に周辺の画素が含まれるようになることもなく、変化を急峻に保ったままエッジ部を保持することができる。
【0055】
以上説明をした本実施形態によれば、画像処理対象候補画素群は、最初の画像処理によって決定された後は、変更されない。したがって、各注目画素111に対して注目画素値置換処理(S207)を複数回実行しても、画像処理の対象となる画素の範囲は広がらない。これによって、複数回の画像処理を行なっても、画像に含まれるエッジ部分は保持したままで、ノイズを低減させることができる。
【0056】
なお、画像処理対象画素群である第2画素群を選択するときに用いる画素値の乖離度は、処理の繰り返し回数に応じて異なってもよい。この場合、例えば、繰り返し回数の増加に応じて、画素値の乖離度を小さくしてもよい。これによって、複数回の画像処理を行なっても、画像に含まれるエッジ部分は保持したままで、効率的にノイズを低減させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る画像処理方法を実行可能な画像処理装置を、撮像装置に搭載した場合は、撮像画像のISO感度に応じて、画像処理の繰り返し実行回数を変化させてもよい。この場合、ISO感度が大きくなるにつれて、画像処理の繰り返し実行回数を多くすればよい。これによって、高感度撮影をした画像に対して、より効果的な画像処理を実行することができる。
【0058】
次に、本発明に係る画像処理方法の別の実施形態について、先に説明した実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図8は、本実施形態に係る画像処理(S20)の詳細な処理の別の例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、処理対象画像を構成する複数の画素の中から注目画素111を特定する処理が実行される(S211)。
【0060】
続いて、画像処理対象候補画素群決定処理が実行される(S212)。画像処理対象候補画素群決定処理(S212)では、特定された注目画素との位置の乖離度が、所定の範囲内である画素を抽出する処理が実行される。続いて、この抽出された画素のうち、画素値の乖離度が、特定された注目画素の画素値から所定の範囲内にある画素を抽出し、第1画素群112である画像処理対象候補画素群を決定する処理が実行される。
【0061】
続いて、決定された第1画素群112を注目画素111と関連付けて、さらに画像処理の繰り返し回数(以下「繰り返し処理回数」という。)とも関連付ける処理が実行される(S213)。第1画素群112と注目画素111および処理回数との関連付け処理は、例えば、第1画素群112を構成する各画素を識別する情報及び注目画素111を識別する情報と、繰り返し処理回数とを関連付けて、内部メモリ19に記憶する処理が実行される。
【0062】
これによって、注目画素111ごとに関連付けられて記憶される第1画素群112に係る情報は、繰り返し処理回数ごとに複数の当該情報が記憶されることとなる。
【0063】
続いて、特定された注目画素111に関連付けられて内部メモリ19に記憶されている第1画素群112のうち、いずれの繰り返し処理回数に係る第1画素群112を読み出すのかを決定する処理が実行される(S214)。
【0064】
当該決定処理において、繰り返し処理回数を決定するには、予め規定した「エッジの広がりの閾値」を用いて判定すればよい。例えば、処理対象画像からエッジ情報を取得して、エッジの広がりに当たる画素の数がa個以上であるか否かを判定すればよい。この判定に基づき、さらに、エッジの広がりに当たる画素の数がa個以内であるときは、m回目の繰り返し処理回数に関連付けられている第1画素群112を読み出す、と決定すればよい。また、エッジの広がりに当たる画素の数がa個以上かつb個より少なければ、m−2回目の繰り返し処理回数に関連付けられている第1画素群112を読み出す、と決定すればよい。
【0065】
また、当該決定処理において、繰り返し処理回数を決定するには、繰り返し処理回数の閾値を用いて決定してもよい。例えば、繰り返し処理回数がN回目までは、1回目の第1画素群112を読み出すように決定し、繰り返し処理回数がN+1回目以降はN回目の第1画素群112を読み出すように決定してもよい。
