(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インクジェットインクは、前記化学式(1)で表される化合物及び前記化学式(2)で表される化合物の総含有量の合計が10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
前記インクジェットインクは、グリセリン、1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,3−ブタンジオールからなる群より選択される一種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
前記インクジェットインクは、炭素数が8以上11以下のポリオール及び/又は炭素数が8以上11以下のポリオールエーテルをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
前記炭素数が8以上11以下のポリオールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールであることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0010】
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェットインクを記録媒体に吐出する工程を有する。
【0011】
インクジェットインクは、化学式(1)で表される化合物(3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド)又は化学式(1)で表される化合物(3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド)及び化学式(2)で表される化合物(3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド)と、顔料と、水と、界面活性剤を含む。
【0012】
インクジェットインクの表面張力をγ[mN/m]、記録媒体に2.5μLのインクジェットインクを滴下して0.1秒後の接触角をθ[°]とすると、式
16≦γcosθ≦26
を満たすことが好ましい。γcosθが16未満であると、普通紙に記録すると、画像濃度が低下し、26を超える場合は、普通紙に記録すると、文字のにじみが発生する。
【0013】
なお、γは、25℃、50%RHにおいて、全自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて測定することができる。
【0014】
また、θは、25℃、50%RHにおいて、自動接触角測定装置OCAH200(DataPhysics社製)を用いて測定することができる。
【0015】
一般に、液体浸透を示す式として、Lucas−Washburnの式が知られている。
【0016】
l=(rγcosθ・t/2η)
1/2
ここで、lは、浸透深さであり、rは、毛管半径であり、tは時間であり、ηは粘度であり、γは表面張力であり、θは接触角であり、γcosθが大きいと液体の浸透が大きく、γcosθが小さいと液体の浸透が小さい。
【0017】
本発明においては、インクジェットインクが3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド又は3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド及び3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを含むため、γcosθを16〜26に調整することができる。
【0018】
ここで、普通紙は、古紙を含んでいてもよいし、サイズ剤を含んでいてもよい。
【0019】
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは、沸点が216℃と高く、23℃、80%RHにおける平衡水分量も39.2質量%と高く、25℃における粘度が1.48mPa・sと非常に低い。さらに、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは、水に非常に溶解しやすい。このため、インクジェットインクの粘度を低下させることができる。また、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドも同様に粘度が低いため、インクジェットインクの粘度を低下させることができる。さらに、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド及び/又は3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは、インクジェットインクの普通紙に対する濡れ性を向上させることができる。
【0020】
本発明において、インクジェットインク中の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド及び3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの総含有量は、通常、10〜20質量%であり、18〜20質量%が好ましい。インクジェットインク中の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド及び3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの総含有量が10質量%未満である場合又は20質量%を超える場合は、画像濃度が低下することがある。
【0021】
界面活性剤としては、レベリング性を向上させることが可能であれば、特に限定されないが、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、フッ素系界面活性剤が好ましい。
【0022】
フッ素系界面活性剤のフルオロ基により置換されている炭素数は、通常、2〜16であり、4〜16が好ましい。フッ素系界面活性剤のフルオロ基により置換されている炭素数が2未満であると、レベリング性が低下することがあり、16を超えると、吐出安定性が低下することがある。
【0023】
フッ素系アニオン性界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、パーフルオロアルキルオキシ基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルの硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0024】
フッ素系アニオン性界面活性剤の対イオンとしては、特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。中でも、一般式
【0027】
【化3】
で表わされる基であり、Aは、一般式
−SO
3−M
+、−COO
−M
+又は−PO
3−M
+
(式中、M
+は、プロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン又はトリエタノールアンモニウムイオンである。)
で表される化合物、一般式
(R
f'O)
nPO(O
−M
+)
m
(式中、R
f'は、一般式
F(CF
2CF
2)
nCH
2CH
2−・・・(C)
(式中、nは3〜10の整数である。)
