(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
活動量計の使用者は、例えばダイエットや生活習慣病予防のために、1日の総消費カロリや運動による消費カロリを把握して、目標値を設定し、ランニングやエクササイズ等の運動をコントロールして、目標達成度を評価することができる。このため、使用者は、活動量計を常時携帯して、フィットネスジム等で定期的または継続的な運動を行い、健康維持管理に利用することになる。また、一般に健康への意識が高く、活動量計の測定値や付属する情報の精度、支援サービスの提供に加え、着用性や携帯性、耐久性といった本体構造への要求も高い。
【0007】
このうち測定精度については、種々の方法が提案されている。例えば、水平方向と上下方向の加速度および両加速度の比率等を分析することによって、行動や運動の種類を判別し、活動量の演算精度を高めることができる。また、時間情報、位置情報その他の情報を利用して、補正を行ない、判別の精度を高めることができる。
【0008】
特許文献1では、積極的なワークアウトを行った際のワークアウト体動量を、平常活動と区別して測定表示する機能を設けている。この時、加速度データから特定期間の始期と終期と判断して、ワークアウト期間に該当する体動量を、比較的低負荷の活動をワークアウト相当体動量と認識することで、使用者の知りたい情報を精度よく提供できるようにしている。
【0009】
ここで、上述した総消費カロリのうち、活動によるエネルギ消費量は、加速度センサ等の検出データと、使用者の個人データである体重をパラメータとして、所定の算出式により演算される。体重を含む個人データは、基礎代謝量の算出にも用いられ、通常は、使用者自身による手入力で活動量計に初期値を設定し、変更があれば更新する必要がある。
【0010】
ところが、個人データの入力値に誤りがあると、エネルギ消費量または基礎代謝量の算出値が不正確となる。特に、体重は、使用者の意図的な運動により短期間で変動するが、ボタン操作の煩雑さ等から、データの更新がなされないと、エネルギ消費量、基礎代謝量の加算値である総消費カロリが、常に誤表示されることになる。操作性を改善するために、表示部や操作部を大型化したり機能を増やしたりすると、携帯性が悪くなり、故障や破損のおそれが増加する。
【0011】
しかも、総消費カロリに対して一定の割合を占める基礎代謝量は、従来の活動量計では、性別、年齢、体重といった身体情報に対して、予め定められた基準値を用いて算出される簡易値で、必ずしも正確とはいえない。一方、体組成計を用いて、基礎代謝量を直接計測することが可能である。ところが、市販の活動量計で、体組成計による基礎代謝値を利用可能なものは知られておらず、例えば、フィットネスジム等の利用者が、高性能な体組成計で基礎代謝量を測定していても、現状では、その結果を反映させることができない。また、一般に市販されている体組成計には、上記簡易値を算出するだけのものもあり、この場合は、仮に体組成計の測定値を利用する方式の活動量計があったとしても、算出精度の向上は望めない。また、計測値を手入力で更新する手間は同様であり、使用者負担が増加する。
【0012】
そこで、本発明の目的は、使用者の身体情報を容易に入力・更新して、最新のデータに基づく活動量の算出が可能であり、また、体組成計による基礎代謝値を利用して、より精度よい測定を可能とし、小型軽量かつ携帯性、取扱性が良好で高性能な活動量測定端末と、それを用いた活動量測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉された収納ケースと、該収納ケース内に保持される活動量計本体とを有する活動量測定端末であって、
上記活動量計本体は、
使用者の体動を検出する体動検出部と、
外部装置と通信して使用者の個人データを受信し、計測または算出されたデータを送信する通信部と、
使用者の個人データと、計測または算出されたデータを記憶する記憶部と、
上記体動検出部の検出結果および上記記憶部のデータを基に、所定の演算を行なう演算部を備え、
上記外部装置から受信される個人データが、使用者の初期身体データと、測定された体重データと、測定された基礎代謝量データ
のうちの少なくとも1つを含み、
上記演算部は、
