特許第6051788号(P6051788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051788
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20161219BHJP
   C23C 16/507 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   H01L21/31 C
   C23C16/507
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2012-243814(P2012-243814)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-93226(P2014-93226A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寿
(72)【発明者】
【氏名】三浦 繁博
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−076876(JP,A)
【文献】 特表2006−522490(JP,A)
【文献】 特開2011−151343(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0310771(US,A1)
【文献】 特開2011−132589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内にて回転テーブル上に載置され、回転テーブルにより公転する基板に対してプラズマにより処理を行うプラズマ処理装置において、
前記真空容器の天井面における一部を、その内部空間にプラズマが発生する領域を形成するために、前記回転テーブルの回転中心側から外縁側に向かって伸びかつ上方に向かって突出させて構成され、前記内部空間の下方が回転テーブルの上方空間に開口する突出部と、
前記突出部の内部空間にプラズマ発生用ガスを供給するためのガス供給部と、
平面で見た時に前記突出部を囲むように配置され、前記ガス供給部から供給されたガスをプラズマ化するために、高周波電力が供給されるアンテナと、
前記突出部の側周面の一部を構成すると共に前記アンテナとプラズマが発生する領域との間に設けられ、前記アンテナにより形成される電磁界の電界を遮断し、磁界を通過させるために、前記アンテナの伸びる方向と交差するように形成されたスリットをアンテナの長さ方向に沿って複数配列した導電板からなるファラデーシールドと、
前記回転テーブルの径方向におけるプラズマ密度を調整するために、前記スリットの開口面積を調整するための導電体からなる調整部材と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給部は、前記アンテナの長さ方向に沿って伸びるガスノズルであり、
前記スリットは、前記ガスノズルに磁界が到達することを抑えるために、前記ガスノズルから前記スリットを介して前記アンテナを見通すことができないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記突出部の前記回転中心側の部位及び前記外縁側の部位には、スリットが無いか、または当該各部位におけるスリットの配列密度が前記回転テーブルの回転方向上流側の側面及び前記回転方向下流側の側面に形成されたスリットの配列密度よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記調整部材は、前記アンテナの長さ方向に沿って複数箇所に配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記調整部材は、前記突出部よりも前記回転テーブルの回転方向上流側の部位及び前記突出部よりも前記回転テーブルの回転方向下流側の部位に各々配置され、
これら部位における調整部材は、前記回転方向上流側及び前記回転方向下流側から前記突出部内に夫々到達する磁界の量を互いにずらすために、互いに異なる数量となるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記ガス供給部に対して前記真空容器の周方向に離間して配置され、基板に吸着する処理ガスを供給するための処理ガスノズルと、
プラズマ発生用ガスが供給される領域と処理ガスが供給される領域との間を分離する分離領域に分離ガスを供給するための分離ガスノズルと、を備え、
前記ガス供給部は、前記基板に吸着した処理ガスの成分と反応する活性種を生成する反応ガスを供給するためのノズルであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記ガス供給部に対して前記真空容器の周方向に離間して各々配置され、基板の表面に反応生成物を形成するために互いに反応する処理ガスを夫々供給する複数の処理ガスノズルと、
各々の処理ガスが供給される領域同士を分離する分離領域に分離ガスを供給するための分離ガスノズルと、を備え、
前記ガス供給部は、前記基板に形成された反応生成物を改質する活性種を生成するガスを供給するためのノズルであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
基板に対して行われる処理の種別と前記調整部材の位置とを対応付けたデータを記憶するメモリを備え、
処理の種別が選択された時に、前記データから対応する調整部材の位置を読み出して、前記調整部材の駆動機構に制御信号を出力する制御部を備えたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを用いてプラズマ発生用ガスをプラズマ化して、基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置及びプラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板(以下「ウエハ」と言う)に対して例えばシリコン窒化膜(Si−N)などの薄膜の成膜を行う成膜装置として、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、互いに反応する複数種類の処理ガス(反応ガス)をウエハの表面に順番に供給して反応生成物を積層するALD(Atomic Layer Deposition)法を採用している。即ち、ウエハを載置する回転テーブルに対向するように、真空容器の周方向に沿って複数のガスノズルを配置している。また、プラズマを用いて反応生成物の改質を行うために、プラズマ領域をガスノズル間に配置している。
【0003】
このような装置では、回転テーブルによってウエハが公転しているので、当該ウエハにおける回転テーブルの回転中心側の部位と外縁側の部位とでは角速度が異なる。具体的には、回転テーブルの回転中心側の部位では、外縁側の部位よりも例えば3倍程度も角速度が遅い。そのため、前記回転中心側の部位では、外縁側の部位よりもプラズマ照射時間が長くなり、従ってプロセスの種別によっては、回転テーブルの半径方向におけるプラズマ処理の度合いについて、良好な均一性が得られない場合がある。しかも、真空容器内の処理圧力やプラズマ発生用の高周波電力値などの処理レシピに応じて、真空容器内のプラズマ発生量やプラズマの分布が変わりやすい。
特許文献2には、ファラデーシールドについて記載されており、また特許文献3にはインピーダンスを変更できる調整器31について記載されているが、プラズマ処理の度合いを調整する技術については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−40574
【特許文献2】特開2008−288437
【特許文献3】特開2008−248281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナを用いてプラズマ発生用ガスをプラズマ化するにあたって、アンテナの長さ方向におけるプラズマ処理の度合いを調整できるプラズマ処理装置及びプラズマ発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、真空容器内にて回転テーブル上に載置され、回転テーブルにより公転する基板に対してプラズマにより処理を行うプラズマ処理装置において、
前記真空容器の天井面における一部を、その内部空間にプラズマが発生する領域を形成するために、前記回転テーブルの回転中心側から外縁側に向かって伸びかつ上方に向かって突出させて構成され、前記内部空間の下方が回転テーブルの上方空間に開口する突出部と、
前記突出部の内部空間にプラズマ発生用ガスを供給するためのガス供給部と、
平面で見た時に前記突出部を囲むように配置され、前記ガス供給部から供給されたガスをプラズマ化するために、高周波電力が供給されるアンテナと、
前記突出部の側周面の一部を構成すると共に前記アンテナとプラズマが発生する領域との間に設けられ、前記アンテナにより形成される電磁界の電界を遮断し、磁界を通過させるために、前記アンテナの伸びる方向と交差するように形成されたスリットをアンテナの長さ方向に沿って複数配列した導電板からなるファラデーシールドと、
前記回転テーブルの径方向におけるプラズマ密度を調整するために、前記スリットの開口面積を調整するための導電体からなる調整部材と、を備えたことを特徴とする
【0007】
前記ガス供給部は、前記アンテナの長さ方向に沿って伸びるガスノズルであり、
前記スリットは、前記ガスノズルに磁界が到達することを抑えるために、前記ガスノズルから前記スリットを介して前記アンテナを見通すことができないように配置されていても良い。
