特許第6051557号(P6051557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6051557アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材及び電子部品装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051557
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材及び電子部品装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20161219BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20161219BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20161219BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20161219BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20161219BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   C08G59/50
   C08L63/00 C
   C08K5/521
   C08K3/00
   C08K5/17
   C08G59/14
   H01L23/30 R
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-70319(P2012-70319)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-199624(P2013-199624A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年2月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕子
(72)【発明者】
【氏名】天童 一良
(72)【発明者】
【氏名】増田 智也
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−204669(JP,A)
【文献】 特開2011−208098(JP,A)
【文献】 特表2005−519169(JP,A)
【文献】 特開2012−036240(JP,A)
【文献】 特開2010−132793(JP,A)
【文献】 特開2005−220256(JP,A)
【文献】 特開昭61−012717(JP,A)
【文献】 特開2009−292881(JP,A)
【文献】 特開2009−086341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00−63/10
C08G 59/00−59/72
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂と、(B)リン酸エステル基を有する化合物と、(C)潜在性硬化剤と、を含有し、
前記(C)潜在性硬化剤が、アミン化合物と尿素化合物との反応生成物であるアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【請求項2】
前記(B)リン酸エステル基を有する化合物が湿潤分散剤である、請求項1に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【請求項3】
更に(D)無機充填剤を含有する請求項1又は請求項2に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【請求項4】
前記(D)無機充填剤の含有量が、総質量に対して20質量%以上50質量%以下である請求項3に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【請求項5】
前記(B)リン酸エステル基を有する化合物の含有率が、前記(D)無機充填剤全量に対して0.5質量%以上5質量%以下である請求項3又は請求項4記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【請求項6】
前記(C)潜在性硬化剤の含有量が、エポキシ樹脂全量に対して10質量%以上40質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【請求項7】
回路を有する基板と、
前記基板上に配置され、かつ前記回路と電気的に接続された素子と、
前記基板と前記素子との間隙に充填された、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の硬化物と、
を備える電子部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品装置の半導体素子(以下、チップともいう。)の封止の分野では、生産性、コストなどの面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。この理由として、エポキシ樹脂が作業性、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性などの諸特性においてバランスに優れるためである。
【0003】
さらに、COB(Chip on Board)、COG(Chip on Glass)、TCP(Tape Carrier Package)等のベアチップ実装した半導体装置においては、エポキシ樹脂液状封止材が広く使用されている。また、半導体素子をセラミック、ガラス/エポキシ樹脂、ガラス/イミド樹脂またはポリイミドフィルムなどを基板とする配線基板上に直接バンプ接続してなる半導体装置(フリップチップ)では、バンプ接続した半導体素子と配線基板の間隙(ギャップ)を充填するアンダーフィル材として、エポキシ樹脂液状封止材が使用されている。これらのエポキシ樹脂液状封止材は電子部品を温湿度、機械的な外力などから保護するために重要な役割を果たしている。
【0004】
