(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒部本体は、土中内に打ち込まれた採土缶の外側に前記筒部本体が土中内に打ち込まれると、前記採土缶の外面と前記筒部本体の内面との間に土層を形成する隙間を形成可能な大きさを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の土壌採取補助具。
筒状の採土缶を内側に挿入可能な筒部本体と、該筒部本体の上端に設置されて該筒部本体を土中内に打ち込ませる打ち込み部材と、前記筒部本体に着脱可能に装着されて前記筒部本体を回転させる回転操作部材と、前記筒部本体に挿抜可能であり、前記筒部本体内に挿入された採土缶の前記筒部本体内側の端部に一端部が接触して他端側が前記筒部本体から延出し、前記採土缶とともに前記筒部本体を設置可能な支持部材とを有してなる土壌採取補助具を使用する土壌採取方法であって、
前記採土缶を土中内に打ち込んで該採土缶内の土の上端面を整形し前記採土缶の上端部に蓋部を装着する第1工程と、
前記筒部本体の内側に土中に打ち込まれた前記採土缶が位置するように前記筒部本体を地面に位置合わせして設置し、前記打ち込み部材を前記筒部本体上に設置し、該打ち込み部材を介して前記筒部本体を土中内に所定量打ち込む第2工程と、
前記回転操作部材を前記筒部本体に装着して回転し、前記回転操作部材を介して前記筒部本体を引き上げ、前記筒部本体の上側から前記支持部材を前記筒部本体に挿入した後、上下方向に反転させて該支持部材によって該筒部本体を支持する第3工程と、
前記支持部材によって支持された前記筒部本体を下方に押圧して採土缶上端部を前記筒部本体上端部よりも上方に位置させ、前記採土缶上端部の余分な土を削り、該採土缶の前記上端部に蓋部を装着する第4工程と
を有することを特徴とする土壌採取方法。
【背景技術】
【0002】
圃場の土のサンプリングは、対象圃場の土壌状態を把握するため試験研究において広く実施されている。サンプリング用の器具・機械も対象土壌やサンプリング深さ、分析目的に応じて各種用いられている。このうち、容積100ccの金属製コアは採土缶と呼ばれ、容積が小さく、取り扱いも簡易なことから、土壌調査用として広く利用されている。
【0003】
例えば、機械作業分野では、この採土缶を用いて土の含水比、乾燥密度、三相分布が採土缶から土を取り出すことなく計測でき、これらの各種物理量が得られることから、試験研究機関を中心に広く利用されている。
【0004】
この採土缶を用いて土壌を採取する際に使用される土壌採取補助具は、非特許文献1に記載されているように、内側に採土缶を収容可能な筒部本体と、筒部本体の上面に一端部が固定されて他端側が筒部本体の軸心に沿って上方へ延びる軸部と、軸部の上部に固定されて軸部に対して直交する方向に延びるハンドル部とを有してなる。
【0005】
筒部本体の側壁の一部は、筒部本体の幅方向一方側に対して他方側がヒンジを介して開閉可能に取り付けられている。この開閉可能な側壁の一部を開状態にすると、採土缶を収容可能な収容凹部が露出する。収容凹部は、採土缶よりも僅かに大きく形成されて、収容凹部に採土缶を挿抜可能である。
【0006】
この土壌採取補助具は、筒部本体内に採土缶を収容した状態で、筒部本体を土壌に内に挿入し、ハンドル部を捻った後に筒部本体を引き上げ、筒部本体の側壁の一部を開いて、採土缶を取り出す。
【0007】
ここで、筒部本体の側壁の一部を開いたときに開口する開口部は、凹部の開口よりも広い面積を有しており、採土缶内に土が採取された状態で筒部本体の側壁の一部を開くと、凹部内に収容された採土缶の端部の余分な土をヘラ等でカットすることができる。
【0008】
この従来の土壌採取補助具は、水田土壌等の柔らかい土を採取する際にはヘラ等で採土缶の端部をカットする端面整形をうまく行うことができ、また採土缶の筒部本体からの回収作業も容易である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の土壌採取補助具は、筒部本体内の凹部の上端が天板部によって覆われているため、調査対象が樹園地や傾斜地等の土が固く締まり礫分や細根が含まれている土壌である場合には、筒部本体内で土や礫分等が詰まり易くなり、また筒部本体を土壌内に容易に打ち込むことができない虞がある。また、筒部本体を土壌内に打ち込んだ場合でも、採土缶を筒部本体の凹部から取り出す際に、土がこぼれる等、失敗する虞もある。