【0008】
前記突出部の前記回転中心側の部位及び前記外縁側の部位には、スリットが無いか、または当該各部位におけるスリットの配列密度が前記回転テーブルの回転方向上流側の側面及び前記回転方向下流側の側面に形成されたスリットの配列密度よりも小さくなるように形成されていても良い。
【0009】
前記調整部材は、前記アンテナの長さ方向に沿って複数箇所に配置されていても良い。
前記調整部材は、前記突出部よりも前記回転テーブルの回転方向上流側の部位及び前記突出部よりも前記回転テーブルの回転方向下流側の部位に各々配置され、
これら部位における調整部材は、前記回転方向上流側及び前記回転方向下流側から前記突出部内に夫々到達する磁界の量を互いにずらすために、互いに異なる数量となるように配置されていても良い。
【0010】
前記ガス供給部に対して前記真空容器の周方向に離間して配置され、基板に吸着する処理ガスを供給するための処理ガスノズルと、
プラズマ発生用ガスが供給される領域と処理ガスが供給される領域との間を分離する分離領域に分離ガスを供給するための分離ガスノズルと、を備え、
前記ガス供給部は、前記基板に吸着した処理ガスの成分と反応する活性種を生成する反応ガスを供給するためのノズルであっても良い。
前記ガス供給部に対して前記真空容器の周方向に離間して各々配置され、基板の表面に反応生成物を形成するために互いに反応する処理ガスを夫々供給する複数の処理ガスノズルと、
各々の処理ガスが供給される領域同士を分離する分離領域に分離ガスを供給するための分離ガスノズルと、を備え、
前記ガス供給部は、前記基板に形成された反応生成物を改質する活性種を生成するガスを供給するためのノズルであっても良い。
基板に対して行われる処理の種別と前記調整部材の位置とを対応付けたデータを記憶するメモリを備え、
処理の種別が選択された時に、前記データから対応する調整部材の位置を読み出して、前記調整部材の駆動機構に制御信号を出力する制御部を備えていても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、アンテナにより形成される電磁界のうち電界を遮断して磁界を通過させるために、複数のスリットが形成された導電板からなるファラデーシールドをアンテナとプラズマ発生領域との間に配置している。そして、アンテナとファラデーシールドとの間に調整部材を配置して、スリットの開口面積を調整自在に構成している。従って、調整部材を介してアンテナの長さ方向におけるプラズマ密度を調整できるので、基板の面内に亘ってプラズマ処理の度合いを揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のプラズマ処理装置の一例を示す縦断面である。
図2】前記プラズマ処理装置の横断平面図である。
図3】前記プラズマ処理装置の横断平面図である。
図4】前記プラズマ処理装置のプラズマ発生容器を拡大して示す縦断面図である。
図5】前記プラズマ発生容器を示す斜視図である。
図6】前記プラズマ発生容器の一部を示す斜視図である。
図7】前記プラズマ発生容器の一部を示す斜視図である。
図8】前記プラズマ発生容器を示す分解斜視図である。
図9】前前記プラズマ発生容器を示す分解斜視図である。
図10】前記プラズマ発生容器に設けられるファラデーシールドを示す斜視図である。
図11】前記ファラデーシールドを示す側面図である。
図12】前記プラズマ発生容器を示す平面図である。
図13】前記ファラデーシールドのスリットの開口面積を調整するためのシャッターを示す斜視図である。
図14】前記プラズマ処理装置における補助プラズマ発生部を示す縦断面図である。
図15】前記補助プラズマ発生部を示す分解斜視図である。
図16】前記補助プラズマ発生部を示す平面図である。
図17】前記プラズマ処理装置を周方向に切断した様子を模式的に示す縦断面図である。
図18】前記プラズマ処理装置の作用を概略的に示す縦断面図である。
図19】前記プラズマ処理装置の作用を概略的に示す縦断面図である。
図20】前記プラズマ処理装置の作用を概略的に示す横断平面図である。
図21】前記プラズマ処理装置の作用を概略的に示す横断平面図である。
図22】前記プラズマ処理装置の他の例を示す分解斜視図である。
図23】前記プラズマ処理装置の別の例を示す分解斜視図である。
図24】前記別の例における作用を示す側面図である。
図25】前記別の例における作用を示す側面図である。
図26】前記プラズマ処理装置の更に他の例を示す斜視図である。
図27】前記プラズマ処理装置の他の例を示す側面図である。
図28】前記プラズマ処理装置の他の例を示す分解斜視図である。
図29】前記プラズマ処理装置の他の例を示す縦断面図である。
図30】前記プラズマ処理装置の他の例を示す縦断面図である。
図31】前記プラズマ処理装置の他の例を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態のプラズマ処理装置の一例について、図1図17を参照して説明する。始めにこの装置の概要について説明すると、プラズマ処理装置は、図1図3に示すように、平面形状が概ね円形である真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、当該真空容器1の中心に回転中心を有すると共にウエハWを公転させるための基板載置部をなす回転テーブル2と、を備えている。そして、このプラズマ処理装置は、後で詳述するように、アンモニア(NH3)ガスのプラズマを用いてウエハWにプラズマ処理を行っており、当該プラズマについて、回転テーブル2の半径方向における濃度分布を調整できるように構成されている。続いて、プラズマ処理装置の各部について詳述する。
【0015】
真空容器1は、天板(天井部)11及び容器本体12を備えており、天板11が容器本体12から着脱できるように構成されている。天板11の上面側における中央部には、真空容器1内の中心部領域Cにおいて互いに異なる処理ガス同士が混ざり合うことを抑制するために、窒素(N2)ガスを分離ガスとして供給するための分離ガス供給管51が接続されている。図1中13は、容器本体12の上面の周縁部などにおいてリング状に設けられたシール部材例えばOリングである。
【0016】
回転テーブル2は、中心部にて概略円筒形状のコア部21に固定されており、このコア部21の下面に接続されると共に鉛直方向に伸びる回転軸22によって、鉛直軸周りこの例では時計周りに回転自在に構成されている。図1中23は回転軸22を鉛直軸周りに回転させる移動機構(回転機構)であり、20は回転軸22及び駆動部23を収納するケース体である。このケース体20は、上面側のフランジ部分が真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられている。また、このケース体20には、回転テーブル2の下方領域に窒素ガスをパージガスとして供給するためのパージガス供給管72が接続されている。真空容器1の底面部14におけるコア部21の外周側は、回転テーブル2に下方側から近接するようにリング状に形成されて突出部12aをなしている。
【0017】
回転テーブル2の表面部には、図2及び図3に示すように、直径寸法が例えば300mmのウエハWを載置するための円形状の凹部24が基板載置領域として形成されており、この凹部24は、回転テーブル2の回転方向(周方向)に沿って複数箇所例えば5箇所に設けられている。凹部24の底面には、ウエハWを下方側から突き上げて昇降させるための例えば後述する3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、回転テーブル2における凹部24の通過領域と各々対向する位置には、各々例えば石英からなる4本のノズル31、34、41、42が真空容器1の周方向(回転テーブル2の回転方向)に互いに間隔をおいて放射状に配置されている。これら各ノズル31、34、41、42は、例えば真空容器1の外周壁から中心部領域Cに向かってウエハWに対向して水平に伸びるように各々取り付けられている。この例では、後述の搬送口15から見て時計周り(回転テーブル2の回転方向)にガスノズル34、分離ガスノズル41、第1の処理ガスノズル31及び分離ガスノズル42がこの順番で配列されている。
【0019】
そして、搬送口15から見て回転テーブル2の回転方向上流側(ガスノズル34と分離ガスノズル42との間)における天板11の上方側には、図4に示すように、同様に石英などからなる主プラズマ発生用ガスノズル32がプラズマ発生用ガス供給部として設けられている。この主プラズマ発生用ガスノズル32を天板11上に配置している具体的な構成については、後で詳述する。尚、図2及び図3では、天板11の描画を省略しており、図3では前記ノズル32についても各ノズル31、34、41、42と共に示している。また、図3は後述のプラズマ発生部81、82やプラズマ発生容器200及び筐体90を取り外した状態、図2はプラズマ発生部81、82、プラズマ発生容器200及び筐体90を取り付けた状態を表している。
【0020】
各ノズル31、32、34、41、42は、流量調整バルブを介して夫々以下の各ガス供給源(図示せず)に夫々接続されている。即ち、第1の処理ガスノズル31は、シリコン(Si)を含む第1の処理ガス例えばDCS(ジクロロシラン)ガスなどの供給源に接続されている。主プラズマ発生用ガスノズル32は、例えばアンモニア(NH3)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスの供給源に接続されている。補助プラズマ発生用ガスノズル34は、例えばアルゴンガスと水素(H2)ガスとの混合ガスからなる改質用ガスの供給源に接続されている。分離ガスノズル41、42は、分離ガスである窒素ガスの供給源に各々接続されている。主プラズマ発生用ガスノズル32から供給されるガスは、第2の処理ガス及び主プラズマ発生用ガスであり、以降において説明を簡略化するためにアンモニアガスとして説明する。尚、アンモニアガスに代えて、窒素元素(N)を含むガス例えば窒素(N2)ガスを用いても良い。
