特許第6049153号(P6049153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049153
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/12 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   H04L9/00 631
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-205673(P2015-205673)
(22)【出願日】2015年10月19日
(62)【分割の表示】特願2013-201822(P2013-201822)の分割
【原出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2016-36163(P2016-36163A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2015年10月19日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/(セキュアフォトニックネットワーク技術の研究開発 課題イ 量子暗号安全性評価理論)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127535
【弁理士】
【氏名又は名称】豊田 義元
(74)【代理人】
【識別番号】100159190
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】玉木 潔
(72)【発明者】
【氏名】東 浩司
【審査官】 金沢 史明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−324922(JP,A)
【文献】 特開2006−060619(JP,A)
【文献】 特開2009−055345(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/112335(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉計と変換装置と1つの光検出器とからなる受信装置であって、
前記干渉計は第1の光路と第2の光路と第1の合波部からなり、
前記第2の光路は、前記第1の光路より短く、
前記第1の光路と前記第2の光路とは、第1の時間の差の光路長差を有し、
前記第1の合波部は、送信装置が送信した参照光を前記第1の光路に入力した結果得られた光と、前記参照光を送信してから前記第1の時間だけ後に前記送信装置が送信した位相変調光を前記第2の光路に入力した結果得られた光と、の干渉光を得て出力するものであり、
前記変換装置は第3の光路と第4の光路と第2の合波部からなり、
前記第3の光路は、前記第4の光路より短く、
前記第3の光路と前記第4の光路とは、第2の時間の差の光路長差を有し、
前記第2の合波部は、前記干渉光を前記第3の光路に入力した結果得られた光と、前記第3の光路に前記干渉光を入力するのと同時に前記干渉光を前記第4の光路に入力した結果得られた光と、の合波光を得て出力するものであり、
前記光検出器は
駆動電圧が時間変化するものであり、
前記光検出器に入力した前記合波光を検出するものであり、
さらに前記第2の時間は、前記第1の時間と異なり、
前記第2の時間は前記時間変化の周期(t0)の整数倍である
ことを特徴とする受信装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関し、より詳細には、空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モードの測定を行う測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間的には分離されていて、時間的にはほぼ同一の複数の光モードの測定をおこなう必要があるタスクの例として、量子暗号方式による受信装置があげられる。この受信装置では、送信装置から入力された光を変調して得られる時間的にはほぼ同一で空間的に分離された複数の光モードを、複数の観測装置でそれぞれ測定することにより、送信装置から入力された情報を取得する。このようなタスクにおいては、各々の観測装置の測定特性の同一性は、高いレベルで要求されている。
【0003】
