(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049752
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】新規な構造のバスバー
(51)【国際特許分類】
H01M 2/20 20060101AFI20161212BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/6552 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/6553 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20161212BHJP
H01M 10/6569 20140101ALI20161212BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20161212BHJP
B60K 1/04 20060101ALI20161212BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H01M2/20 A
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/617
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/6551
H01M10/6552
H01M10/6553
H01M10/6567
H01M10/6569
H01M2/10 S
B60K1/04 Z
B60K11/04 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-547124(P2014-547124)
(86)(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公表番号】特表2015-507818(P2015-507818A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】KR2013000518
(87)【国際公開番号】WO2013118985
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年6月17日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0012024
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キュン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ホ・チュン
(72)【発明者】
【氏名】イェ・フン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・チャン・パク
【審査官】
市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−166027(JP,U)
【文献】
特開2011−029103(JP,A)
【文献】
特開2001−143769(JP,A)
【文献】
特開2006−210245(JP,A)
【文献】
米国特許第05173572(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20− 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックの端子部を連結するかまたは端子部に接続締結され、かつ電池パックケース及び外部部材のうちの一方に固定装着されるバスバーであって、
前記バスバーの一側端部に位置し、前記電池パックの出力端子部に連結または接続締結される電源入力部と、
前記バスバーの他側端部に位置し、前記電池パックの入力端子部に連結または接続締結される電源出力部と、
前記電源入力部と前記電源出力部とを連結する板状の本体と、
前記バスバーが前記電池パックケース及び前記外部部材のうちの前記一方に固定されるように、前記電源入力部に形成された締結部と、を含み、
前記電源入力部、前記電源出力部及び前記板状の本体が、蒸気チャンバーを含み、
前記蒸気チャンバーは、熱伝導性素材の上板及び下板で構成されており、内部に支持部材及びメッシュ構造物を含み、
前記蒸気チャンバー内で、冷媒が前記下板で発生する熱を吸収して気化し、
気化した前記冷媒が前記上板の内部壁面で液体に凝縮される際に発生する凝縮熱を当該バスバーの外部に放出することを特徴とする、バスバー。
【請求項2】
前記電源入力部は、前記板状の本体の一側端部に連続する連続部材と端子接続部材とを含んでおり、前記連続部材は、前記端子接続部材に圧延締結されることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記連続部材は、前記端子接続部材と垂直方向に“┐”字状または“L”字状に折り曲げられ、さらに折り曲げた端部が前記端子接続部材と平行方向に折り曲げられていることを特徴とする、請求項2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記端子接続部材は、前記電池パックケース及び前記外部部材のうちの前記一方と結合締結できるように、一つ以上の締結孔を含むことを特徴とする、請求項2に記載のバスバー。
