(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049892
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】テーピング処理された電極組立体及びそれを含む電気化学素子
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20161212BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20161212BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/04 Z
H01M10/0587
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-535588(P2015-535588)
(86)(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-534239(P2015-534239A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】KR2013011189
(87)【国際公開番号】WO2014088332
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年4月7日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142021
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142030
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0150012
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,タエ−ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー,クワン−ソー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ドゥク−ヒュン
【審査官】
冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−285691(JP,A)
【文献】
特開2013−073794(JP,A)
【文献】
特開2004−259625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0587
H01M 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体であって、
電極活物質層と電流集電体とが同一位置で端部に形成された電極を備えてなり、
絶縁テープが分離膜に積層されたものであり、
前記電極が前記絶縁テープに積層され、前記電極の端部が前記絶縁テープに置かれてなり、
前記絶縁テープの一部が、前記電極の端部と前記分離膜との間に介在されてなり、及び
前記絶縁テープの残部が、前記分離膜に露出されてなるものである、電極組立体。
【請求項2】
前記絶縁テープが、電極幅と同一幅を有することを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記電極端部が、電極組立体がゼリーロール形態に巻き取られるときに巻き終わり部に位置する端部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記電極が、正極、負極、または正極と負極の両方であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の電極組立体。
【請求項5】
電極端部のうち電極の巻き終わり部における分離膜と対面しない電極端部に、絶縁テープ又は弾性材が更に付着していることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記弾性材が、スチレン‐ブタジエンゴムであることを特徴とする、請求項5に記載の電極組立体。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の電極組立体の製造方法であって、
分離膜に絶縁テープを積層する段階と、及び
前記絶縁テープ上に電極の巻き終わり部の端部が配置されるように電極を積層する段階とを含んでなることを特徴とする、電極組立体の製造方法。
【請求項8】
電極端部における電極の巻き終わり部における分離膜と対面しない電極端部に、絶縁テープ又は弾性材スラリーを適用する段階を更に含むことを特徴とする、請求項7に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6の何れか一項に記載の電極組立体をゼリーロール形態に備えてなる、電気化学素子。