フリップチップ実装を行なう場合、チップと基板はそれぞれ熱膨張係数が異なり、接合部に熱応力が発生するため、接続信頼性の確保が重要な課題である。アンダーフィル材とチップとの熱膨張差に起因した熱応力によって、アンダーフィル材にクラックが生じ、結果として最悪の場合には、チップを破壊する恐れがある。また温度サイクル試験などによる繰り返し熱衝撃を与えたときに、接続部の保護が不充分な場合には、低サイクルで接合部が疲労破壊することもあり、耐温度サイクル性が求められている。また、通常アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を充填する際には加温しながら充填しているが、作業性の観点から室温で充填可能であること、さらには50μm以下の狭ギャップにも数分で充填可能であることが求められている。さらに、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の硬化には、通常、高温で長時間の加熱が必要であるが、近年、生産性、作業性の向上を目的とした低温短時間での硬化が求められている。
【0005】
このように、低温短時間での硬化が可能であり、流動性、温度サイクル性が良好なアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の需要が高まっているが、耐温度サイクル性などを向上させるため無機充填剤の高充填化を行うと、エポキシ樹脂液状封止材の粘度が著しく増大し、流動性が低下し、成形性が悪化するという問題が生じる場合がある。
【0006】
これに関連して、特定構造の添加剤を配合することで、低温硬化が可能で、流動性、耐温度サイクル性に優れたアンダーフィル用液状樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−95702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、電子部品装置の進歩とともにますます高信頼性が要求されるとともに、電子部品装置の製造の生産性、作業性の向上が要求されている。
【0009】
現在、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の高信頼性化の手法として、樹脂組成物への無機充填剤の高充填がある。しかしながら、無機充填剤を高充填するとエポキシ樹脂液状封止材の粘度が高くなり、流動性が損なわれる。そこで高流動性を維持するために、低粘度の樹脂を用いたり、また無機充填剤の配合量を高めるために、無機充填剤をカップリング剤で表面処理したりする方法が用いられている。
【0010】
また、一般的にアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を充填する際、基板を加温しながら充填しているが、作業性の観点から室温(25℃)で充填する材料が求められている。室温で充填するためには、室温での粘度が低いことが必須であるが、低粘度と高信頼性との両立は非常に困難である。さらに、生産性の観点から低温(120℃以下)で、且つ短時間(5分以内)での硬化が求められている。
【0011】
ここで、前述の特許文献1に記載の硬化剤及び添加剤を用いたのみでは、50μm以下の狭ギャップに数分で室温充填すること、120℃、5分以下で硬化すること、かつ充填・硬化後において温度サイクル性に優れること、を満たすアンダーフィル用液状樹脂組成物を得ることは困難であった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、狭いギャップでも数分で室温充填可能で、低温短時間での硬化が可能であり、かつ耐温度サイクル性に優れたアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材、及びこれにより封止された電子部品装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂、特定の添加剤及び特定の硬化剤を含有することにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明は、より詳細には以下に関する。
<1> (A)エポキシ樹脂と、(B)リン酸エステル基を有する化合物と、(C)潜在性硬化剤と、を含有するアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【0015】
<2> 前記(B)リン酸エステル基を有する化合物が湿潤分散剤である、前記<1>に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材
【0016】
<3> 更に(D)無機充填剤を含有する前記<1>又は<2>に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【0017】
<4> 前記(C)潜在性硬化剤が、エポキシ樹脂とアミン化合物の反応物である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【0018】
<5> 前記(B)リン酸エステル基を有する化合物の含有率が、無機充填剤全量に対して0.5質量%以上5質量%以下である前記<2>〜<4>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【0019】
<6> 前記(C)潜在性硬化剤の含有量が、エポキシ樹脂全量に対して10質量%以上40質量%以下である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【0020】
<7> 前記(D)無機充填剤の含有量が、総質量に対して20質量%以上50質量%以下である前記<2>〜<6>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材。
【0021】
<8> 回路を有する基板と、
前記基板上に配置され、かつ前記回路と電気的に接続された素子と、
前記基板と前記素子との間隙に充填された、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の硬化物と、