【0021】
これらノズル31、32、34、41、42の下面側には、既述の各ガスを夫々吐出するためのガス吐出孔33が回転テーブル2の半径方向に沿って複数箇所に例えば等間隔に形成されている。各ノズル31、34、41、42は、当該ノズル31、34、41、42の下端縁と回転テーブル2の上面との離間距離が例えば1〜5mm程度となるように配置されている。
【0022】
処理ガスノズル31の下方領域は、Si含有ガスをウエハWに吸着させるための第1の処理領域P1であり、真空容器1の内部における主プラズマ発生用ガスノズル32の下方領域は、ウエハWに吸着したSi含有ガスの成分とアンモニア(詳しくはアンモニアガスのプラズマ)とを反応させるための第2の処理領域(プラズマ発生領域)P2となる。また、補助プラズマ発生用ガスノズル34の下方領域は、処理領域P1、P2を通過することによってウエハW上に形成された反応生成物の改質処理を行うための第3の処理領域P3となる。分離ガスノズル41、42は、各々第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離する分離領域Dを形成するためのものである。
【0023】
分離領域Dにおける真空容器1の天板11には、図2及び図3に示すように、概略扇形の凸状部4が設けられており、分離ガスノズル41は、この凸状部4に形成された溝部43内に収められている。従って、分離ガスノズル41における回転テーブル2の周方向両側には、後述の図17にも示すように、各処理ガス同士の混合を阻止するために、前記凸状部4の下面である低い天井面44が配置され、この天井面44の前記周方向両側には、当該天井面44よりも高い天井面45が配置されている。凸状部4の周縁部(真空容器1の外縁側の部位)は、各処理ガス同士の混合を阻止するために、回転テーブル2の外端面に対向すると共に容器本体12に対して僅かに離間するように、L字型に屈曲している。尚、図17は、回転テーブル2の周方向に沿って真空容器1を切断した縦断面を示している。
【0024】
続いて、主プラズマ発生用ガスノズル32を天板11よりも上方側に設けた具体的な構成について説明する。この主プラズマ発生用ガスノズル32が配置される領域には、図1図4図7に示すように、下面側が開口する概略箱状体からなるプラズマ発生容器200が突出部として設けられている。このプラズマ発生容器200は、平面で見た時に回転テーブル2の中心部側と外縁部側との間で帯状に伸びるように、即ち縦向きの扁平な容器となるように形成されると共に、石英やアルミナなどの高周波を透過する材質により構成されている。そして、前記主プラズマ発生用ガスノズル32は、このプラズマ発生容器200の内部に収納されている。即ち、プラズマ発生容器200は、主プラズマ発生用ガスノズル32の収納される上方側の部位が天板11よりも上方に位置すると共に、当該プラズマ発生容器200の下端開口部が回転テーブル2に近接するように、天板11の上方側から真空容器1内に気密に挿入されている。
【0025】
具体的には、プラズマ発生容器200における前記上方側の部位及び当該上方側の部位よりも下方側を夫々上方容器201及び下方容器202と呼ぶと、これら容器201、202の間における当該プラズマ発生容器200の外周面には、水平方向に向かって周方向に亘ってフランジ状に伸び出すフランジ部203が形成されている。また、天板11には、図8に示すように、プラズマ発生容器200(下方容器202)が挿入される開口部204が形成されており、この開口部204には、当該開口部204に嵌め込まれると共に天板11とフランジ部203とを気密に接触させるための枠状体205が配置されている。
【0026】
そして、プラズマ発生容器200(上方容器201及び下方容器202からなる結合体)を枠状体205と共に開口部204に嵌入すると、シール部材13を介してフランジ部203と天板11とが気密に接触する。図4中206は、フランジ部203を上方側から天板11側に押さえつけるために、フランジ部203の外縁に沿うように概略環状に形成された押さえ部材であり、図示しないボルトなどにより真空容器1に固定される。尚、図5図7は、プラズマ発生容器200の一部を切り欠いて示しており、図6は上方容器201を上側から見た図であり、図7は下方容器202を下側から見た図である。また、シール部材13については、図8では描画を省略している。
【0027】
主プラズマ発生用ガスノズル32は、図4図7に示すように、プラズマ発生容器200(下方容器202)に対して、回転テーブル2の回転方向下流側且つ当該回転テーブル2の外縁側の側面部から挿入されると共に、先端部が上方容器201に向かって垂直に伸び出している。そして、このノズル32の先端部は、上方容器201の天井面付近において回転テーブル2の回転中心側に向かって水平に伸び出している。主プラズマ発生用ガスノズル32の基端部(上流側)は、回転テーブル2の回転方向下流側に向かって水平に伸び出すと共に、天板11を貫通するように上方側に向かって垂直に屈曲して既述のガス源に接続されている。これら上方容器201と下方容器202との間におけるプラズマ発生容器200の内部には、ガス(詳しくはプラズマ)の整流を行うと共に、既述の分離ガスが上方容器201内に侵入することを防止するために、水平方向に伸びる板状の仕切り板210が設けられている。
【0028】
この仕切り板210におけるノズル32の下方側には、図4図7に示すように、回転テーブル2の回転方向に伸びるスリット状の吐出口211が当該ノズル32に沿うように形成されている。従って、吐出口211を仕切り板210に形成したことにより、上方容器201内の圧力は、真空容器1内の圧力に対していわば個別に(独立して)設定されることとなる。
【0029】
そして、下方容器202の下端側開口部の周囲には、図1及び図8に示すように、回転テーブル2に沿うように板状に形成されたフィン221が整流板として設けられている。このフィン221は、回転テーブル2の中心部側から外縁部側に向かうにつれて拡径するように、平面で見た時に概略扇形となるように形成されている。またフィン221には、下方容器202に干渉しないように、当該下方容器202を避けるように開口部222が形成されている。そして、回転テーブル2の外縁部側におけるフィン221の端部は、回転テーブル2の外周端面と隙間を開けて対向するよう伸び出している。従って、フィン221を設けたことにより、下方容器202の下端側開口部から回転テーブル2に向かって吐出するプラズマが回転テーブル2に沿って通流すると共に、既述の分離ガスによりこのプラズマが拡散することが抑えられる。このフィン221は、後述の突出部5及び覆い部材7aにより支持されている。
【0030】
ここで、上方容器201の周囲には、主プラズマ発生用ガスノズル32から吐出されるアンモニアガスをプラズマ化するための主プラズマ発生部81が活性化部として設けられている。即ち、この主プラズマ発生部81は、銅(Cu)などの金属線からなるアンテナ83により構成されており、平面で見た時に上方容器201を囲むように、コイル状に鉛直軸周りに例えば3周に巻回されている。このアンテナ83は、整合器84を介して周波数が例えば13.56MHz及び出力電力が例えば5000Wの高周波電源85に接続されている。尚、図1及び図3などおける86は、アンテナ83と整合器84及び高周波電源85とを電気的に接続するための接続電極である。
【0031】
そして、上方容器201とアンテナ83との間には、当該アンテナ83の周囲に発生する電界及び磁界(電磁界)のうち電界成分を遮断するために、下方側が開口する概略箱型形状のファラデーシールド95が設けられている。即ち、既述のアンテナ83に高周波電力を供給すると、当該アンテナ83の周囲には、電磁界が発生する。この電磁界に含まれる電界成分がウエハWに到達すると、ウエハWの内部に形成されている電気配線に対して電気的にダメージを与えてしまうおそれがある。そこで、ファラデーシールド95について、例えば銅(Cu)などの導電体である金属板により構成すると共に接地している。このファラデーシールド95の下端縁は、周方向に亘って水平方向にフランジ状に伸び出して水平面95aをなしている。従って、ファラデーシールド95は、上方容器201の側周面の一部を構成していると言える。
【0032】
また、ファラデーシールド95における回転テーブル2の回転方向上流側の側面及び回転テーブル2の回転方向下流側の側面には、アンテナ83の周囲に発生する電磁界のうち電界成分を通過させるために、図9図12に示すように、上下方向に伸びる開口部がスリット97として形成されている。即ち、アンテナ83の周囲に発生する電界成分をファラデーシールド95によって遮断するにあたり、スリット97を形成しないと、電界成分に加えて磁界成分も遮断してしまう。一方、このスリット97の開口面積を大きくしすぎると、磁界成分だけでなく電界成分についても通過させてしまう。そこで、以下のようにスリット97の開口寸法及び配置レイアウトを設定している。
【0033】