で表わされる基であり、M
+は、プロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン又はトリエタノールアンモニウムイオンであり、nは1又は2であり、mは2−nである。)
で表される化合物、一般式
R
f'SCH
2CH
2COO
−M
+
(式中、R
f'は、一般式(C)で表される基であり、M
+は、プロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン又はトリエタノールアンモニウムイオンである。)
で表される化合物、一般式
R
f'SO
3−M
+
(式中、R
f'は、一般式(C)で表される基であり、M
+は、プロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン又はトリエタノールアンモニウムイオンである。)
で表される化合物が好ましい。
【0028】
フッ素系ノニオン性界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルオキシ基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテル等が挙げられる。中でも、起泡性が少ないため、パーフルオロアルキルオキシ基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルが好ましく、一般式
CF
3CF
2(CF
2CF
2)
mCH
2CH
2O(CH
2CH
2O)
nH
(式中、mは0〜10の整数であり、nは0〜40の整数である。)
で表される化合物、一般式
R
fO(CH
2CH
2O)
nH
(式中、R
fは、一般式(A)で表される基又は一般式(B)で表される基であり、nは5〜20の整数である。)
で表される化合物、一般式
R
f'O(CH
2CH
2O)
nH
(式中、R
f'は、一般式(C)で表される基であり、nは1〜40の整数である。)
で表される化合物が好ましい。
【0030】
【化4】
(式中、R
fは、一般式(A)で表される基又は一般式(B)で表される基である。)
で表される化合物であることが好ましい。
【0031】
オリゴマー型フッ素系界面活性剤は、一般式
【0032】
【化5】
(式中、R
f''は、一般式
F(CF
2CF
2)
nCH
2−・・・(D)
(式中、nは1〜4の整数である。)
で表される基であり、M
+は、プロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン又はトリエタノールアンモニウムイオンである。)
で表される基であり、nは1〜10の整数である。)
で表される化合物又は一般式
【0033】
【化6】
(式中、Rf''は、一般式(D)で表される基であり。l、m及びnは、それぞれ独立に、1〜10の整数である。)
で表される化合物であることが好ましい。
【0034】
フッ素系界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(以上、旭硝子社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(以上、住友スリーエム社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(以上、DIC社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(以上、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(以上、ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(以上、オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業社製)等が挙げられる。
【0035】
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。中でも、変性基として、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0036】
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤は、一般式
【0037】
【化7】
(式中、Rは、アルキレン基であり、R'は、アルキル基であり、m、n、a及びbは、それぞれ独立に、整数である。)
で表される化合物であることが好ましい。
【0038】
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤の市販品としては、KF−618、KF−642、KF−643(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0039】
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩等が挙げられる。
【0040】
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられる。
【0041】
インクジェットインク中の界面活性剤の含有量は、通常、0.01〜3質量%であり、0.5〜2質量%が好ましい。本発明のインクジェットインク中の界面活性剤の含有量が0.01質量%未満であると、レベリング性が低下することがあり、3質量%を超えると、画像濃度が低下することがある。
【0042】
顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよく、二種以上併用してもよい。なお、色調を調整するために、顔料と染料を併用してもよい。
【0043】
無機顔料としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック等が挙げられる。
【0044】
カーボンブラックの製造方法としては、特に限定されないが、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等が挙げられる。
【0045】
有機顔料としては、特に限定されないが、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等の染料キレート;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。中でも、アゾ顔料、多環式顔料が好ましい。
【0046】
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、ガスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。
【0047】
黒色以外の色の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(ベンガラ)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
【0048】
本発明において、顔料は、顔料分散剤が存在しなくても、水分散性を示す、即ち、自己分散性を有する顔料であることが好ましい。
【0049】
水中における自己分散性を有する顔料の体積平均粒径(D
50)は、通常、0.01〜0.16μmである。
【0050】
自己分散性を有する顔料は、表面にイオン性基が導入されていることが好ましい。
【0051】
アニオン性基としては、特に限定されないが、一般式