を備える電子部品装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低温短時間での硬化が可能であり、狭いギャップでも数分で室温充填可能で、かつ耐温度サイクル性に優れたアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を提供することができる。またこのアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を用いて素子を封止することで、成形性、信頼性に優れる電子部品装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0024】
<アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材>
本発明のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材(以下、単に「エポキシ樹脂液状封止材」ともいう)は、(A)エポキシ樹脂と、(B)リン酸エステル基を有する化合物と、(C)潜在性硬化剤を含有する。また前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。
なお、本発明における液状とは、常温(25℃)において液状であることを意味する。具体的には、25℃において、E型粘度計で測定される粘度が1000Pa・s以下であることを意味する。
【0025】
(A)エポキシ樹脂
本発明におけるエポキシ樹脂は、一分子中に1個以上のエポキシ基を有し、常温で液状であれば制限はなく、電子部品用液状樹脂組成物で一般に使用されている液状エポキシ樹脂を用いることができる。
例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、水添ビスフェノールA等のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を代表とするフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸により酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
さらに、上記エポキシ樹脂が、その他のエポキシ樹脂として固形エポキシ樹脂を含む場合、その含有率は、成形時の流動性の観点から、エポキシ樹脂全量中に、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0027】
さらに、これらのエポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量は、ICなど素子上のアルミ配線の腐食に係わるため少ない方が好ましく、耐湿性の優れたアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を得るためには500ppm以下であることが好ましい。ここで、加水分解性塩素量とは、試料のエポキシ樹脂1gをジオキサン30mlに溶解し、1M−KOHメタノール溶液5mlを添加して30分間リフラックス後、電位差滴定により求めた値を尺度としたものである。
【0028】
アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材におけるエポキシ樹脂の含有率は特に制限されない。エポキシ樹脂の含有率は、低粘度、高流動性の観点から、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材全量中に40質量%以上60質量%以下であることが好ましく、45質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
(B)リン酸エステル基を有する化合物
本発明におけるリン酸エステル基を有する化合物は、リン酸エステル基を有していれば、その他は特に限定されない。リン酸エステル基は吸着基として機能しているものと考えられ、これにより、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の保存安定性を向上させることができる。
【0030】
特に、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材に無機充填剤を含有させたとき、リン酸エステル基は無機充填剤の表面に吸着して無機充填剤同士の水素結合を抑制する効果があるものと考えられる。その結果、リン酸エステル基を有する湿潤分散剤は、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の粘度を低下させる効果を発現する。さらに、湿潤分散剤の分子の主骨格による立体的効果によって無機充填剤の分散安定化を向上させ沈降防止の効果を発揮すると推察される。
【0031】
本発明におけるリン酸エステル基を有する化合物は、湿潤分散剤であることが好ましい。本発明における湿潤分散剤とは、湿潤剤と分散剤の二つの効果を発揮するものである。湿潤剤は粒子への濡れ性を向上させ、分散剤は粒子に吸着することで粒子の分散状態を安定化させる働きを持つ。
【0032】
具体的に湿潤分散剤の種類としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタンまたはポリアクリレートを主骨格として有するものが挙げられ、高流動性の観点からポリエーテルを主骨格として有するものが好ましい。中でも、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材への溶解性の観点から、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド等に由来する構造を有するポリエーテルが好ましい。
【0033】
リン酸エステル基を有する化合物は、1種単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
リン酸エステル基を有する化合物(湿潤分散剤)は、市販品として例えば、BYK−W995、BYK−W996、BYK−W9010(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)として入手可能である。これらは単独又は2種類以上混合して使用することができる。
【0035】
リン酸エステル基を有する化合物の含有率は、高流動性の観点から、無機充填剤全量に対し0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、高流動性と高信頼性の両立の観点から、1.0質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