具体的には、スリット97は、アンテナ83の伸びる方向に対して直交する(交差する)ように、上下方向に伸びるように形成されると共に、アンテナ83の長さ方向に沿って多数箇所に亘って形成されている。各々のスリット97の水平方向における開口寸法dは、図11に示すように、例えば1〜5mmこの例では2mmとなっている。即ち、アンテナ83には、既述のように周波数が13.56MHzの高周波電源85が接続されており、この周波数に対応する波長は22mである。そのため、スリット97は、この波長の1/10000以下程度の幅寸法となるように開口寸法dが設定されている。互いに隣接するスリット97、97間の離間寸法は、例えば1〜5mmこの例では2mmとなっている。
【0034】
各々のスリット97は、ファラデーシールド95の鉛直面だけでなく、水平面95aにおける当該鉛直面寄りの位置にも形成されており、従って回転テーブル2の外縁側から中心側を見た時に概略L字型となっている。そして、各々のスリット97における長さ方向の両端部には、当該両端部を介して電界が上方容器201側に漏れ出さないように、ファラデーシールド95を構成する金属板が位置している。言い換えると、各々のスリット97は、ファラデーシールド95の端面よりも内側寄りに配置されている。図9などにおける95bは、上方容器201内におけるプラズマの発生の有無(発光状態)を確認するためにファラデーシールド95の天井面に形成された確認窓(開口部)であり、この確認窓95bについても電界成分を遮断するために、例えばパンチングメタルにて形成されている。即ち、確認窓95bの各々は、スリット97の開口寸法dと同程度の寸法となるように形成されている。
【0035】
ここで、図10及び図12に示すように、ファラデーシールド95における回転テーブル2の中心部側の側面及び外縁部側の側面には、スリット97が形成されておらず、従ってこれら側面はアンテナ83の周囲に発生する電界成分だけでなく磁界成分についても遮断する役割を持っている。即ち、上方容器201の内部における回転テーブル2の中心部側の部位から見ると、アンテナ83は、回転テーブル2の回転方向上流側と、回転テーブル2の回転方向下流側と、回転テーブル2の回転中心側との3箇所に配置されている。また、上方容器201の内部における回転テーブル2の外縁側の部位についても、前記中心部側の部位と同様に、回転テーブル2の回転方向上流側と、回転テーブル2の回転方向下流側と、外縁側との3箇所に配置されている。
【0036】
一方、前記部位間の領域では、即ち回転テーブル2の半径方向に沿ってアンテナ83が直線状に配置された領域に挟まれた部位では、アンテナ83は、回転テーブル2の回転方向上流側及び回転テーブル2の回転方向下流側の2箇所だけに配置されている。従って、平面で見た時に、アンテナ83により囲まれる細長い領域(上方容器201が配置された領域)において、当該領域の両端部では、これら両端部間の領域よりも磁界成分の発生量が多くなっていると言える。そこで、既述のように、ファラデーシールド95における回転テーブル2の中心部側の側面と外縁側の側面にはスリット97を形成せずに、回転テーブル2の半径方向におけるプラズマ密度(磁界成分の量)を揃えるようにしている。尚、ファラデーシールド95における前記中心部側の側面及び前記外縁側の側面に各々スリット97を形成すると共に、これら側面におけるスリット97の配列密度を回転テーブル2の回転方向上流側の側面及び下流側の側面よりも小さくしても良い。
【0037】
また、スリット97は、図11に示すように、主プラズマ発生用ガスノズル32には、電界成分のみならず磁界成分についても到達しない(遮断する)ように配置されている。即ち、主プラズマ発生用ガスノズル32の下面には、既述のようにガス吐出孔33が当該ノズル32の長さ方向に亘って複数箇所に形成されており、このガス吐出孔33の開口径(直径寸法)は例えば0.3mm〜1mmもの小径になっている。従って、このノズル32でプラズマが発生すると、ガス吐出孔33の周囲におけるノズル32が削れてしまうおそれがある。
【0038】
そこで、スリット97は、このガスノズル32を避けるように配置されている。具体的には、図11に示すように、例えば回転テーブル2の回転方向上流側から上方容器201を見た時に、各々のスリット97の上端部と、ノズル32における水平方向に伸びる部位の下端面との間の離間寸法u1は、例えば−5mm〜20mmとなっている。即ち、ノズル32における前記下端面が各々のスリット97の上端部よりも下側に位置していても良い。また、これらスリット97のうち回転テーブル2の外縁部寄りのスリット97と、ノズル32における上下方向に起立する部位との間の離間寸法u2は、例えば0mm〜20mmとなっている。従って、スリット97は、ガスノズル32からスリット97を介してアンテナ83を見通すことができないように配置されている。ガスノズル32、アンテナ83、ファラデーシールド95及びシャッター151により組み立て体が構成される。
【0039】
そして、以上説明したファラデーシールド95とアンテナ83との間には、既述のスリット97を開閉するために、例えば銅などの金属板により構成されると共に接地されたシャッター151が調整部材として複数箇所に配置されている。即ち、スリット97が磁界成分を通過させるためのものであることは既に説明したが、このシャッター151は、スリット97の開閉及びスリット97の開口面積を調整できるように、言い換えると磁界成分がファラデーシールド95を通過する量を調整できるように構成されている。そして、シャッター151は、回転テーブル2の半径方向(回転テーブル2の中心部側と外縁部側との間)におけるプラズマ密度を調整するために、当該半径方向に沿って複数箇所例えば3箇所に形成されると共に、ファラデーシールド95における回転テーブル2の回転方向両側面に配置されている。
【0040】
具体的には、シャッター151の各々は、ファラデーシールド95におけるスリット97の形成された側面に沿って概略板状に形成されると共に、互いに同じ形状となっている。これらシャッター151の各々は、複数のスリット97のうち例えば30本のスリット97の形成された領域に対向するように配置されている。従って、シャッター151の各々は、図12に示すように、上方容器201の下方側にウエハWが位置した時、平面で見た時に当該ウエハWの直径寸法の1/3以上の長さ寸法に亘って位置するように配置されている。尚、図12では、ウエハWの外縁について一点鎖線で描画している。
【0041】
そして、各々のシャッター151における例えば上端部には、回転テーブル2の半径方向に互いに離間するように、上下方向に伸びる長孔152が例えば2箇所に各々配置されている。また、ファラデーシールド95における例えば上端側の側面には、この長孔152に対応するようにボルト孔153が形成されている。従って、図13や後述の図17図19に示すように、シャッター151の高さ位置を調整すると共に、この高さ位置にて例えばボルト154を用いて、シャッター151をファラデーシールド95に固定すると、当該シャッター151の姿勢が保持される。こうしてスリット97の開口面積について、シャッター151の高さ位置を介して調整することにより、上方容器201内に到達する磁界成分の量が調整される。
【0042】
具体的には、シャッター151は、鉛直軸周りに3周巻回されたアンテナ83のうち上方容器201の内部から3本のアンテナ83が見える高さ位置と、下側2本のアンテナ83が見える高さ位置と、下側1本のアンテナ83が見える高さ位置と、いずれのアンテナ83についても見えない高さ位置との間で調整される。図17は、上方容器201を介して左右に対向する2つのシャッター151のうち右側のシャッター151について、3本のアンテナ83が当該上方容器201の内部領域を臨むように高さ位置を調整した例を示している。また、前記2つのシャッター151のうち左側のシャッター151は、上方容器201の左側のスリット97を塞いでいる。図18は、2つのシャッター151、151のいずれについても1本のアンテナ83が上方容器201の内部領域を臨むように配置している。図19は、2つのシャッター151、151の双方について、3本のアンテナ83が前記内部領域を臨むように配置した例を示している。従って、シャッター151を回転テーブル2の半径方向に沿って3箇所に形成すると共に、各々のシャッター151の高さ位置を個別に調整自在に構成しているので、当該半径方向における磁界の量を調整できることになる。図9などにおける154は、アンテナ83と、ファラデーシールド95及びシャッター151との間を絶縁するために石英などにより構成された絶縁体である。
【0043】
各々のシャッター151には、図5に示すように、昇降軸161を介して昇降機構162が個別に接続されており、後述の制御部により、例えばウエハWに対して行われる処理レシピの種別に応じて、各々のシャッター151の高さ位置を調整できるように構成されている。このように昇降機構162を用いて各シャッター151を昇降させているので、長孔152はシャッター151を上下に案内する案内機構をなすと言える。また、昇降機構162を用いているので、ボルト154を設けずに当該昇降機構162を介して各シャッター151の高さ位置を保持しても良い。尚、図5では、昇降軸161や昇降機構162について1箇所だけに描画しており、また図5以外ではこれら昇降軸161及び昇降機構162の記載を省略している。図9では、図の煩雑化を避けるために、ボルト154については1箇所だけに描画している。既述の図1では、これらファラデーシールド95やシャッター151については省略している。
【0044】