測定された基礎代謝量および上記体動検出部の検出結果に基づく活動消費カロリから総消費カロリを算出する第1のカロリ算出手段と、
初期身体データの体重データまたは測定された体重データを基に基礎代謝量を算出する基礎代謝量算出手段と、
算出された基礎代謝量および上記体動検出部の検出結果に基づく活動消費カロリから総消費カロリを算出する第2のカロリ算出手段と、
を有し、かつ
、
上記記憶部に記憶される個人データが測定された基礎代謝量を含む場合には、上記第1のカロリ算出手段
を選択し
て総消費カロリを算出し、
上記記憶部に記憶される個人データが測定された基礎代謝量を含まず、測定された体重データを含む場合には、上記第2のカロリ算出手段を選択し、上記基礎代謝量算出手段において、測定された体重データ
を選択して
基礎代謝量を算出するとともに、算出された基礎代謝量と測定された体重データを用いて総消費カロリを算出し、
上記記憶部に記憶される個人データが初期身体データのみを含む場合には、上記第2のカロリ算出手段を選択し、上記基礎代謝量算出手段において、初期身体データの体重データを用いて基礎代謝量を算出するとともに、算出された基礎代謝量と初期身体データの体重データを用いて総消費カロリを算出することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明において、上記記憶部は、上記外部装置から測定された体重データまたは
測定された基礎代謝量データが送信されると、記憶していた
測定された体重データまたは測定された基礎代謝量データを削除して最新データに更新する。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発明において、
上記収納ケースは、活動量測定または表示のための電子部品を有しておらず、上記活動量計本体は、開閉可能とした上記収納ケース内に、着脱可能に収容保持される。
【0016】
本発明の請求項4に記載の発明において、
上記演算部は、上記記憶部に記憶される個人データが測定された基礎代謝量および測定された体重データを含む場合には、上記第1のカロリ算出手段を選択し、測定された基礎代謝量および測定された体重データを用いて総消費カロリを算出する。
本発明の請求項5に記載の発明において、初期設定時において上記記憶部に記憶される個人データは、上記外部装置から受信される使用者の初期身体データを含み、上記演算部は、上記外部装置から測定された基礎代謝量が受信されるまでは、上記第2のカロリ算出手段を選択する。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の活動量測定端末と、上記外部装置とを備える活動量測定装置であり、上記外部装置は、使用者の個人データおよび計測または算出されたデータを記憶する記憶部を有するサーバ装置、該サーバ装置に接続され体重計測部または基礎代謝
量計測部を備える計測装置を含む。
【0017】
本発明の請求項
7に記載の発明は、
請求項6に記載の活動量測定
装置において、上記活動量測定端末と近距離無線通信を行ない上記外部装置との間でデータを送受信するリーダライタと、上記外部装置に接続される表示装置とを備え
る。
【発明の効果】
【0018】
本願請求項1の活動量測定端末は、収納ケース内に収容保持された活動量計本体が、検出された体動量と、記憶された個人データを基に、所定の演算処理を行なって総消費カロリを算出する。個人データは予め外部装置から通信により取得され、算出された総消費カロリを含むデータを送信することで、外部装置にデータを蓄積し、必要に応じて表示させることができる。したがって、活動量測定端末に操作部や表示部を設ける必要がなく、構成を簡素にして全体を小型軽量化し、携帯性を向上できるだけでなく、活動量計本体全体をケース内に収容することで、故障や破損のおそれがより小さくなり、携帯性、耐久性が向上する。
【0019】
演算部は、2つのカロリ算出手段を有し、記憶された個人データのうち、初期データに対して測定データ、特に基礎代謝量データを優先的に使用して、総消費カロリを算出する。これにより、初期設定時には、予め登録された初期身体データに基づいて、第2のカロリ算出手段により総消費カロリの算出を行い、外部装置からの体重データの取得により、その基礎代謝量の算出精度を向上させる。さらに、より正確な基礎代謝量データが取得されると、第1のカロリ算出手段に切り替えて、高い精度で総消費カロリの算出を行うことができる。