また、リン酸エステル基を有する化合物以外の湿潤分散剤を併用してもよい。その他の湿潤分散剤としては、アミノ基、リン酸基、リン酸エステル基、カルボキシル基やそれらの塩を有する湿潤分散剤が挙げられる。
【0037】
(C)潜在性硬化剤
アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、低温短時間硬化の観点から潜在性硬化剤を必須成分として含有する。潜在性硬化剤を含有することで、硬化性とポットライフをより高いレベルで両立することができる。
【0038】
ここでいう潜在性硬化剤とは、ある特定の条件下(温度など)で硬化促進機能が発現されるものである。潜在性硬化剤としては例えば、通常の硬化促進剤をマイクロカプセルなどで保護したもの、硬化促進剤と各種化合物とが塩を形成した構造のものなどが挙げられる。このような潜在性硬化剤においては、例えば、特定の温度を超えるとマイクロカプセルや塩から硬化促進剤が系中に放出され、硬化促進機能を発現する。
【0039】
潜在性硬化剤の含有率は、エポキシ樹脂全量に対して、10質量%以上が好ましく、40質量%以下が好ましい。10質量%以上とすることで、充分な硬化性が得られる。また、40質量%以下とすることで、高流動性と硬化性を両立することができる。硬化性の観点から15質量%以上、35質量%以下がより好ましく、硬化性と高流動性の観点から20質量%以上、30質量%以下が特に好ましい。
【0040】
潜在性硬化剤の例としては、アミン化合物とエポキシ樹脂の反応生成物(アミンーエポキシアダクト系)、アミン化合物とイソシアネート化合物または、尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)が挙げられる。なかでも、低温短時間硬化の観点から、エポキシ樹脂とアミン化合物の反応生成物が好ましい。
潜在性硬化剤は1種単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0041】
潜在性硬化剤の市販品としては、FXR−1030、FXR−1121、PN−H(いずれも富士化成工業株式会社製)、アミキュア(味の素株式会社製、登録商標)、フジキュア(富士化成工業株式会社製、登録商標)、アデカハードナーEHシリーズ(株式会社ADEKA)などを挙げることができる。
【0042】
一般に潜在性硬化剤にあっては、全エポキシ樹脂100質量部に対して、ジシアンジアミド、イミダゾール類、ヒドラジン類、アミン類等の硬化剤成分として0.1質量部〜35.0質量部で用いることが好ましく、1.0質量部〜30.0質量部がより好ましい。
【0043】
なお、硬化剤成分量に関し、マスターバッチ化(エポキシアダクト化)する際に用いられるエポキシ化合物量は、全エポキシ樹脂量の中に含めて考えることができる。エポキシ樹脂の一部と予めマスターバッチを形成させて用いることもでき、マスターバッチの形成は、それぞれの潜在性硬化剤の使用条件以下の温度でエポキシ樹脂と混合することにより調整され、20℃〜50℃の範囲内で混合することが好ましく、その後1時間〜24時間程度その温度で熟成させてもよい。
【0044】
また、本発明の効果が達成される範囲内であれば、潜在性硬化剤以外のその他の硬化剤を含んでもよい。その他の硬化剤としては、例えば、潜在性硬化剤以外の酸無水物硬化剤、液状芳香族アミン硬化剤、フェノール性硬化剤などのエポキシ樹脂液状封止材用として一般に使用されている硬化剤を挙げることができる。またその他の硬化剤は液状硬化剤であっても、固形硬化剤であってもよい。
【0045】
(D)無機充填剤
アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、必要に応じて無機充填剤をさらに含むことが好ましい。無機充填剤の含有率は、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の総質量中に20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、高流動性と高信頼性の観点から30質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
無機充填剤の含有率が20質量%以上の場合、充分な信頼性が得られる傾向にある。また無機充填剤の含有率が50質量%以下の場合、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の粘度上昇が抑えられ、流動性に優れる傾向にある。
【0046】
無機充填剤の材質としては、例えば、溶融シリカ、合成シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などを挙げることができる。
また、無機充填の形状としては、上記材料の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、及びガラス繊維などが挙げられる。
【0047】
なかでも溶融シリカが好ましく、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の微細間隙への流動性・浸透性の観点から、球形シリカがより好ましい。また、これらの無機充填剤は、必要に応じて表面をあらかじめカップリング剤などで処理してもよい。
【0048】
無機充填剤の平均粒径は特に制限されない。無機充填剤の平均粒径は、流動性の観点から、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上9.0μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上8.0μm以下であることがさらに好ましい。
無機充填剤の最大粒径は特に制限されない。無機充填剤の最大粒径は、流動性の観点から、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、平均粒径及び最大粒径はレーザー光回折法による粒度分布測定により得ることができ、平均粒径は重量平均値として求めることができる。
【0049】
これらの無機充填剤は、1種単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。特に、平均粒径の異なる2種類以上の無機充填剤を併用することが流動性の観点から好ましい。