【0066】
続いて、決定された繰り返し処理回数に関連付けられて記憶されている第1画素群112を読み出す処理が実行される(S215)。
【0067】
続いて、画像処理対象画素群選択処理が実行される(S216)。この処理は、第1画素群112に含まれる各画素のうち、画素値の乖離度が、注目画素111の画素値と所定の範囲内にある画素を、第2画素群113である画像処理対象画素群として特定する処理である。
【0068】
続いて、第2画素群113を構成する各画素の画素値の平均値を算出する処理が実行される(S217)。続いて、算出された平均値を用いて注目画素111の画素値を置換する処理が実行される(S218)。
【0069】
続いて、繰り返し処理回数の判定処理が実行される(S219)。繰り返し処理回数の閾値は予め規定されている。繰り返し処理回数が所定の閾値を超えているときは(S219のYes)、画像処理を終了する。繰り返し処理回数が所定の閾値を超えていなければ(S219のNO)、処理は画像処理対象候補画素群決定処理(S212)に戻る。
【0070】
以上説明をした本実施形態に係る画像処理方法によれば、通常はノイズ除去を優先しつつ、エッジが一定以上広がった場合には、エッジの広がりを抑制することができる。すなわち、エッジの広がりを抑制しながらノイズ除去を行う処理に切り替えることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る画像処理方法によれば、通常はエッジ保持を優先しつつノイズの除去を行い、ある一定以上繰り返し処理が行われた後は、孤立点が発生している可能性を考慮して、N回目の第1画素群112を用いて孤立点の除去を行うことができる。
【0072】
次に、本実施形態に係る画像処理方法の効果について、具体例を示しながら説明する。
図9は、本実施形態に係る画像処理方法の効果の例について示す図である。
図9(a)は、繰り返し回数が1回目の画素群110の状態を示す図である。
図9(b)は、繰り返し回数がN回目の画素群110の状態を示す図である。
図9(c)は、繰り返し回数がN+1回目の画素群110の状態を示す図である。
【0073】
図9は、繰り返し回数がN回目までは、1回目の第1画素群112により画像処理を行い、繰り返し回数がN+1回目以降は、N回目の第1画素群112により画像処理を行う例である。
【0074】
図9(a)の点線で示した範囲が第1画素群112である。注目画素111には大きなノイズが加算されている場合、
図9(a)に示すように注目画素111の画素値が、第1画素群112に含まれる他の画素の画素値に比べて非常に大きくなる場合がある。この場合、注目画素111の画素値「152」から絶対差分値が30以内になる画素は存在しないことになる。そうすると、第2画素群113は、注目画素111と同じ画素のみで構成される。
【0075】
この場合、平均値を算出して注目画素111を平滑化しても、注目画素111の画素値は変化しない。一方、注目画素111の周囲の画素は、それぞれに対する画像処理によって、平滑化される。繰り返し回数がN回目の画素群110の例を
図9(b)に示す。このように、注目画素111の画素値が周囲の画素の画素値に比べて大きく、その差が広がって孤立する状態になる。
【0076】
そこで、本実施形態に係る画像処理方法では、N+1回目以降はN回目の第1画素群112を用いて、画像処理を行う。これによって、
図9(c)に示すように、注目画素111も平滑化されて、画素値が周辺画素の画素値に近い値となる。従って、注目画素111の孤立を解消することができる。
【0077】
本実施形態に係る画像処理方法は、エッジ部では、繰り返し処理1回目の第1画素群112を用いることにより、エッジが保持されている。しかし、N+1回目以降の画像処理において、保持していたエッジが崩れることがある。そこで、さらにエッジが崩れることを防ぐためにN+1以降の画像処理においては、常にN回目の第1画素群112を使用する。これによって、エッジを保持することができる。
【0078】
以上説明した画像処理装置及び画像処理方法によれば、本発明は、複数回のフィルタ処理を行なっても、画像に含まれるエッジ部分は保持したままで、ノイズを低減させることができる。