【0020】
よって、使用者の身体情報の入力や操作の手間を最小限として、より高精度な総消費カロリの算出を可能にし、健康管理に有効利用できる高性能な活動量測定端末を実現することができる。
【0021】
本発明の請求項2に記載の発明によれば、測定された体重データ、基礎代謝量データが送信されると、記憶部のデータが更新されるので、常に最新データに基づく総消費カロリを算出することができる。
【0022】
本発明の請求項3に記載の発明によれば、収納ケースを開閉して活動量計本体を着脱可能としたので、収納ケースの交換が容易にできる。活動量測定端末は操作部や表示部がないので、収納ケースは簡易な構成で、形状の制約がなく、複数の取替可能なケースを用意することで、装飾性や携帯性を向上させることができる。
【0023】
本発明の請求項
6に記載の発明によれば、外部装置としてサーバ装置と通信し、初期設定値となる使用者の身体データ等の個人データを、容易に取得することができる。また、体重計測部または基礎代謝
量計測部を備える計測装置と通信することで、より正確な体重データ、基礎代謝データを容易に取得し、データを更新することができる。
【0024】
本発明の請求項
7に記載の発明によれば、活動量測定端末を、リーダライタを介して外部装置と接続し、容易に個人データおよび算出データ等を送受信することができる。また、送信された総消費カロリを含む各種データや履歴、その他の情報は、外部装置に接続した表示装置にて表示可能である。さらに、測定した活動量データを外部に蓄積できるので、活動量測定端末のデータは消去でき、制御プログラムも簡単にできる、蓄積したデータを外部で管理することで、使用者に表示可能な情報量が増え、的確なアドバイスが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、活動量測定端末を備える活動量測定
装置の基本構成を示すブロック図であり、
図2に活動量測定端末の具体的構成の一例を示す。
図1において、活動量測定
装置は、使用者(ユーザ)が携帯する活動量測定端末1と、この活動量測定端末1とリーダライタ4を介して、データを送受信可能な外部装置2を有している。活動量測定端末1は、
図2に詳細を示す収納ケース12内に、
図1のブロック図に示す活動量計本体11を、収容保持して構成されている。外部装置2としてのサーバ装置3については、後述する。
【0027】
図2において、活動量測定端末1は、矩形板状の活動量計本体11と、クリップ状の取付部13を有する収納ケース12からなる。活動量計本体11は、基板上に電子部品を実装して樹脂モールドしたもので、開閉可能な収納ケース12に対して着脱可能に設けられる。収納ケース12は、容器状の第1ケース12aと第2ケース12bが嵌め合い構造となっており、活動量計本体11を第1ケース12aの凹部に嵌着し、第2ケース12bの一端側を係止するとともに、他端側をネジ止めすることで、収納ケース12内に活動量計本体11を密閉封止する。
【0028】
取付部13は、第2ケース12bの裏面側に回動可能に設けられた押板13aと、その先端部に対向する受板13bからなり、押板13aが図示しないばね力によって受板13bに付勢されて、両板間にユーザの着用する衣類等を挟持するようになっている。好適には、押板13aおよび受板13bを波型等の凹凸面の噛合形状とし、また、その少なくとも一方について、対向する表面をゴムや樹脂等の弾性材料で構成すると、衣類や携行品への装着性が向上する。
【0029】
取付部13は、運動中の落下防止用であり、クリップ状に限らず、ストラップ等を装着可能なリング状等、任意の形状とすることができる。あるいは、取付部13を有しない形状としてもよい。本発明の活動量測定端末1は、活動量計本体11と、収納ケース12が別体であり、取り外し容易であるため、ケース外形や色柄、取付部13形状等の異なる複数の収納ケース12を用意して、取り換え可能とすることができ、装飾性が向上する。また、活動量計本体11が収納ケース12内に密閉保護され、収納ケース12は、表示部や操作部を有しないので、落下や衝突による損傷、故障のおそれが小さく、耐久性に優れる。
【0030】