【0011】
そこで、採土缶打ち込み金具とハンマーを用いて採土缶自体を直接に土壌内に打ち込み、スコップで採土缶を掘り出して回収する方法がとられている。この回収方法は、採土缶内の土をこぼさずに回収するために、打ち込んだ採土缶周辺の土を大きくスコップで大きく取り除き、またスコップを採土缶の下に差し込んで丁寧に土を掘り取る必要がある。
【0012】
この作業は、作業者が屈んだ姿勢で行う上、固い土を掘り採るため、手首や腕、肩に相当の力を入れる必要があり、時間を要するとともに苦痛を伴う。このため、試験区が複数あって調査点数が多い場合には、連続した土壌の採取作業が困難となり、調査を効率よく進める上で障害となっている。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、所定の容積を有した採土缶を用いて固い土壌を採取する際に、採土缶の回収時に採土缶から土がこぼれる虞がなく、また採土缶を容易に回収可能な土壌採取補助具及び土壌採取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を解決するため、本発明は、筒状の採土缶を用いて土を採取する土壌採取補助具であって、採土缶を内側に挿入可能な筒部本体と、筒部本体の上端に設置されて該筒部本体を土中内に打ち込ませる打ち込み部材と、筒部本体に着脱可能に装着されて筒部本体を回転させる回転操作部材(実施形態における回転ハンドル30、50)と、筒部本体に挿抜可能であり、筒部本体内に挿入された採土缶の筒部本体内側の端部に一端部が接触して他端側が筒部本体から延出し、採土缶とともに筒部本体を地面上に設置可能な支持部材と、を有してなることを特徴とする(請求項1)。
【0015】
また、本発明の筒部本体は、土中内に打ち込まれた採土缶の外側に筒部本体が土中内に打ち込まれると、採土缶の外面と筒部本体の内面との間に土層を形成する隙間を形成可能な大きさを有していることを特徴とする(請求項2)。
【0016】
また、本発明の筒部本体の側壁の外面には、該筒部本体を土中内に打ち込む際の目安となる目安表示(実施形態における目安ライン13)が設けられ、目安表示は、筒部本体の下端から上端側へ採土缶の高さよりも大きな寸法を有した位置に設けられていることを特徴とする(請求項3)。
【0017】
また、本発明の筒部本体の側壁には、孔部が設けられ、孔部を介して採土缶と筒部本体の内面との間に介在する土の除去が可能であることを特徴とする(請求項4)。
【0018】
また、本発明は、筒状の採土缶を内側に挿入可能な筒部本体と、該筒部本体の上端に設置されて該筒部本体を土中内に打ち込ませる打ち込み部材と、筒部本体に着脱可能に装着されて筒部本体を回転させる回転操作部材と、筒部本体に挿抜可能であり、筒部本体内に挿入された採土缶の筒部本体内側の端部に一端部が接触して他端側が筒部本体から延出し、採土缶とともに筒部本体を設置可能な支持部材とを有してなる土壌採取補助具を使用する土壌採取方法であって、採土缶を土中内に打ち込んで該採土缶内の土の上端面を整形し採土缶の上端部に蓋部を装着する第1工程と、筒部本体の内側に土中に打ち込まれた採土缶が位置するように筒部本体を地面に位置合わせして設置し、打ち込み部材を筒部本体上に設置し、該打ち込み部材を介して筒部本体を土中内に所定量打ち込む第2工程と、回転操作部材を筒部本体に装着して回転し、回転操作部材を介して筒部本体を引き上げ、筒部本体の上側から支持部材を筒部本体に挿入した後、上下方向に反転させて該支持部材によって該筒部本体を支持する第3工程と、支持部材によって支持された筒部本体を下方に押圧して採土缶上端部を筒部本体上端部よりも上方に位置させ、採土缶上端部の余分な土を削り、該採土缶の上端部に蓋部を装着する第4工程とを有することを特徴とする(請求項5)。
【0019】
また、本発明の第2工程において、筒部本体の土中内への打ち込み時に、筒部本体の側壁の外面に設けられた目安表示まで筒部本体を土中内に打ち込むことを特徴とする(請求項6)。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係わる土壌採取補助具及び土壌採取方法によれば、上記特徴を有することで、筒状の採土缶を用いて固い土壌を採取する際に、採土缶の回収時に採土缶から土がこぼれる虞がなく、また採土缶を容易に回収可能な土壌採取補助具及び土壌採取方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態に係わる土壌採取補助具によって使用される採土缶を示し、同図(a)は採土缶に蓋部が装着された斜視図であり、同図(b)は採土缶の斜視図であり、同図(c)は蓋部の斜視図である。