【請求項10】
前記電気化学素子が、リチウム二次電池であることを特徴とする、請求項9に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーピング処理された電極組立体及びそれを含む電気化学素子に関し、より詳しくは、エッジの無い(edge-free)電極をゼリーロール(jelly roll)形態に巻き取る場合に、分離膜が押される現象及び/または途切れる現象を防止する電極組立体、並びに前記電極組立体を含む電気化学素子に関する。
【0002】
本出願は、2012年12月7日日出願の韓国特許出願第10−2012−0142021号、2012年12月7日出願の韓国特許出願第10−2012−0142030、及び2013年12月4日出願の韓国特許出願第10−2013−0150012に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、電気化学素子のうちエネルギー貯蔵技術に対する関心が高まりつつある。携帯電話、カムコーダー及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるとともに、電池の研究と開発に対する努力が次第に具体化されている。電気化学素子はこのような面で最も注目される分野であり、その中でも、充放電可能な二次電池の開発に関心が寄せられている。
【0004】
図1を参照すれば、従来の二次電池に使用された電極の一実施態様として、長いシート型電流集電体3の両面に電極活物質層2、2’が塗布され、電流集電体3の端部には電極活物質層2、2’が塗布されていない活物質無地部aが形成された電極1が示されている。
【0005】
電極が分離膜に積層されて電極組立体として形成された後、ゼリーロール形態に巻き取られるとき、電極端部、より詳しくは、電極の巻き終わり端部が分離膜を押す現象が発生する恐れがあるが、上述したように、活物質無地部aが形成された電極では、前記活物質無地部aによって電極の巻き終わり端部が分離膜を押す現象が緩和または軽減されて分離膜におけるストレスが軽減されることで、分離膜の途切れを防止できるという長所がある。
【0006】
しかし、活物質無地部aが形成された電極1を使用する場合には、電極活物質、特に正極活物質のコーティング時に、電流集電体の活物質無地部に活物質スラリーが飛散して活物質アイランド(island:海島)が形成されるが、このアイランドは、高容量モデルの寿命テストなどでゼリーロールの収縮、膨張が繰り返されて電流集電体のシートが延伸されるとき、電池の内部短絡を発生させる一原因として指摘されてきた。
【0007】
したがって、
図2に示されたように、電流集電体3の両面に電極活物質層2、2’を塗布し、活物質無地部が存在しないように切断して製造したエッジの無い電極1が提案された。
本明細書において、「エッジの無い電極」とは、
図2に示されたように活物質と電流集電体とが同一位置で端部を形成する電極を意味する。
【0008】
ところが、
図2に示されたエッジの無い電極は、活物質の飛散によってアイランドが形成されるという問題点がない一方、電極活物質層と電流集電体とが同一位置で端部を形成して高密度段差が形成されるため、前記電極1を分離膜5に積層してゼリーロール形態に巻き取るとき、巻き終り部にある電極端部から分離膜5が受けるストレスは、活物質無地部が形成された電極を使用してゼリーロール形態に巻き取るときに受けるストレスより格段に大きく、分離膜が押される問題及び/または途切れる問題がより深刻であった。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一実施態様によれば、エッジの無い電極を含み、ゼリーロール形態に巻き取られる電極組立体において、分離膜が押される現象及び/または途切れる現象が緩和または防止できる電極組立体を提供することを目的とする。
また、本発明の他の実施態様によれば、前記電極組立体を含む電気化学素子を提供することを目的とする。
また、本発明の更に他の実施態様によれば、前記電極組立体をより簡素化した方法で製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、電極活物質層と電流集電体とが同一位置で段差を形成する電極を含む電極組立体において、電極端部と分離膜との間に絶縁テープが介在されている電極組立体が提供される。
前記絶縁テープは、電極幅と実質的に同一の幅を有し得る。
前記電極端部は、電極組立体がゼリーロール形態に巻き取られるときに巻き終わり部に位置する端部であり得る。
前記電極は正極、負極、または正極と負極の両方であり得る。
前記電極組立体において、絶縁テープが分離膜に接着して積層され、前記絶縁テープ上に電極端部が置かれるように電極が積層され得る。
電極端部における電極の巻き終わり部における分離膜と対面しない電極端部に絶縁テープまたは弾性材が更に付着し得る。