【請求項5】
前記電源出力部は、前記板状の本体に直交する方向に“┐”字状または“L”字状に折り曲げられ、さらに折り曲げられた端部が前記電池パックの前記入力端子部の方向に延在することを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項6】
前記板状の本体は、両側端部において前記電源入力部及び前記電源出力部に連続していることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項7】
前記板状の本体は、前記電池パックケース及び前記外部部材のうちの前記一方と結合締結できるように、一つ以上の段差を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項8】
前記上板及び下板は銅素材からなることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項9】
前記上板と下板との間には、冷媒が流動できるように、前記支持部材によって微細流路が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項10】
前記冷媒は水であることを特徴とする、請求項9に記載のバスバー。
【請求項11】
前記電源入力部は、前記板状の本体の一側端部に連続する連続部材と端子接続部材とを含んでおり、
前記電源入力部に形成された前記締結部は、前記連続部材と前記端子接続部材との結合で達成され、前記電池パックケース及び前記外部部材のうちの前記一方と結合締結できるように、側面から見て“コ”字状からなることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー。
【請求項12】
請求項1に記載のバスバーを含むことを特徴とする電池パック。
【請求項13】
請求項12に記載の電池パックを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車または電力貯蔵装置であることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な構造のバスバー(bus bar)に係り、より詳細には、電池パックの端子部を連結するか、または端子部に接続締結され、電池パックケースに固定装着されるバスバーであって、前記バスバーの一側端部に位置し、電池パックの出力端子部に連結または接続締結される電源入力部と;前記電源入力部の他側端部に位置し、電池パックの入力端子部に連結または接続締結される電源出力部と;前記電源入力部と電源出力部とを連結し、蒸気チャンバー(vapor chamber)を含む板状の本体と;前記バスバーが前記電池パックケースに固定されるように、電源入力部に形成された締結部と;を含んでいるバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充放電が可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などの大気汚染などを解決するための方策として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−In HEV)などの動力源としても注目されている。
【0003】
小型モバイル機器には、デバイス1台当たり一つ、二つ、三つ、または四つの電池セルが使用される一方、自動車などのような中大型デバイスには、高出力大容量の必要性によって、多数の電池セルを電気的に接続した中大型電池モジュールが使用される。
【0004】
一般に、電池モジュールは、多数の単位電池を直列または並列に接続するカートリッジに内蔵し、多数個のこのようなカートリッジを電気的に接続して製造する。場合によっては、より高い出力を提供するために、2つ以上の電池モジュールを電気的に接続した中大型電池システムとして製造することもある。
【0005】
中大型電池モジュールは、その大きさ及び重量を可能な限り小さく製造することが好ましいので、高い集積度で充積することができ、容量に比べて重量の小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セル(単位電池)として主に使用されている。特に、アルミニウムラミネートシートなどを外装部材として使用するパウチ型電池は、重量が小さく、製造コストが低く、形状の変形が容易であるという利点により、最近多くの関心を集めている。
【0006】
一方、電池(単位電池を含む)、電池カートリッジ、電池モジュール相互間の電気的接続、これらから電力の供給を受けるために外部機器との接続などのためには、電極端子の連結が必要である。また、動力源としての電池の作動を制御するために電圧などの信号を引き出す場合にも、該当の連結部材と電極端子との連結が要求される。
【0007】
一般に、前記電極端子の連結に必要な部材としてバスバーが使用され、このようなバスバーは、電池モジュールから引き出された電流が移動する通路であるので、印加される電流の量によって温度が容易に高くなる部位である。
【0008】