量子暗号方式は、量子通信を使って、第三者と相関の無いビット列を、送受信者の間に、ランダムに供給するプロトコルの総称である。量子暗号方式においては、数々の種類のプロトコルが提案され、実装実験もなされている。そのうちの多くのプロトコルにおいては、装置に不完全がない場合には、無条件に安全である事が示されている。すなわち、物理法則的に許される全ての操作を実行可能な第三者に対して、無相関となることが保障されている。次のような能力を持った盗聴者を想定した場合、すなわち、
1)送受信されている光に対しては、任意の操作ができる、
2)送受信者の装置構成を知っている、
3)送受信者の内部状態(乱数を使って生成した状態、観測結果等)を知りえない 場合を想定すると、量子暗号の安全性は、送受信者の測定が理想化されたデバイスと考えてよいと仮定した場合に証明されたものである。
【0004】
しかしながら、現実的に、これらのプロトコルを実装しようとした場合、理想的なモデルとのずれから、数々の欠陥の可能性が指摘されている。受信装置における複数の観測装置(光子検出器)の特性にばらつきがあると、このばらつきを利用することにより、盗聴者が検出器の挙動をある程度制御できてしまうという問題が指摘されている。
【0005】
このような欠陥に対処する方法として、例えば、非特許文献1においては、2つの方法が提示されている。第1の方法は、どのようなばらつきがあるかを正しく認識し、そのばらつきによって生じる情報漏洩を排除するのに十分な秘匿性を得るために、余分に秘匿性の増強を行うことである。第2の方法は、新たな乱数を使用して位相を変調し、検出器を対称化することにより、実効的に測定特性を均一にすることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chi-Hang Fred Fung, Kiyoshi Tamaki, Bing Qi, Hoi-Kwong Lo, Xiongfeng Ma, "Security proof of quantum key distribution with detection efficiency mismatch" Quantum Information and Computation, vol. 9, pp. 0131-0165 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1における第1の方法は、ばらつきを正しく認識することを要求しているため、認識できていないばらつきが存在する場合には、十分な秘匿性を得ることができない。また、第2の方法は、新たにランダムなビットというリソースを利用する必要があり、余分なデータ処理を必要とする。さらに、2つの方法は、使用する状況、入力光の特徴に強く依存した方法であり、上記の欠陥に対処する方法として、一般的な解決方法にはなりえていない。
【0008】
図1に、従来の受信装置の構成を示す。受信装置10は、送信装置からの光(参照光および位相変調光)を50:50で2つのアームに分岐するビームスプリッタBS2と、2つのアームのうちの長い方のアームに挿入されたミラーM1,M2とにより、時間差τの
光路差を有する干渉計を構成する。また、受信装置10は、長い方のアームの光の位相を変調する位相変調器11と、2つのアームからの光を50:50で合波するビームスプリッタBS1と、ビームスプリッタBS1からの光を観測する測定装置12とを備えている。測定装置12は、2つの光モードを受け入れる入力ポートP1と入力ポートP2と、それぞれの入力ポートに入力された光モードを観測する観測装置(光子検出器)13,14とを備えている。
【0009】
送信装置から入力ポートP3に、参照光が入力され、さらに時間差τの後、位相変調光が入力される。送信装置からの2つの連続する参照光と位相変調光とは、50:50のビームスプリッタBS2で分岐される。最初に、参照光が入射し、ビームスプリッタBS2により分岐され、干渉計の長いアームと短いアームを通る。分岐した参照光のうち干渉計の長い方のアームを通った光は、時間差τの遅延を受け、位相変調器11で2値{0,−δ}のどちらかに、確率1/2でランダムに位相変調される。
【0010】
参照光に続いて位相変調光が入射すると、位相変調光も、ビームスプリッタBS1によって分岐され、干渉計の長いアームと短いアームを通る。干渉計の2つのアームからの光は、50:50のビームスプリッタBS1で合波される。従って、時間差τで入力された2連続パルスは、ビームスプリッタBS1で合波された後、
(第1スロット)短いアームを通る参照光、
(第2スロット)長いアームを通る参照光および短いアームを通る位相変調光、
(第3スロット)長いアームを通る位相変調光、の3つの時間スロットにおいて測定装置12に入射される。
【0011】