【
図2】土壌採取補助具の筒部本体を示し、同図(a)は筒部本体の平面図であり、同図(b)は筒部本体の側面図である。
【
図3】土壌採取補助具の打ち込み部材を示し、同図(a)は打ち込み部材の平面図であり、同図(b)は打ち込み部材の側面図を示す。
【
図4】土壌採取補助具の回転ハンドルを示し、同図(a)は回転ハンドルの正面図であり、同図(b)は回転ハンドル側面図である。
【
図5】土壌採取補助具の他の回転ハンドルを示し、同図(a)は回転ハンドルの正面図であり、同図(b)は回転ハンドル側面図である。
【
図6】土壌採取補助具の支持部材を示し、同図(a)は支持部材の平面図であり、同図(b)は支持部材の側面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係わる土壌採取方法を説明するための斜視図であり、同図(a)は採土缶が土壌内に打ち込まれた様子を示し、同図(b)は打ち込まれ採土缶の上部に蓋部が装着された様子を示す。
【
図8】土壌採取方法を説明するための斜視図であり、同図(a)は打ち込まれた採土缶を囲む位置に筒部本体が設置された様子を示し、同図(b)は同図(a)の部分拡大斜視図を示す。
【
図9】土壌採取方法を説明するための斜視図であり、同図(a)は設置された筒部本体上に打ち込み部材が設置された様子を示し、同図(b)はハンマーによって打ち込み部材を叩いて筒部本体を土壌内に打ち込む様子を示している。
【
図10】土壌採取方法を説明するための斜視図であり、同図(a)は打ち込まれた筒部本体に装着された回転ハンドルによって筒部本体を回転させる様子を示し、同図(b)は筒部本体を土壌内から引き抜き、支持部材を筒部本体の上から挿入した後に上下方向に反転させて支持部材で筒部本体を支持した様子を示し、同図(c)は筒部本体を土壌内から引き抜いたときの筒部本体の端面の様子を示している。
【
図11】土壌内から引き抜かれた筒部本体を支持部材に対して下方へ押圧して、採土缶からはみ出している土を取り除き採土缶の端面を整形している様子を示す斜視図である。
【
図12】土壌採取方法を説明するための模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係わる土壌採取補助具及び土壌採取方法の好ましい実施の形態を
図1〜
図12に基づいて説明する。本実施形態では、容積100ccの金属製の採土缶を使用して土壌を採取する土壌採取補助具及び土壌採取方法を例にして説明する。先ず、本発明の土壌採取補助具及び土壌採取方法を説明する前に、
図1を参照しながら採土缶について概説する。なお、
図1(a)は採土缶に蓋部が装着された状態の採土缶の斜視図を示し、同図(b)は採土缶の斜視図を示し、同図(c)は採土缶の上部及び下部に装着される蓋部の斜視図を示す。
【0023】
採土缶80は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、筒状に形成され、その上下両端部に蓋部83が着脱可能に装着される。採土缶80は、金属材料(例えば、ステンレス(SUS 304))で形成され、内側の容積が100ccを有する大きさに形成されている。具体的には、採土缶80は、内径φi50mm、外径φs51mm、高さh51mmを有している。なお、採土缶80の大きさはこれに限るものではなく、外径φs及び内径φiが前述した採土缶と同一で、高さhが半分(25.5mm)にした容積50ccのものや、外径φs及び内径φiが前述した採土缶80よりも小さいものでもよい。
【0024】
蓋部83は、採土缶80と同一の金属材料(例えば、ステンレス(SUS 304))で形成されている。蓋部83は、
図1(c)に示すように、採土缶80の一方側及び他方側に開口する開口部80a(
図1(b)参照)を覆う円板状の蓋部本体83aと、蓋部本体83aの外周縁から蓋部本体83aに対して直交する方向に延びる環状のフランジ部83bとを有してなる。蓋部83が採土缶80の端部に装着されると、
図1(a)に示すように、フランジ部83bが採土缶80の側壁80bの外面を囲んで蓋部83の採土缶径方向への移動が規制され、蓋部本体83aによって採土缶80の開口部80aが塞がれる。
【0025】
次に、土壌採取補助具1について、