また、バスバーは、電池モジュールの出力端子から電流を収容する電源入力部と、電池モジュールの入力端子に電流を伝達する電源出力部と、前記電源入力部と電源出力部とを連結する本体部とからなる。
【0009】
図5には、バスバーの3つの部位に温度測定装置を装着し、バスバーに電流を印加するとき、時間による温度の変化を示すグラフが示され、
図2には、バスバーの表面上に温度測定装置が装着された位置601,602,603が示されている。
【0010】
図5を
図2と共に参照すると、#1の位置は電源出力部601であり、#2の位置は本体部602であり、#3の位置は電源入力部603である。
【0011】
グラフからわかるように、バスバーに電源を印加した後、1000秒の時間が経過した後の各部位の温度を説明すると、電源出力部601の温度501及び本体部602の温度502は、160度〜170度の範囲内に分布する。
【0012】
反面、電源入力部603の温度503は、105度〜115度の範囲内に位置することがわかる。
【0013】
このような温度分布からわかるように、電源入力部603の温度503は、電源出力部601の温度501及び本体部602の温度502との格差が大きいことが確認できた。このようなバスバーの部位別温度偏差は、
図5のグラフからわかるように、時間が経過するにつれて増加することが確認できた。
【0014】
また、このようなバスバーの温度偏差が続く場合、バスバーにホットスポット(hot spot)領域が発生して、電池モジュールに熱的損傷を与えることがあり、このような損傷は、全体電池モジュールに非常に大きい危険をもたらす可能性がある。
【0015】
さらに、このようなバスバーの温度偏差は、電気伝導率にも悪影響を及ぼし、このような悪影響は、全体電池モジュールの出力効率性を低下させることがある。
【0016】
したがって、端子連結部位に使用される前記バスバーから発生する熱を外部に放出及び除去する方法に対する必要性が存在し、従来は、これに関する一部の先行技術が存在しているが、未だに上記のような問題点を根本的に解決することができる方法は開発されていない。
【0017】
一部の先行技術では、上記のようなバスバーから発生する問題を解決するために、熱交換部材をバスバーにさらに装着するか、または間接的にバスバーを冷却させる冷却構造を構成している。
【0018】
しかし、上記のような熱交換部材をさらに装着する構造または間接的に冷却させる構造は、使用される部材間に存在する熱伝導抵抗によって、設計時に意図した冷却効率性を得ることができない場合がよく発生している。また、このような構造は、前記熱交換部材の装着のための追加的な空間を必要とし、これは、電池モジュール全体の大きさの増加をもたらす。
【0019】
したがって、電池モジュール全体の大きさの増加を抑制しながら、バスバーの全体温度を均一にして温度偏差を減少させ、ホットスポット領域の発生を未然に防止することができる、冷却効率性に優れたバスバーに対するニーズが高い実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することにある。
【0021】
本発明の目的は、バスバーの全体温度を均一にして温度偏差を減少させ、ホットスポット領域の発生を未然に防止することによって、電池モジュールに損傷を与えるおそれがある原因を未然に排除することができる構造のバスバーを提供することにある。
【0022】
本発明の更に他の目的は、電池モジュール全体の大きさの増加を抑制しながら、冷却の効率性を最大とすることができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するための本発明に係るバスバーは、
電池パックの端子部を連結するか、または端子部に接続締結され、電池パックケースに固定装着されるバスバーであって、
前記バスバーの一側端部に位置し、電池パックの出力端子部に連結または接続締結される電源入力部と;
前記電源入力部の他側端部に位置し、電池パックの入力端子部に連結または接続締結される電源出力部と;
前記電源入力部と電源出力部とを連結し、蒸気チャンバーを含む板状の本体と;
前記バスバーが前記電池パックケースに固定されるように、電源入力部に形成された締結部と;
を含んでいる構造となっている。
【0024】
上述したように、一般的な電池モジュールは、熱交換部材をバスバーにさらに装着するか、または間接的にバスバーを冷却させる冷却構造を構成することで、バスバーから発生する局部的な過熱を防止しているが、十分な冷却効果を得ることができない実情である。
【0025】
一方、本発明のバスバーは、バスバーの電源入力部、電源出力部、及び板状の本体を蒸気チャンバーの構造として構成することによって、蒸気チャンバー内の冷媒の相変換を通じた熱伝導によって熱を除去して、バスバーの全体温度を均一にして温度偏差を減少させ、ホットスポット領域の発生を未然に防止することによって、電池モジュールに損傷を与えるおそれがある原因を未然に排除することができる。
【0026】
また、バスバーの放熱のための追加的な熱交換部材を必要としない構造のバスバーであるので、電池モジュール全体の大きさの増加を抑制しながら、冷却の効率性を最大とすることができる。
【0027】
前記蒸気チャンバーについて、以下に詳細に説明する。
【0028】