第1スロットと第2スロットとの間隔、および第2スロットと第3スロットとの間隔は、それぞれ時間差τである。ここで、第1スロットと第3スロットにおいて、測定装置12に入射された参照光と位相変調光のそれぞれの観測結果は破棄し、参照光と位相変調光が干渉する第2スロットでの観測結果を、受信信号として利用する。
【0012】
参照光と位相変調光の位相差によって、入力ポートP1を通過して光子検出器13で観測される光モードと、入力ポートP2を通過して光子検出器14で観測される光モードとが異なる。従って、それぞれの光子検出器13,14の出力から、送信された情報が0,1のどちらであるかを知ることができる。
【0013】
この例において、「空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モード」とは、第2スロットにおいて、入力ポートP1と入力ポートP2をそれぞれ時間的にほぼ同時に通過する2つの光モードである。入力ポートP1と入力ポートP2とを時間的にほぼ同時に通過する2つの光モードを、まとめて1つの「シグナル」と呼ぶことにする。このように、従来の方法では、測定装置12に入力されたシグナルに含まれる複数の光モー
ドを、空間的に離れた位置に配置された別々の光子検出器により、時間的にほぼ同時に観測していた。この方法では光子検出器13と光子検出器14の特性の差(ばらつき)、特に量子効率の差によって盗聴される恐れがある。
【0014】
本発明の目的は、空間的に分離した複数の光モードを、同一の測定装置で観測できるように変換することにより、測定特性が均質化された観測を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、このような目的を達成するために、一実施態様は、空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モードの測定を行う測定装置において、入力された複数の光モードを、空間的に同一で時間的に分離した複数の光モードに変換する変換装置と、
該変換装置から出力された各々の光モードを観測する観測装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モードを、空間的に同一で時間的に分離した複数の光モードに変換する。これにより、同一の観測装置により複数の光モードを観測できるので、光モード毎の測定特性の測定特性を均質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の受信装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1にかかる受信装置の構成を示す図である。
図3】本発明の実施例2にかかる受信装置の構成を示す図である。
図4】本発明の実施例3にかかる測定装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。「空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モード」を、線型光学素子を利用すること等により、空間的に同一で時間的に分離した複数の光モードに変換する。これにより、同一の観測装置(光子検出器)により複数の光モードを観測できるので、光モード毎の測定特性の不均一が生じない。
【実施例1】
【0019】
図2に、本発明の実施例1にかかる受信装置の構成を示す。受信装置20は、送信装置からの光(参照光および位相変調光)を50:50で2つのアームに分岐するビームスプリッタBS2と、2つのアームのうちの長い方のアームに挿入されたミラーM1,M2とにより、時間差τの光路差を有する干渉計を構成する。また、受信装置20は、長い方のアームの光の位相を変調する位相変調器21と、2つのアームからの光を50:50で合波するビームスプリッタBS1と、ビームスプリッタBS1からの光を観測する測定装置22とを備えている。
【0020】
ここで、測定装置22の入力ポートP1と入力ポートP2とを時間的にほぼ同時に通過する2つの光モードを、まとめて1つの「シグナル」と呼ぶことにする。つまり、1つのシグナルは、「空間的には分離されていて時間的にほぼ同一の複数の光モード」からなる
信号とする。測定装置22は、1つの「シグナル」を構成する2つの光モードのそれぞれが入力される入力ポートP1と入力ポートP2とを備え、「空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モード」を、空間的に同一で時間的に分離した複数の光モードに変換する変換装置と、変換装置から出力された各々の光モードを観測するための観測装置である光子検出器A(23)および光子検出器B(24)とを備えている。
【0021】