図2(a)、
図2(b)、
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)、
図4(b)、
図6(a)、
図6(b)を参照しながら説明する。なお、
図2(a)は筒部本体10の平面図を示し、同図(b)は筒部本体10の側面図を示す。
図3(a)は打ち込み部材20の平面図を示し、同図(b)は打ち込み部材20の側面図を示す。
図4(a)は回転ハンドル30の側面図を示し、同図(b)は回転ハンドル30の平面図を示し、
図6(a)は支持部材40の平面図を示し、同図(b)は支持部材40の側面図を示す。
【0026】
土壌採取補助具1は、
図2(b)、
図3(b)、
図4(b)、
図6(b)に示すように、筒部本体10、打ち込み部材20、回転ハンドル30、支持部材40を有してなる。筒部本体10は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、円筒状の側壁11を有して形成され、側壁11の内側に採土缶80(
図1(b)参照)が挿抜可能な貫通孔10aが形成されている。貫通孔10aの内径φtiは、貫通孔10a内に採土缶80が挿抜可能にするとともに、採土缶80の外周面と筒部本体10の内面との間に土層を形成する隙間A(
図12(c)参照)を設けるために、採土缶80の外径φs(
図1(b)参照)よりも大径に形成されている。
具体的には、貫通孔の内径φtiは、採土缶80の外径φsよりも15mm大きな寸法を有している。
【0027】
筒部本体10は、金属材料(例えば、鉄、ステンレス)製であり、筒部本体10の側壁11の下端部には、筒部本体10の土壌内への打ち込みを容易にする刃部11aが形成されている。この刃部11aは、筒部本体10の側壁11の下端部の外周面に環状に設けられている。
【0028】
筒部本体10の側壁11の上下方向中間部の外周面には、筒部本体10を土壌内に打ち込む際の目安となる目安ライン13が周方向に環状に設けられている。図面上では、上下方向に所定間隔を有して2本の目安ライン13が側壁11の外周面上に設けられている。
【0029】
目安ライン13の筒部本体10の下端からの距離Xは、前述した採土缶80(
図1(b)参照)の高さhよりも大きな寸法(例えば、2cm大きな寸法)を有している。このため、詳細は後述するが、土中内に打ち込まれた採土缶80より深いところまで筒部本体10を土中内に打ち込むことができる。
【0030】
筒部本体10の側壁11には、目安ライン13を跨るようにして上下方向に延びる孔部15が側壁11の周方向に所定間隔を有して複数設けられている。孔部15は側面視において略矩形状に形成されている。この孔部15は、詳細は後述するが、採土缶80を筒部本体10から抜脱する際に、採土缶80と筒部本体10の内面との間に存在する土を除去する際に利用される。
【0031】
筒部本体10の側壁11の上部には、筒部本体10の側壁11の対向する位置に一対の挿入孔17が設けられている。これらの挿入孔17は、回転ハンドル30の径よりも大径に形成されて、回転ハンドル30(
図4(a)参照)を挿入孔17に対して挿抜自在である。
【0032】
打ち込み部材20は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、接触部21と、接触部21の上部から上方へ延びる被打撃部25とを有してなる。接触部21は、筒部本体10内に挿入される小径部21aと、小径部21aの上部から上方へ延びて小径部21aよりも大径の大径部21bとを有してなる。小径部21aの外径φuiは、筒部本体10の内径φti(
図2(a)参照)よりも小さい径を有している。小径部21aの高さh1は、被打撃部25が叩かれた際に、小径部21aが筒部本体10から外れる虞がない大きさを有している。大径部21bは、円板状に形成されて小径部21aと同軸上に形成されている。大径部21bの外径φusは、筒部本体10の外径φtsと略同じ大きさを有している。大径部21bの下端面の外周部には、筒部本体10の上端部に接触可能な環状の接触面21b1が形成されている。
【0033】
大径部21bの上部には、上方へ突出する円錐状の凸部21b2が形成され、この凸部21b2の上端部に、被打撃部25が連結されている。被打撃部25は、円柱状に形成された棒状部材である。被打撃部25は、金属材料で形成され、作業者が把持可能な長さを有している。
【0034】
次に、回転ハンドル30について、