一般に、ヒートシンク(heat sink)は、装置やシステムから周辺へ熱を除去するために用いられる場合がある。放熱器の性能は、より高い性能を示す、より低い値の熱抵抗によって決定される。このような熱抵抗は、前記ヒートシンクの表面と周辺環境との間の前記ヒートシンクと伝達抵抗内の熱発散抵抗からなる。前記熱発散抵抗を最小化するためには、前記ヒートシンクを作るために高伝導性物質、例えば、銅とアルミニウムが一般的に用いられている。しかし、一般に、このような固形物拡散メカニズム(solid diffusion mechanism)は、新しい電子装備に対するより高い水準の冷却要求を満たすには十分でない。したがって、より効率的なメカニズムが開発され、評価されてきた。蒸気チャンバーが、一般的に考慮しなければならないメカニズムの一つであった。
【0029】
一般に、蒸気チャンバーは、熱伝導性素材からなり、内部に微細流路を含む本体と、前記微細流路を介して循環する冷媒とで構成されている。また、前記冷媒は、前記微細流路を循環しながら相変換を起こして、外部の熱を吸収するか、または外部に熱を放出する。
【0030】
具体的に、蒸気チャンバーの熱発散の原理は、蒸気状態に相変換された冷媒によって熱が伝達され、蒸気の流れによって発散されるヒートパイプ(heat-pipe)の原理と同一である。蒸気状態に相変換された冷媒は、冷却表面(cool surfaces)で凝縮し、その結果、熱は、蒸発表面(evaporation surface)から冷却表面に伝達される。
【0031】
前記蒸気チャンバーは、様々な実施例において様々な形態で設置することができる。最も単純な形態は、熱源から他側に熱が分散され、フィン(fin)や他の冷却システムと接しているフラット熱−分散機(flat heat-spreader)に使用されるものである。更に他の形態は、ヒートシンクに使用される場合であって、前記蒸気チャンバー部分が固形フィン(solid fins)と熱的接触(thermal contact)状態であるか、または前記蒸気チャンバーは、基底部(base)と機能的に連結されているフィンチャンバー(fin chambers)からなることができる。後者の場合、付随的な固形フィンが前記フィンチャンバーと接することによって、熱対流表面(convecting surfaces)を最大化させることができる。更に他の実施例として、前記蒸気チャンバーは、印刷回路基板(printed circuit board)上、特に、ドーターボード(daughter board)に固定するクリップ形態(Vaporclip)で設置することができる。また、前記蒸気チャンバーは、電子装置が機能的に配列されるケーシング形態(Vaporcase)で設置されてもよい。さらに、前記蒸気チャンバーは、その中にVaporcaseを機能的に配列することができるキャビネット(cabinet)形態で設置されてもよい。
【0032】
前記冷媒(cooling medium)としては、空気、水、または冷却剤(refrigerant)が実施例として可能である。液体冷却のためには、前記蒸気チャンバーを有する熱交換部は、オープンシェルタイプ(open shell type)、シリアルフロータイプ(serial flow type)、パラレルフロータイプ(parallel flow type)、またはこれらを組み合わせた形態が可能である。
【0033】
更に他の実施例として、前記蒸気チャンバーは、金属、プラスチック、及び/または複合材料(composite materials)からなるものであってもよい。また、前記蒸気チャンバーの表面は、例えばプラスチック、金属コーティング、グラファイト層(graphite layer)、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ(carbon-nanotubes)、及び/または当業界における公知の高伝導性物質(highly conductive material)のような様々な物質と機能的に接触することができる。
【0034】
本発明において、好ましくは、前記電源入力部は、端子接続部材を含んでおり、前記端子接続部材に圧延締結される構造であってもよい。
【0035】
このような締結方式は、追加的な締結用連結部材を必要としない方式で、連結部材の装着による追加的な空間及び連結部材の装着のための追加的な工程を必要としないので、電池モジュールのコンパクトな構造及び効率的な組立工程を達成できるようにする。
【0036】
一つの好ましい例において、前記電源入力部は、前記端子接続部材との連結方向に“┐”字状または“L”字状に折り曲げられている構造であってもよく、前記端子接続部材は、電池パックケースまたは外部部材と結合締結できるように、一つ以上の締結孔を含む構造であってもよい。
【0037】
具体的には、前記電源入力部に形成された締結部は、前記電源入力部と端子接続部材との結合で達成され、電池パックケースまたは外部部材と結合締結できるように、側面から見て“コ”字状からなる構造であってもよい。
【0038】
一方、好ましくは、前記電源出力部は、電池パックの入力端子部の方向に“┐”字状または“L”字状に折り曲げられている構造であってもよい。
【0039】
一つの好ましい例において、前記板状の本体は、その両側端部において電源入力部及び電源出力部に連続している構造であってもよい。