【0050】
(E)その他の成分
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材には、その他の添加剤として、カップリング剤、イオントラップ剤、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤、レベリング剤、消泡剤、可撓剤、界面活性剤などを必要に応じて配合することができる。
【0051】
(E−1)カップリング剤
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、必要に応じてカップリング剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。カップリング剤を含むことで樹脂と無機充填剤又は樹脂と電子部品の構成部材との界面接着をより強固にすることができる。
【0052】
カップリング剤には特に制限はなく、従来公知のものから適宜選択して用いることができる。例えば、1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するアミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物;チタネート系化合物などが挙げられる。
【0053】
カップリング剤を具体的に例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチルアニリノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチルアニリノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチルアニリノ)プロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチルアニリノ)プロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチルアニリノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチルアニリノ)プロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;
【0054】
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
カップリング剤の含有率としては、無機充填剤を除くアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材全量に対し0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.2質量%以上3.0質量%以下である。
【0056】
(E−2)イオントラップ剤
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、必要に応じてイオントラップ剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。イオントラップ剤を含むことでIC等の半導体素子の耐マイグレーション性、耐湿性及び高温放置特性を向上させることができる。
【0057】
イオントラップ剤としては特に制限されず、通常用いられるものから適宜選択して用いることができる。中でもイオントラップ剤は、下記組成式(1)で表される化合物及び組成式(2)で表される化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
【0058】
Mg1−XAl(OH)(COX/2・mHO ・・・(1)
(0<X≦0.5、mは正の数)
【0059】
BiO(OH)(NO ・・・(2)
(0.9≦x≦1.1、 0.6≦y≦0.8、 0.2≦z≦0.4)
【0060】
これらイオントラップ剤の含有率としては、無機充填剤を除くアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材全量に対し0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、さらに好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。
【0061】
イオントラップ剤の平均粒径は0.1μm以上3.0μm以下が好ましく、最大粒径は10μm以下が好ましい。
【0062】
なお、上記組成式(1)の化合物は、市販品として、協和化学工業株式会社製:商品名DHT−4Aが入手可能である。また組成式(2)の化合物は、市販品として、東亞合成株式会社製:商品名IXE500が入手可能である。
【0063】
またイオントラップ剤として、必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。たとえば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモンなどから選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、上記必須成分に加えて必要に応じて含まれる各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、所定の配合量の成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサなどを用いて混合、混練し、必要に応じて脱泡することによって得ることができる。
【0065】
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の粘度は特に制限されない。中でも室温における高流動性の観点から、25℃において1.0Pa・s以上3.5Pa・s以下であることが好ましく、1.0Pa・s以上2.5Pa・s以下であることがより好ましい。
なお、アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の粘度は、E型粘度計(コーン角3°、回転数10rpm)を用いて、25℃において測定される。
【0066】
<電子部品装置>