図1中にブロック図で示すように、活動量測定端末1の活動量計本体11は、体動検出部51と、通信部52と、記憶部53と、演算部55および通信制御部56を有する制御部54と、電源57とを備える。体動検出部51は、互いに直交する3方向の加速度を検出するための三次元加速度センサであり、ユーザの重力方向(Z方向)、水平方向(XY方向)の動きを検出して、体動信号として出力する。
【0031】
通信部52は、外部装置2に接続されたリーダライタ4と、近距離通信をするもので、例えばISO/1EC18092等の国際規格に準拠した通信を行い、内蔵する磁気変調手段により交流磁界を媒体としてデータを送受信する。なお、リーダライタ4を介した近距離通信方式は、一例であって、その他の規格ないし無線通信方式を採用することもできる。
【0032】
記憶部53は、制御部54で実行されるプログラム等を記憶するとともに、外部装置2から送信される個人データを記憶する個人データ記憶手段531と、活動量本体11によって計測または算出されたデータ(以下、活動量データという)を記憶する活動量データ記憶手段532とを有する。個人データは、初期設定時に登録される、ユーザの初期身体データ、具体的には、性別、年齢、身長、体重の各データと、計測装置で測定される体重データ、基礎代謝量データがある。
【0033】
制御部54は、これらデータを基に所定の演算を行なう演算部55と、外部装置2とのデータの送受信を制御する通信制御部56を有している。演算部55は、本発明の特徴部分であり、体動検出部51の検出結果と記憶部53のデータを基に、運動や生活活動の量を表す活動量、身体活動に伴う活動消費カロリ、基礎代謝量、総消費カロリ等を算出する。運動は、例えばトレーニングや速歩、ランニング等の意図的なものであり、これに、例えば歩行、家事、自転車等の生活活動をあわせたものを、身体活動と称する。生活習慣病予防のためには、活発な身体活動を行い、基礎代謝を含む総消費カロリを把握することが重要となり、本発明では、このための2つのカロリ算出手段を併用する。
具体的には、総消費カロリを算出するために、
測定された基礎代謝量および体動検出部51から出力される体動信号を用いて総消費カロリを算出する第1のカロリ算出手段551と、
初期身体データの体重データまたは測定された体重データを基に、基礎代謝量を算出する基礎代謝量算出手段553と、
算出された基礎代謝量および体動検出部51から出力される体動信号を用いて総消費カロリを算出する第2のカロリ算出手段552を有している。
【0034】
ここで、演算部55は、第1のカロリ算出手段551を、第2のカロリ算出手段552に対して優先的に選択する。すなわち、個人データとして測定された基礎代謝量が記憶されている場合には、この測定値を用いて、総消費カロリを算出する。一方、第2のカロリ算出手段552では、基礎代謝量算出手段553において、測定された体重データを、初期身体データの体重データに対して優先的に選択する。すなわち、個人データとして測定された体重データが記憶されている場合、この測定値を用いて基礎代謝量を算出し、さらに算出された基礎代謝量を用いて、総消費カロリの算出を行う。
【0035】
記憶部53は、初期設定時において、外部装置2から少なくともユーザの初期身体データを取得し、さらに、それら身体データの更新データ、例えば体重計で測定された体重データが送信されると、記憶していたデータを削除して最新データに更新する。また、体組成計で測定された基礎代謝量データを取得し、その更新データが送信されると、記憶していたデータを削除して最新データに更新する。
【0036】
本発明は、2つのカロリ算出手段551、552を備え、記憶された個人データに応じて、より正確な総消費カロリの算出を行なう。このため、個人データとして、一般に基礎代謝の算出に用いられる身体データに加えて、測定された基礎代謝量データを用い、さらに測定されたデータが送信されると、これらデータを更新して、常に最新のデータを基に演算がなされるようにする。
【0037】
電源57は、活動量計本体11を駆動するのに必要な電極を供給する。電源57は、例えばボタン電池で、活動量計本体11の背面に交換可能に配置することができる。活動量計本体11は、その他にも、クロック機能やカレンダ機能を有する計時部等、図示しない機能を備えることができる。そして、算出した活動量を記憶部53の活動量データ記憶手段532に、例えば1日単位、1週間で記憶する。