【0040】
場合によっては、前記板状の本体は、電池パックケースまたは外部部材と結合締結できるように、一つ以上の段差(step)を含む構造であってもよく、これに対応して締結される電池パックケースまたは外部部材には、前記段差に対応する溝が形成されていてもよい。
【0041】
前記段差及びそれに対応する溝による締結方式は、追加的な締結用連結部材を必要としない構造であって、これもまた、電池モジュールのコンパクトな構造及び効率的な組立工程を達成できるようにする。
【0042】
一つの好ましい例として、蒸気チャンバーは、熱伝導性素材の上板及び下板で構成され、内部に支持部材及びメッシュ(mesh)構造物を含む構造であってもよい。このような構造において、前記上板及び下板は、電池パックの各端子間の電気的接続を行うことができるように通電性に優れ、電流の流れによって発生する熱を外部に伝達できるように熱伝導率に優れた素材であれば特に制限されないが、好ましくは、銅素材からなる構造であってもよい。
【0043】
好ましくは、前記蒸気チャンバーは、前記上板と下板との間に冷媒が流動できるように、前記支持部材によって微細流路が形成されている構造であってもよい。
【0044】
このような微細流路は、冷却システムの形状に従って自在に製造可能であり、材質への依存性が非常に低いという長所を有しており、本発明に係るバスバーに適用できることは言うまでもなく、コンパクトな構造の熱交換システムを必要とする部位に多様かつ容易に適用することができる。
【0045】
一方、前記冷媒は、前記蒸気チャンバー内で循環し、相変換を起こして外部の熱を吸収または放出することができる物質であれば特に制限されないが、好ましくは、水である。
【0046】
具体的に、前記相変換は、気化または液化であってもよく、前記微細流路内で冷媒を循環させる駆動源となり、これを毛細管力とも呼ぶ。
【0047】
また、前記蒸気チャンバーは、毛細管力により自動循環する熱交換システムであって、基本的な相変換過程は、‘気化(蒸発)'−‘蒸気移動’−‘液化(凝縮)’−‘回帰’の順であり得る。
【0048】
具体的に、前記気化過程は、熱源から固体面を介して熱が伝導され、薄く誘起された液体膜で熱が蒸発潜熱として吸収されて、冷媒が、液体から気体に相変換を起こすと、相変換された冷媒は、蒸発部の上端の圧力上昇によって、気体移動通路を介して熱損失なしに面積の広い凝縮部に分散されるものであってもよい。
【0049】
一方、前記凝縮過程は、気体通路から流入した蒸気が冷たい壁面で液体に凝縮され、凝縮熱は、固体壁面を介して伝導されて外部に放出され、このとき、凝縮された液体は、毛細管力により前記微細流路を介して蒸発部に回帰するものであってもよい。
【0050】
また、本発明は、前記バスバーが一つ以上パックケースに装着されている電池パック、及びこのような電池パックを電源として含むデバイスを提供する。前記デバイスは、具体的に、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車または電力貯蔵装置であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0051】
このようなデバイスの構造及び製造方法は、当業界において公知であるので、本明細書ではそれについての詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図5】本発明に係るバスバー及び従来のバスバーの時間による局部温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がそれに限定されるものではない。
【0054】
図1は、本発明に係るバスバーの斜視図である。
【0055】
図1を参照すると、本発明に係るバスバー400は、電源入力部100、電源出力部200、板状の本体300、及び締結部120を含んでいる。
【0056】
また、バスバー400は、端子接続部材110及び段差320をさらに含んでいる。
【0057】
電源入力部100は、端子接続部材110との連結方向に折り曲げられており(101)、端子接続部材110に圧延締結(130)されている。
【0058】
このような締結方式は、追加的な締結用連結部材を必要としない方式で、連結部材の装着による追加的な空間及び連結部材の装着のための追加的な工程を必要としないので、電池モジュールのコンパクトな構造及び効率的な組立工程を達成できるようにする。
【0059】
また、端子接続部材110は、電池パックケース(図示せず)または外部部材(図示せず)と結合締結できるように、2つの締結孔111,112を含んでいる。
【0060】
一方、電源出力部200は、電池パック(図示せず)の入力端子部(図示せず)の方向に折り曲げられている(201)。
【0061】
図2は、本発明の一つの実施例に係るバスバーの側面図であり、
図3及び
図4は、
図2の断面図である。
【0062】
これら図面を
図1と共に参照すると、板状の本体300は、その両側端部において電源入力部100及び電源出力部200に連続している構造である。
【0063】
また、板状の本体300は、電池パックケース(図示せず)または外部部材(図示せず)と結合締結できるように、一つの段差320を含んでいる。