−COO
−M
+、−SO
3−M
+、−PO
3H
−M
+又は−PO
32−M
+2
(式中、M
+は、プロトン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンである。)
で表される基等が挙げられる。
【0052】
M
+におけるアルカリ金属イオンとしては、特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
【0053】
M
+における有機アンモニウムとしては、特に限定されないが、モノ乃至トリメチルアンモニウムイオン、モノ乃至トリエチルアンモニウムイオン、モノ乃至トリメタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0054】
顔料の表面にアニオン性基を導入する方法としては、特に限定されないが、顔料を次亜塩素酸ナトリウムで酸化処理する方法、顔料をスルホン化する方法、顔料とジアゾニウム塩を反応させる方法等が挙げられる。
【0055】
カチオン性基としては、特に限定されないが、化学式
【0056】
【化8】
で表される4級アンモニウム基と、対イオンの組み合わせ等が挙げられる。
【0057】
本発明においては、自己分散性を有する顔料として、表面にカチオン性基が導入されているカーボンブラックを用いることができる。
【0058】
カーボンブラックの表面にカチオン性基を導入する方法としては、特に限定されないが、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで表面処理する方法等が挙げられる。
【0059】
自己分散性を有する顔料は、他の原子団を介して、表面にイオン性基が結合されていてもよい。
【0060】
他の原子団としては、特に限定されないが、炭素数が1〜12のアルキル基、置換基により置換されていてもよいフェニル基、置換基により置換されていてもよいナフチル基等が挙げられる。
【0061】
他の原子団を介して結合されるイオン性基としては、特に限定されないが、一般式
−CH
2CH
2COO
−M
+
(式中、M
+は、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンである。)
で表される基、一般式
−R−SO
3−M
+
(式中、Rは、フェニレン基であり、M
+は、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンである。)
で表される基、一般式
−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2NH
3+X
−
で表される基等が挙げられる。
【0062】
顔料は、顔料分散剤により分散していてもよい。
【0063】
顔料分散剤は、アニオン系界面活性剤又はHLB値が10〜20のノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
【0064】
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム、ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、オレイン酸塩等が挙げられる。中でも、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルスルホン酸アンモニウムが好ましい。
【0065】
HLB値が10〜20のノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、アセチレングリコール等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが好ましい。
【0066】
顔料に対する顔料分散剤の質量比は、通常、0.01〜1であり、0.10〜0.50が好ましい。顔料に対する顔料分散剤の質量比が0.01未満であると、顔料の分散性が低下することがあり、1を超えると、カラーブリードが発生することがある。
【0067】
顔料を分散させる方法としては、特に限定されないが、水中に顔料分散剤を溶解させた後、顔料を加えて分散させる方法等が挙げられる。
【0068】
顔料を分散させる装置としては、特に限定されないが、ホモジナイザー等の高速攪拌機;ビーズミル、ボールミル等のボールを用いる分散機;ロールミル等の剪断力を用いる混練分散機、超音波分散機等が挙げられる。
【0069】
なお、顔料を分散させた後、必要に応じて、フィルター、遠心分離器等を用いて、粗大粒子を除去することが好ましい。
【0070】
水中における顔料の体積平均粒径(D
50)は、通常、150nm以下であり、100nm以下が好ましい。水中における顔料の体積平均粒径(D
50)が150nmを超えると、吐出安定性が低下することがある。
【0071】
顔料は、樹脂粒子中に分散していてもよいし、樹脂粒子の表面に付着していてもよい。
【0072】
樹脂粒子を構成する樹脂としては、特に限定されないが、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。中でも、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい(例えば、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報参照)。
【0073】
インクジェットインクは、湿潤剤をさらに含んでいてもよい。
【0074】
湿潤剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。中でも、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、グリセリンが好ましい。
【0075】
インクジェットインク中の湿潤剤の含有量は、通常、10〜40質量%である。インクジェットインク中の湿潤剤の含有量が10質量%未満である場合又は40質量%を超える場合は、吐出安定性が低下することがある。
【0076】
インクジェットインクは、浸透剤として、炭素数が8〜11のポリオール及び/又は炭素数が8〜11のポリオールエーテルをさらに含むことが好ましい。
【0077】
浸透剤は、25℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%であることが好ましく、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールであることがさらに好ましい。
【0078】
なお、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの25℃の水に対する溶解度は、それぞれ4.2質量%及び2.0質量%である。
【0079】
その他の炭素数が8〜11のポリオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等の脂肪族ジオールが挙げられる。
【0080】
炭素数が8〜11のポリオールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等が挙げられる。
【0081】
その他の湿潤剤としては、エタノール等の低級アルコール等が挙げられる。
【0082】
インクジェットインク中の浸透剤の含有量は、通常、0.1〜4.0質量%である。インクジェットインク中の浸透剤の含有量が0.1質量%未満であると、カラーブリードが発生することがあり、4.0質量%を超えると、吐出安定性及び画像濃度が低下することがある。