【0038】
本発明において、活動量測定端末1は、表示部および操作部を有しておらず、最小限の構成で高度な活動量測定を行なう小型携帯端末となっている。外部装置2は、活動量測定端末1との間で、総消費カロリ等の算出に必要な個人データ、測定または算出した活動量データを送受信するもので、例えば、フィットネスクラブやスポーツジム等の店舗に設置されたサーバ装置3である。
図1中のブロック図は、サーバ装置3の基本構成であり、ユーザの初期登録データ等を入力するための入力部31と、活動量測定端末1とリーダライタ4を介してデータを送受信する通信部32と、ユーザの個人データや活動量データおよび制御部34で実行されるプログラム等を記憶する記憶部33と、総消費カロリを含む活動量データその他の情報を表示するための表示部35を備える。
【0039】
図3に示すように、外部装置2の他の例として、基礎代謝量や体重を測定するための計測装置7を、サーバ装置3と併用することもできる。会員制のフィットネスクラブやスポーツジム等では、一般に、顧客管理のためのサーバ装置3が設置されており、これを利用することで、個人データの管理や入出力等が比較的容易にできる。また、エクササイズマシンのような運動設備とともに、健康管理のための体組成計71、体重計72といった計測装置7が設置されることから、これらの測定値を取り込むことができる。
【0040】
ここで、サーバ装置3の入力部31には、会員登録時等に、初期身体データとして、性別、年齢、身長、体重の各データが入力され、会員ID等の管理データとともに、記憶部33に保存される。計測装置7は、測定部73と、測定結果を表示する表示部74、測定結果をサーバ装置3へ送信する通信部75を備え、サーバ装置3が受信した測定データは、記憶部33に保存される。
【0041】
計測装置の通信部75は、また、リーダライタ4を介して、活動量測定端末1と通信可能であり、例えば、会員ID等の管理データを用いた会員認証に利用することができる。また、測定データを直接送受信することができ、例えば、計測装置7で計測した身体データを活動量測定端末1に送信する。あるいは、活動量測定端末1の測定データを受信して、表示部74に表示し、またはサーバ装置3へ送信する中継機として利用することができる。
【0042】
体組成計71は、体内に微弱電流を通して、生体インピーダンス法に基づく身体組成と、基礎代謝量を測定する公知の構成を有する。生体インピーダンス法は、安静時のエネルギ消費量である基礎代謝量が、体脂肪率と大きく関連があることを利用したもので、生体インピーダンスの測定値から除脂肪量を計算し、所定の関係式を用いて基礎代謝量を決定する。さらに体重や年齢に基づく補正を行なうこともできる。体組成と合わせて体重を計測可能とした計測装置7を用いることや、体重計72を別に設置することももちろんできる。
【0043】
体組成計71、体重計72は、家庭用の簡易な装置に対して、店舗用の高機能な装置の測定結果を利用できることで、活動量の測定精度をより向上させることができる。ユーザは、リーダライタ4に、活動量測定端末1をかざすか、置くことで、容易に高精度な測定値を取得することができる。
【0044】
図4は、外部装置2の他の構成例で、サーバ装置3は、店舗内に設置される通信端末装置61を、外部に設置したサーバ63と、ネットワーク62を介して接続する構成とすることもできる。通信端末装置61は、例えば、データを入力する入力部611と、データを送受信する通信部612と、ユーザのデータを一時的に記憶する一時記憶部613と、プログラム等を実行する制御部614と、データその他の情報を表示する表示部615を備える。
【0045】
サーバ63は、顧客となる複数のユーザ情報を管理するためのユーザ管理部631と、ユーザのデータを記憶する記憶部632を備える。通信端末装置61の一時記憶部613は、サーバ63と活動量測定端末1、または計測装置7である体組成計71、体重計72との間のデータを一時的に記憶し、送受信が完了すると、データを消去する。
【0046】
以下、
図5〜8に基づいて、本発明の活動量測定
装置における総消費カロリの算出処理の一例を、
図1〜3を参照しながら具体的に説明する。
図5は、活動量測定端末1の制御部54で行なわれる処理フロー例であり、まず、ステップS1において、活動量測定端末1の初期設定データを読み込む。また、これに先立って、活動量測定端末1の初期設定を行なう。