実施例1の変換装置は、線型光学素子からなり、入力された2つの光モードのうちのいずれか一方が通る光路の光路長を変換するミラーM3,M4と、2つの光モードが通る光路の光を合波するビームスプリッタBS3とを含む。入力ポートP1を通過した光モードが光子検出器で観測される時刻を基準として、時間Tの遅延の後、同じ光子検出器において、入力ポートP2を通過した光モードを観測できるようにする。すなわち、複数の光モードの各々が通る光路のうち、いずれか一方の光モードが通る光路の光路長を変換して、他方の光モードが観測装置に到達してから、所定の時間差(T)の後、一方の光モードが
同一の観測装置に到達するように構成する。
【0022】
入力ポートP1を通過した光が光子検出器Aに到達するまでに要する時間T(1,A)と、入力ポートP2を通過した光が2つのミラーM3,M4により反射されて光子検出器Aに到達するまでに要する時間T(2,A)とすると、T(2,A)−T(1,A)=Tとなるように、ビームスプリッタBS1、BS3、ミラーM3,M4の間隔を設定する。
【0023】
なお、「入力ポートP1を通過した光モード」と「入力ポートP2を通過した光モードとを「ビームスプリッタBS1を通過した光モード」と読み替えてもよい。また、「光子検出器Aに到達するまでに要する時間」と「光子検出器Bに到達するまでに要する時間」とを、「ビームスプリッタBS3に到達するまでに要する時間」と読み替えてもよい。
【0024】
結果として、光子検出器A、Bともに、入力ポートP1を通過した光が入射された後、時間差Tで入力ポートP2を通過した光が入射されるので、入力された複数の光モードが同一の光子検出器に所定の時間差で入力される。つまり、光子検出器A、Bのそれぞれには、入力ポートP1を通過する光モードと入力ポートP2を通過する光モード(空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モード)とが、空間的に同一で時間的に分離された光に変換され、入力される。
【0025】
時間差Tは、干渉計の時間差τと異なるように設定し、それぞれの光子検出器で検出したタイミングによってどの入力ポートから光が入力されたかを識別できるようにする。ただし、測定装置22に常に光が入る可能性があると、検出したタイミングだけでは2つの光のどちらの光が入力されたかを決定することができない。そこで、何らかの方法で、測定装置22に光が入ってくる時間が限られていることを保証する必要がある。このことを保証する方法はどのような方法であっても良い。例えば、入力ポートP3の透過率を時間的に変化させて、異なるシグナルがある一定の時間間隔よりも短い間隔で入力されること
を妨げてもよいし、入力ポートP1,P2の透過率を時間的に変化させても良い。
【0026】
光子検出器の特性が時間変化する場合、例えば、光子検出器に対して駆動電圧が周期的に印加されている場合には、別途満たすべき条件がある。この時間変化の周期をtとした場合、時間差Tはtの整数倍である必要がある。このことは、測定特性の均質化を高度に要求される場合には非常に重要である。光路差を正確に設定する手段は、単純に精度の良い設計をするなどして、実際に時間特性を均質化するだけでなく、光子検出器の時間的な特性を与える要因、例えば駆動電圧の周期を不均一にするなど、実効的に時間特性を
均質化する手段を実施することもできる。
【0027】
なお、実施例1では、変換装置が線型光学素子により構成されているため、時間差Tは異なるシグナルに対して一定(固定)であるが、必ずしも時間差Tは異なるシグナルに対して一定である必要はない。1つのシグナルに含まれる複数の光モードが、同一の観測装置に異なる時刻に到達するように変換すれば、その時間差に制限はなく、シグナルごとに異なる時間差で到達するよう変換されてもよい。
【実施例2】
【0028】
図3に、本発明の実施例2にかかる受信装置の構成を示す。実施例1の受信装置との相違は、測定装置32である。測定装置32は、1つの光子検出器A(33)のみを備えている。実施例1では、光子検出器Aと光子検出器Bには同じ光が入射されるので、何れか一方だけでも情報を得ることは可能である。光子検出器を1つにすると、光子検出の性能(精度)は実施例1に比べて半減するものの、測定特性のばらつきをなくすという機能に対しては何ら影響を及ぼさない。そのため、測定性能の半減がタスクの実現に対して大きな影響を及ぼさない場合においては、測定装置の構成要素が減ることによる装置コストの
低減効果がある。
【実施例3】
【0029】