続いて、第1の処理ガスノズル31について簡単に説明する。この第1の処理ガスノズル31の上方側には、図2及び図3に示すように、既述のフィン221とほぼ同様に構成されたノズルカバー230が設けられている。即ち、このノズルカバー230は、第1の処理ガスノズル31を収納するために下面側が開口するように概略箱形に形成されると共に、下面側開口端における回転テーブル2の回転方向上流側及び下流側が夫々水平方向に伸び出している。このノズルカバー230は、平面で見た時に回転テーブル2の中心部側から外縁部側に向かうにつれて拡径するように概略扇形状をなしている。このノズルカバー230により、第1の処理ガスがウエハWに沿って通流すると共に、分離ガスがウエハWの近傍を避けて真空容器1の天板11側を通流する。尚、ノズルカバー230は、後述の突出部5及び覆い部材7aに支持されている。
【0045】
次に、補助プラズマ発生部82について説明する。この補助プラズマ発生部82は、図14図16に示すように、既述の補助プラズマ発生用ガスノズル34から真空容器1内に吐出される改質用ガスをプラズマ化するために、当該ノズル34の上方側に設けられている。この補助プラズマ発生部82は、主プラズマ発生部81と同様に、金属線からなるアンテナ83をコイル状に例えば鉛直軸周りに3重に巻回して構成されており、平面で見た時に回転テーブル2の半径方向に伸びる帯状体領域を囲むように、且つ回転テーブル2上のウエハWの直径部分を跨ぐように配置されている。このアンテナ83は、整合器84を介して周波数が例えば13.56MHz及び出力電力が例えば5000Wの高周波電源85に接続されている。そして、このアンテナ83は、真空容器1の内部領域から気密に区画されるように設けられている。
【0046】
具体的には、図14及び図15に示すように、補助プラズマ発生用ガスノズル34の上方側における天板11には、平面的に見た時に概略扇形に開口する開口部11aが形成されており、この開口部11aには、例えば石英などの誘電体により構成された筐体90が設けられている。この筐体90は、図17にも示すように、上方側の周縁部が周方向に亘ってフランジ状に水平に伸び出しており、当該周縁部が天板11に係止されている。そして、筐体90における平面で見た時の中央部は、下方側の真空容器1の内部領域に向かって窪んでおり、この窪んだ部分に既述のアンテナ83が収納されている。
【0047】
そして、筐体90を開口部11a内に落とし込み、次いで開口部11aの外縁に沿うように枠状に形成された押圧部材91によって前記フランジ部90aを下方側に向かって周方向に亘って押圧すると共に、この押圧部材91を図示しないボルトなどにより天板11に固定すると、真空容器1の内部雰囲気が気密に設定される。
【0048】
筐体90の下面には、当該筐体90の下方側の処理領域P3を周方向に沿って囲むように、回転テーブル2に向かって垂直に伸び出す突起部92が形成されている。そして、この突起部92の内周面、筐体90の下面及び回転テーブル2の上面により囲まれた領域には、既述の補助プラズマ発生用ガスノズル34が収納されている。
【0049】
筐体90とアンテナ83との間には、当該筐体90の内部形状に概略沿うように形成された導電性の板状体である金属板例えば銅などからなる、接地されたファラデーシールド195が収納されている。アンテナ83の下方側におけるファラデーシールド195には、既述の例と同様のスリット197が形成されている。このスリット197は、アンテナ83の巻回方向に対して直交する方向に伸びるように、周方向に亘ってアンテナ83の下方位置に形成されている。このスリット197の各寸法についても既述のスリット97と同様に設定されている。これらスリット197は、ファラデーシールド195の外端面よりも内側寄りの位置に形成されており、従って当該スリット197の両端部が各々開口しないように配置されている。ファラデーシールド195において、平面で見た時におけるアンテナ83の巻回領域の内側は、プラズマの発光状態を確認するために開口している。図14などにおける94は、アンテナ83とファラデーシールド195との間を絶縁するための絶縁体である。尚、図2ではスリット197を省略しており、スリット197の形成領域を一点鎖線で囲んでいる。
【0050】
続いて、真空容器1の各部の説明に戻る。回転テーブル2の外周側において当該回転テーブル2よりも僅かに下位置には、図1及び図3に示すように、カバー体であるサイドリング100が配置されている。サイドリング100の上面には、互いに周方向に離間するように2箇所に排気口61、62が形成されている。言い換えると、真空容器1の床面に2つの排気口が形成され、これら排気口に対応する位置におけるサイドリング100に、排気口61、62が形成されている。これら2つの排気口61、62のうち一方及び他方を夫々第1の排気口61及び第2の排気口62と呼ぶと、第1の排気口61は、第1の処理ガスノズル31と、この第1の処理ガスノズル31に回転テーブル2の回転方向下流側から隣接する分離領域Dとの間において、当該分離領域D側に寄った位置に形成されている。第2の排気口62は、補助プラズマ発生部82とこの補助プラズマ発生部82よりも回転テーブル2の回転方向下流側の分離領域Dとの間において、この分離領域D側に寄った位置に形成されている。第1の排気口61は、Si含有ガスや分離ガスを排気するためのものであり、第2の排気口62は、アンモニアガス、改質用ガス及び分離ガスを排気するためのものである。これら第1の排気口61及び第2の排気口62は、図1に示すように、各々バタフライバルブなどの圧力調整部65の介設された排気管63により、真空排気機構である例えば真空ポンプ64に接続されている。
【0051】
ここで、既述のように、中心部領域C側から外縁側に亘って筐体90やプラズマ発生容器200を配置しているので、処理領域P2、P3に対して回転テーブル2の回転方向上流側から通流してくるガスは、これら筐体90及びプラズマ発生容器200によって排気口61、62に向かおうとするガス流がいわば規制されてしまう。そこで、これら筐体90やプラズマ発生容器200よりも外周側におけるサイドリング100の上面に、ガスが流れるための溝状のガス流路101を形成している。
【0052】
天板11の下面における中央部には、図2に示すように、凸状部4における中心部領域C側の部位と連続して周方向に亘って概略リング状に形成されると共に、その下面が凸状部4の下面(天井面44)と同じ高さに形成された突出部5が設けられている。この突出部5よりも回転テーブル2の回転中心側におけるコア部21の上方側には、中心部領域CにおいてSi含有ガスとアンモニアガスなどとが互いに混ざり合うことを抑制するためのラビリンス構造部110が配置されている。具体的には、このラビリンス構造部110は、図1に示すように、回転テーブル2側から天板11側に向かって垂直に伸びる第1の壁部111と、天板11側から回転テーブル2に向かって垂直に伸びる第2の壁部112と、が各々周方向に亘って形成されると共に、これら壁部111、112が回転テーブル2の半径方向において交互に配置された構造を採っている。
【0053】
回転テーブル2と真空容器1の底面部14との間の空間には、図1に示すように、加熱機構であるヒータユニット7が設けられ、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウエハWを例えば300℃に加熱するようになっている。図1中71aはヒータユニット7の側方側に設けられたカバー部材、7aはこのヒータユニット7の上方側を覆う覆い部材である。また、真空容器1の底面部14には、ヒータユニット7の下方側において、ヒータユニット7の配置空間をパージするためのパージガス供給管73が周方向に亘って複数箇所に設けられている。
【0054】
真空容器1の側壁には、図2及び図3に示すように外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間においてウエハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されており、この搬送口15はゲートバルブGより気密に開閉自在に構成されている。そして、搬送アーム10が真空容器1に対して進退する領域における天板11の上方には、ウエハWの周縁部を検知するためのカメラユニット10aが設けられている。
【0055】
回転テーブル2の凹部24は、この搬送口15に臨む位置にて搬送アーム10との間でウエハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において当該受け渡し位置に対応する部位には、凹部24を貫通してウエハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
【0056】
また、このプラズマ処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部120が設けられており、この制御部120のメモリ内には、データ及びプログラムが格納されている。データは、ウエハWに対して行われる処理のレシピ(種別)と、シャッター151の位置とが対応付けられている。即ち、既に説明したように、真空容器1内のプラズマ濃度分布は、当該真空容器1内の処理圧力やガス流量、使用ガスなどによってまちまちである。従って、レシピに応じて、ウエハWに対して面内に亘ってプラズマ処理の度合いが揃う時のシャッター151の最適な位置についても種々異なる。そこで、データには、レシピに応じてシャッター151の位置を記憶させている。
【0057】
また、前記プログラムは、ウエハWに対して施すレシピが選択された時に、前記データから対応するシャッター151の位置を読み出して、昇降機構162を含む装置の各部位に制御信号を出力することにより、後述の成膜処理及び改質処理を行うように構成されている。このプログラムは、後述の装置の動作を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部121から制御部120内にインストールされる。