前記弾性材は、スチレン‐ブタジエンゴムであり得る。
【0011】
前記電極組立体では2枚の絶縁テープが使用され、そのうち1枚が電極の下面に付着し、他の1枚が電極の上面に付着し、それぞれの前記絶縁テープが電極の下面及び上面と垂直を成す電極の厚さ方向端面に密着するように付着し得る。
【0012】
前記電極組立体では1枚の絶縁テープが使用され、前記絶縁テープは、電極の下面、前記電極の下面と垂直を成す電極の厚さ方向端面、及び電極の上面に連続して付着し得る。
【0013】
本発明の他の実施態様によれば、分離膜に絶縁テープを積層する段階、及び前記絶縁テープ上に電極の巻き終わり端部が置かれるように電極を積層する段階を含む電極組立体の製造方法が提供される。
電極端部における電極の巻き終わり部における分離膜と対面しない電極端部に絶縁テープまたは弾性材スラリーを適用する段階を更に含むことができる。
【0014】
本発明の更に他の態様によれば、電極端部の上面及び下面のそれぞれに絶縁テープを付着させる段階;前記絶縁テープを電極端部の上面及び下面のそれぞれと垂直を成す電極の厚さ方向端面に付着させる段階;並びに前記電極を分離膜に積層する段階を含む電極組立体の製造方法が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、上述した電極組立体をゼリーロール形態に含む電気化学素子が提供される。
前記電気化学素子は、リチウム二次電池であり得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明一実施態様によれば、電極の巻き終わり部の電極端部と分離膜との間に絶縁テープが介在されて、分離膜が押される現象及び/または途切れる現象を緩和または防止する効果を奏する。
また、本発明の他の実施態様によれば、絶縁テープをより簡素化した工程によって電極に適用することができるという工程上の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】活物質無地部が形成されている電極が分離膜上に積層されている一態様を概略的に示した断面図である。
【
図2】エッジの無い電極が分離膜上に積層されている一態様を概略的に示した断面図である。
【
図3】分離膜上に絶縁テープが積層され、前記分離膜及び絶縁テープの上にエッジの無い電極が積層されている本発明の一実施態様を示した断面図である。
【
図5】分離膜上に絶縁テープが積層され、前記分離膜及び絶縁テープの上にエッジの無い電極が積層され、前記エッジの無い電極において分離膜と対面せず巻き終わり部にある電極端部に弾性材が適用されている本発明の一実施態様を示した断面図である。
【
図6a】
図6aは、エッジの無い電極の巻き終わり端部の上面及び下面のそれぞれに絶縁テープが付着した状態を概略的に示した断面図である。
【
図6b】
図6bは、
図6aの電極の上面及び下面に付着した絶縁テープが、前記電極の上面及び下面のそれぞれと垂直を成す電極の厚さ方向端面にまで付着している状態を概略的に示した断面図である。
【
図6c】
図6cは、
図6bの絶縁テーピング処理されたエッジの無い電極が分離膜上に積層された状態を概略的に示した断面図である。
【
図8】絶縁テープの中央部を曲げて電極に付着する模様を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、エッジの無い電極と分離膜との間に絶縁テープが介在されている電極組立体が提供される。特に、前記電極端部は、電極組立体がゼリーロール形態に巻き取られるとき、エッジの無い電極によって分離膜がストレスを最も多く受ける巻き終わり端部であることが望ましい。
本発明をより詳しく説明するために、本発明の一実施態様である
図3を参照して説明する。
【0019】
図3を参照すれば、分離膜5上に絶縁テープ4が積層され、前記絶縁テープ4及び分離膜5の上に電極1が積層されている。特に、電極の端部が絶縁テープ4上に積層される。
【0020】
電極1は、電流集電体3と電流集電体3の少なくとも一面に形成されている活物質層2、2’とを含むことができ、前記電流集電体3と活物質層2、2’とが同じ位置で端部を形成しているエッジの無い電極1に該当する。
【0021】
図4から分かるように、絶縁テープの幅W4は、分離膜が押される現象及び/または途切れる現象を防止するという本発明の目的を果たすために、電極の幅W1と同一であるか又はこれより多少大きいことが望ましい。本発明において「同一である」とは、当業界で許容される水準の誤差範囲を含むものである。
【0022】
絶縁テープの素材としては、絶縁特性を有するとともに電解液に対して非反応性であれば特に制限されない。このような特性を満足する絶縁テープの素材の非制限的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリイミド、カプトン(登録商標)、ポリフェニレンスルファイドなどが挙げられる。また、絶縁テープは弾性を有し得る。弾性絶縁テープを使用する場合、絶縁テープが電極と分離膜との間に介在されることで発生する電極と分離膜との間の浮き上がりを軽減することができる。