図6に示すように、初期設定に必要な身体データは、予めサーバ装置3の入力部31となるキーボードやタッチパネル等の操作により、記憶部33にユーザIDと対応付けされた個人データとして入力される。
【0047】
活動量測定端末1の通信制御部56は、リーダライタ4を介して接続されるサーバ装置3から、ユーザIDとともに4つの身体データ(年齢、性別、身長、体重)を取得し、記憶部53の個人データ記憶手段531に記憶する。この初期設定後、演算部55は、活動量測定端末1を所持するユーザの身体活動に基づく活動量の測定を開始する。
図1のように活動量測定端末1は、リーダライタ4にかざすか載置されることで、サーバ装置3に接続され、ユーザは、初期身体データを、活動量測定端末1を操作することなく、容易に取得できる。
【0048】
図2のように、活動量測定端末1は、クリップ状の取付部13を用いてユーザの着衣等に容易に固定される。または、着衣のポケットや携行品に収容されて、常時携帯される。この状態で、ユーザは、歩行やジョギング、エクササイズ等の運動を開始し、または、家事等の生活活動を行なう。すると、
図7に示すように、活動量測定端末1の体動量検出部51は、これら身体活動に伴う体動信号を出力し、演算部55は、
図5のステップS2において、体動検出部51の検出結果と初期身体データに基づく、総消費カロリの算出を行なう。
【0049】
このステップS2は、
図1の第2のカロリ算出手段552、基礎代謝量算出手段553に対応する。まず、4つの初期身体データ(年齢、性別、身長、体重)を用いて基礎代謝量A値を算出する。この基礎代謝量A値は、具体的には、年齢と性別をパラメータとして予め記憶しているテーブル値から基礎代謝量基準値を、身長と体重をパラメータとして予め記憶しているテーブル値から体表面積を算出して、これら算出値を乗算することにより求められる。
【0050】
また、体動信号を基に運動および生活活動によるエネルギ消費量(活動消費カロリ)を算出する。ここで、体動信号は、その重力方向の成分(Z成分)と水平方向の成分(XY成分)を持ち、これら成分を所定の方法で解析することで、歩行・走行といった身体活動の種類を判断し、歩数や歩行距離、活動量および強度(EX・METs値)等を算出することができる。さらに、算出データのうちの活動量と、初期身体データのうちの体重データに基づいて、所定の算出式により、身体活動によるエネルギ消費量(活動消費カロリ)を算出することができる。具体的には、活動量(EX)は、身体活動の強度(METs)に実施時間を積算して得られる。
(活動消費カロリ)=1.05×(METs・時)×(体重)
【0051】
総消費カロリは、これら基礎代謝量(ここではA値)と活動消費カロリ、さらに食事代謝量の加算値として与えられる。
(総消費カロリ)=(基礎代謝量)+(活動消費カロリ)+(食事代謝量)
食事代謝量は、食餌排泄に関わる消費カロリとして知られており、基礎代謝量と活動消費カロリに基づいて、所定の算出式により算出することができる。具体的には、基礎代謝量と活動消費カロリの加算値に、所定の係数K(例えば0.1程度)を乗算して、算出される。
(食事代謝量)=K×(基礎代謝量+活動消費カロリ)
制御部54は、これら算出値を記憶部53に活動量データとして記憶する。これを繰り返すことで、活動量測定端末1の記憶部53に活動量データが蓄積される。ユーザは店舗内における運動後、あるいは来店時等に、活動量データ記憶手段532の蓄積データを、リーダライタ4を介してサーバ装置3に送信し、記憶部33に記憶させるとともに、表示部35に表示させて確認することができる。
【0052】
なお、活動消費カロリの算出方法としては、歩行または走行による消費カロリと、非歩行または非走行による消費カロリを、独立に算出して加算することもできる。
(活動消費カロリ)=(歩行・走行による消費カロリ)+(非歩行・非走行による消費カロリ)
ここで、歩行・走行による消費カロリの算出に際しては、例えば体動信号のうち重力方向の成分の変化が予め設定した閾値を超えた時に、歩行または走行と判断し、上記算出式を用いて、活動強度(METs)に基づき消費カロリを算出することができる。また、その回数を歩数、走行数として累積加算し、さらに、例えばユーザの身長データから推定される歩幅を用いて、歩行・走行距離等を算出する。