電子部品装置は、回路を有する基板と、前記基板上に配置され、前記回路と電気的に接続された素子と、前記基板と前記素子との間隙に充填された前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材の硬化物とを備える。電子部品装置は、例えば前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材により素子を封止して得ることができる。
素子が前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材によって封止されていることで、耐温度サイクル性に優れる。
【0067】
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード及びサイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル及びスイッチ等の受動素子などを搭載し、必要な部分を本発明のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材で封止して得られる電子部品装置などが挙げられる。特にリジッド及びフレキシブル配線板やガラス上に形成した配線に半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした半導体装置が対象となる。具体的な例としてはフリップチップBGA(Ball Grid Array)/LGA(Land Grid Array)やCOF(Chip On Film)等の電子部品装置が挙げられる。
【0068】
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材が特に好適なフリップチップの分野としては、配線基板と半導体素子を接続するバンプ材質が従来の鉛含有はんだではなく、Sn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだを用いたフリップチップ半導体部品であり、従来の鉛はんだと比較して物性的に脆い鉛フリーはんだバンプ接続をしたフリップチップに対しても良好な信頼性を維持できる。
前記アンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を用いて電子部品を封止する方法としては、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式などが挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【0070】
(実施例1〜17、比較例1〜4)
液状エポキシ樹脂として、エポキシ当量160のビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1;新日鐵化学株式会社製商品名YDF−8170C)エポキシ当量95のアミノフェノールをエポキシ化して得られる液状エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2;三菱化学株式会社製商品名jER630、エポキシ当量108の多官能型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3;新日鐵化学株式会社製商品名TX−1013)を用意した。
【0071】
硬化剤として、尿素化合物とアミン化合物を反応させたもの(硬化剤1;富士化成工業株式会社製商品名FXR−1030)、エポキシ樹脂とイミダゾール化合物を反応させたもの(硬化剤2;富士化成工業株式会社製商品名FXR−1121)、エポキシ樹脂とイミダゾール化合物を反応させたもの(硬化剤3;富士化成工業株式会社製商品名PN−H)、潜在性を有しないイミダゾール硬化剤(硬化剤4;四国化成工業株式会社製商品名2E4MZ)をそれぞれ用意した。
【0072】
湿潤分散剤として、リン酸エステル基を有する共重合体(湿潤分散剤1;ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名BYK−W9010、不揮発成分100%)、変性アクリル系ブロック共重合体(湿潤分散剤2;ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名DISPER−2008)、顔料に親和性のあるブロック共重合体(湿潤分散剤3;ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名DISPER−2155)、リン酸エステル基を有する共重合体(湿潤分散剤4;ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名BYK−W995、不揮発成分53%)、リン酸エステル基を有する共重合体(湿潤分散剤5;ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名BYK−W996、不揮発成分53%)をそれぞれ用意した。
【0073】
無機充填剤として、平均粒径6.6μmの球状溶融シリカ(無機充填剤1)、平均粒径0.7μmの球状溶融シリカ(無機充填剤2)を、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学製商品名MA‐100)、イオントラップ剤として前記組成式(2)を満たすビスマス系イオントラップ剤(東亞合成製商品名IXE−500)をそれぞれ用意した。
【0074】
表1〜表3に示す組成となるように各成分を配合し、三本ロール及び真空擂潰機にて混練分散して、実施例1〜17及び比較例1〜4のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材を作製した。なお、実施例9及び実施例10は参考例である。
【0075】
なお、表中の配合単位は質量部であり、また「−」は「配合無し」を表す。また、表中の湿潤分散剤添加量は無機充填剤全量に対しての添加量を表す。「F.cont」は、エポキシ樹脂液状封止材の総質量中の無機充填剤の含有量を表す。
【0076】
さらにエポキシ樹脂液状封止材における無機充填剤の含有率(質量%)は、各成分の配合量から算出した。また無機充填剤の最大粒径、平均粒径、粒径については、レーザー光回折法用いて重量累積粒径分布を測定することで確認することができ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】

【0080】
上記で得られたエポキシ樹脂液状封止材について、以下のようにして諸特性及び各種信頼性の評価を行った。評価結果を表4〜表6に示す。