【0023】
絶縁テープの厚さは、本発明の目的に適する限り、特に制限されない。すなわち、絶縁テープは、分離膜が押される現象及び/または途切れる現象を緩和/防止できるとともに、電池の体積を不要に増加させてはならない。特に、本発明による電極組立体は、ゼリーロール形態に巻き取られて電池缶に収納され、液体電解液が注入されて電気化学素子として製造されるため、分離膜と電極との間の電解質が移動するための分離膜と電極との間の完全な密着を必要としない。本発明の一実施態様において、絶縁テープの厚さは10〜20μmであり得る。
【0024】
図3において、電極1と分離膜5との間に介在される絶縁テープの長さ4a及び分離膜5上に露出する絶縁テープの長さ4bは、本発明の目的に適する限り、特に制限されない。一例として、本発明の一実施態様において、電極と分離膜との間に介在される絶縁テープの長さ4aは5〜20mmであり得、分離膜5上に露出する絶縁テープの長さ4bは5〜10mmであり得る。
【0025】
絶縁テープ4は、その一面に接着剤層が形成されているものであり得る。このとき、接着層が分離膜5に付着するように絶縁テープ4を分離膜5に積層する。絶縁テープに適用可能な接着剤の素材としては、電解液に溶解され、電極と分離膜との間に所定の接着力を付与することができるものであれば特に制限されない。あるいは、絶縁テープは、熱融着によって分離膜に接着することができる。
【0026】
電極は、正極、負極、または正極と負極の両方を意味し得る。したがって、前記実施態様は、絶縁テープが正極と分離膜との間に介在された態様、負極と分離膜との間に介在された態様、及び正極と分離膜との間に介在され、かつ負極と分離膜との間にも介在された態様をすべて含むことができる。
電極を構成する活物質は、本発明で特に制限されない。
【0027】
本発明で使用可能な分離膜は、当業界で通常使用される分離膜を特に制限なく使用でき、例えば、多孔性高分子分離膜、多孔性コーティング層が多孔性高分子基材の少なくとも一面に形成された複合分離膜、エンジニアリングプラスチック系分離膜などが挙げられる。このとき、「多孔性高分子基材」とは、ポリオレフィン系化合物のように、当業界で分離膜の素材として通常使用される素材として形成された基材を意味し、フィルム基材と不織布基材をすべて含むものである。また、「多孔性コーティング層」とは、無機物粒子とバインダー高分子との混合物を含み、無機粒子同士が互いに接触した状態で充填されて前記バインダー高分子によって互いに結着し、これにより無機物粒子同士の間にインタースティシャル・ボリューム(interstitial volume)が形成され、前記無機粒子同士の間のインタースティシャル・ボリュームが空き空間になって気孔を形成する構造を意味する。
【0028】
また、
図5を参照して本発明の他の実施態様を説明すれば、電極1と分離膜5との間に介在される絶縁テープ4の外に、分離膜に対面せず巻き終わり部にある電極端部に、付加的な絶縁テープまたは弾性材6を更に適用することができる。
【0029】
前記絶縁テープ6は、電極1と分離膜5との間に介在される絶縁テープ4と同じ素材または異なる素材の絶縁テープであり得る。弾性材6としては、スチレン‐ブタジエンゴムのように弾性を有し、非伝導性である物質を使用することができる。
【0030】
前記絶縁テープまたは弾性材6を電極に適用する時点は特に制限されず、例えば、電極1を分離膜5に積層する前の任意の時点、または電極1を分離膜5に積層した後の任意の時点で適用することができる。
絶縁テープ6を電極に適用する場合、絶縁テープの接着面は電極の上面、及び上面と垂直を成す部分に付着することができる。
スチレン‐ブタジエンゴムスラリーのような弾性材を電極に適用する場合、スラリーを電極に適用した後に乾燥させる後続工程を更に要することがある。
本発明の更に他の実施態様は、
図6a〜
図6cに示されている。
【0031】
図6aを参照すれば、絶縁テープを2枚4’、4"用意し、前記絶縁テープ4’、4”の接着面を電極1の上面及び下面に付着させる。前記2枚の絶縁テープ4’、4”は、同じ長さを有し得る。
【0032】
次いで、
図6bを参照すれば、それぞれの前記絶縁テープ4’、4”を電極の上面と垂直を成す電極の厚さ方向端面、及び電極の下面と垂直を成す電極の厚さ方向端面に密着するように付着させる。このように付着させた後に絶縁テープに余分がある場合、
図6bに示されたような尾部を形成させる。前記尾部は、分離膜が押される現象または途切れる現象の緩和に寄与することができる。
次いで、
図6cに示されたように、絶縁テープ4’、4”が付着された電極1を分離膜5上に積層する。
【0033】