【0058】
次に、上述実施の形態の作用について説明する。始めに、シャッター151の高さ位置を調整しておく。即ち、回転テーブル2が鉛直軸周りに回転するので、当該回転テーブル2上の各ウエハWが公転する。従って、各々のウエハWについて、回転テーブル2の回転中心部側では、周縁部側よりも角速度が例えば3倍程度も遅い。そのため、前記回転中心側では、周縁部側よりもプラズマ照射時間が長くなる。そこで、回転テーブル2の半径方向におけるプラズマ処理の度合いを揃えるために、各シャッター151の高さ位置を調整する。具体的には、回転テーブル2の半径方向に沿って並ぶ3つのシャッター151のうち回転中心部側のシャッター151については、図18に示すように、例えば鉛直軸周りに3回巻回されたアンテナ83のうち下側の1巻分が上方容器201内を臨むように、当該シャッター151の高さ位置を調整する。従って、シャッター151は、上側の2巻分のアンテナ83に対向することになる。
【0059】
また、回転テーブル2の半径方向に沿って並ぶ3つのシャッター151のうち外周部側のシャッター151については、図19に示すように、3巻されたアンテナ83の全てが上方容器201の内部を臨むように、当該シャッター151の高さ位置を調整する。そして、回転テーブル2の半径方向における中央のシャッター151については、例えばアンテナ83の2巻分が上方容器201の内部領域を臨むように高さ位置を調整する。
【0060】
そして、ゲートバルブGを開放して、回転テーブル2を間欠的に回転させながら、搬送アーム10により搬送口15を介して回転テーブル2上に例えば5枚のウエハWを載置する。このウエハWには、ドライエッチング処理やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いた配線埋め込み工程が既に施されており、従って当該ウエハWの内部には電気配線構造が形成されている。次いで、ゲートバルブGを閉じ、真空ポンプ64及び圧力調整部65により真空容器1内を引き切りの状態にすると共に、回転テーブル2を時計周りに回転させながらヒータユニット7によりウエハWを例えば300℃に加熱する。
【0061】
続いて、処理ガスノズル31からSi含有ガスを例えば300sccmで吐出すると共に、主プラズマ発生用ガスノズル32からアンモニアガスを例えば100sccmで吐出する。また、補助プラズマ発生用ガスノズル34からアルゴンガス及び水素ガスの混合ガスを例えば10000sccmで吐出する。更に、分離ガスノズル41、42から分離ガスを例えば5000sccmで各々吐出し、分離ガス供給管51及びパージガス供給管72、73からも窒素ガスを所定の流量で吐出する。そして、圧力調整部65により真空容器1内を予め設定した処理圧力例えば400〜500Paこの例では500Paに調整する。また、プラズマ発生部81、82では、各々のアンテナ83に対して、例えば1500Wの高周波電力を供給する。
【0062】
プラズマ発生部81では、アンテナ83の周囲に電界及び磁界が発生するが、アンテナ83と上方容器201との間にファラデーシールド95を設けているので、電界については上方容器201への進入が阻止される。一方、このファラデーシールド95にスリット97を形成しているので、アンテナ83の周囲に発生する磁界については上方容器201内に到達する。こうしてプラズマ発生容器200では、主プラズマ発生用ガスノズル32から上方容器201に対してアンモニアガスが供給されると、アンテナ83において形成される磁界によってアンモニアガスが活性化して、アンモニアラジカルなどを含むプラズマが発生する。このプラズマは、既述のように回転テーブル2の中心部側では周縁部側よりもスリット97の開口面積を小さくしていることから、図20に示すように、前記中心部側では周縁部側よりも濃度(密度)が薄くなる。
【0063】
そして、このプラズマが下方容器202に向かって下降しようとするが、これら容器201、202間には仕切り板210が介在しているので、この仕切り板210により下降しようとするガス流れがいわば規制される。そのため、上方容器201では、真空容器1内の他の領域よりもプラズマの圧力が僅かに高くなり、この高圧のプラズマが仕切り板210に形成された吐出口211からウエハWに向かって下降していく。この時、上方容器201の圧力を真空容器1内の他の領域よりも高圧に設定していることから、窒素ガスなどの他のガスは、この上方容器201には侵入しない。そして、下方容器202の下端部から吐出したプラズマは、フィン221により回転テーブル2の回転方向下流側に向かって、当該回転テーブル2の半径部分に亘ってウエハWに沿って通流していく。尚、アンモニアラジカルは、寿命がアルゴンガスのプラズマなどよりも長いので、ウエハWに到達する時点においても活性が維持される。
【0064】
筐体90では、既述の例と同様に、ファラデーシールド195によって電界が遮断されると共に、スリット197を介して磁界が真空容器1内に到達する。こうして筐体90の下方側において、磁界によりアルゴンガスを含む改質用ガスがプラズマ化される。このアルゴンガスのプラズマは、既述のアンモニアガスのプラズマよりも寿命が短いので、直ぐに不活性化して元のアルゴンガスに戻ろうとする。しかし、補助プラズマ発生部82では、回転テーブル2上のウエハWの近傍位置にアンテナ83を設けていることから、即ちプラズマの発生する領域がウエハWの直ぐ上方に配置されていることから、アルゴンガスのプラズマは、活性を保ったままウエハWに向かって通流していく。そして、筐体90の下面側に突起部92を周方向に沿って設けているので、筐体90の下方側のガスやプラズマは、当該筐体90の外側に漏出しにくくなる。そのため、筐体90の下方側の雰囲気は、真空容器1内の他の領域(例えば搬送アーム10の進退する領域など)の雰囲気よりも僅かに高圧となる。従って、筐体90の内部に対する当該筐体90の外側からのガスの侵入が阻止される。
【0065】
一方、ウエハWの表面では、回転テーブル2の回転によって第1の処理領域P1においてSi含有ガスが吸着し、次いで第2の処理領域P2においてウエハW上に吸着したSi含有ガスの成分がアンモニアガスのプラズマにより窒化され、薄膜成分であるシリコン窒化膜(Si−N)の分子層が1層あるいは複数層形成されて反応生成物が形成される。この反応生成物は、既述のように回転テーブル2の半径方向におけるプラズマ処理の度合いが揃うように各シャッター151の高さ位置を調整していることから、膜質及び膜厚が各々のウエハWの面内において揃う。この時、シリコン窒化膜中には、例えばSi含有ガス中に含まれる残留基のため、塩素(Cl)や有機物などの不純物が含まれている場合がある。
【0066】
そして、回転テーブル2の回転によって、ウエハWの表面に補助プラズマ発生部82のプラズマが接触すると、シリコン窒化膜の改質処理が行われることになる。具体的には、例えばプラズマがウエハWの表面に衝突することにより、例えばシリコン窒化膜から前記不純物がHClや有機ガスなどとして放出されたり、シリコン窒化膜内の元素が再配列されてシリコン窒化膜の緻密化(高密度化)が図られたりすることになる。こうして回転テーブル2の回転を続けることにより、ウエハW表面へのSi含有ガスの吸着、ウエハW表面に吸着したSi含有ガスの成分の窒化及び反応生成物のプラズマ改質がこの順番で多数回に亘って行われて、反応生成物が積層されて薄膜が形成される。ここで、既述のようにウエハWの内部には電気配線構造が形成されているが、主プラズマ発生部81及び補助プラズマ発生部82では電界を遮断しているので、この電気配線構造に対する電気的ダメージが抑えられる。
【0067】
また、処理領域P1、P2の間には、回転テーブル2の周方向両側に分離領域Dを配置しているので、図21に示すように、分離領域Dにおける各々Si含有ガスとアンモニアガスとの混合が阻止されながら、各ガスが排気口61、62に向かって排気されていく。
【0068】
上述の実施の形態によれば、アンテナ83を用いてウエハWに対してプラズマ処理を行うにあたり、当該アンテナ83により形成される電磁界のうち電界を遮断するために、導電板からなるファラデーシールド95を配置している。また、前記電磁界のうち磁界を通過させるために、ファラデーシールド95にスリット97を形成している。そして、アンテナ83とファラデーシールド95との間にシャッター151を配置して、複数のスリット97のうち少なくとも一つのスリット97の開口面積を調整している。従って、回転テーブル2の半径方向におけるプラズマ密度を調整できるので、回転テーブル2によってウエハWが公転していても、当該ウエハWの面内に亘ってプラズマ処理の度合いを揃えることができる。
このように回転テーブル2の半径方向におけるプラズマ密度(磁界の量)を調整するにあたり、例えば複数の高周波電源に夫々個別に接続されるアンテナを前記半径方向に並べる必要がない。従って、装置のコストアップを抑えることができる。
【0069】
また、ウエハWに対してプラズマ窒化処理を行うにあたり、上方容器201を天板11の上方側に配置すると共に、この上方容器201の下方側に、回転テーブル2上のウエハWに対してプラズマを案内するための下方容器202を配置している。従って、アンテナ83及び主プラズマ発生用ガスノズル32などのプラズマ処理に要する区域や部材について、回転テーブル2に対して上方側に離間させることができる。そのため、各処理領域P1、P3及び分離領域Dから回転テーブル2の周方向を見た時に、前記区域及び前記部材が各領域P1、P3、Dに占める程度(回転テーブル2の周方向における前記区域及び前記部材の占有面積)を抑えることができるので、平面で見た時に小型の真空容器1を構成できる。