【0064】
これに対応して締結される電池パックケース(図示せず)または外部部材(図示せず)には、段差320に対応する溝(図示せず)が形成されており、このような段差320及びこれに対応する溝による締結方式は、追加的な締結用連結部材を必要としない構造であって、電池モジュールのコンパクトな構造及び効率的な組立工程を達成できるようにする。
【0065】
一方、電源入力部100は、端子接続部材110の結合により達成され、電池パックケース(図示せず)または外部部材(図示せず)と結合締結できるように、側面から見て“コ”字状からなっている。
【0066】
“A”−“A”線断面図及び“B”−“B”線断面図を参照すると、本発明に係るバスバー400は、それぞれ蒸気チャンバー310の構造で形成された電源入力部100、板状の本体300及び電源出力部200の構成からなっている。
【0067】
具体的に、蒸気チャンバー310は、銅素材の上板311及び下板312で構成され、上板311の厚さH’は、下板312の厚さHよりも薄い構造となっている。
【0068】
また、蒸気チャンバー310は、内部に支持部材313及びメッシュ構造物314を含んでおり、上板311及び下板312によって微細流路315が形成されることで、冷媒316が流動することができる構造となっている。
【0069】
このような微細流路315を含む構造の蒸気チャンバー310は、冷却システムの形状に従って自在に製造可能であり、
図4に示すように、圧延締結(130)され、2つの締結孔111,112を含む構造の電源入力部100にも適用されている。
【0070】
したがって、本発明に係るバスバー400は、電源入力部100、板状の本体300、及び電源出力部200の全てに蒸気チャンバー310の構造を適用することによって、蒸気チャンバー310内の冷媒316の流動によって、優れた熱伝導率を得るようになる。
【0071】
具体的に、蒸気チャンバー310内の冷媒316は水であり、蒸気チャンバー310内の微細流路315内で液体相変換時に自然に生じる毛細管力により自動循環する熱交換システムであって、基本的な相変換過程は、‘気化蒸発’−‘蒸気移動’−‘液化凝縮’−‘回帰’の順である。
【0072】
上板311に比べて厚い下板312
で発生する熱は、微細流路315内に薄く誘起された冷媒液体膜316に吸収され、冷媒液体膜316は、吸収した熱を用いて液体から気体に相変換を起こす。このように相変換された気体は、微細流路315の圧力上昇を起こし、このような圧力によって、気体は、圧力が比較的低い微細流路315側に流動するようになる。流動する過程中に相変換された気体は、下板312に比べて冷たい上板311の内部壁面で液体に凝縮され、このような凝縮熱は、上板311を介して伝導されて外部に放出される。このとき、凝縮された液体は、毛細管力により微細流路315を介して元の位置に回帰する過程を経るようになる。
【0073】
図5には、本発明に係るバスバー及び従来のバスバーの時間による局部温度変化を示すグラフが示されている。
【0074】
図5を
図2と共に参照すると、#1、#2、及び#3は、バスバー400の表面上に位置した温度測定装置の位置601,602,603を示し、具体的に、#1は、バスバー400の電源出力部200側の位置601を示し、#2は、板状の本体300の中央部の位置602を示し、#3は、電源入力部100側の位置603を示す。
【0075】
また、
図5に示したグラフは、バスバー400に電流を印加した後における、時間(X−軸)による温度(Y−軸)の変化を、従来のバスバー(図示せず)の各部位501,502,503及び本発明に係るバスバー400の各部位511,512,513別に区分して示したグラフである。
【0076】
時間1000秒分のグラフからわかるように、従来のバスバー(図示せず)は、温度偏差が50度〜60度の範囲で、#1及び#2の部位でホットスポット領域が発生することを確認することができる。一方、本発明に係るバスバー400は、温度偏差が10度〜15度の範囲で、全体温度が均一なことを確認することができる。
【0077】
これは、従来、銅材質のみを使用するバスバーの場合、その熱伝達係数が400W/mK程度にすぎないが、本発明に係るバスバーの場合、その熱伝達係数が5,000W/mK程度を示すからである。
【0078】
したがって、本発明に係るバスバー400は、電源入力部100、板状の本体300、及び電源出力部200の全てに蒸気チャンバー310の構造を適用することによって、全体温度を均一にして温度偏差を減少させ、バスバー400から発生した熱を効果的に外部に放出することができる。
【0079】
以上、本発明の実施例に係る図面を参照して説明したが、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の技術的範囲内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上で説明したように、本発明に係るバスバーは、バスバーの電源入力部、電源出力部及び板状の本体を蒸気チャンバーの構造として構成することによって、電池モジュール全体の大きさの増加を最小化しながら、バスバーの全体温度を均一にして温度偏差を減少させ、バスバーから発生した熱を効果的に外部に放出することができる。