前記実施態様を製造する工程は、2枚の絶縁テープ4’、4”を電極端部の上面及び下面に付着させた後、電極の厚さ方向端面に密着するように付着させる工程からなるため、工程が単純かつ簡単に行われるという長所がある。このような工程は、後述する
図8の実施態様において絶縁テープの中央部を曲げるために複雑な施設及び工程が必要であることを勘案すれば、非常に有利な工程上の利点と言える。また、
図6a〜
図6cによる工程によれば、絶縁テープが電極により密着するように付着することができる利点もある。
【0034】
図6a〜
図6cで使用される絶縁テープの素材、厚さ、幅、及び絶縁テープに使用される接着剤の素材は、
図3〜
図5の実施態様と同一であるため、
図3〜
図5について上述した内容を参照すればよい。
【0035】
電極の上面及び下面に付着する絶縁テープの長さも、本発明の目的に適する限り、特に制限されない。本発明の一実施態様において、電極の上面または下面に付着する絶縁テープの長さは5〜20
mmであり得、尾部の長さは5〜10
mmであり得る。
【0036】
本発明の更に他の実施態様は、
図8に示されている。
図8を参照すれば、1枚の絶縁テープ4の中央部が曲げられるように用意され、エッジの無い電極に前記絶縁テープ4を付着する工程を経て製造される。
図8で製造された絶縁テーピング処理された電極も、ゼリーロール形態に巻き取られるときに分離膜が押される現象及び/または途切れる現象が緩和または防止される。但し、本実施態様では、上述したように、絶縁テープ4の中央部を曲げる施設が必要であり、また、曲率を有していた絶縁テープ4を電極の上面、上面と垂直を成す厚さ方向端面、及び電極の下面に密着するように付着させるように注意を払わねばならない。
【0037】
上述したようにして製造された電極組立体は、ゼリーロール形態に巻き取られて電池缶に収納された後、電解液を注入して電気化学素子として製造されて使用することができ、本発明で使用可能な電気化学素子については以下に説明する。
【0038】
本発明で使用可能な正極活物質及び負極活物質、また、正極電流集電体及び負極電流集電体としては、当業界で通常使用されるものであれば特に制限なく使用することができる。
【0039】
前記正極活物質としては、通常、リチウム含有遷移金属酸化物またはリチウムカルコゲニド化合物をすべて使用することができ、その代表的な例としては、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2、LiMn
2O
4、またはLiNi
1-x-yCo
xM
yO
2(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、MはAl、Sr、Mg、Laなどの金属)などの金属酸化物を使用することができるが、これらに制限されることはない。
【0040】
前記負極活物質としては、結晶質炭素、非晶質炭素、炭素複合体、炭素繊維などの炭素材料、リチウム金属、またはリチウム合金などを使用することができるが、これらに制限されることはない。
【0041】
正極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタンまたはこれらの合金、もしくはアルミニウムまたはステンレスの表面にカーボン、ニッケル、チタン又は銀を表面処理したものなどを使用することができる。
【0042】
負極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタンまたはこれらの合金、もしくは銅またはステンレスの表面にカーボン、ニッケル、チタン又は銀を表面処理したものなどを使用することができる。
【0043】
本発明の一実施例で使用できる電解液は、A
+B
-のような構造の塩であり、A
+はLi
+、Na
+、K
+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組み合せからなるイオンを含み、B
-はPF
6-、BF
4-、C
l-、Br
-、I
-、ClO
4-、AsF
6-、CH
3CO
2-、CF
3SO
3-、N(CF
3SO
2)
2-、C(CF
2SO
2)
3-のような陰イオンまたはこれらの組み合せからなるイオンを含む塩を、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシシエタン、ジエトキシシエタン、テトラハイドロフラン、N-メチル‐2‐ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ‐ブチロラクトン、またはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離したものであるが、これらに限定されることはない。
【0044】
前記電解液の注入は、最終製品の製造工程及び求められる物性に応じて、電池製造工程のうち適宜な段階において行えばよい。すなわち、電池組立ての前または電池組立ての最終段階などにおいて注入すればよい。