【0070】
即ち、真空容器1内には各ノズル31、34、41、42や凸状部4など、様々な部材が設けられているので、主プラズマ発生用ガスノズル32などを設けにくい。一方、真空容器1の天板11上には、真空容器1の内部と比較して広い空間が広がっているので、主プラズマ発生用ガスノズル32及び上方容器201を容易に設けることができる。従って、小型の装置(真空容器1)であっても、ウエハWの搬入出領域を確保できるし、またカメラユニット10aを設けるスペースが得られる。
【0071】
更に、天板11よりも上方側に上方容器201を設けるにあたり、当該上方容器201にてプラズマ化するガスとしては、アンモニアガスを用いており、既に述べたように、アンモニアガスのプラズマは、アルゴンガスのプラズマなどよりも寿命(活性を保っている時間)が長い。そのため、上方容器201とウエハWとを大きく離間させても、ウエハWに対して良好にプラズマ処理を行うことができる。
【0072】
また、プラズマ発生容器200に吐出口211を形成しているので、上方容器201内の圧力を真空容器1内の他の領域(例えば搬送アーム10の進退領域)の圧力よりも高く設定できる。そのため、上方容器201内の圧力を真空容器1内の圧力とはいわば別個に独立して設定できることから、例えば処理レシピに応じて、あるいはウエハWの種別に応じて、当該上方容器201内の圧力を調整できる。具体的には、ウエハWの表面にアスペクト比の大きな(深さ寸法の深い)ホールや溝などが形成されている場合には、反応生成物がウエハW上に被覆性(カバレッジ性)高く形成されるように、上方容器201内の圧力は前記他の領域よりも例えば200Pa程度高圧に設定される。また、上方容器201には窒素ガスが侵入しないので、窒素ガスのプラズマ化による悪影響を防止できる。
【0073】
更にまた、回転テーブル2上のウエハWに近接するように、プラズマ発生容器200(下方容器202)における回転テーブル2の周方向両側にフィン221を配置すると共に、このフィン221における外縁部を下方側に向かって屈曲させている。そのため、アンモニアガスのプラズマとウエハWとの接触時間を長く取ることができる。
更にまた、プラズマ発生容器200について、縦向きの扁平な形状となるように、即ち回転テーブル2の半径方向に沿うように帯状に形成している。そのため、回転テーブル2の周方向におけるプラズマ発生容器200の長さ寸法を短く抑えることができる。
【0074】
そして、アンテナ83とウエハWとの間にファラデーシールド95、195を配置しているので、アンテナ83において発生する電界については遮断できる。従って、プラズマによるウエハWの内部の電気配線構造に対する電気的ダメージを抑制できる。更に、2つのプラズマ発生部81、82を設けているので、互いに異なる種別のプラズマ処理を組み合わせることができる。従って、既述のようにウエハWの表面に吸着したSi含有ガスのプラズマ窒化処理及び反応生成物のプラズマ改質処理といった互いに異なる種別のプラズマ処理を組み合わせることができるので、自由度の高い装置を得ることができる。
更にまた、主プラズマ発生部81及び補助プラズマ発生部82において、真空容器1の外部にアンテナ83を配置しているので、プラズマ発生部81、82のメンテナンスが容易となる。
【0075】
以上の例では、上方容器201から見て回転テーブル2の回転方向上流側のシャッター151及び回転テーブル2の回転方向下流側のシャッター151について、高さ位置を互いに揃えたが、夫々個別に高さ位置を設定しても良い。具体的には、例えば回転テーブル2の中心部寄りの2つのシャッター151について、前記回転方向上流側のシャッター151については既述の図18のように高さ位置を設定すると共に、前記回転方向下流側のシャッター151については図19のように高さ位置を設定しても良い。このように上方容器201の左右のシャッター151、151の高さ位置を個別に設定することにより、既述の例と比べて、当該上方容器201内に到達する磁界の量を細かく調整できる。
【0076】
また、回転テーブル2の半径方向におけるシャッター151の数量について、既述の例では3箇所に配置したが、2箇所以上であっても良いし、あるいは1箇所であっても良い。即ち、既述のように回転テーブル2の半径方向におけるプラズマ密度を調整するためにシャッター151を設けているため、回転テーブル2の回転中心側だけにシャッター151を1枚配置しておき、このシャッター151を上下させることにより、当該回転中心側のプラズマ密度を調整しても良い。また、上方容器201の右側(回転テーブル2の回転方向上流側)及び左側(回転テーブル2の回転方向下流側)のうち一方だけにシャッター151を配置しても良い。そして、シャッター151としては、少なくとも一つのスリット97の開口面積を調整できるように、即ち当該少なくとも一つのスリット97を塞ぐ程度の面積となるように形成しても良い。
【0077】
ここで、上方容器201の前記右側のシャッター151の数量と、前記左側のシャッター151の数量とを互いにずらしても良い。図22は、このような例を示しており、上方容器201の右側には4つのシャッター151が配置され、左側には3つのシャッター151が配置されている。従って、前記右側のシャッター151と前記左側のシャッター151とでは、開口面積を調整できるスリット97の数量が互いに異なっている(右側のシャッター151:21本、左側のシャッター151:28本)。
【0078】
このように上方容器201の左右のシャッター151、151の数量を互いにずらすことにより、当該上方容器201内に到達する磁界の量をより一層細かく調整できる。具体的には、始めに例えば上方容器201の左側の3枚のシャッター151によって、上方容器201内に到達する磁界の量(回転テーブル2の半径方向におけるプラズマの濃度分布)を粗調整する。次いで、上方容器201の右側の4枚のシャッター151によって、上方容器201内に到達する磁界の量を細かく調整する。従って、既述の例と比べてプラズマの調整幅を細かくできる。このように上方容器201の右側と左側とでシャッター151、151の数量を互いにずらすにあたり、例えば前記右側についてはシャッター151を6つ配置すると共に、左側については3つ配置しても良い。また、シャッター151を設けるにあたり、全てのスリット97を開閉しないようにしても良く、即ちシャッター151の設けられていないスリット97が配置されていても良い。更に、上方容器201の左右でスリット97の本数を互いに変えても良い。
【0079】
また、シャッター151の移動方向としては、上下方向に代えて、回転テーブル2の中心部側と周縁部側との間で前後方向に移動するように構成しても良い。図23は、このように各々のシャッター151を前後方向に移動自在に構成した一例を示している。具体的には、既述の長孔152は、前記前後方向に伸びるように水平に形成されている。また、各シャッター151には、上下方向に伸びる開口部155が複数箇所に形成されている。これら開口部155は、ファラデーシールド95のスリット97に対応するように、即ち当該スリット97の開口寸法d及び互いに隣接するスリット97、97間の離間寸法と同じ寸法となるように配置されている。
【0080】
従って、図24に示すように、ファラデーシールド95のスリット97とシャッター151の開口部155とが互いにずれるように当該シャッター151の位置を設定すると、即ち互いに隣接するスリット97、97間に開口部155が位置するようにシャッター151の位置を設定すると、磁界成分が遮断される。一方、図25に示すように、シャッター151を例えば回転テーブル2の中心部側にずらしていくと、スリット97と開口部155とが連通する面積が徐々に大きくなっていく。こうしてスリット97と開口部155とが互いに重なり合うようにシャッター151の位置を調整すると、各スリット97が開放される。従って、各々のシャッター151を前後方向に移動させる場合であっても、これらシャッター151について、上方容器201内に到達する磁界の量を調整できる。
【0081】
また、スリット97を開閉する機構としては、図26に示すように、例えば互いに隣接するスリット97、97間の領域におけるファラデーシールド95の外壁部に、鉛直軸周りに回転自在な回転軸156を配置しておき、この回転軸156を介して旋回自在な金属板157を各スリット97毎に個別に配置しても良い。このような構成であっても、金属板157がスリット97を塞ぐ位置と、金属板157がスリット97、97間の領域に退避する位置と、の間で回転軸156を回転させることにより、上方容器201内に到達する磁界の量を調整できる。
【0082】
そして、以上の各例において、ファラデーシールド95の各スリット97について、互いに同じ寸法となるように形成したが、互いに異なる寸法に設定しても良い。即ち、既述のように回転テーブル2の中心部側では外縁部側よりもプラズマ処理の度合いが強くなることが予め予想される場合には、例えば図27に示すように、前記中心部側のスリット97について、前記外縁部側のスリット97よりも開口寸法dを小さくしても良い。この場合には、スリット97の開口寸法dについて、中心部側から外縁部側に向かうにつれて徐々に大きくしても良い。このようにスリット97の開口寸法dを予め調整する場合には、シャッター151を用いて上方容器201内に到達する磁界の量を更に調整することにより、ウエハWに対するプラズマ処理の均一化を更に図ることができる。このような場合において、スリット97の開口寸法dに代えて、スリット97の数量を回転テーブル2の中心部側と外縁部側とで変えても良い。
【0083】