図4(a)及び
図4(b)を参照しながら説明する。回転ハンドル30は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、断面が円形状の棒状部材であり、金属材料で形成されている。回転ハンドル30の外径φkは筒部本体10(
図2(b)参照)に設けられた挿入孔17の内径φiよりも小径に形成されている。また回転ハンドル30の長さLは、一対の挿入孔17(
図2(b)参照)に回転ハンドル30を挿通させた状態で、各挿入孔17から延出する回転ハンドル30の端部側を作業者が把持可能な長さになる大きさを有している。
【0035】
なお、回転ハンドル30は、前述したものに限るものではなく、採土位置が地面から深い位置である場合には、
図5(a)及び
図5(b)に示すような回転ハンドル50が使用される。この回転ハンドル50は、筒部本体10の一対の挿入孔17(
図2(b)参照)に挿通される掛止部51と、掛止部51の長手方向中央部に接続されて上方へ延びる連結部53と、連結部53の上端部に接続されて横方向へ延びるハンドル部55とを有してなる。
【0036】
掛止部51は、前述した回転ハンドル30と同様に、断面が円形状の棒状部材であり、金属材料で形成され、掛止部51の外径φは筒部本体10(
図2(b)参照)の挿入孔17の内径φiよりも小径に形成されている。掛止部の長さL1は、掛止部51の一端側を筒部本体10の内側から外側へ向けて一対の挿入孔17の一方に挿通した状態で掛止部51の他端側を他方の挿入孔17に挿通可能な大きさを有している。
【0037】
連結部53の長さは、地面から採土位置までの距離よりも大きい長さを有している。このため、土壌の採土時にハンドル部55が地面よりも上方位置に位置して、ハンドル部55の回転操作が可能になる。
【0038】
ハンドル部55は、断面が円形状の棒状部材であり、金属材料で形成されている。ハンドル部55の長さ方向中央部に連結部53の上端部が固着されている。ハンドル部55の長さL2は、作業者が両手でハンドル部55の両側を把持可能な長さを有している。このため、ハンドル部55を回転させることで、連結部53を介して掛止部51に回転力を伝達することができる。
【0039】
次に、支持部材40について、
図6(a)及び
図6(b)を参照しながら説明する。支持部材40は、筒部本体10(
図2(b)参照)内に挿入された採土缶80とともに、筒部本体10を地面上に起立させた状態で支持するものである。支持部材40は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、円筒状の支持本体部41と、支持本体部41の上部に接続されて上方へ延びる円柱状の接触部43とを有してなる。
【0040】
支持本体部41は、筒部本体10の貫通孔10a(
図2(b)参照)よりも小さい外径φsを有し、支持本体部41の底面は支持本体部41の軸心方向に対して直交する方向に延びて地面上に設置可能である。なお、支持本体部41の底面に支持本体部41の外径よりも大きい図示しない台座部を設けてもよい。この台座部を設けることで、支持部材40をより安定した状態で地面上に設置することができる。
【0041】
接触部43は、支持本体部41と同軸上に配置され、筒部本体10の貫通孔10aよりも小さい外径を有して筒部本体10の貫通孔10aに挿抜自在である。接触部43の支持本体部側と反対側の端部には平面部43aが形成されている。この平面部43aは、筒部本体10内に挿入された採土缶80の内側端部に接触する。なお、支持部材40は、筒部本体10内に挿入可能であって採土缶80の内側端部に接触可能であれば、支持本体部41と接触部43とが同一径を有して一体的に形成されたものでもよい。
【0042】
次に、前述した土壌採取補助具1を使用して採土缶80で採土する土壌採取方法について、
図7〜
図12を参照しながら説明する。先ず、
図7(a)及び
図12(a)に示すように、採土缶80を土の採取場所Pに置いて土中内に打ち込む。採土缶80の土中内への打ち込みは、図示しない打ち込み金具を使用して行う。そして、
図7(b)に示すように、採土缶端面よりはみ出した土をナイフ等で削り、整形後、土中内に打ち込まれた採土缶80の上部に蓋部83を装着する(第1工程)。
【0043】
次に、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、筒部本体10の内側に土中に打ち込まれた採土缶80が位置するように、筒部本体10を地面に位置合わせして設置する。そして、