【0083】
インクジェットインクは、水分散性樹脂をさらに含んでいてもよい。
【0084】
水分散性樹脂の水中における形態は、エマルジョンであるが、単層構造型エマルジョン、コアシェル型エマルジョン及びパワーフィード型エマルジョンのいずれであってもよい。
【0085】
水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエーテル、(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の縮合系合成樹脂;ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂等の付加系合成樹脂;セルロース類、ロジン類、天然ゴム等の天然高分子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ポリウレタン、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂が好ましい。
【0086】
フッ素系樹脂は、フルオロオレフィン由来の構成単位を有するフッ素系樹脂が好ましく、フルオロオレフィン由来の構成単位及びビニルエーテル由来の構成単位を有するフッ素系樹脂がさらに好ましく、フルオロオレフィンとビニルエーテルの交互共重合体が特に好ましい。
【0087】
フルオロオレフィン由来の構成単位としては、特に限定されないが、化学式
−CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)−又は−CF
2CFCl−
で表される基等が挙げられる。
【0088】
ビニルエーテル由来の構成単位としては、特に限定されないが、化学式
【0089】
【化9】
で表される構成単位等が挙げられる。
【0090】
フッ素系樹脂の市販品としては、フルオネートFEM−500、FEM−600、ディックガードF−52S、F−90、F−90M、F−90N,アクアフランTE−5A(以上、DIC社製);ルミフロンFE4300、FE4500、FE4400、アサヒガードAG−7105、AG−950、AG−7600、AG−7000、AG−1100(旭硝子社製)等が挙げられる。
【0091】
水分散性樹脂は、単独重合体及び共重合体のいずれであってもよい。
【0092】
水分散性樹脂としては、自己分散性を有する樹脂及び分散剤により分散している樹脂のいずれであってもよい。中でも、ポリエステルやポリウレタンのアイオノマーや不飽和単量体を乳化重合又は懸濁重合することにより得られる水分散性樹脂が好ましい。不飽和単量体を乳化重合する場合には、不飽和単量体、重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、キレート剤、pH調整剤等を含む水中で重合するため、容易に水分散性樹脂を得ることができる。
【0093】
不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム等の単官能の(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパントリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能の(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリル酸アミド;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアノ化合物;酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル化合物;アリルスルホン酸又はその塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム等のアリル化合物;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ブタジエン、クロロプレン等のジエン化合物;メタクリロイル基を有するスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を有するスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を有するメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を有するジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0094】
インクジェットインクの25℃におけるpHは、通常、4〜12であり、水分散着色剤との混和性の点から、6〜11が好ましく、7〜9がさらに好ましい。インクジェットインクの25℃におけるpHが4未満である場合又は12を超える場合は、水分散性樹脂の分散破壊や加水分解等の分子鎖の断裂が発生することがある。
【0095】
水分散性樹脂の平均粒径(D
50)は、通常、50nm以上である。水分散性樹脂の平均粒径(D
50)が50nm未満であると、本発明のインクジェットインクの粘度が増大することがある。また、水分散性樹脂の平均粒径(D
50)は、通常、200nm以下であり、150nm以下が好ましい。水分散性樹脂の平均粒径(D
50)が200nmを超えると、吐出安定性が低下することがある。
【0096】
水分散性樹脂は、水分散着色剤を紙面に定着させる作用を有し、常温で被膜化して水分散性着色剤の定着性を向上させる。このため、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、通常、30℃以下である。
【0097】
水分散性樹脂のガラス転移温度は、通常、−40℃以上である。水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃未満になると、樹脂皮膜の粘稠性が強くなり、画像形成物にタックが発生することがある。
【0098】
本発明のインクジェットインク中の水分散性樹脂の含有量は、通常、1〜15質量%であり、2〜7質量%が好ましい。
【0099】
本発明のインクジェットインクは、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等をさらに含んでいてもよい。
【0100】
pH調整剤としては、pHを7〜11に調整することが可能であれば、特に限定されないが、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等のアルコールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム、水酸化4級アンモニウム等のアンモニウムの水酸化物;水酸化4級ホスホニウム等のホスホニウムの水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0101】
防腐防黴剤としては、特に限定されないが、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
【0102】
キレート試薬としては、特に限定されないが、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0103】
防錆剤としては、特に限定されないが、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