以上の例では、プラズマ発生容器200の周囲にシャッター151を配置したが、既述の筐体90の上方側に配置しても良い。このような例について、図28を参照して説明する。既述の絶縁体94の下面側には、当該絶縁体94をファラデーシールド195から離間させるための支持部94aが複数箇所例えば四隅に配置されている。また、ファラデーシールド195における回転テーブル2の回転方向上流側及び下流側の側面には、水平方向に伸びる長孔94bが前後方向(回転テーブル2の中心部側と外縁部側との一方から他方に向かう方向)に互いに離間するように例えば3箇所に各々形成されている。
【0084】
そして、各々の長孔94bを介して、回転テーブル2の外周縁の接線方向に沿って水平方向に伸びる駆動軸94cの先端部がファラデーシールド195の内部に向かって挿入されており、これら駆動軸94cは、駆動部94dによって各々前後方向に移動自在に構成されている。また、スリット197の上方側には、駆動軸94cの前記先端部に接続されると共に水平方向に伸びる板状体が既述のシャッター151として配置されている。従って、駆動軸94cを介してシャッター151を前後動させることにより、既述の各例と同様に真空容器1内に到達する磁界の量を調整できる。尚、図28では、駆動軸94c、駆動部94d及びシャッター151をファラデーシールド195から離間させて(取り外して)描画している。また、駆動軸94c、駆動部94d及びシャッター151からなる構成のうち回転テーブル2の回転方向上流側の構成については描画を省略している。
【0085】
以上説明したファラデーシールド95及びシャッター151として、ファラデーシールド95を接地すると共にこのファラデーシールド95にシャッター151を接触させることにより当該シャッター151を接地したが、これらファラデーシールド95及びシャッター151を夫々個別に接地しても良い。また、これらファラデーシールド95及びシャッター151などの金属部材は、夫々電気的にフロート状態になっていても良い。即ち、前記金属部材の外面から周辺導体(例えば真空容器1に隣接する図示しない真空搬送室やロードロック室を構成する部材あるいは他の処理装置)への静電誘導や前記金属部材の外面から発生する電界によってマッチング不良が起こる懸念がない場合には、当該金属部材をアースせずにフロート状態にしても良い。
更に、以上の例では各領域P1、P2、P3についてウエハWを順番に通過させるにあたり、ウエハWを公転させる手法を採ったが、例えばこれら各領域P1、P2、P3を直線的に順番に並べた連続炉を用いても良い。この場合には、ウエハWを搬送させるコンベアなどの移動機構が設けられる。
【0086】
続いて、本発明をバッチ式の装置に適用した例について、図29図31を参照して説明する。この装置は、多数枚例えば150枚のウエハWに対して一括して成膜処理を行う縦型熱処理装置であり、ウエハWを棚状に積載するための載置部をなすウエハボート301と、このウエハボート301を内部に気密に収納して成膜処理を行うための縦型の処理容器である反応管302とを備えている。反応管302の外側には加熱炉本体304が設けられており、この加熱炉本体304の内壁面には周方向に亘って加熱部であるヒータ303が配置されている。
【0087】
反応管302は、側面部が上下方向に亘って外側に向かって膨らむように形成されると共に、この膨らんだ部分には、図29及び図31に示すように、反応管302内にアンモニアガスを供給するために、上下方向に伸びる反応ガスインジェクタ305が収納されている。また、反応管302内には、反応ガスインジェクタ305に対してウエハボート301を介して対向するように、原料ガス(Si系ガス)を供給するための原料ガスインジェクタ307が上下方向に伸びるように配置されている。反応管302の上端部は、排気口308をなしており、圧力調整部309を介して接続された排気機構をなす真空ポンプ310によって反応管302の内部を真空排気できるように構成されている。図29及び図30において311はアンモニアガス貯留部、312は原料ガス貯留部である。
【0088】
ウエハボート301の下方側には、回転軸314を介してモータなどの回転機構315が接続されており、ウエハボート301を鉛直軸周りに回転できるように構成されている。そして、反応ガスインジェクタ305が収納された部位の外側には、図30に示すように、水平軸周りに巻回されたアンテナ83が当該部位の周囲に配置されている。また、前記部位とアンテナ83との間の領域には、図31に示すように、当該部位を覆うように形成された、接地された導電板からなるファラデーシールド316が配置されており、このファラデーシールド316には、水平方向に伸びるスリット317が上下方向に亘って複数箇所に形成されている。
【0089】
ファラデーシールド316とアンテナ83との間には、スリット317の開口面積を調整するために、反応管302に近接する位置と、当該反応管302から離間する位置との間で水平方向に移動自在に構成された、接地された導電板からなるシャッター151が配置されている。このシャッター151は、上下方向に複数箇所例えば6箇所に配置されると共に、図31に示すように、反応ガスインジェクタ305が収納された部位を挟み込むように前後方向に各々配置されている。この例においても、図31に示すように、スリット317は、反応ガスインジェクタ305が収納された領域を避けるように形成されている。尚、アンテナ83とファラデーシールド316やシャッター151との間には、例えば石英などからなる絶縁体が介在しているが、ここでは図示を省略している。
【0090】
このような装置では、ウエハボート301に多数枚のウエハWを積載して、次いで当該ウエハボート301を反応管302内に気密に収納する。続いて、反応管302内を成膜圧力に保ちながら、鉛直軸周りに回転しているウエハボート301に対して原料ガスを供給して、各々のウエハWの表面に当該原料ガスの成分を吸着させる。次に、反応管302内の雰囲気を置換した後、反応管302内における上下方向におけるプラズマ処理の度合いを揃えるために、各々のシャッター151の姿勢を調整する。
【0091】
そして、反応ガスインジェクタ305からアンモニアガスを反応管302内に供給すると共に、アンテナ83により発生する磁界成分により当該ガスを活性化させてプラズマを発生させる。このプラズマがウエハWに供給されると、ウエハWの表面に吸着した原料ガスの成分が窒化される。次いで、再度反応管302内の雰囲気を置換すると共に、原料ガスの吸着と窒化とを多数回に亘って繰り返すことにより、窒化シリコン膜からなる薄膜が形成される。この場合であっても、反応管302内の上下方向におけるプラズマ処理の度合いを揃えることができる。
【0092】
また、本発明は、以上説明したバッチ式の装置や既述の5枚のウエハWに対して処理を行うセミバッチタイプの装置以外にも、枚葉式の装置に適用しても良い。この場合には、ウエハWを載置する載置部に対向するように、真空容器の上方側にはアンテナが配置される(いずれも図示せず)。このアンテナは、例えばウエハWの中心部から外縁部に向かって多数周に亘って例えば渦巻き状に巻回される。そして、このアンテナと真空容器との間には、接地された導電板からなるファラデーシールドが配置され、このファラデーシールドには、アンテナの長さ方向に沿うように且つアンテナの伸びる方向に対して交差する(直交する)ようにスリットが形成されている。また、アンテナとファラデーシールドとの間には、各々ウエハWの周方向に沿って水平方向に移動自在に構成されたシャッターが当該周方向に沿って複数箇所に配置されている。
【0093】
このような装置では、ウエハWに対してSi系ガスとアンモニアガスとを交互に供給すると共に、ガスを切り替える時には真空容器内の雰囲気を置換する。また、真空容器内にアンモニアガスを供給する時には、アンテナの磁界成分によりアンモニアガスをプラズマ化する。こうして各々のシャッターの位置を予め設定しておくことにより、ウエハWの周方向におけるプラズマの量だけでなく、ウエハWの半径方向におけるプラズマの量についても調整できる。
【0094】
以上説明した各例では、Si系ガスの吸着処理、ウエハW上に吸着したSi系ガスの窒化処理及びプラズマ改質処理を行ったが、薄膜が既に成膜されたウエハWに対してプラズマ改質処理を行っても良い。
また、シャッターの配置位置としては、アンテナとファラデーシールドとの間に介在させたが、ファラデーシールドよりもウエハ側に配置しても良い。そして、スリット97は、アンテナ83の長さ方向に対して直交する(アンテナ83とスリット97とのなす角度が90°となる)ように配置したが、アンテナ83の長さ方向に対して交差する(スリット97の伸びる向き≠アンテナ83の伸びる向き)ように配置しても良い。
【0095】
また、第1の処理ガスとして、DCSガスに代えて例えばBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン:SiH2(NH−C(CH3)3)2)ガスを用いると共に、第2の処理ガスとしてアンモニアガスに代えて酸素(O2)ガスを用いても良い。この場合では、主プラズマ発生部81において酸素ガスがプラズマ化されて、反応生成物としてシリコン酸化膜(Si−O)が形成される。
【符号の説明】
【0096】
1 真空容器
2 回転テーブル
W ウエハ
32 プラズマ発生用ガスノズル
81 プラズマ発生部
82 プラズマ発生部
83 アンテナ
85 高周波電源
95 ファラデーシールド
97 スリット
151 シャッター
200 プラズマ発生容器
図1
図2
図3
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