一方、非歩行・非走行による消費カロリの算出に際しては、例えば体動信号のうち水平方向の成分の振幅を評価し、それぞれが予め設定した閾値を超えた時に、所定の消費カロリとしてカウントし、それを加算して消費カロリを算出することができる。
さらに好適には、個人データ等に基づく補正を行なうことで、より正確な活動消費カロリの算出が可能となる。
【0053】
ところで、身体データを用いる基礎代謝量A値は、一般に個人の体組成によって異なる基礎代謝量を、年齢や性別をパラメータとするデータベースに当てはめて推定するもので、必ずしも個人の状態を正確に反映してはいない。そこで、体組成計71による基礎代謝計測がなされた場合には、基礎代謝量A値に代えて、この基礎代謝
量計測値(B値)を用いる。このため、ステップS3において、計測装置7による測定データの有無を判断し、測定データを受信した場合には、ステップS4で測定データが基礎代謝量データか体重データかを判断する。測定データが基礎代謝量データであれば、ステップS5へ進み、体重データであれば、ステップS8へ進む。基礎代謝量データと体重データの両方であれば、ステップS7へ進み、ステップS3において、更新データがない場合には、ステップS2へ戻る。
【0054】
図8に示すように、ユーザが店舗内に設置された体組成計71を用いて、測定を行なうと、測定結果が表示部54に表示されるとともに、サーバ装置3に送信されて、個人データとして記憶部33に記憶される。この時、
図3に示すリーダライタ4に活動量測定端末1をかざすか載置することによって、ユーザの個人認証がなされるとともに、測定データを受信することができる。活動量測定端末1の通信制御部56は、この受信データを、測定された基礎代謝量=基礎代謝量B値として、記憶部53の個人データ記憶手段531に記憶する。
【0055】
ステップS5は、
図1の第1のカロリ算出手段としての処理である。演算部55は、ステップS5において、基礎代謝量A値を破棄し、基礎代謝量B値を用いて、総消費カロリを算出する。運動および生活活動によるエネルギ消費量(活動消費カロリ)の算出方法は、ステップS2と同様に行なう。その後、さらにステップS6において、体重計72による体重データの有無を判断し、体重の計測がなされた場合には、ステップS7へ進む。この体重値を取り込む際のデータの流れは、体組成計による基礎代謝計測時と同様である(
図8参照)。
【0056】
活動量計端末1の通信制御部56は、データを受信すると、身体データとして記憶されている体重データを、測定された体重(真値)に更新する。ステップS6において、体重データが更新されていなければ、ステップS5へ戻る。ステップS7は、
図1の第1のカロリ算出手段としての処理であり、測定された基礎代謝量(B値)と測定された体重(真値)を用いて、活動量が算出される。体重データは、運動によるエネルギ消費量(消費カロリ)の算出に用いられ、他の身体データと異なり、運動による変動の可能性があるため、定期的に計測して更新することで、活動量の測定精度が大きく向上する。
【0057】
ステップS8〜9は、体組成計71による測定データの更新に先立って、体重計72による測定データの更新がなされた場合である。この場合は、ステップS8において、体重計72による体重(真値)を取り込み、基礎代謝量A値と体重(真値)を用いた総消費カロリを算出する。次いで、ステップS9で、体組成計71による基礎代謝量B値が取り込まれたら、ステップS7へ進み、基礎代謝量A値を破棄する。
【0058】
以降は、ステップS7にて、第1のカロリ算出手段による総消費カロリ算出を継続する。また、体組成計71、体重計72による測定がなされる度に、記憶される個人データを更新し、ステップS7の算出式に従って総消費カロリの算出を行なう。
【0059】
以上のように、本発明の活動量測定端末は、小型で携帯性に優れるだけでなく、高性能な体組成計の基礎代謝量データを利用して、高精度な総消費カロリの算出が可能である。また、使用者に手入力等の操作を要求することなく、基礎代謝量・体重の更新データを取り込み、常に最新データによる活動消費カロリ、総消費カロリを算出することができる。しかも、計測データ・算出データをサーバ装置に送信して蓄積することで、データ管理が容易にでき、正確な活動量データに基づく支援が可能となる。