【0104】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系酸化防止剤;フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のアミン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−β,β'−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等の硫黄系酸化防止剤;トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0105】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチレート系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)等のニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0106】
インクジェットインクを吐出する方法としては、特に限定されないが、インクジェットヘッドを用いて、インクジェットインクに刺激(エネルギー)を印加する方法等が挙げられる。
【0107】
インクジェットヘッドは、液室部、流体抵抗部、振動板及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及び/又はニッケルを含むことが好ましい。
【0108】
また、前記インクジェットノズルのノズル直径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
【0109】
刺激(エネルギー)としては、特に限定されないが、熱(温度)、圧力、振動、光等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、熱、圧力が好ましい。
【0110】
例えば、刺激が熱である場合、インクジェットヘッド内のインクジェットインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを、発熱抵抗体を用いて印加して、インクジェットインクに気泡を発生させ、気泡の圧力により、ノズル孔からインクジェットインクを吐出する。
【0111】
また、刺激が圧力である場合、インクジェットヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、ノズル孔からインクジェットインクを吐出する。
【0112】
吐出するインクジェットインクの液滴の体積は、通常、3×10
−15〜40×10
−15m
3(3〜40pL)である。
【0113】
インクジェットインクの吐出速度は、通常、5〜20m/sである。
【0114】
圧電素子の駆動周波数は、通常、1kHz以上である。
【0115】
解像度は、通常、300dpi以上である。
【0116】
本発明のインクジェット記録方法は、シークエンサー、コンピュータ等の制御手段を用いて制御することが好ましい。
【0117】
記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
【0118】
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェットプリンター、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機等のインクジェット記録装置に適用することができる。
【0119】
図1に、本発明で用いられるインクジェット記録装置の一例を示す。
【0120】
インクジェット記録装置100は、用紙を装填するための給紙トレイ101と、画像が形成された用紙をストックするための排紙トレイ102と、インクカートリッジ装填部103とを有する。インクカートリッジ装填部103の上面には、操作キー、表示器等が設置されている操作部104が配置されている。インクカートリッジ装填部103には、インクカートリッジ200を着脱するための開閉可能なカバー103aが設置されている。
【0121】
インクジェット記録装置100内には、
図2及び
図3に示すように、左右の側板(不図示)に横架したガイドロッド105とステー106により、キャリッジ107が主走査方向Aに摺動自在に保持されており、主走査モータ(不図示)により、主走査方向Aに移動走査される。
【0122】
キャリッジ107には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッド108が、複数のインク吐出口が主走査方向Aと交叉する方向に配列されており、インク滴が吐出される方向が下方になるように装着されている。
【0123】
インクジェットヘッド108としては、特に限定されないが、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を有するものを用いることができる。
【0124】
また、キャリッジ107には、インクジェットヘッド108に各色のインクを供給するための各色のサブタンク109が搭載されている。サブタンク109には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部103に装填されたインクカートリッジ200から、インクジェットインクが供給されて補充される。
【0125】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)102a上に積載されている用紙Pを給紙するための給紙部として、用紙積載部102aから用紙Pを1枚ずつ分離給送する給紙コロ110及び給紙コロ110に対向して配置されており、摩擦係数の大きい材質から構成される分離パッド111が設置されている。このとき、分離パッド111は、給紙コロ110側に付勢されている。
【0126】
給紙部からガイド112を介して給紙された用紙Pをインクジェットヘッド108の下方側で搬送するための搬送部として、用紙Pを静電吸着して搬送するための搬送ベルト113と、用紙Pを搬送ベルト113との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ114と、略鉛直上方に搬送される用紙Pを略90°方向転換させて搬送ベルト113上に倣わせるための搬送ガイド115と、押さえ部材116により搬送ベルト113側に付勢されている先端加圧コロ117が設置されている。また、搬送ベルト113の表面を帯電させるための帯電ローラ118が設置されている。
【0127】
搬送ベルト113は、無端状ベルトであり、搬送ローラ119とテンションローラ120との間に張架されており、用紙Pを搬送する方向Bに周回可能である。また、搬送ベルト113の裏側には、インクジェットヘッド108による画像形成領域に対応してガイド部材121が配置されている。
【0128】
搬送ベルト113としては、特に限定されないが、厚さが40μm程度のテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)等の樹脂から構成される、用紙Pを静電吸着する表層と、カーボンにより抵抗が制御されている以外は、表層と同一の材質から構成される裏層(中抵抗層、アース層)を有するものを用いることができる。
【0129】