次に、4つの入力ポートから4つの光モードが入力される測定装置を考える。従来は、4つの入力ポートのそれぞれに4つの観測装置(光子検出器A、B、C、D)が備えられ、4つの光モードはそれぞれ異なる光子検出器によって観測されていた。このような測定装置が実装される例としては、受動的基底選択のBB84などの受信装置がある。受信装置における測定装置以外の構成は、発明の実施形態との関係においては重要ではないので省略する。
【0030】
図4に、本発明の実施例3にかかる測定装置の構成を示す。測定装置42は、4つの入力ポートP1〜P4と、入力光を50:50で分岐する4つのビームスプリッタBS1〜BS4と、変換装置を構成するミラーM1〜M4と、4つの観測装置(光子検出器A、B、C、D)43〜46とを備えている。
【0031】
入力ポートP1、P2から入力された光は、ビームスプリッタBS1で合波され、入力ポートP3、P4から入力された光は、ビームスプリッタBS2で合波される。ビームスプリッタBS1の一方の出力とビームスプリッタBS2の一方の出力とが、ビームスプリッタBS3で合波され、ビームスプリッタBS1の他方の出力とビームスプリッタBS2の他方の出力とが、ビームスプリッタBS4で合波される。ビームスプリッタBS3、DS4の2つの出力には、それぞれ、光子検出器A、B、C、Dで(43〜46)が接続さ
れている。
【0032】
このとき、入力ポートn∈{1,2,3,4}に入力された光が、光子検出器α∈{1,2,3,4}に到達するまでの時間を、T(n,α)とするとき、n≠n’ならば、T(n,α)≠T(n’,α)となるように設計する。また、入力光は、実施例1および実施例2と同様に、何らかの方法により、観測装置における観測のタイミングにおいて、どの入力ポートから入力されたのか識別できるように、測定装置に光が入ってくる時間が限られていることを保証する措置がとられている。例えば、異なるシグナルの時間差が所定の値
maxn,n’,α|T(n,α)−T(n’,α)|
以上であること、すなわち所定の値よりも短い間隔では、異なるシグナルが入力しないことが保証できる措置をとるものとする。なお、ここでの1つのシグナルは、測定装置の入力ポートP1〜P4に、時間的にほぼ同時に入力される光モードの集合からなる信号であ
る。
【0033】
さらに、光子検出器の測定特性に時間変化があり、この時間変化の周期をtとした場合には、
T(n,α)−T(n’,α)
はtの整数倍である必要がある。光路差を正確に実装することの重要性と、その実現手段については、実施例1と同様である。
【0034】
(他の実施形態)
入力ポートの数が2と4の場合において、「空間的には分離されていて時間的にはほぼ同一の複数の光モード」を、空間的に同一で時間的に分離した複数の光モードに変換する方法を述べた。これにより、同一の観測装置(光子検出器)により複数の光モードを観測できるので、光モード毎の測定特性の均質化を図ることができる。入力ポートの数が実施例と異なる場合においても、同様の変換方法を適用できることは自明である。また、光モードの観測装置が光子検出器である必要はなく、ホモダイン測定器など光学的な観測装置であっても良い。
【0035】
複数の光モード1,2,…,Nと、1以上の光学的な観測装置A,A,…,Aと、線型光学素子とから構成される測定装置において、入力ポートに入力した光が観測装置αに到達する割合をr(n,α)とし、到達するのにかかる時間をT(n,α)とする。
n≠n’のとき、
r(n,α)=r(n’,α)、かつ、T(n,α)≠T(n’,α)
となるように線型光学素子を配置する。
【0036】
また、なんらかの方法によって、観測装置における観測のタイミングにおいて、どの入力ポートから入力されたのか識別できるように、測定装置に光が入ってくる時間が限られていることを保証する措置をとる。例えば、
maxn,n’,α|T(n,α)−T(n’,α)|
よりも短い間隔では、異なるシグナルが入力しないことが保証できる措置をとる。さらに、光子検出器の測定特性に時間変化があり、この時間変化の周期をtとした場合には、
T(n,α)−T(n’,α)
はtの整数倍である必要がある。
【0037】
本実施形態によれば、上述した課題である、ばらつきの正確な記述を必要とせず、新たなリソースも必要とせず、測定特性が均質化された観測を実現することができる。さらに、上述した欠陥に対処する方法として、使用する状況、入力光の特徴に強く依存しない汎用的な解決方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
10,20,30 受信装置
11,21 位相変調器
12,22,32,42 測定装置
13,14,23,24,33,43〜46 光子検出器
M1〜M4 ミラー
BS1〜BS4 ビームスプリッタ
図1
図2
図3
図4