【0081】
信頼性の評価に使用した電子部品装置の諸元は以下の通りである。チップサイズ10×10×0.73tmm(回路:アルミのデイジーチェーン接続、パッシベーション:ポリイミド膜(日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社製、商品名PLH−708)、バンプ:はんだボール(Sn−Ag−Cu、直径100μm、1934pin)、バンプピッチ:200μm、基板:FR−5(ソルダーレジストSR7200G、日立化成工業株式会社製(商品名)、35×35×0.66tmm)、チップ/基板間のギャップ:50μmである。
【0082】
電子部品装置は、上記で得られたエポキシ樹脂液状封止材をディスペンス方式でアンダーフィルした後、120℃、5分間加熱処理して硬化することで作製した。また、各種試験片の硬化条件も同様の条件で行った。
【0083】
(1)ゲルタイム
120℃の熱板上に0.05mlのエポキシ樹脂液状封止材を滴下し、スパチュラで広がりすぎないようにかき混ぜた。滴下した後、エポキシ樹脂液状封止材の粘度が上がり、スパチュラを上に持ち上げた時に糸引きなく切れるまでの時間をゲルタイム(sec.)とした。
【0084】
(2)粘度
エポキシ樹脂液状封止材の25℃における粘度(Pa・s)を、E型粘度計(コーン角度3°、回転数10rpm)を用いて測定した。
【0085】
(3)流動性
上記に記載の電子部品装置を25℃に保持したポットプレート上に置き、ディスペンサーを用いてエポキシ樹脂液状封止材の所定量をチップの側面(1辺)に滴下し、液状封止材が対向する側面に浸透するまでの時間を測定した。液状封止材の侵入時間が200秒以下をG1、200秒〜250秒をG2、250秒〜300秒をG3、300秒以上をG4と定義した。
【0086】
(4)Tg、熱膨張係数(CTE)
エポキシ樹脂液状封止材を所定条件で硬化して作製した試験片(φ4mm×20mm)を、熱機械分析装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製商品名TMAQ400)を用い、荷重15g、測定温度−30℃〜200℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
またTg以下の温度範囲における熱膨張係数をCTE1、Tg以上の温度範囲における熱膨張係数をCTE2とした。
【0087】
(5)耐温度サイクル性(温度サイクル試験)
エポキシ樹脂液状封止材をアンダーフィルして作製した電子部品装置を−55℃〜125℃、各30分のヒートサイクルで1000サイクル処理し、導通試験により確認し、不良パッケージ数/評価パッケージ数で評価した。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
リン酸エステル基を有する湿潤分散剤1を含有しない比較例1、比較例2について、比較例1は粘度が実施例と比較して高く、流動性、耐温度サイクル性が実施例と比較して劣っていた。比較例2について、耐温度サイクル性が実施例と比較して劣っていた。
湿潤分散剤を含有しない比較例3は、粘度が実施例と比較して高く、未充填であった。
潜在性を含有しない硬化剤を用いた比較例4は、材料作製中に増粘してしまい、評価することができなかった。
【0092】
次に、潜在性硬化剤の添加量が異なる実施例1〜4及び実施例6を比較すると、添加量を増量するに従い増粘する傾向が見られ、流動性が低下した。また、添加量を増量すると、ゲルタイムが早くなりTgが高くなる傾向が見られた。耐温度サイクル性に関しては、実施例6が最も良好となっていた。
【0093】
リン酸エステル基を有する湿潤分散剤の含有率(質量%)について実施例5〜8を比較すると、湿潤分散剤の含有率が無機充填剤全量に対し0.5質量%、1.5質量%、5、0質量%、10.0質量%と増量するに従い、増粘する傾向が見られ、含有率が10.0質量%である実施例8に関しては、実施例5〜7に比べると流動性が低下していた。耐温度サイクル性に関しては、実施例5〜8のなかでは実施例5〜7が良好であり、特に添加量が1.5質量%である実施例6が最も良好な結果が得られた。
【0094】
潜在性硬化剤の種類について、エポキシ樹脂とイミダゾール化合物の反応物である実施例9及び実施例10の評価結果を確認する。実施例9及び実施例10では、粘度、流動性共に良好でかつゲルタイムが速く、Tgが高い結果が得られた。しかし、耐温度サイクル性に関しては、実施例9及び実施例10では硬化歪が影響し、尿素化合物とアミン化合物との反応物を用いた実施例5〜7の方が良好であった。
【0095】
無機充填剤の含有率(質量%)について実施例11〜15及び実施例6を比較する。含有量しない実施例11及び含有率が10質量%である実施例12など、無機充填剤の含有量が少ないほど低粘度であり流動性が良好であった。他方、含有率が60質量%である実施例15及び含有率が50質量%である実施例14など、無機充填剤の含有量が多くなるほど耐温度サイクル性が良好であった。
以上の結果から、実施例11〜15及び実施例6のなかでは、無機充填剤の含有率(質量%)が60質量%である実施例6が、流動性及び耐温度サイクル性が両立され優れていた。
【0096】
リン酸エステル基を有する化合物の種類について実施例16〜17及び実施例6を比較すると、流動性、温度サイクル性共に実施例6が良好であった。
【0097】
特に本検討の中では、エポキシ樹脂、リン酸エステル基を有する化合物、潜在性硬化剤、無機充填剤を用い、さらにリン酸エステル基を有する化合物の配合量が無機充填剤全量に対して0.5質量%以上5質量%以下であり、潜在性硬化剤がエポキシ樹脂とアミン化合物との反応物であり、かつ潜在性硬化剤の含有量がエポキシ樹脂全量に対して10質量%以上40質量%以下であり、無機充填剤の含有量が総質量に対して20質量%以上50質量%以下である実施例6が流動性、耐温度サイクル性共に良好であった。特にリン酸エステル基を有する化合物の添加量は無機充填剤全量に対して1.5質量%であることが好ましい。
【0098】
以上から、本発明のアンダーフィル用エポキシ樹脂液状封止材は、低温(120℃)で短時間(5分)での硬化が可能であり、かつ50μmという狭ギャップにおいても流動性に優れ、耐温度サイクル性にも優れており、硬化時間の短縮可能かつ低粘度であるため、室温充填が可能で極めて作業性に優れていることが分かった。