なお、インクジェットヘッド108により画像が形成された用紙Pを排紙するための排紙部として、搬送ベルト113から用紙Pを分離するための分離爪122と、排紙ローラ123及び排紙コロ124が設置されており、排紙ローラ123の下方に排紙トレイ103が配置されている。
【0130】
インクジェット記録装置100の背面部には、両面給紙ユニット125が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット125は、搬送ベルト113が用紙Pを搬送する方向Bに対して逆方向に回転することにより戻される用紙Pを取り込んで反転させた後、カウンタローラ114と搬送ベルト113との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット125の上面には、手差し給紙部126が設置されている。
【0131】
インクジェット記録装置100においては、給紙部から用紙Pが1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙Pは、ガイド112で案内され、搬送ベルト113とカウンタローラ114との間に挟まれて搬送される。さらに、先端を搬送ガイド115で案内されて先端加圧コロ117で搬送ベルト113に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0132】
このとき、帯電ローラ118により搬送ベルト113が帯電されているため、用紙Pは、搬送ベルト113に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ107を移動させながら画像信号に応じて、インクジェットヘッド108を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分の画像を形成し、用紙Pを所定量搬送した後、次の1行分の画像を形成する。画像の形成が終了した信号又は用紙Pの後端が画像形成領域に到達した信号を受けることにより、画像形成動作を終了して、用紙Pを排紙トレイ103に排紙する。
【0133】
そして、サブタンク109内のインクの残量のニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ(不図示)から所要量のインクジェットインクがサブタンク109に補給される。
【0134】
インクジェット記録装置100においては、インクカートリッジ200中のインクジェットインクを使い切ったときには、インクカートリッジ200の筐体を分解して内部のインク袋を交換することができる。また、インクカートリッジ200は、縦置きで前面装填構成としても、安定してインクを供給することができる。したがって、インクジェット記録装置100の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納されている場合、又は、インクジェット記録装置100の上面に物が置かれているような場合であっても、インクカートリッジ200を容易に交換することができる。
【0135】
以上、本発明のインクジェット記録方法を、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例について説明したが、ライン型ヘッドを有するライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
【0136】
図4に、インクカートリッジ200を示す。
【0137】
インクカートリッジ200は、インクジェットインクが充填されているインク袋201がプラスチック製の筐体202内に収容され、インクジェット記録装置100に着脱可能に装着して用いられる。
【0138】
インク袋201は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等の包装部材から構成されており、インク注入口201aからインクジェットインクを充填して、排気した後、インク注入口201aを融着することにより密閉されている。また、インク袋201には、ゴム部材から構成されるインク排出口201bが形成されており、サブタンク109にインクジェットインクを供給する際には、インク排出口201bにインク供給チューブの先端に設置されている針を刺す。
【実施例】
【0139】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
【0140】
[自己分散性を有するブラック顔料の分散液の調製]
CTAB比表面積が150m
2/g、DBP吸収量が100mL/100gのカーボンブラック90gを2.5N硫酸ナトリウム水溶液3L中に加えた後、攪拌しながら、60℃に加温し、300rpmで10時間反応させた。次に、濾過した後、濾物を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。さらに、純水及び透析膜を用いて限外濾過した。さらに、濾過した後、濾物を純水で洗浄し、乾燥させた。次に、濾物を固形分が30質量%となるように純水中に分散させ、自己分散性を有するブラック顔料の分散液を得た。自己分散性を有するブラック顔料は、体積平均粒径(D
50)が103nmであった。
【0141】
なお、体積平均粒径(D
50)は、粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX150(日機装社製)を用いて測定した。
【0142】
[マゼンタ顔料を含む樹脂粒子の分散液の調製]
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを入れて混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合液を2.5時間で滴下した。さらに、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合液を0.5時間で滴下し、65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを加え、1時間熟成した。次に、メチルエチルケトン364gを加え、固形分が50質量%の樹脂溶液800gを得た。
【0143】
樹脂溶液28g及び42gのC.I.ピグメントレッド122、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及び純水13.6gを攪拌した後、ロールミルを用いて混練し、ペーストを得た。次に、ペーストを純水200g中に加えて、攪拌した後、エバポレータ用いて、メチルエチルケトン及び水を留去した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、顔料固形分が15質量%、固形分が20質量%のマゼンタ顔料を含む樹脂粒子の分散液を得た。マゼンタ顔料を含む樹脂粒子は、体積平均粒径(D
50)が127nmであった。
【0144】
[シアン顔料を含む樹脂粒子の分散液の調製]
C.I.ピグメントレッド122の代わりに、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた以外は、マゼンタ顔料を含む樹脂粒子の分散液と同様にして、シアン顔料を含む樹脂粒子の分散液を得た。シアン顔料を含む樹脂粒子は、体積平均粒径(D
50)が93nmであった。
【0145】
[イエロー顔料を含む樹脂粒子の分散液の調製]
C.I.ピグメントレッド122の代わりに、C.I.ピグメントイエロー74を用いた以外は、マゼンタ顔料を含む樹脂粒子の分散液と同様にして、イエロー顔料を含む樹脂粒子の分散液を得た。イエロー顔料を含む樹脂粒子は、体積平均粒径(D