図9(a)、
図9(b)に示すように、打ち込み部材20の大径部21bが筒部本体10の上端部に接触するように、打ち込み部材20を筒部本体10上に設置する。そして、ハンマーHで打ち込み部材20の被打撃部25を叩いて、筒部本体10を土中内に打ち込む(
図12(b)参照)(第2工程)。筒部本体10を土中内に打ち込む際には、筒部本体10の側壁11の外周面に設けられた目安ライン13まで筒部本体10を土中内に打ち込む。
【0044】
従って、
図12(c)に示すように、筒部本体10の先端部は採土缶80の下端部よりも下方の位置まで土中内に打ち込まれる。そして、採土缶80はその周りに土Sを介して筒部本体10内に挿入される。
【0045】
次に、
図10(a)に示すように、回転ハンドル30を筒部本体10の挿入孔17に挿入して、筒部本体10の両側から回転ハンドル30が延び出るように装着する。そして、作業者が回転ハンドル30を回転させて、筒部本体10を地面に対して回転させる。本実施例では、筒部本体10を約90°回転させる(
図12(c)参照)。なお、筒部本体10の回転角度は、約90°に限定されるものではなく、筒部本体10が土に対して分離可能な状態にすることができれば、いかなる角度でもよい。
【0046】
従って、
図12(c)に示すように、筒部本体10は、土中内に打ち込まれた筒部本体10の側壁11の外周面と土との接触が分離状態になるとともに、筒部本体10の下端部内側の土Sがこれに隣接する下方の土S'に対して分離状態になり、土中から筒部本体10を容易に引き抜くことが可能な状態になる。そして、回転ハンドル30を介して筒部本体10を引き上げる(
図12(d)参照)。筒部本体10の引き上げ時には、採土缶80はその外周面全体が固くしまった土Sを介して筒部本体10内に挿入されているので、筒部本体10の引き抜き時に採土缶80が筒部本体10から抜け落ちる虞はない。そして、筒部本体10の上側から支持部材40を筒部本体10内に挿入し、筒部本体10を上下方向に反転させ、
図10(b)に示すように、支持部材40によって筒部本体10を起立した状態で支持する(第3工程)。
【0047】
なお、筒部本体10を土中から引き抜くと、
図10(c)に示すように、採土缶80は土Sとともに引き抜かれるので、採土缶80の中の土に影響を与えずに確実に掘り取ることができる。
【0048】
次に、筒部本体10を支持部材40に対して下方へ押圧し、採土缶80の上端部を筒部本体10の上端部よりも上方に位置させる。そして
図11に示すように、支持部材40によって支持された筒部本体10よりも上方に位置する採土缶80の上端部の余分な土をヘラ60等によって削り、採土缶80の上端部の端面を整形した後、採土缶80の上端部に蓋部83を装着する(第4工程)。なお、
図11では蓋部83の記載が省略されている。従って、採土缶80の端面整形時において、この端面は上方へ向いているので、採土缶80の端部から土がこぼれる虞を少なくすることができる。
【0049】
そして、支持部材40に対して筒部本体10をさらに下方へ押圧して、採土缶80を筒部本体10から取り出す(第5工程)。なお、前述したように、採土缶80は固くしまった土を介して筒部本体10内に挿入されているので、採土缶80を筒部本体10から容易に取り出すことができない場合がある。この場合には、筒部本体10の側壁11に設けられた孔部15を介して採土缶80の外側にある土Sを取り除く。従って、採土缶80を筒部本体10から容易に取り出すことができる。
【0050】
また、前述したように、土中から採土缶80を回収する場合、採土缶80を囲むようにして筒部本体10を土中内に打ち込んで筒部本体10を回転させて引き上げるだけで、土中から採土缶80を回収することができる。また支持部材40に対して筒部本体10を移動させるだけで、採土缶80を筒部本体10から取り出すことができる。このため、固い土壌でも採土缶80を土中から容易に回収することができる。
【0051】
また、耕盤層等の深い場所で採土を行う場合には、筒部本体10を打ち込めるだけの大きさの穴を掘り、長さの長い回転ハンドル50(
図5(a)参照)を使用し、その他の採取方法は前述した場合と同様に行えばよい。このため、掘り採り時に手やスコップが入るような予め大きな調査穴をあける必要があった従来の方法と比較して、採土缶80の回収のみならず、調査穴の掘削労力を大幅に軽減することができる。