50)が76nmであった。
【0146】
[インクジェットインク1の調製]
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、湿潤剤1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2.00部、有効成分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニールFS−300(ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル)(Dupont社製)2.50部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水30.35部を1時間攪拌した。次に、固形分が37.2質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンのポリゾールROY6312(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、自己分散性を有するブラック顔料の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク1を得た。インクジェットインク1は、粘度が7.9mPa・sであり、表面張力が23.7mN/mであった。
【0147】
なお、インクジェットインクの粘度は、粘度計RE−80L(東機産業社製)を用いて、25℃、50prmで測定した。また、インクジェットインクの表面張力は、全自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、25℃、50%RHで測定した。
【0148】
[インクジェットインク2の調製]
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド18.00部、湿潤剤3−メチル−1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.00部、有効成分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニールFS−300(ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル)(Dupont社製)2.50部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水24.35部を1時間攪拌した。次に、固形分が50質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンAP−4710(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、自己分散性を有するブラック顔料の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク2を得た。インクジェットインク2は、粘度が8.1mPa・sであり、表面張力が23.7mN/mであった。
【0149】
[インクジェットインク3の調製]
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド15.00部、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド5.00部、湿潤剤1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2.00部、有効成分が100質量%の界面活性剤ソフタノールEP−7025(ポリオキシエチキレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル)(日本触媒社製)1.50部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水21.35部を1時間攪拌した。次に、固形分が37.2質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンのポリゾールROY6312(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、自己分散性を有するブラック顔料の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク3を得た。インクジェットインク3は、粘度が7.8mPa・sであり、表面張力が25.9mN/mであった。
【0150】
[インクジェットインク4の調製]
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、湿潤剤1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.00部、有効成分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニールFS−300(ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル)(Dupont社製)2.50部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水20.35部を1時間攪拌した。次に、固形分が50質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンAP−4710(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、マゼンタ顔料を含む樹脂粒子の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク4を得た。インクジェットインク4は、粘度が7.9mPa・sであり、表面張力が24.7mN/mであった。
【0151】
[インクジェットインク5の調製]
3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、湿潤剤3−メチル−1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2.00部、有効成分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニールFS−300(ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル)(Dupont社製)2.50部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水20.35部を1時間攪拌した。次に、固形分が37.2質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンのポリゾールROY6312(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、シアン顔料を含む樹脂粒子の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク5を得た。インクジェットインク5は、粘度が7.4mPa・sであり、表面張力が23.4mN/mであった。
【0152】
[インクジェットインク6の調製]
3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド8.00部、湿潤剤1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.00部、有効成分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニールFS−300(ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル)(Dupont社製)2.50部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水22.35部を1時間攪拌した。次に、固形分が50質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンAP−4710(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、イエロー顔料を含む樹脂粒子の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク6を得た。インクジェットインク6は、粘度が8.0mPa・sであり、表面張力が25.3mN/mであった。
【0153】
[インクジェットインク7の調製]
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、湿潤剤グリセリン5.00部、浸透剤2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2.00部、有効成分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニールFS−300(ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル)(Dupont社製)3.00部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水44.85部を1時間攪拌した。次に、固形分が37.2質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンのポリゾールROY6312(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、自己分散性を有するブラック顔料の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク7を得た。インクジェットインク7は、粘度が3.5mPa・sであり、表面張力が29.0mN/mであった。
【0154】
[インクジェットインク8の調製]
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10.00部、湿潤剤3−メチル−1,3−ブタンジオール10.00部、湿潤剤グリセリン10.00部、浸透剤2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.00部、有効成分が100質量%の界面活性剤ソフタノールEP−7025(ポリオキシエチキレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル)(日本触媒社製)0.30部、防黴剤Proxel GXL(アビシア社製)0.05部及び純水22.55部を1時間攪拌した。次に、固形分が50質量%のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョンAP−4710(昭和高分子社製)5.00部を加えて1時間攪拌した後、自己分散性を有するブラック顔料の分散液30.00部及び有効成分が100質量%の自己乳化型シリコーン消泡剤KM−72F(信越シリコーン社製)0.10部を加えて1時間攪拌した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、インクジェットインク8を得た。インクジェットインク8は、粘度が7.8mPa・sであり、表面張力が33.5mN/mであった。
【0155】
[接触角]
自動接触角測定装置OCAH200(DataPhysics社製)を用いて、2.5μLのインクジェットインクを普通紙に滴下して0.1秒後の接触角を測定した。
【0156】
なお、普通紙としては、マイペーパー(NBSリコー製)(以下、普通紙1という)、リサイクルペーパー100(大王製紙社製)(以下、普通紙2という)、HAMMERMILL FORE MP(INTERNATIONAL PAPER社製)(以下、普通紙3という)を用いた。
【0157】
表1に、インクジェットインク1〜8の表面張力及び接触角の測定結果を示す。
【0158】
【表1】
[実施例1〜21、比較例1〜3]
23±0.5℃、50%±5RHに調整された環境で、インクジェットプリンターIPSIO G717(リコー社製)を用いて、普通紙に付着するインクジェットインクの量が等しくなるように、ピエゾ素子の駆動電圧を設定した。
【0159】
[画像濃度]
普通紙に、Microsoft Word2000(Microsoft社製)を用いて作成した64pointの単色ベタ画像「■」のあるチャートを打ち出した後、X−Rite939(X−Rite社製)を用いて、単色ベタ画像部の画像濃度を測定した。このとき、印字モードは、インクジェットプリンターに添付されているドライバを用いて、「普通紙−標準はやい」を「色補正なし」に改変したモードに設定した。なお、ブラックの画像濃度が1.2以上であり、イエローの画像濃度が0.8以上であり、マゼンタの画像濃度が1.0以上であり、シアンの画像濃度が1.0以上である場合を○、ブラックの画像濃度が1.15以上1.2未満であり、イエローの画像濃度が0.75以上0.8未満であり、マゼンタの画像濃度が0.95以上1.0未満であり、シアンの画像濃度が0.95以上1.0未満である場合を△、ブラックの画像濃度が1.15未満であり、イエローの画像濃度が0.75未満であり、マゼンタの画像濃度が0.95未満であり、シアンの画像濃度が0.95未満である場合を×として、判定した。
【0160】
[文字のにじみ]
普通紙に、Microsoft Word2000を用いて作成した12pointの文字のあるチャートを打ち出した。このとき、印字モードは、インクジェットプリンターに添付されているドライバを用いて、「普通紙−標準はやい」を「色補正なし」に改変したモードに設定した。なお、文字のにじみが見られない場合を○、わずかに文字のにじみが見られる場合を△、文字のにじみが見られる場合を×として、判定した。
【0161】
表2〜4に、それぞれ普通紙1〜3に対する画像濃度及び文字のにじみの評価結果を示す。なお、含有量X及び含有量Yは、それぞれ3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの含有量及び3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの含有量を意味する。
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
【表4】
表2〜4から、明らかなように、実施例1〜21のインクジェット記録方法は、画像濃度に優れ、文字のにじみの発生を抑制できることがわかる。
【0165】
これに対して、比較例1〜3のインクジェット記録方法は、γcosθがそれぞれ26.9mN/m、28.7mN/m、28.6mN/mであるため、文字のにじみが発生する。